(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、強誘電体膜の結晶化をより一層促進させることを課題とする。また、本発明の一態様は、強誘電体膜の結晶性をより一層向上させることを課題とする。また、本発明の一態様は、結晶化しようとする強誘電体膜の配向を任意に制御することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、本発明の種々の態様について説明する。
(1)基板上に1重量%以上(好ましくは10重量%以上)の水素を含有する燃焼材膜を形成する工程と、
前記燃焼材膜上に強誘電体材料を含むアモルファス薄膜を形成する工程と、
前記燃焼材膜及び前記アモルファス薄膜を酸素雰囲気で加熱することにより、前記燃焼材膜を燃焼させて水素を前記アモルファス薄膜に供給しながら前記アモルファス薄膜を酸化して結晶化することで、前記基板上に第1の強誘電体膜を形成する工程と、
を具備することを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0011】
(2)上記(1)において、
前記燃焼材膜は、C
xN
yH
z膜、炭素膜またはDLC膜であり、
x,y,zは下記式(i)、(ii)を満たすことを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
(i)0.1≦z
(ii)x+y+z=1
【0012】
(3)基板上に、1重量%以上(好ましくは10重量%以上)の水素を含有する燃焼材と強誘電体材料を含むアモルファス薄膜を形成する工程と、
前記アモルファス薄膜を酸素雰囲気で加熱することにより、前記燃焼材を燃焼させて水素を前記アモルファス薄膜に供給しながら前記アモルファス薄膜を酸化して結晶化することで、前記基板上に第1の強誘電体膜を形成する工程と、
を具備することを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0013】
(4)上記(3)において、
前記燃焼材は、水素を担持したカーボン粉末であることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0014】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれか一項において、
前記第1の強誘電体膜は、
ABO
3あるいは(Bi
2O
2)
2+(A
m−1B
mO
3m+1)
2−(式中、AはLi、Na、K、Rb、Pb、Ca、Sr、Ba、Bi、La及びHfからなる群から選択される少なくとも1種、BはRu、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、V、W及びMoからなる群から選択される少なくとも1種、mは5以下の自然数である。)で表されるペロブスカイトまたはビスマス層状構造酸化物、
LanBa
2Cu
3O
7、Trm
2Ba
2Ca
n−1Cu
nO
2n+4又はTrmBa
2Ca
n−1Cu
nO
2n+3(式中、LanはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種、TrmはBi、Tl及びHgからなる群から選択される少なくとも1種、nは5以下の自然数である。)で表される超伝導酸化物、
A
0.5BO
3(正方ブロンズ構造)又はA
0.3BO
3(六方ブロンズ構造)(式中、AはLi、Na、K、Rb、Cs、Pb、Ca、Sr、Ba、Bi及びLaからなる群から選択される少なくとも1種、BはRu、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、V、W及びMoからなる群から選択される少なくとも1種である。)で表されるタングステンブロンズ構造酸化物、
CaO、BaO、PbO、ZnO、MgO、B
2O
3、Al
2O
3、Y
2O
3、La
2O
3、Cr
2O
3、Bi
2O
3、Ga
2O
3、ZrO
2、TiO
2、HfO
2、NbO
2、MoO
3、WO
3及びV
2O
5からなる群から選択される少なくとも1種の材料、
前記少なくとも1種の材料にSiO
2を含む材料、及び、
前記少なくとも1種の材料にSiO
2及びGeO
2を含む材料の少なくとも1つからなることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0015】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれか一項において、
前記第1の強誘電体膜がペロブスカイト構造酸化物であり、
