【実施例1】
【0019】
図1は実施例1の概要を示す斜視図である。
レバー形の綴じ具100の主要部は、用紙Yを切抜くための一対の切抜刃2を駆動する切抜部K周りと、貼着テープ20を切抜部Kに供給する供給部T周りと、綴じ具100をレバー30で作動させる作動部L周りと、貼着テープ20を用紙裏面で貼り合せる貼付け部P周り、および用紙Yを綴じ具100に装填する用紙載置部M周りで構成されている。
なお、綴じ具100の全ての部品は、本体1により支持されている。本体1は
図11に示すように、中心部に切抜部Kを収納する駆動箱1Aと、各構成部分を配置する台座1Bと、本体全体を支える側板1Sと、貼付け部Pを内蔵する底板1Dで形成されている。
【0020】
綴じ具100の外形を
図2〜
図4に示し、概要を説明する。
切抜部K周りは、用紙Yを切り抜く一対の切抜刃2を下部に設け、切抜刃2の間に、貼着テープ20をレバー30による下降作動時に支えるテープ支持アーム5を備えている。この切抜刃2は駆動箱1A内に設けられた後述の刃リンク機構2Yで駆動される。また、駆動箱1Aの上部には作動後の切抜刃2を復帰させる主復帰ばね4を設けている。
供給部T周りは、貼着テープ20を巻き取ったテープリール21を収納するテープカセット22を設けている。
作動部L周りは、綴じ具100の綴じ作動をするレバー30を備え、レバー30はレバー軸30Aを支点にして下降作動すると共に、操作ピン33により連結された操作プレート34を設けている。操作プレート34は後述の押しリング2Hを接続し、下部に後述の操作カム35と押し操作面36と突起部37を設けている。
【0021】
貼付け部P周りは、上部の操作プレート34に設けた後述の操作カム35と押し操作面36により動作する。下部には貼着テープ20を折り曲げるばねケース54を設け、折り曲げた貼着テープ20を用紙Yに確実に接着させる押付け棒56を備え、このばねケース54と押付け棒56を押し上げる下部レバー52を設けている。
用紙載置部M周りは、台座1Bに綴じようとする複数枚の用紙Yを載せる用紙台70を設け、綴じる際に用紙Yの上面を押さえて複数枚の用紙Yがずれることなく確実に綴じられるようにする用紙押え板71を備えている。
【0022】
次に、各主要部の詳細構造について
図5〜
図9により説明する。
切抜部K周りは、
図5および
図6のように刃リンク機構2Yを中心に構成されている。
刃リンク機構2Yは、刃ケース3に内蔵され、一対の切抜刃2を、一体形状の刃リンク部2Bを介して駆動する。
刃リンク機構2Yは、レバー30の下降作動力を操作プレート34の接続部38から押しリング2Hを介して、切刃押し棒2Fと上刃軸2Eと一対の切刃リンク2Dと中刃軸2Cと、刃リンク部2Bを介して下刃軸2Aを中心に切抜刃2を下方回転する。なお、下刃軸2Aは刃ケース3に取付けられている。また、押しリング2Hには切抜刃2を作動後に待機状態に復帰させる刃復帰ばね2Gが設けられている。
【0023】
切抜刃2の刃元の形状は、貼着テープ20を内挿できる構造になっている。
図7に示すように先端は用紙Yを切抜くための矢じり状で、一対で構成される内側は勾配の無い直線2Sで構成され、外側は切抜いた切抜穴YHを外側に広げる勾配2Uが設けられている。
また、切抜刃2の内側は後述のテープ曲げ片55Cを挿通させる曲げ穴2Iが設けられ、その内側には貼着テープ20を配置するテープ溝2Jが設けられている。さらにテープ溝2Jの内側には切抜刃2が復帰上昇する場合、用紙に貼り付けられた貼着テープ20を傷付けないようスムーズに上昇するためテープ逃し溝2Kが設けられている。
【0024】
図5および
図6に示すように一対の切抜刃2の内側に、貼着テープ20を作動時に支えるテープ支持アーム5を備えている。テープ支持アーム5はアーム軸5Bを回転中心として、先端のテープ支持台5Aを揺動する。このテープ支持台5Aに貼着テープ20を定置する。
ここで、テープ支持アーム5の機構を
図23に示す。
図23(a)はレバー30の作動前の待機状態を示す。テープ支持アーム5の上部のアーム軸5B部分に支持台カム5Cが設けられている。また、アーム軸5Bの両端には
