(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の針安全装置のように、単に前記〈A〉のみでは、針部材を上部方向に引き上げて(引き伸ばし)ても、再度脚部が元の位置(下部方向)に戻る(縮む)ケースがあった。
これに伴い針部材の鋭利な末端が、固定部材(固定プレート)よりも下部に露出してしまうケースがあった。
このため当該針部材の患者の病原体ウイルス等を含む可能性のある血液等で汚染された尖った先端が、下部から偶発的に飛び出して、医療従事者や作業者(医師、看護士等)の針刺し、ウイルス等の感染事故を起こすことが懸念される。
また当該尖った先端に、病原菌を含む患者の血液が付着している場合は、解放されている部分から汚染血液が飛散することもあり、衛生的でない。
【0006】
そこで、特許文献1に記載の針安全装置の前記〈B〉のように、脚部の所定の箇所に、一対の係止部を設けるようにした。
これにより、針部材を上部方向に引き上げ(引き伸ばし)た後、一対の係止部の係止部分を相互に係止できるので、脚部が元の位置(下部方向)に戻る(縮む)のを防ぐことができる。
これにより、針部材の鋭利な末端は、脚部内に収納した後は、脚部より露出しない。
【0007】
しかしながら、これらの部材では、〈1〉針部材を上部方向に引き上げる(引き伸ばす)操作、さらに〈2〉一対の係止部の係止部分を相互に係止する操作、の二段階の操作が必要であった。
これにより針部材の鋭利な末端が、脚部の外部に露出するリスクは、解消した。
その反面、使用者(看護士)に、一対の係止部の係止部分を相互に係止する操作が求められるので、使用者(看護士)の負担になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、特許文献1に代表される先行技術における医療用安全装置において、使用後の針の鋭利な末端(先端)が安全装置内に確実に封じこめ(contain or confine)られ、または装置内に固定され、血液等で汚染された尖った先端が、装置下部から偶発的に飛び出すことがない、また、付着血液の飛散することのない、医療用針安全装置を提供することである。
また本発明の目的は、特に、ワンアクション(ステップ)で、脚部を上部方向に引き上げて(引き伸ばして)、針部材の鋭利な末端を保護(シールド)することができる脚部と固定部材(プレート)の形態を改良した医療用針安全装置の改良に関する。
【0009】
本発明者らは、特許文献1に代表される先行技術における医療用針において、使用後の針の先端が安全装置内に確実に封じこめ(contain or confine)られ、または装置内に固定され、血液等で汚染された尖った先端が、装置下部から偶発的に飛び出すことがなん、また、付着血液の飛散することのない、医療用針安全装置を提供することである。
本発明者は、このような課題を達成するためになされたもので、本発明によれば、以下の新規な医療用針は安全装置が提供される。
【0010】
[1]本発明は、医療用針安全装置であって、
針部材(2)と、シールド部材(3)と、固定部材(5)とを有し、
前記針部材(2)は、末端(23)を有する針(21)を有し、当該針(21)は、基端PE側を針ハブ(22)に固定し、
前記シールド部材(3)は、シールドハブ(35)と、脚部(31・32)とを有し、
前記脚部(31・32)は、上部(U)側の第1脚部(31)と下部(D)側の第2脚部(32)とを有し、当該第1脚部(31)と第2脚部(32)は、中間ヒンジ(39)を介して接続し、
当該第1脚部(31)と第2脚部(32)は、第1側部(S1)側と第2側部(S2)側に一対の脚部(31S1、31S2・32S1、32S2)として配置し、
当該一対の脚部(31S1、31S2・32S1、32S2)は、一対の第2脚部(32S1、32S2)の下部(D)側に固定部材接続部(40J)を接続し、
前記固定部材接続部(40J)は、第1回転促進部材(40)として、基端(PE)側と末端(DE)側の一対の回転軸(40PE、40DE)を有し、
当該一対の回転軸(40PE、40DE)は、長手方向に細長い略円柱状の形態を有し、下部(D)側に、基端(PE)側と末端(DE)側の一対の支柱(43PE、43DE)を形成し、
前記固定部材接続部(40J)は、第2回転促進部材(41)として、基端(PE)側と末端(DE)側の一対の回転軸受(41PE、41DE)を有し、
当該一対の回転軸受(41PE、41DE)は、略円筒状の形態を有し、
基端(PE)側の回転軸受(41PE)は、末端(DE側)を略半円筒状に切除し、末端(DE)側の回転軸受(41DE)は、基端(PE)側を略半円筒状に切除し、
前記固定部材接続部(40J)は、前記第1回転ロック部材(42)として、基端(PE)側と末端(DE)側の一対の回転軸突起(42PE、42DE)を有し、
