特許第5891152号(P5891152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5891152
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】更生管の製管装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/12 20060101AFI20160308BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20160308BHJP
【FI】
   B29C63/12
   F16L1/00 J
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-199565(P2012-199565)
(22)【出願日】2012年9月11日
(65)【公開番号】特開2014-54741(P2014-54741A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年4月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 政浩
(72)【発明者】
【氏名】瀬沼 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】細川 亮
【審査官】 宮本 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−020987(JP,A)
【文献】 特開平03−260486(JP,A)
【文献】 特開2012−000786(JP,A)
【文献】 国際公開第98/034742(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00 − 65/82
F16L 1/00 − 1/26
F16L 5/00 − 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側縁部に接合部が形成された帯状部材を地上側からマンホール内に引き入れ、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら前方に送り出すとともに、製管された更生管の後方に新たに帯状部材を供給して更生管を付加しながら製管する更生管の製管機において、マンホールのインバートに製管機を支持する固定架台を設置し、前記固定架台が、インバートに配置された一対の支持脚と、各支持脚にそれぞれ立設された一対の支柱と、左右の支柱に上下方向に昇降自在に連結された横架材と、横架材に対して左右方向に移動自在に連結されたスライド部材と、スライド部材に設けられて前後方向の位置を調整自在な調整部材とからなり、調整部材に製管機の、隣接する帯状部材の接合部同士を接合する駆動機構が固定されることを特徴とする更生管の製管装置。
【請求項2】
両側縁部に接合部が形成された帯状部材を地上側からマンホール内に引き入れ、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら前方に送り出すとともに、製管された更生管の後方に新たに帯状部材を供給して更生管を付加しながら製管する更生管の製管機において、マンホールのインバートに製管機を支持する固定架台を設置し、前記固定架台が、インバートに配置された一対の支持脚と、各支持脚にそれぞれ立設された一対の支柱と、左右の支柱に上下方向に昇降自在に連結された横架材と、横架材に対して左右方向に移動自在に連結されたスライド部材と、スライド部材に設けられて垂直軸回りの回転位置を調整可能な調整部材とからなり、調整部材に製管機の、隣接する帯状部材の接合部同士を接合する駆動機構が固定されることを特徴とする更生管の製管装置。
【請求項3】
両側縁部に接合部が形成された帯状部材を地上側からマンホール内に引き入れ、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら前方に送り出すとともに、製管された更生管の後方に新たに帯状部材を供給して更生管を付加しながら製管する更生管の製管機において、マンホールのインバートに製管機を支持する固定架台を設置し、前記固定架台が、インバートに配置された一対の支持脚と、各支持脚にそれぞれ立設された一対の支柱と、左右の支柱に上下方向に昇降自在に、かつ、水平軸回りに回転自在に連結された横架材と、横架材に対して左右方向に移動自在に連結されたスライド部材とからなり、スライド部材に製管機の、隣接する帯状部材の接合部同士を接合する駆動機構が固定されることを特徴とする更生管の製管装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、老朽化した下水道管、上水道管、農業用水管、ガス管等の既設管を更生する更生管を製管する製管装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、老朽化した既設管を更生するため、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を螺旋状に供給し、隣接する帯状部材の接合部同士を互いに接合して更生管を製管するとともに、更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を既設管の軸心方向に付加形成することが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されるように、帯状部材を巻き重ねたドラムを地上に設置するとともに、マンホール内に製管機を設置し、ドラムから帯状部材をマンホール内の製管機に供給し、隣接する帯状部材の接合部同士を外周側から接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら既設管の軸心方向に送り出すとともに、製管された更生管に新たに帯状部材を供給して更生管を付加形成することが行われている。
