(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る照射装置10を備える検査システム1の構成を模式的に示す図である。
検査システム1は、例えば液晶パネルに用いられるガラス基板、或いは各種の光学部品といった透光性材を検査対象物2とし、当該検査対象物2の表面のキズや塵等の付着、内部の気泡や脈理等の発生といった各種の欠陥を目視で観察して検査可能にするシステムである。すなわち、
図1に示すように、検査システム1は、検査対象物2の少なくとも検査対象領域R1の全体に検査光3を均一な光度で出射する照射装置10と、検査対象物2の透過光を投射するスクリーン4とを備え、このスクリーン4に投射された透過光による照度パターンを検査者が目視観察し、欠陥の有無を検査する。
【0019】
照射装置10は、光源の一態様たる後述する集光型放電ランプユニット5と、当該集光型放電ランプユニット5の放射光が入射され光出射口15の手前に点光源6を形成する後述の点光源形成球レンズ51を含む光学系7とを備え、この点光源6から発散する発散光を検査光3として光出射口15から出射し、検査対象物2に照射する。すなわち、照射装置10では、平行光ではなく発散光が検査光3に用いられる。
スクリーン4は、照射装置10の光軸Kに対して投射面4Aが垂直になるように、当該照射装置10から距離L1だけ離れた位置に配置され、これら照射装置10とスクリーン4との間に検査対象物2が配置される。照射装置10から検査対象物2までの距離L2は、検査対象領域R1の全域に検査光3が照射され、またスクリーン4の上に目視観察に十分な照度で照度パターンが投射されるように決定される。
本実施形態の照射装置10では、光出射口15と点光源6との間の距離を光軸Kに沿って可変することで検査光3の拡がり角αが調整可能に構成されており、拡がり角αの調整により検査光3の照射範囲を拡大/縮小自在になされている。なお、係る構成については、後に詳述する。
【0020】
図2は、照射装置10の外観構成を示す斜視図である。また
図3は、照射装置10の構成を示す図であり、
図3(A)は平面図、
図3(B)は側面図、
図3(C)は正面図、
図3(D)は背面図である。
照射装置10は、直方の箱形の装置本体14を有し、この正面14Aには、上記光出射口15が先端面に形成された筒体16と、集光型放電ランプユニット5をオン/オフする点灯スイッチ18と、光量を調整するための回転操作子である調光操作子20と、装置本体14に外気を導入する外気導入口22とが設けられている。また、
図2に示すように、装置本体14には電源ケーブル23が接続され、この電源ケーブル23には商用の交流電力を直流電力に変換して装置本体14に供給するAC/DC電源アダプタ26が設けられている。
図3に示すように、装置本体14の背面14Bには、例えばコンピュータ端末や画像処理検査装置のコントローラとの間で通信するための信号線が接続される接続コネクタ28と、装置本体14の内部の熱を排気する排気口29とが設けられている。
【0021】
図4は、
図3(A)のA−A断面をみた側断面視図である。
装置本体14には、正面14Aから背面14B側にかけて、上記筒体16と、調光板40と、波長選択フィルタ42と、上記光源の一例たる集光型放電ランプユニット5と、排気ファン46とが、当該集光型放電ランプユニット5の光軸Kの直線上に配置されるように光源基台24に取り付けられている。
【0022】
集光型放電ランプユニット5は、第1焦点f1、及び第2焦点f2を有する回転楕円反射鏡47と、第1焦点f1に発光点が配置された放電ランプ48とを備え、第2焦点f2で集光する光を放射する。
回転楕円反射鏡47は、内表面に誘電体多層膜を蒸着して可視光を反射し赤外線を透過する、いわゆるコールドミラーとして構成されている。本実施形態では、その楕円面47Aと光軸Kとの交点P0から第1焦点f1までの距離が8mm、第2焦点f2までの距離が68mm、有効反射面の最大径が45mm、第2焦点f2におけるマージナル光線(
図6)と光軸Kとの角度が30°となるように形成されている。
【0023】
放電ランプ48は、本実施形態では100W直流型の超高圧水銀ランプであって、その電極間距離が1〜1.5mmに形成され、陰極側を回転楕円反射鏡47の開口端47Bに向け、陽極側を回転楕円反射鏡47の底部47Cの側に向けて取り付けられている。また、放電ランプ48の電極間に生ずるアークの発光点は、放電ランプ48の先端側、すなわち陰極先端部近傍が最も明るいため、その部分が第1焦点f1に一致するように配されている。光源に放電ランプ48を用いることで、高出力な検査光3が得られる。
装置本体14には、前掲
図2、及び
図3に示すように、集光型放電ランプユニット5を覆う位置にスライドカバー17が設けられており、このスライドカバー17をスライドさせて集光型放電ランプユニット5にアクセスし、適宜に交換自在に構成されている。
【0024】
