特許第5892427号(P5892427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5892427ホルダ及びこれを用いた編組線の端末接続構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5892427
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】ホルダ及びこれを用いた編組線の端末接続構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20160310BHJP
   H01R 13/648 20060101ALI20160310BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20160310BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   H02G3/04 062
   H01R13/648
   H05K9/00 L
   B60R16/02 620A
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-50493(P2013-50493)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-180072(P2014-180072A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 洋和
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−156051(JP,A)
【文献】 特開2012−125009(JP,A)
【文献】 特開2007−012515(JP,A)
【文献】 特開2004−178913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
H01B 7/00
H01B 7/18
H01R 13/648
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に電線が挿通された導電性金属材料よりなるシールドパイプの端部に対し、筒状に形成された編組線の端末部を接続して前記シールドパイプに取り付けられるホルダであって、
前記シールドパイプの端面に軸方向外方から対向して覆う基部と、
この基部から軸方向に沿って一体に突設され前記編組線の端部において内周側へ折り返すことによって形成された接続部を、前記編組線の一般部の内側で保持する筒部とを備えることを特徴とするホルダ。
【請求項2】
前記接続部は、前記編組線の端末であって前記シールドパイプの内周面に沿う内周側接続部とこの内周側接続部から前記シールドパイプの前記端面で折り返され前記シールドパイプの外周面に沿う外周側接続部とを有する一方、前記筒部は前記基部から同心で突設された外筒部と内筒部とからなり、前記外筒部と前記内筒部との間には前記接続部のうち前記外周側接続部から前記内周側接続部にかけての範囲を前記シールドパイプと共に挟圧して保持可能な挟圧溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記筒部には撓み可能な複数のロック片が形成され、各ロック片はシールドパイプの端末部の周面の対応箇所に設けられたロック孔に係止可能となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のホルダ。
【請求項4】
内部に電線が挿通された導電性金属材料よりなるシールドパイプの端部に対し、筒状に形成された編組線の端末を接続するための編組線の端末接続構造であって、
前記編組線の端部において内周側への折り返しによって形成された接続部と、
前記シールドパイプの端末部に装着され前記シールドパイプの端面に軸方向外方から対向して前記端面を覆う基部とこの基部から軸方向に沿って一体に突設され前記接続部を前記編組線の一般部の内側で保持する筒部とが形成されたホルダとを備えることを特徴とする編組線の端末接続構造。
【請求項5】
前記編組線の前記接続部は、
前記編組線の末端に形成され前記シールドパイプの端部の開口面から挿入されて前記シールドパイプの内周面に沿う内周側接続部と、この内周側接続部に連続し前記シールドパイプの端面を覆いつつ前記シールドパイプの外周側へ折り返される第1方向転換部と、この第1方向転換部に連続し前記シールドパイプの外周面に沿う外周側接続部と、この外周側接続部から外周側へ折り返されて前記編組線の一般部に連続する第2方向転換部とから形成され、
