特許第5892377号(P5892377)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5892377
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】配線基板連結装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20160310BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   H01R12/71
   H01R13/639 Z
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-125745(P2012-125745)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-251172(P2013-251172A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年5月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083909
【弁理士】
【氏名又は名称】神原 貞昭
(72)【発明者】
【氏名】武本 政利
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−257999(JP,A)
【文献】 特開平10−312867(JP,A)
【文献】 特開平08−171967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配線基板に固定される第1のハウジング,各々が上記第1の配線基板に設けられた配線端子部に接続される基板接続部を有して上記第1のハウジングに配列配置された複数の第1のコンタクト、及び、上記第1のハウジングに装着された第1の取付金属部材とを備えた第1のコネクタと、
第2の配線基板に固定され、上記第1のハウジングとの係合状態をとる第2のハウジング,各々が上記第2の配線基板に設けられた配線端子部に接続される基板接続部を有して上記第2のハウジングに配列配置され、上記複数の第1のコンタクトに夫々接触接続される状態をとる複数の第2のコンタクト, 上記第2のハウジングに装着された第2の取付金属部材、及び、上記第2のハウジングに対して移動可能に設けられ、押込み位置と引揚げ位置とを選択的にとる可動操作部材とを備えた第2のコネクタと、
を含んで構成され、
上記第1の取付金属部材に第1の係合係止部が設けられるとともに、上記第2の取付金属部材に第2の係合係止部が設けられ、
上記第2のハウジングが上記第1のハウジングとの係合状態をとるとき、上記複数の第2のコンタクトが上記複数の第1のコンタクトに夫々接触接続されて、上記第2の配線基板が上記第1の配線基板に電気的に連結されるとともに、上記第2の係合係止部が上記第1の係合係止部に係合して上記第2のハウジングを上記第1のハウジングに対して係止し、
上記第2の係合係止部が上記第1の係合係止部に対する係合状態をとるもとで上記可動操作部材が上記押込み位置をとるとき、もしくは、上記可動操作部材が上記押込み位置をとるもとで上記第2の係合係止部が上記第1の係合係止部に対する係合状態をとるとき、上記可動操作部材によって上記第2の係合係止部の上記第1の係合係止部に対する係合状態の解除が禁止され、上記可動操作部材が上記引揚げ位置をとるとき、上記第2の係合係止部の上記第1の係合係止部に対する係合状態の解除が許容されることを特徴とする配線基板連結装置。
【請求項2】
上記第2の係合係止部が上記第2のハウジングに対して移動可能に設けられ、上記可動操作部材が上記押込み位置をとるとき、該可動操作部材が上記第2の係合係止部の上記第2のハウジングに対する移動を阻止するものとされ、上記第2のハウジングが上記第1のハウジングとの係合状態をとるもとで上記可動操作部材が上記押込み位置をとるとき、上記第2の係合係止部の上記第1の係合係止部に対する係合状態の解除が禁止されることを特徴とする請求項1記載の配線基板連結装置。
【請求項3】
上記第1の係合係止部が上記第1のハウジングに対して移動可能に設けられ、上記可動操作部材が上記押込み位置をとるもとで上記第2の係合係止部が上記第1の係合係止部に当接するとき、上記第1の係合係止部が上記第1のハウジングに対する移動を生じて、上記第2の係合係止部に上記第1の係合部材との係合状態をとらせることを特徴とする請求項2記載の配線基板連結装置。
【請求項4】
上記第1の取付金属部材が、上記第1のハウジングの周側壁部を全面的もしくは部分的に覆う状態をもって上記第1のハウジングに取り付けられて、上記第1の配線基板に接続され、上記第2の取付金属部材が、上記第2のハウジングの一部分に取り付けられて、上記第2の配線基板に接続されることを特徴とする請求項1記載の配線基板連結装置。
【請求項5】
上記可動操作部材が、上記複数の第2のコンタクトの配列方向に伸びる棒状部材とされ、上記押込み位置をとるとき、上記棒状部材の端部を上記第2の係合係止部に当接もしくは近接させて、上記第2の係合係止部の上記第2のハウジングに対する移動を阻止し、上記記第2の係合係止部の上記第1の係合部材に対する係合状態の解除を禁止することを特徴とする請求項2記載の配線基板連結装置。
【請求項6】
上記棒状部材が、上記複数の第2のコンタクトの配列方向に沿う中間部と該中間部の両端に夫々設けられた屈曲部とを有し、上記中間部が上記第2の配線基板外に突出するとともに、上記屈曲部が上記中間部から上記第2の配線基板に設けられた透孔を通じて上記第2のハウジング内に伸びて上記端部を形成することを特徴とする請求項5記載の配線基板連結装置。
【請求項7】
上記第2の取付金属部材に、上記可動操作部材が上記引揚げ位置をとるとき上記棒状部材における上記屈曲部に当接して、該屈曲部についての位置規制を行う位置規制部が設けられたことを特徴とする請求項6記載の配線基板連結装置。
【請求項8】
上記第1のコネクタが、上記第1のハウジングの上記第1のコンタクトの配列方向における両端部の夫々に上記第1の係合係止部が設けられたものとされるとともに、上記第2のコネクタが、上記第2のハウジングの上記第2のコンタクトの配列方向における両端部の夫々に上記第2の係合係止部が設けられたものとされ、上記第2の係合係止部が上記第1の係合係止部に対する係合状態をとるもとで、上記可動操作部材が上記押込み位置をとるとき、該可動操作部材の上記第2のコンタクトの配列方向における両端部の夫々によって上記第2の係合係止部の上記第1の係合係止部に対する係合状態の解除が禁止されることを特徴とする請求項1記載の配線基板連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、二つの配線基板が相互に対面近接して重ね合わせられるもとで、各配線基板に設けられた配線端子部に電気的に相互接続された状態をとらせて、両配線基板を連結する配線基板連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の比較的小型な電子機器においても、種々の電子部品が多数内蔵されるが、それらの電子部品の多くは複数の配線基板に実装されて、各々の機能を果たすものとされる。各種の電子部品が実装された複数の配線基板は、例えば、それらのうちの二つについて見ると、比較的小型な電子機器の内部という限られたスペースに収容されるにあたっては、占有容積をできるだけ小とすべく、一方が他方に対面近接して重ね合わせられる配置をとって相互連結されざるを得ないものとされる。このような二つの配線基板のうちの一方が他方に対面近接して重ね合わせられる連結態様を、以下においては対面近接重ね合わせ連結ということとする。
【0003】
一般的に、複数の配線基板の相互連結は、各配線基板にコネクタが取り付けられ、それらのコネクタが相互接続されることにより行われることが多く、二つの配線基板についての対面近接重ね合わせ連結をする場合においても、各配線基板に取り付けられるコネクタを用いることが考えられる。従来にあっては、二つの配線基板についての対面近接重ね合わせ連結をするためのコネクタを含んだ基板連結装置が幾つか提案されている(例えば、特許文献1,特許文献2及び特許文献3参照。)。
【0004】
特許文献1に示される基板連結装置は、第1の配線基板(基板(110))及び第2の配線基板(基板(210))が対面近接重ね合わせ連結の対象とされるもとで、第1の配線基板に取り付けられる第1のコネクタ(コネクタピース(100))と第2の配線基板に取り付けられる第2のコネクタ(コネクタピース(200))とを含んで構成されている。第1のコネクタは、ハウジング(130) に配列配置された複数の第1のコンタクト(コンタクト(120))を備えており、また、第2のコネクタは、ハウジング(230) に配列配置された複数の第2のコンタクト(コンタクト(220))を備えている。そして、複数の第1のコネクタの夫々の先端部は、弾性変形を生じる略U字状に折り曲げられた部分を形成している。
【0005】