図23(c)に示すように、支持台ばね5Dが設けられている。この支持台ばね5Dはねじりばねで、そのねじり力は
図23(b)のようにテープ支持アーム5を常に切抜刃2から外れる方向に作用している。
なお、支持台カム5Cの下部には刃ケース3と一体のケースカム3Bが設けられており、
図23(a)のように、常時は支持台カム5Cと互いに接触している。
【0025】
供給部T周りの詳細を
図5に示し、供給部Tに適用される貼着テープ20の形状と構成を
図12に示す。貼着テープ20はテープリール21に巻き取るため、剥離テープ20Aの表面に貼り付けられている。この剥離テープ20A上には貼着テープ20と一対の送り穴20Dが交互に設けられている。また、貼着テープ20は中央にクラウン部20Cを有し、両端に貼着面20Bを設けている。なお貼着面20Bは剥離テープ20A側に接着剤を塗布している。
【0026】
図5に示すように、貼着テープ20を有する剥離テープ20Aを、渦巻き状に巻き取ったテープリール21は、テープカセット22のカセットボックス22Pに収納される。
テープカセット22は、前方下部にテープ供給口22Vとテープ供給台22Bを備えている。また、テープ供給台22Bの下面にはテープ排出通路22Cと、テープ排出口22Aが設けられ、テープ排出通路22Cの下面には戻り防止爪22Dおよびテープ送り爪22Eが備えられている。この戻り防止爪22Dは逃し受座22Nを有するカセット固定台22Kに固定され、テープ送り爪22Eは、前方に供給受座22Fを有する送り台22Hと一体的に設けられている。送り台22Hは後方に送り復帰ばね22Gを備え前後移動可能にしている。この送り復帰ばね22Gの後端はカセット固定台22Kに接続している。
また、テープカセット22はカセット固定台22Kに設けられたカセット軸22Iを回転軸として、テープ供給台22Bと共に後方に回転可能である。
【0027】
カセット固定台22Kは、後方に装着軸22Jを設けている。
装着軸22Jは、カセット固定台22Kを載せるスライド台座23の後方の挿入部22Lに挿入し装着されている。スライド台座23は、台座1Bに引張ばね22Mで連結され、常に前方に引っ張られて固定している。
【0028】
次に作動部L周りの詳細を
図3,
図8に示す。
レバー30はレバー軸30Aを軸にして下方に回転し、レバー30の側面には操作長穴32を設け、内部に操作ピン33を挿入している。操作ピン33はレバー30の上部中央に位置する操作プレート34と一体的に取り付いている。
操作プレート34は両端に操作ピン33を設けると共に、下部に後述の貼付け部P周りを動作させるための操作カム35と押し操作面36を設け、後方には空綴じ防止の突起部37を備えている。また、操作プレート34の中央部分には押しリング2Hに接続する接続部38を設けている。
【0029】
次に貼付け部P周りの詳細を
図8,
図9に示す。
用紙裏面で貼着テープ20を折り曲げて接着する作動について、作動順に構造を説明する。
スライドカム50は、
図8に示すように中央部分に操作カム35が挿入されるカム穴50Aを設け、後方に支えピース51の下降を支えるカム座50Bと、前方にスライドカム50を復帰させるカム復帰ばね50Cが設けられている。
カム座50Bに下降することを止められている支えピース51は、後方に押し操作面36からの操作力を受ける操作受け棒51Aを設け、その外周に操作力を蓄える下作動ばね51Bと支えピース51の復帰のために下作動復帰ばね51Cを設け、後方には支えピース51と一体化した下部作動棒51Eが設けられている。
【0030】
下部作動棒51Eの下方は、本体1の台座1Bを貫通して下部取り付台51Fを備え、下部取り付け台51Fには爪ばね51H内蔵の逆向防止爪51Gを設けている。
逆向防止爪51Gの先端下部は下部レバー52の先端の爪レバー52Aを引っ掛けている。
下部レバー52は、後方の先端に爪レバー52Aが設けられ、下部ねじりばね52Cを有する下軸52Bを揺動中心にして、前方のレバー先端に下部ピン53が設けられている。下部ピン53は一端を押付け棒56に固定され、他端を一対のばねケース54に挿入されている。ばねケース54は、内部にリンクばね54Aを備え、上方にリンクロッド54Bを設けており、上部で一対のVリンク55を連結駆動している。また、押付け棒56は内部の下部ガイド57により上下動可能になっており、上部にテープ曲げ片55Cが出入りする曲げ片溝56Aが設けられている。