筒体16は、円柱状の部材であって装置本体14の正面14Aから光軸Kに同軸に突出して設けられ、検査光3の出射端として機能する。すなわち、筒体16は、集光型放電ランプユニット5からみて第2焦点f2よりも遠くに配置され、第2焦点f2で集光した後の光が入射され、先端側の端部開口である光出射口15から検査光3を出射する。この筒体16の内面16Aは鏡面に仕上げられている。
この筒体16には、上記光学系7が内設されており、光学系7は、集光型放電ランプユニット5側から順に、光学ガラス(BK7、屈折率n=1.517)で形成され同一球径の入射球レンズ50、及び点光源形成球レンズ51と、所望の光を通過させるためのアパーチャ52とを、光軸K上に設けて構成されている。この光学系7の詳細については、後に詳述する。
【0025】
調光板40は、集光型放電ランプユニット5の第2焦点f2よりも当該集光型放電ランプユニット5の側に配置され、筒体16に入射する光量を調整することで出射光量を可変する光学部材である。
具体的には、
図5に示すように、所定直径の円周40Aに沿って順次に開口幅が漸次に広がる調光スリット41(孔でも良い)が形成されている。この調光板40の円周40Aに光軸を合わせて配置し、当該調光板40を円周40Aの中心Oを軸に回転させることで、調光板40を透過する光量が可変される。この調光板40の回転は、調光操作子20の回転操作量に基づいて図示せぬモータによって制御される。
【0026】
波長選択フィルタ42は、赤外波長成分の光をカットする透過型フィルタであり、集光型放電ランプユニット5の第2焦点f2よりも当該集光型放電ランプユニット5の側であって、本実施形態では、調光板40と集光型放電ランプユニット5との間に配置される。
波長選択フィルタ42は、光軸Kに配置されるフィルタ材43と、このフィルタ材43を担持する板状の担持板45とを備えている。この担持板45の上端には摘み部45Aが形成されており、この摘み部45Aを摘んで装置本体14から波長選択フィルタ42を抜き差し自在に設けられている。これにより、波長選択フィルタ42を所望の透過特性を有するものに簡単に交換できる。
上記フィルタ材43は、光軸Kに対して傾斜角βで入射面が90度±θ(θ>0)に傾斜して配置されており、フィルタ材43の入射面で反射した光が集光型放電ランプユニット5の回転楕円反射鏡47に入射しないように構成されている。これにより、フィルタ材43から回転楕円反射鏡47に入射した光が第1焦点f1で集光し放電ランプ48が破損されることがない。
【0027】
排気ファン46は、集光型放電ランプユニット5の後方に位置して光源基台24に取り付けられ、装置本体14の背面14Bに設けられた排気口29から外部に排気する。装置本体14の正面14Aの外気導入口22には吸気ファン(不図示)が設けられており、これら吸気ファン及び排気ファン46によって、装置本体14の内部が冷却される。本実施形態では、排気ファン46が水平方向(光軸K方向)からやや下向きに排気するように傾けて配置されており、冷却の効率化が図られている。
【0028】
係る構成の下、集光型放電ランプユニット5が放射した光は、波長選択フィルタ42及び調光板40を通過することで波長選択、及び光量調整されて第2焦点f2で集光する。そして、この集光した光が発散しながら筒体16の光学系7に入射し、当該光学系7が含む点光源形成球レンズ51によって筒体16の中に点光源6が形成される。
光学系7は、上述の通り、入射球レンズ50、及び点光源形成球レンズ51と、アパーチャ52とを、光軸K上に設けて構成されている。
入射球レンズ50は、第2焦点f2で集光し拡がる光を光軸Kの方向に屈折させることで曲げ発散を抑えて点光源形成球レンズ51に入射する。
点光源形成球レンズ51は、集光型放電ランプユニット5から入射球レンズ50を通じて入射する光を焦点Sで集光して仮想的な点光源6を形成する。
アパーチャ52は、光出射口15に設けられた絞りであり、筒体16の先端側の端部開口に設けられ、筒体16の内面16A等での内面反射に起因した光成分を遮蔽しつつ、点光源6から発散する光の成分を出射する内面反射遮蔽部材として機能する。
【0029】
上記入射球レンズ50及び点光源形成球レンズ51は、それぞれレンズホルダー60に着脱自在に収納されて筒体16に取り付けられており、これら入射球レンズ50及び点光源形成球レンズ51を、筒体16の設計を変更することなく所望する径のものに容易に交換可能に構成されている。
【0030】
図6は、
図3(B)のB−B断面をみた断面視図であって光軸Kの近傍を示す図である。また
図7はレンズホルダー60の構成を示す図であり、
図7(A)は出射側の平面図、
図7(B)は断面図である。
図8はレンズホルダー60の分解図である。
レンズホルダー60は、
図7、及び
図8に示すように、筒体16に嵌合する略円柱状のホルダ本体63を有し、ホルダ本体63の外周面には、全周に亘ってU溝74(
図7(B))が形成され、また、ホルダ本体63の背面中央に凹部を形成して入射球レンズ50、又は点光源形成球レンズ51を収納する収納部64が形成されている。
