【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の目的を達成するために、本発明は、請求項1の、ヘリングボーンギアを有する歯車の製造処理方法と、請求項17の、加工物にヘリングボーンギアを形成するための制御データ生成方法と、請求項18の、加工物にヘリングボーンギアを形成するための制御データ生成装置と、請求項19の、少なくとも4軸数値制御工作機械と、請求項20の、コンピュータプログラム製品と、を提案する。本発明の好適な実施例の特徴は従属請求項に記載される。
【0016】
本発明は、少なくとも4軸数値制御工作機械、特に、フライス盤、万能工作機或いは複合工作機械での、制御データに基いて加工物に対する相対的な機械加工経路に沿って、当該工作機械のフライス
工具、特にエンドミルを連続的に移動させる、前記加工物のフライス加工による、ヘリングボーンギアを有する歯車の製造処理方法を提案する。前記製造方法は、前記加工物に対して相対的に前記フライス
工具を誘導するための前記制御データを生成するステップと、生成された前記制御データに基いて、前記工作機械でフライス
工具を使用して前記加工物をフライス加工するステップと、を備える。
【0017】
制御データを生成するステップは、第1の歯の歯
面形状を、特に既定のギア情報に基いて決定し、該前記第1の歯の歯
面形状はヘリングボーンギアの
一方の
斜歯の第1の歯の歯
面形状に相当するステップと、第2の歯の歯
面形状を、特に既定のギア情報に基いて決定し、該前記第1の歯の歯
面形状はヘリングボーンギアの
他方の
斜歯の第2の歯の歯
面形状に相当するステップと、前記第1の歯の歯面と前記第2の歯の歯面の間の遷移部分の
歯面形状に相当する遷移部分
の歯面形状を決定するステップと、前記第1の歯面
形状と、前記遷移部分
の歯面形状と、前記第2の歯面
形状とを含む
連続した全幅歯部の歯面
形状を決定するステップと、前記
全幅歯部の歯面
形状に基いて制御データを生成するステップと、を備え、前記制御データは前記工作機械の前記フライス
工具を各機械加工経路に沿って誘導するための経路データ
であり、前記機械加工経路のそれぞれ
は、前記各歯面
での歯元からの高さが異なる
位置において、前記第1の歯面
形状と、前記遷移部分
の歯面形状と、前記第2の歯面
形状に沿って
歯筋方向に延びる。
【0018】
前記フライス加工は生成された前記制御データに基いて実行される。前記フライス
工具は前記経路データに示される機械加工経路に沿って連続的に誘導される。
【0019】
本発明における前記処理方法は、したがって、フライス
工具が常に各機械加工経路に沿って誘導されることができ、当該各機械加工経路は、前記第1の歯の歯面の前記第1の歯面
形状と、前記遷移部分の前記遷移部分
の歯面形状と、前記第2の歯の歯面の前記第2の歯面
形状に沿って、常に中断なしに
延びるので、ヘリングボーンギアの対をなす一方の
斜歯、特に前記ヘリングボーンギアの一方の斜歯の第1の歯面
形状と、ヘリングボーンギアの他方の
斜歯、特に前記ヘリングボーンギアの他方の斜歯の第2の歯面
形状と、前記第1の歯の歯面と前記第2の歯の歯面の間の遷移領域と、を1つの処理ステップで作成しうるという利点を提供する。したがって、機械加工を能率的に実行することができ、そして、機械加工時間を減少させることができる。
【0020】
さらに、それぞれが前記第1の歯の歯面の前記第1の歯面
形状と、前記遷移部分の前記遷移部分
の歯面形状と、前記第2の歯の歯面の前記第2の歯面
形状に沿って、常に中断なしに
延びる各前記機械加工経路の結果として、円滑でなだらかな遷移が、前記遷移部分中央と前記歯の歯面の境界領域との間の前記遷移部分において、前記歯の歯面の前記境界領域に負荷を受けて回る間の負荷を軽減できるように、そして、ギアの強度を増大させさえするように、形成される。加えて、前記第1の歯面
形状と、前記遷移部分
の歯面形状と、前記第2の歯面
形状に沿った各前記機械加工経路の中断なしの直接誘導が、前記工作機械の各軸の継続的な動作がゆえに、より高い機械加工の正確さと、より良い表面仕上げでの機械加工を可能にする。