このようなもとで、第1の配線基板における第1のコネクタが取り付けられた面が第2の配線基板における第2のコネクタが取り付けられた面に対向するものとされて、第1の配線基板が第2の配線基板に対面近接して重ね合わせられる状態がとられ、それにより、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合せしめられて、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトの夫々における略U字状に折り曲げられた部分を形成する先端部が、第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトのうちの対応するものに接触接続される。それにより、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトと第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトとが相互接続されて、第1の配線基板と第2の配線基板とについての対面近接重ね合わせ連結が行われる。
【0006】
斯かる際、複数の第1のコンタクトの夫々の先端部が弾性変形を生じる略U字状に折り曲げられた部分を形成していて、斯かる先端部が、複数の第2のコンタクトのうちの対応するものに、弾性変形による接触圧を作用させるもとで接触接続されるので、複数の第1のコンタクトと複数の第2のコンタクトとの相互接続が確実に行われることが期待される。
【0007】
また、特許文献2に示される基板連結装置は、第1の配線基板(プリント配線基板(26)) 及び第2の配線基板(プリント配線基板(22)) が対面近接重ね合わせ連結の対象とされるもとで、第1の配線基板に取り付けられる第1のコネクタ(雄型のコネクタ部(24)) と第2の配線基板に取り付けられる第2のコネクタ(雌型のコネクタ部(20)) とを含んで構成されている。第1のコネクタは、第1のハウジング(基台部(24M))に配列配置された複数の第1のコンタクト(コンタクト端子(28Ai),(28Bi))を備えており、また、第2のコネクタは、第2のハウジング(基台部(20M))に配列配置された複数の第2のコンタクト(コンタクト端子(34Ai),(34Bi))を備えている。そして、第1のコネクタにおいては、第1のハウジングに圧入された保持具(30)の嵌合部(30m) に爪部(30N) が形成されており、また、第2のコネクタにおいては、第2のハウジングに圧入された保持具(32)の弾性片(32mr)に突起部(32mn)が形成されている。
【0008】
このようなもとで、第1の配線基板における第1のコネクタが取り付けられた面が第2の配線基板における第2のコネクタが取り付けられた面に対向するものとされて、第1の配線基板が第2の配線基板に対面近接して重ね合わせられる状態がとられ、それにより、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合せしめられて、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトが第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトに夫々接触接続される。それにより、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトと第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトとが相互接続されて、第1の配線基板と第2の配線基板とについての対面近接重ね合わせ連結が行われる。
【0009】
斯かる際、第1のコネクタにおける第1のハウジングに圧入された保持具(30)の嵌合部(30m) に形成された爪部(30N) が、第2のコネクタにおける第1のハウジングに圧入された保持具(32)の弾性片(32mr)に形成された突起部(32mn)に係合して、第1のコネクタにおける第1のハウジングの第2のコネクタにおける第2のハウジングからの離脱を阻止する。それにより、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトと第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトとの相互接続状態が安定に維持され、その結果、第1の配線基板と第2の配線基板とについての対面近接重ね合わせ連結が安定に行われることが期待される。
【0010】
さらに、特許文献3に示される基板連結装置は、第1の配線基板(プラグ用基板(53)) 及び第2の配線基板(ソケット用基板(33)) が対面近接重ね合わせ連結の対象とされるもとで、第1の配線基板に取り付けられる第1のコネクタ(プラグ(40)) と第2の配線基板に取り付けられる第2のコネクタ(ソケット(10)) とを含んで構成されている。第1のコネクタは、第1のハウジング(絶縁ハウジング(41)) に配列配置された複数の第1のコンタクト(第1端子(42)及び第2端子(43)) を備えており、また、第2のコネクタは、第2のハウジング(絶縁ハウジング(11)) に配列配置された複数の第2のコンタクト(第1接点(12)及び第2接点(13)) を備えている。そして、第1のコネクタにおいては、第1のハウジングに拘止突部(52)が形成されており、また、第2のコネクタにおいては、第2のハウジングに係合窓(29)が形成されたロックバネ(27)が取り付けられている。それに加えて、第1のコネクタが取り付けられた第1の配線基板における、それに取り付けられた第1のコネクタにおける第1のハウジングに形成された拘止突部(52)の先端部に対応する位置に、ロック解除窓(56)が透孔をなすものとして形成されている。
【0011】
このようなもとで、第1の配線基板における第1のコネクタが取り付けられた面が第2の配線基板における第2のコネクタが取り付けられた面に対向するものとされて、第1の配線基板が第2の配線基板に対面近接して重ね合わせられる状態がとられ、それにより、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合せしめられて、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトが第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトに夫々接触接続される。それにより、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトと第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトとが相互接続されて、第1の配線基板と第2の配線基板とについての対面近接重ね合わせ連結が行われる。
【0012】
斯かる際、第2のコネクタにおける第2のハウジングに取り付けられたロックバネ(27)に形成された係合窓(29)が、第1のコネクタにおける第1のハウジングに形成された拘止突部(52)に係合して、第1のハウジングに対するロック状態をとり、第1のコネクタにおける第1のハウジングの第2のコネクタにおける第2のハウジングからの離脱を阻止する。それにより、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトと第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトとの相互接続状態が安定に維持され、その結果、第1の配線基板と第2の配線基板とについての対面近接重ね合わせ連結が安定に行われることが期待される。このとき、それに形成された係合窓(29)に第1のハウジングに形成された拘止突部(52)が係合するものとされたロックバネ(27)は、その先端部分が第1の配線基板に設けられたロック解除窓(56)を通じて第1の配線基板外に臨むものとされる。
【0013】
その後、第1の配線基板と第2の配線基板とを対面近接重ね合わせ連結状態から解放するにあたっては、第1の配線基板に設けられたロック解除窓(56)を通じて第1の配線基板外に臨むものとされたロックバネ(27)の先端部分が、それに対するロック解除窓(56)における第1の配線基板外からの操作により、ロックバネ(27)に形成された係合窓(29)が第1のハウジングに形成された拘止突部(52)との係合を解除するように変位せしめられ、それにより、ロックバネ(27)に形成された係合窓(29)による第1のハウジングに対するロック状態が解除される。従って、第1のコネクタ及び第2のコネクタの外部からそれらの相互係合状態を解除して、第1の配線基板と第2の配線基板とを対面近接重ね合わせ連結状態から解放することができる状態をとることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2000−260509号公報(段落0033〜0043,図4, 5)
【特許文献2】特開2004−55306号公報(段落0020〜0031,図1〜8)
【特許文献3】特開2006−244955号公報(段落0023〜0034,図1〜5,8,10,11,14,15)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述のような、従来提案されている、幾つかの、二つの配線基板についての対面近接重ね合わせ連結をするためのコネクタを含んだ基板連結装置にあっては、それらの夫々に次のような不都合が見られる。
