(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、本願明細書においては、「調光度」とは、調光時の光出力の全点灯時の光出力に対する比をいい、調光度100%は全点灯に、調光度0%は消灯時の光出力に対応する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る照明用電源を含む照明装置を例示するブロック図である。
図1に表したように、照明装置1は、照明負荷2と、照明負荷2に電力を供給する照明用電源3と、を備えている。
【0010】
照明負荷2は、例えばLEDなどの照明光源4を有し、照明用電源3から出力電力POUT(出力電圧VOUT、出力電流IOUT)を供給されて点灯する。また、照明負荷2は、出力電力POUTを変化させて調光することができる。例えば、出力電圧VOUT及び出力電流IOUTの少なくともいずれかを変化させて調光することができる。なお、出力電力POUT、出力電圧VOUT及び出力電流IOUTのそれぞれの値は、照明光源4に応じて規定される。
【0011】
図2は、照明負荷に供給される出力電圧VOUTと出力電流IOUTとの関係を例示する特性図である。
図2においては、例えばLEDなどの点灯時の動作抵抗の小さい照明光源を有する照明負荷の特性を例示している。
照明負荷2は、出力電圧VOUTが所定電圧よりも低いときは、電流が流れず、消灯している。出力電圧VOUTが、所定電圧以上のとき、電流が流れて点灯する。
【0012】
例えば、照明光源4がLEDの場合、この所定電圧は、LEDの順方向電圧であり、照明光源4に応じて定まる。また、照明光源4は、点灯時の動作抵抗が低く、例えば定格動作点Pの近傍で出力電流IOUTが増加しても出力電圧VOUTは、変化が少ない。したがって、
図2に表したような特性の照明負荷2は、出力電流IOUTを変化させることにより、照明光源4の光出力を制御して調光することができる。また、出力電圧VOUTが所定電圧よりも低下すると、照明光源4が消灯して出力電流IOUTが流れなくなるため、例えばコンデンサで平滑化して出力した場合、出力電圧VOUTの値は所定電圧以上に保持される。
【0013】
また、照明光源4に供給する、例えば出力電圧VOUTを変化させることにより、照明光源4の光出力を制御して調光することができる。
このように、照明負荷2に供給する出力電力POUTを変化させることにより、照明光源4の光出力を制御して調光することができる。なお、以下の説明では、調光するために制御する制御量は、出力電圧VOUT、出力電流IOUT及び出力電力POUTの少なくともいずれかである。
【0014】
照明用電源3は、出力素子5と、出力素子5と直列に接続され出力素子5を流れる電流を制限する定電流素子6と、定電流素子6を制御して消灯させる消灯回路50と、出力素子5を駆動する駆動素子70とを有している。
【0015】
出力素子5は、照明負荷2と電源7との間に接続されている。出力素子5は、出力素子5を定電流で動作させた条件で、電源7と照明負荷2との間の電力差、電位差及び電流差の少なくともいずれかである所定量が相対的に大きいときオンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をし、所定量が相対的に小さいときオンの状態を維持する。
【0016】
ここで、所定量とは、電源7から供給される入力電圧(電源電圧VIN)、入力電流及び入力電力PINの少なくともいずいれかの入力量と、照明負荷2に出力される出力電圧VOUT、出力電流IOUT及び出力電力POUTの少なくともいずれかの制御量との差量である。
【0017】
例えば制御量が出力電圧VOUTの場合は、所定量は、電源電圧VINと出力電圧VOUTとの電位差ΔVである。この場合、出力素子5は、電源電圧VINと照明負荷2に出力する出力電圧VOUTとの電位差ΔV(=VIN−VOUT)が相対的に大きいときオンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をし、電源7と照明負荷2との間の電位差ΔVが相対的に小さいときオンの状態を維持するオン継続動作をする。
【0018】