前記ホルダの前記筒部は、前記基部から同心で突設された外筒部と内筒部とから形成され、前記外筒部と前記内筒部との間には前記接続部のうち前記外周側接続部から前記内周側接続部にかけての範囲を前記シールドパイプと共に挟圧して保持可能な挟圧溝が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の編組線の端末接続構造。
【請求項6】
前記シールドパイプの端末部の周面には複数個所にロック孔が開口する一方、前記筒部には、前記各ロック孔に対し弾性的に係止する複数のロック片がそれぞれ撓み可能に形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の編組線の端末接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルダ及びこれを用いた編組線の端末接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハイブリッド車両等においては、例えばモータとバッテリとの間にはワイヤハーネスが配索されている。また、この間の配索路にはシールド対策が講じられており、従来よりワイヤハーネスを導電性金属材料よりなるシールドパイプ内に挿入する構造が多く採用されてきた(下記特許文献1参照)。また、この構造においては、シールドパイプの端部と接続される機器側との間を筒状に形成された編組線によって接続することがある。その場合、編組線の端末部はシールドパイプの外周側に嵌め込まれ、その嵌め込み部分をカシメリングにて強くかしめ付けることで編組線とシールドパイプとの接続がなされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−185927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、上記の接続構造においてシールドパイプの端面はシャープなエッジとなっていることがあり、そのような鋭利な端面を露出させたままにしておくと、内部に挿通されている電線の被覆が傷付けられてしまう虞がある。このため、シールドパイプの端面に樹脂製の保護キャップを装着してシールドパイプの端面を覆うような対策が講じられることがあった。
【0005】
しかし、そのような対策をとると編組線の端末の接続のためには、保護キャップとカシメリングとの二部材が必要となってしまう。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、編組線の端末を接続する構造において部品点数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のホルダは、内部に電線が挿通された導電性金属材料よりなるシールドパイプの端部に対し、筒状に形成された編組線の端末部を接続して前記シールドパイプに取り付けられるホルダであって、シールドパイプの端面に軸方向外方から対向して覆う基部と、この基部から軸方向に沿って一体に突設され編組線の端部において内周側へ折り返すことによって形成された接続部を、編組線の一般部の内側で保持する筒部とを備えるところに特徴を有する。
【0008】
本発明の編組線の端末接続構造は、内部に電線が挿通された導電性金属材料よりなるシールドパイプの端部に対し、筒状に形成された編組線の端末を接続するための編組線の端末接続構造であって、編組線の端部において内周側への折り返しによって形成された接続部と、シールドパイプの端末部に装着されシールドパイプの端面に軸方向外方から対向して端面を覆う基部とこの基部から軸方向に沿って一体に突設され接続部を編組線の一般部の内側で保持する筒部とが形成されたホルダとを備えるところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のホルダおよび編組線の端末接続構造によれば、ホルダはシールドパイプに装着されたときに、筒部が編組線の接続部をシールドパイプの外周面に全周方向から押し付けた状態で保持する。また、このときにはホルダの基部がシールドパイプの端面と対向されるようにしてあるため、基部によってシールドパイプの端面を直接あるいは編組線の端末部と共に二重に覆うことができる。したがって、シールドパイプの端面にエッジが生じていたとしても、電線を傷付けてしまう事態を未然に回避することができる。このように、ホルダは、シールドパイプの端面に生じるエッジから電線被覆を保護する機能と、編組線の端末をシールドパイプに接続固定させる機能を併せ持つため、これら機能を別部品に担わせていた従来に比較して部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1におけるワイヤハーネスの配索状況を示す図