【0021】
さらに、前記ヘリングボーンギアの対をなす前記
斜歯の前記歯溝の間の中間領域を、前記機械加工時間をさらに減少させるように、より大きな、ひいてはより大きな切削量の工具で切り出すことができる。全体として、歯車製造の前記機械加工ステップは高い切削量の大きな工具でとても能率的に実行される。
【0022】
前記遷移部分によって、ヘリングボーンギアの対をなす一方の
斜歯の各歯は、ヘリングボーンギアの他方の
斜歯の各歯とつながり、溝によって隔てられないので、ギアの負荷耐性と強度は中心溝のあるヘリングボーンギアを有する歯車に対して、大幅に増大する。
【0023】
前記遷移部分
の歯面形状は好適には、前記第1の歯面
形状の複数の各境界点において、前記第1の歯面
形状が前記遷移部分
の歯面形状に接線方向で融合し、前記第2の歯面
形状の複数の各境界点において、前記遷移部分
の歯面形状が前記第2の歯面
形状に接線方向で融合するように製造される。したがって、接線方向の遷移は前記遷移領域中央と各前記歯の歯面の間で好適に形成される。そして、各機械加工経路の進路をより継続的に、かつ、効率的に決定し、さらに各前記歯の歯面における負荷の下での回転時に発生する負荷を減少させることさえ可能であり、このように、さらにより大きなギア強度が生じる。加えて、前記遷移部分への前記接線方向の遷移は前記フライス
工具が各前記機械加工経路に沿って誘導される間、前記工作機械の各丸い軸(round axes)のなだらかで継続的な動作を可能にし、このように、より高い機械加工の正確さと、より素晴らしい表面仕上げとを達成する。さらに、ギアへの高負荷と同時に起こる材料の応力のピークを、前記遷移部分への前記接線方向の遷移によって、強く減少させることができる。
【0024】
前記第1の歯面
形状の各前記境界点は好適には、前記第1の歯面
形状と第1の切断面との間の前記歯車の軸に垂直な第1の切断経路上に決定され、前記第2の歯面
形状の各前記境界点は好適には、前記第2の歯面
形状と第2の切断面との間の前記歯車の軸に垂直な第2の切断経路上に決定される。このことは、前記遷移部分中央への遷移における各前記歯の歯面の境界領域のシンプルな決定を可能にする。
【0025】
好適には、前記制御データを生成するステップもまた、前記ヘリングボーンギアの中央領域を決定するステップを備え、当該中央領域は前記歯車の軸に垂直で、前記第1の切断面と前記第2の切断面は前記ヘリングボーンギアの前記中央領域から同等の距離をとり、前記中央領域は好適には前記第1と第2の切断面の間に配置される。このことは、前記遷移部分中央への遷移における各前記歯の歯面、当該歯の歯面は前記ヘリングボーンギアの対称性に対して対称である、各前記境界部のより簡略化された決定を可能にする。
【0026】
前記遷移部分
の歯面形状は好適には、凹形状或いは凸形状を前記歯の歯面の
歯筋方向に有する。したがって、前記ヘリングボーンギアの各前記歯の凸状の側面側と、該凸状の側面側の反対の前記ヘリングボーンギアの各前記歯の凹状の側面側との両方を、本発明の処理方法を用いて製造することができる。
【0027】
前記遷移部分
の歯面形状は好適には、前記第1の歯面
形状と前記第2の歯面
形状との間の曲面、特に隅肉表面に相当する。それ故に、好適に継続的な
歯面形状は、前記ヘリングボーンギアの各前記
斜歯の各前記歯の歯面の間の前記遷移部分用に作成され、円弧断片によって簡易な方法で前記遷移部分
の歯面形状を成形する或いは示すことが可能である。
【0028】
前記第1の歯面形状と前記第2の歯面形状をつなぐ前記遷移部分
の歯面形状は
、複数の円弧断片によって決定される。このことは、前記ヘリングボーンギアの各前記
斜歯の各前記歯の歯面の間の前記遷移部分における曲線的な遷移領域をもたらし、当該遷移領域は好適な方法(例えば、CADシステム)によって容易に成形できる。さらに、各前記歯の歯面の間の前記遷移部分の前記円弧断片の形状は、前記フライス
工具が各前記機械加工経路に沿って誘導される間、より正確な機械加工とよりすばらしい表面仕上げを達成するように、前記工作機械の各前記丸い軸のなだらかで継続的な動作を可能にする。
