(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890904
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】機械的に柔軟なシリコン基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20160308BHJP
H01L 21/265 20060101ALI20160308BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/265 W
H01L29/06 601N
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-526144(P2014-526144)
(86)(22)【出願日】2012年8月15日
(65)【公表番号】特表2014-529890(P2014-529890A)
(43)【公表日】2014年11月13日
(86)【国際出願番号】US2012050847
(87)【国際公開番号】WO2013025748
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2014年4月23日
(31)【優先権主張番号】61/523,606
(32)【優先日】2011年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2012/046205
(32)【優先日】2012年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511286296
【氏名又は名称】キング アブドゥーラ ユニバーシティ オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】フサイン ムハンマド エム.
(72)【発明者】
【氏名】ロハス ジョナサン プリート
【審査官】
工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−187061(JP,A)
【文献】
特開2007−227527(JP,A)
【文献】
Chhabra B. et al,12.4% efficient freestanding 30μm ultra-thin silicon solar cell using a-Si/c-Si heterostructure,35th IEEE Photovoltaic Specialists Conference,米国,IEEE,2010年 6月20日,PVSC 2010,p. 1325-1329
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/02
H01L21/265
H01L29/06
C30B31/00−31/22
C30B33/00−33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板を提供する工程;
該シリコン基板内において、第一の深さに第一エッチング停止層を形成する工程;
該シリコン基板内において、前記第一の深さとは異なる第二の深さに第二エッチング停止層を形成する工程;
前記第一エッチング停止層および前記第二エッチング停止層の上に、前記第一エッチング停止層に達する1つまたは複数のトレンチを形成する工程;
前記1つまたは複数のトレンチのそれぞれの内側に垂直側壁層を形成する工程;
前記1つまたは複数のトレンチを経由して前記第一エッチング停止層と前記第二エッチング停止層の間のシリコン基板を除去する工程;および
前記シリコン基板から上部シリコン層を取り外して、薄いシリコン基板を形成する工程
を含む、薄いシリコン基板を作製する方法。
【請求項2】
前記シリコン基板が柔軟である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
いかなる転写プロセスも用いることなく、柔軟なシリコン表面上に直接、高性能エレクトロニクスを製造するようにさらに構成された、請求項1記載の方法。
【請求項4】
第一エッチング停止層を形成する工程がイオン注入を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
第二エッチング停止層を形成する工程がイオン注入を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第一エッチング停止層がホウ素層を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第二エッチング停止層がホウ素層を含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数のトレンチを形成する工程が、前記シリコン基板の上に保護層を形成する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記保護層の上にフォトレジスト層を形成する工程をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト層と、前記保護層と、前記シリコン基板の一部とをエッチングする工程をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記フォトレジスト層を除去する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記垂直側壁層の一部を除去する工程をさらに含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記保護層を除去する工程をさらに含む、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2011年8月15日に出願された米国特許仮出願第61/523,606号の優先権を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み入れられている。