(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一遊技領域には、下流側端部が前記入賞誘導部材における前記第一入賞口から遠い側の端部である上流側端部に繋がる部材であって、途中に遊技球が通過可能な一または複数の分岐口が形成された上流誘導部材を備え、
前記上流誘導部材に誘導される遊技球は、前記分岐口を通過しなかった場合には前記入賞誘導部材によって前記第一入賞口に向かう一方、前記分岐口を通過した場合には前記装飾部材が視認可能な領域の前記第一入賞口側の反対側に位置する別の入賞口に向かうように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
前記上流領域における前記第二入賞口が位置する部分の少なくとも一部は、上下方向に沿い、かつその幅が遊技球一個分以上二個分未満の流路であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成の遊技機において、遊技領域に設けられた各種入賞口や遊技釘等により、遊技領域の装飾性が低下する問題があった。
【0005】
本発明は、少なくとも一部が透明である遊技盤を備えた遊技機において、遊技領域の装飾性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1の発明にかかる遊技機は、遊技球が流下可能な遊技領域を有し、前記遊技領域を構成する遊技盤およびこの遊技盤に取り付けられた前記遊技領域を囲む形成部材を備えた遊技機において、前記遊技領域に配置された遊技構成体と、前記遊技領域の下端に位置し、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球が排出される排出口と、前記遊技構成体の下側でかつ前記排出口の上側に位置する第一入賞口と、前記遊技領域の一部であって、前記遊技構成体および前記第一入賞口の幅方向一方側の領域であり、当該領域を構成する遊技盤の少なくとも一部が透明である第一遊技領域と、前記遊技領域の一部であって、前記遊技構成体および前記第一入賞口の幅方向他方側の領域であり、当該領域を構成する遊技盤の少なくとも一部が透明である第二遊技領域と、前記遊技盤の後方側に設けられ、前記第一遊技領域と前記第二遊技領域を構成する前記遊技盤の透明な部分を通じて視認可能である装飾部材と、前記第一遊技領域において前記形成部材に沿って前記排出口に向かって延びるように設けられた排出誘導部材と、前記第一遊技領域において前記排出誘導部材の上側に前記第一入賞口側に向かって延びるように設けられた部材であって、途中に遊技球が通過可能な一または複数の落下口が形成された入賞誘導部材と、前記第二遊技領域に設けられた第二入賞口と、を備え、前記第一遊技領域は、前記入賞誘導部材に誘導される遊技球が前記落下口を通過しなかった場合に前記第一入賞口に入賞する可能性があり、前記落下口を通過した遊技球が前記排出誘導部材によって前記排出口に誘導されるように構成され、前記排出誘導部材と前記入賞誘導部材の間の領域は、前記遊技盤の透明な部分によって前記装飾部材が視認可能に構成されるとともに、遊技球を誘導する部材が設けられておらず、前記第二遊技領域は、前記第二入賞口が設けられた上流領域、および当該上流領域を通過した遊技球が進入する領域である前記排出口側および前記第一入賞口側に位置する下流領域を含み、当該下流領域は、前記遊技盤の透明な部分によって前記装飾部材が視認可能に構成されるとともに、進入した遊技球が前記第一入賞口に到達しないように遊技球を誘導する部材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記第一遊技領域には、下流側端部が前記入賞誘導部材における前記第一入賞口から遠い側の端部である上流側端部に繋がる部材であって、途中に遊技球が通過可能な一または複数の分岐口が形成された上流誘導部材を備え、前記上流誘導部材に誘導される遊技球は、前記分岐口を通過しなかった場合には前記入賞誘導部材によって前記第一入賞口に向かう一方、前記分岐口を通過した場合には前記装飾部材が視認可能な領域の前記第一入賞口側の反対側に位置する別の入賞口に向かうように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の遊技機において、前記上流領域における前記第二入賞口が位置する部分の少なくとも一部は、上下方向に沿い、かつその幅が遊技球一個分以上二個分未満の流路であることