【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタ、又は装置本体という)の内部構成を説明する断面図である。
【0021】
図1に示すプリンタ1(以下、装置本体1とも言う)は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0022】
上記画像形成部2は、いわゆる背面転写方式で転写ベルト8の下部走行部表面8aにトナー画像を転写するために、その転写ベルト8の下部走行部表面8aに接して上流側から下流側(同図の右側から左側)へ4個の画像形成ユニット9(9k、9c、9m、9y)を多段式に並設した構成をとっている。
【0023】
上記4個の画像形成ユニット9のうち上流側の3個の画像形成ユニット9y、9m及び9cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるモノカラー画像を形成する。
【0024】
また、画像形成ユニット9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。上記の各画像形成ユニット9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下イエロー(Y)のトナー用の画像形成ユニット9yを例にしてその構成を説明する。
【0025】
画像形成ユニット9は、最上部に像担持体としての感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面に当接し又は近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0026】
光書込ヘッド13は、矢印bで示すように、感光体ドラム10に対し近接する印字時の近接位置と、保守時等に画像形成ユニット9を装置本体前方に引き出す際に、下方に降下して感光体ドラム10から離れる離間位置とに移動可能に装置本体1のフレームに保持されている。
【0027】
現像器14は、外部を覆うユニット筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、特には図示しないが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0028】
この現像器14には、トナー供給部4のトナー補給容器20(20y、20m、20c、20k)から、同図にはY、M、C、Kで示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれかのトナーが供給される。
【0029】
転写ベルトユニット3は、装置本体のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ21と従動ローラ22を備えている。
【0030】
上記の転写ベルト8には、一次転写ローラ23がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ23は転写ベルト8を介して感光体ドラム10に圧接し、下方を循環移動する転写ベルト8の下部走行部表面8aにトナー像を直接転写(一次転写)する。
【0031】
転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への二次転写部24まで搬送する。二次転写部24は、駆動ローラ21に隣接して下流側(図では上方)に配置された転写補助ローラ25と、この転写補助ローラ25に転写ベルト8を介して圧接する二次転写ローラ26とで形成されている。
【0032】
転写ベルト8には、ベルトクリーナ27が配置されている。ベルトクリーナ27は、転写ベルト8の従動ローラ22に掛け渡されている表面に当接するクリーニングブレード28を備えている。また、ベルトクリーナ27の左方から下方にかけて隣接して、廃トナー回収容器29が着脱自在に配置されている。
【0033】
ベルトクリーナ27は、クリーニングブレード28により転写ベルト8の表面に残留する廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを不図示の搬送スクリューにより廃トナー回収容器29に送り込んでいる。
【0034】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置される4個のトナー補給容器20(20y、20m、20c、20k)を着脱自在に備えている。4個のトナー補給容器20には前述したようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーが収容されている。