前記アモルファス薄膜を酸素雰囲気で加熱する際に、加圧酸素雰囲気として酸素供給量を増加させることにより、前記第1の強誘電体膜は、(001)、(001)+(110)、(110)、(110)+(111)、(111)のいずれかに配向されることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0016】
(7)上記(6)において、
前記第1の強誘電体膜が(001)に配向されるときの前記加圧酸素雰囲気の圧力は、前記第1の強誘電体膜が(001)+(110)に配向されるときの前記加圧酸素雰囲気の圧力より低く、
前記第1の強誘電体膜が(001)+(110)に配向されるときの前記加圧酸素雰囲気の圧力は、前記第1の強誘電体膜が(110)に配向されるときの前記加圧酸素雰囲気の圧力より低く、
前記第1の強誘電体膜が(110)に配向されるときの前記加圧酸素雰囲気の圧力は、前記第1の強誘電体膜が(110)+(111)に配向されるときの前記加圧酸素雰囲気の圧力より低く、
前記第1の強誘電体膜が(110)+(111)に配向されるときの前記加圧酸素雰囲気の圧力は、前記第1の強誘電体膜が(111)に配向されるときの前記加圧酸素雰囲気の圧力より低いことを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0017】
(8)上記(1)乃至(5)のいずれか一項において、
前記第1の強誘電体膜がペロブスカイト構造酸化物であり、
前記燃焼材膜の膜厚を増加させることにより、前記第1の強誘電体膜は、(001)、(001)+(110)、(110)、(110)+(111)、(111)のいずれかに配向されることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0018】
(9)上記(8)において、
前記第1の強誘電体膜が(001)に配向されるときの前記燃焼材膜の膜厚は、前記第1の強誘電体膜が(001)+(110)に配向されるときの前記燃焼材膜の膜厚より薄く、
前記第1の強誘電体膜が(001)+(110)に配向されるときの前記燃焼材膜の膜厚は、前記第1の強誘電体膜が(110)に配向されるときの前記燃焼材膜の膜厚より薄く、
前記第1の強誘電体膜が(110)に配向されるときの前記燃焼材膜の膜厚は、前記第1の強誘電体膜が(110)+(111)に配向されるときの前記燃焼材膜の膜厚より薄く、
前記第1の強誘電体膜が(110)+(111)に配向されるときの前記燃焼材膜の膜厚は、前記第1の強誘電体膜が(111)に配向されるときの前記燃焼材膜の膜厚より薄いことを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0019】
(10)上記(8)または(9)において、
前記燃焼材膜は、膜厚が0.1nm〜300nmのDLC膜であることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0020】
(11)上記(6)乃至(10)のいずれか一項において、
前記第1の強誘電体膜はPZT膜であることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0021】
(12)上記(1)乃至(11)のいずれか一項において、
前記基板上には電極が形成されており、
前記第1の強誘電体膜は、前記電極上に形成されることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0022】
(13)上記(1)乃至(12)のいずれか一項において、
前記アモルファス薄膜の膜厚は5〜450nmであることを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0023】
(14)上記(6)乃至(11)のいずれか一項において、
前記基板上に第1の強誘電体膜を形成する工程の後に、前記第1の強誘電体膜上に強誘電体材料を含むアモルファス薄膜を形成し、前記アモルファス薄膜を酸素雰囲気で加熱することにより前記アモルファス薄膜を酸化して結晶化することで、前記第1の強誘電体膜上に第2の強誘電体膜を形成する工程をさらに具備することを特徴とする強誘電体膜の製造方法。
【0024】
(15)ペロブスカイト構造酸化物からなる強誘電体膜であって、
(001)、(110)、(111)のいずれかの配向のX線回折による測定結果における一番強いピークの半値幅が1.5°以下(好ましくは0.75°以下、より好ましくは0.4°以下)を有することを特徴とする強誘電体膜。
【0025】
(16)上記(15)に記載の強誘電体膜は、上記(6)乃至(11)のいずれか一項に記載の強誘電体膜の製造方法によって製造されたものであることを特徴とする強誘電体膜。
【0026】
