(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5890941
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】差込コネクタ、特に媒質フィードラインのための差込コネクタ
(51)【国際特許分類】
F16L 37/12 20060101AFI20160308BHJP
F02M 55/02 20060101ALI20160308BHJP
F16L 37/08 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
F16L37/12
F02M55/02 330B
F16L37/08
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-517645(P2015-517645)
(86)(22)【出願日】2013年4月29日
(65)【公表番号】特表2015-527537(P2015-527537A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】EP2013058863
(87)【国際公開番号】WO2014000917
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】102012211035.6
(32)【優先日】2012年6月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(72)【発明者】
【氏名】エアハルト,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ボチュカ,ミヒャエル
【審査官】
木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/018262(WO,A1)
【文献】
米国特許第04026581(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/12
F02M 55/02
F16L 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒質フィードラインのための差込コネクタであって、相手プラグである燃料噴射装置のインジェクタ本体の中に固定すべく、少なくとも1つのラッチエレメントを具備するプラグ本体と、このプラグ本体で移動自在に受け止められ、ロック位置において少なくとも1つのラッチエレメントを相手プラグでゆるみ止めするのに役立つゆるみ止め本体を備え、前記プラグ本体(11)に少なくとも1つの阻止エレメント(18)が配置され、これが少なくとも1つのラッチエレメント(17)と結合していて、前記プラグ本体(11)が前記相手プラグ(13)に差し込まれた時、前記少なくとも1つのラッチエレメント(17)が、前記相手プラグの中に形作られたラッチ輪郭(32)に到達するまでの間、前記ゆるみ止め本体(12)をそのアンロック位置において前記プラグ本体(11)に関してロック方向に相対移動するのを阻止し、ここで、前記少なくとも1つの阻止エレメント(18)が、前記ラッチエレメント(17)の前記ラッチ輪郭(32)への食い込みに反応して前記ゆるみ止め本体(12)をロック方向に動作可能にし、
前記ゆるみ止め本体(12)のクランプ脚(15)の自由端(26)に1つの阻止エレメントセクションが当接し、他方、前記阻止エレメント(18)の、前記止まり面(20)を備えた端セクション(29、38)が、半径方向外向きに前記プラグ本体(11)から遠ざかっていくことを特徴とする差込コネクタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの阻止エレメント(18)が、前記ゆるみ止め本体(12)に形作られたラッチ(19)のためのロック方向のストッパとして役立つ止まり面(20)を具備することを特徴とする請求項1に記載の差込コネクタ。
【請求項3】
前記阻止エレメント(18)が、前記ラッチエレメント(17)を介して前記プラグ本体(11)と弾性結合しており、これで、前記プラグ本体(11)が前記相手プラグ(13)に差し込まれて前記ラッチエレメント(17)が作動させられる時、前記ラッチエレメント(17)と前記阻止エレメント(18)との結合により、前記阻止エレメント(18)が前記ラッチエレメント(17)の領域内で前記プラグ本体(11)に相対して移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の差込コネクタ。