【0004】
ここで、製管機は、枠体に着脱自在にマンドレルを設けたもので、マンドレルは、前後の支持板間に周方向に間隔をおいて複数個の従動ローラを回転自在に支持するとともに、180度隔てた従動ローラに対応して一対の駆動ローラを油圧モータを介して回転駆動可能に支持して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−156041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した製管機によって更生管を製管する際、それぞれ油圧モータを介して回転駆動される一対の駆動ローラには、帯状部材を介して異なる力が作用する。具体的には、更生管が製管されるにしたがって、その重量が増加するとともに、既設管と接触して生じる摩擦抵抗が増大し、後段の駆動ローラによって更生管を回転させる駆動力が減少する。これに対し、前段の駆動ローラは、初期状態と同じ駆動力で帯状部材を送り込むことから、更生管の回転速度と帯状部材の供給速度に差が発生し、更生管に余剰に供給された帯状部材によって更生管が徐々に拡径する巻き太り現象が発生する。したがって、更生管の製管に伴って発生する駆動損失に合わせて前段の駆動ローラの駆動力を減少させる必要がある。
【0007】
このため、前段の駆動ローラの上流側に位置してテンションローラが設けられており、前段の駆動ローラによって送り出される帯状部材に常に制動力を与えて、更生管の回転速度以上に帯状部材の供給速度が上昇しないように制御している。したがって、前段の駆動ローラを回転駆動させる油圧モータの駆動力は、その一部がテンションローラによる制動力に打ち勝つために消費されている。この結果、前段の駆動ローラを回転駆動させる油圧モータの駆動力は、テンションローラによる制動力に打ち勝つために消費される分だけ減少し、更生管の製管長を減少させるものとなる。また、3個の油圧モータを同調制御する必要があり、複雑な構造となっていた。
【0008】
一方、製管された更生管を回転させて送り出すためには、製管機に作用する反力を支えなければならない。このため、製管機をマンホール底部に形成されたインバートに固定する必要がある。この場合、一対の駆動ローラは、設計上合理的な、マンドレルの180度離れた水平面上の位置に設けられている(大きな駆動力を必要とする場合は、3個の駆動ローラが120度ずつ離れた位置に設けられる。)ことから、製管機をマンホールのインバートに設置する際、駆動ローラがインバートに干渉することを避けることができず、インバートをはつって駆動ローラの収容空間を確保する必要がある。また、製管作業が終了すれば、はつったインバートを修復しなければならず、工期が長期化し、作業性が低下するものとなっていた。しかも、種々異なる形状や構造のマンホールやインバート、既設管に対して既設管の軸心と製管される更生管の軸心をほぼ一致するように製管機を設置する必要があるが、インバート等に対応して製管機の設置位置や姿勢を調整することはできなかった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、製管機をインバート等に対応して最適な位置に調整して設置することのできる更生管の製管装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を地上側からマンホール内に引き入れ、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら前方に送り出すとともに、製管された更生管の後方に新たに帯状部材を供給して更生管を付加しながら製管する更生管の製管機において、マンホールのインバートに製管機を支持する固定架台を設置し、前記固定架台が、インバートに配置された一対の支持脚と、各支持脚にそれぞれ立設された一対の支柱と、左右の支柱に上下方向に昇降自在に連結された横架材と、横架材に対して左右方向に移動自在に連結されたスライド部材と、スライド部材に設けられて前後方向の位置を調整自在な調整部材とからなり、調整部材に製管機の、隣接する帯状部材の接合部同士を接合する駆動機構が固定されることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、マンホールのインバートに固定架台を設置し、固定架台に更生管の製管機を固定する。ここに、製管機は、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を地上側からマンホール内に引き入れ、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら前方に送り出すとともに、製管された更生管の後方に新たに帯状部材を供給して更生管を付加しながら製管するものである。また、固定架台は、インバートに配置された一対の支持脚と、各支持脚にそれぞれ立設された一対の支柱と、左右の支柱に上下方向に昇降自在に連結された横架材と、横架材に対して左右方向に移動自在に連結されたスライド部材と、スライド部材に設けられて前後方向の位置を調整自在な調整部材とから構成される。したがって、固定架台によって前後方向の位置及び上下方向の位置とともに、前後方向の位置をそれぞれ調整して製管機を固定できる。
【0012】
この結果、インバート等の形状や構造に対応して製管機を上下方向、左右方向及び前後方向の最適な位置に調整して設置することが可能となり、製管した更生管を既設管に安定して送り出すことができる。
【0013】
