特許第5892285号(P5892285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5892285
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】綴じ具
(51)【国際特許分類】
   B42B 4/00 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   B42B4/00
【請求項の数】3
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-177375(P2015-177375)
(22)【出願日】2015年9月9日
【審査請求日】2015年9月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305009201
【氏名又は名称】吉冨 昭三
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 昭三
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/018509(WO,A1)
【文献】 特開2013−166206(JP,A)
【文献】 特開平8−39959(JP,A)
【文献】 特開平9−136496(JP,A)
【文献】 特開平10−871(JP,A)
【文献】 特開平10−24669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42B 4/00−4/02
B42B 5/00
B42B 5/04
B25C 5/02−5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体となる本体と、
刃リンク機構により駆動される一対の切抜刃の先端を互いに水平に開いた待機状態から下方向に垂直に立てた作動状態にして複数枚の用紙を切抜く切抜部と、テープカセットに収納され剥離可能に貼着された貼着テープを有する剥離テープをテープ供給台を介してテープ供給端で下方に屈曲させ前記貼着テープのみを剥離させて該貼着テープを前記切抜部の一対の前記切抜刃の間に設けたテープ支持台に供給し定置するための供給部と、レバーの下降作動により前記切抜刃を作動させる作動部と、
一対の前記切抜刃の間に定置された前記貼着テープを待機状態の前記切抜刃に内挿して作動状態にした前記切抜刃と共に用紙に挿通させテープ曲げ片で用紙裏面に折り込んで貼り合せる貼付け部と、
複数枚の用紙を用紙台に載置して固定する用紙押え板と空綴じ防止機構を設けた用紙載置部と、を備えた綴じ具。
【請求項2】
前記本体は、上部に前記切抜部を内蔵する駆動箱と、前記用紙載置部と前記供給部を支持する台座と、前記本体全体を支える側板と、前記貼付け部を内蔵する底板を備え、
前記切抜部は、刃ケースに押しリングと切刃押し棒と切刃リンクを設け、刃リンク部を有した前記一対の切抜刃を互いに待機状態から作動状態に駆動する前記刃リンク機構を内蔵し、前記刃ケースには前記切抜刃を作動後に待機状態に復帰させる主復帰ばねと、復帰作動時の前記切抜刃の誤作動を防止するロックピンと、一対の前記切抜刃の間には前記貼着テープを定置する前記テープ支持台と、前記駆動箱側面には前記貼付け部を動作するためのスライドカムを備え、
前記供給部は、前記貼着テープを有する前記剥離テープを渦巻き状に巻き取ったテープリールと、前記剥離テープを案内する前記テープ供給台と、該テープ供給台の下部には前記テープ支持台に前記貼着テープを供給するために作動時の前記用紙台の移動を受けて前記用紙台に設けた供給座により供給受座を有する送り台を後方に移動させることにより前記貼着テープを剥離した前記剥離テープの送り穴に送り爪を挿入して前記剥離テープを引っ張り前記テープ支持台に前記貼着テープを1枚分づつ送り出す前記送り台と、
前記刃ケースの上下作動範囲から前記テープ供給台を逃すカセット固定台とを有する前記テープカセットを設け、前記台座には前記テープカセットを取り外し自在にしたスライド台座を備え、
前記用紙載置部は、前記台座に綴じようとする複数枚の用紙を載せる前記用紙台と、用紙台軸を介して設けた用紙をずれないように押える前記用紙押え板と、前記用紙押え板には把手部と止め軸と、前記空綴じ防止機構として該止め軸には用紙が載置されてない時に前記用紙台の移動を止めるスライド止めと、前記用紙台には用紙が載置されてない時に前記レバーの下降を止める下降ストッパを備え、
前記作動部は、綴じ作動をする前記レバーを備え、前記レバーはレバー軸を支点にして下方に回転し、前記レバーに連結した操作プレートを設け、該操作プレートは前記刃ケースを接続し、下部に前記貼付け部を動作させるための操作カムと押し操作面と空綴じ防止の突起部を設け、前記レバー軸には前記レバーの作動中、途中で下降作動を中断した場合の不具合を防止する戻り防止機構を備え、
前記貼付け部は、前記操作カムにより動作する前記スライドカムの作動で下降する支えピースを設け、該支えピースの下端には下部作動棒を介して結合した逆向防止爪と、下部レバーとリンクばね、およびVリンクを介して前記テープ曲げ片を水平移動するように設け、該下部レバーを介して前記貼着テープを用紙裏面に貼り付ける押付け棒を設け、上部には前記押し操作面の押付け力を圧縮力として蓄える下作動ばねを設けた操作受け棒と、を備えた請求項1記載の綴じ具。
【請求項3】
前記本体は、上部に前記切抜部を内蔵する改駆動箱と、前記用紙載置部と前記供給部を支持する改台座と、前記本体全体を支える改側板を備え、
前記切抜部は、刃ケースに押しリングと切刃押し棒と切刃リンクを設け、刃リンク部を有した前記一対の切抜刃を互いに待機状態から作動状態に駆動する前記刃リンク機構を内蔵し、前記刃ケースには前記切抜刃を作動後に待機状態に復帰させる主復帰ばねと、復帰作動時の前記切抜刃の誤作動を防止するロックピンと、一対の前記切抜刃の間には前記貼着テープを定置する前記テープ支持台を備え、
前記供給部は、前記貼着テープを有する前記剥離テープを渦巻き状に巻き取ったテープリールと、前記剥離テープを案内する前記テープ供給台と、該テープ供給台の下部には前記テープ支持台に前記貼着テープを供給するために作動時の前記用紙台の移動を受けて前記用紙台に設けた供給座により供給受座を有する送り台を後方に移動させることにより前記貼着テープを剥離した前記剥離テープの送り穴に送り爪を挿入して前記剥離テープを引っ張り前記テープ支持台に前記貼着テープを1枚分づつ送り出す前記送り台と、
前記刃ケースの上下作動範囲から前記テープ供給台を逃すカセット固定台とを有する前記テープカセットを設け、前記改台座には前記テープカセットを取り外し自在にしたスライド台座を備え、
前記用紙載置部は、前記改台座に綴じようとする複数枚の用紙を載せる前記用紙台と、用紙台軸を介して設けた用紙をずれないように押える前記用紙押え板と、前記用紙押え板には把手部と止め軸と、前記空綴じ防止機構として該止め軸には用紙が載置されてない時に前記用紙台の移動を止めるスライド止めと、前記用紙台には用紙が載置されてない時に前記レバーの下降を止める下降ストッパを備え、
前記作動部は、綴じ作動をする前記レバーを備え、前記レバーはレバー軸を支点にして下方に回転し、前記レバーに連結した改操作プレートを設け、該改操作プレートは前記刃ケースを接続し、下部に前記貼付け部を動作させるためのストロークカムと空綴じ防止の突起部を設け、前記レバー軸には前記レバーの作動中、途中で下降作動を中断した場合の不具合を防止する戻り防止機構を備え、
前記貼付け部は、前記本体下部の前記改側板の内側で上下方向に摺動する貼付けケースに内蔵されており、該貼付けケースには前記ストロークカムにより動作するスライドピースと、前記貼付け部を支える下部支持ばねとリンクばね、およびVリンクを介して前記テープ曲げ片を水平移動するように設け、前記貼着テープを用紙裏面に貼り付ける改押付け棒を設け、後方上部には復帰作動時の前記貼付け部の誤作動を防止するロックピースと、ロックカムと、を備えた請求項1記載の綴じ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の用紙を重ね合わせた端部を一体的に綴じ合わせる用紙綴じ具であり、特に金属製の針を使用しない方式の綴じ具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数枚の用紙の綴じ具としては、金属製の針を用いたステープラによって綴じ合せる方法が一般的である。しかし、最近の循環型環境社会においては紙資源の再利用の観点から、金属製の針を使用しないで複数枚の用紙を綴じることが出来るステープラが実用化されている。
【0003】
