(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2の電池ケース用包材に深絞り加工や張り出し加工を施した場合、絞り量が増加するにつれ、アルミニウム箔にクラックが生ずる可能性が高まるという問題があった。
【0005】
また、耐熱性延伸樹脂フィルムとアルミニウム箔との間の剥離強度が小さすぎると、深絞り加工の際に層間剥離が生じて二次電池の性能低下や安全性の低下が懸念されるため、常に実用上問題のないレベルの剥離強度を示すことが望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、耐熱性延伸樹脂フィルム、接着剤、アルミニウム箔及び熱可塑性無延伸樹脂フィルムが積層された電池ケース用包材であって、深絞り加工や張り出し加工を施してもそのアルミニウム箔にクラックが生じず、しかも耐熱性延伸樹脂フィルムとアルミニウム箔との間の剥離強度が実用上問題のないレベルにある電池ケース用包材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、“電池ケース用包材の深絞り加工や張り出し加工の際にアルミニウム箔にクラックが発生しないようにすること”と、“耐熱性延伸樹脂フィルムとアルミニウム箔との間の剥離強度を実用上問題のないレベルとすること”とを同時に達成するためには、深絞り加工の電池ケースの外側となる表面耐熱性延伸樹脂フィルムと、その内側となるアルミニウム箔とを接着する接着剤として、ガラス転移温度が0〜30℃のポリエステル樹脂を含有するものを使用すればよいことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、耐熱性延伸樹脂層、第1接着剤層、アルミニウム層及び熱可塑性無延伸樹脂層が順次積層された構造を有する電池ケース用包材において、第1接着剤層が0〜30℃のガラス転移温度を示すポリエステル樹脂を含有することを特徴とする電池ケース用包材を提供する。
【0009】
また、本発明は、上述の電池ケース用包材から、深絞り加工又は張出し加工により成形された電池ケースと、該電池ケースに封入された二次電池素子とを有する二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0010】
耐熱性延伸樹脂層、第1接着剤層、アルミニウム層及び熱可塑性無延伸樹脂層が順次積層された構造を有する本発明の電池ケース用包材は、第1接着剤層が、0〜30℃のガラス転移温度を示すポリエステル樹脂を含有する。このため、電池ケース用包材に深絞り加工を施してもそのアルミニウム層にクラックを生じさせず、しかも耐熱性延伸樹脂フィルム層とアルミニウム層との間の剥離強度を実用上問題のないレベル、具体的には3N/15mm(JIS K6854(サンプルサイズ15mm幅、T型剥離、剥離速度50mm/min))以上の剥離強度にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の電池ケース用包材の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の電池ケース用包材の断面図である。
【
図3】
図3は、実施例及び比較例の電池ケース用包材のエリクセン値と、電池ケース用包材の第1接着剤層を構成するポリエステル樹脂のガラス転移温度との関係図である。
【
図4】
図4は、実施例及び比較例の電池ケース用包材のエリクセン値と、電池ケース用包材の第1接着剤層を構成するポリエステル樹脂の重量平均分子量との関係図である。
【
図5】
図5は、実施例及び比較例の電池ケース用包材のエリクセン値と、電池ケース用包材の第1接着剤層を構成するポリエステル樹脂の軟化点との関係図である。
【
図6】
図6は、実施例及び比較例の電池ケース用包材のエリクセン値と、電池ケース用包材の第1接着剤層を構成するポリエステル樹脂の水酸基価との関係図である。
【
図7】
図7は、実施例及び比較例の電池ケース用包材のエリクセン値と、電池ケース用包材の第1接着剤層を構成するポリエステル樹脂の酸価との関係図である。
