特許第5891206号(P5891206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5891206レーザ加工機の自動プログラミング装置及び自動プログラミング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5891206
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】レーザ加工機の自動プログラミング装置及び自動プログラミング方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20160308BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20160308BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20160308BHJP
【FI】
   G05B19/4093 J
   B23K26/00 M
   B23K26/38 320
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-139570(P2013-139570)
(22)【出願日】2013年7月3日
(65)【公開番号】特開2015-14822(P2015-14822A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2015年3月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴浩
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−108426(JP,A)
【文献】 特開2001−209417(JP,A)
【文献】 特開平06−161528(JP,A)
【文献】 特開平05−127721(JP,A)
【文献】 特開2002−337040(JP,A)
【文献】 特開2005−301557(JP,A)
【文献】 特開2004−302808(JP,A)
【文献】 特開平10−162042(JP,A)
【文献】 特開2003−071580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/4093
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の面を有する断面が一様で細長い被加工部材の各面に対してレーザ加工機によって切断加工を行う加工システムにおいて、前記被加工部材の高さおよび幅と一致しない複数の面のすべてにまたがる形状の製品の切断加工する加工プログラムを、前記レーザ加工機に対して作成する自動プログラミング装置であって、
前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを入力するための入力手段と、
(A)前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを用いて、前記被加工部材の展開補助線で前記被加工部材を展開し、前記製品の形状を示す外形線を有する展開図を作成する工程と、
(B)前記製品の所定部分に、前記製品と前記被加工部材の端部とを繋ぐブリッジを作成する処理を行う工程と、
(C)前記工程(B)において行われた前記ブリッジを作成する処理により展開図上に作成された前記ブリッジを外形線に結合した展開図に対して切断軌跡を割り付ける工程と、を制御する制御手段と、を有し、
前記展開図の上端面における製品図形の中で、最大点の要素を見つけ出し、前もって設定されたブリッジ巾の条件に基づいて、見つけ出された前記最大点より前記ブリッジを作成し、
前記展開図の下端面における前記製品図形の中で、最小点の要素を見つけ出し、前もって設定されたブリッジ巾の条件に基づいて、見つけ出された前記最小点より前記ブリッジを作成する処理からなることを特徴とする自動プログラミング装置。
【請求項2】
複数の面を有する断面が一様で細長い被加工部材の各面に対してレーザ加工機によって切断加工を行う加工システムにおいて、前記被加工部材の高さおよび幅と一致しない複数の面のすべてにまたがる形状の製品の切断加工する加工プログラムを、前記レーザ加工機に対して作成する自動プログラミング装置であって、
前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを入力するための入力手段と、
(A)前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを用いて、前記被加工部材の展開補助線で前記被加工部材を展開し、前記製品の形状を示す外形線を有する展開図を作成する工程と、