当該一対の回転軸突起(42PE、42DE)は、略楔状の形態を有し、前記一対の回転軸(40PE、40DE)の第1側部(S1)側から第2側部(S2)側にわたって複数突設し、
前記固定部材接続部(40J)は、前記第2回転ロック部材(45)として、回転軸ストッパー(45)を有し、
当該回転軸ストッパー(45)は、略矩形状の形態を有し、前記基端(PE)側と末端(DE)側の一対の支柱(43PE、43DE)の間の下部(D)側に形成し、
前記固定部材接続部(40J)は、前記第3回転ロック部材(41T)として、基端(PE)側と末端(DE)側の一対の回転軸受突起(41TPE、41TDE)を有し、
当該一対の回転軸受突起(41TPE、41TDE)は、略楔状の形態を有し、前記一対の回転軸受(41PE、41DE)の略半円筒状に切除した箇所から、略円筒状の空間側に向けて突設し、
前記固定部材(5)は、固定プレート(50)とシールド部材接続部(50J)を有し、
前記固定プレート(50)は、略中央部に針の通路(55)を形成し、
前記固定プレート(50)は、上部(U)に前記シールド部材接続部(50J)を配置し、
当該シールド部材接続部(50J)は、前記一対の回転軸(40PE、40DE)及び前記一対の回転軸受(41PE、41DE)を装着する、基端(PE)側と末端(DE)側の一対の固定プレート軸受(51PE、51DE)を有し、
前記一対の固定プレート軸受(51PE、51DE)は、前記固定プレート(50)の上部(U)に側部方向水平軸線(HLS)方向に沿って配置し、
前記固定プレート(50)は、略中央部に形成した前記針(21)の通路(55)内に遮蔽部材(53)を配置し、
当該遮蔽部材(53)は、遮蔽板(53)であり、当該遮蔽板(53)は薄肉部(53T)を介して、前記固定プレート(5)の針の通路(55)形成箇所の縁部に接続し、
前記一対の脚部(31S1、31S2、32S1、32S2)は、
第1側部側脚部(31S1、32S1)の下部に、前記一対の回転軸(40PE、40DE)を形成し、第2側部側脚部(31S2、32S2)の下部に、前記一対の回転軸受(41PE、41DE)を形成するか、または
第1側部側脚部(31S1、32S1)の下部に、前記一対の回転軸受(41PE、41DE)を形成し、第2側部側脚部(31S2、32S2)の下部(D)に、前記一対の回転軸(40PE、40DE)を形成し、
前記固定部材接続部(40J)の一対の回転軸(40PE、40DE)を前記一対の回転軸受(41PE、41DE)に装着し、当該一対の回転軸受(41PE、41DE)を、シールド部材接続部(50J)の一対の固定プレート軸受(51PE、51DE)に装着し、
前記一対の脚部(31S1、31S2・32S1、32S2)は、前記一対の回転軸(40PE、40DE)の駆動とともに連動して、第一の折り畳み位置から第二の伸張位置まで伸張でき、
前記一対の脚部(31S1、31S2・32S1、32S2)が第一の折り畳み位置にあるときは、針の末端(23)は、前記固定プレート(50)よりも下部(D)に位置し、
前記遮蔽板(53)は、針(21)の挿入ないし通過を許容できる状態を維持し、
前記一対の脚部(31S1、31S2・32S1、32S2)が第二の伸長位置までに伸長したときは、
前記一対の回転軸受突起(41TPE、41TDE)が、第2側部(S2)側から第1側部(S1)側の前記一対の回転軸突起(42PE、42DE)を乗り越えて係合し、かつ前記回転軸ストッパー(45)は、前記針の通路(55)内に入り、
前記一対の回転軸(40PE、40DE)と前記一対の回転軸受(41PE、41DE)の駆動は、前記一対の回転軸受突起(41TPE、41TDE)と前記一対の回転軸突起(42PE、42DE)及び前記回転軸ストッパー(45)によりロックされ、
前記遮蔽板(53)は、上部(U)方向に湾曲して、針(21)の末端(23)が下部(D)方向へ移動するのを阻止し、
前記針(21)及び当該針(21)の末端(23)は、前記一対の脚部(31S1、31S2・32S1、32S2)の内側に収納され、
前記針(21)の末端(23)は、前記固定プレート(50)よりも下部(D)側に変位することがなく、
前記一対の脚部(31S1、31S2・32S1、32S2)は、前記第二の状態を維持することができる、
医療用針安全装置(1)を提供する。
【0011】
[2]本発明は、前記針(21)は、基端
(PE
)側から末端
(DE
)側へ向かう途中から、水平軸線
(HL
)に対して、垂直軸線
(VL
)側に所定の角度で折れ曲がり、
前記針(21)の基端
(PE
)側の針ハブ(22)を、前記シールドハブ(35)に固定した[1]に記載の医療用針安全装置(1)を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以下の効果を有する。