【0031】
一対のVリンク55は、前リンク55Aと後リンク55Bからなり、前リンク55Aの先端にはテープ曲げ片55Cが設けられている。一対のVリンク55の中心部には切抜刃2を挿入可能な刃筒58が設けられている。刃筒58の下部中心部分には押付け棒56が挿入され、上下動可能になっている。
【0032】
次に用紙載置部M周りの詳細を
図13および
図14に示す。
本体1の台座1Bの最前方に、綴じようとする複数の用紙Yを載置する用紙台70を備えている。用紙台70には用紙台ばね70Cを有する用紙台軸70Aを介して用紙押え板71を設け、用紙押え板71は、前方に把手部71Aと止め軸72Aを備え、止め軸72Aには空綴じ防止機構Nのスライド止め72を設けている。このスライド止め72の先端の移動止め部72Bは、台座1Bに設けられたへこみ部70Bに挿入され、後方への動きが止められている。同じく空綴じ防止機構Nとして用紙台70の後方に綴じ防止の下降ストッパ70Dが設けられている。
また、用紙台70の後方には、貼着テープ20を供給するためと、作動時にカセット固定台22Kを後方に逃すための供給座70Eが設けられている。
【0033】
次に、本発明の作用について
図15〜
図33で詳細説明する。
作用については、複数の用紙Yを用紙台70に載置する準備作業と、テープカセット22からの貼着テープ20の供給機能、そして、レバー30による押下げ作動で複数枚の用紙Yを綴じる作動、および、貼着テープ20を用紙裏面で折り曲げて接着する作業を作用順に説明する。
【0034】
まず、複数枚の用紙Yを用紙台70に載置する準備作業については、
図15(a)および(b)に示すように、最初に用紙押え板71の把手部71Aを軽く持ち上げて用紙Yを用紙台70との隙間に挿入する。この時、用紙Yはスライド止め72を押し退けて後方に止まるまで挿入する。このように、挿入時、用紙Yはスライド止め72を押し退ける必要があるが、このスライド止め72の役目は、用紙台70が用紙Yを載せない限り、綴じ作動時の所定の位置まで移動出来ないようにした空綴じを防止する手段である。
【0035】
図15(a)に示すようにスライド止め72は、上端を止め軸72Aで支えられ、下端の移動止め部72Bが用紙台70の下の台座1Bのへこみ部70Bに接地しており、用紙Yの挿入により、
図15(b)のように移動止め部72Bが、止め軸72Aを支点に回転して台座1Bのへこみ部70Bから外れる。このため用紙台70は用紙Yを載せた状態で後方への移動が可能になる。ここで、スライド止め72は止め軸72Aを支点に回転するため、用紙Yがスライド止め72を押し退ける際の抵抗力は極めて小さく、用紙Yをスムーズに挿入できる。
また、
図15(b)のように用紙Yを挿入後、用紙押え板71を手動力Fで押し下げるが、用紙台ばね70Cのばね力が用紙押え板71を押し付けるように働き、用紙Yの用紙同士をずれないようにする。この状態で把手部71Aにより用紙台70を後方に止まるまで押し込むことにより
図21のように綴じる準備が出来る。
【0036】
ここで、仮に
図15(b)のまま用紙台70を動かさずに、レバー30を下降作動させた場合、操作プレート34に設けられた突起部37が、用紙台70の後方に設けた下降ストッパ70Dの上部に当り、下降作動が出来ない。従って、誤って用紙台70を動かさないでレバー30を作動させた場合の空綴じを防止できる。
図21は用紙Yを用紙台70に載置して、用紙押え板71の把手部71Aを手動力Fで押して用紙台70を所定の位置まで押し込み、同時に貼着テープ20がテープ支持台5Aに供給され定置された状態である。この状態では、前述の用紙台70の後方に設けた下降ストッパ70Dは、操作プレート34に設けられた突起部37から後方に移動しているため、レバー30の綴じ作動が可能な状態にある。
【0037】
次に、テープカセット22による貼着テープ20の供給機能について説明する。