【0016】
先ず、特許文献1に示される基板連結装置にあっては、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態のもとで、第1のコネクタにおける第1のハウジングの第2のコネクタにおける第2のハウジングからの離脱を阻止する機能を果たすロック手段あるいは係止手段が備えられていない。従って、例えば、相互係合した第1のコネクタと第2のコネクタとのうちのいずれか一方もしくは双方に不所望な外力が作用した場合に、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトと第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトとの相互接続状態が不安定なものとされ、その結果、第1の配線基板と第2の配線基板とについての対面近接重ね合わせ連結が安定に行われなくなってしまう虞がある。
【0017】
また、特許文献2に示される基板連結装置にあっては、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態のもとで、第1のコネクタにおける第1のハウジングの第2のコネクタにおける第2のハウジングからの離脱を阻止する機能を果たすロック手段あるいは係止手段として、第1のコネクタにおける第1のハウジングに圧入された保持具(30)の嵌合部(30m) に形成された爪部(30N) と、第2のコネクタにおける第2のハウジングに圧入された保持具(32)の弾性片(32mr)に形成され、それに爪部(30N) が係合する突起部(32mn)とが備えられている。しかしながら、爪部(30N) が形成された保持具(30)の嵌合部(30m) 及び突起部(32mn)が形成された保持具(32)の弾性片(32mr)の夫々の構造上、爪部(30N) の突起部(32mn)との係合は然程堅固なものとはされ得ず、それゆえ、例えば、相互係合した第1のコネクタと第2のコネクタとのうちのいずれか一方もしくは双方に、比較的大なる外力が不所望に作用した場合には、爪部(30N) が突起部(32mn)との係合から外れてしまい、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトと第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトとの相互接続状態が不安定なものとされ、その結果、第1の配線基板と第2の配線基板とについての対面近接重ね合わせ連結が安定に行われなくなる虞がある。
【0018】
さらに、特許文献3に示される基板連結装置にあっては、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態のもとで、第1のコネクタにおける第1のハウジングの第2のコネクタにおける第2のハウジングからの離脱を阻止する機能を果たすロック手段あるいは係止手段として、第1のコネクタにおける第1のハウジングに形成された拘止突部(52)と、第2のコネクタにおける第2のハウジングに取り付けられたロックバネ(27)に形成され、拘止突部(52)に係合して第1のハウジングに対するロック状態をとる係合窓(29)とが備えられている。しかしながら、第1のハウジングに形成された拘止突部(52)及び係合窓(29)が形成されて第2のハウジングに取り付けられたロックバネ(27)の夫々の構造上、係合窓(29)の拘止突部(52)との係合は然程堅固なものとはされ得ず、それゆえ、例えば、相互係合した第1のコネクタと第2のコネクタとのうちのいずれか一方もしくは双方に、比較的大なる外力が不所望に作用した場合には、係合窓(29)が拘止突部(52)との係合から外れてしまい、第1のコネクタが備える複数の第1のコンタクトと第2のコネクタが備える複数の第2のコンタクトとの相互接続状態が不安定なものとされ、その結果、第1の配線基板と第2の配線基板とについての対面近接重ね合わせ連結が安定に行われなくなる虞がある。
【0019】
それに加えて、特許文献3に示される基板連結装置には、第1の配線基板と第2の配線基板とを対面近接重ね合わせ連結状態から解放すべく、第1の配線基板に設けられたロック解除窓(56)を通じて第1の配線基板外に臨むものとされたロックバネ(27)の先端部分を、ロック解除窓(56)において第1の配線基板外から変位させる操作を行うにあたっては、斯かる操作のための特別な工具等が必要とされるという問題がある。
【0020】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、第1の配線基板と第2の配線基板とを対面近接重ね合わせ連結によって電気的に相互連結するための機構を成すものであって、第1の配線基板に固定される第1のハウジングを有した第1のコネクタと第2の配線基板に固定される第2のハウジングを有した第2のコネクタとを含んで構成され、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態のもとで、第2のコネクタにおける第2のハウジングの第1のコネクタにおける第1のハウジングからの不所望な離脱を阻止する係止手段を備え、斯かる手段により第1のコネクタと第2のコネクタとの相互係合状態を極めて安定かつ堅固に維持することができ、また、第1のコネクタと第2のコネクタとを相互係合状態から解放するにあたっては、特別な工具等の使用を必要としない極めて簡単で容易な操作により、しかも、第1のコネクタ及び第2のコネクタのいずれにも不所望な力を作用させることなく、第2のコネクタにおける第2のハウジングを第1のコネクタにおける第1のハウジングから離脱させることができる配線基板連結装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項8までのいずれかに記載された発明(以下、本願発明という。)に係る配線基板連結装置は、第1の配線基板に固定される第1のハウジング,各々が第1の配線基板に設けられた配線端子部に接続される基板接続部を有して第1のハウジングに配列配置された複数の第1のコンタクト、及び、第1のハウジングに装着された第1の取付金属部材とを備えた第1のコネクタと、第2の配線基板に固定され、第1のハウジングとの係合状態をとる第2のハウジング,各々が第2の配線基板に設けられた配線端子部に接続される基板接続部を有して第2のハウジングに配列配置され、複数の第1のコンタクトに夫々接触接続される状態をとる複数の第2のコンタクト, 第2のハウジングに装着された第2の取付金属部材、及び、第2のハウジングに対して移動可能に設けられ、押込み位置と引揚げ位置とを選択的にとる可動操作部材とを備えた第2のコネクタと,を含んで構成される。そして、第1の取付金属部材に第1の係合係止部が設けられるとともに、第2の取付金属部材に第2の係合係止部が設けられ、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとるとき、複数の第2のコンタクトが複数の第1のコンタクトに夫々接触接続されて、第2の配線基板が第1の配線基板に電気的に連結されるとともに、第2の係合係止部が第1の係合係止部に係合して第2のハウジングを第1のハウジングに対して係止し、さらに、第2の係合係止部が第1の係合係止部に対する係合状態をとるもとで可動操作部材が押込み位置をとるとき、もしくは、可動操作部材が押込み位置をとるもとで第2の係合係止部が第1の係合係止部に対する係合状態をとるとき、可動操作部材によって第2の係合係止部の第1の係合係止部に対する係合状態の解除が禁止され、可動操作部材が引揚げ位置をとるとき、第2の係合係止部の第1の係合係止部に対する係合状態の解除が許容される。
【0022】
第1の係合係止部が設けられた第1の取付金属部材は、第1の配線基板に接続されて、例えば、第1のハウジングの第1の配線基板に対する固定に寄与するとともにグラウンド電位が与えられる。同様に、第2の係合係止部が設けられた第2の取付金属部材は、第2の配線基板に接続されて、例えば、第2のハウジングの第2の配線基板に対する固定に寄与するとともにグラウンド電位が与えられる。
【0023】
上述のような本願発明に係る配線基板連結装置にあっては、第1の配線基板における第1のコネクタが有する第1のハウジングが固定された面に、第2の配線基板における第2のコネクタが有する第2のハウジングが固定された面が対向するものとされて、第2の配線基板が第1の配線基板に対面近接して重ね合わせられたとき、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとる。このとき、第2のハウジングに配列配置された複数の第2のコンタクトが、第1のハウジングに配列配置された複数の第1のコンタクトに夫々接触接続される。それにより、第1のコネクタと第2のコネクタとは相互係合状態におかれて、第2の配線基板に設けられた複数の配線端子部が、複数の第2のコンタクト及び複数の第1のコンタクトを介して、第1の配線基板に設けられた複数の配線端子部に夫々接続され、その結果、第1の配線基板と第2の配線基板とが対面近接重ね合わせ連結によって電気的に相互連結される。