【
図8】
図8は、実施例及び比較例の電池ケース用包材の剥離強度と、電池ケース用包材の第1接着剤層を構成するポリエステル樹脂のガラス転移温度との関係図である。
【
図9】
図9は、実施例及び比較例の電池ケース用包材の剥離強度と、電池ケース用包材の第1接着剤層を構成するポリエステル樹脂の重量平均分子量との関係図である。
【
図10】
図10は、実施例及び比較例の電池ケース用包材の剥離強度と、電池ケース用包材の第1接着剤層を構成するポリエステル樹脂の軟化点との関係図である。
【
図11】
図11は、実施例及び比較例の電池ケース用包材の剥離強度と、電池ケース用包材の第1接着剤層を構成するポリエステル樹脂の水酸基価との関係図である。
【
図12】
図12は、実施例及び比較例の電池ケース用包材の剥離強度と、電池ケース用包材の第1接着剤層を構成するポリエステル樹脂の酸価との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、本発明の電池ケース用包材10は、耐熱性延伸樹脂層1、第1接着剤層2、アルミニウム層3及び熱可塑性無延伸樹脂層4が順次積層された構造を有する。また、
図2に示すように、アルミニウム層3と熱可塑性無延伸樹脂層4とを、第2接着剤層5で積層した構造としてもよい。
【0013】
本発明の電池ケース用包材10の特徴は、第1接着剤層2が、0〜30℃、好ましくは3〜15℃のガラス転移温度を示すポリエステル樹脂を含有することである。また、その軟化点は、低すぎると高温での接着信頼性が低下する傾向があり、高すぎると接着不良が発生する可能性が高まる傾向があるので、好ましくは30〜100℃、より好ましくは40℃〜100℃である。
【0014】
本発明において、耐熱性延伸樹脂層1とアルミニウム層3との間の第1接着剤層2の材料とそのガラス転移温度とを規定する理由は、電池ケース用包材10を深絞り加工又は張り出し加工した場合に、電池ケースの外側となる耐熱性延伸樹脂層1が内側の層に比べてより強く引き延ばされ、それによりアルミニウム層3にクラックを生じさせるような応力がアルミニウム層3に生じるという事実に鑑み、そのような応力を緩和する役目を第1接着剤層2に付与するためである。
【0015】
また、第1接着剤層2の主材料としてポリエステル樹脂を使用する理由は、他の一般的な接着剤(例えば、ウレタン系接着剤)に比べ、電池ケース用包材10に良好な成形性を付与できるという利点を有するからである。
【0016】
更に、ポリエステル樹脂として、ガラス転移温度が0〜30℃を示すものを使用する理由は、このガラス転移温度であると、電池ケース用包材10が実用的上問題のない成型性、換言すればエリクセン値を示し、同時に耐熱性延伸樹脂フィルム層1とアルミニウム層3との間の剥離強度を少なくとも3N/15mm(JIS K6854(サンプルサイズ15mm幅、T型剥離、剥離速度50mm/min))以上にできるからである。なお、エリクセン値の測定は、絞り速度を1mm/分とすること以外はJIS Z2247に従って行った。
【0017】
なお、ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、小さすぎると接着強度が低下する傾向があり、大きすぎると溶剤への溶解性が低下する傾向があるので、好ましくは20000〜30000である。また、ポリエステル樹脂の水酸基価は、小さすぎると硬化剤による架橋が進行し難くなる傾向があり、大きすぎると加水分解しやすい傾向があるので、好ましくは3〜6、より好ましくは4〜5である。また、ポリエステル樹脂の軟化点は、低すぎると高温での信頼性が乏しくなる傾向があり、高すぎると接着不良となる傾向があるので、好ましくは30〜150℃、より好ましくは50〜100℃である。ポリエステル樹脂の酸価は、低すぎると硬化剤による架橋が進行し難くなる傾向があり、高すぎると加水分解しやすい傾向があるので、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜8である。
【0018】
