特許第5891503号(P5891503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5891503-製茶用玉解機 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5891503
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】製茶用玉解機
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/12 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   A23F3/12 301B
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-258922(P2011-258922)
(22)【出願日】2011年11月28日
(65)【公開番号】特開2013-110994(P2013-110994A)
(43)【公開日】2013年6月10日
【審査請求日】2014年10月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145116
【氏名又は名称】株式会社寺田製作所
(72)【発明者】
【氏名】狩野 学
(72)【発明者】
【氏名】山内 英樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 和行
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭08−003033(JP,Y1)
【文献】 実開平02−120183(JP,U)
【文献】 特開平09−299029(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02158338(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/FSTA/FROSTI(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の円盤の間に複数の円柱を挟持したロータと、該円盤の中心にて水平軸を有して回転させる駆動手段と、前記ロータの上から茶葉を投入し、下から茶葉を取り出すケーシングとより構成することを特徴とする製茶用玉解機。
【請求項2】
揉捻工程と中揉工程との間に配置することを特徴とする請求項1記載の製茶用玉解機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製茶工程中に塊になってしまった茶葉をほぐす装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製茶工程は、おおまかに蒸熱工程→粗揉工程→揉捻工程→中揉工程→精揉工程→乾燥工程→仕上工程となっており、基本的に、乾燥しながら揉み込むものである。均一に乾燥するためにはほぐす必要があり、ほとんどの装置で揉み込み機能とほぐし機能の両方の機能を備えている。しかし、揉捻工程では、粗揉工程で表面のみの乾燥が進んでしまった茶葉の内部水分を表面に押し出し、茶葉の水分を内部も外部も均一にすることを目的としているため、揉み込み機能を重視し、乾燥機能を備えておらず、ほぐし機能がない。すると、茶葉は揉み込まれるため塊となり、更に、内部から押し出された水分が茶葉と茶葉をくっつける接着剤の役目を果たし、塊となりやすい。
【0003】
そして、この塊となった茶葉が揉捻工程を終了し、中揉工程へ運ばれると、中揉工程の初期段階で塊をほぐすことが必要となり、中揉工程の運転時間を長くしなければならず、中揉工程の装置(以下、中揉機とする)に大きな負担を負わせることになっていた。また、茶葉が塊になっていると、中揉機の揉手と胴の間で茶葉を揉み込むときに、揉手と胴の両方に負荷がかかり、揉手が破損したり、揉手や胴に茶渋が多量に付着したりする原因になっていた。更に、塊になっている茶葉と塊になっていない茶葉の両方が中揉工程で乾燥されると、塊になっていない茶葉の乾燥が進み、塊になっている茶葉の乾燥が不十分となり、茶葉の乾燥にバラツキが出て、最終的な茶製品の品質を著しく低下させていた。
【0004】
そのため、製茶工程中で塊になってしまった茶葉をほぐす装置として、特許文献1や特許文献2がある。特許文献1は、ホッパーの中に茶葉を溜め、ホッパー内の茶葉をホッパーの下部の羽根により撹拌するものである。特許文献2は、垂直な回転軸に突出部材を有し、その突出部材によって塊となった茶葉をほぐすものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−103909号公報
【特許文献2】特許4248307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2は、ともに中揉工程を進めるうちに、茶葉の塊が乾燥しながら、更に揉み込まれ、硬くなった茶葉の塊を選別して、塊のみを強制的にほぐすものである。製茶工程中の全ての茶葉をこれらの装置でほぐすことは不可能であり、製茶工程中から茶葉の塊を選別する必要があり、別途選別機が必要となっていた。
【0007】
本発明は、選別する必要なく、製茶工程中の茶葉の全てをほぐすことができる装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1手段は、2枚の円盤の間に複数の円柱を挟持したロータと、該円盤の中心にて水平軸を有して回転させる駆動手段と、前記ロータの上から茶葉を投入し、下から茶葉を取り出すケーシングとより構成することを特徴とする製茶用玉解機。本発明の第2手段は、前記第1手段の製茶用玉解機を揉捻工程と中揉工程との間に配置する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1手段により、ロータの上から投入され、下から取出される短時間に、連続して、効率よく、良好に、塊となった茶葉をほぐすことができる。本発明の第2手段により、揉捻工程後の茶葉の塊をほぐすことができ、中揉工程の初期段階から効率的に中揉工程を行うことが可能になり、中揉工程の運転時間の短縮にもつながり、省エネ効果も期待できる。また、茶葉の塊が中揉機内へ投入されないので、中揉機内の揉手などの破損や揉手や胴への茶渋の付着を防止することが可能になる。更に、乾燥具合の均一化などにより、茶製品の品質向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は製茶用玉解機の一例を示した説明図である(正面図)。