【0024】
また、その際、第2のハウジングに装着された第2の取付金属部材に設けられた第2の係合係止部が、第1のハウジングに装着された第1の取付金属部材に設けられた第1の係合係止部に対する係合状態をとり、第2のハウジングを第1のハウジングに対して係止する。そして、第2のハウジングに対して移動可能に設けられて押込み位置と引揚げ位置とを選択的にとるものとされた可動操作部材が、第2の係合係止部が第1の係合係止部に対する係合状態をとるもとで押込み位置をとるとき、もしくは、可動操作部材が押込み位置をとるもとで、第2の係合係止部が第1の係合係止部に対する係合状態をとるとき、可動操作部材によって第2の係合係止部の第1の係合係止部に対する係合状態の解除が禁止される。その後、可動操作部材が引揚げ位置をとるものとされるとき、第2の係合係止部の第1の係合係止部に対する係合状態の解除が許容される。即ち、第1の係合係止部と第2の係合係止部とは、第2のコネクタにおける第2のハウジングの第1のコネクタにおける第1のハウジングからの不所望な離脱を阻止する係止手段を構成しているのである。
【0025】
斯かる係止手段にあっては、第2の取付金属部材に設けられた第2の係合係止部が、例えば、第2のハウジングに対して移動可能とされ、可動操作部材が押込み位置をとるとき、その可動操作部材が第2の係合係止部の第2のハウジングに対する移動を阻止するものとされる。そして、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとるもとで可動操作部材が押込み位置をとるときには、それにより、第2の係合係止部の第1の係合係止部に対する係合状態の解除が禁止される。
【0026】
また、第1の取付金属部材に設けられた第1の係合係止部が、例えば、第2の係合係止部が第2のハウジングに対して移動可能とされ、可動操作部材が押込み位置をとるときには第2の係合係止部の第2のハウジングに対する移動が阻止されるもとで、第1のハウジングに対して移動可能に設けられ、可動操作部材が押込み位置をとるもとで第2の係合係止部が第1の係合係止部に当接するとき、第1の係合係止部が、第1のハウジングに対する移動を生じて、第2の係合係止部に第1の係合部材との係合状態をとらせる。
【0027】
そして、可動操作部材に押込み位置をとらせるための操作及び可動操作部材に引揚げ位置をとらせるための操作は、特別な工具等を用いることなく可動操作部材に直接に加えられる極めて簡単で容易なものとされる。斯かる操作のため、可動操作部材は、例えば、複数の第2のコンタクトの配列方向に伸びる棒状部材とされ、その棒状部材が、複数の第2のコンタクトの配列方向に沿う中間部とその両端に夫々設けられた屈曲部とを有し、中間部が、第2の配線基板外に突出するとともに、屈曲部が中間部分から第2の配線基板に設けられた透孔を通じて第2のハウジング内に伸びて、第2の係合係止部の第2のハウジングに対する移動を阻止する状態をとり得るものとされる。
【発明の効果】
【0028】
本願発明に係る配線基板連結装置にあっては、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態におかれ、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとり、第2のハウジングに配列配置された複数の第2のコンタクトが第1のハウジングに配列配置された複数の第1のコンタクトに夫々接触接続されたとき、第2のハウジングに装着された第2の取付金属部材に設けられた第2の係合係止部が、第1のハウジングに装着された第1の取付金属部材に設けられた第1の係合係止部に係合して、第2のハウジングを第1のハウジングに対して係止する係合状態をとる。そして、このようなもとで、可動操作部材が押込み位置をとるものとされると、その可動操作部材によって第2の係合係止部の第1の係合係止部に対する係合状態の解除が禁止され、その結果、第2のハウジングの第1のハウジングからの不所望な離脱が阻止される。斯かる際、例えば、第2の係合係止部が第2のハウジングに対して移動可能とされ、斯かるもとで、押込み位置をとる可動操作部材が第2の係合係止部の第2のハウジングに対する移動を阻止し、それにより、第2の係合係止部の第1の係合係止部に対する係合状態の解除が禁止される。
【0029】
従って、本願発明に係る配線基板連結装置によれば、第1のハウジングに装着された第1の取付金属部材に設けられた第1の係合係止部と第2のハウジングに装着された第2の取付金属部材に設けられた第2の係合係止部とが、第2のコネクタにおける第2のハウジングの第1のコネクタにおける第1のハウジングからの不所望な離脱を阻止する係止手段を構成するもとにおいて、第1の係合係止部に係合した係合状態をとる第2の係合係止部が、押込み位置をとる可動操作部材によって第1の係合係止部との係合状態の解除が禁止されるものとされるので、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとり、それに伴って、第2のハウジングに配列配置された複数の第2のコンタクトが第1のハウジングに配列配置された複数の第1のコンタクトとの接触接続状態をとる、第1のコネクタと第2のコネクタとの相互係合状態を、極めて安定かつ堅固に維持することができる。
【0030】
第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態におかれ、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとったもとで、可動操作部材に押込み位置をとらせる操作は、例えば、その一部が第2のハウジングが固定された第2の配線基板外に突出するものとされる可動操作部材を、第2の配線基板外から第2のハウジング内に向かう方向に押し込むだけの、極めて簡単で容易なものとされる。従って、特別な工具等の使用を必要としない極めて簡単で容易な操作により、しかも、第1のコネクタ及び第2のコネクタのいずれにも不所望な力を作用させることなく、第2のハウジングに装着された第2の取付金属部材に設けられた第2の係合係止部を、第1のハウジングに装着された第1の取付金属部材に設けられた第1の係合係止部との係合状態の解除が禁止される状態におくことができることになる。
【0031】
さらに、本願発明に係る配線基板連結装置にあっては、第2のハウジングに装着された第2の取付金属部材に設けられた第2の係合係止部が第1のハウジングに装着された第1の取付金属部材に設けられた第1の係合係止部との係合状態をとるもとで、押込み位置をとっていた可動操作部材が引揚げ位置をとるものとされると、可動操作部材による第2の係合係止部の第1の係合係止部との係合状態の解除禁止が解かれる。それにより、第2の係合係止部の第1の係合係止部に対する移動が可能とされ、第2の係合係止部の第1の係合係止部に対する係合状態の解除が許容されて、第1のコネクタと第2のコネクタとを相互係合状態から解放することができる状態が得られる。
【0032】
斯かるもとで、第1のコネクタと第2のコネクタとが相互係合した状態におかれ、第2のハウジングが第1のハウジングとの係合状態をとったもとで、押込み位置をとっていた可動操作部材に引揚げ位置をとらせる操作は、例えば、その一部が第2のハウジングが固定された第2の配線基板外に突出する可動操作部材を、第2のハウジング内から第2の配線基板外に向かう方向に引き揚げるだけの、極めて簡単で容易なものとされる。従って、特別な工具等の使用を必要としない極めて簡単で容易な操作により、しかも、第1のコネクタ及び第2のコネクタのいずれにも不所望な力を作用させることなく、第2のハウジングに装着された第2の取付金属部材に設けられた第2の係合係止部についての、第1のハウジングに装着された第1の取付金属部材に設けられた第1の係合係止部との係合状態の解除禁止を解いて、第1のコネクタと第2のコネクタとを相互係合状態から解放することができる状態におくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本願発明に係る配線基板連結装置の一例を構成するプラグコネクタをそのハウジングが固定された第1の配線基板と共に示す斜視図である。
図2図1に示されるプラグコネクタと第1の配線基板とを示す平面図である。
図3図1に示されるプラグコネクタが備えるプラグ側取付金属部材を単体で示す斜視図である。
図4】本願発明に係る配線基板連結装置の一例を構成するリセプタクルコネクタの部分をリセプタクルコネクタのハウジングが固定された第2の配線基板と共に示す斜視図である。
図5】本願発明に係る配線基板連結装置の一例を構成するリセプタクルコネクタを示す斜視図である。
図6図5に示されるリセプタクルコネクタを示す平面図である。
図7図5に示されるリセプタクルコネクタをそのハウジングが固定された第2の配線基板と共に示す底面図である。
図8図5に示されるリセプタクルコネクタが備えるリセプタクル側取付金属部材を単体で示す斜視図である。
図9図5に示されるリセプタクルコネクタが備えるリセプタクル側取付金属部材を単体で示す斜視図である。
図10図5に示されるリセプタクルコネクタをそのハウジングに可動操作部材が装着される前の状態をもって示す斜視図である。
