(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吐出口よりも前記内筒部の一端側及び他端側の位置に、前記内筒部の周壁と前記外筒部の周壁との間をシールするシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吐出幅可変装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る塗布装置10、及び吐出幅可変装置100について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に示すように、塗布装置10は、産業用ロボット20(移動装置)と、一軸偏心ねじポンプ50(以下、単に「ポンプ50」とも称す)と、吐出幅可変装置100と、制御装置170とを備えている。産業用ロボット20は、ロボットアーム等によって構成されている。産業用ロボット20のアーム22の先端にはポンプ50が取り付けられており、産業用ロボット20を作動させることにより塗布液(流動物)の塗布対象である塗布対象物Wに対してポンプ50を移動させることができる。
【0016】
ポンプ50は、外部から塗布液を圧送するために設けられた装置(流動物供給装置)である。ポンプ50は、いわゆる回転容積型のポンプであり、
図2に示すように、ケーシング52の内部にステータ66、ロータ72、及び動力伝達機構78等を収容した構成とされている。ケーシング52は、金属製で筒状の部材であり、長手方向一端側に第一開口部54が設けられている。第一開口部54が設けられた側の端部には、後に詳述する吐出幅可変装置100が取り付けられている。また、ケーシング52の外周部分には、第二開口部64が設けられている。第二開口部64は、ケーシング52の長手方向中間部分に位置する中間部60においてケーシング52の内部空間に連通している。
【0017】
第一開口部54及び第二開口部64は、それぞれポンプ50の吸込口および吐出口として機能する部分である。ポンプ50は、ロータ72を正方向に回転させることにより、第一開口部54が吐出口として機能し、第二開口部64を吸込口として機能するように流体を圧送することが可能である。また、ロータ72を逆方向に回転させることにより、第一開口部54が吸込口として機能し、第二開口部64が吐出口として機能するように流体を圧送させることが可能である。本実施形態では、第一開口部54が吐出口として機能し、第二開口部64が吸込口として機能するようにロータ72が作動する。
【0018】
ステータ66は、ゴム等の弾性体、又は樹脂等によって形成された略円筒形の外観形状を有する部材である。ステータ66は、ケーシング52において第一開口部54に隣接する位置にあるステータ取付部56内に収容されている。ステータ66の外径は、ステータ取付部56の内径と略同一である。そのため、ステータ66は、その外周壁がステータ取付部56の内周壁に略密着するような状態で取り付けられている。また、ステータ66は、一端側がケーシング52の端部において後に詳述する吐出幅可変装置100によって挟み込まれている。
【0019】
ステータ66の内周壁70は、n条で単段あるいは多段の雌ネジ形状とされている。本実施形態においては、ステータ66は、2条で多段の雌ねじ形状とされている。更に具体的には、ステータ66の内部には、ステータ66の長手方向に沿って伸び、前述したピッチでねじれた貫通孔68が設けられている。貫通孔68は、ステータ66の長手方向のいずれの位置において断面視しても、その断面形状(開口形状)が略長円形となるように形成されている。
【0020】
ロータ72は、金属製の軸体であり、n−1条で単段あるいは多段の雌ネジ形状とされている。本実施形態においては、ロータ72は、1条で偏心した雄ねじ形状とされている。ロータ72は、長手方向のいずれの位置で断面視しても、その断面形状が略真円形となるように形成されている。ロータ72は、上述したステータ66に形成された貫通孔68に挿通され、貫通孔68の内部において自由に偏心回転可能とされている。
【0021】
ロータ72をステータ66に対して挿通すると、ロータ72の外周壁74とステータ66の内周壁70とが両者の接線で密接した状態になり、ステータ66の内周壁70とロータ72の外周壁との間に流体搬送路76が形成される。流体搬送路76は、ステータ66やロータ72の長手方向に向けて螺旋状に伸びている。
【0022】