【0035】
これら4個のトナー補給容器20は、
図1では転写ベルトユニット3の向う側に隠れて見えないが、それぞれ装着部のトナー供給口に続くトナー供給路を介して、それぞれに対応する画像形成ユニット9の現像器14と連結されている。
【0036】
このトナー供給部4は、特には図示しないが、
図1に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能に装着部を介してプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0037】
給紙部5は、上下2段に配置された2個の給紙カセット30(30a、30b)を備えている。2個の給紙カセット30の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0038】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8、転写補助ローラ25、二次転写ローラ26による前述した用紙への二次転写部24が形成されている。
【0039】
この二次転写部24の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置され、ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0040】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0041】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する開始返送路39a、それから下方に曲がる中間返送路39b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路39cから成る返送路39を備えている。
【0042】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記終端返送路39cの出口は、給紙部5の下方の給紙カセット30bに対応する待機搬送ローラ対34への搬送路に合流している。
【0043】
図2は、上記構成のプリンタ1の外観斜視図である。尚、
図2には
図1と同一の構成部分には
図1と同一の番号を付与して示している。
図2に示すように、プリンタ1には、前方に取っ手が付いた前扉40aが備えられ、右側面には、これも取っ手が付いた開閉部材40bが備えられている。開閉部材40bには
図1に示した両面印刷用搬送ユニット7が一体化されている。
【0044】
このプリンタ1は、
図1に示したように、用紙に直接トナー像を転写する方式ではなく、待機搬送ローラ対35により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に転写ベルト8を介してトナー像を転写し、更に鉛直方向に用紙を搬送して転写トナー像を用紙に定着する方式となっている。
【0045】
したがって、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合は給紙部5の用紙取出ローラ31から排紙ローラ対38までの縦方向搬送路でしか発生しないので、用紙ジャム等の不具合を回復するメンテナンス処理時には、
図2に示す右側の開閉部材40bを開放するのみで対処できるようになっている。
【0046】
つまり、用紙ジャム等の不具合は、
図1の左側に集中するキット類の配設部では発生しないので、キット類などの消耗品の着脱の操作は、
図2に示す前扉40aを開いて、キット類を長手方向(前扉方向)に入れ替え操作するように構成されている。
【0047】
図3(a)はプリンタ1の画像形成部の4個の画像形成ユニットを取り出して横に並べて示す正面図、(b)はその斜視図である。尚、
図3(a),(b)には、
図1と同一の構成部分には
図1と同一の番号を付与して示している。
【0048】
図3(a),(b)に示すように、画像形成部2の4個の画像形成ユニット9(9k、9c、9m、9y)は、正面に抓み42を備えている。抓み42の右端部には、印刷、刻印、又は成形による三角記号43が、三角の一角を抓み42の外端部に向けて配置されている。
【0049】