ホルダ本体63のU溝74に係合する係合片(図示せず)を筒体16の内面16Aに設けることで、レンズホルダー60が筒体16の正確な位置に位置決めされる。なお、本実施形態では、入射球レンズ50を収めたレンズホルダー60のみが筒体16の内面16Aに設けた係止片によって決められた位置に配置され、点光源形成球レンズ51を収めたレンズホルダー60にあっては移動自在に構成されている。
【0031】
ホルダ本体63の収納部64の開口64Aには蓋体65が嵌挿され、この蓋体65によって収納部64で入射球レンズ50、又は点光源形成球レンズ51が背面側から押さえ込まれて保持される。
すなわち、上記収納部64よりも小さな入射球レンズ50、又は点光源形成球レンズ51を収納部64に収納した場合でも、入射球レンズ50、又は点光源形成球レンズ51が押さえ付けられるまで蓋体65を開口64Aに挿入することで、しっかり固定されることから、収納可能な入射球レンズ50、又は点光源形成球レンズ51の大きさに、ある程度の自由度を持たせ、所望の大きさの入射球レンズ50、又は点光源形成球レンズ51に自由に交換可能になる。
【0032】
レンズホルダー60の正面側、及び背面側の中央には、光軸Kに対応して光の入射口/出射口として機能する第1開口66、及び第2開口67が形成されている。第2開口67は、収納部64の開口64Aと略同じ開口径Q2に形成されており、収納部64に収められた入射球レンズ50、又は点光源形成球レンズ51の径Dの全体に対して光を入射、或いは出射する。一方、第1開口66は、第2開口67よりも小さな開口径Q1に形成されており、入射球レンズ50、又は点光源形成球レンズ51に入射、或いは出射される光を光軸Kを中心に制限する。
【0033】
図6に示すように、入射球レンズ50を収めたレンズホルダー60にあっては、第1開口66を入射側、第2開口67を出射側にして筒体16の入射端に配置される。入射側の第1開口66は、集光型放電ランプユニット5の放射光のうち、検査光3の照度ムラの要因となる光成分を遮蔽して筒体16に入射する入射用遮蔽部材(絞り)として機能する。
詳述すると、光源に集光型放電ランプユニット5を用いることで、高強度の検査光3が得られるものの、放電ランプ48のアークに幅があり第1焦点f1から外れた箇所での発光による光成分も含まれることに起因して、検査光3には照度ムラが生じる。この照度ムラの要因となる光成分を遮蔽すべく、筒体16の入射側には、第1開口66が設けられている。すなわち、この第1開口66の開口径は、回転楕円反射鏡47の第1焦点f1にのみ発光点が点で局在していると仮定したときに、第2焦点f2からの光の拡がり角、及び第2焦点f2から第1開口66までの距離に基づいて、例えばレイトレーシング等の光学的解析手法によって求められる第1開口66の位置での光線の径と同等の大きさに形成されている。これにより、発光点が大きさを有することにより第1焦点f1から外れた位置で光が発せられていても、当該光の成分を概ね第1開口66で遮蔽し、第1焦点f1で発光した光成分のみが筒体16に入射して取り込まれることとなる。
【0034】
また、集光型放電ランプユニット5の光には、波長選択フィルタ42及び調光板40を通過することで拡散光成分が生じ、この拡散光成分が光学系7に入射すると、点光源6の集光度が悪くなり、検査光3の光度の均一性に影響を及ぼす。係る拡散光成分といった、集光度を劣化させるような光成分も第1開口66によって入射球レンズ50への入射が規制され、これにより、点光源6の集光度の劣化が抑えられる。
第1開口66を通過した光は入射球レンズ50に入射し、当該入射球レンズ50で光軸Kの方向に屈折により曲げられることで発散が抑えられ光軸Kに略平行な略平行光(より正確には、点光源形成球レンズ51に向かって緩やかに集光する光)となって第2開口67から出射される。
【0035】
点光源形成球レンズ51を収めたレンズホルダー60にあっては、第2開口67を入射側、第1開口66を出射側にして筒体16に、入射球レンズ50と離間して配置される。
ここで、筒体16の内面16Aは鏡面に仕上げられているため、入射球レンズ50と点光源形成球レンズ51との間の内面16Aでの内面反射により、光軸Kとの成す角度が比較的大きな光成分である拡散光成分が発生する。係る拡散光成分が点光源形成球レンズ51に多分に入射すると点光源6の集光性を劣化させ検査光3に照度ムラを生じさせる要因となる。そこで、本実施形態では、内面反射に起因して発生し照度ムラの要因となる拡散光成分の点光源形成球レンズ51への入射を遮蔽する内面反射遮蔽部材として第2開口67が機能する。これにより、点光源6の集光性の劣化や照度ムラの発生が抑制される。
また点光源形成球レンズ51を収めたレンズホルダー60の第2開口67は、点光源形成球レンズ51を通った光のうち、焦点Sで焦点を結ぶ光成分を通すように構成されている。
【0036】