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、遊技球が流下可能な遊技領域を有し、前記遊技領域を構成する遊技盤およびこの遊技盤に取り付けられた前記遊技領域を囲む形成部材を備えた遊技機において、前記遊技領域の上側に配置された遊技構成体と、前記遊技領域の下端に位置し、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球が排出される排出口と、前記遊技構成体の下側でかつ前記排出口の上側に位置する第一入賞口と、前記遊技領域の一部であって、前記遊技構成体および前記第一入賞口の幅方向一方側の領域であり、当該領域を構成する遊技盤の少なくとも一部が透明である第一遊技領域と、前記遊技領域の一部であって、前記遊技構成体および前記第一入賞口の幅方向他方側の領域であり、当該領域を構成する遊技盤の少なくとも一部が透明である第二遊技領域と、前記遊技盤の後方側に設けられ、前記第一遊技領域と前記第二遊技領域を構成する前記遊技盤の透明な部分を通じて視認可能である第一装飾部材および第二装飾部材と、前記第一遊技領域において前記形成部材に沿って前記排出口に向かって延びるように設けられた排出誘導部材と、前記第一遊技領域において前記排出誘導部材の上側に前記第一入賞口側に向かって延びるように設けられた部材であって、途中に遊技球が通過可能な一または複数の落下口が形成された入賞誘導部材と、前記第二遊技領域に設けられた第二入賞口と、前記第一入賞口、および当該前記第一入賞口とは異なる入賞口であって当該第一入賞口よりも上方に位置する別の入賞口を構成する入賞部材と、前記第一遊技領域において前記入賞誘導部材の上側に前記別の入賞口側に向かって延びるように設けられた部材であって、途中に遊技球が通過可能な一または複数の落下口が形成された別の入賞誘導部材と、を備え、前記第一遊技領域は、前記別の入賞誘導部材に誘導される遊技球がその落下口を通過しなかった場合に前記別の入賞口に入賞する可能性があるとともに、前記入賞誘導部材に誘導される遊技球がその落下口を通過しなかった場合に前記第一入賞口に入賞する可能性があり、前記入賞誘導部材の落下口を通過した遊技球が前記排出誘導部材によって前記排出口に誘導されるように構成され、前記別の入賞誘導部材と前記入賞誘導部材の間、および前記排出誘導部材と前記入賞誘導部材の間の前記遊技構成体が配置されていない領域は、前記遊技盤の透明な部分によって前記第一装飾部材が視認可能に構成されるとともに、遊技球を誘導する部材が設けられておらず、前記第二遊技領域は、前記第二入賞口が設けられた上流領域、および当該上流領域を通過した遊技球が進入する領域である前記排出口側および前記第一入賞口側に位置する下流領域を含み、当該下流領域は、前記遊技盤の透明な部分によって前記第二装飾部材が視認可能に構成されるとともに、進入した遊技球が前記第一入賞口に到達しないように遊技球を誘導する部材が設けられているものであり、前記第一遊技領域における前記別の入賞誘導部材と前記入賞誘導部材の間、および前記排出誘導部材と前記入賞誘導部材の間の領域を通じて前記第一装飾部材の少なくとも一部が視認され、前記第二遊技領域における前記下流領域を通じて前記第二装飾部材の少なくとも一部が視認されることを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の遊技機において、前記第一遊技領域における前記別の入賞誘導部材と前記入賞誘導部材の間、および前記排出誘導部材と前記入賞誘導部材の間の領域を通じて視認される前記第一装飾部材と、前記第二遊技領域における前記下流領域を通じて視認される前記第二装飾部材とが組み合わされて所定の形態が構築されることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載の遊技機において、前記第一遊技領域における前記別の入賞誘導部材と前記入賞誘導部材の間、および前記排出誘導部材と前記入賞誘導部材の間の領域を通じて視認される前記第一装飾部材の大きさと、前記第二遊技領域における前記下流領域を通じて視認される前記第二装飾部材の大きさが略同じであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明は、第一遊技領域における入賞誘導部材と排出誘導部材の間には、遊技球を誘導する部材が設けられておらず、この遊技球を誘導する部材が設けられていない遊技盤の透明な部分を通じて当該部分の後方に位置する装飾部材が視認される。また、第二遊技領域における下流領域には、進入した遊技球が到達しないように遊技球を誘導する部材が設けられている。すなわち遊技球を誘導する部材が少ない遊技盤の透明な部分を通じて当該部分の後方に位置する装飾部材が視認される。このように、請求項1に記載の発明においては、少なくとも一部が透明である遊技盤によって構成される遊技領域の装飾を妨げる部材が少ないから、遊技領域の装飾性を高めることが可能である。