本出願はまた、2012年7月11日に出願された国際特許出願第PCT/US2012/046205号の優先権を主張し、係る国際特許出願第PCT/US2012/046205号は、2011年7月11日に出願された米国特許仮出願第61/506,495号の優先権を主張し、いずれの出願もその全内容が参照により本明細書に組み入れられている。
【0002】
発明の分野
本発明は、微小構造の製作に関し、とりわけ、機械的に柔軟なシリコン基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景
関連技術の説明
基板、ワイヤ、リボン、および粒子の形態における、単結晶シリコンのナノ構造要素は、エレクトロニクス、オプトエレクトロニクス、センシング、および他の分野の多くの用途にとっての関心対象である。伸縮可能で容易に配置可能な、シリコンをベースとする集積回路(IC)は、移植可能な生物医学的用途、再生可能エネルギー、センサー、およびスマートカードの分野における多くの新規のテクノロジーの配置を容易にするであろう。
【0004】
半導体ウェハの上面のリソグラフィ処理に基づくアプローチは、十分に制御された厚さ、長さ、および結晶化度を可能にする。これらの方法は、マイクロメートルからナノメートル範囲の厚さにおいて、膜、管、およびリボンを形成することができる。
【0005】
機械的に柔軟なナノリボン(基板)を製作するための一般的な方法の1つは、(111)Siまたはシリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウェハへのウェットエッチングを用いて、製造物をプラスチック基板上へ転写することである。しかしながら、高コストの(111)SiまたはSOIウェハの使用のために、このプロセスはコストが高い。機械的に柔軟な基板を製作するための別の同様の一般的な方法は、バックグラインドプロセスを使用することである。バックグラインドでは、機械的に柔軟な基板の最終製造物に含まれないウェハの残余部分を再利用する可能性が排除される。したがって、損失の少ない、機械的に柔軟なシリコン基板の製作法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法を開示する。一態様において、本方法は、シリコン基板を提供する工程、シリコン基板内に第一エッチング停止層を形成する工程、シリコン基板内に第二エッチング停止層を形成する工程、第一エッチング停止層および第二エッチング停止層の上に1つまたは複数のトレンチを形成する工程、ならびに第一エッチング停止層と第二エッチング停止層の間のシリコン基板を除去する工程を含み得る。
【0007】
一態様において、第一エッチング停止層を形成する工程は、イオン注入を含み得る。第一エッチング停止層は、ホウ素層を含み得る。一態様において、第二エッチング停止層を形成する工程も、イオン注入を含み得る。第二エッチング停止層は、ホウ素層を含み得る。一態様において、1つまたは複数のトレンチを形成する工程は、シリコン基板の上に保護層を形成する工程を含み得る。本方法は、保護層およびシリコン基板の一部をエッチングする工程も含み得る。本方法は、1つまたは複数のトレンチのそれぞれの内側に、垂直側壁層を形成する工程をさらに含み得る。一態様において、本方法は、保護層を除去する工程を含み得る。本方法は、垂直側壁形成膜層を除去する工程も含み得る。
【0008】
用語「連結された」は、接続されたとして定義されるが、直接である必要はなく、かつ機械的である必要はない。
【0009】
用語「1つの」および「ある」は、本開示が明確に別の意味を必要としない限り、1つまたは複数として定義される。
【0010】
用語「実質的に」およびその変形は、当業者によって理解されるように、ほとんど指定されているとおりであるが完全にそうである必要はないと定義され、非限定的な一例において、「実質的に」は、指定されているものの10%以内、好ましくは5%以内、より好ましくは1%以内、最も好ましくは0.5%以内の範囲を意味する。
【0011】