(17)上記(15)または(16)に記載の強誘電体膜を用いることを特徴とする電子部品。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様を適用することで、強誘電体材料膜の結晶化をより一層促進させることができる。また、本発明の一態様を適用することで、強誘電体材料膜の結晶性をより一層向上させることができる。また、本発明の一態様を適用することで、結晶化しようとする強誘電体膜の配向を任意に制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施形態及び実施例について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施形態の記載内容及び実施例に限定して解釈されるものではない。
【0030】
(第1の実施形態)
本発明の一態様に係る強誘電体膜の製造方法について説明する。
基板上に電極を形成する。この電極は、所定の結晶面、例えば(111)配向させたPt膜が用いられる。なお、本実施形態では、電極としてPt膜を用いているが、電極として機能するものであれば種々のものを用いることができ、例えばAu,Ag,Pa、Irなどの材料を用いてもよい。
【0031】
次いで、この電極上に1重量%以上(好ましくは10重量%以上、より好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは30〜60重量%)の水素を含有する燃焼材膜を形成する。この燃焼材膜は、後の酸素雰囲気で加熱する結晶化工程で燃焼されて消失される膜であって、その燃焼される際に膜中に含有する水素が放出される膜である。
【0032】
燃焼材膜としては、例えばCVD法によって成膜されたC
xN
yH
z膜、炭素膜またはダイヤモンドライクカーボン膜(以下、「DLC膜」という。)を用いることができ、x,y,zは下記式(i)、(ii)を満たし、好ましくは(i')〜(iv')を満たす。
(i)0.1≦z
(ii)x+y+z=1
(i')0<x
(ii')0<y
(iii')0.1≦z
(iv')x+y+z=1
【0033】
C
xN
yH
z膜は、例えばC
4H
2N
2、C
5H
3N
3、C
7H
3N
3、C
6H
2N
4、C
5H
2N
4、C
10H
2N
4、C
12H
4N
4およびC
6N
4のいずれかを用いてもよい。燃焼材膜としてC
xN
yH
z膜を用いた場合は、後の酸素雰囲気で加熱する結晶化工程で燃焼される際に膜中に含有する水素と窒素が放出される。
【0034】
また、燃焼材膜としてDLC膜を用いる場合は、その膜厚は例えば0.1nm〜300nmであるとよい。
【0035】
次に、燃焼材膜上に第1の強誘電体材料を含む第1のアモルファス薄膜を形成する。第1のアモルファス薄膜の膜厚は5〜450nm(好ましくは20〜150nm)であるとよい。第1の強誘電体材料は、後の結晶化工程で第1のアモルファス薄膜が結晶化されることによって、下記の(1)〜(6)のいずれかの材料からなる膜になるための材料である。
(1)ABO
3あるいは(Bi
2O
2)
2+(A
m−1B
mO
3m+1)
2−(式中、AはLi、Na、K、Rb、Pb、Ca、Sr、Ba、Bi、La及びHfからなる群から選択される少なくとも1種、BはRu、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、V、W及びMoからなる群から選択される少なくとも1種、mは5以下の自然数である。)で表されるペロブスカイト及びビスマス層状構造酸化物
(2)LanBa
2Cu
3O
7、Trm
2Ba
2Ca
n−1Cu
nO
2n+4又はTrmBa
2Ca
n−1Cu
nO
2n+3(式中、LanはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される少なくとも1種、TrmはBi、Tl及びHgからなる群から選択される少なくとも1種、nは5以下の自然数である。)で表される超伝導酸化物
(3)A
0.5BO
3(正方ブロンズ構造)又はA
0.3BO
3(六方ブロンズ構造)(式中、AはLi、Na、K、Rb、Cs、Pb、Ca、Sr、Ba、Bi及びLaからなる群から選択される少なくとも1種、BはRu、Fe、Ti、Zr、Nb、Ta、V、W及びMoからなる群から選択される少なくとも1種である。)で表されるタングステンブロンズ構造酸化物
(4)CaO、BaO、PbO、ZnO、MgO、B
2O
3、Al
2O
3、Y
2O
3、La
2O
3、Cr
2O
3、Bi
2O
3、Ga
2O
3、ZrO
2、TiO
2、HfO
2、NbO
2、MoO
3、WO
3及びV
2O
5からなる群から選択される少なくとも1種の材料、
(5)前記少なくとも1種の材料にSiO
2を含む材料
(6)前記少なくとも1種の材料にSiO
2及びGeO
2を含む材料
【0036】