さらに、点光源形成球レンズ51の焦点Sには、上述の通り、良好な点光源6が形成されるが、この点光源6は、筒体16の中に位置するため、当該点光源6から拡散する光の一部が筒体16の内面16Aに入射して内面反射による光成分を生じる。また、点光源形成球レンズ51には、筒体16内での内面反射等に起因して光軸Kと非平行な光も入射されることから、当該点光源形成球レンズ51から焦点Sとは異なる方向に向かう光成分も出射され、この光成分が筒体16の内面16Aに入射し内面反射による光成分を生じる。これら点光源形成球レンズ51と光出射口15の間での内面反射による光成分が光出射口15から検査光3とともに外部に照射されると、この光成分が迷光となって検査光3の光度の均一性を阻害し、また、スクリーン4上に投射される像がボケてしまったり、欠陥の像を不鮮明にする等の悪影響が生じる。
そこで本実施形態では、上記アパーチャ52が迷光となる光成分(すなわち、点光源形成球レンズ51と光出射口15の間での内面反射による光成分)を遮蔽する遮蔽部材として機能し、点光源6から拡散する光のみを検査光3として取り出すこととしている。
【0037】
このように、入射球レンズ50の入射側に第1開口66を配置して、第1焦点f1から外れた箇所で発光した光成分や、調光板40、及び波長選択フィルタ42を通過する際に生じた光成分等の照度ムラの要因となる光成分を遮蔽する構成としたため、照度ムラや投射像のボケが抑えられる。
また点光源形成球レンズ51の入射側、及び光出射口15のそれぞれには、筒体16の内面反射に起因し、照度ムラの要因となる光成分(上記拡散光成分や迷光成分)を遮蔽する第2開口67、及びアパーチャ52を設けたため、当該内面反射による照度ムラや投射像のボケの発生が抑えられる。
また、上記第1開口66がレンズホルダー60に形成されているため、部品点数が削減でき且つ、筒体16の中の構造を変える事無く、レンズホルダー60に収納する入射球レンズ50又は点光源形成球レンズ51の径に対応して開口径を設定作製することが可能となる。
【0038】
ここで本実施形態では、上記点光源形成球レンズ51を収めるレンズホルダー60が筒体16に光軸Kに沿って移動自在に構成されており、アパーチャ52の手前で焦点Sの位置を変更可能に構成されている。
具体的には、前掲
図2及び
図3に示すように、筒体16の外周面に光軸Kに平行にガイドスリット70を形成し、このガイドスリット70から摘み71を有するネジ72を挿入し、
図6に示すように、レンズホルダー60の外周面に設けたネジ孔73に螺合して、摘み71の操作によってレンズホルダー60をガイドスリット70に沿って移動し任意の位置に配置可能に成されている。
このように、点光源形成球レンズ51の焦点Sの位置がアパーチャ52の手前で変更されることで、アパーチャ52の光出射口15から出射される検査光3の拡がり角αが可変し、これにより検査対象物2の大きさに合わせて照射範囲の調整が可能になる。
【0039】
ここで、入射球レンズ50と第2焦点f2との位置関係について詳述すると、
図9に示すように、入射球レンズ50に対して光線Lin1が光軸Kを交差せずに入射すると、入射球レンズ50からは光Lout1が発散する方向(光軸Kから離れる方向)に出射される。一方、光軸Kを交差した光線Lin2が入射球レンズ50に入射すると、この入射球レンズ50からは光Lout2が光軸Kに沿う方向に屈折し略平行光化されて出射される。
入射球レンズ50から発散する方向(光軸Kから離れる方向)の光Lout1は、スクリーン4上の分布を悪くする原因となる。すなわち、入射球レンズ50を第2焦点f2近傍に配置して、光軸Kと交差しない光線Lin1が入射球レンズ50に入射するようにした場合、
図10(A)に示すように、スクリーン4の投射像に中抜け82や、リング状の光量集中84が発生することから、可能な限り入射球レンズ50に入射する光のうち、光線Lin1の割合を減らす必要がある。
【0040】
このような光線Lin1が発生する原因としては、放電ランプ48のアーク長が点ではなく有限の大きさを有し、第1焦点f1の点からずれた位置からも放電ランプ48が光を照射することが挙げられる。
そこで、
図11に示すように、回転楕円反射鏡47の第1焦点f1に放電ランプ48の陰極の先端があり、また、この第1焦点f1から光軸Kに沿って回転楕円反射鏡47側に移動した位置に陽極の先端Aがあると仮定し、この陽極の先端Aから照射される光線M1が回転楕円反射鏡47で反射されて光軸Kと交差する交差位置Cを算出し、この交差位置Cに基づいて、上記光線Lin1の割合を減らすような入射球レンズ50の配置が決定される。
【0041】
すなわち、この
図11に示すように、回転楕円反射鏡47の反射面形状を規定する楕円Eの中心Oを原点とし、この楕円Eの長軸方向(すなわち光軸Kの方向)をX軸、短軸方向をY軸とした座標空間を設定する。この座標空間により、楕円Eは、長軸及び短軸の長さをそれぞれ2Ta、2Tbとすると、楕円式によって次式(1)により表される。
【0043】
この
図11において、B(xb、yb)は、回転楕円反射鏡47への光の入射位置を示し、D(xb、0)は、入射位置B(xb、yb)から長軸(X軸)に延ばした垂線と長軸が交わる位置を示す。また、M1は放電ランプ48の陽極の先端Aから入射位置B(xb、yb)に入射する光線を示し、M2は第1焦点f1から入射位置B(xb、yb)に入射する光線を示す。M3は入射位置B(xb、yb)で反射されて第2焦点f2に向かう光線、M4は入射位置B(xb、yb)で反射されて楕円Eの外側で光軸Kと交差する光線を示す。φ1は光線M1、M2が成す角、φ2は光線M3と光軸Kが成す角である。