【0010】
請求項2に記載の発明のように上流誘導部材および別の入賞口を設定すれば、装飾部材による遊技領域の装飾性能を低下させないように、別の入賞口を設置すること(遊技性を高めること)が可能となる。
【0011】
請求項3に記載の発明のように第二入賞口および第二入賞口が設けられる流路を設定すれば、第二遊技領域での遊技性を担保しつつ、装飾部材によって装飾される第二遊技領域の下流領域を大きくすること(第二遊技領域の装飾性を高めること)が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技盤10の平面方向に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技盤10の平面方向に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、上下方向とは
図1における上下方向を、幅方向(左右方向)とは
図1における左右方向をいうものとする。
【0014】
図1にその全体を示す本実施形態にかかる遊技機1は、遊技盤10、形成部材13、遊技領域(第一遊技領域11および第二遊技領域12)、遊技構成体14(表示装置141とその周囲の装飾142)、装飾部材20、排出口30、第一入賞口40、排出誘導部材50、入賞誘導部材60、第二入賞口70、および上流誘導部材80を備える。以下、
図1〜
図4を参照して各構成について詳細に説明する。
【0015】
遊技盤10は、手前側に遊技領域を構成する板状の部材である。遊技盤10は、その少なくとも一部が透明な材料で形成されている。具体的には、遊技盤10を装飾するための装飾部材20(詳細は後述)と透明な部分が前後方向で重なるように設定される。したがって、装飾部材20は、透明な部分を通じて装飾部材20が視認可能である。本実施形態における遊技盤10は、その全部が透明な材料で形成されている。
【0016】
遊技盤10によって構成される遊技領域は、その周囲が形成部材13によって囲まれている。形成部材13は略円形(やや上下方向に長い縦長の楕円)に形成されており、その内側の領域が遊技領域となる。図示されない公知の発射装置(ハンドル)によって発射された遊技球は、形成部材13の一部であるガイドレール131の外側の通路を通って遊技領域内に進入する。
【0017】
遊技盤10によって構成される遊技領域は、幅方向左側(幅方向一方側)の第一遊技領域11と、幅方向右側(幅方向他方側)の第二遊技領域12を含む。具体的には、第一遊技領域11は、詳細を後述する第一入賞口40および遊技構成体14の左側に位置し、第二遊技領域12は、第二入賞口70および遊技構成体14の右側に位置する。
【0018】
第一遊技領域11と第二遊技領域12は、遊技領域中央に設けられた表示装置141およびその周囲の装飾142(これらをまとめて遊技構成体14と称する)によって区画されている。全体の遊技領域は、遊技構成体14の外縁から形成部材13の内縁に至るまでの領域であるともいえる。遊技構成体14の上側には、第二遊技領域12に繋がる連通路90が設けられている。発射装置(ハンドル)によって連通路90を通過しない程度に(相対的に弱く)遊技球が出射された場合には、遊技球は第一遊技領域11を流下することになる。一方、発射装置(ハンドル)によって連通路90を通過するように(相対的に強く)遊技球が出射された場合には、遊技球は第二遊技領域12に進入し、当該第二遊技領域12を流下することになる。つまり、遊技構成体14により、一旦、一方の遊技領域に進入した遊技球は、他方の遊技領域の上流から流下することがないように構成されている。なお、遊技構成体14は、第一遊技領域11と第二遊技領域12を区画する要素であれば、表示装置141や装飾142といったもの以外のもので構成されていてもよい。
【0019】
