特許第5891237号(P5891237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイションの特許一覧

特許5891237カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置
<>
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000002
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000003
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000004
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000005
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000006
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000007
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000008
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000009
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000010
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000011
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000012
  • 特許5891237-カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5891237
(24)【登録日】2016年2月26日
(45)【発行日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】カラーグレーディングおよびコンテンツ承認における表示限度を管理するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/64 20060101AFI20160308BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20160308BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20160308BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20160308BHJP
   H04N 21/431 20110101ALI20160308BHJP
【FI】
   H04N9/64 Z
   G09G5/02 B
   G09G3/36
   G09G5/00 550H
   G09G5/00 510V
   H04N21/431
【請求項の数】7
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2013-542028(P2013-542028)
(86)(22)【出願日】2011年11月16日
(65)【公表番号】特表2014-506027(P2014-506027A)
(43)【公表日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】US2011061071
(87)【国際公開番号】WO2012082294
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2013年5月30日
(31)【優先権主張番号】61/422,208
(32)【優先日】2010年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アトキンス、ロビン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チュン チ
(72)【発明者】
【氏名】ウェブスター、アン
【審査官】 西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−513984(JP,A)
【文献】 特表2010−524024(JP,A)
【文献】 特開2002−344761(JP,A)
【文献】 特表2009−500654(JP,A)
【文献】 特開2007−121841(JP,A)
【文献】 特開2009−092732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 9/64
G09G 3/36
G09G 5/00
G09G 5/02
H04N 21/431
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーグレーディングされた表示映像データを入力映像データから生成するカラーグレーディングツールであって、
前記入力映像データをカラーグレーディングして、カラーグレーディングされた映像データを生成しつつ、カラーグレーディングされた映像データをカラーグレーディングディスプレイに表示するように動作可能なカラーグレーディング調整モジュールと、
前記カラーグレーディングディスプレイよりも小さい忠実度の範囲を有する、前記カラーグレーディングディスプレイ以外の対象ディスプレイに表示するために、前記カラーグレーディングされた映像データを、
前記対象ディスプレイの計算表示モデルにより、前記カラーグレーディングディスプレイでの前記カラーグレーディングされた映像データのすべて、または一部の表示をモデリングして、前記カラーグレーディングディスプレイで表示される場合の前記カラーグレーディングされた映像データの一つまたは複数の対応する画素の外観を表す一つまたは複数の修正された画素値を決定すること、
前記対象ディスプレイの忠実度の範囲外の値を有する少なくとも1つの画素を識別すること、
識別された画素の値が前記対象ディスプレイの忠実度の範囲外である前記カラーグレーディングされた映像データの一つまたは複数の識別された画素の画素値を、前記修正された画素値の対応する画素値で置き換えることにより、前記カラーグレーディングされた映像データを修正し、ここで、修正された画素値は、前記対象ディスプレイに関する代替の色度及び輝度のうちの少なくとも一方を含み、更に、前記修正された画素値を少なくとも1つの識別されていない画素の画素値と組み合わせること
により、修正するように構成された表示コンフォーマと
を備え、前記表示コンフォーマは、前記入力映像データを、前記計算表示モデルに適用するように構成されており、前記計算表示モデルは、前記対象ディスプレイが、前記対象ディスプレイの忠実度の範囲外である前記入力映像データの画素を表示するために用いる代替の色度及び輝度のうちの少なくとも一方を決定するように構成されている、カラーグレーディングツール。
【請求項2】
請求項1に記載のカラーグレーディングツールであって、
前記対象ディスプレイは、照明源と、前記照明源により発せられる光を変調するように構成された空間光変調器とを備え、前記表示コンフォーマは、
前記映像データに応答して、前記照明源によって前記空間光変調器上に生成される照明パターンを決定し、
前記照明パターンに基づいて、前記対象ディスプレイの前記忠実度の範囲の忠実度限度を決定するように構成され、
置き換えられる画素値は、決定された忠実度限度に基づいて識別される、カラーグレーディングツール。
【請求項3】
請求項2に記載のカラーグレーディングツールであって、
前記表示コンフォーマは、前記空間光変調器の一つまたは複数の画素において、決定された照明を変調する前記空間光変調器により実現可能な色度空間を決定することにより、前記忠実度限度を決定するように構成されている、カラーグレーディングツール。
【請求項4】
請求項2または3に記載のカラーグレーディングツールであって、
前記表示コンフォーマは、前記空間光変調器の一つまたは複数の画素において、照明を変調する前記空間光変調器により実現可能な輝度範囲を決定することにより、前記忠実度限度を決定するように構成されている、カラーグレーディングツール。
【請求項5】
カラーグレーディングされた映像データの配信において、対象ディスプレイに関連する表示限度を管理する方法であって、前記カラーグレーディングされた映像データは、カラーグレーディング中に、カラーグレーディングディスプレイ上で閲覧され、前記カラーグレーディングディスプレイは、前記対象ディスプレイよりも大きい忠実度の範囲を有し、前記方法は、
前記カラーグレーディングされた映像データを取得すること、
前記カラーグレーディングされた映像データを修正することにより、前記対象ディスプレイに関連する表示映像データを生成することであって、前記修正することは、
前記カラーグレーディングディスプレイ上での前記カラーグレーディングされた映像データのすべて、または一部の表示をモデリングして、前記カラーグレーディングディスプレイによって表示される場合の前記カラーグレーディングされた映像データの一つまたは複数の対応する画素の外観を表す一つまたは複数の修正された画素値を決定すること、
前記対象ディスプレイの忠実度の範囲外の値を有する少なくとも1つの画素を識別すること、
前記カラーグレーディングされた映像データにおいて、画素値が前記対象ディスプレイの忠実度の範囲外であるカラーグレーディングされた映像データの一つまたは複数の識別された画素の画素値を、前記対象ディスプレイが前記対象ディスプレイの忠実度の範囲外の入力映像データの画素を表示するために用いる代替の色度及び輝度のうちの少なくとも一方を含む代替画素値と置き換えて、更に、代替の画素値を少なくとも1つの識別されていない画素の画素値と組み合わせること
を含む、前記生成すること、
前記表示映像データをエンドユーザが利用できるようにすること
を含み、前記代替の色度及び輝度のうちの少なくとも一方は、対象デバイスの計算表示モデルにより決定される、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法を実行するように構成されたシステム。
【請求項7】
カラーグレーディングされた表示映像データを入力映像データから生成するカラーグレーディングツールであって、
前記入力映像データをカラーグレーディングして、カラーグレーディングされた映像データを生成しつつ、カラーグレーディングされた映像データをカラーグレーディングディ
スプレイに表示するように動作可能なカラーグレーディング調整モジュールと、
前記カラーグレーディングディスプレイよりも小さい忠実度の範囲を有する、前記カラーグレーディングディスプレイ以外の対象ディスプレイに表示するために、前記カラーグレーディングされた映像データを、
前記対象ディスプレイの計算表示モデルにより、前記カラーグレーディングディスプレイでの前記カラーグレーディングされた映像データのすべて、または一部の表示をモデリングして、前記カラーグレーディングディスプレイで表示される場合の前記カラーグレーディングされた映像データの一つまたは複数の対応する画素の外観を表す一つまたは複数の修正された画素値を決定すること、
前記対象ディスプレイの忠実度の範囲外の値を有する少なくとも1つの画素を識別すること、
識別された画素値が前記対象ディスプレイの忠実度の範囲外である前記カラーグレーディングされた映像データの一つまたは複数の識別された画素の画素値を、前記修正された画素値の対応する画素値で置き換えることにより、前記カラーグレーディングされた映像データを修正し、ここで、修正された画素値は、前記対象ディスプレイに関する代替の色度及び輝度のうちの少なくとも一方を含み、更に、前記修正された画素値を少なくとも1つの識別されていない画素の画素値と組み合わせること
により、修正するように構成された表示コンフォーマと
を備え、前記表示コンフォーマは、前記入力映像データを、前記計算表示モデルに適用するように構成されており、前記計算表示モデルは、前記対象ディスプレイが、前記対象ディスプレイの忠実度の範囲外である前記入力映像データの画素を表示するために用いる代替の色度及び輝度のうちの少なくとも一方を決定するように構成されており、
前記対象ディスプレイは、照明源と、前記照明源により発せられる光を変調するように構成された空間光変調器とを備え、
前記表示コンフォーマは、
前記映像データに応答して、前記照明源によって前記空間光変調器上に生成される照明パターンを決定し、
前記照明パターンに基づいて、前記対象ディスプレイの前記忠実度の範囲の忠実度限度を決定するように構成され、
置き換えられる画素値は、決定された忠実度限度に基づいて識別される、カラーグレーディングツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像コンテンツなどの画像データコンテンツをカラーグレーディングし、承認し、配信し、および閲覧する際に有用な方法および装置に関する。ある実施形態では、映像コンテンツをカラーグレーディングし、承認し、および/または閲覧するために映像コンテンツを調整するための方法および装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