図3では、抓み42を水平位置で示しているが、実際には後述するように、画像形成ユニット9が画像形成部2の装着部から外に取り出されているときは、抓み42は、垂直位置にある。したがって、その場合は三角記号43の一角は上向きとなる。
【0050】
抓み42の周囲のユニット前面カバー44には、画像形成ユニット9が画像形成部2の装着部に装着されて
図3(a),(b)に示すように抓み42が横90度にひねり廻されたとき抓み42の三角記号43の外向きの一角に向き合う位置に、これも印刷、刻印、又は成形による三角印45が配置されている。
【0051】
同様に抓み42の周囲のユニット前面カバー44には、画像形成ユニット9が画像形成部2の装着部から前方に引き出される際に抓み42が縦90度にひねり廻されたとき抓み42の三角記号43の上向きの一角に向き合う位置に、これも印刷、刻印、又は成形による三角印46が配置されている。
【0052】
また、
図3(b)では、ユニット前面カバー44の切り欠かれた形状の右上部分には感光体ドラム10とクリーナ11の前端部共用カバー47が突出し、現像器14と帯電ローラ12の前端部は、ユニット前面カバー44の後方に隠れている形状となっている。
【0053】
図4(a)は上記構成の画像形成ユニット9がユニット装着部に装着前の又はユニット装着部から跋脱後の単体であるときの斜視図であり、
図4(b)は画像形成ユニット9がユニット装着部に装着されてロックされている状態を示す図、(c)はロックが外された状態を示す図、(b)はユニット装着部から跋脱完了直前の状態を示す図である。
【0054】
なお、
図4(a)〜(d)には、
図3(a),(b)と同一の構成部分には
図3(a),(b)と同一の番号を付与して示している。また、
図4(b),(c),(d)では、ユニット装着部48として、ヘッドユニット52と、そのヘッドユニット52の上面に配設された光書込ヘッド13としてのLED(light emitting diode)素子アレイ53が長手方向に配置されている状態を示し他の構成の図示を省略している。また図の右を装置の前部、図の左を装置の後部としている。
【0055】
図4(a)には、ユニット装着部48(同図(b)〜(d)参照)とのロックを解除するために、三角記号43をユニット前面カバー44の上部の三角印46に対向させる縦位置に90度回動している抓み42と、ユニット装着部48への装着時に、ヘッド離間レバー59(同図(b),(c)参照)に係合する現像器14のユニット筐体16の底部を示している。
【0056】
また、
図4(a)には、ユニット装着部48への装着時に、ユニット装着部48の案内溝に係合する帯電ローラ12の筐体と、ユニット装着部48の案内レールの立設部と平面部とに係合するクリーナ11の筐体側面11aと筐体底部11bを示している。
【0057】
また、
図4(b),(c),(d)には画像形成ユニット9の現像器14及びユニット筐体16の下の部分のみを単なる断面として示している。また、
図4(b),(c)には、単なる断面として示している部分以外の部分を実線又は破線で簡略に示している。
【0058】
また、
図4(b),(c),(d)には、画像形成ユニット9がユニット装着部48に装着される際にヘッドユニット52を押し下げるための摺接部と、同着完了時に画像形成ユニット9をユニット装着部48にロックするためのヘッド離間レバー59を図示している。
【0059】
ヘッド離間レバー59は、傾斜面部61と、傾斜面部61に続く平面部62と、平面部61の終端から下方に鉛直に曲がるレバー段差部63とで形成されている。
【0060】
図4(d)に示すように、ヘッドユニット52には、底部の前後2箇所に押し上げばね64の上端部が係止している。これにより、ヘッドユニット52は、LED素子アレイ53が感光体ドラム10の周面に近接する印字位置まで上昇するように常に押し上げ付勢されている。
【0061】
このヘッドユニット52は、前部と後部を、ユニット装着部48の長枠状の筐体の前部と後部により、それぞれ上下に昇降可能に保持されている。ヘッドユニット52の昇降動作は、ヘッド支持部材50の上下動に連動して行われる。
【0062】
ヘッド支持部材50の装置前方における上下動の動作は、ヘッドユニット52の前部を上下動させると共に、ヘッドユニット52の下方で前後にわたって延在するリンクシャフト65の回転に変換される。
【0063】
リンクシャフト65の回転は、ヘッドユニット52の後部において上下動に変換される。これにより、ヘッド支持部材50の上下動に応じて、ヘッドユニット52全体が上下に移動する。
【0064】
画像形成ユニット9がユニット装着部48から跋脱されるときは、