(B)前記製品の所定部分に、前記製品と前記被加工部材の端部とを繋ぐブリッジを作成する処理を行う工程と、
(C)前記工程(B)において行われた前記ブリッジを作成する処理により展開図上に作成された前記ブリッジを外形線に結合した展開図に対して切断軌跡を割り付ける工程とを制御する制御手段とを有し、
前記展開図の上端面における製品図形の中で、一番左側あるいは右側の最大点の要素を見つけ出し、前もって設定されたブリッジ巾の条件に基づいて、見つけ出された前記最大点より前記ブリッジを作成し、
前記展開図の下端面における前記製品図形の中で、一番左側あるいは右側の最小点の要素を見つけ出し、前もって設定されたブリッジ巾の条件に基づいて、見つけ出された前記最小点より前記ブリッジを作成することを特徴とする自動プログラミング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機の自動プログラミング装置及び自動プログラミング方法に関し、特に、レーザ加工機により、ワークの高さおよび幅と一致しない形状の製品の切断加工の加工プログラムを自動的に作成する自動プログラミング装置及び自動プログラミング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、製品として、断面がL字形状のアングル部品やコの字形状のチャンネル部品をレーザ加工する場合、通常、その部品の高さおよび幅がワークの高さおよび幅と一致していた。図18は、ワークとしてのアングル材およびチャンネル材の断面図である。
【0003】
しかしながら、ワークの高さおよび幅と一致しない高さおよび幅を有するアングル部品等をレーザ加工しなければならない場合があり、そのような場合、仕様外となり、自動プログラミング装置で加工データの作成ができなかった。
【0004】
なお、先行技術文献は該当のものがありませんでした。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の自動プログラミングによるレーザ加工の場合、ワークの高さおよび幅と一致しない高さおよび幅を有するアングル部品等をレーザ加工する場合、仕様外と判定され、自動的に加工データの作成をすることができないため、予め、モデリング時にワークの端面と部品とを繋ぐブリッジを付加して、ワークの高さおよび幅と部品の高さおよび幅とが等しくなるようなモデルを作成しなければならない問題点があった。
【0006】
そして、予め、モデリング時にワークの端面と部品とを繋ぐブリッジを付加する作業には、時間がかかると共に、作業者の負担を増加させることとなった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述の問題を解決するためのものであり、請求項1に係る発明は、複数の面を有する断面が一様で細長い被加工部材の各面に対してレーザ加工機によって切断加工を行う加工システムにおいて、前記被加工部材の高さおよび幅と一致しない複数の面のすべてにまたがる形状の製品の切断加工する加工プログラムを、前記レーザ加工機に対して作成する自動プログラミング装置であって、
前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを入力するための入力手段と、
(A)前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを用いて、前記被加工部材の展開補助線で前記被加工部材を展開し、前記製品の形状を示す外形線を有する展開図を作成する工程と、
(B)前記製品の所定部分に、前記製品と前記被加工部材の端部とを繋ぐブリッジを作成する処理を行う工程と、
(C)前記工程(B)において行われた前記ブリッジを作成する処理により展開図上に作成された前記ブリッジを外形線に結合した展開図に対して切断軌跡を割り付ける工程と、を制御する制御手段と、を有し、
前記被加工部材の高さおよび幅と一致しない複数の面のすべてにまたがる形状の製品をレーザ加工するに当たって、前記製品と前記被加工部材の端部とを繋ぐブリッジ部分の切断加工を付加した加工プログラムが作成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記展開図の上端面における製品図形の中で、一番左側あるいは右側の最大点の要素を見つけ出し、前もって設定されたブリッジ巾の条件に基づいて、見つけ出された前記最大点よりブリッジを作成し、