【0029】
前記遷移部分
の歯面形状の各前記円弧断片は好適には
歯元からの高さが異なる
位置で
延びる。そして、各前記円弧断片が前記第1の歯面
形状のそれぞれ
の境界点を、前記第2の歯面
形状のそれぞれ
の境界点につなげることが望ましく、それぞれの前記第1の
歯面形状の境界点とそれぞれの前記第2の
歯面形状の境界点は好適には、特に
歯元からの高さが同等の
位置に決定される。ここで、対称な歯の歯面の場合、
歯元からの高さが同等の
位置とは、特に前記歯元から同等の距離にあることを意味し、各前記境界点は、特に前記加工物の軸或いは前記歯車の軸から同等の距離をとる。
【0030】
各前記歯の歯面のそれぞれの前記境界点において、各前記円弧断片がそれぞれの歯面
形状に接線方向で融合することが望ましい。このことは、前記遷移領域中央と各前記歯の歯面の間の好適な接線方向の遷移をもたらし、その結果、各前記機械加工経路の進路をより継続的にそして効率的に決定することさえでき、各前記歯の歯面の前記境界領域における負荷の下での回転時に発生する負荷を、よりすばらしいギア強度を生み出しさえするように、さらに減少させることができる。加えて、前記遷移部分への前記接線方向の遷移と、前記円弧断片の形状とは、前記フライス
工具が各前記機械加工経路に沿って誘導される間、最適な機械加工の正確さと、最適な表面仕上げを達成するように、前記工作機械の各前記丸い軸の最適な円滑で継続的な動作を可能にする。さらに、ギアへの高負荷の下で材料にかかる応力のピークを、前記遷移部分への前記接線方向の遷移と、継続的な前記円弧断片の形状とによって、大幅に減少させることができる。
【0031】
前記遷移部分
の歯面形状を作成するステップは好適には、前記第1の歯面
形状の少なくとも1つの第1の境界点を決定するステップと、前記第2の歯面
形状の少なくとも1つの第2の境界点を、前記第1の境界点と前記第2の境界点が各前記歯面
形状の
歯元からの高さが同等の
位置に決定されるように決定するステップと、前記第1の境界点における前記第1の歯面
形状の第1の法線ベクトルを決定するステップと、前記第2の境界点における前記第2の歯面
形状の第2の法線ベクトルを決定するステップと、第1の直線と第2の直線との交差点を、前記第1の直線が前記第1の法線ベクトルの方向によって既定され、前記第2の直線が前記第2の法線ベクトルの方向によって既定されているように決定するステップと、前記第1の境界点から前記第2の境界点への円弧断片を、前記第1の直線と前記第2の直線との前記交差点が前記円弧断片の中心となるように決定するステップと、を備え、前記遷移部分
の歯面形状は、前記円弧断片を含むように作成される。
【0032】
具体的には、前記遷移部分
の歯面形状を作成するステップは、前記第1の歯面
形状の第1の境界点群を、前記第1の境界点群の境界点それぞれが前記第1の歯面
形状の
歯元からの高さが異なる
位置に決定されるように決定するステップと、前記第2の歯面
形状の第2の境界点群を、前記第2の境界点群のそれぞれの境界点が前記第2の境界点群のそれぞれの境界点と
歯元からの高さが同等の
位置に決定されるように決定するステップと、前記第1の境界点における前記第1の歯面
形状の第1の法線ベクトル群を、いずれの場合にも前記第1法線ベクトル群の法線ベクトルが前記第1の境界点群の境界点において決定されるように決定するステップと、前記第2の境界点における前記第2の歯面
形状の第2の法線ベクトル群を、いずれの場合にも前記第2法線ベクトル群の1つの法線ベクトルが前記第2の境界点群の境界点において決定されるように決定するステップと、それぞれの交差点が第1の直線群の直線と第2の直線群の直線との交差点である交差点群を、前記第1の直線群のそれぞれの直線が前記第1法線ベクトル群の法線ベクトルの方向によって既定され、前記第2の直線群のそれぞれの直線が前記第2法線ベクトル群の法線ベクトルの方向によって既定されているように決定するステップと、それぞれの円弧断片が、前記第1の境界点群の境界点を、