【請求項4】
前記プラグ本体(11)が前記相手プラグ(13)に差し込まれて前記ラッチエレメント(17)が作動させられる時、前記ゆるみ止め本体(12)のクランプ脚(15)が、前記ラッチエレメント(17)の領域内で前記阻止エレメント(18)と前記プラグ本体(11)のギャップ(31)に入り込む運動が解放されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の差込コネクタ。
【請求項5】
前記相手プラグ(13)において、アンロック方向で前記ラッチ輪郭(32)の前方に設けられた輪郭(30)が、前記ラッチエレメント(17)の接触位置において前記ラッチエレメント(17)を隣接する前記ギャップ(31)に向けて半径方向に押しやり、そこで、前記ラッチエレメント(17)と結合した前記阻止エレメント(18)が前記ラッチエレメント(17)の領域内で前記ギャップ(31)をふさぐように形作られていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の差込コネクタ。
【請求項6】
前記ラッチエレメント(17)が、接触位置から弛緩運動を経て前記ラッチ輪郭(32)の中に入り、そこで、前記ラッチエレメントと結合した前記阻止エレメント(18)が前記ラッチエレメント(17)の領域内で前記ギャップ(31)を解放することを特徴とする請求項5に記載の差込コネクタ。
【請求項7】
一方で前記阻止エレメント(18)と前記ラッチエレメント(17)の間、他方で前記阻止エレメント(18)と前記プラグ本体(11)の間のギャップ(31)の幅(61)が、前記ゆるみ止め本体(12)のうち前記ギャップ(31)に入り込むことのできるクランプ脚(15)の部分の太さにほぼ相当し、ここで、前記プラグ本体(11)が前記相手プラグ(13)においてロック位置にある時、前記クランプ脚(15)が、前記阻止エレメント(18)と前記プラグ本体(11)の間の前記ギャップ(31)の中に、前記ラッチエレメント(17)の領域内での前記プラグ本体(11)に相対する前記阻止エレメント(18)の移動を阻止するところまで入り込んでいることを特徴とする請求項5又は6に記載の差込コネクタ。
【請求項8】
前記前置輪郭(30)が前記相手プラグ(13)の前記開口部(23)において半径方向一周の形に作られていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の差込コネクタ。
【請求項9】
前記ラッチ輪郭(32)が、前記相手プラグ(13)の開口部(23)において、前記半径方向一周の輪郭(30)の内径と比べて大きい底部直径を持つ半径方向一周の窪みの形に作られていることを特徴とする請求項8に記載の差込コネクタ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのラッチエレメント(17)が前記ラッチ輪郭(32)の形と補い合う形に作られた外側輪郭を持つことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の差込コネクタ。
【請求項11】
前記プラグ本体(11)に、当該プラグ本体(11)の中心軸に関して互いに向き合う阻止エレメント(18)が形作られており、ここで、各阻止エレメントが1つのラッチエレメント(17)を担持することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の差込コネクタ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の差込コネクタのための相手プラグであるインジェクタ本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主請求項の前文に記載の差込コネクタ、特に媒質フィードラインのための差込コネクタに関する。