ポリエステル樹脂を構成するジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール等を挙げることができる。これらは、ジオール成分として単独で、または2種以上混合して使用することができる。また、二塩基酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。これらも、二塩基酸成分として単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
【0019】
このような成分からなるポリエステル樹脂のガラス転移温度の調整は、ジオール成分や二塩基酸成分のそれぞれの種類やそれらの量比を変更すること、ポリエステル樹脂の重量平均分子量を変化させること等により行うことができる。例えば、ガラス転移温度を下げようとする場合、ジオール成分として1,4−ブタンジオールの使用量を増加させたり、二塩基酸成分としてアジピン酸の使用量を増加させたり、ポリエステル樹脂の重量平均分子量を低下させること等が挙げられる。逆に、ガラス転移温度を上げようとする場合、ジオール成分としてネオペンチルグリコールの使用量を増加させたり、二塩基酸成分としてテレフタル酸の使用量を増加させたり、ポリエステル樹脂の重量平均分子量を増大させること等が挙げられる。
【0020】
第1接着剤層2は、0〜30℃のガラス転移温度を示すポリエステル樹脂だけから構成してもよいが、公知の粘着付与剤、各種ゴム類、架橋剤、架橋促進剤等を、発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
【0021】
第1接着剤層2の厚みは、薄すぎると応力緩和能が十分とは言えず、厚すぎると体積エネルギー密度の低下につながる傾向があるので、好ましくは2〜5μm、より好ましくは3〜4μmである。
【0022】
本発明の電池ケース用包材10を構成する耐熱性延伸樹脂層1は、電池ケースを高温環境下でもアルミニウム層3が露出しないように保護すると共に、落下衝撃から電池を保護するための層である。このため、耐熱性延伸樹脂層1は、加工性も考慮して、ガラス転移温度が好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜90℃で、軟化点が好ましくは200〜280℃、より好ましくは210〜270℃の耐熱性を示す樹脂であって、良好な耐衝撃性を示すように、破断強度(JIS P8112)が好ましくは150〜350MPa、耐衝撃性(JIS K8134)が好ましくは30000〜80000J/mの樹脂から形成されたものである。
【0023】
このような耐熱性延伸樹脂層1としては、延伸ナイロンフィルムなどの延伸ポリアミドフィルム、延伸ポリイミドフィルム、延伸ポリエステルフィルム等を挙げることができる。中でも、強度並びに伸びの点から延伸ポリアミドフィルム、具体的には延伸ナイロンフィルムを好ましく使用することができる。ここで、延伸処理としては、好ましくは2軸延伸処理、より好ましくは4軸延伸処理が好ましい。
【0024】
耐熱性延伸樹脂層1の厚みは、薄すぎると、環境温度や落下衝撃により電子性能が損なわれる傾向があり、厚すぎるとシャープな形状に成型することが困難になる傾向があるので、好ましくは9〜50μm、より好ましくは15〜30μmである。
【0025】
本発明の電池ケース用包材10を構成するアルミニウム層3は、電池ケース内に水蒸気や酸素が侵入することを防止し、電池ケースの保形性に寄与するための層である。
【0026】
このようなアルミニウム層3としては、圧延により形成されたアルミニウム箔、ポリエステルやポリイミド等の樹脂フィルムベースに蒸着により形成された複合アルミニウムシートが挙げられる。生産性やコストの面から、圧延により形成されたアルミニウム箔を好ましく使用することができる。また、本発明において“アルミニウム”とは純アルミニウムだけでなく、各種アルミニウム合金を含むものである。
【0027】
アルミニウム層3の厚みは、薄すぎると無視できないピンホールが生じたり、外力によりクラックが発生したりする傾向があり、厚すぎると電池ケース用包材10の成型加工性が低下したりする傾向があるので、好ましくは15〜150μm、より好ましくは20〜80μmである。