本発明は、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を地上側からマンホール内に引き入れ、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら前方に送り出すとともに、製管された更生管の後方に新たに帯状部材を供給して更生管を付加しながら製管する更生管の製管機において、マンホールのインバートに製管機を支持する固定架台を設置し、前記固定架台が、インバートに配置された一対の支持脚と、各支持脚にそれぞれ立設された一対の支柱と、左右の支柱に上下方向に昇降自在に連結された横架材と、横架材に対して左右方向に移動自在に連結されたスライド部材と、スライド部材に設けられて垂直軸回りの回転位置を調整可能な調整部材とからなり、調整部材に製管機の、隣接する帯状部材の接合部同士を接合する駆動機構が固定されることを特徴とするものである。
【0014】
本発明によれば、マンホールのインバートに固定架台を設置し、固定架台に更生管の製管機を固定する。ここに、製管機は、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を地上側からマンホール内に引き入れ、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら前方に送り出すとともに、製管された更生管の後方に新たに帯状部材を供給して更生管を付加しながら製管するものである。また、固定架台は、インバートに配置された一対の支持脚と、各支持脚にそれぞれ立設された一対の支柱と、左右の支柱に上下方向に昇降自在に連結された横架材と、横架材に対して左右方向に移動自在に連結されたスライド部材と、スライド部材に設けられて垂直軸回りの回転位置を調整可能な調整部材とから構成される。したがって、固定架台によって前後方向の位置及び上下方向の位置とともに、垂直軸回りの回転位置をそれぞれ調整して製管機を固定できる。
【0015】
この結果、インバート等の形状や構造に対応して製管機を上下方向、左右方向及び垂直軸回りの最適な位置に調整して設置することが可能となり、製管した更生管を既設管に安定して送り出すことができる。
【0016】
本発明は、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を地上側からマンホール内に引き入れ、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら前方に送り出すとともに、製管された更生管の後方に新たに帯状部材を供給して更生管を付加しながら製管する更生管の製管機において、マンホールのインバートに製管機を支持する固定架台を設置し、前記固定架台が、インバートに配置された一対の支持脚と、各支持脚にそれぞれ立設された一対の支柱と、左右の支柱に上下方向に昇降自在に、かつ、水平軸回りに回転自在に連結された横架材と、横架材に対して左右方向に移動自在に連結されたスライド部材とからなり、スライド部材に製管機の、隣接する帯状部材の接合部同士を接合する駆動機構が固定されることを特徴とするものである。
【0017】
本発明によれば、マンホールのインバートに固定架台を設置し、固定架台に更生管の製管機を固定する。ここに、製管機は、両側縁部に接合部が形成された帯状部材を地上側からマンホール内に引き入れ、互いに隣接する帯状部材の接合部同士を接合して更生管を製管し、製管された更生管を回転させながら前方に送り出すとともに、製管された更生管の後方に新たに帯状部材を供給して更生管を付加しながら製管するものである。また、固定架台は、インバートに配置された一対の支持脚と、各支持脚にそれぞれ立設された一対の支柱と、左右の支柱に上下方向に昇降自在に、かつ、水平軸回りに回転自在に連結された横架材と、横架材に対して左右方向に移動自在に連結されたスライド部材とから構成される。したがって、固定架台によって前後方向の位置及び上下方向の位置とともに、水平軸回りの回転位置をそれぞれ調整して製管機を固定できる。
【0018】
この結果、インバート等の形状や構造に対応して製管機を上下方向、左右方向及び水平軸回りの最適な位置に調整して設置することが可能となり、製管した更生管を既設管に安定して送り出すことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の更生管の製管装置によれば、製管機をインバート等に対応して最適な位置に調整して設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の更生管の製管装置による更生管の製管工程を説明する地中管路の断面図である。
図2】本発明の更生管の製管装置の一実施形態をマンホールのインバートに設置して示す斜視図である。
図3図2の製管装置の正面図である。
図4図2の製管装置の部分拡大図である。
図5】製管機の一例を示す斜視図である。
図6図5の製管機の正面図である。
図7図5の製管機を構成するフレームを一部省略して示す正面図及び平面図である。
図8図5の製管機におけるフレームの一方の連結機構を示す斜視図である。
図9図5の製管機におけるフレームの他方の連結機構を示す斜視図である。
図10図5の製管機を構成する駆動機構の断面図である。
図11図5の製管機を構成する導入機構の図6X方向側面図である。
図12図5の製管機による更生管の製管要領を説明する斜視図である。
図13】本発明の更生管の製管に用いられる帯状部材の一例及びその接合工程を説明する断面図である。
図14】帯状部材の変形例を示す断面図である。
図15】帯状部材の他の変形例を示す断面図及びその接合要領を一部省略して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1乃至図3には、本発明の製管装置1の一実施形態が例示されている。
【0023】