光線M4と光軸Kとが成す角は、φ2−φ1となり、上記(1)式を用いると、次の(2)〜(4)式が導かれる。
【0047】
光軸K上の中心Oから所望の位置I(xi、0)における光線M4の光軸Kからの高さhは、次式(5)で表される。
【0049】
入射球レンズ50に入射する高さhと、入射球レンズ50の入射側に位置する上記第1開口66の開口径Q1との関係は次式(6)で表される。
【0051】
また、入射球レンズ50への入射角ψは、上記第1開口66の開口径Q1と、入射球レンズ50の焦点距離fbを用いて、次式(7)のように表される。
【0053】
したがって、入射球レンズ50の入射角度は、次式(8)の範囲に制限される。
【0055】
(6)、(8)式を満たす位置に入射球レンズ50の入射端を配置することで、
図10(B)に示すように、中抜け82や、リング状の光量集中84が発生することなく、スクリーン4に投射することができる。
本実施形態では、係る条件を満たすべく、各変数を以下のように設定している。すなわち、レンズホルダー60の第1開口66の開口径Q1を5mm、アパーチャ52の開口径Q3(
図6)を10mm、入射球レンズ50及び点光源形成球レンズ51の屈折率nを1.517(材質BK7)、入射球レンズ50及び点光源形成球レンズ51の径Dを10mm、第2焦点f2から入射球レンズ50までの距離d1を41mm、入射球レンズ50から点光源形成球レンズ51間の可変距離d2を5〜20mmとしている。
これにより、
図12に示すように、放電ランプ48の第2焦点f2を通過する光線M3は勿論のこと、放電ランプ48の陽極の先端Aから出た光線M4も入射球レンズ50の手前の交差位置Cで光軸Kと交差して入射球レンズ50に入射する。そして、第2焦点f2を通る光線M3のみならず、放電ランプ48の陽極の先端Aから出た光線M4(より正確にはアークの光線全部)を含め、光軸Kと交差した光が入射球レンズ50に入射されることで、上述のように、中抜け82や、リング状の光量集中84が発生することなく、スクリーン4に投射することができる。
【0056】
このように構成された照射装置10を用いて検査を行う場合には、先ず、放電ランプ48の点灯後、十分に安定させた状態、つまり放電ランプ48に封入されている水銀等が十分蒸発した状態にする。この状態にあっては、放電ランプ48の電極間(図示せず)に形成されるアークは、光軸Kに対して垂直方向の幅が収縮し、電極先端付近に形成される輝点が安定する。
上述の通り、本実施形態で用いた放電ランプ48は、100W直流型超高圧水銀ランプであって、電極間距離が1.0〜1.5mmであり、その電極間に形成されるアークによる発光点は、理想的な点ではなく、楕円球状の立体的な領域となる。
また、電極間に生ずるアークによる発光点は、放電ランプ48の先端側、すなわち陰極先端部近傍が最も明るく、その部分が第1焦点f1に一致するように配されている。したがって、第1焦点f1に位置する発光点先端側から照射された光は、回転楕円反射鏡47の有効反射領域で反射され、第2焦点f2に集光された後、再び発散されて第1開口66を通過し入射球レンズ50に達する。
このとき、マージナル光線LMは光軸Kから離れる方向に進行しながら入射球レンズ50に入射され、入射球レンズ50の入射面と出射面で、光軸Kに近づく方向に2度屈折され、点光源形成球レンズ51の有効径領域に導かれる。
【0057】
ただし、第1焦点f1から照射された光は、その光路が、放電ランプ48の封止部等で部分的に遮られるところから、環状の光強度分布を有する光束として入射球レンズ50に入射され、点光源形成球レンズ51入射面上でも中央部の光強度が低い中抜けした環状の光強度分布で照射されることとなる。
【0058】
したがって、集光型放電ランプユニット5の光を、
図13(A)に示すような、同心円状に傷81が形成された石英ガラス板のターゲット80に直接照射すると、
図13(B)に示すように、光量が中心部分で低下して中抜けQ1が発生する。係る中抜け82の箇所は、光量が足りない箇所であることから欠陥との差別化が困難となり正確な検査が難しくなる。
【0059】
また、放電ランプ48の発光点後端側は、第1焦点f1から電極間距離分だけ後方(回転楕円反射鏡47の底部47Cの側)へ偏位して配されており、この発光点後端側から照射された光は、第2焦点f2に集光されず、光軸Kを中心に環状に連なる環状集光点に集光する成分を含む。このように、集光型放電ランプユニット5の光をターゲット80に直接照射すると、第2焦点f2で集光した光成分以外の成分も含まれることから、
図13(B)に示されるように、傷81に対応して投射される影83がぼけてしまうことになる。
【0060】