本発明は更に、この種の差込コネクタのための相手コネクタ、特にインジェクタ本体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の差込コネクタは、例えば燃料噴射システム、例えば高圧蓄圧式噴射システムにおいて、又は燃料リターンラインや液圧ラインにおいて使用される。そこで、この種の差込コネクタは、媒質フィードラインを接続するためのラインポートを具備する。加えて、燃料噴射システムに使用できるよう、この種の差込コネクタのプラグ本体に燃料噴射装置を接続するためのポートが形作られている。プラグ本体を燃料噴射装置のインジェクタ本体とつなぐために、この種の差込コネクタは通常、ゆるみ止め本体を具備し、これがプラグ本体で移動自在に受け止められており、これがアンロック位置にある時、プラグ本体はゆるみ止めされずにインジェクタ本体側にあるが、他方、これがロック位置にある時、インジェクタ本体は、プラグ本体のポート側でゆるみ止めされ、固定されている。
【0003】
特許文献1から、例えば内燃機関の液圧ライン又は燃料ライン等の媒質フィードラインにおいて燃料噴射装置のインジェクタ本体の開口部に固定すべく設けられた差込コネクタが知られている。ここで、この差込コネクタは、少なくとも1つのラッチエレメントを作り付け、少なくとも1つの接続用ソケットを具備するプラグ本体を包含する。少なくとも1つのラッチエレメントは、プラグ本体で摺動自在に受け止められたゆるみ止めクランプがロック位置にある時、インジェクタ本体の開口部の中で制止されている。ロック解除されると、ゆるみ止めクランプは、少なくとも1つのラッチエレメントを解放する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006061952A1号明細書
【発明の概要】
【0005】
請求項1に記載の特徴を有する差込コネクタは、――先行技術、すなわち、プラグ本体の組み立て工程の間、このプラグ本体がこれに割り当てられた相手プラグにおいてその決まり通りの掛止位置に到達する前に、その割り当てられた相手プラグにおいてゆるみ止め本体がそのアンロック位置から早々に外され、ロック位置に移行し得る先行技術と比べて――、プラグ本体が相手プラグにおいてその決まり通りの端位置に到達した時に初めて、発明通り、ゆるみ止め本体をそのアンロック位置から外すことができ、そこで、プラグ本体のラッチエレメントが、相手プラグの中に形作られたラッチ輪郭と協働し、それにより、ラッチエレメントと結合したプラグ本体の阻止エレメントがその協働に反応してゆるみ止め本体をそのアンロック位置から解放する。従って、ゆるみ止め本体をロックするのに必要な相対並進動作――ゆるみ止め本体がプラグ本体に関してロック方向に相対移動する動作――が、特定の事象、すなわち、ラッチエレメントがこれに割り当てられたラッチ輪郭の中に掛止される事象の発生に応じて実行され、これにより、ゆるみ止め本体を阻止する阻止エレメントの抵抗に逆らってゆるみ止め本体がそのアンロック位置から不意に早々と外されてしまうことがほとんど起こり得なくなるという利点を持つ。
【発明の効果】
【0006】
発明通りの差込コネクタの更なる有利な実施形態及び更に進んだ形態が、従属請求項に記載の方策により得られる。本発明の更に進んだ一形態では、少なくとも1つの阻止エレメントが、ゆるみ止め本体に作り付けられたラッチのためのロック方向のストッパとして役立つ止まり面を具備する。これにより、阻止エレメントはこの位置で爪立てるように、ゆるみ止め本体がそのアンロック位置からロック方向に移動するのを阻止する。
【0007】
有利には、阻止エレメントがプラグ本体と弾性結合しており、作動時、ラッチエレメントとの結合により阻止エレメントがプラグ本体に相対して移動し、これにより、阻止エレメントとプラグ本体の間のギャップが狭められ、ゆるみ止め本体のロック方向への移動が阻止される。ギャップ幅は、必要不可欠の遊びを考慮した上で、ゆるみ止め本体のうちギャップに入り込むことのできるクランプ脚部分の太さにほぼ相当し、ここで、プラグ本体が相手プラグにおいてロック位置にある時、クランプ脚は、阻止エレメントとプラグ本体の間のギャップの中に、プラグ本体に相対する阻止エレメントの移動が阻止されるところまで入り込んでいる。これにより、差込コネクタは、プラグ本体と相手プラグが互いに結合するこのロック位置にある時、差込コネクタ自体が不意に外されたりロック解除されたりする事態は回避される。
【0008】