従来、金属製の針を使用しないで複数枚の用紙を綴じる綴じ具としては、大きく分けて2種類の方法が提案されている。第1の方法は、複数枚の用紙に第1ポンチおよび第2ポンチにより抜き穴を形成し、その抜き穴から切り起こされた舌状片を折り曲げて、抜き穴に挿通させることにより、それら複数枚の用紙を相互に綴じるものである。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
第2の方法は、複数枚の用紙を金属針に代わり金属製の刃体により、用紙にテープ通し孔を1ヶ所穿孔し、片面に接着剤が付いた貼着テープを上下面に挿通して、貼り付け綴じるものである(例えば、特許文献2参照)。
もう一つの第2の方法は、向い合せの2つの抜き刃により、書類束にステープル通し穴を2ヶ所穿孔し、接着剤が付いた脚部を有する非金属材料のステープルを上下面に挿通して、下面で脚部同士を貼り合せて綴じるものである。(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2903492号公報
【特許文献2】特許第3122807号公報
【特許文献3】特開2014−113680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1はステープル不要で構造が簡潔なため使いやすい綴じ具である。
この文献に記載されている方法によれば、レバーにより抜き穴から切り起こされた舌状片を、折り曲げて抜き穴に挿通し、複数枚の用紙同士を絡ませて綴じるため、綴じられた用紙を揺すると綴じが外れ易く完全に綴じたことにはならない。このため、大切な書類などはこの方法で綴じることには不安が生じるという問題がある。
【0007】
前記特許文献2は、巧みで優れたコンパクト構造の綴じ具である。
この文献に記載されている方法によれば、貼着テープで書類束を綴じる場合、書類の一辺と、刃体により書類に通した通し穴を貼着テープで繋いで綴じる方法であるが、書類には1ヶ所の通し穴のため、綴じられた用紙を揺すると用紙同士にずれが生じる。このため、大切な書類などは、綴じた近辺にもう1ヶ所綴じて、用紙同士がずれないようにすることが必要になるという問題がある。
【0008】
前記特許文献3は、高度な機構を巧みに駆使した極めて優れた構造の綴じ具である。
この文献に記載されている方法によれば、書類束を紙製のステープルで綴じる作動に於いて、一連の綴じ作動を操作ハンドルの上下作動のみで行うため、綴じ動作が極めて簡単で使いやすい。反面、一つの上下動作のみで紙綴じを実現するため、高度な精密機構となり複雑化する。また、書類束を用紙載置台にセットせずに操作ハンドルを操作する空綴じを行った場合、ステープルがステープラの内部に詰まり、次の綴じ作動が出来ないという不具合が生じる問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを課題とする。
具体的には、複数枚の用紙を非金属材料のステープルで綴じる一連の綴じ作動を、用紙台の前後進作動とレバーの上下作動の二ヶ所に分散して、綴じ具の小型化と簡素化を図る。
さらに、児童が使用した場合を考えて、用紙を載せないで綴じる場合の不具合を無くす空綴じ防止機構と、レバー作動を途中で中断した場合の不具合を無くす戻り防止機構を設ける。これにより、児童が予期せぬ取扱いを行った場合にも対処出来るコンパクトな綴じ具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る綴じ具は、
躯体となる本体と、
刃リンク機構により駆動される一対の切抜刃の先端を互いに水平に開いた待機状態から下方向に垂直に立てた作動状態にして複数枚の用紙を切抜く切抜部と、テープカセットに収納され剥離可能に貼着された貼着テープを有する剥離テープをテープ供給台を介してテープ供給端で下方に屈曲させ前記貼着テープのみを剥離させて該貼着テープを前記切抜部の一対の前記切抜刃の間に設けたテープ支持台に供給し定置するための供給部と、レバーの下降作動により前記切抜刃を作動させる作動部と、
一対の前記切抜刃の間に定置された前記貼着テープを待機状態の前記切抜刃に内挿して作動状態にした前記切抜刃と共に用紙に挿通させテープ曲げ片で用紙裏面に折り込んで貼り合せる貼付け部と、
複数枚の用紙を用紙台に載置して固定する用紙押え板と空綴じ防止機構を設けた用紙載置部とを備えている。
【0011】
この構成は、綴じる対象の複数枚の用紙に、刃リンク機構で駆動される一対の切抜刃により通し穴を明け、貼着テープを用紙裏面に貫通させて折込み貼り付ける作動を、切抜部と供給部と作動部と貼付け部および用紙載置部の五つの基本構造部で構成することにより、簡単な操作で不具合も生じにくい綴じ具が可能になる、などの課題を解決するための手段を有している。
【0012】
請求項2に係る綴じ具は、
前記本体は、上部に前記切抜部を内蔵する駆動箱と、前記用紙載置部と前記供給部を支持する台座と、前記本体全体を支える側板と、前記貼付け部を内蔵する底板を備え、
前記切抜部は、刃ケースに押しリングと切刃押し棒と切刃リンクを設け、刃リンク部を有した前記一対の切抜刃を互いに待機状態から作動状態に駆動する前記刃リンク機構を内蔵し、前記刃ケースには前記切抜刃を作動後に待機状態に復帰させる主復帰ばねと、復帰作動時の前記切抜刃の誤作動を防止するロックピンと、一対の前記切抜刃の間には前記貼着テープを定置する前記テープ支持台と、前記駆動箱側面には前記貼付け部を動作するためのスライドカムを備え、
前記供給部は、前記貼着テープを有する前記剥離テープを渦巻き状に巻き取ったテープリールと、前記剥離テープを案内する前記テープ供給台と、該テープ供給台の下部には前記テープ支持台に前記貼着テープを供給するために作動時の前記用紙台の移動を受けて前記用紙台に設けた供給座により供給受座を有する送り台を後方に移動させることにより前記貼着テープを剥離した前記剥離テープの送り穴に送り爪を挿入して前記剥離テープを引っ張り前記テープ支持台に前記貼着テープを1枚分づつ送り出す前記送り台と、
前記刃ケースの上下作動範囲から前記テープ供給台を逃すカセット固定台とを有する前記テープカセットを設け、前記台座には前記テープカセットを取り外し自在にしたスライド台座を備え、
前記用紙載置部は、前記台座に綴じようとする複数枚の用紙を載せる前記用紙台と、用紙台軸を介して設けた用紙をずれないように押える前記用紙押え板と、前記用紙押え板には把手部と止め軸と、前記空綴じ防止機構として該止め軸には用紙が載置されてない時に前記用紙台の移動を止めるスライド止めと、前記用紙台には用紙が載置されてない時に前記レバーの下降を止める下降ストッパを備え、
前記作動部は、綴じ作動をする前記レバーを備え、前記レバーはレバー軸を支点にして下方に回転し、前記レバーに連結した操作プレートを設け、該操作プレートは前記刃ケースを接続し、下部に前記貼付け部を動作させるための操作カムと押し操作面と空綴じ防止の突起部を設け、前記レバー軸には前記レバーの作動中、途中で下降作動を中断した場合の不具合を防止する戻り防止機構を備え、
前記貼付け部は、前記操作カムにより動作する前記スライドカムの作動で下降する支えピースを設け、該支えピースの下端には下部作動棒を介して結合した逆向防止爪と、下部レバーとリンクばね、およびVリンクを介して前記テープ曲げ片を水平移動するように設け、該下部レバーを介して前記貼着テープを用紙裏面に貼り付ける押付け棒を設け、上部には前記押し操作面の押付け力を圧縮力として蓄える下作動ばねを設けた操作受け棒とを備えている。
【0013】
この構成は、請求項1の主要な構成部品を、より具体的にしたものであり、後述の実施例1に該当する。
この構成によれば、綴じ具全体は本体で支えられている。切抜部は、切抜刃を綴じ作用に応じた動きをさせるために刃リンク機構が設けられ、それに付随して一対の切抜刃の間に貼着テープを定置するために、その支えになるテープ支持台を設け、切抜刃の切抜き作動後、待機状態に復帰するための主復帰ばねを備えている。
供給部は、貼着テープを有する剥離テープをテープカセットにセットし、作動時、一対の切抜刃の間に貼着テープを供給するテープ供給台と送り台を設け、切抜刃下降時にテープ供給台が刃ケースに接触しないようにカセット固定台を後退して逃す機能を備えている。また、テープカセットはスライド台座に取付けられ、スライド台座から取り外すことにより、貼着テープを巻き取ったテープリールの交換を可能にしている。
用紙載置部は、綴じようとする複数枚の用紙を用紙台に載置して、切抜刃が用紙を切抜き易いようにするために、把手部を持つ押え板で用紙をずれないようにしっかり押える。また、空綴じ防止機構として、用紙が載置されてない場合は、用紙台が所定の綴じ位置に移動しないようにするスライド止めや、レバーが下降しないようにする下降ストッパを備えているため、空綴じによる不具合を防止する。