本発明の医療用針安全装置によれば、
〈1〉「移行開始状態」(
図3参照)において、針部材21を、垂直軸線VLの上部U側に持ち上げると、これに連動して、接続部40Jの第1回転促進部材40(回転軸40)と第2回転促進部材41(回転軸受41)との間で回転する。これに連動して第1・第2脚部(31・32)は、抵抗なく回転しながら垂直軸線VLの上部U側に伸長を開始することができる。(
図15参照)
〈2〉「移行終了状態」において、第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLの上部U側に伸びきろうとする。
図16に例示するように、第2脚部32が垂直方向に立ち上がるにつれて、第3回転ロック部材41T(回転軸受突起41T)と第1回転ロック部材42(回転軸突起42)が接近して、噛み合い、最後に第3回転ロック部材41T(回転軸受突起41T)が第1回転ロック部材42(回転軸突起42)を第1側部S1方向に乗り越えようと移動する。
【0016】
〈3〉(第二の状態)(
図17参照)において、第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLの上部U側に完全に伸びきる。
図17に示すように、第3回転ロック部材41T(回転軸受突起41T)は、第1回転ロック部材42(回転軸突起42)を第1側部S1方向に完全に乗り越えて係止し、逆回転できないように固定される。
〈4〉第2回転ロック部材45(回転軸ストッパー45)は、固定プレート50の針の通路55内に入る。このため第1回転促進部材40(回転軸40)は、回転できなくなり固定される。
第1回転促進部材40(回転軸40)の固定により、針21の末端23は、下部D方向へ変位できなくなる。これにより針21の末端は、固定プレート50の下部より露出するのを防止することができる。さらにこれにより、第1・第2脚部(31・32)は、第二の状態(完全に垂直に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる。
〈5〉以上のようにして、すなわちワンアクション(ステップ)で、脚部を上部方向に引き上げて(引き伸ばして)、針部材の鋭利な末端を保護(シールド)することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明を詳細に説明する。
以下、本発明を明確に説明するため、次の定義をおく。
(定義1)本発明の医療用安全装置において 「第一の状態」(第一の折り畳み位置)とは、
図1に示すように、シールド部材3の第1・第2脚部(31・32)が完全に折り畳まれた位置にある状態を意味する。換言すれば、第1・第2脚部(31・32)が完全に折り畳まれた状態であり、一方、針21は下方に延伸し、輸液等の操作に供されうる又は使用時の状態であり、さらに言えば、末端23が保護(シールド)されていない状態を意味する。
【0019】
(定義2)同様に、
図7に示すように、「第二の状態」(第二の伸長位置)とは、シールド部材3の第1・第2脚部(31・32)が完全に伸長された位置にある状態を意味する。換言すれば、針の使用(穿刺)が終了し第1・第2脚部(31・32)が完全に伸長された状態で、針21の末端23が本医療用安全装置内に閉じこめられ、保護(シールド)されている状態を意味する。
(定義3)「移行状態」とは、「第一の状態」から「第二の状態」へ移行する途中の状態を意味する。
(定義4)「移行開始状態」とは、「第一の状態」から「第二の状態」へ移行を開始する初期の状態を意味する。
(定義5)「移行終了状態」とは、「第一の状態」から「第二の状態」へ移行を終了する間際の状態を意味する。
(定義6)本発明で、「基端PE(側または方向)」とは、
図1に示すように、針ハブ22のチューブTを接続する側の端部を意味する。
(定義7)「末端DE(側または方向)」とは、
図1に示すように、「基端PE(側または方向)」と反対側の端部を意味する。さらにいえば、針ハブ22のチューブTを接続しない側の端部、針21を装着した側の端部を意味する。
【0020】
(定義8)「水平軸線HL(方向)」とは、
図1に示すように、管状の針ハブ22の長手方向に延びる方向(図の破線参照)を意味する。なお説明で必要な場合は、長手L方向の水平軸線を「HLL」、側部S方向の水平軸線を「HLS」とそれぞれ区別して記載する。
(定義9)「垂直軸線VL(方向)」とは、
図2に示すように、針21の曲った末端23側が長手方向に垂下して延びる方向(図の破線参照)を意味する。
(定義10)「第1側部S1(側または方向)」とは、
図1に示すように、例えば翼34の右側端部の方向(図の破線矢印参照)を意味する。
(定義11)「第2側部S2(側または方向)」とは、
図1に示すように、例えば翼34の左側端部の方向(図の破線矢印参照)を意味する。