【0028】
本発明の電池ケース用包材10を構成する熱可塑性無延伸樹脂層4は、電池ケース内の電子素子と包材のアルミニウム層3とを絶縁すると共に、包材にヒートシール性を付与する層である。
【0029】
この熱可塑性無延伸樹脂層4が熱可塑性である理由は、電池ケースの気密性を保持し、ヒートシール性を示すためであり、また、無延伸である理由は、十分なヒートシール性を確保するためである。
【0030】
熱可塑性無延伸樹脂層4のガラス転移温度は、低すぎると高温での接着信頼性が低下する傾向があり、高すぎるとヒートシール性が低下する傾向があるので、好ましくは−30〜−10℃、より好ましくは−20〜−15℃であり、また、軟化点は、低すぎるとヒートシール性が低下する傾向があり、高すぎると高温での接着信頼性が低下する傾向があるので、好ましくは130〜180℃、より好ましくは140〜170℃である。
【0031】
このような熱可塑性無延伸樹脂層4としては、無延伸ポリオレフィンフィルム、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体フィルム、酸(例えばマレイン酸、アクリル酸など)又はエステル(例えば、アクリル酸エステル)変性ポリプロピレンフィルム等を好ましく挙げることができる。中でも、無延伸ポリオレフィンフィルムが好ましく、特に無延伸ポリプロピレンフィルムが好ましい。
【0032】
熱可塑性無延伸樹脂層4の厚みは、薄すぎると十分なヒートシール強度を得ることができず、厚すぎると体積エネルギー密度が低下する傾向があるので、好ましくは10〜70μm、より好ましくは20〜50μmである。
【0033】
本発明の電池ケース用包材10は、
図2に示すように、アルミニウム層3と熱可塑性無延伸樹脂層4との間に、第2接着剤層5を設けてもよい。この場合、第2接着剤層5は、第1接着剤層2と同じでもよく、他のアクリル系接着剤、エステル系接着剤、ウレタン系接着剤、スチレン/ブタジエン系熱可塑性エラストマー接着剤等でもよい。中でも、耐電解液性の観点から、スチレン/ブタジエン系熱可塑性エラストマー接着剤が好ましい。
【0034】
第2接着層5の厚みは、薄すぎると十分な接着強度を得ることができず、厚すぎると体積エネルギー密度の低下につながる傾向があるので、好ましくは1〜5μm、より好ましくは2〜4μmである。
【0035】
本発明の電池ケース用包材は、公知の成膜法やラミネーション法を利用して製造することができる。例えば、
図1の電池ケース用包材は、耐熱性延伸樹脂フィルムに、第1接着剤層形成用組成物を塗布し乾燥して第1接着剤層を形成し、その第1接着剤層にアルミニウム箔を貼り付けた後、アルミニウム箔に対し、熱可塑性樹脂を溶融押し出し法により熱可塑性無延伸樹脂層として積層することにより製造することができる。また、
図2の電池ケース用包材は、耐熱性延伸樹脂フィルムに、第1接着剤層形成用組成物を塗布し乾燥して第1接着剤層を形成し、その第1接着剤層にアルミニウム箔を貼り付けた後、アルミニウム箔とそれに対向するように配された熱可塑性無延伸樹脂フィルムとの間に、第2接着剤層形成用組成物を溶融押し出しながら積層することにより製造することができる。
【0036】
本発明の電池ケース用包材は、公知の深絞り加工又は張出し加工(特許第3567230号参照)により、アルミニウム層にクラックが生じておらず、剥離強度の高い電池ケースに加工することができる。また、この電池ケースに公知のリチウムイオン二次電池素子等の二次電池素子を封入すれば、実使用に適した二次電池を得ることができる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の電池ケース用包材を実施例に従ってより具体的に説明する。
【0038】
実施例1〜4及び比較例1〜5
15μm厚の4軸延伸ナイロンフィルム(ON、ユニチカ(株))の片面に、表1に示すポリエステル樹脂(UEシリーズ、ユニチカ(株))又はウレタン樹脂(ニッポラン3124、日本ポリウレタン工業(株))のトルエン溶液を、乾燥厚で3μmとなるように塗布し、乾燥させて第1接着剤層を形成し、第1接着剤層が内側となるようにロールに巻き取った。