次に、燃焼材膜及び第1のアモルファス薄膜を酸素雰囲気で加熱することにより、燃焼材膜を燃焼させ、その際に水素が放出され、その水素を第1のアモルファス薄膜に供給しながら第1のアモルファス薄膜を酸化して結晶化する。これにより、電極上には第1の強誘電体膜が形成される。この結晶化は、第1のアモルファス薄膜を水素によって還元しながら酸素によって酸化するものである。水素によって還元しながら酸化することは、第1のアモルファス薄膜中の例えばLi、Na、K、Rbなどのアルカリ金属を還元することで純粋なアルカリ金属に保ちながら、この純粋なアルカリ金属を酸素によって酸化することである。つまり、水素による還元作用を利用することで、結晶化のためのアルカリ金属の酸化をより一層促進させることができ、その結果、第1のアモルファス薄膜の結晶化をより一層促進させることができ、第1の強誘電体膜の結晶性をより一層向上させることができる。
【0037】
第1の強誘電体膜がペロブスカイト構造酸化物である場合、第1のアモルファス薄膜を酸素雰囲気で加熱する際に、加圧酸素雰囲気として酸素供給量を増加させてもよい。これにより、第1の強誘電体膜は、(001)、(001)+(110)、(110)、(110)+(111)、(111)のいずれかに配向されることになる。
【0038】
詳細には、第1の強誘電体膜が(001)に配向されるときの加圧酸素雰囲気の圧力は、第1の強誘電体膜が(001)+(110)に配向されるときの加圧酸素雰囲気の圧力より低い。また、第1の強誘電体膜が(001)+(110)に配向されるときの加圧酸素雰囲気の圧力は、第1の強誘電体膜が(110)に配向されるときの加圧酸素雰囲気の圧力より低い。また、第1の強誘電体膜が(110)に配向されるときの加圧酸素雰囲気の圧力は、第1の強誘電体膜が(110)+(111)に配向されるときの加圧酸素雰囲気の圧力より低い。また、第1の強誘電体膜が(110)+(111)に配向されるときの加圧酸素雰囲気の圧力は、第1の強誘電体膜が(111)に配向されるときの加圧酸素雰囲気の圧力より低い。このように、酸素分圧によって第1の強誘電体膜の結晶面の配向を制御することができる。
【0039】
また、第1の強誘電体膜がペロブスカイト構造酸化物である場合、燃焼材膜の膜厚を増加させることにより、第1の強誘電体膜は、(001)、(001)+(110)、(110)、(110)+(111)、(111)のいずれかに配向されることになる。
【0040】
詳細には、第1の強誘電体膜が(001)に配向されるときの燃焼材膜の膜厚は、第1の強誘電体膜が(001)+(110)に配向されるときの燃焼材膜の膜厚より薄い。また、第1の強誘電体膜が(001)+(110)に配向されるときの燃焼材膜の膜厚は、第1の強誘電体膜が(110)に配向されるときの燃焼材膜の膜厚より薄い。また、第1の強誘電体膜が(110)に配向されるときの燃焼材膜の膜厚は、第1の強誘電体膜が(110)+(111)に配向されるときの燃焼材膜の膜厚より薄い。また、第1の強誘電体膜が(110)+(111)に配向されるときの燃焼材膜の膜厚は、第1の強誘電体膜が(111)に配向されるときの燃焼材膜の膜厚より薄い。このように、燃焼材膜の膜厚によって第1の強誘電体膜の結晶面の配向を制御することができる。
【0041】
また、第1の強誘電体膜がPZT膜である場合、このPZT膜は、例えば(001)、(001)+(110)及び(110)のいずれかに配向される。
【0042】
詳細には、燃焼材膜が例えば膜厚10μmのDLC膜であり、第1の強誘電体膜が例えば膜厚2〜4μmのPZT膜である場合、そのPZT膜は(001)に配向される。また、燃焼材膜が例えば膜厚20μmのDLC膜であり、第1の強誘電体膜が例えば膜厚2〜4μmのPZT膜である場合、そのPZT膜は(001)+(110)に配向され、その配向の強さは(001)が強い。また、燃焼材膜が例えば膜厚50μmのDLC膜であり、第1の強誘電体膜が例えば膜厚2〜4μmのPZT膜である場合、そのPZT膜は(110)+(001)に配向され、その配向の強さは(110)が強い。また、燃焼材膜が例えば膜厚100μmのDLC膜であり、第1の強誘電体膜が例えば膜厚2〜4μmのPZT膜である場合、そのPZT膜は(110)+(001)に配向され、その配向の強さは(110)がかなり強い。
【0043】
上記のようにして作製された第1の強誘電体膜を初期核として用い、第1の強誘電体膜上に第2の強誘電体材料を含む第2のアモルファス薄膜を形成する。第2のアモルファス薄膜の膜厚は第1のアモルファス薄膜より厚いとよい。第2の強誘電体材料は、第1の強誘電体材料と同様のものを用いてもよい。
【0044】
次に、第2のアモルファス薄膜を常圧または加圧の酸素雰囲気で加熱することにより、第2のアモルファス薄膜を酸化して結晶化する。これにより、第1の強誘電体膜上には第2の強誘電体膜が形成される。この結晶化の際に第1の強誘電体膜を初期核として用いるため、第2の強誘電体膜は第1の強誘電体膜と同じ結晶面の配向となる。
【0045】