図11図5に示されるリセプタクルコネクタを、そのハウジングが固定された第2の配線基板と共に、そのハウジングに可動操作部材が装着される前の状態をもって示す断面図である。
図12図5に示されるリセプタクルコネクタをそのハウジングに可動操作部材が装着される途中の状態をもって示す斜視図である。
図13図5に示されるリセプタクルコネクタを、そのハウジングが固定された第2の配線基板と共に、そのハウジングに可動操作部材が装着される途中の状態をもって示す断面図である。
図14図5に示されるリセプタクルコネクタをそのハウジングに可動操作部材が装着されて引揚げ位置をとる状態をもって示す断面図である。
図15図1に示される第1の配線基板を伴ったプラグコネクタと図4に示される第2の配線基板を伴ったリセプタクルコネクタとが相互対向配置された状態を示す斜視図である。
図16】相互対向配置されたプラグコネクタと第2の配線基板を伴ったリセプタクルコネクタとの夫々の部分を示す断面図である。
図17図1に示されるプラグコネクタに図5に示されるリセプタクルコネクタが係合せしめられる途中の状態を部分的に示す断面図である。
図18図1に示されるプラグコネクタに図5に示されるリセプタクルコネクタが係合せしめられ、リセプタクルコネクタに備えられた可動操作部材が引揚げ位置をとる状態を部分的に示す断面図である。
図19図1に示されるプラグコネクタに図5に示されるリセプタクルコネクタが係合せしめられ、リセプタクルコネクタに備えられた可動操作部材が押込み位置をとる状態を部分的に示す断面図である。
図20図1に示されるプラグコネクタに図5に示されるリセプタクルコネクタがそれに備えられた可動操作部材が押込み位置をとるもとで係合せしめられる途中の状態を部分的に示す断面図である。
図21図1に示される第1の配線基板を伴ったプラグコネクタに図4に示される第2の配線基板を伴ったリセプタクルコネクタが係合せしめられた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本願発明を実施するための形態は、以下に述べられる本願発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0035】
図1(斜視図)及び図2(平面図)は、本願発明に係る配線基板連結装置の一例を構成する第1のコネクタを成すプラグコネクタ11及びプラグコネクタ11が取り付けられた配線基板(第1の配線基板)12を示す。プラグコネクタ11は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング13を備えており、ハウジング13は配線基板12における面の一つに固定されている。
【0036】
ハウジング13には、その長手方向に沿って互いに平行に伸びる一対の横長凸部14が形成されており、一対の横長凸部14の夫々には、複数のプラグ側コンタクト(第1のコンタクト)15の一部分がハウジング13の長手方向に沿って配列配置されている。複数のプラグ側コンタクト15の夫々は、弾性を有した導電性板材により形成された屈曲帯状部材を成すものとされていて、配線基板12に設けられた配線端子部12aに、例えば、半田付けにより接続される基板接続部15aと、後述される第2のコネクタを成すリセプタクルコネクタに備えられるリセプタクル側コンタクトに当接する接触接続部15bとが、夫々帯状部材の両端部分を成すものとして設けられている。
【0037】
上述のようにして、各々の一部分が一対の横長凸部14のいずれかに配された複数のプラグ側コンタクト15は、夫々が基板接続部15aと接触接続部15bとが設けられたものとされ、各々の接触接続部15bを相互対向させる2個の列を成す状態をもって、ハウジング13にその長手方向に沿って配列配置されていることになる。
【0038】
また、ハウジング13には、プラグ側取付金属部材16が、ハウジング13の周側壁部の外面を全面的に覆う状態をもって装着されている。なお、図1及び図2に示されるプラグ側取付金属部材16は、ハウジング13の周側壁部の外面を全面的に覆う状態をもってハウジング13に装着されているが、斯かるプラグ側取付金属部材16に代えて、ハウジング13の周側壁部の外面を全面的ではなく部分的に覆う状態をもってハウジング13に装着されるものとされるプラグ側取付金属部材16が用いられてもよい。
【0039】
プラグ側取付金属部材16は、ハウジング13の長手方向に一致する複数のプラグ側コンタクト15の配列方向(以下、第1のコンタクト配列方向という。)に伸びて相互対向する一対の長平板状部16aと、第1のコンタクト配列方向に伸びて相互対向する一対の短平板状部16bとを有している。一対の長平板状部16aのうちの一方は、重ね継ぎ部16cを含んでいる。そして、一対の短平板状部16bのうちの一方は、一対の長平板状部16aの夫々における第1のコンタクト配列方向における両端部のうちの一方同士を連結しており、また、一対の短平板状部16bのうちの他方は、一対の長平板状部16aの夫々における第1のコンタクト配列方向における両端部のうちの他方同士を連結している。それにより、一対の短平板状部16bは、プラグ側取付金属部材16における第1のコンタクト配列方向において対向する両端部を夫々構成していることになる。
【0040】
図3に示されるように、プラグ側取付金属部材16においては、一対の長平板状部16aの夫々における図3において上端縁部分となる部分に、複数のハウジング係合部17が形成されており、さらに、一対の長平板状部16aの夫々における図3において下端縁部分となる部分に、複数のグラウンド接続取付部18が形成されている。また、一対の短平板状部16bの夫々における図3において上端縁部分となる部分に、それからプラグ側取付金属部材16の内側に屈曲して伸びる係合係止部(第1の係合係止部)19が設けられており、この係合係止部19は、それに、後述される第2のコネクタを成すリセプタクルコネクタに備えられたリセプタクル側取付金属部材に設けられた係合係止部(第2の係合係止部)が係合するものとされている。
【0041】
各々に係合係止部19が設けられて相互対向する一対の短平板状部16bは、夫々の係合係止部19を伴って相互間の間隔を広げる方向もしくは狭める方向に弾性変位することが可能なものとされている。それにより、例えば、係合係止部19にプラグ側取付金属部材16の内側から外側に向かう所定以上の押圧力が作用するときには、短平板状部16bが係合係止部19を伴ってプラグ側取付金属部材16の外側に向かって弾性変位する。
【0042】
図1に示されるように、プラグ側取付金属部材16に設けられた複数のハウジング係合部17は、プラグ側取付金属部材16がハウジング13に装着されるにあたって、ハウジング13の図1において上端部分となる部分に係合し、また、プラグ側取付金属部材16に設けられた複数のグラウンド接続取付部18の夫々は、プラグ側取付金属部材16がハウジング13に装着されたもとにおいて、配線基板12に設けられたグラウンド電位部12bに、例えば、半田付けにより接続される。それにより、ハウジング13に装着されたプラグ側取付金属部材16が、配線基板12に取り付けられ、ハウジング13の配線基板12に対する固定に寄与するとともにグラウンド電位が与えられるものとされる。
【0043】
図4(斜視図)及び図7(底面図)は、本願発明に係る配線基板連結装置の一例を、図1及び図2に示されるプラグコネクタと共に構成する、第2のコネクタを成すリセプタクルコネクタ21の部分及びリセプタクルコネクタ21が取り付けられた配線基板(第2の配線基板)22を示す。図4においては、リセプタクルコネクタ21は、配線基板22の図4における下面側に取り付けられている。そして、配線基板22には、一対の矩形透孔23が形成されており、リセプタクルコネクタ21の一部を成す部材が、矩形透孔23を通じて、配線基板22の図4における上面側の外部に導出されている。また、図5(斜視図)及び図6(平面図)は、リセプタクルコネクタ21を、それが取り付けられた配線基板22を取り除いた状態をもって示す。
【0044】
図5図7に示されるように、リセプタクルコネクタ21は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング24を備えており、ハウジング24は配線基板22の面の一つに固定されている。ハウジング24には、各々が弾性を有した導電性板材により形成された屈曲帯状部材を成す複数のリセプタクル側コンタクト(第2のコンタクト)25が、各々がハウジング24の長手方向に沿って伸びて相互対向する2個の列を成すものとして配列配置されている。複数のリセプタクル側コンタクト25の夫々には、配線基板22に設けられた配線端子部22aに、例えば、半田付けによって接続される基板接続部25aと、第1のコネクタを成すプラグコネクタ11が備えるプラグ側コンタクト15に設けられた接触接続部15bに当接するものとされる接触接続部25bとが、リセプタクル側コンタクト25の部分を成すものとして設けられている。
【0045】
また、ハウジング24には、ハウジング24の長手方向に一致する複数のリセプタクル側コンタクト25の配列方向(以下、第2のコンタクト配列方向という。)における両端部分に、一対のリセプタクル側取付金属部材26が、相互対向する状態をもって装着されている。これら一対のリセプタクル側取付金属部材26は、各々が単体とされた状態をもって、図8及び図9に夫々示されている。