前記展開図の下端面における前記製品図形の中で、一番左側あるいは右側の最小点の要素を見つけ出し、前もって設定されたブリッジ巾の条件に基づいて、見つけ出された前記最小点よりブリッジを作成する処理からなることを特徴とする請求項1に記載の自動プログラミング装置である。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記見つけ出された最大点あるいは最小点よりブリッジを作成する場合において、ブリッジ作成開始点から左側あるいは右側に所定巾のブリッジを作成することにより展開長が大きくなってしまう場合には反対側にブリッジを作成することを特徴とする請求項2に記載の自動プログラミング装置である。
【0011】
請求項4に係る発明は、複数の面を有する断面が一様で細長い被加工部材の各面に対してレーザ加工機によって切断加工を行う加工システムにおいて、前記被加工部材の形状データおよび製品の形状データを入力するための入力手段と制御手段とを有し、前記被加工部材の高さおよび幅と一致しない複数の面のすべてにまたがる形状の前記製品の切断加工する加工プログラムを、前記レーザ加工機に対して作成する自動プログラミング方法であって、
(A)前記制御手段により、前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを用いて、前記被加工部材の展開補助線で前記被加工部材を展開し、前記製品の形状を示す外形線を有する展開図を作成する工程と、
(B)前記制御手段により、前記製品の所定部分に、前記製品と前記被加工部材の端部とを繋ぐブリッジを作成する処理を行う工程と、
(C)前記制御手段により、前記工程(B)において行われた前記ブリッジを作成する処理により展開図上に作成された前記ブリッジを外形線に結合した展開図に対して切断軌跡を割り付ける工程と、を有し、
前記被加工部材の高さおよび幅と一致しない複数の面のすべてにまたがる形状の製品をレーザ加工するに当たって、前記製品と前記被加工部材の端部とを繋ぐブリッジ部分の切断加工を付加した加工プログラムが作成されることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、複数の面を有する断面が一様で細長い被加工部材の各面に対してレーザ加工機によって切断加工を行う加工システムにおいて、前記被加工部材の高さおよび幅と一致しない複数の面のすべてにまたがる形状の製品の切断加工する加工プログラムを、前記レーザ加工機に対して作成する自動プログラミング装置であって、
前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを入力するための入力手段と、
(A)前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを用いて、前記被加工部材の展開補助線で前記被加工部材を展開し、前記製品の形状を示す外形線を有する展開図を作成する工程と、
(B)前記製品の所定部分に、前記製品と前記被加工部材の端部とを繋ぐブリッジを作成する処理を行う工程と、
(C)前記工程(B)において行われた前記ブリッジを作成する処理により展開図上に作成された前記ブリッジを外形線に結合した展開図に対して切断軌跡を割り付ける工程とを制御する制御手段とを有し、
前記展開図の上端面における製品図形の中で、一番左側あるいは右側の最大点の要素を見つけ出し、前もって設定されたブリッジ巾の条件に基づいて、見つけ出された前記最大点よりブリッジを作成し、
前記展開図の下端面における前記製品図形の中で、一番左側あるいは右側の最小点の要素を見つけ出し、前もって設定されたブリッジ巾の条件に基づいて、見つけ出された前記最小点よりブリッジを作成することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、複数の面を有する断面が一様で細長い被加工部材の各面に対してレーザ加工機によって切断加工を行う加工システムにおいて、前記被加工部材の高さおよび幅と一致しない複数の面のすべてにまたがる形状の製品の切断加工する加工プログラムを、前記レーザ加工機に対して作成する自動プログラミング装置であって、
前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを入力するための入力手段と、
(A)前記被加工部材の形状データおよび前記製品の形状データを用いて、前記被加工部材の展開補助線で前記被加工部材を展開し、前記製品の形状を示す外形線を有する展開図を作成する工程と、
(B)前記製品の所定部分に、前記製品と前記被加工部材の端部とを繋ぐブリッジを作成する処理を行う工程と、
(C)前記工程(B)において行われた前記ブリッジを作成する処理により展開図上に作成された前記ブリッジを外形線に結合した展開図に対して切断軌跡を割り付ける工程とを制御する制御手段とを有し、
前記展開図の上端面における製品図形の中で、一番左側あるいは右側の最大点の要素を見つけ出し、前もって設定されたブリッジ巾の条件に基づいて、見つけ出された前記最大点よりブリッジを作成し、