映像コンテンツの撮影後の作業は、カラーグレーディングを含み得る。カラーグレーディングは、客観的な目的(たとえば異なる条件下で撮影された映像コンテンツ間の色を合わせること)のため、および/または主観的な目的(たとえば特定の美学を達成すること)のために、映像コンテンツの特徴を改善、補正および/またはその他の方法で修正するためのカラーグレーディングツール(たとえばハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装されるツール)を含み得る。カラーグレーディングは、時には、個人(または個人のグループ)によって、カラーグレーディング作業を映像コンテンツに適用し、その結果をディスプレイ上で閲覧する反復プロセスとして実行されることもある。カラーグレーディングは、映像コンテンツの外観に重大な影響を与えることもある。カラーグレーディングされた映像コンテンツは、映像コンテンツが消費者に配信され、および/またはアーカイブ化される前に、承認されることが望ましい。
【0003】
映像コンテンツを表示するために用いられる映像ディスプレイの特性は、映像コンテンツが表示されるときにどのように見えるかに影響することもある。たとえば、ディスプレイによる映像コンテンツの表示は、ディスプレイの色域、ディスプレイが色を生成するために用いる原色、ディスプレイの校正パラメータ、ディスプレイの輝度範囲などの、ディスプレイの特性に影響されることもある。このため、異なる特性を有する映像ディスプレイに表示される同一の映像コンテンツは、人間の視覚系によって異なって認識されることもある。カラーグレーディングを実施し、および/またはカラーグレーディングされたコンテンツを承認する個人は、一貫性のある正確な映像表示を保証するために、明確に定義された特性を有する基準ディスプレイを用いてもよい。
【0004】
ある事例では、基準ディスプレイは、一定の画素値および/または映像コンテンツに含有されてもよい画素値の組み合わせを有する画素を正確に表示できないこともある。結果として、映像コンテンツは、基準ディスプレイによって正確に表示されないため、カラーグレーディングを実行し、またはカラーグレーディングされたコンテンツを承認する者により把握されない値を有する画素を含むこともある。基準ディスプレイでは正確に表示されなかった画素を正確に表示可能なディスプレイ上で、映像コンテンツを閲覧する場合には、映像コンテンツは、基準ディスプレイ上で表示されたものとは異なって表示されることもある。基準ディスプレイ上で正確に表示されなかった画素が、これらの画素を正確に表示可能なディスプレイ上で表示されるときに、映像コンテンツの外観に悪影響を及ぼすことも起こりえる。
【0005】
したがって、映像コンテンツの制作者が正確に把握しない画素の表示によって、映像コンテンツの表示が悪影響を受けるリスクを軽減する方法および装置に対する要望が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は幅広い態様を有する。幅広い態様は、以下を含むが、これらに限定されない。色補正装置;映像および/または静止画像データを製造およびまたは配信するための装置;映像および/または静止画像データを製造するための方法;コンピュータ可読命令を備える非一時的媒体であって、命令が実行されたら、本明細書に記載するように、プロセッサに映像および/または静止画像データを製造および/または配信させる方法を実行する、媒体。
【0007】
態様の一例は、映像データを対象ディスプレイの忠実度の範囲に適合させる方法を提供する。本方法は、映像データの少なくとも1つの画素を修正し、それによって、修正された画素は、対象ディスプレイによって表示される場合の少なくとも1つの画素の外観を少なくとも近似的に表す。
【0008】
態様の別の例は、画像データを配信するための装置を提供する。画像データは、映像および/または静止画像データを備えていてもよい。装置は、ディスプレイと、画像データを前記ディスプレイに表示するために接続されるプレイヤと、表示コンフォーマとを備える。表示コンフォーマは、ディスプレイの忠実度の範囲外である画素値を有する、画像データの忠実度外の画素を識別し、ディスプレイに表示される場合の忠実度外の画素に対応する表示された画素値を推定し、忠実度外の画素の画素値を、推定された表示画素値と置き換えることによって、修正された画像データを生成するように構成されている。
【0009】
本発明の別の態様および本発明の例示的実施形態の特徴は、以下に記載し、添付図で例示する。
添付図は非限定的な例示的実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】映像撮影後の作業ワークフローのブロック図である。
図2】映像画像および映像画素の概略図である。
図2A】複数の色域の概略図である。
図2B】輝度スケールの概略図である。
図3】例示的実施形態による表示コンフォーマを有するカラーグレーディングツールのブロック図である。
図4】表示コンフォーマが実装してもよい映像データを適合するための方法のフローチャートである。
図5】表示コンフォーマが実装してもよい映像データを適合するための方法のフローチャートである。
図6】表示コンフォーマが実装してもよい映像データを適合するための方法のフローチャートである。
図7】表示コンフォーマが実装してもよい映像データを適合するための方法のフローチャートである。
図8】カラーグレーディングツールが実装してもよい方法のフローチャートである。
図9】表示コンフォーマが実装してもよい表示モデルを構成するための方法のフローチャートである。
図10】例示的実施形態による映像撮影後製造ワークフローのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明を通じて、具体的な詳細を当業者がより完全に理解するために記載する。ただし、周知の要素は、本開示を不必要に分かりにくくすることを防ぐために詳細に図示されず、または記載されていないこともある。したがって、説明および図は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で理解されるべきである。
【0012】
図1は映像撮影後の作業および配信ワークフロー10を例示するブロック図である。映像データソース12からの入力映像データ14はカラーグレーディングツール16に提供される。カラーグレーディングツール16は、画素値を修正して、色、明るさ、コントラストなどを変えるなどして、入力映像データ14を改善、補正および/またはその他の方法で修正するように動作可能である。カラーグレーディングツール16の作業映像データ18をカラーグレーディング基準ディスプレイ20に提供する。カラーグレーディング基準ディスプレイ20は作業映像データ18を表示する。
【0013】
カラーグレーディングツール16のユーザは、作業映像データ18を基準ディスプレイ20で閲覧して、入力映像データ14のカラーグレーディング作業の効果を評価してもよい。入力映像データ14のカラーグレーディングが終了すると、カラーグレーディングされた映像データ22は承認基準ディスプレイ24に送られ、そこで承認のために閲覧され得る。カラーグレーディング基準ディスプレイ20および承認基準ディスプレイ24は、同一のディスプレイであっても、異なるディスプレイであってもよい。カラーグレーディングされた映像データ22が承認されると、承認された映像データ26は、アーカイブ28、配信ネットワーク30および/またはエンドユーザディスプレイ32に提供され得る。
【0014】
ある実施形態では、ワークフロー10の映像データ(たとえば入力映像データ14、作業映像データ18、カラーグレーディングされた映像データ22、および/または承認された映像データ26)は、あるディスプレイでは正確に表示することができない映像画素を備えることもある。たとえば、(たとえばYUV色空間の)単一の輝度座標および2つの色度座標によって特定される映像画素を考慮されたい。ディスプレイは、ディスプレイが表示可能な最大輝度を超える輝度を輝度座標の画素値が特定する場合には、映像画素を正確に表示できないこともある。色度座標の画素値の組み合わせが、ディスプレイが正確に表示することができる色域外の色度を特定する場合には、ディスプレイはまた、映像画素を正確に表示することができないこともある。別の例をとして、XYZの三刺激値の組に関して特定される映像画素を考慮されたい。この映像画素は、人間の視覚系の色度色域と同程度に広い範囲の色度色域の色を表示するために十分広い範囲の任意の値を取ることもあり、輝度範囲は、すべての色度、および隣接する画素間の無限コントラストに対して0から104cd/m2である。XYZ三刺激値の組み合わせが、ディスプレイが表示可能な最大輝度よりも高い輝度を特定する場合、またはXYZ三刺激値の組み合わせが、ディスプレイが正確に表示することができる色域外の色度を特定する場合、または近隣の画素間のコントラストがディスプレイの空間コントラスト限度を超える場合には、ディスプレイは映像画素を正確に表示できないこともある。
【0015】
便宜上、用語「画素値」は、本明細書において、単一の値で特定される画素値、複数の画素値で特定される画素の画素値の一つ、または複数の値で特定される画素の2以上の画素値の組み合わせを指すために用いられ得る。映像画素が特定のディスプレイによって表示することができない画素値を有する場合、これは、画素値が、映像画素に対応する表示画素において、正確にレンダリングされることができない輝度および/または色度を特定することを意味し得る。
【0016】
ディスプレイによって正確に表示される映像画素は、ディスプレイの「忠実度範囲(fidelity range)」内にあると言うことができる。定義上は、ディスプレイの忠実度の範囲外の映像画素は、ディスプレイでは正確に表示されない。
【0017】
映像画素は、いくつもの理由の中の1つまたは複数の理由から、ディスプレイの忠実度の範囲外であることもある。ディスプレイは、表示素子(たとえば液晶ディスプレイ(LCD)パネル、可変形鏡素子(deformable mirror device:DMD)などの空間光変調器(SLM);冷陰極蛍光管(CCFL)バックライト、発光ダイオード(LED)、プラズマ細胞、リン光体などの発光体など)を備える。ディスプレイは、映像画素内で特定される値に対応する光を発光し、および/または制御するために表示素子を制御することによって、画像を生成する。映像画素内で特定される値を正確に表現する光を発するように表示素子が制御されないため(たとえば画像処理の結果として)、または表示素子を制御できないため(たとえばディスプレイの画素で実現できる輝度範囲および/または色度色域を制限する表示素子の物理的な限度によって)に、映像画素は、不正確にレンダリングされることもある。便宜上、直接的または間接的に、映像画素を不正確にレンダリングするディスプレイの特質は、本明細書において「表示限度」と称することもある。用語「限度」および「能力」は、同一の特質(たとえば輝度範囲または色度色域)を指すために用いられてもよいことを理解されたい。
【0018】
ある表示限度は、ディスプレイのすべての画素に均一に適用される。この一例は、均一に照明されたLCDパネルによって実現可能な色度色域である。別の表示限度は、たとえばディスプレイの別の表示素子に対して表示画素が配置される方法によって、異なる表示画素間で異なる。たとえば、空間的に不均一な照明を空間光変調器に提供するように構成される発光体を備えるディスプレイを考慮されたい。このようなディスプレイでは、空間光変調器のある画素は、別の画素よりも相対的に明るい光を発光体から受光するように位置してもよい。相対的に明るい光を発光体から受光するように位置するこれらの表示画素は、相対的に暗い光を受光するように位置する表示画素の対応する限度よりも大きい最大および最小輝度限度を有していてもよい。非常に明るい白色映像画素は、相対的に明るい光を受光するように位置する表示画素の忠実度範囲内であり得るが、相対的に暗い光を受光するように位置する表示画素の忠実度範囲外であり得る。
【0019】
便宜上、(たとえばディスプレイの1つまたは複数の表示素子に対する)表示画素の空間位置に依存する表示限度は、空間依存型表示限度と称されることもある。反対に、(たとえばディスプレイの1つまたは複数の表示素子に対する)表示画素の空間位置に依存しない表示限度は、空間非依存型表示限度と称することもある。
【0020】
あるディスプレイでは、表示画素が正確に映像画素を表示できるかどうかは(つまり、映像画素が表示画素の忠実度範囲内であるかどうかは)、1つまたは複数の別の表示画素に対応する映像画素の値に依存する。これは、単一の表示素子が2つ以上の表示画素の外観に寄与するディスプレイにおいて起こることがある。その場合は、1つの映像画素を正確に表示するためには、表示素子を別の映像画素が不正確に表示されるように制御することが必要となることもある。たとえば、透過型SLM(たとえばLCD)の一部分を照明するように構成される単一の調光可能な発光体を備えるディスプレイを考慮されたい。このようなディスプレイでは、空間光変調器の任意の2つの隣接する表示画素は、発光体から出力される光の明るさに関わらず、ほぼ同一レベルの照明を発光体から受光する。SLMの表示画素の各々が、遮断できる入射光の割合で制限され、表示画素に対応する映像画素がそれぞれ絶対黒および最大に明るい白を特定する場合は、1つまたは両方の映像画素は正確に表示されない。調光可能な光源は最大に明るい白より暗い白を表示して、絶対黒を実現することができるように相対的に低い照明を提供するように駆動されるか、または調光可能な光源は絶対黒より明るい黒を表示して、明るい白を実現することができるように相対的に高い照明に駆動されるか、または調光可能な光源は中間レベルの照明を提供するように駆動されて、絶対黒も最大に明るい白も実現されないかの、いずれかである。