図2図2は製茶用玉解機の一例を示した説明図である(側面一部断面図)。
図3図3は製茶用玉解機の一例を示した説明図である(断面図)。
図4図4はロータの一例を示した説明図である(斜視図)。
図5図5は製茶用玉解機の設置の一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の製茶用玉解機を具体化した実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。ケーシング1は上部と下部が開口しており、上部の開口が投入口11、下部の開口が取出口12となっている。必要に応じて、投入口11付近はホッパー形状、取出口12付近はシュート形状になっていても良い。ケーシング1の内側には、水平軸を有して回転するロータ2があり、このロータ2は両端の円盤3とその円盤3で挟持した複数の円柱4とで構成され、円柱4は固定ボルト9によって両端の円盤3に着脱可能に固定されていて、固定ボルト9を弛めることによって両端の円盤3から円柱4を簡単に取り外すことが出来、円柱4の交換が極めて短時間で出来る。両端の円盤3はロータ2の外側へ向かって中心から軸5を伸ばして軸受け8に接続する。その軸5の一方をプーリ13、15やベルト14を介して、駆動手段であるモータ6に接続し、モータ6が回転する事によってロータ2を水平回転させる。モータ6は減速機付きモータを使用しており、ロータ2は100〜800rpmで回転する(回転数はこの限りではない)。ロータ2は中空状になっていて、空間容積が大きく、茶葉10の処理能力も大きくなり、また、茶葉10が中心軸に載ったり、からんだりすることがない。
【0012】
本実施例は、プーリ13、15やベルト14を介して円盤3の軸5とモータ6を接続したが、円盤3の軸にモータ6を直接接続しても、カップリング継手・フランジ継手等によりモータ6に接続しても、スプロケットを介してモータ6に接続しても構わない。また空間容積を大きく、茶葉10の処理能力を大きくする為に、ロータ2は中空状になっているが、ロータ2内に中心軸を備えて両端の円盤3に接続されていても構わない。
【0013】
塊となった茶葉をほぐすときには、予め、上記製茶用玉解機のロータ2を回転させておく。回転しているロータ2の中に、ケーシング1の投入口11から、塊となった茶葉10を投入する。茶葉10は、回転しているロータ2に入るとき及び回転しているロータ2から出るときに、円柱4に当たり、塊がほぐされる。茶葉が塊となっていると、円柱4に当たりやすく、円柱4と円柱4の間(ロータ2)を通過しにくい。茶葉がほぐれていると、円柱4に当たりにくく、また、当たったとしても、円柱4と円柱4の間(ロータ2)を通過しやすい。そのため、塊がほぐれた茶葉10からロータ2を通過し、取出口12から自動的に出てくる。ロータ2の茶葉が当たる部分は円柱4で構成されているため、茶葉に当たっても無理な力が掛かることなくほぐすことができる。このように、茶葉は連続的に投入され、連続的に取り出される。このとき、ロータ2の中が茶葉10でいっぱいになると、茶葉10が円柱4に当たってもロータ2内を動くことができず、ほぐすことができない。ロータ2の中を茶葉が動くことができるよう、茶葉10が30〜70%存在している状態がよい。ロータ2は、100〜800rpm程度の回転で茶葉をほぐすことができるが、600〜700rpmで良好にほぐすことができる。このロータの中に茶葉が投入されると、あっという間に茶葉は取り出される。
【0014】
次に、製茶用玉解機21の設置の一例を説明する。通常、揉捻工程の装置(以下、揉捻機22とする)から茶葉を取出して、トラフコンベヤ24、27、バケットコンベヤ25、ベルトコンベヤ26などの搬送機類を介して中揉機23へ投入するが、そのバケットコンベヤ25とベルトコンベヤ26の間に本発明の製茶用玉解機21を設置する。本実施例では、バケットコンベヤ25からの茶葉を製茶用玉解機21の投入口11から投入する。ほぐされた茶葉は、取出口12より取り出され、製茶用玉解機21の下にあるベルトコンベヤ25へ投入される。製茶用玉解機21のロータ2を回転させておけば、バケットコンベヤ25のバケットにより一定量にされた茶葉が製茶用玉解機21の中に投入され、取り出される。バケットコンベヤ25のバケットの大きさより製茶用玉解機21のロータ2の大きさが大きければ、製茶用玉解機21で茶葉が詰まることはない。茶葉の状態(品種、茶期、製法)などにより製茶用玉解機21が不要の場合は、製茶用玉解機21を移動させ、製茶用玉解機21へ投入せず、直接、ベルトコンベヤ26で茶葉を搬送してもよい。
【0015】
塊をほぐした茶葉を中揉機23へ投入することで、中揉工程の初期段階から効率的に処理することが可能になり、茶葉の塊を投入した場合より短時間で中揉工程を終了することが可能になり、品質向上と省エネの両方の効果が期待できる。また、塊が中揉機34内へ投入されると、揉手と胴の間で塊を揉みこむことになるため、揉手と胴の両方に負荷がかかり、揉手が破損したり、胴に茶渋が付着したりしたが、塊をほぐすことで、それらを防ぐこともできる。更に、ほぐされた茶葉に良好な乾燥ができるため、乾燥が均一化され、茶製品の品質が向上する。
【符号の説明】
【0016】
1 ケーシング
2 ロータ
3 円盤
4 円柱
5 軸
6 モータ
7 軸
8 軸受け
9 固定ボルト
10 茶葉
11 投入口

12 取出口
13 プーリ
14 ベルト
15 プーリ
21 製茶用玉解機
22 揉捻機
23 中揉機
24 トラフコンベヤ
25 バケットコンベヤ
26 ベルトコンベヤ
27 トラフコンベヤ
図1
図2
図3
図4
図5