図2】同じく編組線とシールドハイプとの端末接続構造を示す断面図
図3】ホルダの斜視図
図4】実施例2における編組線とシールドパイプとの端末接続構造を示す断面図
図5】ホルダの斜視図
図6】シールドパイプの端末部分を示す斜視図
図7】実施例3における編組線とシールドパイプとの端末接続構造を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
(1)本発明のホルダは、編組線の接続部が、編組線の端末であって前記シールドパイプの内周面に沿う内周側接続部とこの内周側接続部から前記シールドパイプの前記端面で折り返され前記シールドパイプの外周面に沿う外周側接続部とを有する一方、前記筒部が前記基部から同心で突設された外筒部と内筒部とからなり、前記外筒部と前記内筒部との間には前記接続部のうち前記外周側接続部から前記内周側接続部にかけての範囲を前記シールドパイプと共に挟圧して保持可能な挟圧溝が形成されている構成としてもよい。
このような構成によれば、編組線がホルダによって接続された状態では、編組線がシールドパイプの内周面側から外周面側にかけて広範囲に接触するため、電気的導通領域が広範囲に確保され、シールド性能を向上させることができる。
【0012】
(2)また、ホルダーは、前記筒部に撓み可能な複数のロック片が形成され、各ロック片はシールドパイプの端末部の周面の対応箇所に設けられたロック孔に係止可能となった構成としてもよい。
このような構成によれば、ロック片とロック孔とが弾性係止することにより、編組線の保持力を高めることができる。
【0013】
(3)本発明の編組線の端末接続構造は、前記編組線の前記接続部は、前記編組線の末端に形成され前記シールドパイプの端部の開口面から挿入されて前記シールドパイプの内周面に沿う内周側接続部と、この内周側接続部に連続し前記シールドパイプの端面を覆いつつ前記シールドパイプの外周側へ折り返される第1方向転換部と、この第1方向転換部に連続し前記シールドパイプの外周面に沿う外周側接続部と、この外周側接続部から外周側へ折り返されて前記編組線の一般部に連続する第2方向転換部とから形成され、前記ホルダの前記筒部は、前記基部から同心で突設された外筒部と内筒部とから形成され、前記外筒部と前記内筒部との間には前記接続部のうち前記外周側接続部から前記内周側接続部にかけての範囲を前記シールドパイプと共に挟圧して保持可能な挟圧溝が形成されているようにしてもよい。
このような構成によれば、編組線がホルダによって接続された状態では、編組線がシールドパイプの内周面側から外周面側にかけて広範囲に接触するため、電気的導通領域が広範囲に確保され、シールド性能を向上させることができる。
(4)また、本発明の編組線の端末接続構造は、前記シールドパイプの端末部の周面には複数個所にロック孔が開口する一方、前記筒部には、前記各ロック孔に対し弾性的に係止する複数のロック片がそれぞれ撓み可能に形成された構成としてもよい。
このような構成によれば、ロック片とロック孔とが弾性係止することにより、編組線の保持力を高めることができる。
【0014】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1を図1乃至図3に基づいて説明する。図1はハイブリッド車両あるいは電気自動車において、車両後部に搭載されたインバータ1と、エンジンルーム内に搭載されたモータ2との間を接続するワイヤハーネスWHの配索状況を示している。本実施例におけるワイヤハーネスWHは3本の高圧電線3によって構成されている。
【0015】
図1に示すように、ワイヤハーネスWHの両端部を除く範囲は導電金属材料(例えばアルミニウム合金)よりなるシールドパイプ5内に挿通されている。シールドパイプ5は途中、車両の床下を通って前後方向に沿って配置され、両端側は共に屈曲して車内あるいはエンジンルーム内に導入されている。また、シールドパイプ5の両端部とインバータ1あるいはモータ2との間には筒状の編組線4が介在されている。なお、編組線4は金属製の細線を筒状に編み込んで構成した公知の部材である。
【0016】
編組線4の端末部とシールドパイプ5の端部との接続は、図2に示すような構造によって達成されている。編組線4の端末部は、同図に示すように、二度の折り返しがなされて、シールドパイプ5の内周面側から外周面側にかけての範囲を包み込むようにしてあり、ホルダ6によりこの折り返し状態を維持しつつ固定がなされている。
【0017】
本実施例のホルダ6は合成樹脂材にて一体に形成されている。ホルダ6は、図2及び図3に示すように、リング状に形成された基部7と、この基部7から同軸で突設された筒部9,10とからなっている。基部7はシールドパイプ5の内径より大径の外径を有しており、その中心部には三本の高圧電線3を挿通可能な通し孔8が貫通している。筒部9,10は基部7に対しそれぞれ同心で突設された内筒部9と外筒部10とから構成されている。