前記展開図の下端面における前記製品図形の中で、一番左側あるいは右側の最小点の要素を見つけ出し、前もって設定されたブリッジ巾の条件に基づいて、見つけ出された前記最小点よりブリッジを作成し、
前記見つけ出された最大点あるいは最小点よりブリッジを作成する場合において、ブリッジ作成開始点から左側あるいは右側に所定巾のブリッジを作成することにより展開長が大きくなってしまう場合には反対側にブリッジを作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ワークの高さおよび幅と一致しない形状の製品の切断加工の加工プログラムを自動的に作成できるようになり、モデリング時にワークの端面と部品とを繋ぐブリッジを付加する作業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明を実施したレーザ加工システムの概略を示す説明図である。
図2図1に示した自動プログラミング装置9の概略構成図である。
図3】自動プログラミング装置9の動作を示すフローチャートである。
図4】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図5図3におけるアングルの処理の動作を示すフローチャートである。
図6】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図7】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図8】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図9】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図10】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図11】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図12図3におけるチャンネルの処理の動作を示すフローチャートである。
図13】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図14】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図15】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図16】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図17】自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図である。
図18】被加工部材としてのアングル材およびチャンネル材の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明を実施したレーザ加工システムの概略を示す説明図である。
【0015】
図1に示すように、このレーザ加工システム10は、データベース(記憶手段)11内の製品形状データおよび被加工部材のデータ等を用いレーザ加工機1の加工プログラムを作成する自動プログラミング装置9を有している。
【0016】
そして、その自動プログラミング装置9により作成された所定の加工プログラムによるNCデータがNC装置13によりドライブデータに変換されてレーザ加工機1へ送られ、そのドライブデータに従ってレーザ加工機1の制御装置2により各所の制御がおこなわれ、被加工部材(ワーク)のレーザ加工が行われる。なお、上記データベース11内には、加工によって得られる製品形状データおよび被加工部材のデータ等が蓄積されている。
【0017】
ここで、被加工部材としては、図18(a)〜(c)に示すように、複数の面を有する断面が一様で細長い被加工部材であるところのチャンネル材、アングル材、不等辺アングル材が用いられる。図18は、被加工部材の断面形状を示す説明図である。
【0018】
図2は、図1に示した自動プログラミング装置9の概略構成を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、自動プログラミング装置9は、コンピュータからなり、ROM17およびRAM19が接続されたCPU(制御手段)15を有しており、CPU15には、さらに、キーボードのような入力装置(入力手段)21とデイスプレイのような表示装置23が接続されている。また、上記CPU15に、データベース11が接続されるようになっている。
【0020】