【0046】
図8及び図9に示されるように、リセプタクル側取付金属部材26は、相互対向して配された一対の対向平板状部27と一対の対向平板状部27を連結する連結平板状部28とを有している。そして、一対の対向平板状部27には、一対のグラウンド接続取付部29が夫々設けられるとともに、一対の弾性片持片部30が各々の自由端部を相互対向させて夫々設けられている。また、連結平板状部28には、係合係止部(第2の係合係止部)31が設けられている。この係合係止部31は、前述の第1のコネクタを成すプラグコネクタ11に備えられたプラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19に係合するものとされている。
【0047】
係合係止部31は、リセプタクル側取付金属部材26における連結平板状部28の一部分が切り起こされて形成されており、リセプタクル側取付金属部材26の外方に突出する一対の突起部33を含んで構成されている。一対の突起部33の夫々は、図8及び図9において上方に向いた傾斜面33aと図8及び図9において下方に向いた傾斜面33bとを有している。このような係合係止部31を構成する一対の突起部33が形成された連結平板状部28は、一対の突起部33を伴って、リセプタクル側取付金属部材26の外側に向かう方向及びリセプタクル側取付金属部材26の内側に向かう方向に弾性揺動することが可能とされている。
【0048】
リセプタクル側取付金属部材26に設けられた一対のグラウンド接続取付部29は、リセプタクル側取付金属部材26がハウジング24に装着されたもとにおいて、配線基板22に設けられたグラウンド電位部22bに、例えば、半田付けにより接続される。それにより、ハウジング24に装着されたリセプタクル側取付金属部材26が、配線基板22に取り付けられ、ハウジング24の配線基板22に対する固定に寄与するとともにグラウンド電位が与えられるものとされる。
【0049】
さらに、リセプタクルコネクタ21には、ハウジング24に対して移動可能に設けられる可動操作部材35が備えられる。可動操作部材35は、その全体が、例えば、棒状金属材料に屈曲加工が施されて形成されて第2のコンタクト配列方向に伸びる棒状部材とされ、ハウジング24外において第2のコンタクト配列方向に沿う中間部36と、中間部36の両端に夫々設けられてハウジング24の内部へと伸びる一対の屈曲部37とを有している。中間部36には、薄いシート材によって形成された操作タグ38が装着されている。リセプタクルコネクタ21が配線基板22に取り付けられたもとにあっては、図4に示されるように、可動操作部材35の中間部36が配線基板22外に突出するとともに、可動操作部材35の屈曲部37が中間部36の両端の夫々から配線基板22に設けられた矩形透孔23を通じてハウジング24内に伸びるものとされる。
【0050】
そして、配線基板22に取り付けられたリセプタクルコネクタ21に備えられた可動操作部材35は、操作タグ38が装着された中間部36が配線基板22外において配線基板22に近接せしめられる押込み位置と、操作タグ38が装着された中間部36が配線基板22外において配線基板22から離隔せしめられる引揚げ位置とを選択的にとる。可動操作部材35が押込み位置をとるものとされるときには、例えば、引揚げ位置をとる可動操作部材35に、その中間部36をハウジング24に向かう方向に変位させる押込み操作が加えられ、また、可動操作部材35が引揚げ位置をとるものとされるときには、例えば、押込み位置をとる可動操作部材35に、その中間部36をハウジング24から離隔する方向に変位させる引揚げ操作が加えられる。可動操作部材35に加えられる、その中間部36をハウジング24から離隔する方向に変位させる引揚げ操作は、例えば、中間部36に装着された操作タグ38が引き揚げられることによって行われる。
【0051】
可動操作部材35の中間部36の両端部の夫々からハウジング24の内部へと伸びる屈曲部37は、可動操作部材35が押込み位置をとるとき、ハウジング24内においてリセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31に当接もしくは近接する可動操作部材35の端部を形成している。ハウジング24内において係合係止部31に当接もしくは近接した可動操作部材35の端部は、係合係止部31の移動を阻止する役割を果たす。
【0052】
また、可動操作部材35の中間部36の両端の夫々からハウジング24の内部へと伸びる屈曲部37は、その先端部分37aがさらに屈曲されて中間部36と平行となる方向に伸びるものとされる。そして、斯かる屈曲部37の先端部分37aは、可動操作部材35が引揚げ位置をとるとき、一対のリセプタクル側取付金属部材26の夫々に設けられた一対の弾性片持片部30に係合する状態をとる。屈曲部37の先端部分37aが一対の弾性片持片部30に係合する状態をとるときには、一対の弾性片持片部30は、屈曲部37についての位置規制を行う位置規制部を構成する。従って、一対のリセプタクル側取付金属部材26の夫々には、可動操作部材35が引揚げ位置をとるとき可動操作部材35の一対の屈曲部37の夫々についての位置規制を行う位置規制部が設けられていることになる。
【0053】
斯かるもとで、配線基板22に固定されたリセプタクルコネクタ21のハウジング24に可動操作部材35が装着されるにあたっては、先ず、図10及び図11に示されるように、配線基板22に固定されたリセプタクルコネクタ21のハウジング24に対して、可動操作部材35が、それにおける一対の屈曲部37の先端部分37aを配線基板22に設けられた一対の矩形透孔23に夫々対応する位置をとらせる状態をもって、対向配置される。
【0054】
次に、図12及び図13に示されるように、可動操作部材35がリセプタクルコネクタ21のハウジング24に向かう方向、即ち、図12及び図13における下方に移動せしめられる。その際、可動操作部材35における一対の屈曲部37の先端部分37aの夫々が、配線基板22外から配線基板22に設けられた一対の矩形透孔23を通じてハウジング24内へと移動せしめられ、一対のリセプタクル側取付金属部材26の夫々に設けられた一対の弾性片持片部30に当接して、当該一対の弾性片持片部30をハウジング24の内部へと弾性変位させ、相互対向する一対の弾性片持片部30の各々の自由端部間の間隔を増大させる。
【0055】
その後、図12及び図13における下方に移動せしめられる可動操作部材35における一対の屈曲部37の先端部分37aの夫々が、一対のリセプタクル側取付金属部材26の夫々に設けられた一対の弾性片持片部30の夫々の自由端部間を通過して、ハウジング24内における所定の位置に到達するものとされ、それにより、配線基板22に固定されたリセプタクルコネクタ21のハウジング24に可動操作部材35が装着された状態が得られる。そして、ハウジング24の内部へと弾性変位せしめられた一対の弾性片持片部30の夫々は、自らの弾性復元力によって、元の位置に復帰する。
【0056】
このようにして、配線基板22に固定されたリセプタクルコネクタ21のハウジング24に装着された可動操作部材35は、例えば、図14に示されるように、例えば、引揚げ位置をとるものとされ、その際、可動操作部材35における一対の屈曲部37の先端部分37aの夫々が、一対のリセプタクル側取付金属部材26の夫々に設けられた一対の弾性片持片部30に係合する状態をとり、一対の弾性片持片部30が、屈曲部37についての位置規制を行う。
【0057】
このようなもとで、配線基板22におけるリセプタクルコネクタ21が有するハウジング24が固定された面が、配線基板12におけるプラグコネクタ11が有するハウジング13が固定された面に対向するものとされて、配線基板22が配線基板12に対面近接して重ね合わせられるとき、本願発明に係る配線基板連結装置の一例を構成する第1のコネクタと第2のコネクタとを夫々成すプラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ21とが相互係合状態をとる。斯かる際には、先ず、図15に示されるように、配線基板12を伴ったプラグコネクタ11 に対して配線基板22を伴ったリセプタクルコネクタ21が対向配置される。
【0058】
このとき、リセプタクルコネクタ21のハウジング24に配列配置された複数のリセプタクル側コンタクト25が、プラグコネクタ11のハウジング13に配列配置された複数のプラグ側コンタクト15に夫々対応する位置をとるものとされ、また、図16に示されるように、リセプタクルコネクタ21のハウジング24に装着されたリセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31が、プラグコネクタ11のハウジング13に装着されたプラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19に対応する位置をとるものとされる。さらに、図15に示されるように、リセプタクルコネクタ21に備えられた可動操作部材35が引揚げ位置をとるものとされ、図16に示されるように、配線基板22に設けられた矩形透孔23に対応する位置におかれた可動操作部材35における屈曲部37の先端部分37aが、リセプタクル側取付金属部材26に設けられた弾性片持片部30に当接し、それにより、可動操作部材35における屈曲部37が位置規制された状態におかれる。