上記のようにして作製された第1及び第2の強誘電体膜それぞれは、結晶性をより一層向上させることができる。また、第1の強誘電体膜または第1及び第2の強誘電体膜を用いて電子部品を作製することも可能である。
【0046】
(第2の実施形態)
本発明の一態様に係る強誘電体膜の製造方法について説明する。
本実施形態は、以下の点を除いて第1の実施形態と同様である。
第1の実施形態による電極上に1重量%以上の水素を含有する燃焼材膜を形成し、この燃焼材膜上に第1の強誘電体材料を含む第1のアモルファス薄膜を形成する工程に替えて、本実施形態では、電極上に、1重量%以上(好ましくは10重量%以上、より好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは30〜60重量%)の水素を含有する燃焼材と第1の強誘電体材料を含む第1のアモルファス薄膜を形成する工程を用いる。
【0047】
上記の第1のアモルファス薄膜を形成した後に、第1のアモルファス薄膜を酸素雰囲気で加熱することにより、第1のアモルファス薄膜中の燃焼材を燃焼させて消失させ、その際に水素が放出され、その水素を第1のアモルファス薄膜に供給しながら第1のアモルファス薄膜を酸化して結晶化する。これにより、電極上には第1の強誘電体膜が形成される。この結晶化の際の水素の役割は、第1の実施形態と同様であるので、水素による還元作用を利用することで、結晶化のための酸化をより一層促進させることができる。その結果、第1のアモルファス薄膜の結晶化をより一層促進させることができ、第1の強誘電体膜の結晶性をより一層向上させることができる。
【0048】
燃焼材としては、水素を担持したカーボン粉末を用いることができる。水素の担持方法は、例えば多孔質のカーボン粉末をアセトンに浸漬させることで水素を容易に担持できる。
【0049】
また、他の燃焼材としては、C
xN
yH
z膜または水素を含有するDLC膜をCVD法またはスパッタリング法によってカーボン粉末に被覆したものを用いることができる。なお、C
xN
yH
z膜は、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
【実施例1】
【0050】
図1は、本発明の実施例1によるPZT膜の製造方法を説明するための断面図である。
このPZT膜の製造方法は、基板上にPZT膜を製造する方法であり、DLC膜などの炭素膜を燃焼材膜に用いて強誘電体セラミックス薄膜を製造する方法である。
【0051】
まず、サンプル1〜4を作製するための4枚の基板を用意した。この基板としては、6インチSi基板1上に厚さ200nmのSiO
2膜2が形成され、このSiO
2膜2上に厚さ30nmのTiO
x膜3が形成され、このTiO
x膜3上に厚さ200nmの(111)配向させたPt電極薄膜4が形成されたものを用いた。
【0052】
次いで、サンプル1の基板のPt電極薄膜4上に燃焼材膜としての炭素膜5である厚さ10nmのDLC膜を形成した。また、サンプル2の基板のPt電極薄膜4上に燃焼材膜としての炭素膜5である厚さ20nmのDLC膜を形成した。また、サンプル3の基板のPt電極薄膜4上に燃焼材膜としての炭素膜5である厚さ50nmのDLC膜を形成した。また、サンプル4の基板のPt電極薄膜4上に燃焼材膜としての炭素膜5である厚さ100nmのDLC膜を形成した。これらのDLC膜に含有する水素は25%であった。これらのDLC膜の形成方法は、以下のとおりである。
【0053】
[サンプル1のDLC膜の成膜方法]
図示せぬ平行平板型プラズマCVD装置のチャンバー内の基板電極上にサンプル1の基板を設置し、チャンバー内に原料ガスとしてトルエンを30sccmの流量で導入し、チャンバー内の圧力を0.5Paとし、基板温度を室温とし(基板を加熱しない)、基板電極に周波数13.56MHzの高周波を出力900Wで供給し、所定の成膜時間で成膜することにより、サンプル1の基板のPt電極薄膜4上に厚さ10nm のDLC膜を形成した。
【0054】
[サンプル2のDLC膜の成膜方法]
図示せぬ平行平板型プラズマCVD装置のチャンバー内の基板電極上にサンプル2の基板を設置し、チャンバー内に原料ガスとしてトルエンを30sccmの流量で導入し、チャンバー内の圧力を0.5Paとし、基板温度を室温とし(基板を加熱しない)、基板電極に周波数13.56MHzの高周波を出力900Wで供給し、所定の成膜時間で成膜することにより、サンプル2の基板のPt電極薄膜4上に厚さ10nm のDLC膜を形成した。
【0055】
[サンプル3のDLC膜の成膜方法]
図示せぬ平行平板型プラズマCVD装置のチャンバー内の基板電極上にサンプル3の基板を設置し、チャンバー内に原料ガスとしてトルエンを30sccmの流量で導入し、チャンバー内の圧力を0.5Paとし、基板温度を室温とし(基板を加熱しない)、基板電極に周波数13.56MHzの高周波を出力900Wで供給し、所定の成膜時間で成膜することにより、サンプル3の基板のPt電極薄膜4上に厚さ10nm のDLC膜を形成した。