作動部は、綴じ作動を行うレバーを主体に構成されており、レバーが操作プレートを連結し操作するが、この操作プレートは切抜刃を動かす刃リンク機構を下降作動させると共に、操作カムや押し操作面を備えているため、貼付け部を機能させる作動力も備える。また、レバー軸にはレバーによる下降作動を中断した場合の不具合防止のため、戻り防止機構が設けられている。
貼付け部は、レバーの下降作動で蓄えられる下作動ばねの圧縮力を受け、切抜刃で貼着テープを挿入した用紙の裏面でテープ曲げ片を作用させると共に、押付け棒を作用させて貼着テープを下面から押付け貼り付ける。
このように、主要な構成部品である切抜部と供給部と用紙載置部と作動部および貼付け部は、綴じ具の作動を確実に行うための機能を備え、さらに空綴じによる不具合の防止機構や戻り防止機構も備えており、課題を解決するための手段を有している。
【0014】
請求項3に係る綴じ具は、
前記本体は、上部に前記切抜部を内蔵する改駆動箱と、前記用紙載置部と前記供給部を支持する改台座と、前記本体全体を支える改側板を備え、
前記切抜部は、刃ケースに押しリングと切刃押し棒と切刃リンクを設け、刃リンク部を有した前記一対の切抜刃を互いに待機状態から作動状態に駆動する前記刃リンク機構を内蔵し、前記刃ケースには前記切抜刃を作動後に待機状態に復帰させる主復帰ばねと、復帰作動時の前記切抜刃の誤作動を防止するロックピンと、一対の前記切抜刃の間には前記貼着テープを定置する前記テープ支持台を備え、
前記供給部は、前記貼着テープを有する前記剥離テープを渦巻き状に巻き取ったテープリールと、前記剥離テープを案内する前記テープ供給台と、該テープ供給台の下部には前記テープ支持台に前記貼着テープを供給するために作動時の前記用紙台の移動を受けて前記用紙台に設けた供給座により供給受座を有する送り台を後方に移動させることにより前記貼着テープを剥離した前記剥離テープの送り穴に送り爪を挿入して前記剥離テープを引っ張り前記テープ支持台に前記貼着テープを1枚分づつ送り出す前記送り台と、
前記刃ケースの上下作動範囲から前記テープ供給台を逃すカセット固定台とを有する前記テープカセットを設け、前記改台座には前記テープカセットを取り外し自在にしたスライド台座を備え、
前記用紙載置部は、前記改台座に綴じようとする複数枚の用紙を載せる前記用紙台と、用紙台軸を介して設けた用紙をずれないように押える前記用紙押え板と、前記用紙押え板には把手部と止め軸と、前記空綴じ防止機構として該止め軸には用紙が載置されてない時に前記用紙台の移動を止めるスライド止めと、前記用紙台には用紙が載置されてない時に前記レバーの下降を止める下降ストッパを備え、
前記作動部は、綴じ作動をする前記レバーを備え、前記レバーはレバー軸を支点にして下方に回転し、前記レバーに連結した改操作プレートを設け、該改操作プレートは前記刃ケースを接続し、下部に前記貼付け部を動作させるためのストロークカムと空綴じ防止の突起部を設け、前記レバー軸には前記レバーの作動中、途中で下降作動を中断した場合の不具合を防止する戻り防止機構を備え、
前記貼付け部は、前記本体下部の前記改側板の内側で上下方向に摺動する貼付けケースに内蔵されており、該貼付けケースには前記ストロークカムにより動作するスライドピースと、前記貼付け部を支える下部支持ばねとリンクばね、およびVリンクを介して前記テープ曲げ片を水平移動するように設け、前記貼着テープを用紙裏面に貼り付ける改押付け棒を設け、後方上部には復帰作動時の前記貼付け部の誤作動を防止するロックピースと、ロックカムとを備えている。
【0015】
この構成は、請求項1の主要な構成部品を、より具体的にしたものであり、後述の実施例2に該当する。
この構成によれば、綴じ具全体は本体で支えられている。切抜部は、切抜刃を綴じ作用に応じた動きをさせるために刃リンク機構が設けられ、それに付随して一対の切抜刃の間に貼着テープを定置するために、その支えになるテープ支持台を設け、切抜刃の切抜き作動後、待機状態に復帰するための主復帰ばねを備えている。
供給部は、貼着テープを有する剥離テープをテープカセットにセットし、作動時、一対の切抜刃の間に貼着テープを供給するテープ供給台と送り台を設け、切抜刃下降時にテープ供給台が刃ケースに接触しないようにカセット固定台を後退して逃す機能を備えている。また、テープカセットはスライド台座に取付けられ、スライド台座から取り外すことにより、貼着テープを巻き取ったテープリールの交換を可能にしている。
用紙載置部は、綴じようとする複数枚の用紙を用紙台に載置して、切抜刃が用紙を切抜き易いようにするために、把手部を持つ押え板で用紙をずれないようにしっかり押える。また、空綴じ防止機構として、用紙が載置されてない場合は、用紙台が所定の綴じ位置に移動しないようにするスライド止めや、レバーが下降しないようにする下降ストッパを備えているため、空綴じによる不具合を防止する。
作動部は、綴じ作動を行うレバーを主体に構成されており、レバーが改操作プレートを連結し操作するが、この改操作プレートは切抜刃を動かす刃リンク機構を下降作動させると共にストロークカムを備えており、貼付け部を作動させる機能も備えている。また、レバー軸にはレバーによる下降作動を中断した場合の不具合防止のため、戻り防止機構が設けられている。
貼付け部は、ストロークカムの作用により本体を下降させ、切抜刃で貼着テープを挿入した用紙の裏面でテープ曲げ片を作用させると共に、改押付け棒を作用させて貼着テープを下面から押付け貼り付ける。
このように、主要な構成部品である切抜部と供給部と用紙載置部と作動部および貼付け部は、綴じ具の作動を確実に行うための機能を備え、さらに空綴じによる不具合の防止機構や戻り防止機構も備えており、課題を解決するための手段を有している。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る綴じ具によれば、
従来の非金属材料のステープルで綴じる綴じ具に比べて構造が簡素なため、綴じ具のコンパクト化が可能になり、さらに、空綴じ防止機構や戻り防止機構を設けているため、特に児童が使用しても故障し難い構造である。この児童が不安なく容易に綴じ具を扱うことが出来ることが本発明の最大の効果である。
また、これまで金属針の除去が面倒で廃棄物として廃棄していた紙資源の再利用が促進される効果をも有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1の概要を示す斜視図である。
図2】実施例1を示す正面外形図である。
図3】実施例1を示す図2の上面外形図である。
図4】実施例1を示す図2の前方から見た外形図である。
図5】実施例1を示す図3のa−a矢印に沿う正面断面図である。なお、ここで一対の切抜刃2は開いた状態であるが、図面では分かりやすくするため、直立にした状態にしている。
図6】実施例1の示す図3のb−b矢印に沿う断面図である。
図7】本発明の切抜刃の形状を示す図面である。(a)は(b)のd−d矢印に沿う断面図である。(b)は正面外形図である。
図8】実施例1を示す図3のc−c矢印に沿う正面断面図である。
図9】実施例1を示す図4の下方を断面にした図面である。
図10】本発明の貼着テープを用紙に綴じた断面図である。
図11】実施例1の本体の斜視図である。
図12】本発明の剥離テープに貼着テープを配置した図面である。
図13】本発明の用紙載置部の詳細を示す正面断面図である。
図14】本発明の用紙載置部の詳細を示す上面図である。
図15】本発明の用紙載置部の作用を示す正面断面図である。(a)は用紙載置部に用紙を挿入する直前を示す正面断面図である。(b)は用紙載置部に用紙を挿入した正面断面図である。
図16】本発明の供給部の作用を示す正面断面図で、綴じ具の待機状態図である。
図17】本発明の供給部の作用を示す正面断面図で、貼着テープをテープ支持台に供給した状態図である。
図18】本発明の供給部の作用を示す正面断面図で、カセット固定台が後退して、レバーによる下降作動の準備が出来た状態図である。
図19】本発明のテープカセットの全体を示す正面断面図である。(a)はテープカセットを正規の取り付け状態図である。(b)は本体のスライド台座からテープカセットを取り外した状態図である。
図20】本発明のテープカセットに剥離テープを取り付ける状態図である。
図21】本発明の用紙載置部の作用を示す断面図で、用紙を載置した用紙台を手で押して所定の作動可能位置まで押しこんだ状態図である。
図22】本発明の刃リンク機構を示す断面図で、レバーにより切抜刃を垂直に立てた状態図である。
図23】本発明のテープ支持アームの作用を示す断面図である。(a)はテープ支持アームの待機状態を示す状態図である。(b)は切抜刃の下降によりテープ支持アームが揺動した状態図である。(c)はテープ支持アームの支持台ばねの取り付けを示す断面図である。(d)はテープ支持アームを前方から見た断面図で、切抜刃が下降した状態図である。
図24】実施例1の切抜刃が用紙を切抜いた状態を示す前方から見た断面図である。