【0021】
表示画素の忠実度の範囲が、1つまたは複数の別の表示画素に対応する映像画素の値に依存することもある方法の別の例は、制限された資源を表示素子間で共有しなければならない場合である。たとえば、制限された容量を有する共有電源から電力を引き出す、調光可能な発光体のアレイを備えるディスプレイを考慮されたい。このようなディスプレイでは、電源がすべての発光体を最大まで同時に駆動するために十分な電力を供給できないこともある。この場合、および略すべての映像画素が相対的に高い輝度を特定する場合は、ディスプレイは、すべての発光体を表示画素の特定の輝度を生成するために必要なレベルまで駆動できないこともある。
【0022】
便宜上、表示画素の忠実度範囲を1つまたは複数の別の表示画素に対応する映像画素の値に依存させるディスプレイの特性は、「コンテンツ依存型表示限度」と称され得る。反対に、別の表示画素に対応する映像画素の値に関わらず、忠実度範囲を制限するディスプレイの特質は、「コンテンツ非依存型表示限度」と称され得る。
【0023】
ある事例では、ディスプレイは、(たとえばコンテンツ非依存型表示限度を超えることなく)ディスプレイが各映像画素を別々に正確に表示可能なことがある場合であっても、(たとえばコンテンツ依存型表示限度によって)同時に特定の映像画素のセットを正確に表示不能なこともある。コンテンツ依存型およびコンテンツ非依存型表示限度の両方は、特定の映像画素に対して、対応する表示画素(たとえばディスプレイの1つまたは複数の表示素子に対する位置)の位置に依存するように、空間依存型であってもよい。
【0024】
複数の表示限度は、特定の表示画素の忠実度範囲を画定するために潜在的に適用されてもよいことを理解されたい。その場合は、表示画素の忠実度範囲を正確に決定することは、計算またはハードウェア集約型にするものであってよい。ある実施形態では、表示限度の概算を適用して、忠実度範囲を決定する。このような概算の1つは、空間依存型表示限度の代わりに、単一の非空間依存型表示限度をすべての表示画素に適用することを含む。たとえば、ディスプレイの最大輝度が空間依存型である場合は、映像画素がディスプレイによって表示可能かどうかを決定するために、ディスプレイの任意の画素によって実現可能な最大輝度に等しい単一の空間非依存型最大輝度を全体的に適用してもよい。便宜上、少なくとも1つの表示画素によって実現可能であるが、少なくとも1つの別の表示画素によっては実現可能ではない空間非依存型、コンテンツ非依存型表示限度は、本明細書において「まれに実現可能」と称されることもある。
【0025】
別の例として、ディスプレイの最大輝度が空間依存型の場合は、最も小さい最大輝度を有する画素によって実現可能な最大輝度に等しい単一の空間非依存型最大輝度を全体的に適用して、任意の映像画素が空間非依存型限度に反することになるのかを決定してもよい。便宜上、それぞれの表示画素によって実現可能な空間非依存型、コンテンツ非依存型表示限度は、本明細書において「全体的に実現可能」と記載されることもある。
【0026】
図2、2Aおよび2Bは、概略的例示図であり、例示するデュアル変調器の対象表示ディスプレイの表示限度が、どのようにディスプレイ上に表示される画像34の外観に影響するかを示す。図2、2Aおよび2Bの例示が関連する例示する対象ディスプレイは、赤色、緑色、および青色のSLM画素のアレイ(たとえばタイル模様に配置された赤色、緑色および青色のLCD画素)を有する空間光変調器(SLM)(たとえばLCDパネル)を備える。照明源(たとえば局所的に調光可能なLEDバックライト)によって照明されたディスプレイのSLMは、個別に制御可能な赤色、緑色および青色発光体(たとえば赤色、緑色および青色LED)のアレイを備える。照明源発光体アレイの解像度はSLM画素アレイの解像度より低い。
【0027】
映像画像34は、明るいネオンサインを右下隅に有する夜景を撮像する。ネオンサインは非常に明るく、深く飽和した青色特徴34Bと重なる非常に明るく、深く飽和した黄色特徴34Yを有する。特徴34Yおよび34Bは、純黒の背景34K上にある。画素格子35は、画像34の縁部34’の4つの画素を示す。映像画素35Yは特徴34Yに属し、非常に明るく、深く飽和した黄色を表す画素値を有する。映像画素35Bは特徴34Bに属し、非常に明るく、深く飽和した青色を表す画素値を有する。映像画素35Kは背景34Kに属し、純黒を表す画素値を有する。
【0028】
図2Aでは、色度図36は、複数の色域、つまり、人間の視覚系36Aによって認知可能な色度の色域と、対象ディスプレイ36Bの全体的に実現可能な色度色域と、画像34に関連する映像画素35Yに対応するSLM画素のコンテンツ依存型色度色域36Cとを例示する。色域36Aから36Cは例示目的で割り当てられ、実際の色度色域または実際の色度色域間の関係を示すものと解釈されてはならない。
【0029】
ディスプレイのSLMおよび照明源が赤色、緑色および青色の原色に基づくため、色域36Bは三角形であり、色域36Aによって囲まれる。ディスプレイのすべての画素は、コンテンツ非依存型基準に基づいて、色域36B内部の色度を表示可能であるため、色域36Bはディスプレイのコンテンツ非依存型であり、全体的に実現可能な色度限度を表す。考慮されるディスプレイの特定の例では、色域36Bはまた、ディスプレイのまれに実現可能な色度色域でもある(つまり、ディスプレイのいずれの画素も、色域36B外の色度を表示不能である)。
【0030】
画素35Yに隣接する映像画素35Bは、深く飽和した青色を表す画素値を有するため、色域36Cは黄色領域に切欠を有する。この青色を実現するために、ディスプレイは映像画素35Bに対応するSLM画素を青色照明源発光体の光で照明する。照明源発光体アレイの解像度はSLM画素アレイの解像度より低いため、画素35Bに対応するSLM画素を照明する青色発光体からの青色光は、映像画素35Yに対応するSLM画素も照明する。この青色光の一部は、映像画素35Yに対応するSLM画素によって完全には遮断されることはない。その結果として、ディスプレイは映像画素35Yをもっぱら赤色および緑色光で表示することはできない(RGBカラースキームでは、赤色と緑色光を混ぜて黄色光を生成する)。したがって、ディスプレイは映像画素35Yを「純粋に」飽和した黄色として表示することはできない。ディスプレイは、映像画素35Yに対応するSLM画素で、色域36C外の色度を表示不能なため、画像34を表示するときには、色域36Cはディスプレイのコンテンツ依存型、色度差限度を表す。
【0031】
点36Yは、画素35Yの画素値によって表される色度を示す。点36Yは色域36A内であるが、色域36Bおよび36C外である。点36Yは色域36B外であり、ディスプレイは任意のディスプレイのSLM画素で点36Yによって示される色度を正確に表示することはできず、表示することができる最も近い色度は点36Y’によって示される。しかし、点36Y’は(映像画素35Yに対応するSLM画素および画像34の画素値に特有である)色域36C外のため、ディスプレイは画像34を表示するときに、画像画素35Yに対応するSLM画素で点36Y’によって示される色度を正確に表示することはできない。代わりに、ディスプレイは、映像画素35Yを点36Y”で示す代替色度で表示する。点36Y”は色域36Cの境界に位置する。点36Y”で示す色度は、点36Yで示す色度とは異なる。
【0032】
図2Bでは、輝度図37は複数の輝度限度37A−Hを輝度スケール37’に沿って例示する。輝度スケール37’は例示目的で割り当てられ、輝度限度の実際の輝度または輝度限度間の関係を示すものと解釈されてはならない。輝度限度37A−Hは次のように理解されてもよい。
【0033】
輝度限度37Aは特定の周辺照明条件下で、人間の視覚系で認知可能な最大輝度を示す。限度37Aを超える輝度は、人間の視覚系では限度37Aの輝度と同一に認識される。
輝度限度37Bは、ディスプレイのまれに実現可能な最大輝度限度を示す。例示するディスプレイに関しては、それは、最も明るい画素で最大強度の照明を生成するために照明源発光体が駆動されるとき、および,最も明るいSLM画素が最大に光を透過するように駆動されるときに、最も明るい表示画素(たとえば照明源発光体からの最大強度の光を受光するように位置するSLM画素)から発せられる光の輝度である。
【0034】
輝度限度37Cは、映像画像34に対するディスプレイのコンテンツ依存型最大輝度限度の合計を示す。ディスプレイの制限された電力配分を照明源発光体間で共有しなければならず、映像画像34の画素は、ディスプレイから出力することができる制限された総輝度を「共有」しなければならない。結果として、映像画像34の任意の1つの画素に対して達成することができるディスプレイの最大輝度は、制限されることもある。
【0035】
輝度限度37Dは、画素35Yに対応するSLM画素でのディスプレイのコンテンツ非依存型、空間依存型の最大輝度限度を示す。照明源発光体アレイの解像度はSLM画素アレイの解像度より低いため、一部のSLM画素は別のSLM画素よりもより多くの光を照明源発光体アレイから受光するように(たとえば相対的に多くの発光体から受光するように、または相対的に強い強度の光を特定の発光体から受光するように)配置される。映像画素35Yに対応するSLM画素は画像縁部に位置するため、ディスプレイ縁部に近いSLM画素で表示され、そのSLM画素は、ディスプレイ縁部は、相対的に少ない発光体から光を受光し(ディスプレイは縁部外にはほとんど、または全く発光体を持たない)、それに対応して低いコンテンツ非依存型、空間依存型の最大輝度限度を有する。
【0036】
輝度限度37Eは、映像画素35Yに対応するSLM画素に対するディスプレイのコンテンツ依存型、局所的な特徴の最大輝度限度を示す。映像画素35Yは、画素値が純黒を表す映像画素35Kに隣接するため、映像画素35Yに対応するSLM画素を照明する照明源発光体をあまり強く駆動することはできない。さもないと、映像画素35Kに対応するSLM画素にあたる光が強すぎて、映像画素35Kの表示が明るくなりすぎる。
【0037】
輝度限度37Fは、点36Y’で表される色度のためのディスプレイのコンテンツ非依存型色度に特有の最大輝度限度を示す。点36Y’によって表される色度を有する光を提供するために、映像画素35Yに対応するSLM画素は少なくとも一部の(映像画素35Bを表示するために必要な)青色光を遮断しなくてはならない。この遮断された光はこのSLM画素の輝度に貢献しない。
【0038】
輝度限度37Gは、特定の周辺照明条件下で(たとえばディスプレイの表面から反射する周辺光などによって)、ディスプレイを閲覧する人間の視覚系が認識可能な最小輝度を示す。限度37Gより低い輝度は人間の視覚系では、限度37Gの輝度と同一と認識される。
【0039】
輝度限度37Hは、ディスプレイのコンテンツ依存型最小輝度限度を示す。映像画像34は、画像全体にわたって分布した複数の明るい特徴(不図示)を含有しているため、照明源が提供する背景の照明レベルと、光を遮断するためのSLM画素の制限された能力によって、最小輝度フロア(黒レベル)となり、これを下回る輝度はいかなるSLM画素によっても実現することができない。
【0040】
輝度限度37Iは、映像画素35Kに対応するSLM画素のためのディスプレイのコンテンツ依存型で、局所的な特徴の最小輝度限度を示す。映像画素35Kは、画素値が明るく、飽和した黄色を表す映像画素35Yに近接するため、映像画素35Kに対応するSLM画素を照明するように配置される照明源発光体は、あまり暗く駆動することはできない。さもないと、映像画素35Yに対応するSLM画素に提供される光があまりに少ないと、映像画素35Yは非常に暗く見える。
【0041】
輝度限度37A−Iによって示される輝度限度の結果として、ディスプレイは輝度限度37F(最も小さい最高輝度限度)と同じかまたはそれより低い輝度を持つ映像画素35Yのみを表示可能であり、輝度限度37I(最も大きい最低輝度限度)と同じかまたはそれを超える輝度を持つ映像画素35Kのみを表示可能である。
【0042】
点37Yは、映像画素35Yの画素値によって表される輝度を示す。点37Yの輝度は、映像画素35Yに対応するSLM画素のためのディスプレイの最も小さい最高輝度限度よりも大きく、つまり輝度限度37Fである。ディスプレイは、映像画素35Yの画素値によって表される輝度37Yを正確に表示することはできないため、ディスプレイは、映像画素35Yを点37Y’で示される代替輝度で表示する。点37Y’は最も小さい最高輝度限度37Fに位置する。点37Y’で示される輝度は、点37Yで示される輝度とは異なる。
【0043】