プラグ本体が相手プラグ内部で結合している間にゆるみ止め本体のロック方向への移動を許すために、ラッチエレメントが作動すると、ゆるみ止め本体のクランプ脚が阻止エレメントとプラグ本体の間のギャップに入り込む運動が解放される。本発明の一実施形態では、相手プラグにおいてラッチ輪郭に前置された輪郭は、接触位置においてラッチエレメントを隣接するギャップに向けて半径方向に押しやり、そこで、ラッチエレメントと結合した阻止エレメントがギャップをふさぐように形作られている。ラッチエレメントは、接触位置から弛緩運動を経てラッチ輪郭の中に入り、そこで、ラッチエレメントと結合した阻止エレメントがギャップを解放する。従って、ラッチエレメントの作動は、相手プラグの前置輪郭とそれに境を接するラッチ輪郭とによって決められており、作動時、ラッチエレメントは、プラグ本体の入り込む方向において第1の位置で前置輪郭と接触し、決まり通りの掛止位置に対応する第2の位置でラッチ輪郭の中に掛止される。その時、ラッチエレメントは2つの運動を実行する。すなわち、前置輪郭が作用する接触位置において隣接するギャップに向かう半径方向の運動と、ラッチ輪郭に達した時にそれと反対にギャップから遠ざかる方向の弛緩運動である。阻止エレメントは、ラッチエレメントと結合する第1の位置においてギャップを狭めるのに対し、ラッチエレメントがラッチ輪郭に達する第2の位置においてギャップを解放するので、これで、ゆるみ止め本体はロック方向に移動でき、最終的にロック可能となる。
【0009】
前置輪郭が相手プラグの開口部において半径方向一周の形に作られていることから、プラグ本体が相手プラグに差し込まれると、ラッチエレメントはその輪郭に沿って確実に接触することになる。ラッチエレメントがその輪郭に沿った接触位置からラッチ輪郭側の掛止位置に移行する時にラッチエレメントの掛止運動を許すために、ラッチ輪郭は、一周する前置輪郭より大きい直径をもって相手プラグの開口部において半径方向一周の窪みの形に作られている。ラッチエレメントが、ラッチ輪郭の形と補い合う形に作られた外側輪郭を持つことから、ラッチエレメントは、発明通りの差込コネクタの掛止位置に噛み合い方式で掛止される。本発明の有利な一形態では、プラグ本体に、その対称軸に関して互いに向き合う阻止エレメントが形作られており、ここで、各阻止エレメントが1つのラッチエレメントを担持する。プラグ本体が左右対称形の構造であることから、互いに向き合う阻止エレメントの各々にそれぞれ1本のゆるみ止め本体のクランプ脚が割り当てられている。
【0010】
以下、本発明の一実施例を添付図面に則して詳細に説明する。図は、著しく簡略化した形で示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】プラグ本体とインジェクタ本体を持つ発明通りの差込コネクタの左側部分の横断面図で、プラグ本体においてゆるみ止め本体が、差込コネクタのアンロック位置に対応する上止まり位置で受け止められており、プラグ本体がインジェクタ本体の開口部の外にある。
【
図2】発明通りの差込コネクタの、
図1に描かれた部分の横断面図で、差込コネクタは、その1本のアームがゆるみ止め本体を解放するところまでインジェクタ本体の開口部にもぐり込んでいる。
【
図3】発明通りの差込コネクタの、
図2に描かれた部分の横断面図で、差込コネクタがインジェクタ本体の開口部にもぐり込んでおり、ゆるみ止め本体が、差込コネクタのロック位置に対応する下止まり位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、全体が参照符号10で表された発明通りの差込コネクタの部分横断面図で、これは、プラグ本体11、アンロック位置とロック位置の間を摺動できるようにプラグ本体11で受け止められたゆるみ止め本体12、及び、相手プラグとしてのインジェクタ本体13を具備する。そのうち、
図1に描かれているのは、それぞれ左側部分だけである。差込コネクタ10は、対称軸としてのその縦中心軸に関して左右対称の形に作られているので、――図には描かれていないが――差込コネクタ10の右側部分は、図示された左側部分と左右対称の形をなしている。更に、この部分図には、明快にするために、媒質フィードラインを接続するラインポートが描かれていない。
【0013】