この製管装置1は、後述する帯状部材100を連続的に引き込んで螺旋状に巻き回し、互いに隣接する、先行する螺旋状の帯状部材100及び後続する螺旋状の帯状部材100を相互に接合して連続的に更生管Sを製管し、製管された更生管Sを周方向に回転させて既設管Kの軸心方向前方に送り出すとともに、製管された更生管Sに新たに後続する螺旋状の帯状部材100を接合して更生管Sを付加的に製管する製管機2と、マンホールMにおけるインバートVの床面に設置され、マンホールMやインバートV、既設管Kに対応して姿勢を調整して製管機2を支持可能な固定架台10とから構成されている。
【0024】
次に、製管装置1を説明するのに先立って、使用される帯状部材100の一例を図13に基づいて説明する。
【0025】
帯状部材100は、よく知られているように、硬質塩化ビニル等の可撓性を有する合成樹脂を押出成形して形成され、帯板状の基板101の裏面に複数本の断面T字状の補強リブ102が先端を基板101と平行に位置して設けられている。そして、基板101の一方の側縁部の裏面には接合凸部103が立設されている。また、基板101の他方の側縁部は、接合凸部103が設けられた基板101の側縁部が配置されるように、基板101の厚みだけ裏面側に段落ちした段落ち部104に形成されており、その段落ち部104に接合凸部103が嵌入し得る接合凹部105が設けられている。さらに、段落ち部104には、基板101から離れるにつれて接合凹部105の突出側に位置するように傾斜された傾斜リブ106が形成されている。
【0026】
そして、所定の断面形状に押出成形された帯状部材100は、ドラムD(図1参照)に巻き重ねられて施工現場に輸送される。
【0027】
このような帯状部材100は、基板101の裏面側、すなわち、補強リブ102が立設された側が外周側になるように製管機2に供給され、製管機2において、図13に示すように、互いに隣接する螺旋状の帯状部材100,100のうち、先行する螺旋状の帯状部材100の接合凹部105に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103を内側(先行する帯状部材100の内周側)から嵌め込むことにより、互いに隣接する螺旋状の帯状部材100,100が接合されて所定の管径の更生管S(図1参照)を製管するものである。
【0028】
この際、先行する螺旋状の帯状部材100の段落ち部104に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103を設けた側の基板101の側縁部が配置されるとともに、先行する螺旋状の帯状部材100の傾斜リブ106に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103を設けた側の補強リブ102が係止される。
【0029】
製管機2は、図5及び図6に詳細に示すように環状のフレーム3と、フレーム3に設けられ、フレーム3に沿って巻き回された隣接する螺旋状の帯状部材100,100を挟み込んで送り出す駆動機構5と、駆動機構5の前段に位置してフレーム3に設けられ、隣接する螺旋状の帯状部材100,100を挟み込み、それらを接合する位置に整列させる導入機構6とを備えている。
【0030】
フレーム3は、環状に配置された2枚の半周状のプレート材311からなる環状プレート31二組と、帯状部材100の幅寸法のほぼ2倍程度の長さ間隔をおいて配置された前後の環状プレート31,31におけるプレート材311,311間に周方向に間隔をおいて設けられた複数個のガイドローラ4とからなり、前後の半周状のプレート材311の端縁部がそれぞれ連結部材32,33によって一体に連結され、対向する連結部材32,32及び33,33が連結機構34,35によって着脱自在に連結されている。すなわち、フレーム3は、製管機2を正面から見て、フレーム3の中心を通る水平面を反時計回り方向に若干回転させた傾斜面C(図6参照)によって上半部3A及び下半部3Bの二つに分割され、分割された上半部3A及び下半部3Bの対向する各端縁部がそれぞれ連結機構34,35を介して着脱自在に連結されている。これにより、フレーム3は、上半部3A及び下半部3Bの上下に二分割されてマンホールM(図1参照)等の製管位置に搬入され、製管位置において環状に組み立てられる。
【0031】
この場合、分割されたフレーム3の上半部3Aに駆動機構5及び導入機構6が設けられている。
【0032】
ここで、一方の連結部材32は、図8に示すように、前後の連結板321及びこれらの連結板321を一体に連結する接続板322からなり、前後の連結板321がそれぞれ対向する前後の半周状のプレート材311の一方の端縁部にボルトナットを介して連結されている。
【0033】
そして、フレーム3の上半部3A及び下半部3Bの対向する一方の連結部材32,32間には、連結機構34が設けられている。この連結機構34は、対向する接続板322,322に前後に間隔をおいて嵌挿された一対のガイドロッド341,341と、一対のガイドロッド341,341間において、一方の接続板322に固定されたナット(図示せず)及び他方の接続板322に回転自在に挿通されてナットにねじ結合された調整ボルト342とからなり、調整ボルト342を回転操作することにより、ガイドロッド341の長さ範囲内において、対向する接続板322,322間の間隔、すなわち、フレーム3の周長を調整することができる。
【0034】
また、他方の連結部材33は、図9に示すように、前後の連結板331及びこれらの連結板331を一体に連結する接続板332からなり、前後の連結板331がそれぞれ対向する前後の半周状のプレート材311の他方の端縁部にボルトナットを介して連結されている。
【0035】