点37Kは、映像画素35Kの画素値によって表される輝度を示す。点37Kの輝度は映像画素35Kに対応するLCD画素のためのディスプレイの最も大きい最低輝度限度、つまり輝度限度37Iよりも大きい。ディスプレイは映像画素35Kの画素値によって表される輝度35Kを正確に表示することはできないため、ディスプレイは点37K’で示される代替輝度を持つ映像画素35Kを表示する。点37K’は最も大きい最低輝度限度37Iに位置する。点37K’で示される輝度は、点37Kで示される輝度とは異なる。
【0044】
図2、2Aおよび2Bの表示限度の例示は網羅的なものではない。別の表示限度が存在し、本明細書に記載された実施形態は、そのような別の表示限度を管理するために適応、および/または適用されてもよい。
【0045】
作業映像データ18がディスプレイ20の忠実度範囲外の画素を備える場合は、カラーグレーディング基準ディスプレイ20は、正確にこれらの画素を表示しない。たとえば、ディスプレイ20は、そのような画素を代替色度および/または輝度を用いて表示してもよい。ディスプレイ20上で作業映像データ18の外観に正確に反映されない画素は、ディスプレイ20の忠実度範囲よりも大きい忠実度範囲を有する別のディスプレイ上で見る場合は、その外観における認識は異なることもある。たとえば、ディスプレイ20の忠実度範囲外であった画素の画素値を含む忠実度範囲を有する別のディスプレイは、これらの画素を正確に、(つまり、代替ではなく、真の色度および輝度で)表示してもよい。
【0046】
ディスプレイ20上の画素の不正確な表示によって、カラーグレーディングされた映像データ22は、カラーグレーディングされた映像データ22が、ディスプレイ20以外のディスプレイ上で表示されるときにカラーグレーダ(カラーグレーディングを行う者)が意図されたものとは異なるように見える原因となる画素を含有することもある。たとえば、承認基準ディスプレイ24が、カラーグレーディング基準ディスプレイ20の忠実度範囲外であった、カラーグレーディングされた映像データ22に含まれるある画素を正確に表示できる場合は、カラーグレーディングされた映像データ22は、承認のために映像データをディスプレイ24で閲覧する個人にとっては、カラーグレーダがディスプレイ20で見たものと異なって見えることもある。
【0047】
同様に、カラーグレーディングされた映像データ22は、承認基準ディスプレイ24によって正確に表示されない画素を備えていてもよい。これは、カラーグレーディングされた映像データ22が、ディスプレイ24よりも大きい忠実度範囲を有する別のディスプレイ上に表示されるときに、カラーグレーディングされた映像データ22が異なるように見える原因となる画素を含有するときに、承認される結果となってもよい。これによって、これらの画素を正確に表示可能である承認された映像データ26のディスプレイ上の表示は、基準ディスプレイ24上で見るときと異なる外観で認識されるという対応するリスクが生じる。
【0048】
図3は例示的実施形態によるカラーグレーディングツール40のブロック図である。カラーグレーディングツール40は、ハードウェアと、ソフトウェアを実行するようにプログラムされたデータプロセッサと、ファームウェアを実行するようにプログラムされたデータプロセッサと、またはそれらの任意の適切な組み合わせにおいて実装されてもよい。カラーグレーディングツール40は、カラーグレーディング調整モジュール42と、表示コンフォーマ44とを備える。
【0049】
カラーグレーディング調整モジュール42は、入力映像データ14を受信するように構成される。カラーグレーディング調整モジュール42はカラーグレーディング調整を入力映像データ14に適用するように動作可能であり、それによってカラーグレーディングされた映像データ46が生成される。カラーグレーディング調整モジュール42は、カラーグレーディング調整の事前に決められたセットおよび/または順番を入力映像データ14に適用するように構成されてもよい。ある実施形態では、カラーグレーディング調整モジュールは、カラーグレーディング調整をユーザ入力48に応じて(たとえば個別のカラーグレーダによる入力に応じて)適用するように構成されている。カラーグレーディングツール40は、既存のカラーグレーディングツールによって提供される機能性と類似または同一のカラーグレーディングの機能性を提供してもよい。カラーグレーディングツール40は、たとえば、既存のカラーグレーディングツールの部品またはモジュールを備えていてもよい。
【0050】
表示コンフォーマ44は、入力映像データ14Aを受信するように構成される。例示する実施形態では、入力映像データ14Aは、カラーグレーディングされた映像データ46を備える。表示コンフォーマ44は、選択的に入力映像データ14Aの画素を修正することによって、表示映像データ50を入力映像データ14Aから生成するように動作可能である。表示コンフォーマ44は、表示映像データ50をデータストリームとして(たとえば表示映像データ50を別の装置に、ネットワークなどを介して通信することによって)、または固定データとして(たとえば表示映像データ50を、非一時的書き込み可能媒体、メモリ、ディスクなどのデータストアに収容することによって)、提供してもよい。
【0051】
入力映像データ14Aが、対象ディスプレイ(たとえばカラーグレーダが作業映像データを閲覧するために用いるディスプレイ)の忠実度範囲外の画素を含有する場合、表示コンフォーマ44は、入力映像データ14Aの忠実度範囲外の画素の少なくとも一部を、表示映像データ50内の修正された画素が、入力映像データ14Aの忠実度範囲外の画素よりも、対象ディスプレイの忠実度範囲に少なくとも近づく(たとえば対象ディスプレイの忠実度範囲に近づき、または、好ましくは、対象ディスプレイの忠実度範囲内となる)ように修正することによって、表示映像データ50を生成するように構成される。入力映像データ14Aが、対象ディスプレイの忠実度範囲外の画素を備える場合は、対象ディスプレイおよび対象ディスプレイより広い忠実度範囲を有する別のディスプレイによって表示される表示映像データ50の外観の差(もしあれば)は、対象ディスプレイおよび別のディスプレイによって表示される入力映像データ14Aの外観の差(たとえあったとしても)よりも分かりにくい。
【0052】
ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、入力映像データ14の画素値が対象ディスプレイの忠実度範囲外であるかどうかを決定する画素セレクタを備え、画素値が範囲外である場合は、選択された画素を画素値修正段階に進める。対象ディスプレイの忠実度範囲内の画素値は、修正せずに通過してもよい。
【0053】
ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、表示映像データ50を入力映像データ14Aからリアルタイムで、またはほとんどリアルタイムで(たとえばカラーグレーディング中に)生成するように動作可能である。ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、表示映像データ50を前もって記録された入力映像データ14Aから生成するように動作可能である。
【0054】
ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、対象ディスプレイの忠実度範囲外である入力映像データ14Aの少なくとも一部の画素を、表示映像データ50の修正された画素が、対象ディスプレイの忠実度範囲内となるように修正するように構成される。このような実施形態では、表示コンフォーマ44によって生成された表示映像データ50は、入力映像データ14Aと比較すると、対象ディスプレイによって正確に表示不能な画素は含有しないか、またはほとんど含有しないようになる。結果として、対象ディスプレイおよび対象ディスプレイより広い忠実度範囲を有する別のディスプレイによって表示される場合は、表示映像データ50の外観の差(もしあれば)は、対象ディスプレイおよび対象ディスプレイより広い忠実度範囲を有する別のディスプレイによって表示される入力映像データ14Aの外観の差(たとえあったとしても)よりも分かりにくい。
【0055】
ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、対象ディスプレイの忠実度範囲外である入力映像データ14Aの少なくとも一部の画素を、表示映像データ50が対象ディスプレイによって表示されるときに、表示映像データ50の修正された画素が、入力映像データ14Aの対応する忠実度範囲外の画素が対象ディスプレイによって表示される場合と少なくとも略同一に見えるように修正するように構成される。たとえば、表示コンフォーマ44は、対象ディスプレイの忠実度範囲外の画素を、表示映像データ50の修正された画素が、少なくとも非常に近似して、対象ディスプレイが忠実度範囲外の画素を表示するのに用いられる代替色度および/または輝度を表すように、修正するように構成されてもよい。表示映像データ50の修正された画素は、対象ディスプレイによって表示される代替色度および/または輝度を表し、これらの画素は必然的に対象ディスプレイの忠実度範囲内である。
【0056】
このような画素の修正は、ツール40を用いてカラーグレーディングを実施する個人に対して、大部分または完全にトランスペアレントであってもよい。たとえば、色域外の色度を代替の色域内の色度で特定する画素を表示する対象ディスプレイを考慮されたい。入力映像データ14Aが対象ディスプレイの色域外の色度を特定する画素を含有する場合は、対象ディスプレイは画素を代替の色域内の色度で表示する。代替の色域内の色度は、対象ディスプレイの忠実度範囲内の画素値の組み合わせによって表され得る。表示コンフォーマ44が色域外の色度を表す画素を修正して、その修正された画素値が代替色域内の色度を表す忠実度範囲内の画素値の組み合わせと一致するようにする場合は、表示映像データ50の修正後の画素および入力映像データ14Aの修正前の画素は、両方とも対象ディスプレイによって代替色域内の色度を用いて表示される。
【0057】
表示コンフォーマ44は、入力コンテンツ14Aの対象ディスプレイの忠実度範囲外のすべての、または略すべての画素を修正するように構成されてもよい。それによって、表示映像データ50の修正された画素は、少なくとも近似的に、代替色度および/または輝度を表す。この代替色度および/または輝度を用いて、対象ディスプレイは忠実度範囲外の画素を表す。つまり、表示コンフォーマ44は、対象ディスプレイによって代替色度および/または輝度で表示される入力映像データ14Aのすべての、または略すべての画素が、表示映像データ50において、少なくとも近似的に、代替色度および/または輝度を表す画素値で特定されるように、表示映像データ50を生成するように構成されてもよい。表示コンフォーマ44がこのように構成されると、表示映像データ50および入力映像データ14Aは、対象ディスプレイに表示されると、同一、または略同一に見える。さらに、表示映像データ50が対象ディスプレイより広い忠実度範囲を有する別のディスプレイによって表示される場合は、別のディスプレイが表示する表示映像データ50は、対象ディスプレイが表示する表示映像データ50(または同等に、入力映像データ14A)と同一、または略同一に見える。
【0058】
画素が対象ディスプレイの忠実度範囲外である画素値の組み合わせを有する場合は、表示コンフォーマ44は、画素値の組み合わせの画素値すべてまたは一部のみを修正するように構成されてもよい。たとえば、画素の画素値の組み合わせが対象ディスプレイの色域外の色度を特定する場合は、表示コンフォーマ44は、修正された画素の色度を対象ディスプレイの色域内にするように、1つの画素値のみを修正するように構成されてもよい。複数の画素が、相互に依存するコンテンツ依存型表示限度(たとえば空間コントラスト限度、空間色度差限度)のために、特定のディスプレイの忠実度範囲外である場合は、表示コンフォーマ44は、複数の画素のすべてまたは一部のみを修正するように構成されてもよい。たとえば、複数の隣接する画素間のコントラスト比が対象ディスプレイの表示限度を超えるために、隣接する画素が対象ディスプレイの忠実度範囲外である場合は、表示コンフォーマ44は、隣接する画素のうち1つのみの1つまたは複数の画素値を修正するように構成されてもよい。
【0059】
ある実施形態では、表示コンフォーマ44は任意には対象ディスプレイが正確に表示することができる画素を修正するように構成される。たとえば、表示コンフォーマ44は、このような修正が、対象ディスプレイの忠実度範囲外の画素を修正するスキームの一部である場合に(たとえば輝度範囲限度にまたがる第1の輝度範囲を圧縮して、輝度範囲内の第2の輝度範囲に適合させ、色域境界にまたがる色の第1の空間を圧縮して、色域内の色の第2の空間に適合させるなどの場合に)、対象ディスプレイが正確に表示することができる画素を修正するように構成されてもよい。
【0060】
ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、対象ディスプレイによる入力映像データ14Aの表示をモデリングすることによって、および表示映像データ50が、モデルによって決定された色度および/または輝度を少なくとも近似的に表すように画素を修正することによって、表示映像データ50を生成するように構成される。たとえば、表示コンフォーマ44は、入力映像データ14Aを対象ディスプレイの計算表示装置モデルに適用するように構成されてもよい。この表示モデルは、対象ディスプレイが、対象ディスプレイの忠実度範囲外の入力映像データ14A内の画素を表示するときに用いる代替色度および/または輝度を少なくとも近似的に決定し、決定された代替色度および/または輝度を表す画素値を決定するように構成される。