図25】実施例1のテープ曲げ片が貼着テープを、用紙裏面に折り曲げた状態を示す前方から見た断面図である。
図26】実施例1の押付け棒が用紙裏面に折り曲げられた貼着テープを、下方から押し付けて貼り付けた状態を示す、前方から見た断面図である。
図27】実施例1の貼付け部の作動力を下作動ばねに蓄える直前の正面断面図である。
図28】実施例1の貼付け部の作動力を下作動ばねに蓄えた状態を示す正面断面図である。
図29】実施例1の貼付け部が作動した状態を示す正面断面図である。
図30】実施例1の貼付け部が作動後、瞬時に待機状態に復帰した状態を示す正面断面図である。
図31】実施例1の貼付け部の下部レバーに設けた下部ねじりばねの作用を示す上面図である。
図32】本発明のレバー軸に設けた戻り防止機構で、レバーによる下降作動を途中で中断した時の不具合を防止する機構を示す正面断面図である。(a)は綴じ具が待機状態の図面である。(b)はレバーにより下降作動を始めた状態図である。(c)は綴じ具が綴じ作動を完了した状態図である。(d)は綴じ具が復帰作動を始めた状態図である。
図33】本発明の刃ケースに設けたもので、綴じ具を復帰させる場合、切抜刃の誤作動を防止する機構を示す駆動箱周りの正面断面図である。(a)は綴じ具が待機状態の図面である。(b)はレバーにより下降作動の状態図である。(c)は綴じ具が綴じ作動を完了した状態図である。
図34】実施例2の正面断面図であり、実施例1の図8に相当する。
図35】実施例2の正面断面図であり、切抜刃が用紙を貫通した状態図である。
図36】実施例2の正面断面図であり、貼付け部が作動した状態図である。
図37】実施例2の前方から見た断面図である。
図38】実施例2の本体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について、実施例1および実施例2に基づいて説明する。
なお、本発明の綴じ方法の基本は、図10に示すように複数枚の用紙Yに切抜穴YHを左右対称に2か所形成し、両端部分に接着剤を塗布した貼着テープ20を切抜穴YHに挿通し、用紙裏面で貼り合せることにより、それら複数枚の用紙Yを強固に綴じるようにしたものである。図中、同一の符号は同一または対応の部分を示し、図面に向かって右側を前方、左側を後方とし、上側を上方、下側を下方とする。
【実施例1】
【0019】
図1は実施例1の概要を示す斜視図である。
レバー形の綴じ具100の主要部は、用紙Yを切抜くための一対の切抜刃2を駆動する切抜部K周りと、貼着テープ20を切抜部Kに供給する供給部T周りと、綴じ具100をレバー30で作動させる作動部L周りと、貼着テープ20を用紙裏面で貼り合せる貼付け部P周り、および用紙Yを綴じ具100に装填する用紙載置部M周りで構成されている。
なお、綴じ具100の全ての部品は、本体1により支持されている。本体1は図11に示すように、中心部に切抜部Kを収納する駆動箱1Aと、各構成部分を配置する台座1Bと、本体全体を支える側板1Sと、貼付け部Pを内蔵する底板1Dで形成されている。
【0020】
綴じ具100の外形を図2図4に示し、概要を説明する。
切抜部K周りは、用紙Yを切り抜く一対の切抜刃2を下部に設け、切抜刃2の間に、貼着テープ20をレバー30による下降作動時に支えるテープ支持アーム5を備えている。この切抜刃2は駆動箱1A内に設けられた後述の刃リンク機構2Yで駆動される。また、駆動箱1Aの上部には作動後の切抜刃2を復帰させる主復帰ばね4を設けている。
供給部T周りは、貼着テープ20を巻き取ったテープリール21を収納するテープカセット22を設けている。
作動部L周りは、綴じ具100の綴じ作動をするレバー30を備え、レバー30はレバー軸30Aを支点にして下降作動すると共に、操作ピン33により連結された操作プレート34を設けている。操作プレート34は後述の押しリング2Hを接続し、下部に後述の操作カム35と押し操作面36と突起部37を設けている。
【0021】
貼付け部P周りは、上部の操作プレート34に設けた後述の操作カム35と押し操作面36により動作する。下部には貼着テープ20を折り曲げるばねケース54を設け、折り曲げた貼着テープ20を用紙Yに確実に接着させる押付け棒56を備え、このばねケース54と押付け棒56を押し上げる下部レバー52を設けている。
用紙載置部M周りは、台座1Bに綴じようとする複数枚の用紙Yを載せる用紙台70を設け、綴じる際に用紙Yの上面を押さえて複数枚の用紙Yがずれることなく確実に綴じられるようにする用紙押え板71を備えている。
【0022】
次に、各主要部の詳細構造について図5図9により説明する。
切抜部K周りは、図5および図6のように刃リンク機構2Yを中心に構成されている。
刃リンク機構2Yは、刃ケース3に内蔵され、一対の切抜刃2を、一体形状の刃リンク部2Bを介して駆動する。
刃リンク機構2Yは、レバー30の下降作動力を操作プレート34の接続部38から押しリング2Hを介して、切刃押し棒2Fと上刃軸2Eと一対の切刃リンク2Dと中刃軸2Cと、刃リンク部2Bを介して下刃軸2Aを中心に切抜刃2を下方回転する。なお、下刃軸2Aは刃ケース3に取付けられている。また、押しリング2Hには切抜刃2を作動後に待機状態に復帰させる刃復帰ばね2Gが設けられている。
【0023】
切抜刃2の刃元の形状は、貼着テープ20を内挿できる構造になっている。図7に示すように先端は用紙Yを切抜くための矢じり状で、一対で構成される内側は勾配の無い直線2Sで構成され、外側は切抜いた切抜穴YHを外側に広げる勾配2Uが設けられている。
また、切抜刃2の内側は後述のテープ曲げ片55Cを挿通させる曲げ穴2Iが設けられ、その内側には貼着テープ20を配置するテープ溝2Jが設けられている。さらにテープ溝2Jの内側には切抜刃2が復帰上昇する場合、用紙に貼り付けられた貼着テープ20を傷付けないようスムーズに上昇するためテープ逃し溝2Kが設けられている。
【0024】
図5および図6に示すように一対の切抜刃2の内側に、貼着テープ20を作動時に支えるテープ支持アーム5を備えている。テープ支持アーム5はアーム軸5Bを回転中心として、先端のテープ支持台5Aを揺動する。このテープ支持台5Aに貼着テープ20を定置する。
ここで、テープ支持アーム5の機構を図23に示す。図23(a)はレバー30の作動前の待機状態を示す。テープ支持アーム5の上部のアーム軸5B部分に支持台カム5Cが設けられている。また、アーム軸5Bの両端には図23(c)に示すように、支持台ばね5Dが設けられている。この支持台ばね5Dはねじりばねで、そのねじり力は図23(b)のようにテープ支持アーム5を常に切抜刃2から外れる方向に作用している。
なお、支持台カム5Cの下部には刃ケース3と一体のケースカム3Bが設けられており、
図23(a)のように、常時は支持台カム5Cと互いに接触している。
【0025】
供給部T周りの詳細を図5に示し、供給部Tに適用される貼着テープ20の形状と構成を図12に示す。貼着テープ20はテープリール21に巻き取るため、剥離テープ20Aの表面に貼り付けられている。この剥離テープ20A上には貼着テープ20と一対の送り穴20Dが交互に設けられている。また、貼着テープ20は中央にクラウン部20Cを有し、両端に貼着面20Bを設けている。なお貼着面20Bは剥離テープ20A側に接着剤を塗布している。
【0026】
図5に示すように、貼着テープ20を有する剥離テープ20Aを、渦巻き状に巻き取ったテープリール21は、テープカセット22のカセットボックス22Pに収納される。
テープカセット22は、前方下部にテープ供給口22Vとテープ供給台22Bを備えている。また、テープ供給台22Bの下面にはテープ排出通路22Cと、テープ排出口22Aが設けられ、テープ排出通路22Cの下面には戻り防止爪22Dおよびテープ送り爪22Eが備えられている。この戻り防止爪22Dは逃し受座22Nを有するカセット固定台22Kに固定され、テープ送り爪22Eは、前方に供給受座22Fを有する送り台22Hと一体的に設けられている。送り台22Hは後方に送り復帰ばね22Gを備え前後移動可能にしている。この送り復帰ばね22Gの後端はカセット固定台22Kに接続している。
また、テープカセット22はカセット固定台22Kに設けられたカセット軸22Iを回転軸として、テープ供給台22Bと共に後方に回転可能である。
【0027】
カセット固定台22Kは、後方に装着軸22Jを設けている。
装着軸22Jは、カセット固定台22Kを載せるスライド台座23の後方の挿入部22Lに挿入し装着されている。スライド台座23は、台座1Bに引張ばね22Mで連結され、常に前方に引っ張られて固定している。
【0028】
次に作動部L周りの詳細を図3図8に示す。
レバー30はレバー軸30Aを軸にして下方に回転し、レバー30の側面には操作長穴32を設け、内部に操作ピン33を挿入している。操作ピン33はレバー30の上部中央に位置する操作プレート34と一体的に取り付いている。