図3(a),(b)及び図(b)に示す横90度のロック位置に回動していた抓み42が、
図4(a),(c)に示すように縦90度のロック解除位置に回動される。
【0065】
これにより、詳しくは後述するが、抓み42の回動に連動するリリースクランク67のロック係合板78が、
図4(b)のロック位置から
図4(c)のロック解除位置に下降し、ヘッド支持部材50のクランク係合部58を上から押し込んで、押し上げばね64の付勢力に抗して降下させる。
【0066】
このヘッド支持部材50の降下により、画像形成ユニット9の現像器14のユニット筐体16の底部(摺擦部16a)前端に形成されているユニット段差部66とヘッド支持部材50のレバー段差部63との係合、すなわち、画像形成ユニット9とユニット装着部48とのロック状態が外れる。
【0067】
また、これと同時に、ヘッド支持部材50の降下に伴ってヘッドユニット52も降下しLED素子アレイ53が感光体ドラム10に近接する印字位置から下方の退避位置に移動して、感光体ドラム10にLED素子アレイ53が接触するおそれが無くなる。これにより、
図4(d)に示すように、画像形成ユニット9をユニット装着部48より前方へ容易に引き出すことができるようになる。
【0068】
ところで、抓み42を回動させて、ヘッドユニット52を印字位置から下方に離間させようとすると、抓み42の回動が進むにつれて、ばね64のバネ荷重が強くなり、抓み42を回すユーザに強い力が要求されることは前述した。
【0069】
本例の抓み42には、連動機構にカム溝を介在させ、抓み42の微小な回動における仕事量が一定になるような形状にカム溝の形状を形成することによって、バネ荷重が掛かる区間での抓み42の回動負荷の変動を均一に保つようにしている。
【0070】
図5(a)は
図4(b)の抓み42が横に90度回動しているときのユニット前面カバーの正面図であり、
図5(b)はその抓み42と一体な抓み円板68の裏面の縁周囲に立設する円環部の断面図、
図5(c)はリリースクランクのみを取り出した図、
図5(d)は
図5(a)のユニット前面カバーの背面図、
図5(e)は
図5(d)のクランクホルダを取り除いた図である。
【0071】
図5(a)に示すように、抓み42は三角記号43が三角印45と向き合うロック位置に回動されている。抓み42は抓み円板68と一体形成されている。
図5(b)に示すように、抓み円板68の裏面には、裏面の縁周囲に立設する円環部69が形成されている。
【0072】
上記抓み42、抓み円板68、円環部69により全体として抓み部材を形成している。また、抓み円板68の中央には抓み部材が回動する支点となる軸支部71がある。
【0073】
このように円環部69は抓み部材の縁部を形成している。この円環部69と抓み円板68とで形成される円環空間の内部には、軸支部71に隣接する位置から円環部69に隣接する位置まで円弧状に円弧溝72が形成されている。
【0074】
また、ユニット前面カバー44には、軸支部71の下に隣接する位置から円環部69に隣接する位置まで鉛直に長孔73が形成されている。
図5(c)に示すリリースクランク67の昇降ピン74の先端は、
図5(b)の紙面奥行き方向向う側から長孔73を貫通して円弧溝72に嵌入している。
【0075】
抓み部材が
図5(a),(b)に示すロック位置に回動しているときは、昇降ピン74は
図5(b)に示すように、長孔73の支持部71に隣接する位置に位置すると共に、円弧溝72の支持部71に隣接する位置に位置する。
【0076】
昇降ピン74は中空のピンであり、
図5(c)に示すように、リリースクランク67の横長部75の中央で支持軸76により回動自在に軸支されている。横長部75の一方の端部には上下両方向に突出する位置決め滑動板77が形成され、他方の端部には下方に突出するロック係合板78(以下、
図4(b)も参照)が形成されている。
【0077】
このリリースクランク67が配置されるユニット前面カバー44の裏面は
図5(d)に示すように、ほぼ下半分を覆うクランクホルダ79によって、リリースクランク67の脱落が抑えられている。また、ユニット前面カバー44を介して抓み42を支持する軸支部71の軸端が取っ手ホルダ80にかしめ付けられている。
【0078】
このクランクホルダ79を取り除いた
図5(e)に示すように、リリースクランク67は、位置決め滑動板77がユニット前面カバー44の裏面に固設されている二本の縦レール81に滑動可能に嵌入して、昇降ピン74と共に横方向の移動を禁止されている。
