(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電システム10の構成を示す構成図である。
【0010】
太陽光発電システム10は、複数のインバータステーション1と、各インバータステーション1に設けられた制御電源用PVアレイ2と、各インバータステーション1に設けられたPV(photovoltaic)(光起電力電池、太陽電池)アレイ3とを備えている。太陽光発電システム10は、PVアレイ3により発電された電力により、グリッド9と系統連系をする。
【0011】
各インバータステーション1は、AVR(Automatic Voltage Regulator)11と、複数のパワーコンディショナー(PCS: Power Conditioning System)12と、電源線路13とを収納している。なお、ここでは、パワーコンディショナー12の交流側の配線は、図示していない。
【0012】
複数のインバータステーション1は、それぞれのPVアレイ3群により発電された直流電力を交流電力に変換する。全てのインバータステーション1の交流側は、並列に接続されている。これにより、全てのインバータステーション1から出力される交流電力は、合成される。これにより、太陽光発電システム10における全てのPVアレイ3により発電された直流電力は、交流電力に変換されて、グリッド9に供給される。
【0013】
PVアレイ3は、グリッド9に電力を供給するための直流電力を発電する。PVアレイ3は、多数のPVセルが直列及び並列に接続された構成になっている。PVアレイ3は、発電した電力をパワーコンディショナー12の直流側に供給する。
【0014】
制御電源用PVアレイ2は、自身が設置されているインバータステーション1内にある全てのパワーコンディショナー12に制御電源を供給するための直流電力を発電する。制御電源用PVアレイ2は、PVアレイ3よりも小さい発電容量のPVアレイである。例えば、各PVアレイ3の発電容量が250[kW]、パワーコンディショナー12が4台、パワーコンディショナー12の各制御電源が100[W]の場合、制御電源用PVアレイ2の発電容量は、1つのPVアレイ3の発電容量の0.1%程度の発電容量があればよい。
【0015】
AVR11は、制御電源用PVアレイ2から供給される直流電圧をパワーコンディショナー12に制御電源として供給するための交流電圧に変換及び調整する。AVR11は、電源線路13を介して、各パワーコンディショナー12に制御電源を供給する。
【0016】
パワーコンディショナー12は、各PVアレイ3に対応するように設けられている。パワーコンディショナー12は、PVアレイ3から供給された直流電力をグリッド9の交流電力と同期する交流電力に変換する電力変換装置である。インバータステーション1内にある全てのパワーコンディショナー12の交流側は、並列に接続されている。並列接続されたパワーコンディショナー12の合成された出力電力が、インバータステーション1の出力電力となる。
【0017】
電源線路13は、インバータステーション1内にある全てのパワーコンディショナー12制御電源を並列に接続するための配線である。電源線路13は、AVR11から供給される直流電力を各パワーコンディショナー12に制御電源として供給する。
【0018】
図2は、本実施形態に係るパワーコンディショナー12の構成を示す構成図である。
【0019】
パワーコンディショナー12は、電力変換部(インバータ)22と、連系トランス23と、コンデンサ24と、リアクトル25と、直流電圧検出器26と、直流電流検出器27と、交流電圧検出器28と、交流電流検出器29と、2つの制御電源用変圧器30,35と、2つの制御電源用AC/DC(交流/直流)変換器31,32と、2つのダイオード33,34と、電力変換制御装置40とを備えている。なお、2つの制御電源用AC/DC変換器31,32と2つのダイオード33,34は、電力変換制御装置40を構成する基板に実装されていてもよい。
【0020】
主回路21は、PVアレイ3により発電された電力をグリッド9に供給する回路である。主回路21には、電力変換部22、連系トランス23、コンデンサ24、及びリアクトル25が設けられている。
【0021】
電力変換部22は、PVアレイ3から供給される直流電力をグリッド9の交流電源と同期する交流電力に変換する。電力変換部22は、変換した交流電力をグリッド9に供給するために出力する。
【0022】