【0059】
次に、配線基板22が、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24が固定された面を配線基板12のプラグコネクタ11が有するハウジング13が固定された面に近接させるべく移動せしめられると、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24のプラグコネクタ11が有するハウジング13との嵌合が開始され、それに伴って、リセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31が、プラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19との係合を開始する。斯かる際には、先ず、係合係止部31を構成する突起部33が有する傾斜面33bが、プラグ側取付金属部材16における係合係止部19が形成された部分に当接しつつ配線基板12に向かって移動し、その後、図17に示されるように、係合係止部31を構成する突起部33の先端がプラグ側取付金属部材16における係合係止部19が形成された部分に当接する状態がとられる。それにより、突起部33がプラグ側取付金属部材16における係合係止部19が形成された部分から押圧反力を受け、突起部33が形成されたリセプタクル側取付金属部材26における連結平板状部28が、ハウジング24に対し、突起部33を伴ってリセプタクル側取付金属部材26の内側に向かう方向に弾性揺動をもって移動して変位する。
【0060】
その後、配線基板22が、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24が固定された面を配線基板12のプラグコネクタ11が有するハウジング13が固定された面に更に近接させるべく移動せしめられると、図18に示されるように、リセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31を構成する突起部33が、それが有する傾斜面33aをプラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19が形成するエッジ部分に当接させて、係合係止部19に係合する。それにより、リセプタクルコネクタ21における係合係止部31がプラグコネクタ11における係合係止部19との係合状態におかれることになり、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24のプラグコネクタ11が有するハウジング13との嵌合が完了する。リセプタクル側取付金属部材26の内側に向かう方向に弾性揺動をもって移動したリセプタクル側取付金属部材26における連結平板状部28は、その後、自らの弾性復元力によって元の状態に戻る。
【0061】
続いて、リセプタクルコネクタ21に備えられた可動操作部35が、図15に示されるように引揚げ位置をとる状態から、例えば、その中間部36をハウジング24に向かう方向に変位させる押込み操作が加えられて、押込み位置をとる状態に移行せしめられる。それに伴って、図19に示されるように、可動操作部材35における屈曲部37の先端部分37aが、プラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19に係合したリセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31に当接もしくは近接した位置をとるものとされ、それにより、可動操作部材35における屈曲部37の先端部分37aによって、係合係止部31を構成する突起部33が形成されたリセプタクル側取付金属部材26における連結平板状部28の、ハウジング24に対するリセプタクル側取付金属部材26の内側に向かう方向の移動が阻止される。その結果、係合係止部31の係合係止部19に対する係合状態の解除が禁止されることになる。
【0062】
このように、可動操作部材35は、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24がプラグコネクタ11が有するハウジング13に嵌合したもとで押込み位置をとる状態におかれるとき、それにおける屈曲部37の先端部分37aを係合係止部19に係合した係合係止部31に当接もしくは近接させて、係合係止部31のハウジング24に対するリセプタクル側取付金属部材26の内側に向かう方向の移動を阻止し、係合係止部31の係合係止部19に対する係合状態の解除を禁止するものとされるのである。
【0063】
上述においては、リセプタクルコネクタ21に備えられた可動操作部材35が引揚げ位置をとるものとされたもとで、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24のプラグコネクタ11が有するハウジング13との嵌合が開始され、それに伴って、リセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31が、プラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19との係合を開始するものとされたが、場合によっては、リセプタクルコネクタ21に備えられた可動操作部材35が押込み位置をとるものとされたもとで、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24のプラグコネクタ11が有するハウジング13との嵌合が開始され、それに伴って、リセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31が、プラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19との係合を開始するものとされることも考えられる。
【0064】
斯かる場合には、図20に示されるように、可動操作部材35における屈曲部37の先端部分37aによってハウジング24に対するリセプタクル側取付金属部材26の内側に向かう方向の移動が阻止された係合係止部31を構成する突起部33の先端が、プラグ側取付金属部材16における係合係止部19が形成された部分に当接するとき、係合係止部19が形成されたプラグ側取付金属部材16における短平板状部16bが、係合係止部19を伴ってプラグ側取付金属部材16の外側に向かって弾性変位する。それにより、先端をプラグ側取付金属部材16における係合係止部19が形成された部分に当接させた突起部33が、配線基板12に向かって移動し得るものとされる。その後、突起部33が、それが有する傾斜面33aをプラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19が形成するエッジ部分に当接させて、係合係止部19に係合する状態がとられ、リセプタクルコネクタ21における係合係止部31がプラグコネクタ11における係合係止部19との係合状態におかれることになる。プラグ側取付金属部材16の外側に向かって弾性変位したプラグ側取付金属部材16における短平板状部16bは、その後、自らの弾性復元力によって元の状態に戻る。
【0065】
係合係止部31を構成する突起部33が係合係止部19に係合したもとにあっては、突起部33が有する傾斜面33aが係合係止部19が形成するエッジ部分に当接する状態がとられるので、たとえ、係合係止部31を構成する突起部33に配線基板12から離隔せしめられることになる方向の力が作用する場合にも、斯かる力は係合係止部19が形成するエッジ部分によって受け止められ、係合係止部19が形成されたプラグ側取付金属部材16における短平板状部16bがプラグ側取付金属部材16の外側に向かって弾性変位する事態はもたらされず、係合係止部31の係合係止部19に対する係合状態の解除が禁止される。
【0066】
上述のようにして、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24がプラグコネクタ11が有するハウジング13に嵌合し、リセプタクルコネクタ21における係合係止部31のプラグコネクタ11における係合係止部19に対する係合状態の解除が禁止される状態がとられて、配線基板22を伴ったリセプタクルコネクタ21と配線基板12を伴ったプラグコネクタ11とが相互係合状態におかれることになる。
【0067】
斯かるもとにあっては、図21に示されるように、リセプタクルコネクタ21のハウジング24に配列配置された複数のリセプタクル側コンタクト25における接触接続部25bが、プラグコネクタ11のハウジング13に配列配置された複数のプラグ側コンタクト15における接触接続部15bに夫々接触接続される。それにより、複数のリセプタクル側コンタクト25における基板接続部25aが夫々接続された配線基板22に設けられた複数の配線端子部22aが、複数のリセプタクル側コンタクト25及び複数のプラグ側コンタクト15を介して、複数のプラグ側コンタクト15における基板接続部15aが夫々接続された配線基板12に設けられた複数の配線端子部12aに夫々連結され、配線基板12と配線基板22とが電気的に相互連結される。