そして、この自動プログラミング装置9では、CPU15が、入力装置21よりのオペレータからの指示に従い、データベース11内の製品形状データおよび被加工部材のデータを用いると共に、ROM17よりのコンピュータプログラムに従ってRAM19を用いて、後述するようなレーザ加工機1の加工プログラムを作成するようになっている。
【0021】
次に、図1に示したレーザ加工機1における加工動作および構成について簡単に説明する。
【0022】
図1において、レーザ加工機1のレーザ加工テーブル25上において、被加工部材5の一端を、チャック29に係合して把持すると共に製品サポート部材31によって支持するようになっている。
【0023】
そして、被加工部材5がレーザ加工テーブル25上において固定された状態で、制御装置2の制御に基づいて、レーザ加工ヘッド7を加工軌跡に沿って移動させながらレーザ照射し、被加工部材5を切断加工するようになっている。
【0024】
なお、自動プログラミング装置9により作成された加工ネスティングの加工プログラムによるドライブデータがNC装置13へ送られ、そのドライブデータに従ってレーザ加工制御が行われる。
【0025】
次に、図3〜7を参照して、図1および図2に示した自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作(自動プログラミング方法)について説明する。
【0026】
図3は、自動プログラミング装置の動作を示すフローチャートであり、図4図6〜11、図13〜17は、自動プログラミング装置9の加工プログラム作成動作の説明図であり、図5は、図3におけるアングルの処理の動作を示すフローチャートであり、図12は、図3におけるチャンネルの処理の動作を示すフローチャートである。
【0027】
ここでは、図18(a)〜(c)に示すように、断面に角を有するアングル材やチャンネル材を含む被加工部材5に切断加工を行って製品を得る場合の加工プログラム作成動作について説明する。
【0028】
図3のステップ101において、製品形状データおよび被加工部材のデータ等に基づいて、図4の製品5aの形状を示す外形線を有する展開図が作成されて読み込まれる。
【0029】
ここでは、展開図としては、被加工部材がアングル材で、図4(a)に示すような複数の面のすべてにまたがる形状の製品5aの場合、図4(b)に示すような展開図となり、製品図形5aの外周における90度面と180度面との境界線である展開補助線5bで展開された状態となっている。
【0030】
次に、図3のステップ103において、読み込まれた展開図上における被加工部材5がアングル材かチャンネル材かの判定が行われる。
【0031】
そして、被加工部材5がアングル材の場合、ステップ105に移り、アングルの処理が行われ、被加工部材5がチャンネル材の場合、ステップ107に移り、チャンネルの処理が行われる。
【0032】
なお、アングル材でもチャンネル材でも無い場合は、ステップ111に移り、パイプ材の切断軌跡の割り付けとなる。
【0033】
このアングルの処理は、アングル材において製品5aと被加工部材の端部とを繋ぐブリッジを所定部分に作成する処理であり、図5のアングルの処理のフローチャートを用いて説明する。図5は、アングルの処理を示すフローチャートである。
【0034】
図5のステップ201において、展開図における製品図形5aの形状を示す外形線から、製品図形5aの展開長L1が、アングル材の巾W1に高さH1を加えた値と比較され、製品図形5aの展開長L1が、アングル材の巾W1に高さH1を加えた値より小さいか否かが判定される。
【0035】
なお、製品図形5aの展開長L1が、アングル材の巾W1に高さH1を加えた値と等しい場合は、図6(a)に示すようになり、製品図形5aの展開長L1が、アングル材の巾W1に高さH1を加えた値より小さい場合は、図6(b)、(c)に示すようになる。
【0036】
上記ステップ201において製品図形5aの展開長L1が、アングル材の巾W1に高さH1を加えた値より小さい場合、ステップ203において、展開図における製品図形5a上に展開補助線5bがあるか否かが判定される。
【0037】
すなわち、展開図における製品図形5a上に展開補助線5bが無い場合は、図7(a)、(b)に示すようになり、展開図における製品5a上に展開補助線5bがある場合は、図7(c)に示すようになる。
【0038】
次に、上記ステップ203において展開図における製品図形5a上に展開補助線5bがある場合、ステップ205において、製品図形5aの最大点Y1の要素から展開補助線5bまでの距離L2が、アングル材の高さH1より小さいか否かが判定される。
【0039】
すなわち、展開図における製品図形5aの最大点Y1の要素から展開補助線5bまでの距離L2が、アングル材の高さH1より小さい場合は、図8(a)に示すようになる。
【0040】