歯元からの高さが同等の
位置に配置される前記第2の境界点群の境界点とつなげる円弧断片群を、前記第1の直線と前記第2の直線の交差点が前記円弧断片の中心となり、前記遷移部分
形状が前記円弧断片群を含むように作成されるように決定するステップと、を備える。
【0033】
上記の好適な処理の結果として、1から数個の円弧断片は前記ヘリングボーンギアの対をなす前記
斜歯の各前記歯の歯面の間の前記遷移部分
の歯面形状を成形するとりわけ簡易な方法で規定されることができ、各当該円弧断片は、各前記円弧断片が各前記歯面
形状の各前記境界点における各前記面法線の、
歯元からの高さが同等の
位置に配置される各前記交差点に基いてデザインされるので、各前記歯の歯面の間のそれぞれの境界点において各前記歯の歯面領域に接線方向に融合する。前記歯の歯
面形状、例えばインボリュートによって、それぞれ異なる円弧半径(フィレット半径)を有する各前記円弧断片が必要に応じて
歯元からの高さが異なる
位置に配置される。
【0034】
前記第1の歯面
形状と前記第2の歯面
形状が同等の
歯面形状と、同等なねじれ角度とを有するとき、前記第1と第2の歯面
形状の組になる境界点の属する
歯元からの高さが同等の
位置は、各前記境界点を通る各面法線がそれぞれ2つ1組で共通する交差点で交差することを確保する。しかしながら、前記第1と第2の歯面
形状が異なる場合、および/または、前記第1の歯の歯面のねじれ角度が前記第2の歯の歯面のねじれ角度と異なる場合、前記第1と第2の歯面
形状の組になる前記境界点はそれぞれ
歯元からの高さが異なる
位置に決定され、交差点が前記第1と第2の歯面
形状の組になる前記境界点の属する
歯元からの高さが同等の
位置は、各前記境界点を通る、組になる前記面法線の間に重ねて形成されることがあり得る。
各前記歯面
形状の正確な
歯面形状、および、前記ヘリングボーンギアの先端に関係する各前記境界点の正確な位置にかかわりなく、それぞれの、中心が前記第1と第2の歯の歯面の組になる前記境界点を通る2つの面法線の間の交差点として決定される円弧断片は、前記第1と第2の歯の歯面のそれぞれの接線方向の遷移を有する円弧断片を規定する。
【0035】
前記
一方の斜歯は好適には右側或いは左側で、前記
他方の斜歯は好適には前記
一方の斜歯のピッチと対向するピッチ、特に好適にはねじれ角度の同等な対向するピッチを有する。しかしながら、本発明は、
歯筋方向において真っすぐな進路をとる2つの斜歯を有するヘリングボーンギアに限定されるものではない。それどころか、本発明は各
斜歯が、
歯筋方向における真っすぐな進路と異なり、そして、例えば、前記
歯筋方向において、円弧、インボリュート、或いは別の湾曲した曲線に沿って
延びる進路を有するヘリングボーンギアでも利用し得る。
【0036】
前記第1の歯面
形状と前記第2の歯面
形状は好適には同等な歯の歯
面形状、特に好適には同一のインボリュート歯形形状を有する。
結果的に、ヘリングボーンギアを有する歯車の軸に対して垂直なヘリングボーンギアの中心領域からの前記第1の歯の歯面および前記第2の歯の歯面の各前記境界点の同等な距離において、かつ、前記第1と第2の歯の歯面の組になる前記境界点の
歯元からの高さが同等な
位置において、組になる前記境界点を通る、組になる前記面法線が共通の交差点を有することを確保することができる。
【0037】
前記
全幅歯部の歯面
形状は好適には、前記歯の歯面の縁に沿った方向に凹形状を有する第1の
全幅歯部の歯面
形状であり、そして、前記制御データを生成するステップは好適には、前記ヘリングボーンギアの前記
一方の
斜歯の、前記第1の歯面
形状の反対側の、第3の歯の歯
面形状に相当する第3の歯面
形状を決定するステップと、前記ヘリングボーンギアの前記
他方の
斜歯の、前記第2の歯面
形状の反対側の、第4の歯の歯
面形状に相当する第4の歯面
形状を決定するステップと、前記第3の歯の歯面と前記第4の歯の歯面の間の遷移部分の
歯面形状に相当し、前記歯の歯面の縁に沿った方向に凸形状を有する第2の遷移部分
の歯面形状を決定するステップと、前記第3の歯面