図16に示すように、作動前の待機状態はテープリール21に巻き取られている剥離テープ20Aが引き出されて、テープ先端をテープ供給口22Vに挿通されている。その後、テープ供給台22B上を通り、前方先端部分のテープ供給端22Qで下方に折り返し、テープ排出通路22Cを通り、後方のテープ排出口22Aを経て排出される。
この供給過程において、テープ排出通路22C上に位置する戻り防止爪22Dは、剥離テープ20Aがテープ排出口22Aに排出されずに、逆に戻ろうとした場合、その戻りを防止するものである。また、同じくテープ排出通路22C上に位置するテープ送り爪22Eは、剥離テープ20Aをテープ排出口22Aの方向に移動しながら送る移動爪である。なお、戻り防止爪22Dとテープ送り爪22Eは、爪部を剥離テープ20Aの送り穴20Dに挿入されている。
この作動前の待機状態では、当然、用紙台70は後方に動かされていない。このため、用紙台70の供給座70Eは送り台22Hの供給受座22Fを押さずに静止している。
同様に、用紙台70の供給座70Eはカセット固定台22Kの逃し受座22Nとは離れて静止している。
【0038】
図16の作動前の待機状態から、テープ支持台5Aに貼着テープ20を定置する作動を
図17に示す。用紙台70に用紙Yを載せて後方に押し込む。この押し込み過程において、まず、用紙台70の供給座70Eが供給受座22Fを押すことにより、送り台22Hが送り復帰ばね22Gを撓ませて後方に移動する。この時、送り台22Hに設けられたテープ
送り爪22Eが、剥離テープ20Aを送り穴20D間の一ピッチ分だけ後方に送る。
この送り動作により、貼着テープ20は、剥離テープ20Aに乗せられてテープ供給口22Vからテープ供給台22B上を通り、テープ供給端22Qに到達する。ここで、剥離テープ20Aは下方に折り返すが、折り返しの半径が極めて小さいため、剥離テープ20Aから貼着テープ20のみ折り返さずに前方に外れて、テープ支持台5Aに着地する。この状態で貼着テープ20は、一対の切抜刃2の間に定置され、綴じ作動におけるテープ供給作動が完了する。なお、テープ送り爪22Eが後方に移動後、綴じ作動完了で供給座70Eが待機状態に戻ると、テープ送り爪22Eも前方に復帰するが、この時、テープ送り爪22Eの抵抗で剥離テープ20Aも前方に戻ろうとする。この戻りを防ぐために戻り防止爪22Dが作用する。
【0039】
ここで、貼着テープ20の供給作動が完了した状態のままでは、切抜刃2と共に刃ケース3が下降した場合、テープ供給端22Qに当り下降できない。
このため
図18に示すように、貼着テープ20の供給作動が完了した後、さらに把手部71Aにより、用紙台70を後方に移動量S分の停止するまで押し込む。
これにより、テープ供給端22Qは刃ケース3の端から隙間S1分だけ離れる。同時に、用紙台70も後方に移動しているため、用紙台70の後方に設けた下降ストッパ70Dが操作プレート34に設けられた突起部37から外れるため、レバー30による綴じ作動が可能になる。
【0040】
このテープカセット22は、貼着テープ20が無くなるとテープリール21の交換が必要となる。
図19にテープリール21を交換する手順を示す。
図19の(a)は、本体1の台座1Bに備えられたスライド台座23の挿入部22Lに
カセット固定台22Kに設けられた装着軸22Jが挿入され固定している待機状態である。
カセット固定台22Kにはテープカセット22が取付けられている。
図19の(b)は、スライド台座23の挿入部22Lから装着軸22Jを後方に引き抜いて、テープカセット22を取り出した状態である。
このように、テープカセット22は、本体1から単体で取り出せるため、テープリール21の交換が容易になる。
【0041】
テープリール21の交換要領を
図20に示す。
カセットボックス22Pに新しいテープリール21を装着し、カセット軸22Iを軸にカセットボックス22Pを持ち上げる。剥離テープ20Aの先端を引き出し、テープ供給口22Vを通して、テープ供給台22Bのテープ供給端22Qを折り返し、テープ排出口22Aから引き出す。この状態でカセットボックス22Pを元に戻すが、ここで、剥離テープ20Aの送り穴20Dに、テープ送り爪22Eと戻り防止爪22Dが合うように調整する。これで、テープリール21の交換が完了したため、取り外し時とは逆にカセット固定台22Kの装着軸22Jをスライド台座23の挿入部22Lに挿入する。