【0079】
このように昇降ピン74が最上部に移動していることにより、
図5(d)に示すようにリリースクランク67全体が上に移動し、リリースクランク67のロック係合板78も上に移動し、ヘッド支持部材50のクランク係合部58に対する押さえを解除している。
【0080】
これが
図4(b)に示した状態である。すなわち、上記の押さえ解除により、
図5(e)に示すように、ヘッドユニット52と一体なヘッド支持部材50が
図4(d)に示した押し上げばね64の付勢力により、ヘッドユニット52と共に上昇した位置に移動している。
【0081】
この状態で、
図4(b)に示したように、ユニット段差部66とレバー段差部63が係合して、画像形成ユニット9がユニット装着部48にロックされると同時に、ヘッドユニット52のLED素子アレイ53が印字位置(感光体ドラム10への光書き込み位置)に復帰した状態となる。
【0082】
図6(a)は、
図4(c)の状態を示し、抓み42を縦に90度回動させたときのユニット前面カバー44の正面図であり、
図6(b)は、抓み円板68の裏面の円環部69の断面図、
図6(c)は
図6(a)のユニット前面カバー44の背面図、
図6(d)は
図6(c)のクランクホルダ79を取り除いて示す図、
図6(e)は
図4(c)の右端部がロック解除状態に変化した状態を部分的に再掲して示す図である。
【0083】
図6(a)に示すように、抓み42は三角記号43が三角印46と向き合うロック解除位置に回動されている。
図6(b)に示すように、抓み円板68の裏面では、円環部69と共に円弧溝72が
図5(b)の位置から90度反時計回り方向に回動している。
【0084】
この回動により、リリースクランク67の昇降ピン74が、円弧溝72と長孔73に沿って移動して、長孔73の円環部69に隣接する位置に位置すると共に、円弧溝72の円環部69に隣接する位置に位置するようになる。つまり昇降ピン74は上下動の最下部に降下する。
【0085】
昇降ピン74が最下部に降下したことにより、
図6(d)に示すようにリリースクランク67全体が降下し、したがってリリースクランク67のロック係合板78も降下して、ヘッド支持部材50のクランク係合部58を押さえ込んでいる。
【0086】
このロック係合板78の下方への変位により、
図6(e)に示すように、ヘッドユニット52と一体なヘッド支持部材50が押し上げばね64(
図4(d)参照)の付勢力に抗してヘッドユニット52と共に降下する。
【0087】
これにより、ユニット段差部66とレバー段差部63との係合が解除され、画像形成ユニット9がユニット装着部48から跋脱可能となることは前述した通りである。
【0088】
このとき抓み42は、ヘッドユニット52、ヘッド支持部材50、クランク係合部58、リリースクランク67、昇降ピン74、円弧溝72、抓み円板68等を介して押し上げばね64の付勢力を受ける。
【0089】
通常の連動機構であれば、前述したように、抓み42の回動が進むにつれて圧縮される押し上げばね64のバネ荷重が強くなり、抓み42を回すユーザに強い力が要求されるが本例ではバネ荷重が掛かる区間での抓み42の回動負荷の変動を均一に保つようにしている。
【0090】
これにより、バネ荷重の強弱に関わり無く常に一定の弱い力で抓み42を回すことが出来るように成っている。以下、このような円弧溝72の形状構成について説明する。
【0091】
図7(a)は、抓み42と一体な抓み円板68の裏面から円環部69と円弧溝72を見た図であり、同図(b)は、円弧溝72に求められる特徴をグラフに示した図である。
【0092】
なお、
図7(a)には
図5(a),(b)、
図6(a),(b)と同一の構成部分には
図5(a),(b)、
図6(a),(b)と同一の番号を付与して示している。また、本来は透視図として破線で示すべき抓み42を実線で示している。
【0093】
図7(b)に示すグラフは、横軸に抓み42、つまり円弧溝72が回動する角度を示し、縦軸に円弧溝72と長孔73に沿って移動する昇降ピン74の軸支部71からの距離を示している。
【0094】
図7(a)には、円弧溝72に嵌入して円弧溝72と長孔73(
図5(b)、
図6(b)参照、なお、
図5(b)、
図6(b)は正面から見た断面であるため円弧溝72の形状は
図7(a)と線対称に反転している)に沿って移動する昇降ピン74の軸心(以下、昇降ピン74という)の移動軌跡82を示している。
【0095】
なお、