これに対して、本実施形態の照射装置10にあっては、上述の通り、入射球レンズ50の入射側に第1開口66が配置されているため、第1焦点f1から外れた箇所で発光した光成分等に起因して第2焦点f2から外れた位置で集光した光成分が遮蔽されることから影83のぼけが抑えられる。また、第2焦点f2で集光した成分、及び環状に集光した成分といった光束断面の光量分布が異なる各種の光成分が入射球レンズ50に入射された場合、これらの光成分が入射球レンズ50により混合されて出射される。これにより、第2焦点f2から照射された光の中抜部分の光強度不足を補うような光強度分布で入射球レンズ50から出射されることとなり、係る光が点光源形成球レンズ51の入射面に入射される。なお、放電ランプ48の発光点先端側と発光点後端側から照射された光のみについて述べたが、実際にはその中間から照射される光もあるため、これらの光によって、点光源形成球レンズ51の入射面上にある程度光度が均一化された光強度分布の光像が形成される。
【0061】
点光源形成球レンズ51にあっては、上記入射球レンズ50から直接に入射される光の他にも、筒体16の内面16Aで反射した光成分のうち第2開口67を通過する光成分が入射する。点光源形成球レンズ51は、これらの光成分を混合し、点光源形成球レンズ51とアパーチャ52との間の光軸K上で集光して仮想的な点光源6を形成する。このように、内面反射による光成分も混合して点光源6が形成されるため、内面反射光の利用による光量の増加、及び光強度分布の更なる均一化の効果が得られ、検査光3に用いて良好な点光源6が得られる。そして点光源6から発散する光が、点光源形成球レンズ51と光出射口15での間で生じた内面反射による光成分を遮蔽するアパーチャ52を通って筒体16から検査光3として出射されることで、迷光を抑えた検査光3が照射される。
この検査光3がターゲット80に照射することで、
図13(C)に示すように、中抜け82の発生を防止しつつ、傷81に対応した箇所にシャープな影83が得られることとなる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、集光型放電ランプユニット5の光を点光源形成球レンズ51に通して点光源6を形成し、当該点光源6から発散する光を検査対象物2に照射する構成としたため、平行光を検査光3に用いる構成に比べて広範囲に光を照射できる。さらに、点光源6の発散光が検査対象物2に照射されることで、スクリーン4には検査対象物2の像が拡大投射されることから、小さな欠陥でも目視で十分に確認できる。また点光源6を形成する光学系として球レンズたる点光源形成球レンズ51を用いたため、光学系の構成を簡単かつコンパクトにできる。
【0063】
また本実施形態によれば、照射装置10は、点光源形成球レンズ51を収め、内部に形成された点光源6から発散する光を端部開口たる光出射口15から出射する筒体16と、この筒体16内の点光源形成球レンズ51の入射側、及び光出射口15のそれぞれに設けられ、筒体16の内面反射によって生じた光成分を遮蔽する内面反射遮蔽部材としての第2開口67、及びアパーチャ52とを備える構成とした。これら第2開口67とアパーチャ52により、筒体16の内面反射に起因して生じた上記拡散光、及び迷光が抑えられるため、照度ムラや投射像のボケを抑え、欠陥の像が不鮮明になるのを防止できる。
【0064】
また本実施形態によれば、点光源形成球レンズ51を光軸Kに沿って移動可能に設けて点光源6の形成位置を可変にしたため、検査対象物2の大きさに合わせて照射範囲の調整が簡単にでき、また照射範囲内に検査対象物2が入らなくとも検査対象物2を動かす必要が無く、検査者の負担軽減になる。特に、上記アパーチャ52からは常に点光源6の発散光の成分のみが出力されるように光出射口15の開口径Q3が設定されているため、点光源6の形成位置を可変し照射範囲を調整した場合でも、検査光3の照度ムラや投射像のボケが抑えられる。
【0065】
また本実施形態によれば、集光型放電ランプユニット5の第2焦点f2よりも集光型放電ランプユニット5の側に、周方向に沿って開口幅が漸増する調光スリット41を形成した調光板40を設けたため、出射光を増減でき、検査に適した光量を投射することが可能になる。
【0066】
また本実施形態によれば、集光型放電ランプユニット5の第2焦点f2よりも集光型放電ランプユニット5の側に、波長選択フィルタ42を設けたため、検査に好適な波長の光のみを投射することが可能である。
【0067】
また本実施形態によれば、照射装置10は、光源たる集光型放電ランプユニット5から発せられた発散する光を光軸Kの方向に曲げて発散を抑えて点光源形成球レンズ51に入射する入射球レンズ50を備える構成とした。
この構成によれば、集光型放電ランプユニット5から発せられて拡散する光を効率良く点光源形成球レンズ51に入射し、点光源6の光量を上げることができる。
特に本実施形態によれば、集光型放電ランプユニット5の光を光軸Kに近付く方向に屈折させて発散を抑える光学系と、点光源6を形成する光学系とを、同軸に設けた一対の球レンズである入射球レンズ50、及び点光源形成球レンズ51により構成したため、これらの光学系をコンパクトに構成でき、入射球レンズ50、及び点光源形成球レンズ51を収めた筒体16の全長(装置本体正面からの突出量)が抑えられる。