【0061】
前述の作業は組み合わせてもよいことを理解されたい。たとえば、表示コンフォーマ44は、計算関数を適用して、またはルックアップテーブルを用いて、画素値を入力データ14Aからマッピングし、事前に決定された代替色度および/または輝度を表す画素値を出力するように構成されてもよい。
【0062】
ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、対象ディスプレイが入力映像データ14Aの画素を対象ディスプレイのモデルを用いて表示する際に用いる代替色度および/または輝度を少なくとも近似的に決定するように構成される。モデルは、入力映像データ14Aまたは画素値を入力映像データ14Aから取り、入力映像データ14Aを対象ディスプレイ上で再生する場合の対象ディスプレイの実際の外観を推定する画素値を備える出力を作成するように構成されてもよい。モデルは、データプロセッサ上で実行されるソフトウェア命令を備えていてもよく、その命令によってデータプロセッサは、モデルおよび/または設定可能なまたは配線論理回路の出力を計算させる。
【0063】
図4は方法60のフローチャートを示す。この方法60を、表示コンフォーマ44は、表示映像データ50を生成するために実施してもよい。ステップ62は、対象ディスプレイが入力映像データ14Aを表示するときに用いる色度および/または輝度をモデリングする。対象ディスプレイが代替色度および/または輝度を対象ディスプレイの忠実度範囲外の画素に対して表示する場合は、ステップ62は代替色度および/または輝度に少なくとも近似する、モデリングされた表示色度および/または輝度を決定する。ステップ62で用いられるモデルは、1つまたは複数のルックアップテーブル、計算関数、それらの組み合わせなどの入力を適用することを含んでいてもよい。
【0064】
ステップ64は、モデリングされた表示色度および/または輝度を表す画素値を決定する。ステップ66は、決定された画素値を出力表示映像データ50の画素に用いる。
図5は方法60Aのフローチャートを示す。この方法60Aを、表示コンフォーマ44は、照明源と、照明源からの光を変調するように構成されるSLMとを有する対象ディスプレイに対応する表示映像データ50を生成するように実施してもよい。方法60Aは、方法60のステップを備える。方法60Aでは、ステップ62はステップ62Aと、62Bとを備える。ステップ62Aは、SLMの画素で対象ディスプレイの照明源が生成する光を示すスペクトルパワー分布曲線を決定する。ステップ62Aは、たとえば、入力データ14Aに対応する値を駆動するために、たとえば、照明素子の発光スペクトルを表すスペクトルパワー分布曲線をSLMで照明素子により生成される光強度を示す点広がり関数で畳み込むことを含んでもよい。
【0065】
ある実施形態では、ステップ62Aは、SLMで光の様々なスペクトルパワー分布曲線を付加して組み合わせることを備えていてもよい。たとえば、ステップ62Aは、様々な発光体からの光に対応するスペクトル分布曲線を付加して組み合わせることを備えていてもよい(たとえば様々な照明素子が同一の画素を照明する場合)。ある実施形態では、ステップ62Aは、様々な光のスペクトルを発光する発光体からの光に対応するスペクトル分布曲線を付加して組み合わせることを備えていてもよい(たとえば照明源が複数のスペクトル的に明確な原色を用いて着色光を発光する場合)。ある実施形態では、ステップ62Aは、SLMの空間解像度より低い空間解像度で、2つ以上の画素に用いる同一のスペクトルパワー分布曲線で実行されてもよい(たとえば単一のスペクトルパワー分布曲線を複数の相互排他的な変調器画素のグループのそれぞれにモデリングしてもよい)。
【0066】
ステップ62Bは、SLMによって調整された光のスペクトルパワー分布曲線を、SLMで対象ディスプレイの照明源により生成された光のパワー分布曲線をSLMの画素のスペクトル透過(または反射率)関数で畳み込むことによって決定する。ステップ62Bでは、SLMに入射する光のパワー分布曲線、SLMの画素のスペクトル透過(または反射率)関数、およびSLMに入射する光のパワー分布曲線をSLMの画素のスペクトル透過(または反射率)関数で畳み込むことによって得るスペクトルパワー分布曲線のうちの1つまたは複数をスケーリングすることによって、SLMによる入射光の減衰を説明してもよい。
【0067】
方法60Aでは、ステップ64はステップ64Aと、任意のステップ64Bとを備える。ステップ64Aは、SLMの画素の変調された光のスペクトルパワー分布曲線を等色関数(color matching function)で畳み込む積分を備える。たとえば、ステップ64Aは、変調された光のスペクトルパワー分布曲線とCIE等色関数との畳み込み積分によって、XYZ三刺激値を決定することを備えていてもよい。任意のステップ64Bは、モデリングされた画素値をディスプレイの映像色空間に変換することを備える。ステップ64Bは、たとえば、XYZ色空間で表される画素値を対象ディスプレイの映像データ入力の色空間(たとえばsRGB(ITU−RBT.709)色空間などのRGB色空間)に変換することを備えていてもよい。
【0068】
ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、対象ディスプレイの忠実度範囲外であるか、または範囲外である可能性がある画素を識別すること、識別されたこれらの画素の少なくとも一部の対象ディスプレイによる表示をモデリングすること、表示映像データ50において、モデリングによって決定された画素値を用いること、および表示映像データ50において、識別されなかった画素の少なくとも一部の入力データ14Aの画素値を用いることによって、表示映像データ50を生成するように構成される。有利には、このような実施形態では、必要なモデリング量を減少させることができる。
【0069】
図6は方法70のフローチャートを示す。表示コンフォーマ44は、この方法70を、照明源と、照明源からの光を変調するように構成されるSLMとを有する対象ディスプレイに対応する表示映像データ50を生成するために実施することができる。方法70のステップ72は、対象ディスプレイの忠実度範囲外であるか、または範囲外である可能性がある画素値を有する入力映像データ14Aの画素を識別する。ステップ72は、規則を適用して、対象ディスプレイの1つまたは複数の表示限度に違反する(または違反する可能性がある)値を有する画素を識別することを含んでもよい(たとえば画素の輝度が対象ディスプレイのまれに実現可能な最大輝度限度よりも大きい場合は、画素を忠実度範囲外として認識する)。忠実度範囲外の規則は、ルックアップテーブル、決定木、計算関数、これらの組み合わせなどで具体化されてもよい。
【0070】
ある実施形態では、対象ディスプレイの忠実度範囲外の値を有する画素の識別は、入力映像データ14Aの画素値を、対象ディスプレイの忠実度範囲に関連する閾値と比較するように構成されるハードウェアユニット内で、またはハードウェアユニットを用いて実行される。
【0071】
忠実度範囲外の画素および/または忠実度範囲外画素であると疑われる画素を、コンテンツ非依存型、空間非依存型基準に基づいて識別するために、いくつかの規則を適用してもよい。コンテンツ非依存型、空間非依存型基準に基づいて適用してもよい規則の例には、対象ディスプレイのまれに実現可能な最大輝度限度より高い輝度、対象ディスプレイの全体的に実現可能な最大輝度限度より高い輝度、対象ディスプレイのまれに実現可能な最小輝度限度より低い輝度、対象ディスプレイの全体的に実現可能な最小輝度限度より低い輝度、対象ディスプレイのまれに実現可能な色度色域外の色度、対象ディスプレイの全体的に実現可能な色度色域外の色度、対象ディスプレイの全体的に実現可能な飽和限度を超える飽和を有する色度(たとえば色度の飽和が、特定の周辺照明条件下で、反射周辺光による原色の不飽和によって正確に認識されない色度)を特定する画素値を識別する規則が含まれる。
【0072】
忠実度範囲外の画素および/または忠実度範囲画素外であると疑われる画素を、コンテンツ非依存型、空間依存型基準に基づいて識別するために、いくつかの規則を適用してもよい。コンテンツ非依存型、空間依存型基準に基づいて適用してもよい適合規則の一例は、空間依存型輝度限度を超える輝度を特定する画素値を識別する。コンテンツ非依存型基準に基づいて適用してもよい適合規則の別の例は、空間依存型色度色域外の色度を特定する画素値を識別する。
【0073】
いくつかの適合規則をコンテンツ依存型、空間非依存型基準に基づいて適用してもよい。コンテンツ依存型、空間非依存型基準に基づいて適用してもよい適合規則の例は、
風景に対する全体的な累積輝度を決定し、全体的な累積輝度に基づいて、風景に対する対象ディスプレイのまれに実現可能な最大輝度限度(照明源の制限された電力配分よりも風景の全体的な累積輝度の要望が大きいとき、照明源から最も照明を受光するように配置された表示画素によって実現可能な最大輝度)より高い輝度を特定する画素値を識別すること、
風景に対する全体的な累積輝度を決定し、全体的な累積輝度に基づいて、風景に対する対象ディスプレイの全体的に実現可能な最大輝度限度(照明源の制限された電力配分よりも風景の全体的な累積輝度の要望が大きいとき、照明源から最も照明を受光しないように配置された表示画素によって実現可能な最大輝度)より高い輝度を特定する画素値を識別すること、
風景に対する全体的な累積輝度を決定し、全体的な累積輝度に基づいて、風景に対する対象ディスプレイのまれに実現可能な最小輝度限度(全体的な累積輝度に対して駆動されるとき、照明源が発光する近似背景照明を前提として表示画素によって実現可能な最小輝度)より低い輝度を特定する画素値を識別すること、
密接して(たとえばn画素の半径内などで隣接して)配置され、輝度が最大コントラスト比を超える画素を識別すること、および/または
密接して配置され、色度差が最大色度差を超える画素(たとえば近隣の画素の色度を表示するために必要な画素に様々な着色光が存在することによって、正確にレンダリングされない深く飽和した色度を有する画素)を識別すること
を含む。
【0074】
方法70の説明に戻ると、ステップ74は、対象ディスプレイがステップ72で識別された入力映像データ14Aの画素を表示するために用いる色度および/または輝度をモデリングする。ステップ74は、方法60のステップ62とおよそ同様であるが、ステップ74はステップ72で識別された映像画素にのみ影響する点で相違する。ステップ74は、ステップ72で識別された映像画素にのみ影響するように修正された方法60Bのステップ62Aおよび62Bの1つまたは両方を備えていてもよい。対象ディスプレイが識別された画素に対して代替色度および/または輝度を表示する場合は、ステップ74は、代替色度および/または輝度に少なくとも近似するモデリングされた表示色度および/または輝度を決定する。
【0075】
ステップ76は、モデリングされた表示色度および/または輝度を表す画素値を決定する。ステップ76は方法60のステップ64とおよそ同様である。ステップ74は、方法60Bのステップ64Aおよび64Bの1つまたは両方を備えていてもよい。ステップ78は、識別された画素の決定された画素値を入力映像データ14Aの識別されていない画素の画素値と組み合わせて、出力表示映像データ50を生成する。
【0076】
ある事例では、ディスプレイが表示素子を制御するために用いるアルゴリズムによって、忠実度範囲外の画素を完全に決定された規則で識別することが、実用的ではなくなり、望ましくないほどに遅く、および/または望ましくないほどにハードウェア集約型になる。たとえば、デュアル変調器ディスプレイが個別に制御可能な発光体の各アレイを制御するために用いるアルゴリズムは、入力として多数の映像画素の画素値を取ってもよい。それによって、ディスプレイのコンテンツ依存型限度を正確に表現する規則のセットを特定することは現実的ではなくなる。ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、部分的な表示モデルを入力映像データ14Aに適用して、対象ディスプレイの1つまたは複数のコンテンツ依存型忠実度限度を決定し、決定された忠実度限度をディスプレイの忠実度範囲外である、および/または範囲外である可能性がある画素を識別するために適用することによって表示映像データ50を生成するように構成される。
【0077】
図7は方法80のフローチャートを示す。表示コンフォーマ44は、この方法80を、照明源と、照明源からの光を変調するように構成されるSLMとを有する対象ディスプレイに対応する表示映像データ50を生成するために実施することができる。方法80のステップ82は、照明源が入力映像データ14Aに応じてSLM上に生成する照明パターンを、少なくともほぼ決定する。
【0078】
ある実施形態では、ステップ82は、ステップ62Aで行なわれたのと同様に、SLMの画素に入射する光を示すスペクトルパワー分布曲線を決定することを備える。ステップ82は、異なる原色に対応する複数の異なる照明パターン(たとえば複数の原色のそれぞれに対応するスペクトルパワー分布曲線からなる照明パターン)を決定することを含み得る。ステップ62Aと同様に、ステップ82は、異なる発光体からの光を示すスペクトルパワー分布曲線を付加的に組み合わせることを含んでもよく、SLMの空間解像度より低い空間解像度でSLMの照明パターンを決定することを含んでもよい。