流体搬送路76は、ロータ72をステータ66の貫通孔68内において回転させると、ステータ66内を回転しながらステータ66の長手方向に進む。そのため、ロータ72を回転させると、ステータ66の一端側から流体搬送路76内に流体を吸い込むと共に、この流体を流体搬送路76内に閉じこめた状態でステータ66の他端側に向けて移送し、ステータ66の他端側において吐出させることが可能である。本実施形態のポンプ50は、ロータ72を正方向に回転させることにより、第二開口部64から吸い込んだ流体を圧送し、第一開口部54から後に詳述する吐出幅可変装置100に向けて吐出することが可能とされている。
【0023】
動力伝達機構78は、ケーシング52の外部に設けられたポンプ駆動機96から上述したロータ72に対して動力を伝達するためのものである。動力伝達機構78は、動力伝達部80と偏心回転部82とを有する。動力伝達部80は、ケーシング52の長手方向の一端側に設けられている。
【0024】
また、偏心回転部82は、動力伝達部80とステータ取付部56との間に形成された中間部60に設けられている。偏心回転部82は、動力伝達部80とロータ72とを動力伝達可能なように接続する部分である。偏心回転部82は、従来公知のカップリングロッドや、スクリューロッドなどによって構成された連結軸88と、従来公知のユニバーサルジョイントなどによって構成された連結体94,98とを有する。そのため、偏心回転部82は、ポンプ駆動機96を作動させることにより発生した回転動力をロータ72に伝達し、ロータ72を偏心回転させることが可能である。
【0025】
吐出幅可変装置100は、ポンプ50によって圧送させてきた塗布液を所定の吐出幅で吐出できるものである。
図2に示すように、吐出幅可変装置100は、上述したポンプ50の第一開口部54側の端部に接続されている。
図3及び
図4に示すように、吐出幅可変装置100は、ケーシング110、内筒部130、及び駆動機構部150(駆動装置)を備えている。
【0026】
ケーシング110は、中空であって筒状の外筒部112と、駆動機構設置部114とを有する。外筒部112は、内筒部130を内蔵する筒状の部分であり、吐出口116及び導入口118を備えている。駆動機構設置部114は、後に詳述するように駆動機構部150をなす部品が収容される部分である。
【0027】
外筒部112に設けられた吐出口116は、外筒部112の周壁120の一部をなす吐出口形成部122に設けられている。吐出口116は、スリット状であって直線的に延びる開口によって構成されており、外筒部112の内外を連通している。導入口118は、上述したポンプ50の第一開口部54を接続するためのものであり、外筒部112の周壁120に設けられた導入口形成部124に形成されている。導入口118は、後に詳述する内筒部130に設けられた周部開口138に臨む(adapt)ように設けられている。
【0028】
内筒部130は、外筒部112の内側に形成された外筒内部空間126に収容されており、外径が内筒部130の内径と略同一の大きさを有する中空の筒体である。内筒部130は、一端側(基端130a側)及び他端側(接続端130b側)において軸受132,134によって回動可能なように軸支されている。内筒部130は、接続端130bがケーシング110の一端側に形成された駆動機構設置部114側に突出しており、駆動機構部150に接続されている。
【0029】
内筒部130の周壁136には、周部開口138が内外を連通するように形成されている。周部開口138は、外筒部112に設けられた導入口118に臨む(面する)位置に設けられており、ポンプ50によって圧送されてきた塗布液を内筒部130内の内筒内部空間142内に導入することができる。
図5に示すように、周部開口138は、開口幅d(内筒部130の母線方向への長さ)が内筒部130の周方向に連続的に変化するように形成されている。具体的には、周部開口138は、内筒部130を展開した状態において略二等辺三角形の開口形状を有する。また、周部開口138に対して内筒部130の周方向に外れた位置には、非開口部140が設けられている。また、
図5に示すように、周部開口138の開口幅dは、いずれの部位においても外筒部112に設けられた吐出口116の開口幅sよりも小さい。
【0030】
図3、
図4及び
図5に示すように、周部開口138に対して基端130a側の位置、及び接続端130b側の位置には、内筒部130の全周に亘ってOリング144,146が設けられている。Oリング144,146は、内筒部130の周壁136と外筒部112の周壁120との間を液密状態とするためのものである。そのため、内筒部130の内筒内部空間142内に導入された塗布液は、少なくともOリング144,146が設けられた位置よりも内筒部130の基端130a側及び接続端130b側の領域に漏出しない。
【0031】
図3及び