【0056】
[サンプル4のDLC膜の成膜方法]
図示せぬ平行平板型プラズマCVD装置のチャンバー内の基板電極上にサンプル4の基板を設置し、チャンバー内に原料ガスとしてトルエンを30sccmの流量で導入し、チャンバー内の圧力を0.5Paとし、基板温度を室温とし(基板を加熱しない)、基板電極に周波数13.56MHzの高周波を出力900Wで供給し、所定の成膜時間で成膜することにより、サンプル4の基板のPt電極薄膜4上に厚さ100nmの DLC膜を形成した。
【0057】
なお、上記のサンプル1〜4では、成膜時のトルエンの流量を30sccmとしているが、成膜時の原料ガス流量を3〜100sccmの範囲としても良い。
また、上記のサンプル1〜4では、成膜時のチャンバー内の圧力を0.5Paとしているが、成膜時のチャンバー内の圧力を0.1〜20Paの範囲としても良い。
また、上記のサンプル1〜4では、成膜時の基板温度を室温としているが、成膜時の基板温度を室温〜300℃の範囲としても良い。
また、上記のサンプル1〜4では、成膜時の基板電極に出力900Wの電力を供給しているが、成膜時の基板電極に電力密度0.01〜5.00W/cm
2の範囲の電力を供給しても良い。
【0058】
次いで、サンプル1〜4それぞれの基板の炭素膜5であるDLC膜上にスピンコート法によりPZT膜6を形成した。これらのPZT膜6の形成方法は下記のとおりである。
【0059】
PZT強誘電体薄膜形成用ゾルゲル溶液としては、三菱マテリアル株式会社製、ブタノールを溶媒とする鉛が20%過剰に添加された、濃度10重量%のE1溶液を用いた。このE1溶液をスピンコーターによって回転塗布した。スピンコーターは例えばミカサ株式会社製MS-A200を用いた。先ず800rpmで5秒、1500rpmで10秒回転させた後、徐々に10秒で3000rpmまで回転を上昇させ、その後、150℃のホットプレート(アズワン株式会社製セラミックホットプレートAHS-300)上に5min、大気中で放置した後、300℃のホットプレート(同AHS-300)上で10min、同じく大気中で放置した後、室温まで冷却した。これを5回繰り返すことで、所望の膜厚のPZTアモルファス薄膜を形成した。
【0060】
次に、急速加熱炉(RTA)を用いてサンプル1〜5の基板のPZTアモルファス薄膜に熱酸化処理を施すことにより、PZTアモルファス薄膜の結晶化を行った。この際の熱処理条件は、O
2100%の雰囲気、9.9atmの加圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により700℃まで昇温し、5min保持した後、冷却したものである。
【0061】
このようにして得られたサンプル1(3μm-PZT/10nm-DLC/200nm-Pt/30nm-TiO
x/200nm-SiO
2/Si)及びサンプル2(3μm-PZT/20nm-DLC/200nm-Pt/30nm-TiO
x/200nm-SiO
2/Si)それぞれの平行ビーム光学系で測定したXRDパターンを
図2に示し、サンプル3(3μm-PZT/50nm-DLC/200nm-Pt/30nm-TiO
x/200nm-SiO
2/Si)及びサンプル4(3μm-PZT/100nm-DLC/200nm-Pt/30nm-TiO
x/200nm-SiO
2/Si)それぞれの平行ビーム光学系で測定したXRDパターンを
図3に示す。
【0062】
図2に示すように、サンプル1のPZT膜(No.12)は強い(001)配向性を示し、サンプル2のPZT膜(No.13)は強い(001)配向性と弱い(110)配向性を示した。
図3に示すように、サンプル3のPZT膜(50M0)は強い(110)配向性と弱い(001)配向性を示し、サンプル4のPZT膜(100M0)は非常に強い(110)配向性と弱い(001)配向性を示した。
【0063】
また、燃焼材膜としてDLC膜などの炭素膜5を用いることにより、PZT膜6の結晶化つまり酸化と同時にDLC膜は全て燃焼しCO
2に変化するため、炭素がPZT膜6に拡散することがなく、その結果、PZT膜6の特性を劣化させることがないという大きなメリットが得られる。
【0064】
また、DLC膜に含有する水素量は1重量%以上であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上、より一層好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは30〜60重量%である。
【0065】
また、バッファ層としてDLC膜などの炭素膜5は、その厚さや成膜条件などによってはPZTアモルファス薄膜を結晶化した後に残されることもあるし、消失してしまうこともある。ただし、PZTアモルファス薄膜を結晶化させる際に、バッファ層としてDLC膜などの炭素膜5を0.1nm〜200nmの膜厚で形成しておくことにより、PZT膜6の配向性を任意に制御することが出来る。