【0018】
内筒部9の内径は通し孔8の孔径より大径に設定されているが、同径であってもよい。また、内筒部9の外周面の先端部にはテーパ面11が形成されている。外筒部10は内筒部9の突出高さとほぼ同じかやや短めに設定されている。内筒部9と外筒部10との間には全周に亘って挟圧溝12が形成されている。この挟圧溝12は先端側が開口して形成されている。また、挟圧溝12はシールドパイプ5の内外周の両面に編組線4を沿わせたときの、これら内外の編組線4の厚みにシールドパイプ5の端末部の厚みを合算した値よりもやや狭い溝幅に設定されている。したがって、挟圧溝12内に編組線4の端末部と共にシールドパイプ5の端部が差し込まれると、編組線4の端末部とシールドパイプ5の端部とは挟圧溝12の対向壁面から圧縮力を受けた状態(挟圧状態)となり、抜け止め状態に保持される。なお、挟圧溝12の底面はシールドパイプ5の端面に対し全周に沿って対向している。
【0019】
次に、編組線4の接続作業の手順の一例について説明すると、まず、編組線4をシールドパイプ5の端末部から外周面に沿うようにして被せ付ける。このとき、編組線4の先端の一部がシールドパイプ5の端部から所定長さだけ突出するようにしておく。この後、編組線4の突出範囲の全周部をシールドパイプ5の内側に折り込み、折り込まれた部分が略筒状形態を維持するように癖付けしておく。なお、このような内側への折り込みがなされた範囲はシールドパイプ5の内周面に接触可能な内周側接続部13を構成する。また、この内側への折り込みによって、編組線4の折り返しとなる部位はシールドパイプ5の端面を覆う第1方向転換部14を構成する。さらに、この第1方向転換部14に連続し、シールドパイプ5の外周面に沿う部分は外周側接続部15を構成する。
【0020】
続いて、上記のようにして編組線4が内側へ折り込まれた状態のシールドパイプ5に対し、軸方向外方からホルダ6の嵌め付けがなされる。すなわち、ホルダ6の挟圧溝12を編組線4の端末部が折り込まれたシールドパイプ5の端末に宛がい、そのまま強く押し込む。すると、編組線4における内周側接続部13から第1方向転換部14を介して外周側接続部15に至る範囲がシールドパイプ5の端末部と共に挟圧溝12内に圧入される。そして、第1方向転換部14が挟圧溝12の底面にほぼ当接する深さまで押し込まれれば、編組線4の端末部はホルダ6によって挟圧状態で抜け止めされる。
【0021】
上記の作業が完了すれば、編組線4の残余部分が外筒部10の外周側へ折り返される。これにより、折り返し部分は第2方向転換部16を構成して編組線4の一般部へと連続する。なお、折り返された後の一般部の他端側では、インバータあるいはモータに対する別個の接続作業がなされる。
【0022】
上記のように構成された実施例1によれば、シャープなエッジ面となることがあるシールドパイプ5の端面全体が編組線4の第1方向転換部14とホルダ6の基部7とによって二重に覆われるため、シールドパイプ5の端面にて電線3の被覆が傷付けられてしまう事態を確実に回避することができる。また、ホルダ6は、編組線4の端末がシールドパイプ5の内周側に折り込まれた状態において挟圧するようにしているため、高い保持力が得られている。このような編組線4の端末接続構造によれば、シールドパイプ5の端面を覆う機能と編組線4を接続状態に保持する機能とをホルダ6という単一部材によって担うことができるため、部品点数の削減の効果が得られる。
【0023】
また、上記したように、編組線4がホルダ6によって接続された状態では、内周側接続部13及び外周側接続部15が、それぞれシールドパイプ5の内周面及び外周面に密着している。かくして、シールドパイプ5に対する編組線4の導通領域が拡張され、シールド特性の向上を期待することができる。
【0024】
さらに、編組線4の端末では金属細線がばらけて金属細線の先端にて周辺部材を傷付けてしまう虞がある。しかし、本実施例では、編組線4の端末はシールドパイプ5の内側に折り込まれ、外周側には全く露出しないようにしたため、編組線4をコルゲートチューブ内に収容させるような場合にも、同チューブ内の壁面を傷付けてしまうことがない。したがって、編組線4の端末をテープ巻きするという煩わしさがない。また、図2に示すように、編組線4の端末をホルダ6の内筒部9の先端より内側に引っ込んだ位置に留めておけば、ばらけた金属細線が電線3の被覆を傷付けてしまうこともない。
【0025】
<実施例2>
図4乃至図6は本発明の実施例2を示している。実施例1では編組線4とシールドパイプ5とを挟圧溝12内において挟圧して保持するようにしたが、実施例2では実施例1の挟圧構造に加え、ホルダ20をシールドパイプ5に弾性係止させる機構を追加することで、編組線4に対する接続機能の強化を図ったものである。