形状と、前記遷移部分
の歯面形状と、前記第4の歯面
形状とを含む第2の
全幅歯部の歯面
形状を決定するステップと、を備え、前記制御データは常に前記第2の
全幅歯部の歯面
形状に基いて生成され、前記工作機械の前記フライス
工具を誘導するためのさらなる経路データを示し、さらなる機械加工経路のそれぞれは前記
歯筋方向に、前記第3の歯面
形状と、前記第2の遷移部分
の歯面形状と、前記第4の歯面
形状に沿って
歯筋方向に延びる。したがって、前記ヘリングボーンギアの凸形状側面側と、前記ヘリングボーンギアの、前記凸形状側面側の逆側の凹形状側面側とを、本発明における前記処理を用いて好適に機械加工することができる。
【0038】
前記第1の遷移部分
の歯面形状は好適には、前記第1の歯面
形状の複数の境界点において前記第1の歯面
形状が前記第1の遷移部分
の歯面形状に実質的に接線方向に融合し、前記第2の歯面
形状の複数の境界点において前記第1の遷移部分
の歯面形状が前記第2の歯面
形状に接線方向に融合するように作成され、前記第2の遷移部分
の歯面形状は好適には、前記第3の歯面
形状の複数の境界点において前記第3の歯面
形状が前記第2の遷移部分
の歯面形状に実質的に接線方向に融合し、前記第4の歯面
形状の複数の境界点において前記第2の遷移部分
の歯面形状が前記第4の歯面
形状に実質的に接線方向に融合するように作成される。
【0039】
前記第1の歯面
形状の各前記境界点は、好適には前記第1の歯面
形状と、歯車の軸と垂直な第1の切断面との間の第1の切断経路上に決定され、前記第2の歯面
形状の各前記境界点は、好適には前記第2の歯面
形状と、歯車の軸と垂直な第2の切断面との間の第2の切断経路上に決定される。
【0040】
加えて、前記第3の歯面
形状の各前記境界点は、好適には前記第3の歯面
形状と、歯車の軸と垂直な第3の切断面との間の第3の切断経路上に決定され、前記第4の歯面
形状の各前記境界点は、好適には前記第4の歯面
形状と、歯車の軸と垂直な第4の切断面との間の第4の切断経路上に決定される。
【0041】
前記第1の切断面と前記第2の切断面との間の距離は、好適には前記第3の切断面と前記第4の切断面との間よりも小さい。このことは前記ヘリングボーンギアの前記凸形状の遷移部分
の歯面形状よりも半径の小さい各円弧断片からの、前記凹形状の遷移部分
の歯面形状の形成を可能にする。このことは、前記ヘリングボーンギアの中心或いは先端に向かうなだらかな接線の遷移において、遊びが各前記歯の歯面の境界領域から増加する、ギアの
全幅歯部の歯面形状をもたらす。したがって、第1の切断面と第2の切断面との間、および、第3の切断面と第4の切断面との間の距離を適切に選択することによって、前記凸形状側面側が前記凹形状側面側と一体にうねってはいない前記ヘリングボーンギアの各歯の中央領域のサイズを調整することができる。各前記歯の歯面のうねり領域もまた、第1の切断面と第2の切断面との間、および、第3の切断面と第4の切断面との間の距離の適切な調整によって、前記ヘリングボーンギアの中央、或いは少なくとも実質的に中央へ支えるうねり面を作成し得るように、最適化することができる。結果的に、回転中に負荷をより均一に分散させることができるので、前記ヘリングボーンギアの稼働特性をさらに最適化すること、および、前記ヘリングボーンギアの負荷耐性を増加させることも可能となる。
【0042】
凸形状の遷移部分
の歯面形状への前記遷移領域における歯の歯面の各前記境界点と、凹形状の遷移部分
の歯面形状への前記遷移領域における逆側の歯の歯面の各前記境界点とが好適に選択されることで、前記凸形状の遷移部分
の歯面形状への前記遷移領域における歯の歯面の各前記境界点と、前記凹形状の遷移部分
の歯面形状への前記遷移領域における逆側の歯の歯面の各前記境界点とが、各前記境界点がペアで、特に前記加工物或いは歯車の中心軸に垂直な平面に位置し、その中心が前記中心軸に位置する円弧上に配置されるように、前記加工物或いは歯車の中心軸から同等の距離のペアワイズ(pair-wise)を有する。
【0043】