【0068】
また、このとき、図19に示されるように、リセプタクルコネクタ21のハウジング24に装着されたリセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31が、プラグコネクタ11のハウジング13に装着されたプラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19との係合状態をとるので、リセプタクルコネクタ21のハウジング24のプラグコネクタ11のハウジング13からの不所望な離脱が阻止される。
【0069】
リセプタクルコネクタ21がプラグコネクタ11に係合したもとで、必要に応じて、例えば、可動操作部材35の中間部36に装着された操作タグ38が引き揚げられる操作が行われ、それに伴って可動操作部材35が引揚げ位置をとるものとされるときには、係合係止部19に係合した係合係止部31に当接もしくは近接した位置におかれた可動操作部材35における屈曲部37の先端部分37aが、配線基板12から離隔するように移動せしめられて配線基板22に近接した位置をとるものとされる。それにより、係合係止部31を構成する突起部33が形成されたリセプタクル側取付金属部材26における連結平板状部28が、ハウジング24に対し、突起部33を伴ってリセプタクル側取付金属部材26の内側に向かう方向に弾性揺動をもって移動し得るものとされて、係合係止部31の係合係止部19に対する係合状態の解除が許容される。その結果、リセプタクルコネクタ21が備えるハウジング24のプラグコネクタ11が備えるハウジング13からの離脱が可能とされて、リセプタクルコネクタ21がプラグコネクタ11との係合状態を解除し得るものとされる。
【0070】
上述のようなプラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ21とを含んで構成される本願発明に係る配線基板連結装置の一例によれば、プラグコネクタ11が有するハウジング13に装着されたプラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19とリセプタクルコネクタ21が有するハウジング24に装着されたリセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31とが、リセプタクルコネクタ21におけるハウジング24のプラグコネクタ11におけるハウジング13からの不所望な離脱を阻止する係止手段を構成するもとにおいて、係合係止部19に係合した係合状態をとる係合係止部31が、押込み位置をとる可動操作部材35によって係合係止部19との係合状態の解除が禁止されるものとされるので、プラグコネクタ11が有するハウジング13がリセプタクルコネクタ21が有するハウジング24との係合状態をとり、それに伴って、ハウジング24に配列配置された複数のリセプタクル側コンタクト25がハウジング13に配列配置された複数のプラグ側コンタクト15との接触接続状態をとる、プラグコネクタ11とリセプタクルのコネクタ21との相互係合状態を、極めて安定かつ堅固に維持することができる。
【0071】
プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ21とが相互係合した状態におかれ、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24がプラグコネクタ11が有するハウジング13との係合状態をとったもとで、可動操作部材35に押込み位置をとらせる操作は、例えば、ハウジング24が固定された配線基板22外に突出するものとされる可動操作部材35の中間部36を、配線基板22外からハウジング24内に向かう方向に押し込むだけの、極めて簡単で容易なものとされる。従って、特別な工具等の使用を必要としない極めて簡単で容易な操作により、しかも、プラグコネクタ11及びリセプタクルコネクタ21のいずれにも不所望な力を作用させることなく、ハウジング24に装着されたリセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31を、ハウジング13に装着されたプラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19との係合状態の解除が禁止される状態におくことができることになる。
【0072】
さらに、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ21とを含んで構成される本願発明に係る配線基板連結装置の一例にあっては、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24に装着されたリセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31が、プラグコネクタ11が有するハウジング13に装着されたプラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19との係合状態をとるもとで、押込み位置をとっていた可動操作部材35が引揚げ位置をとるものとされると、可動操作部材35による係合係止部31の係合係止部19との係合状態の解除禁止が解かれる。それにより、係合係止部31の係合係止部19に対する移動が可能とされ、係合係止部31の係合係止部19に対する係合状態の解除が許容されて、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ21とを相互係合状態から解放することができる状態が得られる。
【0073】
斯かるもとで、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ21とが相互係合した状態におかれ、リセプタクルコネクタ21が有するハウジング24がプラグコネクタ11が有するハウジング13との係合状態をとったもとで、押込み位置をとっていた可動操作部材35に引揚げ位置をとらせる操作は、例えば、ハウジング24が固定された配線基板22外に突出する可動操作部材35の中間部36を、ハウジング24内から配線基板22外に向かう方向に引き揚げるだけの、極めて簡単で容易なものとされる。従って、特別な工具等の使用を必要としない極めて簡単で容易な操作により、しかも、プラグコネクタ11及びリセプタクルコネクタ21のいずれにも不所望な力を作用させることなく、ハウジング24に装着されたリセプタクル側取付金属部材26に設けられた係合係止部31についての、ハウジング13に装着されたプラグ側取付金属部材16に設けられた係合係止部19との係合状態の解除禁止を解いて、プラグコネクタ11とリセプタクルコネクタ21とを相互係合状態から解放することができる状態におくことができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のような本願発明に係る配線基板連結装置は、第1の配線基板と第2の配線基板とを対面近接重ね合わせ連結によって電気的に相互連結するための機構を成すものであって、第1の配線基板を伴った第1のコネクタと第2の配線基板を伴った第2のコネクタとを含んで構成され、第2のコネクタにおける第2のハウジングの第1のコネクタにおける第1のハウジングからの不所望な離脱を阻止する係止手段を備え、斯かる手段により第1のコネクタと第2のコネクタとの相互係合状態を極めて安定かつ堅固に維持することができ、また、特別な工具等の使用を必要としない極めて簡単で容易な操作により、しかも、第1のコネクタ及び第2のコネクタのいずれにも不所望な力を作用させることなく、第2のコネクタにおける第2のハウジングを第1のコネクタにおける第1のハウジングから離脱させることができるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0075】
11 ・・・プラグコネクタ(第1のコネクタ), 12,22・・・配線基板, 13,24・・・ハウジング, 14・・・横長凸部, 15・・・プラグ側コンタクト(第1のコンタクト), 15a,25a・・・基板接続部, 15b,25b・・・接触接続部, 16・・・プラグ側取付金属部材, 16a・・・長平板状部, 16b・・・短平板状部, 18,29・・・グラウンド接続取付部, 19,31・・・係合係止部, 21・・・リセプタクルコネクタ(第2のコネクタ), 23・・・矩形透孔, 25・・・リセプタクル側コンタクト(第2のコンタクト), 26・・・リセプタクル側取付金属部材, 27・・・対向平板状部, 28・・・連結平板状部, 30・・・弾性片持片部, 33・・・突起部, 33a,33b・・・傾斜面, 35・・可動操作部材, 36・・・中間部, 37・・・屈曲部, 37a・・・(屈曲部37の)先端部分, 38・・・操作タグ
図1
図2
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図10
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