そして、フレーム3の上半部3A及び下半部3Bの対向する他方の連結部材33,33には、連結機構35が設けられている。この連結機構35は、一方の接続板332の前後方向に形成された長穴332aに移動自在に配設されるとともに、下端部が他方の接続板332の前後方向に形成されたスライド溝332bに移動自在に嵌合されたロック材351と、他方の接続板332に固定されたナット352(図11参照)及びナット352に対応して形成されたボルト穴(図示せず)と、ロック材351及び他方の接続板332のボルト穴を通してナット352にねじ結合された固定ボルト353とからなり、固定ボルト353を回転操作することにより、対向する一対の接続板332,332を緩め、ロック材351に対して一方の接続板332を長穴332aに沿って移動させ、対向する接続板332,332の前後方向の間隔を調整することができ、また、調整した位置に固定することができる。この場合、一方の接続板332が他方の接続板332に対してスライド溝332bに沿って前後方向に移動する。
【0036】
さらに、一方の連結部材33の連結板331にはナット354が固定されるとともに、該ナット354に調整ボルト355がねじ結合され、その軸部先端が他方の連結部材33の連結板331に突き当てられている。これにより、固定ボルト353による締結を緩めた状態において、調整ボルト355の回転操作によって、一方の連結部材33に対して他方の連結部材33を軸心方向に移動させることができる。つまり、フレーム3の上半部3Aに対して下半部3Bを帯状部材100の幅寸法に略相当する長さ分軸心方向に移動させることができる。
【0037】
ガイドローラ4は、図7に示すように、前後のプレート材311,311にわたって固定された回転軸41に軸受42を介して回転自在に支持された、合成樹脂製または金属製のローラ本体43からなり、ローラ本体43は、帯状部材100の幅寸法のほぼ2倍程度の長さに形成されている。そして、ガイドローラ4は、帯状部材100の平坦な内面、すなわち、更生管Sの内周面に接触するように、ローラ本体43の外周面が環状プレート31の外周よりもやや外方に位置するように外径が設定されている。
【0038】
さらに、ガイドローラ4は、既設管K内において、互いに隣接する帯状部材100,100の接合部が接合されて製管された更生管Sを駆動機構5によって前方(製管方向)に向けて送り出すことができるように、更生管Sのリード角に対し直角となるように配置されている。
【0039】
ガイドローラ4を更生管Sを構成する帯状部材100のリード角に対し直角となるように配置するには、前述したように、フレーム3の上半部3Aと下半部3Bとの連結機構35を用いて、上半部3Aに対して下半部3Bを帯状部材100の幅寸法に略相当する長さ分軸心方向に移動させ、移動させた状態で上半部3Aと下半部3Bとを固定して環状プレート31,31によるフレーム3を形成すればよい(図5参照)。
【0040】
駆動機構5は、図10に示すように、組になった内面駆動ローラ51及び外面駆動ローラ52と、フレーム3に固定された減速機、例えば、歯車箱53の歯車54を介して内面駆動ローラ51及び外面駆動ローラ52を互いに逆方向に回転駆動させる油圧モータ55とからなり、フレーム3の上半部3Aの頂部に取り付けられている。そして、駆動機構5の内面駆動ローラ51の回転軸及び外面駆動ローラ52の回転軸は、更生管Sのリード角に対して軸線方向が直交するように配置されて、油圧モータ55の出力軸とともにそれぞれ歯車箱53に回転自在に支持されている。したがって、油圧モータ55を回転駆動することにより、その出力軸、内面駆動ローラ51の回転軸及び外面駆動ローラ52の回転軸にそれぞれ固定されて互いに噛み合う歯車54を介して内面駆動ローラ51及び外面駆動ローラ52を互いに逆方向に回転させることができる。これにより、内面駆動ローラ51及び外面駆動ローラ52の間に帯状部材100を挟み込んでフレーム3に設けた複数個のガイドローラ4に沿って前方に送り出すことができる。
【0041】
なお、内面駆動ローラ51の回転軸は、前後のプレート材311,311に回転自在に両端支持される一方、外面駆動ローラ52の回転軸は、後方のプレート材311に設けた歯車箱53に回転自在に片持ち支持されている。
【0042】
ここで、内面駆動ローラ51は、帯状部材100の幅寸法のほぼ2倍程度の長さを有して鉄によって円筒状に形成され、更生管Sの平滑な内周面に外周面が接触して回転するように外径が設定されている。
【0043】
また、外面駆動ローラ52は、更生管Sの隣接する帯状部材100,100において、各帯状部材100の隣接する補強リブ102,102間に挿入可能な幅を有して回転軸に設けられた複数個の大径ローラ521と、帯状部材100の各補強リブ102に対応して回転軸に設けられた複数個の小径ローラ522とからなり、大径ローラ521の外周面と内面駆動ローラ51の外周面との間に帯状部材100の基板101の厚みに相当する間隔を有するとともに、小径ローラ522の外周面と内面駆動ローラ51の外周面との間に帯状部材100の高さに相当する間隔を有するように、それぞれ外径が設定されている。したがって、外面駆動ローラ52における大径ローラ521の外周面は、各帯状部材100の隣接する補強リブ102,102間において、更生管Sの外周面となる側の帯状部材100の基板101裏面に接して回転し、小径ローラ522の外周面は、更生管Sの外周面となる側の帯状部材100の補強リブ102先端面に接して回転する。
【0044】
なお、外面駆動ローラ52の小径ローラ522の外周面には、ローレット加工が施されており、接合された隣接する帯状部材100,100を滑ることなく送り出す。
【0045】