連系トランス23は、電力変換部22の出力側(交流側)に設けられている。連系トランス23は、電力変換部22から出力される交流電圧をグリッド9に供給するための電圧に変圧する。
【0023】
コンデンサ24及びリアクトル25は、交流フィルタを構成する。交流フィルタは、連系トランス23の交流側に設けられている。交流フィルタは、電力変換部22からグリッド9に流出する高調波電流を抑制する。
【0024】
直流電圧検出器26は、電力変換部22の入力側(直流側)に設けられている。直流電圧検出器26は、PVアレイ3から入力される直流電圧を検出する。直流電圧検出器26は、検出した直流電圧を電力変換制御装置40に出力する。
【0025】
直流電流検出器27は、電力変換部22の入力側に設けられている。直流電流検出器27は、PVアレイ3から入力される直流電流を検出する。直流電流検出器27は、検出した直流電流を電力変換制御装置40に出力する。
【0026】
交流電圧検出器28は、直流リアクトル25の出力側(交流側)に設けられている。交流電圧検出器28は、電力変換部22から出力される交流電圧を検出する。交流電圧検出器28は、検出した交流電圧を電力変換制御装置40に出力する。
【0027】
交流電流検出器29は、直流リアクトル25の出力側に設けられている。交流電流検出器29は、電力変換部22から出力される交流電流を検出する。交流電流検出器29は、検出した交流電流を電力変換制御装置40に出力する。
【0028】
制御電源用変圧器30は、グリッド9から供給される交流電力を電力変換制御装置40の(パワーコンディショナー12の)制御電源として用いるための電圧に変圧する。制御電源用変圧器30により変圧された交流電力は、制御電源用AC/DC変換器32に出力される。
【0029】
制御電源用AC/DC変換器32は、制御電源用変圧器30により変圧された交流電力を電力変換制御装置40の制御電源として供給するための直流電力に変換する。制御電源用AC/DC変換器32により変換された直流電力は、ダイオード34を介して、電力変換制御装置40の制御電源として供給される。
【0030】
制御電源用変圧器35は、AVR11から供給される交流電力を電力変換制御装置40の(パワーコンディショナー12の)制御電源として用いるための電圧に変圧する。制御電源用変圧器35により変圧された交流電力は、制御電源用AC/DC変換器31に出力される。
【0031】
制御電源用AC/DC変換器31は、制御電源用変圧器35により変圧された交流電力を電力変換制御装置40の制御電源として供給するための直流電力に変換する。制御電源用AC/DC変換器31により変換された直流電力は、ダイオード33を介して、電力変換制御装置40の制御電源として供給される。
【0032】
2つのダイオード33,34は、並列に接続されている。これにより、電力変換制御装置40には、制御電源用PVアレイ2とグリッド9の少なくとも一方から供給される電力が制御電源として供給される。
【0033】
電力変換制御装置40は、電力変換部22を制御する制御装置である。電力変換制御装置40は、直流電圧計測部41と、直流電流計測部42と、交流電圧計測部43と、交流電流計測部44、電力制御部45と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部46とを備えている。
【0034】
直流電圧計測部41は、直流電圧検出器26により検出された直流電圧により、PVアレイ3から入力される直流電圧を計測する。直流電圧計測部41は、計測した直流電圧を電力制御部45に出力する。
【0035】
直流電流計測部42は、直流電流検出器27により検出された直流電流により、PVアレイ3から入力される直流電流を計測する。直流電流計測部42は、計測した直流電流を電力制御部45に出力する。
【0036】
交流電圧計測部43は、交流電圧検出器28により検出された交流電圧により、グリッド9の系統電圧(電力変換部22の出力電圧)を計測する。交流電圧計測部43は、計測した交流電圧を電力制御部45に出力する。
【0037】
交流電流計測部44は、交流電流検出器29により検出された交流電流により、電力変換部22から出力される交流電流を計測する。交流電流計測部44は、計測した交流電流を電力制御部45に出力する。
【0038】