操作プレート34は両端に操作ピン33を設けると共に、下部に後述の貼付け部P周りを動作させるための操作カム35と押し操作面36を設け、後方には空綴じ防止の突起部37を備えている。また、操作プレート34の中央部分には押しリング2Hに接続する接続部38を設けている。
【0029】
次に貼付け部P周りの詳細を図8図9に示す。
用紙裏面で貼着テープ20を折り曲げて接着する作動について、作動順に構造を説明する。
スライドカム50は、図8に示すように中央部分に操作カム35が挿入されるカム穴50Aを設け、後方に支えピース51の下降を支えるカム座50Bと、前方にスライドカム50を復帰させるカム復帰ばね50Cが設けられている。
カム座50Bに下降することを止められている支えピース51は、後方に押し操作面36からの操作力を受ける操作受け棒51Aを設け、その外周に操作力を蓄える下作動ばね51Bと支えピース51の復帰のために下作動復帰ばね51Cを設け、後方には支えピース51と一体化した下部作動棒51Eが設けられている。
【0030】
下部作動棒51Eの下方は、本体1の台座1Bを貫通して下部取り付台51Fを備え、下部取り付け台51Fには爪ばね51H内蔵の逆向防止爪51Gを設けている。
逆向防止爪51Gの先端下部は下部レバー52の先端の爪レバー52Aを引っ掛けている。
下部レバー52は、後方の先端に爪レバー52Aが設けられ、下部ねじりばね52Cを有する下軸52Bを揺動中心にして、前方のレバー先端に下部ピン53が設けられている。下部ピン53は一端を押付け棒56に固定され、他端を一対のばねケース54に挿入されている。ばねケース54は、内部にリンクばね54Aを備え、上方にリンクロッド54Bを設けており、上部で一対のVリンク55を連結駆動している。また、押付け棒56は内部の下部ガイド57により上下動可能になっており、上部にテープ曲げ片55Cが出入りする曲げ片溝56Aが設けられている。
【0031】
一対のVリンク55は、前リンク55Aと後リンク55Bからなり、前リンク55Aの先端にはテープ曲げ片55Cが設けられている。一対のVリンク55の中心部には切抜刃2を挿入可能な刃筒58が設けられている。刃筒58の下部中心部分には押付け棒56が挿入され、上下動可能になっている。
【0032】
次に用紙載置部M周りの詳細を図13および図14に示す。
本体1の台座1Bの最前方に、綴じようとする複数の用紙Yを載置する用紙台70を備えている。用紙台70には用紙台ばね70Cを有する用紙台軸70Aを介して用紙押え板71を設け、用紙押え板71は、前方に把手部71Aと止め軸72Aを備え、止め軸72Aには空綴じ防止機構Nのスライド止め72を設けている。このスライド止め72の先端の移動止め部72Bは、台座1Bに設けられたへこみ部70Bに挿入され、後方への動きが止められている。同じく空綴じ防止機構Nとして用紙台70の後方に綴じ防止の下降ストッパ70Dが設けられている。
また、用紙台70の後方には、貼着テープ20を供給するためと、作動時にカセット固定台22Kを後方に逃すための供給座70Eが設けられている。
【0033】
次に、本発明の作用について図15図33で詳細説明する。
作用については、複数の用紙Yを用紙台70に載置する準備作業と、テープカセット22からの貼着テープ20の供給機能、そして、レバー30による押下げ作動で複数枚の用紙Yを綴じる作動、および、貼着テープ20を用紙裏面で折り曲げて接着する作業を作用順に説明する。
【0034】
まず、複数枚の用紙Yを用紙台70に載置する準備作業については、図15(a)および(b)に示すように、最初に用紙押え板71の把手部71Aを軽く持ち上げて用紙Yを用紙台70との隙間に挿入する。この時、用紙Yはスライド止め72を押し退けて後方に止まるまで挿入する。このように、挿入時、用紙Yはスライド止め72を押し退ける必要があるが、このスライド止め72の役目は、用紙台70が用紙Yを載せない限り、綴じ作動時の所定の位置まで移動出来ないようにした空綴じを防止する手段である。
【0035】
図15(a)に示すようにスライド止め72は、上端を止め軸72Aで支えられ、下端の移動止め部72Bが用紙台70の下の台座1Bのへこみ部70Bに接地しており、用紙Yの挿入により、図15(b)のように移動止め部72Bが、止め軸72Aを支点に回転して台座1Bのへこみ部70Bから外れる。このため用紙台70は用紙Yを載せた状態で後方への移動が可能になる。ここで、スライド止め72は止め軸72Aを支点に回転するため、用紙Yがスライド止め72を押し退ける際の抵抗力は極めて小さく、用紙Yをスムーズに挿入できる。
また、図15(b)のように用紙Yを挿入後、用紙押え板71を手動力Fで押し下げるが、用紙台ばね70Cのばね力が用紙押え板71を押し付けるように働き、用紙Yの用紙同士をずれないようにする。この状態で把手部71Aにより用紙台70を後方に止まるまで押し込むことにより図21のように綴じる準備が出来る。
【0036】
ここで、仮に図15(b)のまま用紙台70を動かさずに、レバー30を下降作動させた場合、操作プレート34に設けられた突起部37が、用紙台70の後方に設けた下降ストッパ70Dの上部に当り、下降作動が出来ない。従って、誤って用紙台70を動かさないでレバー30を作動させた場合の空綴じを防止できる。
図21は用紙Yを用紙台70に載置して、用紙押え板71の把手部71Aを手動力Fで押して用紙台70を所定の位置まで押し込み、同時に貼着テープ20がテープ支持台5Aに供給され定置された状態である。この状態では、前述の用紙台70の後方に設けた下降ストッパ70Dは、操作プレート34に設けられた突起部37から後方に移動しているため、レバー30の綴じ作動が可能な状態にある。
【0037】
次に、テープカセット22による貼着テープ20の供給機能について説明する。
図16に示すように、作動前の待機状態はテープリール21に巻き取られている剥離テープ20Aが引き出されて、テープ先端をテープ供給口22Vに挿通されている。その後、テープ供給台22B上を通り、前方先端部分のテープ供給端22Qで下方に折り返し、テープ排出通路22Cを通り、後方のテープ排出口22Aを経て排出される。
この供給過程において、テープ排出通路22C上に位置する戻り防止爪22Dは、剥離テープ20Aがテープ排出口22Aに排出されずに、逆に戻ろうとした場合、その戻りを防止するものである。また、同じくテープ排出通路22C上に位置するテープ送り爪22Eは、剥離テープ20Aをテープ排出口22Aの方向に移動しながら送る移動爪である。なお、戻り防止爪22Dとテープ送り爪22Eは、爪部を剥離テープ20Aの送り穴20Dに挿入されている。
この作動前の待機状態では、当然、用紙台70は後方に動かされていない。このため、用紙台70の供給座70Eは送り台22Hの供給受座22Fを押さずに静止している。
同様に、用紙台70の供給座70Eはカセット固定台22Kの逃し受座22Nとは離れて静止している。
【0038】
図16の作動前の待機状態から、テープ支持台5Aに貼着テープ20を定置する作動を図17に示す。用紙台70に用紙Yを載せて後方に押し込む。この押し込み過程において、まず、用紙台70の供給座70Eが供給受座22Fを押すことにより、送り台22Hが送り復帰ばね22Gを撓ませて後方に移動する。この時、送り台22Hに設けられたテープ
送り爪22Eが、剥離テープ20Aを送り穴20D間の一ピッチ分だけ後方に送る。
この送り動作により、貼着テープ20は、剥離テープ20Aに乗せられてテープ供給口22Vからテープ供給台22B上を通り、テープ供給端22Qに到達する。ここで、剥離テープ20Aは下方に折り返すが、折り返しの半径が極めて小さいため、剥離テープ20Aから貼着テープ20のみ折り返さずに前方に外れて、テープ支持台5Aに着地する。この状態で貼着テープ20は、一対の切抜刃2の間に定置され、綴じ作動におけるテープ供給作動が完了する。なお、テープ送り爪22Eが後方に移動後、綴じ作動完了で供給座70Eが待機状態に戻ると、テープ送り爪22Eも前方に復帰するが、この時、テープ送り爪22Eの抵抗で剥離テープ20Aも前方に戻ろうとする。この戻りを防ぐために戻り防止爪22Dが作用する。
【0039】
ここで、貼着テープ20の供給作動が完了した状態のままでは、切抜刃2と共に刃ケース3が下降した場合、テープ供給端22Qに当り下降できない。
このため図18に示すように、貼着テープ20の供給作動が完了した後、さらに把手部71Aにより、用紙台70を後方に移動量S分の停止するまで押し込む。
これにより、テープ供給端22Qは刃ケース3の端から隙間S1分だけ離れる。同時に、用紙台70も後方に移動しているため、用紙台70の後方に設けた下降ストッパ70Dが操作プレート34に設けられた突起部37から外れるため、レバー30による綴じ作動が可能になる。
【0040】