【0042】
次に、レバー30を押下げて複数枚の用紙Yを綴じる作動について詳しく説明する。
図22は、レバー30を下方に作動させて、切抜刃2が垂直になった状態を示す。
レバー30は操作プレート34を介して押しリング2Hを下降させる。押しリング2Hは
切刃押し棒2Fを押下げ、上刃軸2Eを回転軸にして一対の切刃リンク2Dを外方向に押し広げる。切刃リンク2Dは、下側の中刃軸2C介して刃リンク部2Bを外方向に広げる。この刃リンク部2Bが下刃軸2Aを回転軸にして回転すると、一体形状の切抜刃2も外回りに回転し、刃先が下向きの直立になり一対同士で向い合う。切抜刃2はこの状態で綴じ作動の準備が整う。また、切抜刃2の刃先が下向きの直立になることにより、テープ支持台5Aに定置していた貼着テープ20の両端の貼着面20Bが折れ曲がり、切抜刃2のテープ溝2Jに内挿される。
ここで、貼着テープ20は切抜刃2に内挿された状態で折れ曲がるため、貼着テープ20の内挿位置がずれることもなく、また、直接切抜刃2で折り曲げているため、貼着面20Bがテープ溝2J側に張りを持って内挿される。このため切抜刃2から貼着テープ20が外れ難い利点がある。
【0043】
次に、切抜刃2の刃先が下向きの直立になって下降を始める場合、テープ支持アーム5が
図23の(a)および(c)の状態から
図23(b)および(d)のように、刃ケース3の下降で接触しないように支持台カム5Cの作用により前方に回転移動する。これはアーム軸5Bに設けられた支持台ばね5Dのねじり力がテープ支持アーム5を前方に回転するように作用しているためである。
待機状態では
図23の(a)および(c)に示すように、支持台カム5Cは刃ケース3と一体のケースカム3Bにより前方回転が止められている。
図23(b)および(d)に示すように、刃ケース3が下降を始めるとケースカム3Bも下降し、ストロークS2分下降すると、支持台カム5Cは支持台ばね5Dの作用により前方に回転する。この時、刃ケース3の端部とテープ支持台5Aとは間隙S3が開く。
このテープ支持アーム5が回転を始めるタイミングは、貼着テープ20が切抜刃2の直立作用で切抜刃2に内挿された直後である。
【0044】
レバー30をさらに下降作動させると、
図24に示すように、切抜刃2が用紙Yに切り抜き穴を明けて貫通する。この時、貼着テープ20も切抜刃2のテープ溝2Jに内挿されたまま用紙Yを貫通する。
【0045】
次に
図25に示すように、用紙Yの下側に貫通した切抜刃2の両側面から、テープ曲げ片55Cが曲げ穴2Iを貫通して挿入される。このため、貼着面20Bが用紙Yの裏面に折り曲げられ、さらに
図26に示すように、一対の切抜刃2の間から押付け棒56が上昇し、折り曲げられた貼着面20Bを下側から用紙Yの裏面に押し付ける。この時、テープ曲げ片55Cは押付け棒56に曲げ片溝56Aが設けられているため、押し付けられることはない。
この機能は、後述の作用で下部ピン53が押し上げられることにより、接続されているばねピース54とリンクロッド54Bを介してVリンク55を押し上げる。このためVリンク55の先端に設けられたテープ曲げ片55Cが中心方向に移動して、貼着面20Bを折り曲げる。さらに下部ピン53が押し上げられると、押付け棒56が上昇して貼着面20Bを下から押し付ける。この時、ばねケース54も上昇するが、
図26のようにリンクばね54Aが押付け棒56とばねケース54との上昇差を吸収して撓む。
【0046】
ここで、前述のテープ曲げ片55Cと押付け棒56の作動について作動順に説明する。
図27に示すように、レバー30を下降作動することにより、操作ピン33を介して操作プレート34の操作カム35が下降する。操作カム35は下降すると下方に位置するスライドカム50のカム穴50Aに挿入される。同時に、レバー30を下降作動することにより、操作プレート34の押し操作面36が下降する。この押し操作面36が下降すると下方に位置する操作受け棒51Aの上端部分に当接する。