また、例えば制御量が出力電流IOUTの場合は、所定量は、出力電流IOUTと入力電流との電流差ΔIである。この場合、出力素子5は、電源7から供給される入力電流と照明負荷2に出力する出力電流IOUTとの電流差ΔIが相対的に大きいときオンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をし、電源7と照明負荷2との間の電流差ΔVが相対的に小さいときオンの状態を維持するオン継続動作をする。
【0019】
また、例えば制御量が出力電力POUTの場合は、所定量は、入力電力PINと出力電力POUTとして出力との電力差ΔPである。この電力差ΔPは、照明用電源1の損失を意味する。この場合、出力素子5は、出力素子5を定電流で動作させた条件で、電源7から供給される入力電力PINと照明負荷2に出力する出力電力POUTとの電力差ΔP(=PIN−POUT)が相対的に大きいときオンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をし、電源7と照明負荷2との間の電力差ΔPが相対的に小さいときオンの状態を維持するオン継続動作をする。
【0020】
なお、所定量は、電源7から供給される入力電圧(電源電圧VIN)、入力電流、入力電力POUT、照明負荷2に出力される出力電圧VOUT、出力電流IOUT及び出力電力POUTの少なくともいずれかとしてもよい。また、所定量は、出力素子5の消費電力としてもよい。
【0021】
消灯回路50は、電源7と照明負荷2との間に接続され、所定量が規定値以下のときに定電流素子6をオフさせる。その結果、出力素子5を流れる電流が遮断されて、照明用電源3の動作が停止し、照明負荷2が消灯する。ここで、規定値は、照明負荷2が消灯する時の所定量の値である。
【0022】
例えば、所定量が電力差ΔPの場合における規定値は、照明負荷2を消灯させるときの照明用電源3の消費電力である。また、所定量が入力電力PINの場合における規定値は、消灯させるときの入力電力PINであり、所定量が出力電力POUTの場合における規定値は、消灯させるときの出力電力POUTであり、ゼロまたは正極性の値である。
【0023】
また、例えば、所定量が電位差ΔVの場合は、規定値は、照明負荷2を消灯させるときの電位差であり、例えばゼロまたは正極性の値とすることができる。なお、所定量が電源電圧(VIN)または出力電圧VOUTの場合における規定値は、それぞれ照明負荷2を消灯させるときの電源電圧VIN、出力電圧VOUTの値である。
【0024】
また、所定量が電流差ΔIの場合における規定値は、消灯時における照明用電源3の消費電流である。また、所定量が出力電流IOUTの場合における規定値は、消灯させるときの出力電流IOUTの値であり、ゼロ又は正極性の値である。
【0025】
駆動素子70は、出力素子5の制御端子に電位を供給して、出力素子5をオンの状態またはオフの状態に制御する。
【0026】
図3は、出力素子の電流波形を例示する波形図である。
図3(a)〜(d)の順に所定量が大きくなる場合の出力素子5の電流I5の波形を模式的に表している。
【0027】
図3(a)に表したように、所定量が相対的に小さいとき、出力素子5は、オンの状態を継続し、定電流素子6で制限されたほぼ一定の直流電流が流れる。出力素子5が一定の直流電流を出力する状態においては、照明用電源3は、シリーズレギュレータのような動作をしている。
【0028】
図3(b)に表したように、所定量が大きくなると、出力素子5はオンの状態を継続したまま、電流が振動する。また、
図3(c)に表したように、所定量がさらに大きくなると、所定量に応じて、出力素子5の電流の変動幅は大きくなる。
【0029】
このように、所定量が大きくなると、出力素子5は、例えば不完全に発振しているような状態になり、出力素子5の電流は振動するようになる。しかし、所定量が所定値よりも小さいとき、出力素子5は、オフの状態にはならず、オンの状態を継続する。なお、出力素子5の振動する電流のピーク値は、定電流素子6の定電流値で制限された値になる。また、出力素子5の振動周期Tは、電流の変動幅に応じて変化する。
【0030】
そして、