上記ステップ205において製品図形5aの最大点Y1の要素から展開補助線5bまでの距離L2が、アングル材の高さH1より小さい場合、ステップ207において、展開図における90°面の作成フラグをオンにし、製品図形5aの最大点Y1の要素から展開補助線5bまでの距離L2が、アングル材の高さH1より小さくない場合、ステップ209において、展開図における90°面の作成フラグをオフにする。
【0041】
次に、ステップ211において、製品図形5aの最小点Y2の要素から展開補助線5bまでの距離L3が、アングル材の巾Wより小さいか否かが判定される。
【0042】
すなわち、展開図における製品図形5aの最小点Y2の要素から展開補助線5bまでの距離L3が、アングル材の巾W1より小さい場合は、図8(b)に示すようになる。
【0043】
上記ステップ211において製品図形5aの最小点Y2の要素から展開補助線5bまでの距離L3が、アングル材の巾W1より小さい場合、ステップ213において、展開図における180°面の作成フラグをオンにし、製品図形5aの最小点Y2の要素から展開補助線5bまでの距離L3が、アングル材の巾W1より小さくない場合、ステップ215において、展開図における180°面の作成フラグをオフにする。
【0044】
なお、展開図における製品図形5aの最大点Y1の要素から展開補助線5bまでの距離L2が、アングル材の高さH1より小さく、かつ、展開図における製品図形5aの最小点Y2の要素から展開補助線5bまでの距離L3が、アングル材の巾W1より小さい場合は、図8(c)に示すようになる。
【0045】
次に、ステップ217において、展開図における90°面の作成フラグがオンしているか否かが判定され、90°面の作成フラグがオンしている場合、ステップ219において、展開図の90°面における製品図形5aの中で、一番左側の最大点Y3を見つけ出す。
【0046】
次に、ステップ221において、前もって設定されたブリッジ巾W2の条件に基づいて、見つけ出された最大点Y3よりブリッジB1が作成される。
【0047】
すなわち、図10に示すように、最大点Y3をブリッジ作成開始点とし、そのブリッジ作成点Y3から垂直方向へ展開図の最大点(展開図の上端面)Y4までと、最大点Y4からブリッジ巾(所定巾)W2だけ右方向へ移動し、その移動点Y5から製品図形5aまでのブリッジB1を作成する。
【0048】
ここで、ブリッジ巾W2だけ右方向へ移動すると、展開長が大きくなってしまう場合は、展開図の右端をブリッジ作成開始点として、ブリッジ巾W2だけ左方向(反対側)へ移動して、ブリッジB1を作成する。
【0049】
なお、一番左側の最大点Y3をブリッジ作成開始点としているが、これは、被加工部材5を左側から右側に向かって切断する方式により経路短縮されて安全に加工できるレーザ加工機1において、より移動経路が短く安全な加工を行うための処置となっている。
【0050】
なお、被加工部材5を右側から左側に向かって切断する方式により経路短縮されて安全に加工できるレーザ加工機1の場合には、一番右側の最大点がブリッジ作成開始点とされる。
【0051】
次に、ステップ223において、展開図における180°面の作成フラグがオンしているか否かが判定され、180°面の作成フラグがオンしている場合、ステップ225において、展開図の180°面における製品図形5aの中で、一番左側の最小点Y7を見つけ出す。
【0052】
次に、ステップ227において、前もって設定されたブリッジ巾W2の条件に基づいて、見つけ出された最小点Y7よりブリッジB2が作成される。
【0053】
すなわち、図10に示すように、最小点Y7をブリッジ作成開始点とし、そのブリッジ作成点Y7から垂直方向へ展開図の最小点(展開図の下端面)Y8までと、最小点Y8からブリッジ巾(所定巾)W2だけ右方向へ移動し、その移動点Y9から製品図形5aまでとのブリッジB2を作成する。
【0054】
ここで、ブリッジ巾W2だけ右方向へ移動すると、展開長が大きくなってしまう場合は、展開図の右端をブリッジ作成開始点として、ブリッジ巾W2だけ左方向(反対側)へ移動して、ブリッジB2を作成する。
【0055】
なお、一番左側の最小点Y7をブリッジ作成開始点としているが、これは、被加工部材5を左側から右側に向かって切断する方式により経路短縮されて安全に加工できるレーザ加工機1において、より移動経路が短く安全な加工を行うための処置となっている。
【0056】
なお、被加工部材5を右側から左側に向かって切断する方式により経路短縮されて安全に加工できるレーザ加工機1の場合には、一番右側の最小点がブリッジ作成開始点とされる。
【0057】