図4に示すように、駆動機構部150は、モータによって構成された駆動機152と、駆動機152の回転軸に接続された第一傘歯歯車154と、内筒部130の接続端130b側に接続された第二傘歯歯車156とを有する。駆動機152は、ケーシング110の駆動機構設置部114内に向けて回転軸が突出するように設置されている。また、第一傘歯歯車154及び第二傘歯歯車156は、駆動機構設置部114内に収容されており、両者が噛合している。従って、駆動機152を作動させることにより、外筒部112内において内筒部130を回動させることができる。また、駆動機152の回転量及び回転方向を制御することにより、内筒部130の回転量の調整、及び回転方向の変更を行うことができる。
【0032】
吐出幅可変装置100は、
図5中おいてハッチングを付して示すように、外筒部112に設けられた吐出口116と、内筒部130に設けられた周部開口138とが重なる部分に、両者が連通した連通領域148が形成される。また、駆動機152の回転量及び回転方向を調整し、吐出口116と周部開口138との相対位置を変化させることにより、連通領域148の幅D(以下、「吐出幅D」とも称す)を変化させることができる。本実施形態では、
図3及び
図5中の矢印A方向に内筒部130を回転させると連通領域148の吐出幅Dが漸次拡大し、これとは反対の矢印B方向に回転させると吐出幅Dが漸次縮小する。また、非開口部140が吐出口116と重なる位置まで内筒部130を回動させると、吐出口116が非開口部140によって閉鎖された状態、すなわち吐出幅Dがゼロになり塗布液を吐出できない状態になる。
【0033】
制御装置170は、塗布対象物Wに対するポンプ50の相対位置を制御する位置制御、塗布対象物Wに対するポンプ50の移動速度を制御する速度制御、吐出幅可変装置100に対する塗布液の供給量を制御する供給量制御、吐出幅可変装置100から吐出される塗布液の吐出幅を制御する吐出幅制御等を単独、あるいは複合的に実施することができる。具体的には、
図6に示すように、制御装置170は、吐出幅制御手段171、位置制御手段172、速度制御手段173、供給量制御手段174、及び同期手段175を備えている。制御装置170は、位置制御手段172によって産業用ロボット20の位置、アーム22の角度、伸縮量等を調整することにより、アーム22の先端に取り付けられたポンプ50の位置を制御(位置制御)することができる。また、制御装置170は、速度制御手段173によって産業用ロボット20及びアーム22の移動速度を調整することにより、塗布対象物Wに対するポンプ50の移動速度の制御(速度制御)を行うことができる。
【0034】
また、制御装置170は、供給量制御手段174によってポンプ駆動機96の回転速度を制御することにより、吐出幅可変装置100に対する塗布液の供給量の制御(供給量制御)を実施することができる。更に、制御装置170は、吐出幅制御手段171によって吐出幅可変装置100の駆動機152の回転量及び回転方向を調整し、外筒部112に設けられた吐出口116と、内筒部130に設けられた周部開口138との相対位置を変化させることにより、吐出幅Dを増減させることができる。従って、制御装置170は、駆動機152の動作制御を行うことにより、塗布液の吐出幅の制御(吐出幅制御)を行うことができる。
【0035】
また、制御装置170は、同期手段175によって上述した位置制御、速度制御、供給量制御、及び吐出幅制御をそれぞれ同期させることが可能である。これにより、塗布対象物Wに対して所望の位置に所望の塗布幅で塗布液を塗布すること、所望の速度で塗布液を塗布すること、塗布作業の途中で塗布幅を漸次変化させること、及び所望の形状で塗布液を塗布すること等が可能となる。以下、塗布装置10によって塗布対象物Wに対して塗布液を塗布する際に制御装置170によって実施される動作制御について、
図8(a)に示す塗布パターンにより塗布する場合を例に挙げ、
図7のフローチャートを参照しつつ詳細に説明する。
【0036】
図8(a)に示す塗布パターンにより塗布する場合は、始点Sから終点Eに至るまでの間に設けられた中間位置P1,P2において吐出幅Dの調整(変更)を行いつつ、塗布液を塗布する。具体的には、始点Sから中間位置P1までの区間においては、吐出幅DをD1に調整し、供給量制御を行いつつ、位置制御によってポンプ50及び吐出幅可変装置100を移動させることにより塗布液を塗布する。その後、中間位置P1まで塗布が完了した時点で吐出幅DをD2に変更し、供給量制御及び位置制御の下、中間位置P2まで塗布を進める。中間位置P2まで塗布が進むと、再び吐出幅DをD1に変更し、供給量制御及び位置制御の下で終点Eまで塗布を進める。
【0037】
上述した一連の動作を