図3(d)に表したように、所定量が所定値以上のとき、出力素子5は、オンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をして、発振する。このとき、照明用電源3は、スイッチング電源として動作している。
【0031】
スイッチング電源は、出力素子5が抵抗の低いオンの状態と電流が流れないオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をするため、低消費電力・高効率の電源である。本実施形態においては、所定量が所定値よりも大きいとスイッチング動作し、所定量が小さいと、シリーズレギュレータのような動作をする。所定量が大きい場合は、出力素子5の両端の電位差と電流との積が大きく、シリーズレギュレータの動作を行うと損失が大きくなる。したがって、所定量が大きい場合に、スイッチング動作をすることは、低消費電力化に適する。また、所定量が小さい場合は、損失は小さいため、シリーズレギュレータとして動作をすることは問題ない。
【0032】
また、本実施形態においては、所定量が所定値よりも小さいときは、出力素子5はオフの状態にならずにオンの状態を継続したまま電流が振動して、電流の平均値で照明負荷2を点灯させる(
図3(b)、(c))。また、所定量がさらに小さいときは、出力素子5は、オンの状態を継続したまま、直流電流を照明負荷2に出力して点灯させる(
図3(a))。その結果、本実施形態においては、出力電流をゼロまで連続的に変化させることができる。また、照明装置1における照明負荷2をスムーズに消灯することができる。
【0033】
したがって、本実施形態においては、所定量に応じて、出力素子5のスイッチング動作時における最大値から、出力素子5のオンの状態を継続したまま直流電流を出力する際の最小値まで出力電流IOUTを連続的に変化させることができる。また、照明装置1における照明負荷2を連続的に0〜100%の範囲で調光することができる。
【0034】
また、本実施形態においては、所定量が規定値以下のときに定電流素子6をオフさせるため、電源電圧VINの変動の影響を受けずに、安定に出力電流をゼロにすることができる。また、電源電圧VINの変動の影響を受けずに、照明装置1における照明負荷2を安定に消灯することができる。
【0035】
なお、
図3(a)〜(c)においては、出力素子5は、オフの状態にならずにオンの状態を継続したまま電流が振動し、所定量が大きくなると電流の変動幅が大きくなる動作を例示している(
図3(b)、(c))。しかし、出力素子5は、所定量が所定値以上のときオンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をして発振し(
図3(d))、所定量が所定値よりも小さいときオンの状態を継続して直流電流を出力する動作をしてもよい(
図3(a))。すなわち、出力素子5は、オフの状態とならずにオンの状態を継続したまま電流が振動する動作(
図3(b)、(c))をしなくてもよい。
【0036】
なお、出力素子5及び定電流素子6は、例えば電界効果トランジスタ(FET)であり、例えば高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)である。
また、出力素子5がオフの状態のときは、例えば整流素子などで出力電流IOUTを流す構成としてもよい。
【0037】
このように、本実施形態においては、出力素子は、所定量が相対的に大きいと発振して発振電流を出力し、所定量が相対的に小さいと発振を停止して直流電流を出力する。その結果、出力電流の可変範囲の広げることができる。また、照明装置の調光範囲を広げることができる。また、所定量が規定値以下のときに、定電流素子がオフするため、電源電圧の変動などの影響を受けずに、安定に出力電流をゼロにすることができる。また、照明負荷2を安定に消灯することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る照明用電源を含む照明装置を例示する回路図である。
図4に表したように、第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、照明用電源3に整流回路9、チョークコイル20、及び平滑コンデンサ40が追加され、出力素子5a、定電流素子6a及び消灯回路50aを有するDC−DCコンバータ11の構成が例示されている点が異なっている。