このテープカセット22は、貼着テープ20が無くなるとテープリール21の交換が必要となる。図19にテープリール21を交換する手順を示す。
図19の(a)は、本体1の台座1Bに備えられたスライド台座23の挿入部22Lに
カセット固定台22Kに設けられた装着軸22Jが挿入され固定している待機状態である。
カセット固定台22Kにはテープカセット22が取付けられている。
図19の(b)は、スライド台座23の挿入部22Lから装着軸22Jを後方に引き抜いて、テープカセット22を取り出した状態である。
このように、テープカセット22は、本体1から単体で取り出せるため、テープリール21の交換が容易になる。
【0041】
テープリール21の交換要領を図20に示す。
カセットボックス22Pに新しいテープリール21を装着し、カセット軸22Iを軸にカセットボックス22Pを持ち上げる。剥離テープ20Aの先端を引き出し、テープ供給口22Vを通して、テープ供給台22Bのテープ供給端22Qを折り返し、テープ排出口22Aから引き出す。この状態でカセットボックス22Pを元に戻すが、ここで、剥離テープ20Aの送り穴20Dに、テープ送り爪22Eと戻り防止爪22Dが合うように調整する。これで、テープリール21の交換が完了したため、取り外し時とは逆にカセット固定台22Kの装着軸22Jをスライド台座23の挿入部22Lに挿入する。
【0042】
次に、レバー30を押下げて複数枚の用紙Yを綴じる作動について詳しく説明する。
図22は、レバー30を下方に作動させて、切抜刃2が垂直になった状態を示す。
レバー30は操作プレート34を介して押しリング2Hを下降させる。押しリング2Hは
切刃押し棒2Fを押下げ、上刃軸2Eを回転軸にして一対の切刃リンク2Dを外方向に押し広げる。切刃リンク2Dは、下側の中刃軸2C介して刃リンク部2Bを外方向に広げる。この刃リンク部2Bが下刃軸2Aを回転軸にして回転すると、一体形状の切抜刃2も外回りに回転し、刃先が下向きの直立になり一対同士で向い合う。切抜刃2はこの状態で綴じ作動の準備が整う。また、切抜刃2の刃先が下向きの直立になることにより、テープ支持台5Aに定置していた貼着テープ20の両端の貼着面20Bが折れ曲がり、切抜刃2のテープ溝2Jに内挿される。
ここで、貼着テープ20は切抜刃2に内挿された状態で折れ曲がるため、貼着テープ20の内挿位置がずれることもなく、また、直接切抜刃2で折り曲げているため、貼着面20Bがテープ溝2J側に張りを持って内挿される。このため切抜刃2から貼着テープ20が外れ難い利点がある。
【0043】
次に、切抜刃2の刃先が下向きの直立になって下降を始める場合、テープ支持アーム5が図23の(a)および(c)の状態から図23(b)および(d)のように、刃ケース3の下降で接触しないように支持台カム5Cの作用により前方に回転移動する。これはアーム軸5Bに設けられた支持台ばね5Dのねじり力がテープ支持アーム5を前方に回転するように作用しているためである。
待機状態では図23の(a)および(c)に示すように、支持台カム5Cは刃ケース3と一体のケースカム3Bにより前方回転が止められている。
図23(b)および(d)に示すように、刃ケース3が下降を始めるとケースカム3Bも下降し、ストロークS2分下降すると、支持台カム5Cは支持台ばね5Dの作用により前方に回転する。この時、刃ケース3の端部とテープ支持台5Aとは間隙S3が開く。
このテープ支持アーム5が回転を始めるタイミングは、貼着テープ20が切抜刃2の直立作用で切抜刃2に内挿された直後である。
【0044】
レバー30をさらに下降作動させると、図24に示すように、切抜刃2が用紙Yに切り抜き穴を明けて貫通する。この時、貼着テープ20も切抜刃2のテープ溝2Jに内挿されたまま用紙Yを貫通する。
【0045】
次に図25に示すように、用紙Yの下側に貫通した切抜刃2の両側面から、テープ曲げ片55Cが曲げ穴2Iを貫通して挿入される。このため、貼着面20Bが用紙Yの裏面に折り曲げられ、さらに図26に示すように、一対の切抜刃2の間から押付け棒56が上昇し、折り曲げられた貼着面20Bを下側から用紙Yの裏面に押し付ける。この時、テープ曲げ片55Cは押付け棒56に曲げ片溝56Aが設けられているため、押し付けられることはない。
この機能は、後述の作用で下部ピン53が押し上げられることにより、接続されているばねピース54とリンクロッド54Bを介してVリンク55を押し上げる。このためVリンク55の先端に設けられたテープ曲げ片55Cが中心方向に移動して、貼着面20Bを折り曲げる。さらに下部ピン53が押し上げられると、押付け棒56が上昇して貼着面20Bを下から押し付ける。この時、ばねケース54も上昇するが、図26のようにリンクばね54Aが押付け棒56とばねケース54との上昇差を吸収して撓む。
【0046】
ここで、前述のテープ曲げ片55Cと押付け棒56の作動について作動順に説明する。図27に示すように、レバー30を下降作動することにより、操作ピン33を介して操作プレート34の操作カム35が下降する。操作カム35は下降すると下方に位置するスライドカム50のカム穴50Aに挿入される。同時に、レバー30を下降作動することにより、操作プレート34の押し操作面36が下降する。この押し操作面36が下降すると下方に位置する操作受け棒51Aの上端部分に当接する。
図27の状態からさらに下降させると、図28に示すように操作カム35の先端の勾配作用により、スライドカム50がカム復帰ばね50Cのばね力に抗して前方に移動する。
この移動により、スライドカム50の後方に設けられたカム座50Bが前方に移動する。
カム座50Bが前方に移動することにより、カム座50Bに下降を抑止させられていた支えピース51が下降を開放される。なお、図28では支えピース51が下降を開始する寸前の状態を示している。
【0047】
また、同様に図27の状態からさらに下降させると、スライドカム50の作動と共に、図28に示すように操作プレート34の押し操作面36が、操作受け棒51Aに設けられた下作動ばね51Bを撓まして、支えピース51を下降させるためのばね圧縮力を蓄える。
この下作動ばね51Bのばね圧縮力により、下降を開放された支えピース51は下部作動棒51Eと共に下降作動を始める。
ここで、操作カム35がスライドカム50の移動を完了するタイミングは、切抜刃2が用紙Yを完全に貫通した時点である。
【0048】
図29では、カム座50Bの移動により下降を開放された支えピース51が、下作動ばね51Bの蓄えたばね圧縮力により下降した状態を示している。
支えピース51は一体に設けられた下部作動棒51Eを下降させる。下部作動棒51Eは台座1Bを貫通し、下部取り付台51Fを介して逆向防止爪51Gを下降させる。
逆向防止爪51Gは爪レバー52Aを押しながら下降する。爪レバー52Aは下軸52Bを支点にして、下部レバー52に設けた下部ピン53を上昇させる。この下部ピン53の上昇により、図26に示すように、テープ曲げ片55Cが貼着テープ20の貼着面20Bを折り曲げ、押付け棒56が上昇して貼着面20Bを用紙Yの裏面に貼り付ける。
【0049】
下降した逆向防止爪51Gは、さらに爪レバー52Aを押して図29に示すように爪レバー52Aの下に抜ける。この爪レバー52Aの開放により下部レバー52は、下部ねじりばね52Cのねじりの戻り作用により、図30に示すように下部ピン53を下方に復帰させる。即ち図30に示す状態では、押付け棒56が上昇して貼着面20Bを用紙Yの裏面に貼り付ける作動まで全て完了し、作動前の待機状態に復帰している。
この図30においてレバー30の手動力を開放すると、下作動復帰ばね51Cの作用により逆向防止爪51Gは上昇するが、上部に爪レバー52Aが位置する。ここで、逆向防止爪51Gの爪ばね51Hが撓んで、爪レバー52Aをかわしながら上昇し、図8に示す待機状態に復帰する。
【0050】
ここで、下部ねじりばね52Cの作用を図31で説明する。図31は下部レバー52を上面から見た図である。逆向防止爪51Gが爪レバー52Aを押しながら下降する場合、下部レバー52を介して押付け棒56が上昇して、貼着面20Bを用紙Yの裏面に貼り付ける。この時、押付け棒56は上昇が止められるが、爪レバー52Aはさらに下降する。このストローク差を下部ねじりばね52Cが吸収して、爪レバー52Aは所定の位置まで下降させる。
【0051】
次に、レバー30の下降作動中、途中で押し作動を中断した場合に生じる不具合を防止する戻り防止機構Wについて、レバー軸30A周りの図32で説明する。
構造は、本体1または後述の本体1Nに一体のレバーケース1Hに収納され、中心にレバー30に連結したレバー軸30Aが位置している。レバー軸30Aと一体でスイングプレート30Bが設けられている。スイングプレート30Bの外側には、摩擦輪30Eを有し、ロックレバー30Dと一体のロックリング30Cが設けられている。このロックリング30Cは、レバーケース1Hに設けられたボール1Jが入る半球溝30Fと、引張ばねのロックばね30Gを備えている。また、スイングプレート30Bには、外周部分に閉用突起30Hと開用突起30Iが設けられている。