図1には、差込コネクタ10のプラグ本体11が、インジェクタ本体13との結合が解かれた状態で描かれており、ここでは、ゆるみ止めクランプとして形作られたゆるみ止め本体12が、アンロック位置に対応する第1の掛止位置においてプラグ本体11で受け止められている。加えて、プラグ本体11は、その互いに向き合う両方の当接面21にそれぞれ1つの上ラッチ溝14を有する。ゆるみ止め本体12のうち、
図1に描かれているのは、ほぼU字形をなす左側クランプ脚15だけで、その中央ウェブが、その下側から垂直に延びて互いに平行に配置された2本のクランプ脚を付けている。ゆるみ止め本体12は、左側クランプ脚15にも、図示されていない右側クランプ脚にも、それぞれ1つの内側に配置されたラッチ16を有し、これが、差込コネクタ10のアンロック位置においてプラグ本体11のそれぞれの上ラッチ溝14の中に掛止されており、ここで、ゆるみ止め本体12の両クランプ脚15の内側がプラグ本体11の互いに向き合う当接面21に当たっている。
【0014】
プラグ本体11をインジェクタ本体13の開口部ないしは受け穴23の中に係着するために、好ましい本実施例では、プラグ本体11が、互いに向き合ってプラグ本体11の縦中心軸に関して対称形に配置された2つのラッチエレメント17を具備する。2つのラッチエレメント17の各々について、プラグ本体11の左側部分にも、明快にするために図示されていない右側部分にも、それぞれ1つの、アーム18として形作られた阻止エレメントが作り付けられている。各アーム18は、プラグ本体11の下部域に作り付けられたそれぞれのショルダ27から上向きにプラグ本体11の上部域の方向に延び、その下アームセクション28に、外へ突き出るラッチエレメント17を有する。ここで、各アーム18は、それぞれこれに作り付けられたラッチエレメント17と共に、スリット状のギャップ31によりプラグ本体11の外被面21から分離されている。ラッチエレメント17の上方を、縦長に形作られた上アームセクション38が延び、これに屈曲した端セクション29が続く。端セクション29は、隣接するゆるみ止め本体12のクランプ脚15に面し、このクランプ脚15に対してほぼ直交の方向を向くように上アームセクション38から屈曲している。縦軸方向に延びるプラグ本体に対して横向きに走る屈曲した端セクション29の長さは、アーム18が弛緩した静止位置にある時に端面36がこれに割り当てられたクランプ脚15の外側に平らに当たるように決められている。更に、アーム18の各端セクション29にそれぞれ1つの上止まり面20が形作られており、これが、直に境を接する端面36に対して直角に走り、各アーム18が静止位置にある時、それに対応するゆるみ止め本体12のラッチ19のためのストッパとして働く。このラッチ19は、ゆるみ止め本体12のそれぞれのクランプ脚15の外側に突き出る形で、それも、アーム18が静止位置にある時、これに割り当てられたゆるみ止め本体12のラッチ19がその下側でアーム18の上向きの止まり面20と噛み合い係合するように配置されている。これで、ゆるみ止め本体12がそのアンロック位置から下降してプラグ本体11の第2のラッチ溝25に入り込む運動は阻止され、従って、プラグ本体11の両アーム18の各々が、その上アームセクション38と屈曲した端セクション29を使って、それぞれのラッチエレメント17の上方でゆるみ止め本体12を爪立てるように阻止する。これで、差込コネクタ10がその縦中心軸に関して左右対称形であることから、好ましい本実施例では、ゆるみ止め本体12が、各アーム18のそれぞれ割り当てられた止まり面20をもって対応する2つのラッチ19を具備する。プラグ本体11の下セクションには、図示されていないシールリングを受け止めるのに役立つ半径方向一周の受け溝22が設けられており、これにより、差込コネクタ10が結合した状態にある時、プラグ本体11とインジェクタ本体13の間の密封結合が確保される。
【0015】
図2は、発明通りの差込コネクタ10を、
図1と同様、図示された切り取り部分の左側部分図で、それも、結合プロセスの間の中間位置において示し、ここで、プラグ本体11はインジェクタ本体13の開口部ないしは受け穴23にもぐり込み、それも、プラグ本体11の外へ突き出るラッチエレメント17が、ほぼ横方向に働く圧力の作用下で、開口部ないしは受け穴23の合流領域において輪郭として形作られた半径方向一周の突起30と接触させられるところまでもぐり込む。外側にそれぞれのラッチエレメント17をパッド状に作り付けた下アームセクション28と、これと境を接する当接面21から作られたプラグ本体11の外被セクションの間にスリット状ギャップ31が形作られているので、互いに向き合う両ラッチエレメント17は各々、インジェクタ本体13の開口部23にある突起30と接触すると、それによって横方向に働く圧力と両アーム18の弾性力の作用下で、それぞれの下アームセクション27、28が、