図27の状態からさらに下降させると、
図28に示すように操作カム35の先端の勾配作用により、スライドカム50がカム復帰ばね50Cのばね力に抗して前方に移動する。
この移動により、スライドカム50の後方に設けられたカム座50Bが前方に移動する。
カム座50Bが前方に移動することにより、カム座50Bに下降を抑止させられていた支えピース51が下降を開放される。なお、
図28では支えピース51が下降を開始する寸前の状態を示している。
【0047】
また、同様に
図27の状態からさらに下降させると、スライドカム50の作動と共に、
図28に示すように操作プレート34の押し操作面36が、操作受け棒51Aに設けられた下作動ばね51Bを撓まして、支えピース51を下降させるためのばね圧縮力を蓄える。
この下作動ばね51Bのばね圧縮力により、下降を開放された支えピース51は下部作動棒51Eと共に下降作動を始める。
ここで、操作カム35がスライドカム50の移動を完了するタイミングは、切抜刃2が用紙Yを完全に貫通した時点である。
【0048】
図29では、カム座50Bの移動により下降を開放された支えピース51が、下作動ばね51Bの蓄えたばね圧縮力により下降した状態を示している。
支えピース51は一体に設けられた下部作動棒51Eを下降させる。下部作動棒51Eは台座1Bを貫通し、下部取り付台51Fを介して逆向防止爪51Gを下降させる。
逆向防止爪51Gは爪レバー52Aを押しながら下降する。爪レバー52Aは下軸52Bを支点にして、下部レバー52に設けた下部ピン53を上昇させる。この下部ピン53の上昇により、
図26に示すように、テープ曲げ片55Cが貼着テープ20の貼着面20Bを折り曲げ、押付け棒56が上昇して貼着面20Bを用紙Yの裏面に貼り付ける。
【0049】
下降した逆向防止爪51Gは、さらに爪レバー52Aを押して
図29に示すように爪レバー52Aの下に抜ける。この爪レバー52Aの開放により下部レバー52は、下部ねじりばね52Cのねじりの戻り作用により、
図30に示すように下部ピン53を下方に復帰させる。即ち
図30に示す状態では、押付け棒56が上昇して貼着面20Bを用紙Yの裏面に貼り付ける作動まで全て完了し、作動前の待機状態に復帰している。
この
図30においてレバー30の手動力を開放すると、下作動復帰ばね51Cの作用により逆向防止爪51Gは上昇するが、上部に爪レバー52Aが位置する。ここで、逆向防止爪51Gの爪ばね51Hが撓んで、爪レバー52Aをかわしながら上昇し、
図8に示す待機状態に復帰する。
【0050】
ここで、下部ねじりばね52Cの作用を
図31で説明する。
図31は下部レバー52を上面から見た図である。逆向防止爪51Gが爪レバー52Aを押しながら下降する場合、下部レバー52を介して押付け棒56が上昇して、貼着面20Bを用紙Yの裏面に貼り付ける。この時、押付け棒56は上昇が止められるが、爪レバー52Aはさらに下降する。このストローク差を下部ねじりばね52Cが吸収して、爪レバー52Aは所定の位置まで下降させる。
【0051】
次に、レバー30の下降作動中、途中で押し作動を中断した場合に生じる不具合を防止する戻り防止機構Wについて、レバー軸30A周りの
図32で説明する。
構造は、本体1または後述の本体1Nに一体のレバーケース1Hに収納され、中心にレバー30に連結したレバー軸30Aが位置している。レバー軸30Aと一体でスイングプレート30Bが設けられている。スイングプレート30Bの外側には、摩擦輪30Eを有し、ロックレバー30Dと一体のロックリング30Cが設けられている。このロックリング30Cは、レバーケース1Hに設けられたボール1Jが入る半球溝30Fと、引張ばねのロックばね30Gを備えている。また、スイングプレート30Bには、外周部分に閉用突起30Hと開用突起30Iが設けられている。
【0052】
この構造の基本は摩擦輪30Eによる戻り防止機能である。
図32(a)は、レバー30の待機状態である。
図32(b)はレバー30が閉矢印LS分の下降作動を始めた状態で、レバー30と共にスイングプレート30Bが回転した状態で、スイングプレート30Bと摩擦輪30Eはロックすることなく回転する。しかし、この状態から逆転する場合、即ちレバー30を戻そうとしても摩擦輪30Eがレバーケース1Hとスイングプレート30Bに食い込み、戻れないという戻り防止機構Wが機能する。