【0066】
また、本実施例で得られる(001)に配向されたPZT膜は、アクチュエータ、MEMSなどの電子部品に適用することができ、(111)に配向されたPZT膜は、FRAM(登録商標)、などの電子部品に適用することができ、(110)に配向されたPZT膜は、SAWデバイスなどの電子部品に適用することができる。
【実施例2】
【0067】
サンプル1〜3を作製するための3枚の基板を用意した。この基板としては、6インチSi(100)基板上に厚さ300nmのSiO
2膜が形成され、このSiO
2膜上に厚さ5nmのTiO
x膜が形成され、このTiO
x膜上に厚さ150nmの(111)配向させたPt電極薄膜が形成されたものを用いた。
【0068】
次いで、サンプル1の基板のPt電極薄膜上に燃焼材膜としての8nmのDLC膜を形成した。また、サンプル2の基板のPt電極薄膜上に燃焼材膜としての厚さ100nmのDLC膜を形成した。また、サンプル3の基板のPt電極薄膜上に燃焼材膜としての厚さ300nmのDLC膜を形成した。これらのDLC膜には水素が含有する。これらのDLC膜の形成方法は、実施例1と同様である。
【0069】
次いで、サンプル1〜3それぞれの基板のDLC膜上にスピンコート法によりPZT膜を形成した。これらのPZT膜の形成方法は下記のとおりである。
【0070】
PZT強誘電体薄膜形成用ゾルゲル溶液としては、エタノールを主溶媒とし、仕込みの組成比(モル比)をPb:Zr:Ti=120:30:70とし、仕込みの酸化物換算濃度を25重量%とした溶液を用いた。この溶液をスピンコーターによって回転塗布した。スピンコーターは例えばミカサ株式会社製MS-A200を用いた。スピン条件は、1500rpmで30秒回転させた後に、4000rpmで10秒回転させた条件である。その後、250℃のホットプレート(アズワン株式会社製セラミックホットプレートAHS-300)上に30秒、大気中で放置した後、500℃で60秒の仮焼成を行った。これにより、所望の膜厚のPZTアモルファス薄膜を形成した。
【0071】
次に、急速加熱炉(RTA)を用いてサンプル1〜3の基板のPZTアモルファス薄膜に熱酸化処理を施すことにより、PZTアモルファス薄膜の結晶化を行った。この際の熱処理条件は、サンプル1がO
2100%の雰囲気、1atmの常圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により700℃まで昇温し、1min保持した後、冷却したものであり、サンプル2がO
2100%の雰囲気、5atmの加圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により700℃まで昇温し、1min保持した後、冷却したものであり、サンプル3がO
2100%の雰囲気、10atmの加圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により700℃まで昇温し、1min保持した後、冷却したものである。このようにして作製されたPZT膜の組成はPb(Zr
0.3Ti
0.7)O
3であった。
【0072】
このようにして得られたサンプル1を測定したXRDパターンを
図4に示し、サンプル2を測定したXRDパターンを
図5に示し、サンプル3を測定したXRDパターンを
図6に示す。
図4〜
図6は、縦軸がXRD反射強度を示し、横軸が回転角2θを示す。
【0073】
図4に示すように、サンプル1のPZT膜は強い(001)配向性を示し、
図5に示すように、サンプル2のPZT膜は強い(110)配向性を示し、
図6に示すように、サンプル3のPZT膜は強い(111)配向性を示した。
【0074】
図4〜
図6に示すように、結晶化する際の酸素分圧を1atm、5atm、10atmと増加させることにより、PZT膜の配向性を(001)、(110)、(111)と制御することができる。
【実施例3】
【0075】
実施例2のサンプル1〜3それぞれのPZT上にスピンコート法により厚膜のPZT膜を形成した。これらの厚膜のPZT膜の形成方法は下記のとおりである。
【0076】
PZT強誘電体薄膜形成用ゾルゲル溶液としては、エタノールを主溶媒とし、仕込みの組成比(モル比)をPb:Zr:Ti=120:52:48とし、仕込みの酸化物換算濃度を25重量%とした溶液を用いた。この溶液をスピンコーターによって回転塗布した。スピンコーターは例えばミカサ株式会社製MS-A200を用いた。スピン条件は、1500rpmで30秒回転させた後に、4000rpmで10秒回転させた条件である。その後、250℃のホットプレート(アズワン株式会社製セラミックホットプレートAHS-300)上に30秒、大気中で放置した後、500℃で60秒の仮焼成を行った。そして、上記のスピン塗布、乾燥、仮焼成を25回連続で行った。これにより、厚膜のPZTアモルファス厚膜を形成した。