そして、図3のステップ109に戻り、最大点Y3をブリッジ作成点とし、そのブリッジ作成点Y3から垂直方向へ展開図の最大点Y4までの要素C1と、最大点Y4からブリッジ巾W2だけ右方向へ移動し、その移動点Y5から製品図形5aまでの垂直の要素C2と、最小点Y7をブリッジ作成点とし、そのブリッジ作成点Y7から垂直方向へ展開図の最小点Y8までの要素C3と、最小点Y8からブリッジ巾W2だけ右方向へ移動し、その移動点Y9から製品図形5aまでの垂直の要素C4とし、これらのC1〜C4の要素を製品図形5aの要素と結合して、図11(a)に示すように新たな製品図形を作成し、新たな製品図形に対して割り付けが行われる。また、図11(b)は、図11(a)の展開図に従って加工されたブリッジを有する製品5aを示す説明図である。
【0058】
このように、本実施形態におけるアングルの処理によれば、ワークの高さおよび幅と一致しない高さおよび幅を有するアングル部品をレーザ加工するに当たって、ワークの端面と部品とを繋ぐブリッジを付加したプログラムを簡単に自動作成することができるようになる。
【0059】
次に、図3のステップ103において、読み込まれた展開図における被加工部材5が
チャンネル材の場合、ステップ107に移り、チャンネルの処理が行われる。
【0060】
このチャンネルの処理は、チャンネル材において製品5aと被加工部材の端部とを繋ぐ所定部分にブリッジを作成する処理であり、図12のチャンネルの処理のフローチャートを用いて説明する。図12は、チャンネルの処理を示すフローチャートである。
【0061】
図12のステップ301において、展開図における製品図形5aの展開長L1が、チャンネル材の巾W1に高さH1×2を加えた値と比較され、製品図形5aの展開長L1が、チャンネル材の巾W1に高さH1×2を加えた値より小さいか否かが判定される。
【0062】
なお、製品図形5aの展開長L1が、チャンネル材の巾W1に高さH1×2を加えた値と等しい場合は、図13(a)に示すようになり、製品図形5aの展開長L1が、チャンネル材の巾W1に高さH1×2を加えた値より小さい場合は、図13(b)、(c)に示すようになる。
【0063】
上記ステップ301において製品図形5aの展開長L1が、チャンネル材の巾W1に高さH1×2を加えた値より小さい場合、ステップ303において、展開図における製品図形5a上にY座標の異なる展開補助線5b1、5b2があるか否かが判定される。
【0064】
すなわち、展開図における製品図形5a上にY座標の異なる展開補助線5b1、5b2が無い場合は、図14(a)、(b)に示すようになり、展開図における製品図形5a上にY座標の異なる展開補助線5b1、5b2がある場合は、図14(c)に示すようになる。
【0065】
次に、上記ステップ303において展開図における製品図形5a上にY座標の異なる展開補助線5b1、5b2がある場合、ステップ305において、製品図形5aの最大点Y1の要素から第1の展開補助線5b1までの距離L2が、チャンネル材の高さH1より小さいか否かが判定される。
【0066】
すなわち、展開図における製品図形5aの最大点Y1の要素から第1の展開補助線5b1までの距離L2が、チャンネル材の高さH1より小さい場合は、図15(a)に示すようになる。
【0067】
上記ステップ305において製品図形5aの最大点Y1の要素から第1の展開補助線5b1までの距離L2が、チャンネル材の高さH1より小さい場合、ステップ307において、展開図における90°面の作成フラグをオンにし、製品図形5aの最大点Y1の要素から第1の展開補助線5b1までの距離L2が、チャンネル材の高さH1より小さくない場合、ステップ309において、展開図における90°面の作成フラグをオフにする。
【0068】
次に、ステップ311において、製品図形5aの最小点Y2の要素から第2の展開補助線5b2までの距離L3が、チャンネル材の高さH1より小さいか否かが判定される。
【0069】
すなわち、展開図における製品図形5aの最小点Y2の要素から第2の展開補助線5b2までの距離L3が、チャンネル材の高さH1より小さい場合は、図15(b)に示すようになる。
【0070】
上記ステップ311において製品図形5aの最小点Y2の要素から第2の展開補助線5b2までの距離L3が、チャンネル材の高さH1より小さい場合、ステップ313において、展開図における270°面の作成フラグをオンにし、製品図形5aの最小点Y2の要素から第2の展開補助線5b2までの距離L3が、チャンネル材の高さH1より小さくない場合、ステップ315において、展開図における270°面の作成フラグをオフにする。
【0071】
なお、展開図における製品図形5aの最大点Y1の要素から第1の展開補助線5b1までの距離L2が、チャンネル材の高さH1より小さく、かつ、展開図における製品図形5aの最小点Y2の要素から第2の展開補助線5b2までの距離L3が、チャンネル材の高さH1より小さい場合は、図15(c)に示すようになる。
【0072】