【0068】
また本実施形態によれば、第1焦点f1、及び第2焦点f2を有する回転楕円反射鏡47、及び第1焦点f1に発光点を位置させた放電ランプ48を備え、第2焦点f2で集光する光を放射する集光型放電ランプユニット5を照射装置10の光源とした。これにより、高い光強度の検査光3を得ることができる。
これに加え、照射装置10には、第2焦点f2で集光し発散する光のうち第1焦点f1と発光点のズレに起因する成分を遮蔽する入射用遮蔽部材としての第1開口66が設けられている。これにより、照度ムラの要因と成る光成分を第1開口66で遮蔽し、照度ムラを抑えた検査光3を得ることができる。
また、当該第1開口66が設けられることで、上記調光板40や波長選択フィルタ42によって第2焦点f2での集光性が劣化し種々の光成分が生じたとしても、検査光3に照度ムラを生じさせるような光成分を第1開口66で遮蔽することができる。
【0069】
特に本実施形態によれば、集光型放電ランプユニット5の光を、筒体16の中に同軸に設けた入射球レンズ50、及び点光源形成球レンズ51を通し、なおかつ、この筒体16に上述のように第1開口66、第2開口67、及びアパーチャ52が設けられることで、筒体16の内面反射の光を有効に利用しつつ、集光型放電ランプユニット5における第1焦点f1と発光点の位置ズレや、放電ランプ48の封じ部での光ロス、光学系の光軸ズレ等による照度ムラや投射像のボケが抑えられる検査光3を得ることができる。
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、据え置き型の照射装置10を例示した。これに対して、本実施形態では、ユーザが手で持って使用するハンディ型の照射装置について説明する。
【0070】
図14は、本実施形態に係るハンディ型照射装置110の構成を示す断面図である。なお、同図において、第1実施形態で説明した部材については同一の符号を付して、その説明を省略する。
ハンディ型照射装置110は、ユーザが把持可能な大きさの円筒状の筐体190を備え、この筐体190には、光源の一例たるLED光源部105と、電源108と、光学系ヘッドユニット109とが設けられている。
LED光源部105は、発光素子の一例たるLED111と、このLED111を実装したLED回路基板112とを備えている。LED回路基板112は、LED111を筐体190の長軸Gと同軸に配置するように当該筐体190の先端部の開口116Aに嵌め込み固定されている。LED111は、砲弾型白色LEDであり、光軸Zが長軸Gと同軸となるように配置されている。なお、LED111に代えて、他の発光素子を用いて光源を構成しても良い。
電源108は、LED光源部105に電力を供給する一次電池又は二次電池等であり、本実施形態では、乾電池型の充電可能な二次電池が用いられている。二次電池は、筒体116の後端部の開口116Bから挿入され、当該開口116Bが蓋体113で閉じられることで筐体190に収められる。
【0071】
光学系ヘッドユニット109は、点光源形成ユニット130と、反射ユニット131とを備えている。点光源形成ユニット130は、LED光源部105の光から擬似的な点光源6を形成し、この点光源6から発散する光を検査光3として出射するものである。
【0072】
図15は、点光源形成ユニット130を拡大して示す図である。
点光源形成ユニット130は、第1実施形態と同様に点光源形成球レンズ51を備え、この点光源形成球レンズ51をレンズホルダー60に収め筒体116にスライド移動可能に設け、また筒体116の先端にキャップ状のアパーチャ152を冠着して構成されている。アパーチャ152は、第1実施形態のアパーチャ52に相当する部材である。またアパーチャ152と筒体116の間に球レンズ保護カバー191が挟み込まれている。この球レンズ保護カバー191の両面にARコートが施されている。なお、球レンズ保護カバー191に重ねて、或いは球レンズ保護カバー191に代えて、第1実施形態で説明した波長選択フィルタ42に相当するフィルタ材を設けることもできる。
点光源形成ユニット130の筒体116は筐体190の先端部に同軸に装着され、LED111の光軸Z上に点光源形成球レンズ51が配置されている。これにより、LED111の光が点光源形成球レンズ51を通って当該点光源形成球レンズ51の焦点Sで集光し仮想的な点光源6が筒体116の中で形成され、この点光源6から発散する光がアパーチャ152を通って点光源形成ユニット130から出射される。
【0073】
レンズホルダー60は、第1実施形態と同様に、筒体116の中で光軸Zに沿って移動可能に構成され、アパーチャ52の手前で焦点Sの位置が変更可能になっている。
具体的には、筒体116の外周面に光軸Zに平行にガイドスリット170を形成し、摘み71を有するネジ72をレンズホルダー60の外周面に設け、この摘み71をガイドスリット170から突出させることで、摘み71の操作によってレンズホルダー60をガイドスリット170に沿って任意の位置に移動可能になっている。
【0074】