本発明のさらなる態様は、上述の製造工程、特に、少なくとも4軸数値制御工作機械、特に、フライス盤、万能工作機或いは複合工作機械で、制御データに基いて前記加工物に対して相対的な機械加工経路に沿って、当該工作機械のフライス
工具、特にエンドミルを連続的に移動させて、加工物をフライス加工することによる、1〜数個の好適な実施例における、加工物にヘリングボーンギアを形成するための制御データを生成するための処理を提案する。本発明によれば、前記制御データの生成は、前記ヘリングボーンギアの
一方の
斜歯の第1の歯の歯
面形状に相当する第1の歯面
形状を決定するステップと、前記ヘリングボーンギアの
他方の
斜歯の第2の歯の歯
面形状に相当する第2の歯面
形状を決定するステップと、前記第1の歯の歯面と前記第2の歯の歯面の間の遷移部分の
歯面の形状に相当する遷移部分
の歯面形状を決定するステップと、前記第1の歯面
形状と、前記遷移部分
の歯面形状と、前記第2の歯面
形状とを含む
全幅歯部の歯面
形状を決定するステップと、前記
全幅歯部の歯面
形状に基いて制御データを生成するステップと、を備え、前記制御データは前記工作機械の前記フライス
工具を各機械加工経路に沿って誘導するための経路データを示し、前記機械加工経路のそれぞれは
歯筋方向に、特に
歯元からの高さが異なる
位置において、そして、前記第1の歯面
形状と、前記遷移部分
の歯面形状と、前記第2の歯面
形状に沿って
歯筋方向に
延びる。
【0044】
本発明のさらなる態様は、上述のいくつかの製造工程、特に、少なくとも4軸数値制御工作機械、特に、フライス盤、万能工作機或いは複合工作機械で、制御データに基いて前記加工物に対して相対的な機械加工経路に沿って、当該工作機械のフライス
工具、特にエンドミルを連続的に移動させて、加工物をフライス加工することによる、1〜複数の好適な実施例における、加工物にヘリングボーンギアを形成するための制御データを生成するための装置を提案する。本発明によれば、前記装置は、前記ヘリングボーンギアの
一方の
斜歯の第1の歯の歯
面形状に相当する第1の歯面
形状を決定し、前記ヘリングボーンギアの
他方の
斜歯の第2の歯の歯
面形状に相当する第2の歯面
形状を決定し、前記第1の歯の歯面と前記第2の歯の歯面の間の遷移部分の
歯面形状に相当する遷移部分
の歯面形状を決定し、そして、前記第1の歯面
形状と、前記遷移部分
の歯面形状と、前記第2の歯面
形状とを含む
全幅歯部の歯面
形状を決定するための
歯面形状形成手段と、前記
全幅歯部の歯面
形状に基いて制御データを生成するための制御データ生成手段と、を備え、前記制御データは前記工作機械の前記フライス
工具を各機械加工経路に沿って誘導するための経路データ
であり、前記機械加工経路のそれぞれは
歯筋方向に、特に
歯元からの高さが異なる
位置において、そして、前記第1の歯面
形状と、前記遷移部分
の歯面形状と、前記第2の歯面
形状に沿って
歯筋方向に延びる。
【0045】
したがって、前記制御データは、上述の製造工程においてと同様に、制御データを生成するための処理において、および、制御データを生成するための装置において生成され、特に上述の利点を伴う。前記制御データは好適には、特に前記製造工程に関連して上述された1〜数個の好適な態様に従って生成される。
【0046】
本発明のさらなる態様は、少なくとも4つの軸を備え、数値制御工作機械、特に、フライス盤、万能工作機或いは複合工作機械であって、生成される制御データに基いて機械加工経路に沿って、当該工作機械のフライス
工具、特にエンドミルを連続的に移動させ、本発明の上述の態様に従う制御データ生成装置を備える数値制御工作機械を提案する。
【0047】
本発明のさらなる態様は、コンピュータで読み取り可能な媒体と、該媒体に記録されるコンピュータプログラムを備えるコンピュータプログラム製品であって、本発明の上述の態様に従って制御データ生成装置を形成するように、前記コンピュータプログラムは、データ処理装置のデータ処理手段による処理に適応した各命令(commands)に相当する一連の各ステートとして記録されるコンピュータプログラム製品を提案する。