図4に模式的に示すように、装飾部材20は、遊技盤10の後方に設けられる遊技領域装飾用の部材である。本実施形態にかかる遊技機1は、第一装飾部材21および第二装飾部材22を有する。第一装飾部材21は、遊技盤10の左下に重なるように位置し、第二装飾部材22は遊技盤10の右下に重なるように位置する。つまり、第一装飾部材21は遊技盤10における第一遊技領域11を構成する部分の一部(第一装飾領域)に重なり(
図1、
図2参照)、第二装飾部材22は遊技盤10における第二遊技領域12を構成する部分の一部(第二装飾領域)に重なる(
図1、
図3参照)。両装飾部材20は、遊技盤10を通じて視認可能である。つまり、遊技者には、遊技領域があたかも両装飾部材20によって装飾されているかのような態様に見える。なお、本実施形態における第一装飾部材21は、文字列「AB」を象った部材であり、第二装飾部材22は、文字列「CD」を象った部材である。
【0020】
本実施形態における第一装飾部材21および第二装飾部材22は、図示されない駆動機構により平面方向に移動可能である。具体的には、
図1〜
図3に示す装飾位置から、表示装置141に重なる位置まで移動可能である。つまり、両装飾部材20は、遊技領域(遊技盤10)を装飾する部材としてだけでなく、いわゆる役物としても機能する。両装飾部材20を移動させる駆動機構は、特定のものに限定されるわけではないため説明を省略する。
【0021】
遊技領域の中央最下部には、排出口30(いわゆるアウト口)が設けられている。発射装置を操作することにより遊技領域に進入した遊技球は、いずれの入賞口にも入賞しなかった場合、当該排出口30より排出される。なお、当該排出口30以外の別の排出口30(別のアウト口)が設けられていてもよい。この場合、遊技領域に進入した遊技球は、いずれの入賞口(別の排出口30を含む)にも入賞しなかった場合、遊技領域の中央最下部に位置する排出口30から排出される。
【0022】
第一入賞口40は、遊技領域に設けられた複数の入賞口の一つである。第一入賞口40は、排出口30の上側に位置する。つまり、第一入賞口40と排出口30は上下方向に並ぶ。第一入賞口40および排出口30は、第一遊技領域11と第二遊技領域12の境界に位置する。換言すれば、第一遊技領域11と第二遊技領域12の隣接する部分の一部が、第一入賞口40(入賞部材40a)および排出口30により区切られているということができる。第一入賞口40は、排出口30の上に設けられた入賞部材40aに形成されている。入賞部材40aは、遊技盤10の前面(遊技領域を構成する面)から突出した部材であって、その幅方向両側に二つの第一入賞口40(左第一入賞口41および右第一入賞口42)が形成されている。
【0023】
開閉部材は、第一入賞口40の入口を開閉する部材である。開閉部材は、遊技盤10の平面方向に沿って回動する(回動軸が遊技盤10の平面方向に直交する)部材である。入賞部材40aの左側には左第一入賞口41を開閉する左開閉部材411が、右側には右第一入賞口42を開閉する右開閉部材421が設けられている。開閉部材が幅方向外側に向かって回動すると、第一入賞口40への遊技球の進入が可能な状態となる。開閉部材が幅方向内側に向かって回動すると、第一入賞口40が封鎖され(狭められ)、第一入賞口40への遊技球の進入が不可能な状態となる。
【0024】
なお、本実施形態では、入賞部材40aの上側にヘソ入賞口91が設けられている。ヘソ入賞口91は、常に開放状態にある入賞口である。
【0025】
第一遊技領域11には、排出誘導部材50が設けられている。排出誘導部材50は、遊技領域の左下(第一装飾領域の下方)に設けられる部材であって、排出口30に向かって延びるように、左側から中央に向かってだんだんと低くなるように傾斜した形状を有する。したがって、排出誘導部材50に到達した(落下した)遊技球は、排出口30に向かって排出誘導部材50の上を転がる。つまり、排出誘導部材50は、排出口30に向かって遊技球を誘導する。また、本実施形態にかかる排出誘導部材50は、その内側に遊技球が通過可能な空洞(通路)が形成されている。当該通路は、形成部材13の内縁に沿うものとなる。つまり、排出口30に向かって延びる通路となる。なお、本実施形態にかかる排出誘導部材50は、合成樹脂材料により一体成形されたものであるが、複数の遊技釘等により構成されていてもよい。また、形成部材13の一部が排出誘導部材50として機能するようにしてもよい。
【0026】