【0039】
また、照明装置1aは、照明負荷2と照明用電源3aと調光器8とを備えている。照明負荷2については、第1の実施形態と同様である。
【0040】
調光器8は、交流電源76に接続され、電源電圧VINを供給する一対の電源ラインの一方に直列に挿入される。このように調光器8は、電源電圧VINを供給する一対の電源ラインに直列に挿入されてもよい。すなわち、調光器8は、交流電源76の一端79と照明用電源3aの一方の入力端子77との間に挿入され、交流電源76の他端80は、照明用電源3aの他方の入力端子78と接続されている。
【0041】
図5は、調光器を例示する回路図である。
図5に表したように、調光器8は、2線式位相制御調光器である。
調光器8は、電源ラインに直列に挿入されたトライアック12、トライアック12と並列に接続された位相回路13と、トライアック12のゲートと位相回路13との間に接続されたダイアック14と、を有する。
【0042】
トライアック12は、通常オフの状態であり、ゲートにパルス信号が入力されるとオンする。トライアック12は、交流の電源電圧VINが正極性のときと負極性のときの双方向に電流を流すことができる。
位相回路13は、可変抵抗15とコンデンサ16とで構成され、コンデンサ16の両端に位相が遅延した電圧を生成する。また、可変抵抗15の抵抗値を変化させると、時定数が変化し、遅延時間が変化する。
【0043】
ダイアック14は、位相回路13のコンデンサに充電される電圧が一定値を超えるとパルス電圧を生成し、トライアック12をオンさせる。
調光器8は、位相回路13の時定数を変化させてダイアック14がパルスを生成するタイミングを制御することにより、トライアック12がオンするタイミングを調整することができる。
【0044】
再度
図4に戻ると、整流回路9は、調光器8を介して交流の電源電圧VINを入力して、直流電圧VREを出力する。整流回路9は、ダイオードブリッジで構成されている。整流回路9は、調光器8による調光度に応じて電圧が変化する直流電圧VREを出力する。なお、整流回路9は、調光器8から入力される交流電圧を整流できればよく、他の構成でもよい。
【0045】
平滑コンデンサ40は、チョークコイル18を介して整流回路9の高電位端子9aと整流回路9の低電位端子9bとの間に接続される。
【0046】
DC−DCコンバータ11は、出力素子5a、定電流素子6a、整流素子22、インダクタ23、出力素子5aを駆動する帰還巻き線24(駆動素子70)、結合コンデンサ25、分割抵抗26a、27、出力コンデンサ28及び消灯回路50aを有している。
出力素子5a及び定電流素子6aは、例えば電界効果トランジスタ(FET)であり、例えば高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)であり、ノーマリオン形の素子である。
【0047】
出力素子5aのドレインは、平滑コンデンサ40の高電位端子に接続され、さらにチョークコイル18を介して、整流回路9の高電位端子9aに接続される。出力素子5aのソースは、定電流素子6aのドレインに接続され、出力素子5aのゲート(出力素子の制御端子)は、結合コンデンサ25を介して、帰還巻き線24の一端に接続される。
定電流素子6aのソースは、インダクタ23の一端と帰還巻き線24の他端とに接続され、定電流素子6aのゲート(定電流素子の制御端子)には、定電流素子6aのソース電位を分割抵抗26a、27で分割した電圧が入力される。また、分割抵抗27は、直列に接続された抵抗27aと可変抵抗27bとで構成される。
【0048】
インダクタ23と帰還巻き線24とは、インダクタ23の一端から他端に増加する電流が流れるとき、出力素子5aのゲートに正極性の電圧が供給される極性で磁気結合している。
また、出力素子5aのゲートと定電流素子6aのゲートには、それぞれ保護ダイオードが接続される。また、出力素子5aのドレインと定電流素子6aのソースとの間に、起動用のバイアス抵抗を接続してもよい。
【0049】
整流素子22は、定電流素子6aのソースと整流回路9の低電位端子9bとの間に、低電位端子9bから定電流素子6aの方向を順方向として接続されている。