【0077】
次に、急速加熱炉(RTA)を用いてサンプル1〜3のPZTアモルファス厚膜に熱酸化処理を施すことにより、PZTアモルファス厚膜の結晶化を行った。この際の熱処理条件は、サンプル1がO
2100%の雰囲気、1atmの常圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により700℃まで昇温し、1min保持した後、冷却したものであり、サンプル2がO
2100%の雰囲気、5atmの加圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により700℃まで昇温し、1min保持した後、冷却したものであり、サンプル3がO
2100%の雰囲気、10atmの加圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により700℃まで昇温し、1min保持した後、冷却したものである。
【0078】
次に、サンプル1〜3にポストアニール処理を行った。この際の条件は、O
2100%の雰囲気、10atmの加圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により800℃まで昇温し、10min保持した後、冷却したものである。このようにして作製されたPZT厚膜の膜厚は、4.5μmであり、組成はPb(Zr
0.52Ti
0.48)O
3であった。
【0079】
このようにして得られたサンプル1〜3のXRDパターンを測定した結果、サンプル1のPZT厚膜は強い(001)配向性を示し、サンプル2のPZT厚膜は強い(110)配向性を示し、サンプル3のPZT厚膜は強い(111)配向性を示した。
【0080】
図4〜
図6に示すように、結晶化する際の酸素分圧を1atm、5atm、10atmと増加させることにより、PZT膜の配向性を(001)、(110)、(111)と制御することができる。
【0081】
本実施例によれば、PZT厚膜の下に形成したPZT膜を初期核として用いるため、PZT厚膜がPZT膜と同じ結晶面の配向となることが確認された。
【実施例4】
【0082】
サンプル1を作製するための1枚の基板を用意した。この基板としては、6インチSi(100)基板上に厚さ300nmのSiO
2膜が形成され、このSiO
2膜上に厚さ5nmのTiO
x膜が形成され、このTiO
x膜上に厚さ150nmの(111)配向させたPt電極薄膜が形成されたものを用いた。
【0083】
次いで、サンプル1の基板のPt電極薄膜上に燃焼材膜としての10nmのDLC膜を形成した。このDLC膜には水素が含有する。このDLC膜の形成方法は、実施例1と同様である。
【0084】
次いで、サンプル1の基板のDLC膜上に、スピンコート法によりペロブスカイト構造からなるKNN膜、即ち(K
1−XNa
X)NbO
3膜(0.3≦X≦0.7)を形成した。このKNN膜の形成方法は下記のとおりである。
【0085】
KNN強誘電体薄膜形成用ゾルゲル溶液としては、エタノールを主溶媒とし、仕込みの組成比(モル比)をK:Na:Nb=60:60:100とし、仕込みの酸化物換算濃度を1mol/kgとした溶液を用いた。この溶液をスピンコーターによって回転塗布した。スピンコーターは例えばミカサ株式会社製MS-A200を用いた。スピン条件は、1500rpmで30秒回転させた後に、4000rpmで10秒回転させた条件である。その後、250℃のホットプレート(アズワン株式会社製セラミックホットプレートAHS-300)上に30秒、大気中で放置した後、500℃で60秒の仮焼成を行った。これにより、所望の膜厚のKNNアモルファス薄膜を形成した。
【0086】
次に、急速加熱炉(RTA)を用いてサンプル1の基板のKNNアモルファス薄膜に熱酸化処理を施すことにより、KNNアモルファス薄膜の結晶化を行った。この際の熱処理条件は、O
2100%の雰囲気、1atmの常圧環境下で、100℃/秒の昇温速度により700℃まで昇温し、1min保持した後、冷却したものである。このようにして作製されたKNN膜の組成は(K
0.5Na
0.5)NbO
3であった。
【0087】
このようにして得られたサンプル1を測定したXRDパターンを
図7に示す。
図7は、縦軸がXRD反射強度を示し、横軸が回転角2θを示す。
図7に示すように、サンプル1のKNN膜は強い(001)配向性を示した。
【0088】
実施例1〜4による強誘電体膜はペロブスカイト構造酸化物からなり、(001)、(110)、(111)のいずれかの配向のX線回折による測定結果における一番強いピークの半値幅は0.3°以下であった。なお、半値幅は、1.5°以下(より好ましくは0.75°以下、さらに好ましくは0.4°以下)であってもよい。