次に、ステップ317において、展開図における90°面の作成フラグがオンしているか否かが判定され、90°面の作成フラグがオンしている場合、ステップ319において、展開図の90°面における製品図形5aの中で、一番左側の最大点Y3を見つけ出す。
【0073】
次に、ステップ321において、前もって設定されたブリッジ巾W2の条件に基づいて、見つけ出された最大点Y3よりブリッジB3が作成される。
【0074】
すなわち、図17に示すように、最大点Y3をブリッジ作成開始点とし、そのブリッジ作成点Y3からY軸方向へ展開図の最大点(展開図の上端面)Y4までと、最大点Y4からブリッジ巾(所定巾)W2だけ右方向へ移動し、その移動点Y5から製品図形5aまでのブリッジB3を作成する。
【0075】
ここで、ブリッジ巾W2だけ右方向へ移動すると、展開長が大きくなってしまう場合は、展開図の右端をブリッジ作成開始点として、ブリッジ巾W2だけ左方向(反対側)へ移動して、ブリッジB3を作成する。
【0076】
なお、一番左側の最大点Y3をブリッジ作成開始点としているが、これは、被加工部材5を左側から右側に向かって切断する方式により経路短縮されて安全に加工できるレーザ加工機1において、より移動経路が短く安全な加工を行うための処置となっている。
【0077】
なお、被加工部材5を右側から左側に向かって切断する方式により経路短縮されて安全に加工できるレーザ加工機1の場合には、一番右側の最大点がブリッジ作成開始点とされる。
【0078】
次に、ステップ323において、展開図における270°面の作成フラグがオンしているか否かが判定され、270°面の作成フラグがオンしている場合、ステップ325において、展開図の270°面における製品図形5aの中で、一番左側の最小点Y7を見つけ出す。
【0079】
次に、ステップ327において、前もって設定されたブリッジ巾W2の条件に基づいて、見つけ出された最小点Y7よりブリッジB4が作成される。
【0080】
すなわち、図17に示すように、最小点Y7をブリッジ作成開始点とし、そのブリッジ作成点Y7から垂直方向へ展開図の最小点(展開図の下端面)Y8までと、最小点Y8からブリッジ巾(所定巾)W2だけ右方向へ移動し、その移動点Y9から製品図形5aまでとのブリッジB4を作成する。
【0081】
ここで、ブリッジ巾W2だけ右方向へ移動すると、展開長が大きくなってしまう場合は、展開図の右端をブリッジ作成開始点として、ブリッジ巾W2だけ左方向(反対側)へ移動して、ブリッジB4を作成する。
【0082】
なお、一番左側の最小点Y7をブリッジ作成開始点としているが、これは、被加工部材5を左側から右側に向かって切断する方式により経路短縮されて安全に加工できるレーザ加工機1において、より移動経路が短く安全な加工を行うための処置となっている。
【0083】
なお、被加工部材5を右側から左側に向かって切断する方式により経路短縮されて安全に加工できるレーザ加工機1の場合には、一番右側の最小点がブリッジ作成開始点とされる。
【0084】
そして、図3のステップ109に戻り、最大点Y3をブリッジ作成点とし、そのブリッジ作成点Y3から垂直方向へ展開図の最大点Y4までの要素C1と、最大点Y4からブリッジ巾W2だけ右方向へ移動し、その移動点Y5から製品図形5aまでの垂直の要素C2と、最小点Y7をブリッジ作成点とし、そのブリッジ作成点Y7から垂直方向へ展開図の最小点Y8までの要素C3と、最小点Y8からブリッジ巾W2だけ右方向へ移動し、その移動点Y9から製品図形5aまでの垂直の要素C4とし、これらのC1〜C4の要素を製品図形5aの要素と結合して、図11(a)に示すように新たな製品図形を作成し、新たな製品図形に対して割り付けが行われる。
【0085】
このように、本実施形態におけるチャンネルの処理によれば、ワークの高さと一致しない高さを有するチャンネル部品をレーザ加工するに当たって、ワークの端面と部品とを繋ぐブリッジを付加したプログラムを簡単に自動作成することができるようになる。
【0086】
この発明は前述の発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0087】
例えば、上記実施形態では、被加工部材として、断面に等辺を有する等辺山形鋼を用いたが、本願発明はこれに限定されることなく、不等辺山形鋼等の他の山形鋼や、断面凹形状の部材を用いても良い。
【符号の説明】
【0088】
1 レーザ加工機
5 被加工部材
7 レーザ加工ヘッド
9 自動プログラミング装置
10 レーザ加工システム
11 データベース
13 NC装置
15 CPU
17 ROM
19 RAM
21 入力装置
23 表示装置
25 レーザ加工テーブル
29 チャック
31 製品サポート部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18