インダクタ23の他端は、高電位出力端子30に接続され、整流回路9の低電位端子9bは、低電位出力端子31に接続される。また、出力コンデンサ28は、高電位出力端子30と低電位出力端子31との間に接続される。
【0050】
消灯回路50aは、トランジスタ51、52、抵抗53、54、及びコンデンサ55を有する。
トランジスタ51、52は、PNPトランジスタであり、特性が揃えられている。トランジスタ51のエミッタは、抵抗53を介して、出力素子5aのドレインに接続される。トランジスタ51のコレクタは、分割抵抗27を構成する抵抗27aと可変抵抗27bとの接続点に接続される。トランジスタ51のベースは、トランジスタ52のベースに接続される。トランジスタ52のエミッタは、高電位出力端子30に接続され、トランジスタ52のコレクタは、トランジスタ52のベース及びトランジスタ51のベースに接続され、さらに抵抗54及びコンデンサ55を介して、低電位出力端子31に接続される。
【0051】
トランジスタ51、52は、所定量としてDC−DCコンバータ11に入力される直流電圧と出力電圧VOUTとの電位差ΔVを検出して、抵抗53を介して抵抗27bを流れる電流経路を導通または遮断する電流スイッチを構成している。トランジスタ51のエミッタ電圧がトランジスタ52のエミッタ電圧よりも高いとき、トランジスタ51はオンして、抵抗53を介して抵抗27bに電流が流れる。また、トランジスタ51のエミッタ電圧がトランジスタ52のエミッタ電圧以下のとき、トランジスタ51はオフして、抵抗53を介して抵抗27bを流れる電流は遮断される。また、トランジスタ51がオンし抵抗27bに電流が流れている状態において、所定量である電位差ΔVが規定値以下のとき定電流素子6aがオフし、規定値よりも大きいとき定電流素子6aがオンするように、分割抵抗26a、27(27a、27b)の抵抗値がそれぞれ設定されている。なお、規定値は、可変抵抗27bの抵抗値を変化させることにより、調整することができる。
【0052】
照明負荷2は、高電位出力端子30と低電位出力端子31との間に、出力コンデンサ28と並列に接続される。
次に、照明用電源3aの動作について説明する。なお、調光器8、整流回路9については、すでに説明したので、主にDC−DCコンバータ11の動作について説明する。
【0053】
まず、調光器8の調光度がほぼ100%に設定され、入力される交流電圧がほぼそのまま伝達される場合、すなわちDC−DCコンバータ11に最も高い直流電圧が入力される場合について説明する。
【0054】
電源電圧VINが、照明用電源3aに供給されるとき、出力素子5aは、ノーマリオン形の素子であるためオンしている。また、出力コンデンサ28は放電しているため出力電圧VOUTは、ゼロである。トランジスタ51のベース電圧がゼロのため、トランジスタ51はオンして、抵抗53、トランジスタ51、可変抵抗27bの経路で電流が流れる。その結果、可変抵抗27bの両端の電圧が上昇するため定電流素子6aのゲート電位は相対的に高く、定電流素子6aはオンしている。
【0055】
出力素子5a、定電流素子6a、インダクタ23、出力コンデンサ28の経路で電流が流れ、出力コンデンサ28が充電される。出力コンデンサ28の両端の電圧、すなわち高電位出力端子30と低電位出力端子31との間の電圧は、照明用電源3aの出力電圧VOUTとして、照明負荷2の照明光源4に供給される。なお、出力素子5a及び定電流素子6aがオンしているため、整流素子22には、逆電圧が印加される。整流素子22には、電流は流れない。
【0056】
出力電圧VOUTが所定電圧に達すると、照明光源4に出力電流IOUTが流れ、照明光源4が点灯する。このとき、出力素子5a、定電流素子6a、インダクタ23、出力コンデンサ28及び照明光源4の経路で電流が流れる。例えば、照明光源4がLEDの場合、この所定電圧は、LEDの順方向電圧であり、照明光源4に応じて定まる。また、照明光源4が消灯した場合、出力電流IOUTが流れないため、出力コンデンサ28は、出力電圧VOUTの値を保持する。
【0057】