電力制御部45は、直流電圧計測部41により計測された直流電圧、直流電流計測部42により計測された直流電流、交流電圧計測部43により計測された交流電圧、及び交流電流計測部44により計測された交流電流に基づいて、電力変換部22から出力させる電気量(電流、電圧、電力など)を制御するための演算処理をする。電力制御部45は、演算された電気量を電力変換部22に対する出力指令値として、PWM制御部46に出力する。
【0039】
PWM制御部46は、電力制御部45から入力された出力指令値に基づいて、電力変換部22をPWM制御するためのゲート信号を生成する。PWM制御部46は、生成したゲート信号により、電力変換部22を駆動制御する。
【0040】
本実施形態によれば、制御電源用PVアレイ2を各インバータステーション1に設けることで、パワーコンディショナー12の制御電源を並列に接続するための電源線路13は、インバータステーション1内に納めることができる。従って、複数のインバータステーション1にパワーコンディショナー12が分散して設置されている場合でも、電源線路13を複数のインバータステーション1の間で、渡すための配線をする必要がない。よって、電源線路13の長さを短くすることができるため、電源線路13の損失を低減することができる。
【0041】
また、インバータステーション1の内部のように、建屋の内部のみでパワーコンディショナー12の電源線路13を敷設できる。これにより、屋外に電源線路13を敷設する場合と比べて、雷サージの影響を低減することができる。
【0042】
さらに、グリッド9に電力供給するためのPVアレイ3とは別に、制御電源用PVアレイ2を設けることで、パワーコンディショナー12の電源電圧に適した容量の発電をさせることができる。また、AVR11の容量を小さく抑えることができるため、制御電源用PVアレイ2による発電電力を電力変換するAVR11の変換効率を向上させることができる。
【0043】
また、制御電源用PVアレイ2とグリッド9のそれぞれの電力を併用して、パワーコンディショナー12に制御電源として供給することで、制御電源を二重系にして運用することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電システム10Aの構成を示す構成図である。
【0045】
太陽光発電システム10Aは、
図1に示す第1の実施形態に係る太陽光発電システム10において、制御電源用PVアレイ2の代わりに、複数のPVアレイ3のうちの1つのPVアレイ3を制御電源用PVアレイ2と兼用させた制御電源用PVアレイ2Aを設けた構成である。また、AVR11をAVR11Aに代えている。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0046】
制御電源用PVアレイ2Aは、パワーコンディショナー12の主回路の直流側及びAVR11Aに接続されている。制御電源用PVアレイ2Aは、発電した電力をパワーコンディショナー12の主回路の直流側及びAVR11Aに供給する。
【0047】
AVR11Aは、第1の実施形態に係るAVR11よりも大きい容量の直流電圧を変換及び調整する。その他の点は、第1の実施形態に係るAVR11と同様である。
【0048】
本実施形態によれば、グリッド9に電力供給するための複数のPVアレイ3のうちの1つをパワーコンディショナー12の制御電源を供給するための電源として兼用させた制御電源用PVアレイ2Aにすることで、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0049】
なお、各実施形態では、制御電源用のAVR11を直流電力から直流電力に変換する変換器(DC/DCコンバータ)としたが、直流電力から交流電力に変換する変換器でもよい。パワーコンディショナー12の仕様等に合せて適宜変更することができる。
【0050】
さらに、第1の実施形態では、太陽光発電システム10に用いるパワーコンディショナー12(インバータ)に電源を供給する構成としたが、異なる方式の発電システムのインバータの電源用に用いてもよい。例えば、風力発電システムに用いるインバータの制御電源として、制御電源用PVアレイ2を設けることで、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。また、連系する電力系統が直流電力系統であれば、発電電力を直流電力に変換するコンバータの制御電源用に用いてもよい。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。