また、第一遊技領域11には、入賞誘導部材60が設けられている。入賞誘導部材60は、上記排出誘導部材50の上側(第一装飾領域)に設けられる部材であって、第一入賞口40(左第一入賞口41)に向かって延びるように、左側から中央に向かってだんだんと低くなるように傾斜した形状を有する。本実施形態における入賞部材40aは、複数の遊技釘によって構成される。つまり、入賞誘導部材60は、第一入賞口40(左第一入賞口41)に向かって延びるように複数の遊技釘が並べられることにより構成されている。入賞誘導部材60には、遊技球が通過可能な一または複数(本実施形態では二つ)の落下口61が形成されている。本実施形態のように複数の遊技釘により入賞誘導部材60が構成される場合、一または複数個所において、遊技釘の間隔が、遊技球の直径よりも大きくなるように設定されている。入賞誘導部材60の上を転がる遊技球は、落下口61を通過しなければ、第一入賞口40(左第一入賞口41)近傍まで到達することになる。なお、入賞誘導部材60は、複数の遊技釘で構成されている必要はない。例えば、遊技盤10の前面から突出するように形成されたブロック状の部材により構成されていてもよい。
【0027】
かかる排出誘導部材50と入賞誘導部材60の間の領域は、遊技球を誘導する部材が設けられていない。つまり、当該領域には遊技釘等は全く設けられていないから、少なくとも当該領域において、後方に設けられた第二装飾部材22を視覚的に遮るものは存在しない。
【0028】
第二入賞口70は、第二遊技領域12に設けられた入賞口である。本実施形態における第二遊技領域12は、上流領域121および下流領域122を含む。連通路90を通過した遊技球は、各種入賞口等に入賞しなければ、上流領域121、下流領域122の順で流下することになる。上流領域121は、下流領域122よりも幅方向外側(本実施形態では右側)に位置する。つまり、下流領域122は、上流領域121よりも排出口30および第一入賞口40側に位置する。第二入賞口70は、第二遊技領域12における上流領域121に設けられている。第二入賞口70は、一つであってもよいし、複数設けられていてもよい。本実施形態では、第二入賞口70として二つの入賞口が設けられている。具体的には、上流側に位置する上アタッカー入賞口71およびこの上アタッカー入賞口71より下流側に位置する下アタッカー入賞口72が設けられている。上アタッカー入賞口71および下アタッカー入賞口72は上下に併設されている。上アタッカー入賞口71および下アタッカー入賞口72は、その前側に設けられたアタッカー部材が手前側に倒れることにより入賞可能となり入賞口である。当該上流領域121における第二入賞口70(上アタッカー入賞口71および下アタッカー入賞口72)が位置する流路(アタッカー流路73)の少なくとも一部は、上下方向に沿い、かつその幅が遊技球一個分以上二個分未満である。つまり、当該アタッカー流路73を二以上の遊技球が幅方向に並んで流下しないようにすることで、アタッカー流路73において球詰まりが発生したり、第二入賞口70である上アタッカー入賞口71および下アタッカー入賞口72に二以上の遊技球が一度に入賞しようとして球詰まりが発生したりしてしまうことが防止される。
【0029】
なお、上流側領域おける第二入賞口70(上アタッカー入賞口71および下アタッカー入賞口72)が位置する部分(アタッカー流路73)よりさらに上流側には、遊技球が通過可能な入賞ゲート74が設けられている。
【0030】
第二遊技領域12の下流領域122は、上流領域121よりも下方かつ中央寄りの領域である。当該部分の後方に第二装飾部材22(文字列「CD」を模したもの)が配置されている。つまり下流領域122は、第二装飾部材22によって装飾される第二装飾領域である。本実施形態にかかる遊技機1では、排出口30および第一入賞口40が配置されている箇所の左側の遊技領域が、第一装飾部材21によって装飾される第一装飾領域であり、右側の遊技領域が、第二装飾部材22によって装飾される第二装飾領域となっている。第二遊技領域12の下流領域122は、当該領域に進入した遊技球が第一入賞口40に到達しないように遊技球を誘導する部材が設けられている。つまり、遊技球を誘導する部材(遊技釘等)は、遊技球が第一入賞口40に到達しない程度しか設けられていない。
【0031】
上流誘導部材80は、第一遊技領域11に設けられた遊技球を誘導する部材の一つである。上流誘導部材80は、入賞誘導部材60に繋がるように設けられている。具体的には、上流誘導部材80は、その下流側端部が、入賞誘導部材60の上流側端部に繋がるように設けられている。入賞誘導部材60の上流側端部は、第一入賞口40から遠い側の端部である。上流誘導部材80と入賞誘導部材60を全体としてひとまとまりの部材と考えたものが、第一入賞口40へ向かう誘導部材ということができる。