(定義12)「上部U(側または方向)」とは、
図1に示すように、例えば針21の曲った末端23側と反対方向(図の破線矢印参照)を意味する。
(定義13)「下部D(側または方向)」とは、
図1に示すように、例えば針21の曲った末端23側方向(図の破線矢印参照)を意味する。
(定義14)「長手方向」とは、「針安全装置」全体の長手方向[水平軸線HL(方向)]を意味する(各部材、例えば「翼部」の長手方向、すなわち長く形成した方向ではない)。
(各構成部品の名称の位置・配置等の方向性を示す符号の記載について)
本発明の図面及び発明の説明の中で、例えば
図3に例示するように、第1側部S1側の第2脚部32を「32S1」、第2側部S2側の第1脚部31を「31S1」と記載した。
なおこれらの脚部(31・32)並びにこれら以外の各構成部品の名称で、「第1側部S1側」等の位置・配置等の方向性を示す符号は、発明の理解ができ、必要と認められる範囲内で、図面及び発明の説明の中で一部のみについて記載した。
【0021】
[医療用針安全装置1]
本発明の医療用針安全装置1(以下、単に「装置1」という場合がある。)について、以下、図面を参照しながら説明する。
本発明の医療用針安全装置1は、
図1に示すように、針部材2と、シールド部材3と、及び固定部材5とを有する。
針部材2、シールド部材3、及び固定部材5の形態と機能は、以下のとおりである。
【0022】
[針部材2]
針部材2は、針21と針ハブ22を有する。
図1に例示するように、針21は、基端PE側から末端DE側へ向かう途中から、水平軸線HLに対して、垂直軸線VL側に所定の角度(例えば、略90度)で折れ曲がっている。
針21は、下部Dに末端23を有する。末端23は下部D側に、鋭利な尖端を有する。
末端23は、垂直軸線VLに対して、若干の角度で、基端PE側へ向けて、わずかな所定の角度で折れ曲がっている。
針21の基端PE側は、管状の針ハブ22に装着(固定)している。
針21の末端23は、患者に植設した薬液注入ポート(図示せず)に穿刺する。針ハブ22の基端PE側に接続したチューブTより、末端23を経由して患者に薬液を注入する。チューブTは、通常、薬液バッグ等に接続され、当該バッグより薬液が供給される。
針21は、患者に薬液を注入し終えた後は、薬液注入ポート(図示せず)より引き抜かれる。
【0023】
[シールド部材3の概要]
シールド部材3とは、患者に薬液を注入し終えた後に、使用後の針21を収納する部材である。さらに針21の末端23が、外に露出しないように保護(シールド)する部材である。シールド部材3は、シールドハブ35、脚部(31・32)、及び固定部材接続部40J(
図11、
図12参照)を有する。
固定部材接続部40Jは、発明の説明の中で、記載を簡略化するために、単に「接続部40J」と記載する場合がある。
シールドハブ35は、針ハブ22を固定する。
脚部(31・32)は、少なくとも二つ以上の脚部(31・32)より構成される。すなわち第1脚部31と第2脚部32とを、折り畳んだり、伸長することにより、第一の折り畳み位置から第二の伸長位置まで伸長できるように形成している。
脚部(31・32)は、患者に薬液を注入し終えた後、この部分に針21の末端23を収納し、封じ込め、保護(シールド)するものである。
【0024】
[固定部材5の概要]
固定部材5は、使用時(針穿刺時)患者の皮膚に固定する部材でもあり、そのため固定プレート50を有する。
固定プレート50は、シールド部材接続部50J(
図13参照)、針の遮蔽部材53及び針の通路55を有する。シールド部材接続部50Jは、発明の説明の中で、記載を簡略化するために、単に「接続部50J」と記載する場合がある。接続部50Jは、シールド部材3の脚部(31・32)を接続(固定)するものである。
【0025】
[シールド部材3の各部材の説明]
シールド部材3は、シールドハブ35と、第1・第2脚部(31・32)及び
接続部40J(
図11、
図12参照)を有する。
シールドハブ35は、上部U側に形成し、接続部40Jは、下部D側に形成している。
第1・第2脚部(31・32)は、上部U側と下部D側との間に形成している。
シールドハブ35と接続部40Jは、
図12において例示しているように、第1・第2脚部(31・32)を介して接続している。
【0026】
[シールドハブ35]
シールドハブ35は、針ハブ22を固定するためのハブである。シールドハブ35は、針ハブ22を受け入れる部材として機能する。
シールドハブ35は、
図6に例示するように、略管状(略角筒状または略円筒状ともいう場合がある)に形成している。
シールドハブ35は、針ハブ22を受け入れ、かつ、その状態で固定できる形状であれば、どのような形状でも良い。例えば略角筒状等が挙げられる。
シールドハブ35は、下部D側に、基端側ヒンジ37(