【0079】
ある実施形態では、ステップ82は、ローパスフィルタを入力映像データ14Aに適用して、SLMの画素に入射する光を示す画素値を得ることを含む。このような実施形態のいくつかでは、ステップ82は、異なる原色に対応する複数の照明パターンを得るために、ローパスフィルタを適用する前後のいずれかで、入力映像データ14Aをカラーフィルタリングすることを含んでもよい。
【0080】
ステップ84は、ステップ82で決定された照明パターンに基づいて、対象ディスプレイの画素の1つまたは複数のコンテンツ依存型忠実度限度を決定する。たとえば、ステップ84は、対象ディスプレイの画素で生成される輝度の限度を、画素の決定された照明、画素のSLMのスペクトル吸収プロファイルおよび光透過範囲に基づいて決定することを含んでもよい。別の例では、ステップ84は、対象ディスプレイの画素で生成される色度色域の限度を、画素の決定された照明、画素のSLMの光透過範囲に基づいて決定することを含んでもよい。ステップ84で決定された忠実度限度は、空間依存型であっても、または空間非依存型であってもよい。たとえば、ステップ84は、全体的に実現可能な、および/またはまれに実現可能な表示限度を決定することを含んでもよい。
【0081】
ステップ86は、ステップ84で決定された忠実度限度に基づいて規則を適用することによって、対象ディスプレイの忠実度範囲外であるか、または範囲外である可能性がある画素値を有する入力映像データ14Aの画素を識別する。
【0082】
ステップ88は、対象ディスプレイが入力映像データ14Aの識別された映像画素を表示するために用いる色度および/または輝度をモデリングする。ある実施形態では、ステップ88は、ステップ82で生成された照明マップに基づいて、対象ディスプレイが入力映像データ14Aの画素を表示するために用いる色度および/または輝度をモデリングすることを含む。たとえば、ステップ88は、ステップ62Bの動作をステップ82で生成された照明マップに実行することを含んでもよい。
【0083】
ステップ90は、モデリングされた表示色度および/または輝度を表す画素値を決定する。ステップ90は方法60のステップ64とおよそ同様である。ステップ90は、たとえば、方法60Bのステップ64Aおよび64Bの1つまたは両方を含んでもよい。
【0084】
ステップ92は、ステップ90で決定された識別された画素の画素値を入力映像データ14Aの識別されなかった画素の画素値と組み合わせて、出力表示映像データ50を生成する。
【0085】
ある実施形態では、対象ディスプレイが入力映像データ14Aの映像画素を表示するときに用いる色度および/または輝度を表す画素値は、対象ディスプレイの(たとえば対象ディスプレイのために決定された、推定された)忠実度限度に依存する計算関数(たとえばマッピング関数)を用いてモデリングされる。たとえば、モデルは、画素値を対象ディスプレイの1つまたは複数の忠実度限度にクリッピングすることによって、対象ディスプレイが入力映像データ14Aの映像画素を表示するときに用いる色度および/または輝度を表す画素値を決定してもよい。別の例では、モデルは、忠実度限度を超える色度および/または輝度を表す画素値を含む画素値の第1の範囲を、忠実度限度を超える色度および/または輝度を表す画素値を含まない画素値の第2の範囲に範囲マッピングすることによって、対象ディスプレイが入力映像データ14Aの映像画素を表示するときに用いる色度および/または輝度を表す画素値を決定してもよい。ある実施形態では、ステップ84で決定された忠実度限度はこの種類のモデルに入力される。
【0086】
表示コンフォーマ44によって適用されるモデルおよび/または規則は、任意の都合のよい色空間において特定されてもよい。たとえば、ある実施形態では、表示コンフォーマ44によって適用されるモデルおよび/または規則がRGB色空間で特定されると都合がよい。RGB色空間は、対象ディスプレイのいくつかにとっては典型的であり、このような対象ディスプレイの表示限度は当然、RGB色空間で表現されるからである。ある実施形態では、表示コンフォーマ44が、対象ディスプレイの特定の装置に特有の色空間で特定されたモデルおよび/または表示規則を適用することが都合がよい。
【0087】
図3に戻ると、表示コンフォーマ44によって適用されるモデルおよび/または規則は、表示適合パラメータ52によって設定可能であってもよい。つまり、表示コンフォーマ44は、表示適合パラメータ52によって、特定の画素修正スキームを実施するように構成されてもよい。たとえば、表示コンフォーマ44は、特定の対象ディスプレイに特有の画素修正スキームを実施するように構成されてもよい。表示適合パラメータ52は、完全に特定された表示モデル、パラメータ化された表示モデル、パラメータ化された表示モデルへの入力パラメータとして適用されてもよい表示特性、特定のディスプレイまたは表示画素の忠実度範囲外であるか、または範囲外である可能性がある画素を識別するために有用である規則および/または忠実度限度などを含み得る。
【0088】
表示適合パラメータ52は、適合パラメータのライブラリから取得してもよい。たとえば、ある実施形態では、カラーグレーディングツール40は、表示適合パラメータのライブラリ58を含有するデータストアへのアクセスを備え、または有する。カラーグレーディングツール40は、ライブラリから表示適合パラメータを取得するために、ユーザによって操作可能である制御部(不図示)を備える。表示適合パラメータ52は、ユーザ入力、カラーグレーディングツール40に取り付けられたディスプレイ(たとえば、カラーグレーディングする際にカラーグレーダが用いるディスプレイ)などの外部の供給源からカラーグレーディングツール40に提供されてもよい。たとえば、カラーグレーディングツール40は、入力表示適合パラメータ52を外部の供給源から受け取るために表示適合パラメータ入力59を備えていてもよい。ある実施形態では、カラーグレーディングツール40は、入力表示適合パラメータ52を外部の供給源から受領し、受領された入力表示適合パラメータ52を表示適合パラメータライブラリ58に保存するように構成される。
【0089】
ある実施形態では、表示適合パラメータ52は、カラーグレーディングディスプレイによって表示される画像を正確に認識するために、カラーグレーダの能力に影響することもある周辺照明条件に対応する。たとえば、映像コンテンツは、特定の周辺照明条件下で閲覧するためにカラーグレーディングされてもよいことを考慮されたい。このようなカラーグレーディングは、特定の意図する周辺照明条件に適合する周辺照明条件下で映像コンテンツを閲覧するカラーグレーダによって実施されてもよい。カラーグレーダが映像コンテンツを閲覧する周辺照明条件では、カラーグレーダが表示された画素の一部を正確に認識することができないこともある。たとえば、高レベルの周辺照明は、カラーグレーダが濃い黒を正確に認識する能力に影響することもあり(たとえば濃い黒は画面反射によって明るく見えることもある)、そのため、カラーグレーダが異なるレベルの黒の差を認識できないこともある。別の例では、高レベルの周辺照明は、カラーグレーダが過度に飽和した色を正確に認識する能力に影響することもあり(たとえば画面反射によって、原色の飽和度が低く見えるため)、そのため、カラーグレーダが深く飽和した色(たとえば不自然またはリアルでないように見える色)を認識できないこともある。周辺照明条件によってカラーグレーダが表示された画素の一部を正確に認識できない場合は、カラーグレーディングされた映像データ46を、意図する周辺照明とは異なる周辺照明条件下で見たときに、カラーグレーディングされた映像データ46は、望ましくない視覚的加工(たとえば低レベルのノイズ、過剰飽和した色)となる画素値を含有する場合もある。
【0090】
表示適合パラメータ52は、表示コンフォーマ44が、周辺照明条件によってマスクされ得る望ましくない視覚的加工の画素値特性を低減または排除するように動作可能となるように、表示コンフォーマ44に提供され得る。たとえば、表示コンフォーマ44は、表示パラメータ52によって特定される、まれに実現可能な最小輝度限度より低い輝度の画素の輝度を増加させる表示モデルに適用するように構成されてもよい。別の例では、表示コンフォーマ44は、表示パラメータ52によって特定されるまれに実現可能な色飽和限度を超える色の飽和度を下げる表示モデルに適用するように構成されてもよい。
【0091】
表示コンフォーマ44は、カラーグレーディングされた映像データ46が表示映像データ50と異なる場合は(たとえば表示コンフォーマ44がカラーグレーディングされた映像データ46の少なくとも1つの画素を修正する場合は)、任意の調整インジケータ54を起動するように構成されてもよい。調整インジケータ54は、たとえば信号またはデータ値を含み得る。調整インジケータ54は、映像データの個々の画素、映像データの一群の画素(たとえば映像フレームの領域)、映像データの個々の映像フレーム、映像データの一群のフレーム(たとえば風景からなるフレーム)、および/または作品全体(たとえば映画のすべてのフレームまたは別のプログラム)に特有であり得る。カラーグレーディングツール40を含むシステムのユーザまたは別の要素は、調整インジケータ54に基づいて表示映像データ50がカラーグレーディングされた映像データ46と異なるか(否か)、(および、任意にはどの程度異なるか)を決定し得る。
【0092】
ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、調整インジケータ54を(たとえばメタデータ、画像オーバーレイなどとして)表示映像データ50に埋め込むように構成される。ある実施形態では、調整インジケータ54はサイドチャネルを介して(たとえばイーサネット(登録商標)ポート、シリアルポートなどを介して)通信する。ある実施形態では、装置(たとえばカラーグレーディングツール)は調整インジケータ54を受け取り、(たとえばカラーグレーディングツール40の作業映像データを表示するために用いるディスプレイ上で)視覚的表示(indication)を表示して、表示映像データ50がカラーグレーディングされた映像データ46とは異なるか(否か)、(および、任意にはどの程度異なるか、および/またはどの部分が異なるか)を示すように構成される。たとえば、カラーグレーディングツールは、対象ディスプレイの色域外の画素値を含有する映像フレームの領域を(たとえばこれらの区域を強く照らすことなどによって)視覚的に示す、調整インジケータ54から得られる視覚的表示を提供できるだろう。
【0093】
ある実施形態では、調整インジケータ54は、マップまたは別の表示を含み、そのカラーグレーディングされた映像データ46の画素は、表示コンフォーマ44によって修正されている。ある実施形態では、調整インジケータ54は、表示映像データ52の画像が修正された理由(たとえば元の画素値が、表示適合パラメータ52によって特定されるコンテンツ非依存型、まれに実現可能な色域外の点を特定していた、元の画素値が、コンテンツ非依存型で、まれに実現可能な最大輝度よりも強い輝度を特定していた、など)の表示を含む。ある実施形態では、調整インジケータ54は、表示映像データ50の修正された画素がどのように入力映像データ14Aの対応する画素と異なるかの表示を備える。
【0094】
ある実施形態では、表示コンフォーマ44は、適用された表示適合パラメータ56を提供するように構成される。適用された表示適合パラメータ56は、表示映像データ50を正確にレンダリングするためにディスプレイに必要とされる最小表示能力(たとえば1つまたは複数の忠実度限度)を示してもよい。適用された表示適合パラメータ56は、表示映像データ50を生成する際に、表示コンフォーマ44がカラーグレーディングされた映像データ46に適用する表示モデルを全体として、または部分的に特定してもよい。
【0095】
表示コンフォーマ44は、適用された表示適合パラメータ56と表示映像データ50との間の関係を規定するように構成されてもよい。たとえば、表示コンフォーマ44は、表示映像データ50と、ディスプレイが正確に表示映像データ50を一般的なコンテナ(たとえば一般的なパッケージでは、データ構造、物理的媒体など)で表示するために必要な表示特性を表す適用された表示適合パラメータ56とを、承認、アーカイブ化、および/または配信などのために提供するように構成されてもよい。
【0096】
表示映像データ50との関係は、暗示的に、表示映像データ50のそれぞれの映像画素との関係でもあることを理解されたい。
表示コンフォーマ44は、適用された表示適合パラメータ56とカラーグレーディングされた映像データ46との間の関係を規定するように構成されてもよい。たとえば、表示コンフォーマ44は、カラーグレーディングされた映像データ46と、表示モデルを特定する適用された表示適合パラメータ56とを提供するように構成されてもよく、その表示モデルは、カラーグレーディングされた映像データ46に適用すると、一般的なコンテナにおいて、承認、アーカイブ化、および/または配信などのために表示映像データ50を取得する。
【0097】