導入機構6は、図11に示すように、組になった内面ローラ61及び外面ローラ62からなり、フレーム3の上半部3Aに駆動機構5の前段、すなわち、帯状部材100の送り出し方向の上流側に位置して取り付けられている。そして、導入機構6の内面ローラ61の回転軸及び外面ローラ62の回転軸は、更生管Sのリード角に対して軸線方向が直交するように配置されている。この場合、内面ローラ61の回転軸は、前後のプレート材311,311に回転自在に両端支持される一方、外面ローラ62の回転軸は、後方のプレート材311に設けた支持部材36に回転自在に片持ち支持されている。これにより、内面ローラ61及び外面ローラ62は、それらの間に引き込まれた帯状部材100を挟み込むとともに、駆動機構5を介して帯状部材100が引き出されることに伴って互いに逆方向に回転し、フレーム3に設けた複数個のガイドローラ4に沿って前方に向けて、すなわち、駆動機構5に向けて円滑に送り出すことができる。
【0046】
ここで、内面ローラ61は、帯状部材100の幅寸法のほぼ2倍程度の長さを有して鉄によって円筒状に形成され、更生管Sの平滑な内周面に外周面が接触して回転するように外径が設定されている。
【0047】
また、外面ローラ62は、先行する更生管Sの帯状部材100の接合凹部105及び後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103を接合する位置に位置決めするように、互いに隣接する螺旋状の帯状部材100,100において、各帯状部材100の隣接する補強リブ102,102間に挿入可能な幅を有して回転軸に設けられた複数個の大径ローラ621と、帯状部材100の各補強リブ102に対応して回転軸に設けられた複数個の小径ローラ622とからなり、大径ローラ621の外周面と内面ローラ61の外周面との間に帯状部材100の基板101の厚みに相当する間隔を有するとともに、小径ローラ622の外周面と内面ローラ61の外周面との間に帯状部材100の高さに相当する間隔を有するように、それぞれ外径が設定されている。したがって、外面ローラ62における大径ローラ621の外周面は、各帯状部材100の隣接する補強リブ102,102間において、更生管Sの外周面となる側の帯状部材100の基板101裏面に接して回転し、小径ローラ622の外周面は、更生管Sの外周面となる側の帯状部材100の補強リブ102先端面に接して回転する。
【0048】
なお、導入機構6における外面ローラ62の小径ローラ622の外周面には、ローレット加工が施されており、整列された隣接する螺旋状の帯状部材100,100を滑ることなく送り出す。
【0049】
ここで、導入機構6には駆動モータは備えられておらず、駆動機構5によって隣接する螺旋状の帯状部材100,100の接合部が接合されて製管された更生管Sを回転しつつ送り出すことに伴って、後続する帯状部材100が、フレーム3における上半部3A及び下半部3Bを管軸方向にずらして連結することによって形成された空間を通して製管された更生管Sの帯状部材100と干渉することなく導入機構6に円滑に引き込まれる。そして、導入機構6に引き込まれた後続する帯状部材100は、前方に向けて周方向に回転する更生管Sの帯状部材100とともに挟み込む導入機構6の内面ローラ61及び外面ローラ62を互いに逆方向に回転させるため、引き込まれた後続する帯状部材100及び隣接する更生管Sの帯状部材100を駆動機構5に向けて送り出す。また、導入機構6において、後続する帯状部材100及び隣接する更生管Sの帯状部材100が送り出される際、後続する帯状部材100の接合凸部103及び隣接する更生管Sの帯状部材100の接合凹部105が接合する位置に整列されるとともに、それらの接合部が接合されて更生管Sが製管される。
【0050】
この場合、導入機構6は、後続する螺旋状の帯状部材100及び先行する更生管Sの帯状部材100を必ずしも接合する必要はなく、隣接する帯状部材100,100の接合部が接合可能な位置に整列するだけであっても構わない。この場合には、導入機構6から整列して送り出された帯状部材100,100は、駆動機構5においてそれらの接合部同士が接合され、更生管Sに製管される。
【0051】
なお、フレーム3には、帯状部材100を導入機構6に導くため、複数個のガイド部材7が設けられている。このガイド部材7は、図5及び図12に詳細に示すように、複数の板状体に棒状体を連結して、内部に帯状部材100を挿通可能な空間を有するように、矩形に形成されている。これにより、ガイド部材7は、帯状部材100を逸脱することなく保持するとともに、表裏両面及び側縁部をぶれないように位置決めし、導入機構6に向けて帯状部材100を一定の姿勢に矯正して円滑に供給することができる。
【0052】
一方、固定架台10は、図2乃至図4に示すように、マンホールMにおけるインバートVの床面にその溝を挟んでそれぞれ配置される左右の支持脚11と、各支持脚11にそれぞれ垂直軸回りに回転自在に支持されて立設された左右の支柱12と、左右の支柱12にそれぞれ昇降自在に設けられたナット部材13に水平軸回りに回転自在に支持された横架材14と、横架材14に沿って水平方向に移動自在に嵌挿されたスライド部材15と、スライド部材15に設けられた調整部材16とからなり、調整部材16の取付プレート19が駆動機構5の歯車箱53にボルトを介して固定されている。
【0053】
ここで、支柱12は雄ねじを形成したジャッキボルトであって、雌ねじを形成したナット部材13がねじ結合されている。したがって、図示しないハンドルを介して各支柱12を垂直軸回りに回転させることにより、ナット部材13、すなわち、左右のナット部材13にわたって設けられた横架材14を上下方向に昇降させることができる。
【0054】
また、ナット部材13には、半割り状の支持部材(図示せず)が設けられており、支持部材に横架材14の左右各端部が水平軸回りに回転自在に支持されるとともに、横架材14の各端部を支持した状態において、支持部材をボルトナット介して締め付けることにより、支持部材に横架材14を水平軸回りの任意の回転位置に固定することができる。
【0055】