図2に示された運動方向40の通り内向きにそれぞれのギャップ31に圧し込まれる。ゆるみ止め本体12のそれぞれのクランプ脚15の垂直長さ、すなわち、内側ラッチ16とそれぞれのクランプ脚15の自由端26の間の長さは、自由端26がラッチエレメント17にまで届くように決められているが、他方、クランプ脚15の横断方向の太さはギャップ31の半径方向の幅にほぼ相当するので、ラッチエレメント17が開口部23にある一周突起30と接触してギャップ31に圧し込められ、それにより、ラッチエレメント17と境を接する上アームセクション38が、そのラッチエレメント17と反対の側で、クランプ脚の自由端26に形作られた斜面に押し当てられる時、クランプ脚15の自由端26は、ラッチエレメント17と境を接する各アーム18の上アームセクション38のための受け台ないしは受け面を形成する。ここで、クランプ脚15の自由端26が受け台として機能し、各アーム18のジョイントポイントを限定することにより、各アームは、輪郭を与えられた突起30がラッチエレメント17に作用することによりレバーのように反り返る。ラッチエレメント17を担持する下アームセクション28の外振れと同時に、それと反対の向きで、ラッチエレメント17の上方ないしはジョイントポイントの上方を延びるアーム部域38の外振れ運動50が行われ、その結果、アーム18のこのアーム部域38は、端側の止まり面20がその静止位置(
図1に示された)から外へ張り出し、隣接する側のプラグ本体11の当接面21から、これに当たっているゆるみ止め本体12のクランプ脚15と共に外へ回旋することになる。各アーム18がこの外振れ位置に入ると、割り当てられたクランプ脚15から外側へ突き出るラッチ19は自由になる。プラグ本体11のアーム18がその静止位置から弾性力で外振れすることにより、アーム18の止まり面20で止められたゆるみ止め本体12のラッチ19の噛み合い係合は解除され、その結果、プラグ本体11がインジェクタ本体13に関してこの位置にある時、ゆるみ止め本体12を、第1のラッチ溝14により限定されたそのアンロック位置から解放し、第2のラッチ溝25により限定されたロック位置にシフトさせることが可能になる。これは、ゆるみ止め本体12の中央ウェブ24(
図3を参照)に下向き、すなわちロック方向の圧力が加えられることで実行される。そこで、各アーム18は、初期位置において最適な阻止機能を確保するために、ジョイントポイントの上方を延びる上アームセクション38が、屈曲した端セクション29、止まり面20及び端面36と共に剛直に形作られるように、他方、下アームセクション27、28がラッチエレメント17と共に弾性反撥力ある形に作られるように設計されている。プラグ本体11は、好ましくはプラスチック品として射出成形法で製作されるので、後者のアームセクションが残りのアームセクションより明らかに薄く仕上げられることから、当該アームセクションは目標通り弾性反撥力ある形に作られることになる。
【0016】
図3は、発明通りの差込コネクタ10を、
図2と同様、図示された切り取り部分の同じく左側部分図で、それも、差込コネクタ10が決まり通り結合した状態において示し、ここで、プラグ本体11は、
図2に示されたその中間位置からロック方向に更に下降してインジェクタ本体13内部のその決まり通りの終端位置ないしは掛止位置までシフトしている。その終端位置は、インジェクタ本体13の開口部23の中に半径方向一周の窪みないしはすり鉢形が作られるように限定されている。すり鉢形32が、開口部23の中を一周する突起30の直ぐ下に配置されていることにより、各アーム18のラッチエレメント17は、プラグ本体11が下向きに開口部23に圧し込まれると、ラッチ輪郭32と比べて直径の小さい突起30の圧力ゾーンから、その直ぐ後に位置するすり鉢形32のゾーンに入り込み、その結果、先にそれぞれのギャップ31に圧し込まれた、弾性反撥力で外振れするラッチエレメント17は、戻り運動ですり鉢形32の窪みに嵌まり込むことになる。ラッチエレメント17のその半径方向初期位置への戻り運動とほぼ同時に、先に狭められたギャップ31は、その元の半径方向幅61で再び解放され、その結果、先に受け台として対応する各アーム18のアームセクション38に当たっていた割り当てられたクランプ脚15の自由端26は、先に阻止位置から外振れしたアーム18の上アームセクション38がその(弛緩した)静止位置に戻れるようになる前に、解放されたギャップ31にもぐり込むことができることになる。