表示コンフォーマ44は、データストアに映像データと適用された適合パラメータ56との間の関係を格納することによって、映像データ(たとえば表示映像データ50またはカラーグレーディングされた映像データ46)と、適用された表示適合パラメータ56との間の関係を規定するように構成されてもよい。たとえば、表示コンフォーマ44は、ルックアップテーブルのルックアップエントリをデータストアに格納し、このエントリが映像データと適用された表示適合パラメータ56とを関連づけるように構成されてもよい。
【0098】
図8は例示的実施形態による、方法100のフローチャートである。カラーグレーディングツール40は、方法100の1つまたは複数のステップを実施するように構成されてもよい。ステップ104では、入力映像データ14は、カラーグレーディングされた映像データ46を生成するためにカラーグレーディングされている。カラーグレーディング調整モジュール42は、ステップ104を実施するように構成されてもよい。
【0099】
ステップ106では、ステップ104で生成されたカラーグレーディングされた映像データを表示適合パラメータ52にしたがって適合し、表示映像データ50を生成する。表示コンフォーマ44は、ステップ106を実施するように構成されてもよい。ステップ106は、たとえば、モデル、および、任意には前述した1つまたは複数の規則を適用することを含んでもよい。ステップ106は、方法60、70、80および/または90いずれかの1つまたは複数のステップを含んでもよい。ある実施形態では、ステップ106は、任意の適用された表示適合パラメータ56を生成することを含む。ある実施形態では、ステップ106はステップ104と平行して実施される(たとえばステップ106および104を組み合わせて、カラーグレーダがカラーグレーディング中に閲覧するためなどに表示映像データをリアルタイムで生成する)。
【0100】
ある実施形態では、方法100は任意のステップ108および110を含む。ステップ108は、ステップ104で生成されたカラーグレーディングされた映像データ46の画素がステップ106で修正されたかを決定する。ステップ108は、表示映像データ50の画素がステップ104で生成されたカラーグレーディングされた映像データ46の対応する画素と異なるかどうかを決定することを備えていてもよい。ある実施形態では、ステップ106は、ステップ104で生成されたカラーグレーディングされた映像データ46の任意の画素が修正された(たとえば対象ディスプレイの忠実度範囲外であるか、範囲外である可能性があると識別され、モデリングされた画素値を反映するために修正された)かどうかの記録を維持することを含む。ステップ108は、この記録を確認することを含む。ステップ108が、ステップ104で生成されたカラーグレーディングされた映像データ46の1つまたは複数の画素がステップ106で修正されたと決定する場合は(ステップ108、はい)、次にステップ110において、調整インジケータが起動される。
【0101】
ある実施形態では、方法100は、ステップ104の前に入力映像データを事前適合する任意のステップ(不図示)を含む。入力映像データ14が、カラーグレーディング中に作業映像データ(たとえばコンピュータが生成する入力映像データ)を表示するために用いる、ディスプレイの忠実度範囲外の多くの画素を含有する場合は、入力映像データ14をステップ104の前に事前適合することは、有利であることもある。入力映像データを事前適合することは、たとえば、モデル、および、任意には前述された1つまたは複数の規則を適用することを含んでもよい。入力映像データを事前適合することは、方法60、70、80および/または90いずれかの1つまたは複数のステップを含んでもよい。ある実施形態では、方法100は、カラーグレーディングの前に入力映像データを事前適合すること、およびカラーグレーディング中に入力映像データをリアルタイムで適合することを含む(たとえばステップ104および106を同時に実施し、それによってカラーグレーディング中に作業表示映像データをカラーグレーダが見られるようにしてもよい)。
【0102】
図9は方法140のフローチャートである。方法140は、例示的実施形態による、ディスプレイにおける適合作業で用いるための表示モデルを構成する。表示コンフォーマ44は、方法120の1つまたは複数のステップを実施するように構成されてもよい。方法60、70および80のステップ62、74および88のそれぞれは、方法140の1つまたは複数のステップを含んでもよい。
【0103】
ステップ142では、表示モデルを取得する。ステップ142は、表示モデルを表示モデルライブラリ143Aから選択することを含んでもよい。ステップ142は、入力表示モデル143Bを(たとえばユーザ、ディスプレイなどの外部入力から)取得することを含んでもよい。ステップ142は、対象ディスプレイに対応する表示モデルを取得することを含んでもよい。
【0104】
ステップ142で取得された表示モデルは完全に特定されても、またはされなくてもよい(たとえばステップ142で取得された表示モデルは、パラメータ化されてもよい)。ステップ132で取得された表示モデルが完全に特定されない場合は、方法140は、任意のステップ144および146を含んでもよい。ステップ144では、1つまたは複数の表示特性を取得する。ステップ144で取得された表示特性は、対象ディスプレイに対応してもよい。ステップ144で取得された表示特性は、たとえば、対象ディスプレイの表示能力および/または表示限度を含んでもよい。ステップ144は、1つまたは複数の表示特性を表示特性ライブラリ145Aから選択することを含んでもよい。ステップ144は、1つまたは複数の入力表示特性145Bを(たとえばユーザ、ディスプレイなどの外部入力から)取得することを含んでもよい。ステップ146では、ステップ142で取得された表示モデルは、ステップ144で取得された表示特性にしたがって構成される。ステップ146は、対象ディスプレイのためのステップ142で取得された表示モデルを構成することを含んでもよい。
【0105】
ある実施形態では、ステップ146は、ステップ142で取得された表示モデルおよび/またはその引数に対して色空間変換を実施することを含む。たとえば、表示モデルおよび/またはその引数は第1の色空間で特定され、モデルが適用される映像データは第2の色空間で特定される。ステップ146は、表示モデルおよび/またはその引数を第1の色空間から第2の色空間に変換することを含んでもよい。
【0106】
ステップ150では、ステップ146で構成される表示モデルは入力映像データに適用され、モデリングされた映像データを生成する。ある実施形態では、ステップ150は、入力映像データに色空間変換を実施することを含む。たとえば、表示モデルおよび/またはその引数が第1の色空間で特定され、モデルが適用される映像データが第2の色空間で特定される場合は、ステップ150は、入力映像データを第2の色空間から第1の色空間に変換することを含んでもよい。ステップ150で生成されたモデリングされた映像データの画素値は、表示コンフォーマ44が生成する表示映像データで用いられてもよい。
【0107】
図10は例示的実施形態による映像撮影後の作業および配信ワークフロー160の例を示すフローチャートである。映像撮影後の作業および配信ワークフロー160のいくつかの特徴は図1に同一の符号を用いて示され、ここでは再度詳細に説明しない。図10は、表示コンフォーマが映像データを適合するように配置されてもよいワークフロー160の例示的位置を示す。ある実施形態では、表示コンフォーマがワークフロー160内にある場合に、映像撮影後の作業ワークフローは、1つまたは複数の表示コンフォーマを1つまたは複数の場所に備える。ワークフロー160の表示コンフォーマは、本明細書で開示する表示コンフォーマの一部またはすべての特徴を有していてもよく、本明細書に記載する方法の一部またはすべてのステップを実施するように構成されてもよい。ある実施形態では、表示コンフォーマがワークフロー160内にある場合に、方法100の1つまたは複数のステップは、1つまたは複数の表示コンフォーマを1つまたは複数の場所に備えるワークフローの一部として実施されてもよい。
【0108】
映像撮影後の作業ワークフロー160において、第1の表示コンフォーマ162は、入力映像データがカラーグレーディングツール16に提供される前に、映像データソース12からの入力映像データを適合するような状況にある。ある実施形態では、表示コンフォーマ162は、対象ディスプレイで表示するために入力映像データを適合させるように構成される。たとえば、表示コンフォーマ162は、カラーグレーディングツール16の作業映像データをカラーグレーダが閲覧するディスプレイ(たとえばカラーグレーディングディスプレイ20)、カラーグレーディングされた映像データを承認する責任を負う個人が閲覧するディスプレイ(たとえば承認ディスプレイ24)、エンドユーザディスプレイ(たとえばエンドユーザディスプレイ32)等の忠実度範囲に入力映像データを適合させるように構成されてもよい。ある実施形態では、表示コンフォーマ166は、表示適合パラメータ(たとえば表示特性)をディスプレイ20または別のディスプレイから取得するように構成される。
【0109】
第2の表示コンフォーマ164はカラーグレーディングツール16と一体化される。ある実施形態では、表示コンフォーマ164は、カラーグレーディングツール16のカラーグレーディングされた映像データ(たとえば作業映像データなど)を、カラーグレーディング中に作業中のカラーグレーディング映像データがカラーグレーダにより閲覧されるディスプレイ(たとえばカラーグレーディングディスプレイ20)に適合させるように構成される。これが行われると、カラーグレーディングディスプレイ20は、表示コンフォーマ164により生成された映像データを正確にまたは略正確に表示可能であり得る。表示コンフォーマ164は、適合された映像コンテンツを続けてワークフロー160で使用するために提供し得る。
【0110】
ある実施形態では、表示コンフォーマ164は、表示適合パラメータ(たとえば表示特性)をディスプレイ20から取得するように構成される。ある実施形態では、カラーグレーディングツール16の作業映像データと表示コンフォーマ164が生成する映像データとの間の差は、表示コンフォーマ164が生成する調整インジケータによって示されてもよい。このインジケータは表示するために(たとえばカラーグレーダが閲覧可能なように)ディスプレイ20に提供される。
【0111】
第3の表示コンフォーマ166はカラーグレーディングディスプレイ20と一体化される。ある実施形態では、表示コンフォーマ166は、ディスプレイ20への映像データ入力をカラーグレーディングディスプレイ20に適合させるように構成される。たとえば、表示コンフォーマ166は、カラーグレーディングされた映像データをカラーグレーディングディスプレイ20の忠実度範囲に適合させるように構成されてもよい。これが行われると、カラーグレーディングディスプレイ20は、表示コンフォーマ166により生成された映像データを正確にまたは略正確に表示可能であり得る。
【0112】
ある実施形態では、表示コンフォーマ166は、データストアを含み、そのデータストアは映像データをディスプレイ20に適合させるための表示適合パラメータ(たとえばディスプレイ20の表示特性)を含有する。ある実施形態では、表示コンフォーマ166は、表示適合パラメータ(たとえば表示特性)をディスプレイ20から取得するように構成される。ある実施形態では、カラーグレーディングディスプレイ20に表示される映像データと、カラーグレーディングツール16からディスプレイ20への映像データ入力との間の差は、表示コンフォーマ166が生成する調整インジケータによって、ディスプレイ20上に示されてもよい。
【0113】
第4の表示コンフォーマ168は、カラーグレーディングされた映像データが承認ディスプレイ24に提供される前に、カラーグレーディングツール16からのカラーグレーディングされた映像データ出力を適合するような状況にある。ある実施形態では、表示コンフォーマ168は、カラーグレーディングツール16からのカラーグレーディングされた入力映像データを、カラーグレーダによってカラーグレーディングされた映像コンテンツがカラーグレーディング中に閲覧されたディスプレイ(たとえばカラーグレーディングディスプレイ20)のために適合するように構成される。これが行われると、表示コンフォーマ168によって生成された映像データの外観は、ディスプレイ24で表示されるときに、カラーグレーダが閲覧する映像データの外観と同一または略同一であり得る。ある実施形態では、表示コンフォーマ166は、表示適合パラメータ(たとえば表示特性)を、カラーグレーディング中にカラーグレーディングされた映像コンテンツがカラーグレーダによって閲覧されたディスプレイ(たとえばカラーグレーディングディスプレイ20)から取得するように構成される。
【0114】
ある実施形態では、表示コンフォーマ162、164、166、および168のうち1つまたは複数は、適用された表示適合パラメータを生成するように構成されてもよい。適用された表示適合パラメータは、ディスプレイが、それぞれの表示コンフォーマによって適合された映像データを正確に表示するために必要な表示特性を示し、および/または、適合された映像データを生成する際にそれぞれの表示コンフォーマによって適用された表示モデルおよび/または規則を少なくとも部分的に特定する。
【0115】