【0026】
図5に示すように、実施例2のホルダ20は外筒部21に一対の外側ロック片23を設け、内筒部22に内側ロック片24を一対設けている。外側ロック片23同士および内側ロック片24同士はホルダ20の中心を挟んで対向する位置に配されるとともに、これら対応するもの同士を結ぶ軸線が直交するように配置されている。また、内外の各ロック片23,24は共に径方向への撓みが可能である。そして、両内側ロック片24の先端には爪部24Aが外向きに突出し、両外側ロック片23の先端には爪部23Aが内向きに突出して形成されている。これら内外の各ロック片23,24の各爪部は、ほぼ同一周面上に並ぶように形成されている。
【0027】
一方、図6に示すように、シールドパイプ5の端末部には各内外ロック片23,24と弾性的に係止可能な計4個のロック孔25が開口している。各ロック孔25はそれぞれ略方形状に形成され、略同一周面上において略90度間隔毎に配置されている。
【0028】
上記のように構成された実施例2においても、編組線4がシールドパイプ5の端面を覆いつつ内周面及び外周面に沿った状態でホルダ20の装着がなされる。その際に、シールドパイプ5の端末部は編組線4の内周側接続部13及び外周側接続部15とともに挟圧溝26内において挟圧され、かつ各内外ロック片23,24の爪部23A,24Aがロック孔25に弾性的に係止するため、編組線4の接続はより安定的になされる。なお、図4に示すように、内外ロック片23,24の爪部23A,24Aと対応する部位の編組線4の網目を広げておき、爪部23A,24Aを直接的にロック孔25に係止させるようにするとよい。
このように構成された実施例2によれば、実施例1の効果に加えロック片23,24とロック孔25との弾性係止により編組線4に対する保持力を一層高めることができる。
【0029】
<実施例3>
図7は本発明の実施例3を示している。実施例3では編組線4の端末部がシールドパイプ5内ヘの折り返しを持たずに接続される構成である。つまり、編組線4の接続作業にあたり、編組線4は内周側接続部13および第1方向転換部14を構成せず、編組線4の端末をシールドパイプ5の外周側端縁に位置させ、そこを始端としてシールドパイプ5の外周面に沿わせておく。その状態で、ホルダ30の嵌め付けを行い、挟圧溝31内に外周側接続部15とシールドパイプ5の端末部とを挟圧状態で差し込む。ホルダ30は実施例2とは異なり、外筒部33側には外側ロック片が形成されておらず、内筒部32側にのみ一対の内側ロック片34が撓み可能に形成されていて、ホルダ30の嵌め付けによってロック孔35に係止して抜け止めされる。
【0030】
このように形成された実施例3においても、外周側接続部15がシールドパイプ5の端末部と共に挟圧溝31内で挟圧されるため、簡単に抜けてしまうことはない。また、シールドパイプ5の端面はホルダ30の基部7によって直接的に覆われているため、エッジによって電線3の被覆を傷付けてしまうこともない。
【0031】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例ではホルダは合成樹脂材によって形成したが、金属製であってもよい。
(2)上記実施例では、編組線4の端末部をシールドパイプ5の端末部と共に挟圧溝12内に圧入することによって保持する形態のものを示したが、弾性力によって内外方向から挟み付けるようにして保持する形態としてもよい。
(3)実施例2では、内側ロック片24あるいは外側ロック片23を一対ずつ設けるようにしたが、その数及び位置は限定されるべきものではない。この点は、実施例3における内側ロック片34についても同様である。
(4)本発明においては、図7に示す実施例3のように、編組線4に必ずしも内周側接続部13を構成する必要はない。実施例3のホルダに代えて外周側接続部15をシールドパイプ5に対して締め上げるようなカシメリングを用いてもよい。その場合においても、カシメリングにはシールドパイプ5の端面を軸方向外方から覆うようにして対向する基部を一体に形成する必要はある。すなわち、カシメリングは基部から軸方向に沿って突設する筒部を構成することになる。
【符号の説明】
【0032】
3…電線
4…編組線
5…シールドパイプ
6,20,30…ホルダ
7…基部
9,22,32…内筒部
10,21…外筒部
12,26,31…挟圧溝
13…内周側接続部
14…第1方向転換部
15…外周側接続部
16…第2方向転換部
23…外側ロック片
24,34…内側ロック片
25…ロック孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7