図7のフローチャートに従って説明すると、塗布対象物Wに対して塗布液を塗布する場合は、先ずステップ1において、制御装置170は塗布を開始する場所(始点S)を示す位置情報に基づいて産業用ロボット20及びアーム22を移動させ、ポンプ50の先端に取り付けられた吐出幅可変装置100を始点Sの位置まで移動させる。その後、制御フローがステップ2に進むと、制御装置170は、駆動機152の回転量及び回転方向を調整し、吐出幅Dが塗布幅に合致した状態になるように内筒部130を回動させる。
図8(a)の塗布パターンにより塗布する場合においては、吐出幅可変装置100が始点Sに存在している場合は、吐出幅DがD1に調整される。また、塗布液の塗布が進行し、中間位置P1あるいは中間位置P2に到達した場合は、吐出幅DがD2あるいはD1に調整される。
【0038】
ここで、ステップ2において吐出幅Dの調整がなされると、塗布液の吐出量が変化するため、吐出幅可変装置100に対する塗布液の供給量についても調整する必要がある。具体的には、吐出幅Dを拡張した場合は、塗布液の吐出量が増加するため、吐出幅可変装置100に対する塗布液の供給量が増加するようにポンプ50におけるロータ72の回転速度を上昇させる必要がある。これとは逆に、吐出幅Dを縮小した場合は、塗布液の吐出量が減少するため、ロータ72の回転速度を低下させ、塗布液の吐出量が減少させる必要がある。そこで、ステップ2において吐出幅Dの調整が行われると、その後ステップ3において供給量制御の下、吐出幅可変装置100に対する塗布液の供給量が調整される。
【0039】
制御フローがステップ4に進行すると、産業用ロボット20及びアーム22を移動させることにより、塗布パターンに従ってポンプ50の先端に取り付けられた吐出幅可変装置100が移動させられる。これにより、ステップ2において設定された吐出幅Dにより塗布液が吐出され、塗布対象物Wに対して塗布される。
【0040】
ステップ4において吐出幅可変装置100の移動が開始された後、吐出幅可変装置100が吐出幅Dを変更すべき位置、具体的には中間位置P1あるいは中間位置P2に到達したことが確認されると、制御フローがステップ2に戻される。制御フローがステップ2に戻ると、上述したステップ2〜ステップ4のフローに従って吐出幅Dを変更した上で塗布動作がなされる。
【0041】
一方、ステップ4において吐出幅可変装置100の位置が吐出幅変更位置(中間位置P1,P2)でないと判断された場合は、制御フローがステップ6に進められる。ステップ6においては、吐出幅可変装置100が終点Eに到達しているか否かが確認される。終点Eに到達していないことが確認された場合は塗布動作の途中であるため、制御フローがステップ4に戻され、引き続き塗布動作が継続される。一方、ステップ6において終点Eに到達していることが確認された場合は、制御フローがステップ7に進められ、塗布動作が停止状態とされる。具体的には、吐出幅可変装置100等の移動、及びポンプ50による塗布液の供給が停止されると共に、吐出幅Dがゼロに切り替えられる。これにより、塗布対象物Wに対する塗布液の塗布が完了し、一連の制御フローが完了する。
【0042】
上述したように、本実施形態の塗布装置10において採用されている吐出幅可変装置100は、内筒部130に設けられた周部開口138と、外筒部112に設けられた吐出口116とが重なることにより形成された連通領域148から塗布液を吐出することができる。また、吐出幅可変装置100は、周部開口138の開口幅dが内筒部130の周方向に連続的に変化しており、内筒部130を回動させることにより吐出幅Dを調整することができる。従って、吐出幅可変装置100によれば、内筒部130の回動量を調整するだけで吐出幅Dを所望の大きさに調整することが可能であり、吐出幅Dの変更に起因する作業効率の低下等の問題を解消することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、開口幅dが内筒部130の周方向に連続的に変化するように周部開口138を形成した構成を例示したが、本発明はこれに限定される訳ではなく、開口幅dが断続的に変化するように形成されたものであってもよい。
【0044】
吐出幅可変装置100は、内筒部130を回動させることにより吐出幅Dを変化させるものであり、吐出幅Dの変更に伴う内部容積の変化が殆ど発生しない。これにより、吐出幅Dの変更に伴い吐出圧の変動が生じることを最小限に抑制できる。また、本実施形態の塗布装置10においては、塗布液供給装置としてポンプ50が採用されているため、略一定の供給量及び供給圧で塗布液を吐出幅可変装置100に供給することができる。従って、塗布装置10は、塗布幅(吐出幅D)を連続的あるいは断続的に変化させる等しても、塗布対象物Wに塗布された塗布液の厚み(膜厚)、及び塗布液の付着性等の塗布特性の変動が殆ど生じず、一定の品質で塗布液を塗布することができる。