図7参照)を介して第1・第2脚部(31・32)を接続している。
シールドハブ35は、第1側部S1と第2側部S2に、それぞれ翼34S1、34S2を接続している。翼34S1、34S2は、(シールドハブ35が受け入れ固定化された)針21を 上部U方向にひきあげるときの取手として機能する。
翼34S1、34S2とシールドハブ35は、
図7に例示するようにヒンジ34Hを介して接続している。これにより、翼34、34の第1側部S1と第2側部S2を指でつかんで、翼34S1、34S2を上部U方向に折り曲げて、第1・第2脚部(31・32)を第一の折り畳み位置から第二の伸長位置まで伸長するときに針21を上部U方向に引き上げることができる。
【0027】
[第1・第2脚部(31・32)]
第1・第2脚部(31・32)は、第一の折り畳み位置(第一の状態)から第二の伸長位置(第二の状態)まで伸長できるように形成している。
第1・第2脚部(31・32)は、第一の折り畳み位置から第二の伸長位置に伸長するときに、針21が連動して動く。第1・第2脚部(31・32)は、接続部40J・接続部50Jと針21のいわゆる「引き綱」のような機能を有する。
第1・第2脚部(31・32)が、第二の伸長位置まで伸長し終えたときに、針21と末端23は、第1・第2脚部(31・32)内に引き込まれる(収納される。)
【0028】
第1・第2脚部(31・32)は、
図1〜
図10に例示するように、二つの部材を折り畳んだ形態から伸長できる形態に形成している。
第1脚部31は、上部U側に配置している。第2脚部32は、下部D側に配置している。
第1・第2脚部(31・32)は、それぞれ第1側部S1側と第2側部S2側とで、対で形成している。第1脚部31、31は、上部側ヒンジ37を介して、シールドハブ35の下部D側と接続している。
第2脚部32、32は、下部D側に固定部材接続部40Jを介して、シールド部材接続部50Jと接続している。
【0029】
第1脚部31と第2脚部32は、中間ヒンジ39を介して接続している。
以上の本発明の説明で、「脚部」は、「第1・第2脚部(31・32)」と記載し、二つの部材を使用して、これらを折り畳んだ形態から伸張できる形態について例示したが、二つ以上の部材を折り畳んだ形態から伸張できる形態にしてもよい。
要するに、「第一の状態」(脚部が完全に折り畳まれた位置にある状態、換言すれば、脚部が完全に折り畳まれた状態で、針21の末端23が保護(シールド)されていない状態、例えば、
図1参照)から「第二の状態」(脚部が完全に伸長された位置にある状態、換言すれば、脚部が完全に伸張された状態で、針21の末端23が保護(シールド)されている状態、例えば、
図7参照)にできる形態(形状、構造、材料)に形成できればよい。
【0030】
[固定部材接続部40J]
固定部材接続部40Jは、固定部材接続部50Jと接続する部材である。
接続部40Jは、回転促進部材と回転ロック部材を有する。
接続部40Jは、回転促進部材として、第1回転促進部材40と第2回転促進部材41を有する。
第1回転促進部材40として、
図18〜
図20に例示するように、一対の回転軸40(基端PE側回転軸40PE、末端DE側回転軸40DE)を有する。
第2回転促進部材41として、
図21〜
図23に例示するように、一対の回転軸受41(基端PE側回転軸受41PEと末端DE側回転軸受41DE)を有する。
【0031】
回転軸40は一対の支柱43を形成している。
基端側回転軸40PEと末端側回転軸40DEのそれぞれの下部に、基端側支柱43PEと末端側支柱43DEを形成している。
接続部40Jは、回転ロック部材として、第1回転ロック部材42、第2回転ロック部材45、及び第3回転ロック部材41Tを有する。
第1回転ロック部材42として、回転軸突起42を有する。
第2回転ロック部材45として、回転軸ストッパー45を有する。
第3回転ロック部材41Tとして、回転軸受突起41Tを有する。(
図23参照)
第1回転ロック部材42として、回転軸突起42は、基端PE側回転軸40PEと末端DE側回転軸40DEのそれぞれに形成している。
第2回転ロック部材45として、回転軸ストッパー45は、基端側支柱43PEと末端側支柱43DEとの間の下部Dに形成している。
第3回転ロック部材41Tとして、回転軸受突起41Tは、基端PE側回転軸受41PEと末端DE側回転軸受41DEのそれぞれに形成している。回転軸受突起41Tは、基端PE側回転軸受突起41TPEと、末端DE側回転軸受突起41TDEとして、一対形成している。
【0032】
回転軸40は、
図18〜
図20に例示するように、いわゆる「長手方向に細長い略円柱状」に形成している。
回転軸受41は、
図21〜
図23に例示するように、いわゆる「略円筒状」(または略環状ともいう)に形成している。回転軸受41は、内部に「略円筒状」の空間(図面上の符号は略)を有する。