【0032】
上流誘導部材80の途中には、遊技球が通過可能な一または複数の分岐口81が形成されている。本実施形態では、二つの分岐口81が形成されている。したがって、上流誘導部材80に誘導される遊技球は、当該分岐口81を通過しなければ、そのまま入賞誘導部材60に到達し、入賞誘導部材60によって第一入賞口40に向かって誘導される。一方、分岐口81を通過した場合には、別の入賞口82に入賞する可能性がある。本実施形態では、二つの分岐口81のそれぞれの下方に、第一入賞口40や第二入賞口70とは異なる別の入賞口82(いわゆるおまけ入賞口)が設けられており、遊技球が分岐口81を通過した場合には当該別の入賞口82に入賞する可能性がある。別の入賞口82に入賞しなかった場合には、排出口30より排出される。別の入賞口82は、遊技領域の左側に設けられている。別の入賞口82と第一入賞口40の間に、第一遊技領域11における第一装飾部材21が視認可能な領域が位置する。つまり、排出誘導部材50と入賞誘導部材60の間の、遊技球を誘導する部材が全く設けられていない領域が位置する。換言すれば、別の入賞口82は、第一装飾部材21が視認可能な領域の第一入賞口40側の反対側に位置するということである。
【0033】
本実施形態における別の入賞口82は、その入口となる開口(開口に沿う平面)の傾斜角度が、幅方向に沿う0度よりも上下方向に沿う90度に近い形状となっている(傾斜角度が45度より大きく、90度よりも小さい)。したがって、別の入賞口82が幅方向に占めるスペースが小さく、第一遊技領域11における第一装飾部材21が視認可能な領域が大きくなる。
【0034】
このように構成される本実施形態にかかる遊技機1の遊技の概要は以下の通りである。なお、以下で説明する遊技の概要は一例である。また、大当たりの抽選方法や演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、詳細な説明は省略する。
【0035】
大当たりの抽選確率が相対的に低い通常の遊技状態では、遊技者は遊技球が第一遊技領域11に進入するように発射装置を操作する。つまり、いわゆる左打ち遊技を行う。第一遊技領域11に進入した遊技球がヘソ入賞口91に入賞することを契機として大当たりの抽選(低確率での抽選)が実行される。
【0036】
遊技球がヘソ入賞口91に入賞することを契機として大当たりに当選すると、開閉部材(左開閉部材411および右開閉部材421)が頻繁に開放する。つまり、第一入賞口40(左第一入賞口41および右第一入賞口42)に遊技球が入賞しやすい状態となる。遊技者は、第一遊技領域11に遊技球が進入するように左打ち遊技を行い、遊技球が第一入賞口40に入賞することにより、賞球として多くの遊技球を獲得することができる。
【0037】
上述したように、分岐口81を通過せずに上流誘導部材80に誘導されて入賞誘導部材60に到達した遊技球は、落下口61を通過しなければ第一入賞口40付近まで到達するため、第一入賞口40に入賞する可能性がある。分岐口81を通過した遊技球は、別の入賞口82に入賞する可能性があり、当該別の入賞口82に入賞した場合には、所定の賞球が払い出される。また、本実施形態では、二つの分岐路81のうち、左側(幅方向外側)の分岐路81を通過した遊技球であって、当該左側の分岐路81の下方に位置する別の入賞口82に入賞しなかった遊技球は、排出誘導部材50の内側に形成された通路を通じて排出口30に導かれる。一方、右側(幅方向内側)の分岐路81を通過した遊技球であって、当該右側の分岐路81の下方に位置する別の入賞口82に入賞しなかった遊技球は、排出誘導部材50の上方に到達し、当該排出誘導部材50によって排出口30に導かれる。
【0038】
大当たり遊技終了後は、大当たりの抽選確率が相対的に高い高確率遊技状態に移行する。高確率遊技状態では、遊技者は遊技球が第二遊技領域12に進入するように発射装置を操作する。つまり、いわゆる右打ち遊技を行う。高確率状態では、第二入賞口70の一方である上アタッカー入賞口71の手前に設けられたアタッカー開閉部材が頻繁に開放する。具体的には、高確率状態では、遊技球が入賞ゲート74を通過することを契機とする上アタッカー入賞口71の手前に設けられたアタッカー開閉部材の開放抽選に高確率で当選するため、遊技球が上アタッカー入賞口71に入賞しやすくなる。遊技球が上アタッカー入賞口71に入賞すると、それを契機として大当たりの抽選(高確率での抽選)が実行される。