【0052】
この構造の基本は摩擦輪30Eによる戻り防止機能である。
図32(a)は、レバー30の待機状態である。図32(b)はレバー30が閉矢印LS分の下降作動を始めた状態で、レバー30と共にスイングプレート30Bが回転した状態で、スイングプレート30Bと摩擦輪30Eはロックすることなく回転する。しかし、この状態から逆転する場合、即ちレバー30を戻そうとしても摩擦輪30Eがレバーケース1Hとスイングプレート30Bに食い込み、戻れないという戻り防止機構Wが機能する。
図32(c)は、レバー30の作動終了の状態である。閉用突起30Hがロックばね30Gに抗してロックリング30Cを押して、半球溝30Fにボール1Jが挿入されている。
これによりロックリング30Cは、その位置が固定される。従って、摩擦輪30Eもロックリング30Cの動き分だけ回転し、レバーケース1Hとの間に微小隙間S5が生じる。
微小隙間S5が生じることにより、図32(d)に示すように、レバー30による開矢印LOの復帰作動では、逆転ロックすることなく待機状態に戻る。待機状態では図32(a)に示すように、開用突起30Iがロックリング30Cを押すため、戻り防止機能が復帰する。
【0053】
次に、綴じ具100の作動後に待機状態に復帰する場合、通常は主復帰ばね4が解放され、その後、刃復帰ばね2Gが解放されるが、万一切抜刃2に何らかの抵抗が働くと、先に刃復帰ばね2Gが解放される誤作動が生じ、待機状態への復帰作動に支障が出る。
これを防止するため、刃ケース3にロックピン81を設けて、必ず主復帰ばね4が先に解放されるようにする。
【0054】
図33はロックピン81の作用を示す。
図33(a)は待機状態で、押しリング2Hにピン穴80を設け、刃ケース3にロックばね81Aと押され勾配部81Bを有するロックピン81を設けている。また、駆動箱1Aには押し出し部3Cを備えている。
図33(b)は押しリング2Hが下降した状態で、押しリング2Hのピン穴80にロックピン81が挿入されて、押しリング2Hが固定されている。これは下降により、押し出し部3Cの上部勾配がロックピン81の後部に設けた押され勾配部81Bを、ピン穴80側に押すように作用するためである。
図33(c)は綴じ作動が終了した最下端の状態を示す。この状態で上昇復帰する場合、押しリング2Hはロックピン81により固定されているので刃復帰ばね2Gは解放されない。従って、誤作動せず主復帰ばね4のみが解放される。復帰作動で図33(b)まで上昇すると、押し出し部3Cの上部勾配で、ロックピン81がピン穴80から退出するため、刃復帰ばね2Gが解放されて、図33(a)の待機状態に復帰する。
【実施例2】
【0055】
本発明の綴じ具200は、実施例1の綴じ具100の切抜部Kと供給部T、および用紙載置部Mは同一であり、作動部Lと貼付け部Pの構造が相違する。特に貼付け部Pが下方向に下降して作動する特徴を有する。
【0056】
次に、綴じ具200の各主要部の詳細構造について図34図38により説明する。なお、説明は実施例1と構造が異なる作動部Lと貼付け部Pについて行う。
綴じ具200の全ての部品は、本体1Nにより支持されている。本体1Nは図38に示すように、中心部に切抜部Kを収納する改駆動箱N1Aと、各構成部分を配置する改台座N1Bと、本体全体を支える改側板N1Sで形成されている。
作動部L周りの詳細を図34に示す。
レバー30はレバー軸30Aを軸にして下方に回転し、レバー30の側面には操作長穴32を設け、内部に操作ピン33を挿入している。操作ピン33はレバー30の上部中央に位置する改操作プレートN34と一体的に取り付いている。
改操作プレートN34は両端に操作ピン33を設けると共に、下部に後述の貼付け部P周りを動作させるためのストロークカムN35を設け、後方には空綴じ防止の突起部37を備えている。ストロークカムN35にはプッシュピン穴N39が設けられている。また、改操作プレートN34の中央部分には押しリング2Hに接続する接続部38を設けている。
【0057】
次に貼付け部P周りの詳細を図34に示す。
貼付け部Pは、貼付けケース1Eに内蔵され、ケース壁1Fにより改側板N1Sと上下方向に摺動する。貼付けケース1Eと改台座N1Bの間は下部支持ばね94により支持されている。また、改台座N1Bの下部には支持ガイド1Gが設けられ、貼付けケース1Eの
ケースガイド1Hと上下方向に摺動可能に設けられている。
貼付けケース1Eに内蔵されたスライドピース90は、中央部分にストロークカムN35が挿入される改カム穴90Aを設け、後方にスライドピース90を復帰させる改カム復帰ばね90Bが設けられている。スライドピース90外周にはスライドピース90を内蔵するカムケース91が設けられ、その上部にロックカム92が取付けられている。
ロックカム92の上部の改台座N1B内には前方先端にプッシュピン93Aとロック穴93Cを有するロックピース93が設けられている。ロックピース93の後方にはプッシュピン93Aを復帰させる引張ばねのピン復帰ばね93Bが設けられている。
【0058】
図37に示すように、貼付けケース1Eには改押付け棒95と改ばねケース96が一体的に設けられている。
改ばねケース96は、内部にリングばね54Aを備え、上方にリンクロッド54Bを設けており、上部で一対のVリンク55を連結駆動している。また、改押付け棒95は上部にテープ曲げ片55Cが出入りする曲げ片溝56Aが設けられている。
一対のVリンク55は、前リンク55Aと後リンク55Bからなり、前リンク55Aの先端にはテープ曲げ片55Cが設けられている。一対のVリンク55の中心部には切抜刃2が出入可能な改刃筒97が設けられている。改刃筒97の下部中心部分には改押付け棒95が挿入され、上下動可能になっている。
【0059】
次に、実施例2の作用について図34図37で詳細説明する。
作用については、複数の用紙Yを用紙台70に載置する準備作業と、テープカセット22からの貼着テープ20の供給機能と、レバー30による押下げ作動で複数枚の用紙Yを綴じる作動、および貼着テープ20を用紙裏面で折り曲げて接着する作業がある。
ここで、実施例2と実施例1の相違は、貼着テープ20を用紙裏面で折り曲げて接着する作業のみである。従って、貼着テープ20を用紙裏面で折り曲げて接着する作用について説明する。
【0060】
複数の用紙Yを用紙台70に載置する準備作業と、テープカセット22からの貼着テープ20の供給する作業が完了してレバー30を押下げる。図34では、改台座N1Bの下部に設けられた支持ガイド1Gの下端はスライドピース90の先端に支えられている。
図34の待機状態からレバー30を押下げると切抜刃2が下降するが、この時、ストロークカムN35も下降し、ストロークカムN35の先端の勾配部がスライドピース90の改カム穴90Aに挿入される。
図35は、切抜刃2が用紙Yを貫通完了した状態である。ストロークカムN35はスライドピース90を改カム復帰ばね90Bに抗して後方に移動させ、スライドピース90の先端が支持ガイド1Gの下端から外れた状態である。この時、ストロークカムN35のプッシュピン穴N39はプッシュピン93Aと同一位置まで下降している。
【0061】
図36は、図35の状態から、レバー30によりさらに下降させると図35でスライドピース90の先端が支持ガイド1Gの下端から外れているため、支持ガイド1Gは上部の切抜部Kなどを支持している改台座N1Bと共に下部支持ばね94に抗して下降している。これにより、テープ曲げ片55Cが用紙Yの裏面に出た貼着面20Bを折り曲げ、さらに、改押付け棒95の押付け力により貼着面20Bを貼り付けた状態である。
この下降に伴い、ロックカム92がロックピース93のロック穴93Cに挿入され、プッシュピン93Aがピン復帰ばね93Bに抗して前方に出て、プッシュピン穴N39に挿入される。これにより、レバー30はストロークカムN35からプッシュピン93Aを介して改台座N1Bにロックされる。
【0062】
図36の綴じ作動完了状態からレバー30を戻すと、まず、下部の貼付け部Pが図35の状態に復帰する。その後、図35ではプッシュピン穴N39からプッシュピン93Aが抜けるため、切抜刃2が上昇する。
このように、復帰順序としては貼付け部Pが復帰し、次に切抜刃2が上昇するのであるが、仮にプッシュピン93Aが設けられていない場合、何らかの事情で先に切抜刃2が上昇すると、テープ曲げ片55Cが切抜刃2の曲げ穴2Iに引っ掛かり不具合を生じることになる。これを防止するため、貼付け部Pが復帰するまでプッシュピン93Aでレバー30をロックして切抜刃2の上昇を防いでいる。
即ち、プッシュピン93Aは切抜刃2の誤動作防止のためにある。
【符号の説明】
【0063】