さらにいえば、基端PE側回転軸受41PEは、末端DE側を略半円筒状(または略半円環状ともいう)に切除している。
末端DE側回転軸受41DEは基端PE側を略半円筒状(または略半円環状ともいう)に切除している。
基端PE側回転軸受突起41TPEと末端DE側回転軸受突起41TDEは、それぞれ切除した箇所の一端部に、「略円筒状」の空間側に向けて、いわゆる「略楔状」に突設している。
突起42は、回転軸40の略中央部ないし基端PE(末端DE)側に、いわゆる「略楔状」に突設している。
支柱43は、
図19(C)に示すように、第1側部S1(第2側部S2)方向からみて、いわゆる「略矩形」状に形成している。
また支柱43は、
図19(D)に示すように、末端DE(基端PE)方向からみて、いわゆる「略矩形」状に形成している。
ストッパー45は、
図19(C)に示すように、第1側部S1(第2側部S2)方向からみて、いわゆる「略矩形」状に形成している。
またストッパー45は、
図19(D)に示すように、末端DE(基端PE)方向からみて、いわゆる「略矩形」状に形成している。
【0033】
[固定部材5の各部材の説明]
固定部材5は、前記したように使用時(針穿刺時)患者の皮膚に固定する部材でもあり、そのため平らな固定プレート50を有する。固定プレート50は、患者の皮膚に密着して固定しやすいように平らな接触面を有する。このため「平らな接触面」、「平らな接触面板」という場合がある。固定プレート50は、
図13の例示では板状(矩形)に形成しているが、円形、楕円形等でもよい。また固定プレート50は、例えば硬質プラスチック(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)等の材料より形成する。
【0034】
[固定プレート50]
固定プレート50は、
図13〜
図14に例示するように、上部にシールド部材接続部50Jを有する。
固定プレート50は、略中央部に針の遮蔽部材53と針の通路55を形成している。
針の遮蔽部材53として、遮蔽板53を形成している。遮蔽板53は、上部U方向から見て、いわゆる「略矩形状」に形成している。
遮蔽板53は、
図14(C)[
図14(B)のA−A断面(基端PE側から末端DE側断面方向)]に例示するように、いわゆる「略L字」状に形成している。
針の通路55は、上部U方向から見て、さらに
図14(C)[
図14(B)のA−A断面(基端PE側から末端DE側断面方向)]に例示するように、いわゆる「細長い溝または略矩形」状に形成している。
遮蔽部板53は、基端PE側に薄肉部53Tを形成し、薄肉部53Tを、固定プレート50に接続している。さらにいえば固定プレート50の針の通路55を形成した箇所(開口部の縁部)の一端部に接続している)(
図14参照)。
針の遮蔽部材53(固定プレート50の遮蔽板53)は、針21を上部U方向に引き上げる時は、上部U方向に変形(変位)し、針21は、抵抗なく引き上げられる。
他方、針21を上部U方向に引き上げた後は、下部U方向に変位しない。針21の末端23は、
図1に示すように、僅かの角度で、折れ曲がっているので、下部D方向に移動する場合、遮蔽板53に衝突し通路55を通過できなくなる。
【0035】
[シールド部材接続部50J]
接続部50Jは、シールド部材3の脚部(31・32)を固定するものである。
接続部50Jは、
図7に例示するように、脚部(31・32)の接続部40J
と接続する。
シールド部材接続部50Jは、固定プレート50の上部に形成した固定プレート軸受51(以下、単に「軸受51」と記載する場合がある)を有する。
軸受51は、固定プレート50から上部U方向に立設し、側部方向水平軸線HLSに沿って、一対(基端PE方向と末端DE方向)形成している。
軸受51は、
図14(A)に例示するように、上部U方向から見て、いわゆる「矩形状」に形成している。
軸受51は、
図14(B)に例示するように、基端PE方向(末端DE方向)から見て、いわゆる「略四角筒ないし四角形状」に形成している。
【0036】
[第一の状態への組み立て:シールド部材3と固定部材5との組み立て]
〈1〉
図1に示すように、針ハブ22を、シールド部材3のシールドハブ35(の略円筒形状の空隙部35S)に差し込んで固定する。
〈2〉脚部(31、32)の固定部材接続部40Jを、固定プレート50のシールド部材接続部50Jに接続する。このとき脚部(31、32)は、「第一の状態」(第一の折り畳み位置)にある。
すなわち接続部40Jの回転軸40を、回転軸受41に装着(軸着)する。
このとき回転軸突起42と回転軸受突起41Tが、噛み合わない(係合、係止、掛止ともいう)ように、装着(軸着)する。
図15に例示した回転軸突起42と回転軸受突起41Tの位置参照。