【0017】
結合プロセス時にゆるみ止め本体12の中央ウェブ24に垂直に下向きないしは結合方向に圧力が加えられることにより、クランプ脚15は各々、対応するプラグ本体11の当接面21に沿って下向きに摺動し、ここで、対応するゆるみ止め本体12のラッチ16は、その掛止位置から出て、それぞれ割り当てられたプラグ本体の第1のラッチ溝14に滑り込み、先に静止位置から外振れしたアーム18から解放されたクランプ脚15は、その自由端26が割り当てられたギャップ31にもぐり込み、それも、ラッチ16が当接面21の第2のラッチ溝25に到達し、そこに嵌まり込むところまでもぐり込む。すでに、クランプ脚15がギャップ31にもぐり込むこの動作の間に、アーム18の上アームセクション38は回旋し、境を接する当接面21の方を指す運動方向60で弛緩した静止位置まで戻る。なぜなら、先に突起30からラッチエレメントに伝達された作用力が、従ってまた、クランプ脚15の先行位置により限定された受け台のレバー作用力が、対応するアームセクションのラッチエレメント17の反対側では無くなっているからである。ラッチ16が、台形の横断面に形作られた輪郭を持ち、第2のラッチ溝25がそれと補い合う形の相手輪郭を持つことから、ゆるみ止め本体12は、ロック位置を限定するこの掛止位置で噛み合う形で掛止される。これと同様、パッドとして形作られたラッチエレメント17も、横断面が台形の輪郭を持ち、これが、すり鉢形32の同じく横断面が台形の相手輪郭と補い合う形に作られているので、差込コネクタ10が決まり通りの結合状態にある時、プラグ本体11はインジェクタ本体13において噛み合う形で掛止されることになる。
【0018】
図3に示された差込コネクタ10のロック状態を再び解くために、ゆるみ止め本体12にテンションがアンロック方向に加えられ、これにより、割り当てられた第2のラッチ溝25で掛止されたそれぞれのラッチ16は外され、ゆるみ止め本体12のクランプ脚は、互いに向き合う当接面21に沿って摺動し、上に向かってランプ状に細まっていくラッチ19の上側を越えて各アーム18の自由端面36がある第1の掛止位置まで滑っていく。ここで、アーム18の上アームセクション38は、上に向かってランプ状に細まっていくラッチ上側により僅かな横振れをこうむり、好ましい本実施例において同じ横平面上で向き合うラッチ16がラッチ溝14に食い込むと、該アームの戻り運動の結果、その端面36がラッチ19の下側に当たり、再び止まり位置に入る。こうしてゆるみ止め本体12がアンロック位置に入ると、ここで、ゆるみ止め本体のクランプ脚15はそれぞれのギャップ31から引き戻され、それで各ギャップ31が解放されるので、引き続きゆるみ止め本体12にテンションを加えることにより、各ラッチエレメント17はインジェクタ本体13のラッチ輪郭32から外され、その結果、ゆるみ止め本体12は、プラグ本体11と共にインジェクタ本体13からアンロック方向に引き出されることになる。ここで、ゆるみ止め本体12のそれぞれ割り当てられたラッチ16が食い込んでいるそれぞれの第1のラッチ溝14は、――下エッジも上エッジも斜面として形作られたそれぞれの第2のラッチ溝25と異なり――ラッチ溝14の内側に対して直角に走る上エッジを持つので、ゆるみ止め本体12の上向き運動の間にそれぞれのラッチ16が第1の掛止位置から不意に外れ、それで、ゆるみ止め本体12がプラグ本体11から外れる事態はほとんど回避される。これで、
図1に示された初期位置ないしは静止位置に再び到達したことになる。
【0019】