【0039】
なお、使用したポリエステル樹脂について、ジカルボン酸成分、ジオール成分、ガラス転移温度、重量平均分子量、軟化点、水酸基価及び酸価を表1に併せて示す。
【0040】
得られたロールから巻き出したシートの接着剤層に35μm厚のアルミニウム箔(8021−o材、住軽アルミ箔(株))を、60℃に加熱されたヒートドラムで3.0kg/cmの線圧をかけながら積層し、ロールに巻き取った。次に、巻き取ったロールから再び巻き出したシートのアルミニウム層を、別途用意した30μm厚の無延伸ポリプロピレンフィルム(GLC、三井化学東セロ(株))とを対向させ、それらの間に第2接着剤層となるスチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)系接着剤(タフラックM1913、旭化成(株))を、層厚が3μmとなるようにドライラミネーション法で積層することにより電池ケース用包材を得た。
【0041】
得られた電池ケース用包材の成形性を評価するために、エリクセン試験機(コーティングテスター(株))を用いてエリクセン試験を、絞り速度を1mm/分とすること以外はJIS Z2247に従って行い、包材のアルミニウム層にクラックが生じたか否かを目視で確認し、クラックが生じた絞り量(エリクセン値)[mm]を表1に示し、以下の基準にて評価した。
【0042】
ランク 基準
○: 絞り量(エリクセン値)が9mm以上
×: 絞り量(エリクセン値)が9mm未満
【0043】
また、電池ケース用包材の耐熱性延伸ナイロンフィルムとアルミニウム層との間のT字剥離試験(JIS K6854)を、テンシロン万能試験機(RTA−250、(株)オリエンテック)を用い、剥離速度50mm/minの条件で行い、得られた剥離強度(N/15mm)を表1に示し、以下の基準にて評価した。
【0044】
ランク 基準
○: 剥離強度(N/15mm)が3N/15mm以上
×: 剥離強度(N/15mm)が3N/15mm未満
【0045】
また、これらのエリクセン値と剥離強度の評価結果に基づいて、電池ケース用包材の総合評価を以下の基準にて行った。
【0046】
ランク 基準
○: 絞り量(エリクセン値)及び剥離強度の評価結果が共に“○”評価である場合
×: 絞り量(エリクセン値)及び剥離強度の評価結果の少なくとも一方が、“×”評価である場合
【0047】
【表1】
【0048】
表1に示された実施例1〜4並びに比較例1〜4の電池ケース用包材のエリクセン値と、ポリエステル樹脂のガラス転移温度、重量平均分子量、軟化点、水酸基価又は酸価との関係を、
図3〜7に示す。また、電池ケース用包材の剥離強度と、ポリエステル樹脂のガラス転移温度、重量平均分子量、軟化点、水酸基価又は酸価との関係を、
図8〜12に示す。
【0049】
表1の結果から、いずれもポリエステル樹脂を使用した実施例1〜4の電池ケース用包材の総合評価は“○”評価であり、他方、比較例1〜4の電池ケース用包材の場合、いずれも剥離強度について“×”評価であり、総合評価は“×”評価であった。また、ポリエステル樹脂に変えてウレタン樹脂を使用した比較例5の電池ケース用包材の場合、剥離強度は満足できるものの、エリクセン値については、“×”評価であり、総合評価は“×”評価であった。
【0050】
また、表1及び
図3〜12の結果の中から、エリクセン値又は剥離強度に対するガラス転移温度に着目すると、実施例1〜4におけるポリエステル樹脂のガラス転移温度範囲「0〜30℃」と、比較例1〜4におけるガラス転移温度範囲とが重複しておらず、そのため、実施例のデータと比較例のデータとが、ガラス転移温度を指標に切り分けることが可能であることがわかる。他方、重量平均分子量、軟化点、水酸基価、及び酸価については、それら単独では、実施例のデータと比較例のデータとを切り分けることが難しいことがわかるが、ガラス転移温度で切り分けることを前提にすれば、これらによっても発明をより好ましい範囲に更に限定できることがわかる。