図32(c)は、レバー30の作動終了の状態である。閉用突起30Hがロックばね30Gに抗してロックリング30Cを押して、半球溝30Fにボール1Jが挿入されている。
これによりロックリング30Cは、その位置が固定される。従って、摩擦輪30Eもロックリング30Cの動き分だけ回転し、レバーケース1Hとの間に微小隙間S5が生じる。
微小隙間S5が生じることにより、
図32(d)に示すように、レバー30による開矢印LOの復帰作動では、逆転ロックすることなく待機状態に戻る。待機状態では
図32(a)に示すように、開用突起30Iがロックリング30Cを押すため、戻り防止機能が復帰する。
【0053】
次に、綴じ具100の作動後に待機状態に復帰する場合、通常は主復帰ばね4が解放され、その後、刃復帰ばね2Gが解放されるが、万一切抜刃2に何らかの抵抗が働くと、先に刃復帰ばね2Gが解放される誤作動が生じ、待機状態への復帰作動に支障が出る。
これを防止するため、刃ケース3にロックピン81を設けて、必ず主復帰ばね4が先に解放されるようにする。
【0054】
図33はロックピン81の作用を示す。
図33(a)は待機状態で、押しリング2Hにピン穴80を設け、刃ケース3にロックばね81Aと押され勾配部81Bを有するロックピン81を設けている。また、駆動箱1Aには押し出し部3Cを備えている。
図33(b)は押しリング2Hが下降した状態で、押しリング2Hのピン穴80にロックピン81が挿入されて、押しリング2Hが固定されている。これは下降により、押し出し部3Cの上部勾配がロックピン81の後部に設けた押され勾配部81Bを、ピン穴80側に押すように作用するためである。
図33(c)は綴じ作動が終了した最下端の状態を示す。この状態で上昇復帰する場合、押しリング2Hはロックピン81により固定されているので刃復帰ばね2Gは解放されない。従って、誤作動せず主復帰ばね4のみが解放される。復帰作動で
図33(b)まで上昇すると、押し出し部3Cの上部勾配で、ロックピン81がピン穴80から退出するため、刃復帰ばね2Gが解放されて、
図33(a)の待機状態に復帰する。
【実施例2】
【0055】
本発明の綴じ具200は、実施例1の綴じ具100の切抜部Kと供給部T、および用紙載置部Mは同一であり、作動部Lと貼付け部Pの構造が相違する。特に貼付け部Pが下方向に下降して作動する特徴を有する。
【0056】
次に、綴じ具200の各主要部の詳細構造について
図34〜
図38により説明する。なお、説明は実施例1と構造が異なる作動部Lと貼付け部Pについて行う。
綴じ具200の全ての部品は、本体1Nにより支持されている。本体1Nは
図38に示すように、中心部に切抜部Kを収納する改駆動箱N1Aと、各構成部分を配置する改台座N1Bと、本体全体を支える改側板N1Sで形成されている。
作動部L周りの詳細を
図34に示す。
レバー30はレバー軸30Aを軸にして下方に回転し、レバー30の側面には操作長穴32を設け、内部に操作ピン33を挿入している。操作ピン33はレバー30の上部中央に位置する改操作プレートN34と一体的に取り付いている。
改操作プレートN34は両端に操作ピン33を設けると共に、下部に後述の貼付け部P周りを動作させるためのストロークカムN35を設け、後方には空綴じ防止の突起部37を備えている。ストロークカムN35にはプッシュピン穴N39が設けられている。また、改操作プレートN34の中央部分には押しリング2Hに接続する接続部38を設けている。
【0057】
次に貼付け部P周りの詳細を
図34に示す。
貼付け部Pは、貼付けケース1Eに内蔵され、ケース壁1Fにより改側板N1Sと上下方向に摺動する。貼付けケース1Eと改台座N1Bの間は下部支持ばね94により支持されている。また、改台座N1Bの下部には支持ガイド1Gが設けられ、貼付けケース1Eの
ケースガイド1Hと上下方向に摺動可能に設けられている。