さらに、調整部材16は、スライド部材15を前後方向に移動自在に支持する、ガイド溝を形成したガイド17と、ガイド17に一体に垂設された支持軸18と、支持軸18に回転自在に支持された取付プレート19とからなり、取付プレート19が駆動機構5の歯車箱53にボルトを介して固定されている。したがって、スライド部材15に対して調整部材16のガイド17を前後方向に移動させることができるとともに、支持軸18に対して取付プレート19を垂直軸回りに回転させることができる。
【0056】
なお、詳細には図示しないが、スライド部材15にねじ結合したボルトをねじ込み、その軸部を横架材14に突き当てることにより、横架材14に対してスライド部材15を左右方向の任意の移動位置に固定することができる。同様に、ガイド17にねじ結合したボルトをスライド部材15に突き当てることにより、ガイド17に対してスライド部材15を前後方向の任意の移動位置に固定することができ、また、取付プレート19にねじ結合したボルトを支持軸18に突き当てることにより、取付プレート19に対して支持軸18を垂直軸回りの任意の回転位置に固定することができる。
【0057】
これらのことから明らかなように、取付プレート19に固定された歯車箱53、すなわち、製管機2をスライド部材15に対して支柱12に設けたナット部材13を介して上下方向に昇降させることができるとともに、横架材14に対して左右方向に移動させることができ、また、ナット部材13に設けた支持部材に対して水平軸回りに回転させることができる。さらに、ガイド17に対して前後方向に移動させることができるとともに、支持軸18に対して垂直軸回りに回転させることができる。
【0058】
次に、このように構成された製管装置1を用いて既設管Kを更生する更生管Sの製管について説明する。
【0059】
まず、既設管Kには所定スパンごとにマンホールM、Mが設けられており、この例では、更生対象領域における上流側のマンホールを発進側マンホールM1、下流側のマンホールを到達側マンホールM2とし、これらのマンホールM1,M2を利用して既設管K内に更生管Sを製管する。更生管Sの製管は既設管Kの発進側マンホールM1から到達側マンホールM2に向けて行う。
【0060】
更生管Sの製管には、帯状部材100が巻き重ねられたドラムD及び製管機2とともに、油圧ユニット及び発電機からなる動力ユニットWを使用する。これらのうち、ドラムD及び動力ユニットWは発進側マンホールM1側の地上に設置する。また、製管機2が帯状部材100を接合して更生管Sを製管しつつ送り出す際、移動しないように支持する固定架台10を発進側マンホールM1のインバートVに設置する。
【0061】
一方、製管機2は、更生管Sの管径に合わせてフレーム3の外径が設定されるとともに、上半部3A及び下半部3Bに分割されて発進側マンホールM1に搬入され、発進側マンホールM1内において組み立てられる。次いで、組み立てた製管機2をインバートVの溝内に配置し、駆動機構5の歯車箱53を固定架台10の取付プレート19に固定する。
【0062】
この際、支柱12を回転操作してナット部材13を介して横架材14を上下方向に昇降させるとともに、横架材14に沿ってスライド部材15を左右方向に移動させ、製管機2がインバートVの溝に浮動状に位置するように、上下方向及び左右方向の位置を調整して固定する。さらに、必要ならば、インバートVやマンホールMの形状や構造に対応して、更生管Sの軸心が既設管Kの軸心とほぼ一致するように製管機2の位置を調整する。例えば、製管機2を垂直軸回りに回転させる必要があるときには、支持軸18に対して取付プレート19(製管機2)を回転させ、調整した回転位置に固定する。同様に、スライド部材15に対してガイド17を前後方向に移動させることにより、製管機2の前後方向の位置を調整することができるとともに、支持部材に対して横架材14を水平軸回りに回転させることにより、前後方向の軸心に対する製管機2の傾きを調整することができる。
【0063】
固定架台10に製管機2を固定したならば、動力ユニットWからの油圧配管を駆動機構5の油圧モータ55に接続する。
【0064】
準備作業が完了すれば、地上に配置したドラムDの外周側から帯状部材100を引き出して発進側マンホールM1内に引き込み、その先端部を製管機2におけるガイド部材7を経て導入機構6の内面ローラ61及び外面ローラ62の間に挿通し、次いで、駆動機構5の内面駆動ローラ51及び外面駆動ローラ52の間に挿通し、フレーム3に設けたガイドローラ4の外周側に送り出す。この後、駆動機構5の油圧モータ55を回転駆動して、内面駆動ローラ51及び外面駆動ローラ52を互いに逆方向に回転駆動させ、挟み込んだ帯状部材100を送り出す。
【0065】
送り出された帯状部材100がガイドローラ4に沿って巻き回され、その先端部が再び導入機構6に達したとき、帯状部材100は、その幅に略相当する1ピッチ分だけ到達側マンホールM2に向けて偏位していることから、再び帯状部材100の先端部を導入機構6に挿通する。この際、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103が、先行する螺旋状の帯状部材100の接合凹部105に整列されて内周側から嵌め込まれるとともに、後続する帯状部材100の接合凸部103が設けられた側の基板101の側縁部が、先行する帯状部材100の段落ち部104に配置され、隣接する帯状部材100,100は互いに接合される。次いで、互いに接合された隣接する帯状部材100,100は後段の駆動機構5に挿通され、更生管Sの製管が開始される。
【0066】
製管機2の駆動機構5の油圧モータ55の駆動を継続すれば、内面駆動ローラ51及び外面駆動ローラ52が更生管Sの隣接する帯状部材100,100を挟み込んで回転駆動し、更生管Sをガイドローラ4に沿うように前方に向けて回転させながら送り出す。この際、先行する帯状部材100の傾斜リブ106に、後続する帯状部材100の接合凸部103を設けた側の補強リブ102が係止される。一方、駆動機構5による更生管Sの送り出しに伴って、更生管Sの後端に連続している後続する螺旋状の帯状部材100が新たに導入機構6に引き込まれる。