第5の表示コンフォーマ170は、承認ディスプレイ24と一体化される。ある実施形態では、表示コンフォーマ170は、表示コンフォーマ162、164および166の1つまたは複数によって生成された適用された表示適合パラメータによるカラーグレーディングされた映像データを適合するように構成される。これが行われると、表示コンフォーマ170によって生成された映像データの外観は、ディスプレイ24で表示されるとき、カラーグレーダが閲覧する映像データの外観と同一または略同一であり得る。
【0116】
第6の表示コンフォーマ172は、配信ネットワーク30と一体化される。ある実施形態では、表示コンフォーマ172は、表示コンフォーマ162、164および166の1つまたは複数によって生成された、適用された表示適合パラメータに従って配信ネットワーク30によって配信される映像データを適合するように構成される。これが行われると、このような映像データがネットワーク30を介して配信されるディスプレイ(たとえばエンドユーザディスプレイ32)で表示される場合の、表示コンフォーマ172によって生成された映像データの外観は、カラーグレーダにより閲覧された映像データの外観と同一または略同一であり得る。
【0117】
第7の表示コンフォーマ174は、エンドユーザディスプレイ32と一体化される。ある実施形態では、表示コンフォーマ174は、映像データ入力を、表示コンフォーマ162、164および166の1つまたは複数によって生成された適用された表示適合パラメータにしたがって、エンドユーザディスプレイ32に適合させるように構成される。これが行われると、エンドユーザディスプレイ32で表示される場合の、表示コンフォーマ174によって生成された映像データの外観は、カラーグレーダにより閲覧された映像データの外観と同一または略同一であり得る。
【0118】
本明細書に記載するシステム、モジュールおよび部品は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、または本明細書に記載する目的に適切なソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアの任意の組み合わせを備えていてもよい。ソフトウェアおよび別のモジュールは、サーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、電子タブレット、PDA、カラーグレーディングツール、映像プロジェクタ、視聴覚受信器、ディスプレイ(テレビなど)および本明細書に記載する目的に適切な別の装置に常駐してもよい。言い換えれば、本明細書に記載するソフトウェアおよび別のモジュールは、汎用コンピュータ、たとえばサーバコンピュータ、ワイヤレス装置またはパーソナルコンピュータによって実施されてもよい。当業者は、本システムの態様が別の通信、データ処理、またはコンピュータシステム構成を用いて実施可能であることを理解するであろう。これらには、インターネット装置、携帯装置(携帯情報端末(PDA)を含む)、ウェアラブルコンピュータ、すべての様式の携帯電話、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサに基づくプログラマブルな家庭用電気機器(たとえば映像プロジェクタ、視聴覚受信器、テレビなどのディスプレイ等)、セットトップボックス、カラーグレーディングツール、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどが含まれる。実際に、用語「コンピュータ」、「サーバ」、「ホスト」、「ホストシステム」などは、本明細書で一般的に置き換え可能に用いられてもよく、任意の上記装置およびシステム、および任意のデータプロセッサを指す。さらに、本システムの態様は、本明細書で詳細に説明された1つまたは複数のコンピュータ実行可能な命令を実行するために特別にプログラムされ、構成され、または構築される、専用コンピュータまたはデータプロセッサにおいて具体化することができる。
【0119】
ソフトウェアおよび別のモジュールは、ローカルメモリ、ネットワーク、ブラウザまたはASPコンテキストの別のアプリケーション、または本明細書に記載する目的に適切な別の手段を介してアクセス可能であってもよい。本技術の例はまた、分散コンピューティング環境においても実施することができる。分散コンピューティング環境では、タスクまたはモジュールはリモート処理装置によって実行され、リモート処理装置は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはインターネットなどの通信ネットワークを通じてリンクされる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカルおよびリモートメモリ記憶装置の両方に位置してもよい。本明細書に記載するデータ構造(たとえばコンテナ)は、コンピュータファイル、バリアブル、プログラミングアレイ、プログラミング構造、または任意の電子情報記憶スキームまたは方法、または本明細書に記載する目的に適切なこれらの任意の組み合わせを備えていてもよい。
【0120】
前述の画像処理および処理ステップは、ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアおよびソフトウェアの適切な組み合わせにおいて実施されてもよい。たとえば、このような画像処理は、データプロセッサ(1つまたは複数のマイクロプロセッサ、グラフィックプロセッサ、デジタル信号プロセッサなど)によって実施されてもよい。データプロセッサは、データプロセッサに本明細書に記載する方法を実行させるソフトウェアおよび/またはファームウェア命令を実行する。このような方法はまた、固定的に構成されている、または設定可能であってもよい論理回路によって実行されてもよい(たとえばフィールドプログラマブルゲートアレイ「FPGA」によって提供される論理回路など)。
【0121】
本発明の一定の実施は、プロセッサに本発明の方法を実行させるソフトウェア命令を実行するコンピュータプロセッサを備える。たとえば、映像ワークステーション、セットトップボックス、ディスプレイ、映像プロジェクタ、トランスコーダなどにおける1つまたは複数のプロセッサは、プロセッサがアクセス可能なプログラムメモリ内のソフトウェア命令を実行することによって、本明細書に記載する方法を実施してもよい。
【0122】
本発明はまた、プログラム製品の形で提供されてもよい。プログラム製品は、命令を備えるコンピュータ可読信号のセットを含む、任意の非一時的媒体を備えていてもよい。この命令は、データプロセッサによって実行されると、データプロセッサに本発明の方法を実行させる。本発明によるプログラム製品は、任意の多様な形態であってよい。プログラム製品は、たとえば、媒体を備えていてもよい。この媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブを含む磁気データ記憶媒体、CDROM、DVDを含む光学データ記憶媒体、ROM、フラッシュRAM、ハードウェア組み込みまたは事前プログラムされたチップ(たとえばEEPROM半導体チップ)、ナノ技術メモリなどを含む電子データ記憶媒体を含んでいてもよい。プログラム製品上のコンピュータ可読信号は、任意に圧縮または暗号化されてもよい。コンピュータ命令、データ構造、および本技術を実施するために用いる別のデータは、インターネットまたは別のネットワーク(ワイヤレスネットワークを含む)を介して、伝搬媒体上の伝搬信号(たとえば電磁波、音波など)で、ある期間にわたって配布されてもよく、または任意のアナログまたはデジタルネットワーク(パケット交換方式、回路交換方式、または別のスキーム)上で提供されてもよい。
【0123】
部品(たとえば表示コンフォーマ、カラーグレーディング調整モジュール、表示モデル、ソフトウェアモジュール、プロセッサ、アセンブリ、装置、回路など)を上記で記載されたが、別段の指示がない限り、部品に対する言及は(「手段」に対する言及も含む)その部品の等価物として、記載された部品の機能を実行する(つまり、機能的に同等である)任意の部品を含むものとして解釈すべきであり、本発明が例示する代表的な実施形態の機能を実行する開示された構造と構造的に同等ではない部品も含む。
【0124】
内容から別段に明らかに要求しない限り、説明および請求項を通じて、単語「備える」、「備え」などは、包括的な意味と解釈されるべきである。つまり、これは、「含むが、限定されない」という意味の排他的または網羅的な意味と反対である。本明細書で用いる、単語「接続される」、「結合される」またはその任意の変形は、2つ以上の要素間の直接的または間接的な任意の接続または結合を意味し、要素間の接続の結合は物理的、論理的、またはこれらの組み合わせであってもよい。さらに、単語「本明細書で」、「上記」、「下記」および類似の意味の単語は、本出願で用いられる場合は、本出願を全体として指すものとし、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。事情が許せば、上記の発明を実施するための形態において単数または複数形で用いた単語はまた、それぞれ複数または単数形を含んでいてもよい。2つ以上の項目のリストに関連する単語「または」は、リスト内の項目のいずれか、リスト内のすべての項目、およびリスト内の項目の任意の組み合わせというこの単語のすべての解釈を含む。
【0125】
本技術の例の上記の詳細な説明は限定的であることを意図するものではなく、また本システムを上記で開示された正確な形態に限定することを意図するものでもない。本システムの特定の例および例は、例示目的で上記に記載されたものであり、当業者が認識するであろうように、様々な同等の修正が本システムの範囲内で可能である。たとえば、工程またはブロックは所定の順序で提示されているが、代替例では、異なる順序でステップを有するルーチンを実施しても、ブロックを有するシステムを用いてもよい。いくつかの工程またはブロックは、代替的なまたは下位組み合わせを提供するために、削除、移動、追加、分割、組み合わせ、および/または修正されてもよい。これらの工程またはブロックのそれぞれは、様々な異なる方法で実施されてもよい。また、工程またはブロックは、時には連続して実行されるように示されるが、これらの工程またはブロックは、代わりに平行して実行されてもよく、または異なる時に実行されてもよい。
【0126】
本明細書において提供する本技術の教示は、上記に記載されたシステムだけではなく、別のシステムにも適用することができる。上記に記載された様々な例の要素および行為を組み合わせて、別の例を提供することができる。本システムの態様は必要に応じて修正することができ、上記に記載された様々な言及のシステム、機能、および概念を用いて本技術のさらに別の例を提供する。
【0127】
これらの変更および別の変更は、上記の発明を実施するための形態の観点からシステムに対して行うことができる。上記の説明はシステムの一定の例を記載し、考えられる最善の方法を記載しているが、これらが文章内にどれほど詳細に記載されているかに関わらず、システムは多くの方法で実施されることができる。情報を分類し、伝達するシステムおよび方法の詳細は、本明細書に開示するシステムによって内包されながらも、その実施の詳細において顕著に変動することもある。前述の通り、システムの一定の特徴または態様を記載する際に用いた特定の用語は、この用語が本明細書で再定義されて、それによってその用語が関連するシステムの任意の特定の特性、特徴、または態様に限定されることを暗示すると解釈されてはならない。一般的に、以下の請求項で用いる用語は、本システムを、本明細書に開示された特定の例に限定するものと解釈されてはならない。ただし、上記の発明を実施するための形態の部分が明示的および限定的にこのような用語を定義している場合を除く。したがって、本システムの実際の範囲は、開示された例だけではなく、請求項の技術を実施または実行するすべての同等の方法を包括する。
【0128】
以上から、システムおよび方法の特定の例は、例示目的でのみ本明細書に記載されたものであり、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正を行ってもよいことを理解されたい。本明細書に記載する実施形態の一定の特徴は、本明細書に記載する別の実施形態と組み合わせて用いてもよく、本明細書に記載する実施形態は、本明細書で実施形態に帰するすべての特徴を用いずに、実行または実施されてもよいことを当業者は理解するであろう。当業者には明らかなように、このような記載された実施形態に対する変形は、異なる実施形態の特徴を混合し、一致させることを備える変形を含めて、本発明の範囲内である。
【0129】
以上の開示の観点から当業者には明らかなように、多くの変更、修正、追加および置換が、本発明の精神または範囲から逸脱することなく本発明を実現する際に可能である。本明細書に記載する実施形態は単なる例示である。別の例示的実施形態を、開示された実施形態の特徴と組み合わせることによって、制限なく取得してもよい。したがって、以下の添付する請求項および今後の請求項は、すべてのこのような変更、修正、置換、追加、組み合わせおよび下位組み合わせをその真の精神および範囲内にあるものとして含むものと解釈されることを意図する。
図2A
図2B
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10