図7(a)に示す移動軌跡82は円弧溝72に対する相対的な軌跡であり、実際の昇降ピン74の移動軌跡82は、
図5(b)、
図6(b)に示した長孔73に沿って上下に移動する鉛直線である。
図7(a)では、特に図示していないが、昇降ピン74は最下部の位置84で示す位置にある。
【0096】
図7(a)において、移動軌跡82と軸支部71からの距離をr(θ)の関数で表すことにする。また、昇降ピン74が軸支部71に隣接する最上位置(
図7(a)に示す円弧溝72との相対位置では位置83で示す位置)にあるとき、この位置と軸支部71を通る横軸をθ=0の基準線とする。
【0097】
また、軸支部71を中心として位置83を通る円85の半径を最小半径r0 とする。最小半径r0 は、軸支部71に対する昇降ピン74の至近距離を示している。また、上述した昇降ピン74が位置する最下部の位置84を通る円86の半径を最大半径Rとする。
【0098】
また、位置84と軸支部71を結ぶ直線がθ=0の基準線となす角は図では90°であるが、このときの角度θを最大回転角Θ「θ=Θ」とする。いま、円弧溝72が昇降ピン74及び中間の連動部材を介してヘッドユニット52を最上部から最下部へ、又は最下部から最上部へ移動させる仕事量をWとし、抓み42(=抓み円板68)の単位回転当たりの円弧溝72の仕事量をωとする。
【0099】
ここで、ωを所定の一定値を取る常数とすると、
dW/dθ=ω=Const(一定値)
となる。ここで、押し上げばね64のバネ定数をkとして、上記の式から円弧溝72における軌跡82の半径r、回転角θの関係を導くと、
(1/2)k・r(θ)^2 − k・r0 ・r(θ)=ω・θ
となる。したがって、上記の式に、最大半径Rと最大回転角Θを代入すれば、
(1/2)k・R^2 − k・r0 ・R = ω・Θ
となる。上記の式から円弧溝72の形状の自由度が制限される。例えば、最大半径と最大回転角が決定していれば、単位回転当たりの仕事量が定まる。拘束条件により変数が定まると、円弧溝72の形状は、
r(θ)=r0 ± √(r0 +(2ω・θ/k))
の式で決定される。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0101】
回動することにより第1位置と第2位置とを取り得るよう第1のユニットの前面部に軸支される軸支部を有し、前記前面部に保持されて付勢部材の付勢力を受ける昇降部材の昇降と前記回動とが連動するに際し、回動トルクが常に一定になるように連動部が形成されている回動部材であり、
前記回動部材は、
該回動部材の回動面において前記軸支部の近傍となる第1円弧位置から前記回動部材の縁部に隣接する位置となる第2円弧位置まで円弧状に形成された円弧溝を有し、
該円弧溝は、
前記前面部において、前記軸支部の下方となる第1長孔位置から前記回動部材の縁部に隣接する位置となる第2長孔位置まで鉛直に形成された長孔に摺接し、
バネにより常に上昇方向に付勢される第2のユニットに連結される前記昇降部材に一端を軸支されて他端が前記長孔を貫通する昇降ピンの前記他端に係合され、
前記昇降ピンは、
前記回動部材が前記第2位置から前記第1位置に回動したとき、前記他端は前記長孔の前記第1長孔位置に位置すると共に、前記円弧溝の前記第1円弧位置に位置し、
前記回動部材が前記第1位置から前記第2位置に回動したとき、前記他端は前記長孔の前記第2長孔位置に位置すると共に、前記円弧溝の前記第2円弧位置に位置し、
前記円弧溝は、
前記第1円弧位置に前記昇降ピンがあるときの昇降ピン軸心と前記軸支部との距離をr0 、距離r0 をなす直線の延長線を基準横軸とし、
前記第1円弧位置から前記第2円弧位置まで前記昇降ピンが移動する際の前記昇降ピン軸心と前記軸支部とを結ぶ直線が前記基準横軸となす角度を回転角θ、前記昇降ピン軸心と前記軸支部との距離をr(θ)とし、
前記回動部材の単位回転当たりに前記円弧溝がなす仕事量を一定量ω、前記付勢部材のバネ定数をkとしたとき、
r(θ)=r0 ± √(r0 +(2ω・θ/k))
となる形状に形成されている、
ことを特徴とする回動部材。
[付記2]
【0102】
前記第2円弧位置に前記昇降ピンがあるときの前記昇降ピン軸心と前記軸支部との距離を最大半径R、該最大半径Rが前記基準横軸となす角度を最大回転角Θとしたとき、
(kR^2)×1/2−k・r0 ・R=ω・Θ
により、前記カム溝の自由度が制限される、
ことを特徴とする付記1記載の回動部材。
[付記3]
【0103】
付記1または付記2記載の回動部材を備えることを特徴とする画像形成装置。