「含む」(およびそのすべての形態、例えば、「含み」および「含んで」など)、「有する」(およびそのすべての形態、例えば、「有し」および「有して」など)、「包含する」(およびそのすべての形態、例えば、「包含し」および「包含して」など)、ならびに「含有する」(およびそのすべての形態、例えば、「含有し」および「含有して」)は、非限定的な連結動詞である。その結果として、1つまたは複数の工程および要素を「含む」、「有する」、「包含する」、または「含有する」方法または装置は、これらの1つまたは複数の工程または要素を有するが、これらの1つまたは複数の要素しか有さないと限定されるわけではない。同様に、1つまたは複数の特徴を「含む」、「有する」、「包含する」、または「含有する」方法の工程または装置の要素は、これらの1つまたは複数の特徴を有するが、これらの1つまたは複数の特徴しか有さないと限定されるわけではない。さらに、ある特定の方法で構成された装置または構造は、少なくともその方法で構成されるが、列記されていない方法において構成することもできる。
【0012】
以下に、本発明の基本的な諸特徴および種々の態様を列挙する。
[1]
シリコン基板を提供する工程;
該シリコン基板内に第一エッチング停止層を形成する工程;
該シリコン基板内に第二エッチング停止層を形成する工程;および
第一エッチング停止層と第二エッチング停止層の間のシリコン基板を除去する工程
を含む、シリコン基板を作製する方法。
[2]
前記シリコン基板が柔軟である、[1]記載の方法。
[3]
いかなる転写プロセスも用いることなく、柔軟なシリコン表面上に直接、高性能エレクトロニクスを製造するようにさらに構成された、[1]記載の方法。
[4]
第一エッチング停止層を形成する工程がイオン注入を含む、[1]記載の方法。
[5]
第二エッチング停止層を形成する工程がイオン注入を含む、[1]記載の方法。
[6]
前記第一エッチング停止層がホウ素層を含む、[1]記載の方法。
[7]
前記第二エッチング停止層がホウ素層を含む、[1]記載の方法。
[8]
前記第一エッチング停止層および前記第二エッチング停止層の上に1つまたは複数のトレンチを形成する工程をさらに含む、[1]記載の方法。
[9]
1つまたは複数のトレンチを形成する工程が、前記シリコン基板の上に保護層を形成する工程を含む、[8]記載の方法。
[10]
前記保護層の上にフォトレジスト層を形成する工程をさらに含む、[9]記載の方法。
[11]
前記フォトレジスト層と、前記保護層と、前記シリコン基板の一部とをエッチングする工程をさらに含む、[10]記載の方法。
[12]
前記フォトレジスト層を除去する工程をさらに含む、[11]記載の方法。
[13]
前記1つまたは複数のトレンチのそれぞれの内側に垂直側壁層を形成する工程をさらに含む、[12]記載の方法。
[14]
前記垂直側壁層の一部を除去する工程をさらに含む、[13]記載の方法。
[15]
前記保護層を除去する工程をさらに含む、[14]記載の方法。
[16]
シリコン基板を提供する工程;
該シリコン基板内に第一エッチング停止層を形成する工程;
該シリコン基板内に第二エッチング停止層を形成する工程;および
第一エッチング停止層と第二エッチング停止層の間のシリコン基板を除去する工程
を含む方法によって形成された、シリコン基板。
[17]
機械的に柔軟な、[16]記載のシリコン基板。
[18]
第一エッチング停止層を形成する工程がイオン注入を含む、[16]記載のシリコン基板。
[19]
第二エッチング停止層を形成する工程がイオン注入を含む、[16]記載のシリコン基板。
[20]
前記方法が、前記第一エッチング停止層および前記第二エッチング停止層の上に1つまたは複数のトレンチを形成する工程をさらに含む、[16]記載のシリコン基板。
[21]
1つまたは複数のトレンチを形成する工程が、前記シリコン基板の上に保護層を形成する工程を含む、[20]記載のシリコン基板。
[22]
1つまたは複数のトレンチを形成する工程が、前記シリコン基板の上に保護層を形成する工程を含む、[21]記載のシリコン基板。
[23]
前記方法が、前記保護層の上にフォトレジスト層を形成する工程をさらに含む、[22]記載のシリコン基板。
[24]
前記方法が、前記フォトレジスト層と、前記保護層と、前記シリコン基板の一部とをエッチングする工程をさらに含む、[23]記載のシリコン基板。
[25]
前記方法が、前記フォトレジスト層を除去する工程をさらに含む、[24]記載のシリコン基板。
[26]
前記方法が、前記1つまたは複数のトレンチのそれぞれの内側に垂直側壁層を形成する工程をさらに含む、[25]記載のシリコン基板。
[27]
前記方法が、前記垂直側壁層の一部を除去する工程をさらに含む、[26]記載のシリコン基板。
[28]
前記方法が、前記保護層を除去する工程をさらに含む、[27]記載のシリコン基板。
他の特徴および関連する利点は、添付の図面に関連する特定の態様の以下の詳細な説明を参照することにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の局面を詳細に示すために含まれている。本発明は、これらの図面の1つまたは複数を、本明細書において提示された特定の態様の詳細な説明と組み合わせて参照することにより、より良く理解することができる。
【
図1】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の一態様を示す模式図。
【
図2】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の一態様を示す模式的フローチャート。
【
図3A】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の段階を追った製造物を示す模式的断面図。
【