発明通りの差込コネクタ10が、対称軸としてのその縦中心軸に関して左右対称に形作られており、好ましい本実施例では、縦中心軸に関して互いに向き合う2つのアーム18がプラグ本体に作り付けられていることから、差込コネクタの左側部分に関して有効な実施形態は、――明快にするために図示されていない――右側部分に同様に当てはまる。従って、両アーム18は各々、それぞれ1つのラッチエレメント17を具備し、ゆるみ止め本体11の両クランプ脚15は各々、脚外側に作り付けられたラッチ19も脚内側に作り付けられたラッチ16も有し、その両方が同じ横平面内に配置されており、詳記するならば、プラグ本体11の互いに向き合う当接面21の各々に第1のラッチ溝14と第2のラッチ溝25が設けられている。インジェクタ本体13は、開口部23の合流領域に、プラグ本体11の導入を容易にするために一周の斜面を設けている。この斜面の後に続いて、開口部23の中に一周の突起30と一周のラッチ輪郭32が形作られており、ここで、ラッチ輪郭32は、台形の断面を持ち、一周の突起30と比べて大きい直径を持つ一周の窪みないしは溝の形をなしている。
【0020】
当接面21とクランプ脚15と下アームセクションとラッチ輪郭32の間のギャップは、ラッチ16が溝25と溝14から抜け出せる程度までクランプ脚15が拡げられるように寸法決めされている。つまり、クランプ脚15は可撓性でもあらねばならない。
【0021】
そこで総括すると、発明通りの差込コネクタ10にとって特徴的であるのは、プラグ本体11に少なくとも1つのアーム18が配置され、これが少なくとも1つのラッチエレメント17と結合していて、プラグ本体11がインジェクタ本体13の開口部23に差し込まれた時、少なくとも1つのラッチエレメント17が開口部23の中に形作られたラッチ輪郭32に到達するまでの間、プラグ本体11で摺動自在に受け止められたゆるみ止め本体12がアンロック位置においてプラグ本体11に関してロック方向に相対移動するのを阻止し(
図3)、ここで、少なくとも1つのアーム18が、ラッチエレメント17のラッチ輪郭32への食い込みに反応してゆるみ止め本体12をロック方向に動作可能にすることである。プラグ本体11がインジェクタ本体13にもぐり込む間に、ラッチエレメント17が、インジェクタ本体13の開口部23の中に形作られ、ラッチ輪郭31の直ぐ前に設けられた突起30と接触すると(
図2)、アーム18は、その接触でラッチエレメント17に作用する力により弾性変形をこうむり、そこで、ラッチエレメント17を担持するアームセクションが、境を接するギャップ31をふさぎ、それと境を接するアームセクションが、ゆるみ止め本体12のクランプ脚15の自由端にジョイント状に当たり、他方、アーム18の端セクション20が、半径方向外向きの外振れ運動でラッチ19から遠ざかっていく。
【0022】
これにより、プラグ本体11が付属のインジェクタ本体ないしは相手プラグ13から分離された状態において、各アーム18の阻止機能は、第1のアーム位置、すなわち、各アーム18が弛緩していて、止まり位置にある一方のアームセクションがゆるみ止め本体12のクランプ脚15に作り付けられたラッチ19に当たっている位置(
図1)で実行され、そこで、プラグ本体11がインジェクタ本体13にもぐり込み、差し込まれると、各アーム18の阻止機能は、第2のアーム位置、すなわち、各アーム18が弾性力で緊張していて、他方のアームセクションがゆるみ止め本体12をロック位置に阻止し、対応するギャップ31がふさがれるようにする位置(
図2)で実行される。そのロック位置において、ギャップ31は、割り当てられたゆるみ止め本体12のクランプ脚15を受け止めるのに役立つ。阻止機能の実行に続いて各アーム18の弛緩運動(
図3)が、ラッチ輪郭32により決められたロック位置に移行する時に行われると、第2のアーム位置を通して伝えられた阻止機能は中止され、ここで、ゆるみ止め本体12のそれぞれのクランプ脚15がその時解放されるギャップ31にもぐり込むと同時に、ラッチエレメント17を備えたアームセクションは拡げられ、その結果、ゆるみ止め本体12は、インジェクタ本体13におけるプラグ本体11の正しい取り付け位置においてロックされることになる。
【符号の説明】
【0023】
10 差込コネクタ
11 プラグ本体
12 ゆるみ止め本体
13 インジェクタ本体
15 クランプ脚
16 ラッチ
17 ラッチエレメント
18 阻止エレメントないしはアーム
19 ラッチ
23 開口部ないしは受け穴
24 中央ウェブ
26 クランプ脚自由端
28 下アームセクション
31 ギャップ
38 上アームセクション