100 綴じ具 200 綴じ具

K 切抜部 L 作動部
M 用紙載置部 P 貼付け部
T 供給部 Y 用紙
YH 切抜穴 F 手動力
S 移動量 S1 隙間
S2 ストローク S3 間隙
S5 微小隙間
LS 閉矢印 LO 開矢印
N 空綴じ防止機構 W 戻り防止機構

1 本体 1A 駆動箱
1B 台座 1D 底板
1H レバーケース 1J ボール
1S 側板 1N 本体
N1A 改駆動箱 N1B 改台座
N1S 改側板 1E 貼付けケース
1F ケース壁 1G 支持ガイド
1H ケースガイド

2 切抜刃 2A 下刃軸
2B 刃リンク部 2C 中刃軸
2D 切刃リンク 2E 上刃軸
2F 切刃押し棒 2G 刃復帰ばね
2H 押しリング 2I 曲げ穴
2J テープ溝 2K テープ逃し溝
2S 直線 2U 勾配
2Y 刃リンク機構

3 刃ケース 3B ケースカム
3C 押し出し部 4 主復帰ばね

5 テープ支持アーム 5A テープ支持台
5B アーム軸 5C 支持台カム
5D 支持台ばね

20 貼着テープ 20A 剥離テープ
20B 貼着面 20C クラウン部
20D 送り穴

21 テープリール 22 テープカセット
22A テープ排出口 22B テープ供給台
22C テープ排出通路 22D 戻り防止爪
22E テープ送り爪 22F 供給受座
22G 送り復帰ばね 22H 送り台
22I カセット軸 22J 装着軸
22K カセット固定台 22L 挿入部
22M 引張ばね 22N 逃し受座
22P カセットボックス 22Q カセット供給端
22V テープ供給口 23 スライド台座

30 レバー
30A レバー軸 30B スイングプレート
30C ロックリング 30D ロックレバー
30E 摩擦輪 30F 半球溝
30G ロックばね 30H 閉用突起
30I 開用突起

32 操作長穴 33 操作ピン
34 操作プレート 35 操作カム
36 押し操作面 37 突起部
38 接続部
N34 改操作プレート N35 ストロークカム
N39 プッシュピン穴

50 スライドカム 50A カム穴
50B カム座 50C カム復帰ばね

51 支えピース 51A 操作受け棒
51B 下作動ばね 51C 下作動復帰ばね
51E 下部作動棒 51F 下部取り付台
51G 逆向防止爪 51H 爪ばね

52 下部レバー 52A 爪レバー
52B 下軸 52C 下部ねじりばね

53 下部ピン
54 ばねケース 54A リンクばね
54B リンクロッド

55 Vリンク 55A 前リンク
55B 後リンク 55C テープ曲げ片

56 押付け棒 56A 曲げ片溝
57 下部ガイド 58 刃筒

70 用紙台 70A 用紙台軸
70B へこみ部 70C 用紙台ばね
70D 下降ストッパ 70E 供給座

71 用紙押え板 71A 把手部

72 スライド止め 72A 止め軸
72B 移動止め部

80 ロックピン 81A ロックばね
81B 押され勾配部

90 スライドピース 90A 改カム穴
90B 改カム復帰ばね 91 カムケース
92 ロックカム 93 ロックピース
93A プッシュピン 93B ピン復帰ばね
93C ロック穴
94 下部支持ばね 95 改押付け棒
96 改ばねケース 97 改刃筒
【要約】
【課題】 金属製の針を使用せずに複数枚の用紙を綴じるために、従来の綴じ具の場合、綴じ孔が一ヶ所のものでは、用紙同士にずれが生じる問題があり、また、用紙を挿入しないで操作する空綴じを行った場合、綴じ具の内部でステーブルが詰まり、作動不具合が生じる問題があった。
【解決手段】 複数枚の用紙に、一対の切抜刃2で貼着テープ20を用紙裏面に挿通し、
貼着面20Bを用紙裏面に貼り付ける。この一連の綴じ作動を行うため、操作力を用紙台70の前後進作動とレバー30の上下作動の二ヶ所に分散して、綴じ具の小型化と簡素化を図る。
また、児童が使用した場合を考えて、用紙を載せないで綴じる場合の不具合を無くす空綴じ防止機構Nと、レバー作動を途中で中断した場合の不具合を無くす戻り防止機構Wを設ける。これにより、児童が予期せぬ取扱いを行った場合にも対処出来るコンパクトな綴じ具を提供する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
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図38