図3B】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の段階を追った製造物を示す模式的断面図。
【
図3C】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の段階を追った製造物を示す模式的断面図。
【
図3D】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の段階を追った製造物を示す模式的断面図。
【
図3E】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の段階を追った製造物を示す模式的断面図。
【
図3F】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の段階を追った製造物を示す模式的断面図。
【
図3G】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の段階を追った製造物を示す模式的断面図。
【
図3H】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の段階を追った製造物を示す模式的断面図。
【
図3I】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の段階を追った製造物を示す模式的断面図。
【
図3J】機械的に柔軟なシリコン基板の作製方法の段階を追った製造物を示す模式的断面図。
【
図4】機械的に柔軟なシリコン基板の一態様を示す。
【
図5】光学的に透明なシリコン基板の一態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
様々な特徴および利点の詳細について、添付図面に図示されかつ以下の説明において詳述される非限定的な態様を参照しながらより十分に説明する。周知の出発物質、加工技術、構成要素、および設備についての説明は、本発明の細部を不必要に曖昧にしないように、省略されている。ただし、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の態様を示してはいるが、例示のためのみに提供されているに過ぎず、限定のためではないことは理解されるべきである。基礎となる発明概念の趣旨および/または範囲内にある様々な置換、変更、追加、および/または再配置は、当業者には本開示から明らかとなるであろう。
【0015】
図1は、機械的に柔軟なシリコン基板を作製するための方法100の一態様を示しており、
図3は、方法100の各工程によって製造される製造物を示している。一態様において、本方法は、
図3に示されるようなシリコン基板302を提供する工程102を含み得る。本方法100は、シリコン基板内に第一エッチング停止層304を形成する工程104をさらに含み得る。一態様において、第一エッチング停止層304を形成する工程は、イオン注入を含み得る。一態様において、イオン注入は、高エネルギーホウ素注入(1E20/cm
3)であり得る。
【0016】
一態様において、本方法100は、シリコン基板内に第二エッチング停止層306を形成する工程106をさらに含み得る。一態様において、第二エッチング停止層306を形成する工程は、イオン注入を含み得る。一態様において、イオン注入は、高エネルギーホウ素注入(1E20/cm
3)であり得る。第二エッチング停止層306は、第一エッチング停止層304と平行に構成され得る。そのような態様では、第一エッチング停止層304と第二エッチング停止層306の間にシリコン層が形成され得る。第一エッチング停止層304と第二エッチング停止層306の位置は、機械的に柔軟なシリコン基板の深さを制御するように構成され得る。
【0017】
一態様において、本方法100は、第一エッチング停止層304と第二エッチング停止層306の間のシリコン層を除去する工程108をさらに含み得る。一態様において、第一エッチング停止層304と第二エッチング停止層306の間のシリコン層を除去する工程は、ヒドラジンを使用するシリコンのウェットエッチングを含み得る。
【0018】
一態様において、方法100によって形成されたシリコン基板は、機械的に柔軟であり得る。一態様において、方法100によって形成されたシリコン基板は、光学的に透明であり得る。方法100によって形成されたシリコン基板は、多孔性でもあり得る。別の態様において、方法100は、転写などのプロセスを全く用いることなしに、柔軟なシリコンの表面上に直接、高性能エレクトロニクスを製造するために使用することもできる。
【0019】
図2は、機械的に柔軟なシリコン基板を作製するための方法200の一態様を示している。
図3は、方法200の各工程によって製造される、対応する製造物を示している。一態様において、本方法200は、シリコン基板302を提供する工程202を含む。本方法200は、シリコン基板302内に第一エッチング停止層304を形成する工程204もさらに含み得る。一態様において、シリコン基板302内に第一エッチング停止層304を形成する工程は、イオン注入を含み得る。一態様において、イオン注入は、高エネルギーホウ素注入(1E20/cm
3)であり得る。
【0020】