厳密には回転軸突起42は、
図15よりも回転軸受突起41Tから離れている。
〈3〉脚部(31、32)を「第一の状態」(第一の折り畳み位置)にして、針21を、針の通路55に差し込む。
針21の末端23は、固定プレート50よりも下部D側に露出する。露出した針21に、針カバー(図示せず)を装着する。針21は、通路50に挿入する。
【0037】
[針21の末端23の保護(シールド)]
〈4〉「移行開始状態」(
図3参照)
針部材21を、垂直軸線VLの上部U側に持ち上げると、これに連動して、接続部40Jの回転軸40と回転軸受41との間で回転する。これに連動して第1・第2脚部(31・32)は、抵抗なく回転しながら垂直軸線VLの上部U側に伸長を開始する。(
図15参照)
【0038】
〈5〉「移行終了状態」
第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLの上部U側に伸びきろうとする。
図16に例示するように、第2脚部(32)が垂直方向に立ち上がるにつれて、
回転軸受突起41Tと回転軸突起42が接近して、噛み合い、最後に回転軸受突起41Tが回転軸突起42を乗り越えようと移動する。
【0039】
〈5〉(第二の状態)(
図16、
図17)
第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLの上部U側に完全に伸びきる。
図17に示すように、回転軸受突起41Tは、回転軸突起42を完全に乗り越えて係止し、逆回転できないように固定される。
【0040】
いわゆる「略板状」の回転軸ストッパー45は、固定プレート50の針の通路55内に入る。このため回転軸40は、回転できなくなり固定される。
固定プレート50の遮蔽板53は、上部U方向(針21が固定プレート50よりも上部U方向に変位する方向)に湾曲するが、下部D方向(針21が固定プレート50よりも下部D方向に変位する方向)に湾曲しない。回転軸40の固定により、針21の末端23は、下部D方向へ変位できなくなる。このため針21の末端23が、固定プレート50よりも下部D方向に露出するのを防止することができる、
さらに、第1・第2脚部(31・32)は、第二の状態(完全に垂直に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる。
【0041】
さらに、患者への取付け、薬液の注入、患者からの取外しと廃棄までの使用例について説明する。
[患者への取り付け、薬液の注入]
〈1〉第一の状態において針先には針カバー(図示せず)が取り付けられ保護されている。使用に際しては、針カバー(図示せず)を、取り外して、針21の末端23を露出する。
〈2〉垂直軸線VLの下部D方向に垂下して、患者に埋め込まれたポート(図示せず)へ針21の末端23を穿刺する。固定部材5の固定プレート50(平らな接触面)を、テープ等で患者に固定する。
〈3〉抗癌等を含んだ薬液等を、針ハブ22の基端PE側に接続された薬液注入チューブ(図示せず)から薬液等を、針21の末端23、ポート(図示せず)を経由して、注入する。このように第一の状態で輸液等が行われる。
【0042】
[患者からの取外しと廃棄まで]
薬液の注入が終了したら、作業者(医師、看護士等)は、一方の手を患者の皮膚に当て、もう一方の手で翼部34を、つかんで上部Uに持ち上げる。
これに連動して、接続部40Jの回転軸40と回転軸受41との間で回転する。これに連動して第1・第2脚部(31・32)は、抵抗なく回転しながら垂直軸線VLの上部U側に伸長を開始する。
これにより、ポート(図示せず)から針21の末端23が引き出され、第1・第2脚部(31・32)を伸長させる。第1・第2脚部(31・32)が伸長中、針21の末端23は、上部方向に移動する。
第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLの上部U側に伸びきろうとする。
【0043】
第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLの上部U側に伸びきろうとする。
図16に例示するように、第2脚部(32)が垂直方向に立ち上がるにつれて、
回転軸受突起41Tと回転軸突起42が接近して、噛み合い、最後に回転軸受突起41Tが回転軸突起42を乗り越えようと移動する。
【0044】
第1・第2脚部(31・32)は、垂直軸線VLの上部U側に完全に伸びきる。
図17に示すように、回転軸受突起41Tは、突起42を完全に乗り越えて係止し、
逆回転できないように固定される。
【0045】
いわゆる「略板状」の回転軸ストッパー45は、固定プレート50の針の通路55内に入る。このため回転軸40は、回転できなくなり固定される。