【0067】
ここで、導入機構6において、更生管S、すなわち、先行する螺旋状の帯状部材100の接合凹部105に、後続する螺旋状の帯状部材100の接合凸部103が内周側から嵌め込まれるとともに、先行する帯状部材100の段落ち部104に、後続する帯状部材100の接合凸部103を設けた側の基板101の側縁部が配置され、隣接する帯状部材100,100が互いに接合される。
【0068】
そして、先行する更生管Sの帯状部材100及び後続する更生管Sの帯状部材100が互いに接合されて駆動機構5に引き込まれると、駆動機構5が、先行する更生管Sの帯状部材100の傾斜リブ106に、後続する帯状部材100の接合凸部103を設けた側の補強リブ102を係止して更生管Sを付加製管し、新たな更生管Sとともに挟み込み、ガイドローラ4に沿うように前方に向けて回転させながら送り出す。
【0069】
以下、駆動機構5の油圧モータ55の駆動を継続することにより、互いに逆方向に回転駆動する内面駆動ローラ51及び外面駆動ローラ52が、接合された隣接する帯状部材100,100、すなわち、更生管Sを先行する更生管Sとともに挟み込み、先行する更生管S及び新たに付加された更生管Sを到達側マンホールM2に向けて回転しつつ送り出す。
【0070】
また、駆動機構5によって更生管Sが送り出されることにより、後続する帯状部材100が新たに導入機構6に引き込まれ、導入機構6において、先行する帯状部材100、すなわち、更生管Sの帯状部材100の接合凹部105に、後続する帯状部材100の接合凸部103が接合され、更生管Sが付加製管される。
【0071】
ここに、製管機2は、駆動源が駆動機構5の油圧モータ55のみであり、複数個の油圧モータを同調させるような複雑な制御が不用となることから、極めてシンプルな構造に構成することができるとともに、安価に製造することができる。また、導入機構6にモータが存在しないことにより、駆動機構5に過剰に帯状部材100を供給することもなく、過剰に帯状部材100を供給することによる更生管Sの巻き太りを発生させることもない。さらに、油圧モータ55の駆動力を減少させるような制動力は存在しないことから、制動力の不足に伴う更生管Sの巻き太りを防止できる。しかも、駆動機構5の駆動力を全て更生管Sの送り出しに活用することができるため、更生管Sの製管長をこれまでよりも増加させることが可能となる。
【0072】
さらに、既設管Kの中心線を通る水平面よりも上方に位置して駆動機構5及び導入機構6がフレーム3の上半部3Aに設けられていることから、マンホールMのインバートVに製管機2を設置する際、駆動機構5及び導入機構6がインバートVと干渉することはなく、インバートVをはつったり、はつったインバートVを修復する作業が皆無となり、製管機2の設置作業や撤去作業を効率的に行うことができ、工期を短縮することができる。
【0073】
しかも、マンホールMやインバートV、既設管Kの形状や構造に対応して、製管機2を固定架台10を介して上下方向及び左右方向の各位置を調整して固定することができるとともに、水平軸回りの回転位置、垂直軸回りの回転位置、前後方向の位置を調整して固定することができ、既設管Kの軸心に更生管Sの軸心をほぼ一致させることができ、更生管Sを既設管K内に安定して送り出すことができる。
【0074】
この結果、シンプルな構造の製管機2を利用して設定された管径の更生管Sをこれまで以上の長さに製管することができるとともに、インバートVをはつることなくインバートV等に対応して製管機2を最適な位置、姿勢に調整して設置することができる。
【0075】
このようにして、既設管Kの更生対象領域の全長にわたって更生管Sの製管が終了すれば、更生管Sの管端部の帯状部材100を切断し、次いで、製管装置1を分解して発進側マンホールM1から撤去すればよい。
【0076】
なお、前述した実施形態においては、図13に示した帯状部材100によって更生管Sを製管する場合を説明したが、このような帯状部材100に限定するものではない。
【0077】
例えば、図14に示すように、帯状部材100の複数本の補強リブ102にわたって、帯板状の鋼板等を断面略W字状などに折曲した金属板製補強材110を装着してなる補強材付き帯状部材100Aであってもよい。
【0078】
また、図15に示すように、隣接する主帯状部材120,120を接合材130を利用して接合し、更生管を形成するような帯状部材であっても構わない。具体的には、主帯状部材120は、基板121に複数本の断面T字状の補強リブ122を有するとともに、基板121の両端部に嵌合溝123がそれぞれ形成されている。一方、接合材130は、主帯状部材120の嵌合溝123に嵌まり込む嵌合突条131を有している。そして、接合時において、相並べて配置された主帯状部材120,120の嵌合溝123,123に跨がって接合材130の嵌合突条131を嵌め込んで隣接する主帯状部材120,120を接合するものである。
【0079】
さらに、駆動機構5の内面駆動ローラ51及び外面駆動ローラ52を回転させる駆動源として油圧モータ55を採用したが、電動モータやエアモータであってもよく、また、減速機としては、歯車以外にチェーンスプロケットなどを利用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 製管装置
2 製管機
3 フレーム
3A 上半部
4 ガイドローラ
5 駆動機構
6 導入機構
10 固定架台
11 支持脚
12 支柱
13 ナット部材
14 横架材
15 スライド部材
16 調整部材
17 ガイド
18 支持軸
19 取付プレート
100,100A 帯状部材
M マンホール
V インバート
K 既設管
S 更生管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15