この点光源形成ユニット130においては、筒体116の内面、及びレンズホルダー60が光の乱反射を防止すべく、黒色塗装、或いは黒色アルマイト等の処理が施され、点光源形成球レンズ51は、約10mm径の光学ガラス(BK7、屈折率n=1.517)で形成されている。また球レンズ保護カバー191としてARコートを両面に施した約30mm径のテンパックスガラスを用いている。
また点光源形成球レンズ51が、第1実施形態と同様に入射側に第2開口67を有するレンズホルダー60に収められていることから、LED111の光のうち、光軸Zから大きく離れる光成分の点光源形成球レンズ51への入射が抑制されることから、焦点Sでの集光性の劣化が抑えられ、照度ムラの発生が抑制される。
さらに点光源形成ユニット130の出射側には、約8mmの開口径のアパーチャ152が設けられることで、焦点Sで集光した仮想的な点光源6からの光のみを検査光として取り出すことができ、照度ムラの発生がより確実に抑えられる。
【0075】
なお、点光源形成球レンズ51とLED111との間に、第1実施形態で説明した入射球レンズ50等を設けても良い。
また筒体116と筐体190とを一体に構成しても良い。
【0076】
反射ユニット131は、点光源形成ユニット130から出射された検査光3の進行方向を略90度折り曲げるものであり、前掲
図14に示すように、点光源形成ユニット130の筒体116の光出射端側に着脱自在に装着されるミラーホルダー132と、このミラーホルダー132に内設された反射ミラー133とを備えている。この反射ミラー133は、ミラーホルダー132内で光軸Z上に約45度の傾斜角度γで設けられており、光軸Zに沿って点光源形成ユニット130から入射した光を略90度に折り曲げて光軸Zに垂直な方向に出射する。
【0077】
このハンディ型照射装置110を用いて検査対象物2を検査する場合、検査者は、筐体190を把持して検査対象物2に検査光3を照射する。このとき、摘み71の操作によって点光源形成球レンズ51を移動することで、或いはハンディ型照射装置110から検査対象物2までの距離を可変することで、検査対象物2の検査対象領域R1の大きさに応じて光照射範囲(検査光3の拡がり角)を変更する。
【0078】
このようなハンディ型照射装置110によれば、検査対象物2を手軽に検査することができる。また、放電ランプ48に比べて光量が小さな発光素子が光源に用いられることで、スクリーン4に投射した際の色飛びが抑えられるため、浅い、或いは小さい欠陥についても色飛びせずに、その欠陥の影をスクリーン4に投射することができる。
【0079】
なお、
図16に示すように、複数のハンディ型照射装置110を互いの光軸が平行になるように、例えば三脚等に取り付けられる支持台197に取り付けて、より広範囲を照射する照射装置ユニット200を構成することもできる。これにより、ハンディ型照射装置110の個数を検査対象物2の大きさに応じて数だけ設けることで、より広い照明範囲に容易に拡張することが可能となる。
なお、
図16では、反射ユニット131を取り外した状態のハンディ型照射装置110を例示しているが、反射ユニット131を装着しても良いことは勿論である。
【0080】
なお、上述した各実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0081】
例えば、上述した第1実施形態では、筒体16の出射端にアパーチャ52を設けたが、これに代えて、光出射口15の開口径Q3を調整可能な絞り装置を設けても良い。
また、筒体16の内面16Aを鏡面に仕上げた場合を例示したが、これに限らず、内面16Aを非反射に加工することで、迷光を抑制しても良い。
また第1実施形態では、点光源形成球レンズ51を光軸Kに沿って可変することで点光源6の位置を光軸Kに沿って可変し、拡がり角αを調整可能にしたが、これに限らない。すなわち、点光源形成球レンズ51とアパーチャ52の間の距離を可変することでも、拡がり角αを調整することができる。
具体的には、点光源形成球レンズ51を固定しつつ、アパーチャ52を光軸に沿って移動可能に設け、点光源形成球レンズ51、及びアパーチャ52の両方を光軸Kに沿って移動可能に設け、或いは、上述の実施形態のように、アパーチャ52を固定しつつ、点光源形成球レンズ51を光軸Kに沿って移動可能に設け、て、点光源形成球レンズ51とアパーチャ52の間の距離を可変し、拡がり角αを調整することができる。なお、この場合において、アパーチャ52の絞り径を可変にしても良い。
【0082】
上述した各実施形態では、検査対象物2を透過した透過光に基づいて欠陥の有無を判別する場合を例示したが、これに限らない。すなわち、検査対象物2の表面が金属面や鏡面等の光を反射する面であり、当該表面の検査箇所について傷や塵の付着を検査する場合には、この検査箇所に照射光を照射し、検査箇所からの反射光をスクリーン等に投射して欠陥を判別しても良い。
上述した各実施形態では、検査装置として好適な照射装置を例示したが、本発明に係る照射装置を、画像を投射するプロジェクタ装置(画像投射装置)に応用することも可能である。