固定プレート50の遮蔽板53は、上部U方向(針21が固定プレート50よりも上部U方向に変位する方向)に湾曲するが、下部D方向(針21が固定プレート50よりも下部D方向に変位する方向)に湾曲しない。
回転軸40の固定により、針21の末端23は、下部D方向へ変位できなくなる。このため針21の末端23が、固定プレート50よりも下部D方向に露出するのを防止することができる、
さらに、第1・第2脚部(31・32)は、第二の状態(完全に垂直に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる。
作業者(医師・看護士等)は、偶発的な針の露出による針刺事故を心配せずに針21を処分することができる。
【0046】
[本発明のその他の実施例]
本発明の医療用安全装置1は、以上の説明と
図1〜
図23に記載した形態に限定されない。次に例示する実施例のような形態も本発明の技術的範囲に含まれるものである。以下その他の実施例について各部位(部材)ごとに詳細に説明する。
すなわち、脚部(31・32)が第一の折り畳み位置から第二の伸長位置まで伸長を促す部位(部材)として、回転促進部材[第1回転促進部材(回転軸40)、第2回転促進部材(回転軸受41)]を
図18から
図20に例示したが、これらに限定されない。
また、第1・第2脚部(31・32)を固定し、第1・第2脚部(31・32)が、第二の状態(完全に伸びきった状態)から第一の状態へ戻るのを防止することができる部位(部材)、さらに針21の末端23が、固定プレート50よりも再び下部D方向に移動するのを防ぐことができる部位(部材)として、回転ロック部材[第1回転ロック部材(回転軸突起42)、第2回転ロック部材(回転軸ストッパー45)、第3回転ロック部材(回転軸受突起41T)]を
図18から
図23に例示したが、これらに限定されない。
【0047】
[回転促進部材]
固定部材接続部40J側の回転促進部材として、第1側部S1側に回転軸40を形成する代わりに、回転軸受41を形成し、第2側部S2側に回転軸受41を形成する代わりに、回転軸40を形成してもよい。
回転軸40の形態は、
図18から
図20に形成したものの他に、いわゆる「球状」のものでもよい。
これにあわせて、回転軸受41の形態もいわゆる「球状の溝」のものでもよい。
[回転ロック部材]
固定部材接続部40J側の回転軸突起42を形成する代わりに、溝を形成し、
回転軸受突起41Tを形成する代わりに、溝を形成してもよい。
また回転軸ストッパー45を形成する代わりに、針の遮蔽部材を形成してもよい。
これらと同様の役割を果たすことができるものであれば何でもよい。
図18から
図23に例示した形態に限定されない。
また針の遮蔽部材53(針21の末端23が、固定プレート50よりも再び下部D方向に移動するのを防ぐことができる部材)として、遮蔽板53を例示したが、これらと同様の役割を果たすことができるものであれば何でもよい。
図13、
図17に例示した形態に限定されない。
【0048】
[脚部(31・32)]
脚部(31・32)は、第一の折り畳み位置から第二の伸長位置まで伸長でき、第二の伸長位置にあるときに、脚部(31・32)内に、針21の末端23を、引き込んで、保護(シールド)できる形態であればよい。
図7〜
図10の例示では、いわゆる「略板状」のものが記載されているが、いわゆる「紐状、棒状、帯状、鎖状」等のものでも良い。
【0049】
[シールドハブ35]
シールドハブ35は、針ハブ22を固定でき、脚部(31・32)が第一の折り畳み位置から第二の伸長位置まで伸長するときに、脚部(31・32)と連動して、針21を上部U方向に引き上げることができる形態であればよい。
医療用針安全装置1を構成する、シールド部材3、固定部材5は、同一材料で一体成形により形成しているので、製造が容易で引用文献1に記載の発明と比較して安価に製造できる。
シールド部材3は、シールドハブ35、脚部(31・32)、及び固定部材接続部40Jを、同一材料で一体成形により形成することが好ましい。
固定部材5は、固定プレート50とシールド部材接続部50Jを同一材料で一体成形により形成することが好ましい。
シールド部材3や固定部材5の材料は、射出成形や注形成型できる合成樹脂で形成することが好ましく、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PB(ポリブチレン)、PS(ポリスチレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PVdC(ポリビニリデンクロライド)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PMA(ポリメチルアクリレート)、PC(ポリカーボネート)、PAm(ポリアミド)、ETFE共重合体等があげられるが、これに限定されるものではない。