トランジスタ52は、出力電圧VOUTの上昇によりオンする。また、DC−DCコンバータ11に入力される直流電圧が、出力電圧VOUTと比較して十分に高い、すなわち入出力間の電位差(所定量)ΔVが十分に大きいため、抵抗53、トランジスタ51、可変抵抗27bの経路で電流が流れる。トランジスタ51のエミッタ電圧は、トランジスタ52のエミッタ電圧とほぼ等しくなるように、電流が抵抗53を流れる。その結果、定電流素子6aは、オンを維持する。したがって、DC−DCコンバータ11の入出力間の電位差ΔVが大きいときは、消灯回路50aは、定電流素子6aを、オンの状態に制御する。
【0058】
また、DC−DCコンバータ11の入出力間の電位差ΔVが十分に大きいため、インダクタ23を流れる電流は増加していく。帰還巻き線24は、インダクタ23と磁気結合しているため、帰還巻き線24には、結合コンデンサ25側を高電位とする極性の起電力が誘起される。そのため、出力素子5aのゲートには、結合コンデンサ25を介してソースに対して正の電位が供給され、出力素子5aはオンの状態を維持する。
【0059】
FETで構成された定電流素子6aを流れる電流が上限値を超えると、定電流素子6aのドレイン・ソース間電圧は、急激に上昇する。そのため、出力素子5aのゲート・ソース間電圧がしきい値電圧よりも低くなり、出力素子5aはオフする。なお、上限値は、定電流素子6aの飽和電流値であり、分割抵抗26、27から定電流素子6aのゲートに入力される電位により規定される。なお、上記のとおり、定電流素子6aのゲート電位は、ソースに対して負電位のため、飽和電流値を適正値に制限することができる。
【0060】
インダクタ23は、整流素子22、出力コンデンサ28及び照明負荷2、インダクタ23の経路で電流を流し続ける。このとき、インダクタ23は、エネルギーを放出するため、インダクタ23の電流は、減少していく。そのため、帰還巻き線24には、結合コンデンサ25側を低電位とする極性の起電力が誘起される。出力素子5aのゲートには、結合コンデンサ25を介してソースに対して負の電位が供給され、出力素子5aはオフの状態を維持する。
【0061】
インダクタ23に蓄積されていたエネルギーがゼロになると、インダクタ23を流れる電流はゼロになる。帰還巻き線24に誘起される起電力の方向が再び反転し、結合コンデンサ25側を高電位とするような起電力が誘起される。これにより、出力素子5aのゲートにソースよりも高い電位が供給され、出力素子5aがオンする。これにより、上記の出力電圧VOUTが所定電圧に達した状態に戻る。
【0062】
以後、上記の動作を繰り返す。これにより、出力素子5aのオン及びオフへの切替が自動的に繰り返されて、照明光源4には電源電圧VINを降下した出力電圧VOUTが供給される。このとき出力素子5aは、オンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をしている(
図3(d))。また、照明光源4に供給される電流は、定電流素子6aにより上限値の制限された定電流となる。そのため、照明光源4を安定に点灯させることができる。
【0063】
調光器8の調光度が100%よりも小さい値に設定され、入力される交流電圧が位相制御されて伝達される場合、すなわちDC−DCコンバータ11に高い直流電圧が入力される場合についても、出力素子5aが発振を継続でき、消灯回路50aにおけるトランジスタ51がオンしている場合は、上記と同様である。調光器8の調光度に応じて、DC−DCコンバータ11に入力される直流電圧の値が変化して、出力電流IOUTの平均値を制御することができる。したがって、調光度に応じて、照明負荷2の照明光源4を調光することができる。
【0064】
なお、消灯回路50aにおけるトランジスタ51はオンしているため、抵抗27bの両端の電圧は、DC−DCコンバータ11に入力される直流電圧の値に応じて変化する。したがって、定電流素子6aの定電流値は、DC−DCコンバータに入力される直流電圧に応じて制御することができる。
【0065】
また、消灯回路50aにおけるトランジスタ51がオンを維持したまま、調光器8の調光度がさらに小さい値に設定される場合、すなわちDC−DCコンバータ11に入力される直流電圧がさらに低い場合、出力素子5aがオンしてもインダクタ23の両端の電位差が小さいため、インダクタ23を流れる電流が増加することができない。したがって、出力素子5aは、オフの状態にならず、一定の直流電流を出力する。この場合、出力素子5aは、オンの状態を継続するオン継続動作をしている(