貼付けケース1Eに内蔵されたスライドピース90は、中央部分にストロークカムN35が挿入される改カム穴90Aを設け、後方にスライドピース90を復帰させる改カム復帰ばね90Bが設けられている。スライドピース90外周にはスライドピース90を内蔵するカムケース91が設けられ、その上部にロックカム92が取付けられている。
ロックカム92の上部の改台座N1B内には前方先端にプッシュピン93Aとロック穴93Cを有するロックピース93が設けられている。ロックピース93の後方にはプッシュピン93Aを復帰させる引張ばねのピン復帰ばね93Bが設けられている。
【0058】
図37に示すように、貼付けケース1Eには改押付け棒95と改ばねケース96が一体的に設けられている。
改ばねケース96は、内部にリングばね54Aを備え、上方にリンクロッド54Bを設けており、上部で一対のVリンク55を連結駆動している。また、改押付け棒95は上部にテープ曲げ片55Cが出入りする曲げ片溝56Aが設けられている。
一対のVリンク55は、前リンク55Aと後リンク55Bからなり、前リンク55Aの先端にはテープ曲げ片55Cが設けられている。一対のVリンク55の中心部には切抜刃2が出入可能な改刃筒97が設けられている。改刃筒97の下部中心部分には改押付け棒95が挿入され、上下動可能になっている。
【0059】
次に、実施例2の作用について
図34〜
図37で詳細説明する。
作用については、複数の用紙Yを用紙台70に載置する準備作業と、テープカセット22からの貼着テープ20の供給機能と、レバー30による押下げ作動で複数枚の用紙Yを綴じる作動、および貼着テープ20を用紙裏面で折り曲げて接着する作業がある。
ここで、実施例2と実施例1の相違は、貼着テープ20を用紙裏面で折り曲げて接着する作業のみである。従って、貼着テープ20を用紙裏面で折り曲げて接着する作用について説明する。
【0060】
複数の用紙Yを用紙台70に載置する準備作業と、テープカセット22からの貼着テープ20の供給する作業が完了してレバー30を押下げる。
図34では、改台座N1Bの下部に設けられた支持ガイド1Gの下端はスライドピース90の先端に支えられている。
図34の待機状態からレバー30を押下げると切抜刃2が下降するが、この時、ストロークカムN35も下降し、ストロークカムN35の先端の勾配部がスライドピース90の改カム穴90Aに挿入される。
図35は、切抜刃2が用紙Yを貫通完了した状態である。ストロークカムN35はスライドピース90を改カム復帰ばね90Bに抗して後方に移動させ、スライドピース90の先端が支持ガイド1Gの下端から外れた状態である。この時、ストロークカムN35のプッシュピン穴N39はプッシュピン93Aと同一位置まで下降している。
【0061】
図36は、
図35の状態から、レバー30によりさらに下降させると
図35でスライドピース90の先端が支持ガイド1Gの下端から外れているため、支持ガイド1Gは上部の切抜部Kなどを支持している改台座N1Bと共に下部支持ばね94に抗して下降している。これにより、テープ曲げ片55Cが用紙Yの裏面に出た貼着面20Bを折り曲げ、さらに、改押付け棒95の押付け力により貼着面20Bを貼り付けた状態である。
この下降に伴い、ロックカム92がロックピース93のロック穴93Cに挿入され、プッシュピン93Aがピン復帰ばね93Bに抗して前方に出て、プッシュピン穴N39に挿入される。これにより、レバー30はストロークカムN35からプッシュピン93Aを介して改台座N1Bにロックされる。
【0062】
図36の綴じ作動完了状態からレバー30を戻すと、まず、下部の貼付け部Pが
図35の状態に復帰する。その後、
図35ではプッシュピン穴N39からプッシュピン93Aが抜けるため、切抜刃2が上昇する。
このように、復帰順序としては貼付け部Pが復帰し、次に切抜刃2が上昇するのであるが、仮にプッシュピン93Aが設けられていない場合、何らかの事情で先に切抜刃2が上昇すると、テープ曲げ片55Cが切抜刃2の曲げ穴2Iに引っ掛かり不具合を生じることになる。これを防止するため、貼付け部Pが復帰するまでプッシュピン93Aでレバー30をロックして切抜刃2の上昇を防いでいる。
即ち、プッシュピン93Aは切抜刃2の誤動作防止のためにある。