【0039】
遊技球が上アタッカー入賞口71に入賞することを契機として大当たりに当選すると、下アタッカー入賞口72の手前に設けられたアタッカー開閉部材が頻繁に開放する。つまり、下アタッカー入賞口72に遊技球が入賞しやすい状態となる。遊技者は、第二遊技領域12に遊技球が進入するように右打ち遊技を行い、遊技球が下アタッカー入賞口72に入賞することにより、賞球として多くの遊技球を獲得することができる。高確率状態での大当たりの抽選は、所定回数行われ、当該所定の抽選回数を行っても大当たりに当選しなかった場合には、低確率状態に移行する(いわゆる左打ち遊技状態に戻る)。
【0040】
かかる右打ち遊技時において、第二入賞口70である上アタッカー入賞口71および下アタッカー入賞口72のいずれにも入賞せずに上流領域121を通過した遊技球は、下流領域122に進入する。上述したように、下流領域122には、遊技球を誘導する部材(遊技釘等)は遊技球が第一入賞口40に到達しない程度しか設けられていないため、上流領域121を通過し下流領域122に進入した遊技球が第一入賞口40に入賞することはない。
【0041】
なお、遊技領域の右下には、第一遊技領域11に設けられた別の入賞口82や第一入賞口40および第二入賞口70とは異なる他の入賞口92が設けられている。いわゆる右打ち遊技時には遊技球が当該他の入賞口92に入賞する可能性があり、当該他の入賞口92に入賞した場合には所定の賞球が払い出される。
【0042】
以上説明した本実施形態にかかる遊技機1によれば、次のような作用効果が奏される。本実施形態にかかる遊技機1において、第一遊技領域11における入賞誘導部材60と排出誘導部材50の間には、遊技球を誘導する部材が設けられておらず、この遊技球を誘導する部材が設けられていない遊技盤10の透明な部分を通じて当該部分の後方に位置する第一装飾部材21が視認される。また、第二遊技領域12における下流領域122には、進入した遊技球が到達しないように遊技球を誘導する部材が設けられている。すなわち遊技球を誘導する部材が少ない遊技盤10の透明な部分を通じて当該部分の後方に位置する第二装飾部材22が視認される。このように、本実施形態では、少なくとも一部が透明である遊技盤10によって構成される遊技領域の装飾を妨げる部材が少ないから、遊技領域の装飾性を高めることが可能である。
【0043】
また、分岐口81が形成された上流誘導部材80を入賞誘導部材60に繋がるように設けることにより、第一装飾部材21による第一遊技領域11の装飾性能を低下させないように、別の入賞口82を設置すること(遊技性を高めること)が可能である。落下口61および分岐口81の数や大きさを調整することにより、第一入賞口40や別の入賞口82への入賞確率を適宜調整することも可能である。
【0044】
また、上流領域121における第二入賞口70が位置する部分の少なくとも一部は、上下方向に沿い、かつその幅が遊技球一個分以上二個分未満の流路(アタッカー流路73)であるから、第二遊技領域12での遊技性(いわゆる右打ち遊技状態での遊技の面白さ)を担保しつつ、第二装飾部材22によって装飾される第二遊技領域12の下流領域122を大きくすること(第二遊技領域12の装飾性を高めること)が可能である。より具体的には、第二入賞口70が位置する上下に沿うアタッカー流路73の幅は、少なくとも一部が遊技球一個分以上二個分未満であるから、二個以上の遊技球が並んで流下することにより、当該アタッカー流路73や第二入賞口70の入口で球詰まりが生じてしまうことが抑制される。しかも、上下方向に沿うアタッカー流路73の幅が小さいから、第二装飾部材22によって装飾される第二遊技領域12の下流領域122を大きくすることが可能となる。つまり、本実施形態にかかる遊技機1のような第二入賞口70および当該第二入賞口70が設けられるアタッカー流路73の構成(形状・配置)とすることにより、球詰まりを防止する効果だけでなく、第二遊技領域12の装飾性を高める効果が発現される。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0046】
上記実施形態にかかる遊技機1は、第一遊技領域11が第一装飾部材21に、第二遊技領域12が第二装飾部材22に装飾された構成であることを説明したが、いずれか一方の遊技領域の構造のみを採用した遊技機としてもよい。例えば、入賞誘導部材60や排出誘導部材50等を含む第一遊技領域11の装飾構造のみを採用した遊技機としてもよい。