図3(a))。
【0066】
また、調光器8の調光度がさらに小さい値に設定され、DC−DCコンバータ11に入力される直流電圧VOUTと出力電圧VOUTとの電位差ΔVが規定値よりも低くなると、定電流素子6aはオフする。その結果、DC−DCコンバータ11は動作を停止する。照明負荷2は消灯する。
【0067】
このように、本実施形態においては、調光器の調光度に応じて、ノーマリオン形の出力素子がオンの状態とオフの状態とを繰り返すスイッチング動作をして発振し、またはオンの状態を継続して直流電流を出力する。その結果、出力電流を最大値からゼロまで連続的に変化させることができる。また、照明装置における照明負荷をスムーズに消灯させることができる。
【0068】
また、本実施形態においては、消灯回路50aは、DC−DCコンバータ11に入力される直流電圧と出力電圧VOUTとの電位差ΔVを所定量として動作する。所定量が規定値以下になると、消灯回路50aは、定電流素子6aをオフさせるため、DC−DCコンバータ11を含む照明用電源3aは動作を停止して、照明負荷2を消灯させる。DC−DCコンバータ11に入力される直流電圧が、照明負荷2を点灯させるのに十分大きい状態から消灯させる設定が可能となり、その結果、調光器8や電源電圧VINの変動などにより位相制御された交流電圧VCTの波高値が変化して、照明負荷2の消灯状態が不安定になることを防止することができる。
【0069】
例えば、調光器8の調光度を下げて照明負荷2を消灯させた場合、電源電圧VINと出力電圧VOUTとの関係だけで点灯状態になるか消灯状態になるかが決まっていた場合、調光器8や電源電圧VINの変動により、照明負荷2の消灯状態が不安定になり、再度点灯したり、点灯状態と消灯状態とを不規則に繰り返す場合がある。
例えば、DC−DCコンバータ11に入力される直流電圧が照明負荷2を安定に点灯させることが可能な状態から制御により消灯状態にすることにより、調光器8や電源電圧VINの変動による点灯状態と消灯状態の繰り返しやちらつきなどを抑制することも可能である。しかし、そのためには、回路構成が複雑化し回路規模が大きくなる。
【0070】
これに対して、本実施形態においては、消灯回路50aが、所定量が規定値以下のときに、定電流素子をオフさせるため、簡易な構成で安定に消灯させることができる。
【0071】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明したが、それらに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0072】
例えば、出力素子5、5a及び定電流素子6、6aはGaN系HEMTには限定されない。例えば、半導体基板に炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)やダイヤモンドのようなワイドバンドギャップを有する半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を用いて形成した半導体素子でもよい。ここで、ワイドバンドギャップ半導体とは、バンドギャップが約1.4eVのヒ化ガリウム(GaAs)よりもバンドギャップの広い半導体をいう。例えば、バンドギャップが1.5eV以上の半導体、リン化ガリウム(GaP、バンドギャップ約2.3eV)、窒化ガリウム(GaN、バンドギャップ約3.4eV)、ダイヤモンド(C、バンドギャップ約5.27eV)、窒化アルミニウム(AlN、バンドギャップ約5.9eV)、炭化ケイ素(SiC)などが含まれる。このようなワイドバンドギャップ半導体素子は、耐圧を等しくする場合、シリコン半導体素子よりも小さくできるために寄生容量が小さく、高速動作が可能なため、スイッチング周期を短くすることができ、巻線部品やコンデンサなどの小形化が可能となる。
【0073】
また、照明光源4はLEDに限らず、ELやOLEDなどでもよく、照明負荷2には、複数個の照明光源4が直列又は並列に接続されていてもよい。
【0074】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。