一態様において、本方法200は、シリコン基板302内に第二エッチング停止層306を形成する工程206をさらに含み得る。第二エッチング停止層306は、第一エッチング停止層304の上に構成され得る。一態様において、シリコン基板302内に第二エッチング停止層306を形成する工程は、イオン注入を含み得る。一態様において、イオン注入は、高エネルギーホウ素注入(1E20/cm
3)であり得る。
【0021】
一態様において、第二エッチング停止層306は、第一エッチング停止層304と平行に構成され得る。そのような態様では、第一エッチング停止層304と第二エッチング停止層306の間にシリコン層が形成され得る。第一エッチング停止層304と第二エッチング停止層306の位置は、機械的に柔軟なシリコン基板の深さを制御し得る。基板302内に形成された第一エッチング停止層304および第二エッチング停止層306を
図3Cに示す。
【0022】
一態様において、本方法200は、シリコン基板302の表面の上にハードマスク層308を形成する工程208をさらに含み得る。ハードマスク層308は、第一エッチング停止層304および第二エッチング停止層306と平行であり得る。一態様において、ハードマスク層308は、Si
3N
4層であり得る。代替の態様において、ハードマスク層308は、酸化物層であり得る。当業者は、ハードマスク層308のための他の材料を認識し得る。方法200は、ハードマスク層308の上にフォトレジスト層309を形成する工程209をさらに含み得る。
【0023】
本方法200は、第二エッチング停止層306上に1つまたは複数のトレンチ310を形成するためにシリコン基板をエッチングする工程210をさらに含み得る。エッチング工程210は、フォトレジスト層308と、ハードマスク層308と、第二エッチング停止層306上のシリコン層とを貫通し得る。本方法は、フォトレジスト層309を除去する工程211をさらに含み得る。一態様において、1つまたは複数のトレンチ301の上部は、ハードマスク層308の上部と同じ高さであり得る。一態様において、シリコン基板をエッチングする工程210は、RIEを含み得る。別の態様において、シリコン基板をエッチングする工程210は、DRIEを含み得る。当業者は、トレンチ310を形成するための別の異方性エッチング方法を認識し得る。
【0024】
一態様において、本方法200は、1つまたは複数のトレンチ310の内側の露出したシリコン表面上に垂直側壁層312を形成するために、シリコン基板302を酸化させる工程212をさらに含み得る。一態様において、垂直側壁が二酸化シリコンの場合、シリコン基板302を酸化させる工程212は、酸素リッチ環境において基板302をベーク処理する工程を含み得る。
【0025】
本方法200は、1つまたは複数のトレンチ310のそれぞれの底部の垂直側壁層312を除去する工程214をさらに含み得る。一態様において、1つまたは複数のトレンチ310のそれぞれの底部の垂直側壁層312を除去する工程は、RIEを含み得る。当業者であれば、1つまたは複数のトレンチ310のそれぞれの底部の垂直側壁層312を除去するための他の代替手段を認識し得る。
【0026】
一態様において、本方法200は、第一エッチング停止層304と第二エッチング停止層306の間のシリコン層を除去する工程216をさらに含み得る。一態様において、第一エッチング停止層304と第二エッチング停止層306の間のシリコン層を除去する工程216は、ヒドラジンを用いてシリコン層をエッチングする工程を含み得る。本方法200は、ハードマスク層308を除去する工程218も含み得る。本方法200は、1つまたは複数のトレンチ310のそれぞれの内側の垂直側壁層312を除去する工程220をさらに含み得る。本方法200は、基板から上部シリコン層を取り外す工程221も含み得る。
【0027】
一態様において、方法200によって形成されたシリコン基板は、機械的に柔軟であり得る。一態様において、方法200によって形成されたシリコン基板は、光学的に透明であり得る。方法200によって形成されたシリコン基板は、多孔性でもあり得る。別の態様において、方法200は、転写などのプロセスを全く用いることなしに、柔軟なシリコンの表面上に直接、高性能エレクトロニクスを製造するために使用することもできる。
【0028】
図4および5は、方法200によって製造されたシリコン基板を示している。
図4からわかるように、製造されたシリコン基板は、機械的に柔軟である。
図5は、製造されたシリコン基板が光学的に透明であることを示している。
【0029】
本明細書において開示しかつ権利を主張する方法のすべては、本開示を踏まえて、過度な実験を行なうことなく作製し実施することができる。本発明の機器および方法について、好適な態様の観点から説明してきたが、本発明の概念、趣旨、および範囲から逸脱することなく、本明細書において説明した方法、方法の工程、または方法の工程の順序に対して変形を適用することができることは、当業者には明らかであろう。さらに、開示された機器に対して変更を為すことができ、ならびに構成要素は、排除してもよく、または、同じまたは同様の結果が達成されるであろう本明細書において説明した構成要素で置換してもよい。当業者に明らかであるそのような同様の置換および変更はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨、範囲、および概念に含まれるものと見なされる。