【0045】
吐出幅可変装置100は、周部開口138よりも基端130a側及び接続端130b側の位置に設けられたOリング144,146により、内筒部130の周壁136と外筒部112の内周壁128との間が液密とされている。また、吐出幅可変装置100においては、ポンプ50によって供給される塗布液を導入するための導入口118が、外筒部112の周壁136において周部開口138に臨む位置に設けられている。更に、周部開口138の開口幅dは、いずれの部位においても外筒部112に設けられた吐出口116の開口幅sよりも小さい。そのため、周部開口138から内筒内部空間142内に導入された塗布液を内筒部130内に略直接的に導入することができると共に、内筒部130と外筒部112との間に吐出液が噛み込むことを防止できる。従って、吐出幅可変装置100によれば、吐出口116の予期せぬ部位から吐出液が漏洩することを防止でき、安定した品質で塗布液を塗布することができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、内筒部130にOリング144,146を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外筒部112側にOリング等のシール部材を設けた構成としてもよい。また、吐出幅可変装置100は、内筒部130と外筒部112との間を液密とするためにOリング144,146を設けたものであるが、Oリング144,146に代えて、あるいはOリング144,146に加えて、バリシール、リップシール等の他のシール部材を設けても良い。また、本実施形態においては、周部開口138の開口幅dを外筒部112に設けられた吐出口116の開口幅sよりも小さく形成した例を示したが、開口幅d,sを同一としてもよい。
【0047】
本実施形態の塗布装置10は、位置制御、速度制御、供給量制御、及び吐出幅制御を同期させた状態で実施可能であり、塗布用として吐出される塗布液の吐出幅Dの大きさ、吐出幅Dの変化速度、ポンプ50から吐出幅可変装置100への塗布液の供給量(
供給速度)を、吐出幅可変装置100と塗布対象物Wとの位置関係、吐出幅可変装置100の移動速度に応じて適切な状態となるように調整することが可能である。これにより、例えば
図8(a)に示すように塗布対象物Wの部位に応じて異なる幅で塗布液を塗布することが可能となる。
【0048】
なお、本実施形態では、
図8(a)に示す塗布パターンで塗布液を塗布する場合の動作を例示したが、塗布装置10は、吐出幅可変装置100の位置、移動速度等に応じて吐出幅D等の調整を行うことにより、
図8(a)の塗布パターンの他、
図8(b)〜(d)に示す塗布パターン、
図9(a)〜(l)に示す塗布パターン(模様)等、多様な塗布パターンにより塗布液を塗布対象物Wに塗布することが可能である。
【0049】
本実施形態の吐出幅可変装置100において外筒部112に形成されている吐出口116は、外筒部112の幅方向に直線的に延びるスリットによって形成されたものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、吐出口116に代えて、外筒部112の幅方向に断続的に設けられたスリット、傾斜するように形成されたスリット、湾曲部分を有するスリット、開口形状が円形、楕円形、矩形あるいは多角形の開口等を設けた構成としてもよい。かかる構成とすることにより、更に多様な形態で塗布液を吐出することが可能となり、様々な塗布パターンによって塗布液を塗布可能となる。
【0050】
また、吐出幅可変装置100において、内筒部130に形成されている周部開口138の開口形状についても、吐出口116と同様に上述したものに限定されず、塗布パターン等に応じて様々な形状に変更することが可能である。すなわち、周部開口138は、軸線方向の開口幅D及び軸線方向における開口位置が内筒部130の周方向に変化するように形成されたものであれば良く、開口形状や大きさについてはいかなる物であっても良い。具体的には、周部開口138の形状を、内筒部130の周壁136を展開した状態において所望する塗布パターンの形状となるように形成した場合、吐出幅可変装置100の移動及び内筒部130の回動を同期させることにより、例えば
図10(a)〜(g)のような塗布パターン(模様)により塗布液を塗布対象物に塗布することができる。更に詳細には、
図11に示すような形状の周部開口138を周壁136に設けた場合は、塗布速度に同期させて内筒部130を回転させることにより連通領域148の幅及び位置が順次変化し、
図10(g)のような塗布パターンで塗布液を塗布することができる。