(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る出力装置1の装着状態を表す概略図である。この図は、被験者がスプレー(トリガー)型の製品を評価する場合のものである。この図において、被験者の前腕には、出力装置1が装着されている。出力装置1は、バンドによって前腕に固定されている。なお、出力装置1は、出力装置1に塗布された粘着物によって、被験者に付着されてもよく、この場合にはバンドがなくてもよい。
【0016】
出力装置1は、筋電位を測定する。ここで、筋電位とは筋肉を動かすときに生じる電圧である。出力装置1は、測定した筋電位に基づいて、筋電位と官能評価値とを対応付けた官能関数k(官能対応情報)を生成する。なお、官能評価とは、人間の感覚を用いて、製品の特性を評価するものである。官能評価値とは、官能評価の値である。
出力装置1は、測定した筋電位と官能関数kに基づいて、製品の使用感を表す官能評価値を表示する。ここで、出力装置1は、官能評価値を「1」から「7」の7段階で表示する。例えば、官能評価値は、値が低いほど「良い」(例えば、使いやすい)ことを表し、値が高いほど「悪い」(例えば、使いにくい)ことを表す。
【0017】
図2は、本実施形態に係る出力装置1の動作を示すフローチャートである。
(ステップS101)出力装置1は、第1の校正用サンプルを被験者が使用した場合の筋電位V1を取得する。ここで、第1の校正用サンプルとは、例えば、官能評価値が「2」の製品サンプルである。なお、第1の校正用サンプルは、予め定めた人数以上の被験者が官能評価を行ったサンプルであり、その官能評価値の平均値が「2」のサンプルである。出力装置1は、取得した筋電位V1と第1の校正用サンプルの官能評価値(「2」)を対応付け、対応付けた情報を第1の対応情報として記憶する。その後、ステップS102へ進む。
【0018】
(ステップS102)出力装置1は、第2の校正用サンプルを被験者が使用した場合の筋電位V2を取得する。ここで、第2の校正用サンプルとは、例えば、官能評価値が「6」の製品サンプルである。出力装置1は、取得した筋電位V2と第2の校正用サンプルの官能評価値(「6」)を対応付け、対応付けた情報を第2の対応情報として記憶する。その後、ステップS103へ進む。
(ステップS103)出力装置1は、ステップS101で記憶した第1の対応情報とステップS102で記憶した第2の対応情報とに基づいて、官能関数kを生成する。その後、ステップS104へ進む。
【0019】
(ステップS104)出力装置1は、評価用サンプルを被験者が使用した場合の筋電位を取得する。ここで、評価用サンプルとは、官能評価の対象のサンプルである。その後、ステップS105へ進む。
(ステップS105)出力装置1は、ステップS103で生成した官能関数kとステップS104で取得した筋電位に基づいて、評価用サンプルを被験者が使用した場合の官能評価値を表示する。その後、動作を終了する。
【0020】
図3は、本実施形態に係る出力装置1の外観を表す斜視図である。この図において、出力装置1には、表示面に、4個のスイッチ12及び7個のLED(発光ダイオード)14が設けられている。以下では、表示面を表面(正面)と称し、表面の裏側(背面)を裏面と称する。裏面は、被験者の皮膚に接触する面である。
【0021】
以下、出力装置1の内部構造を表す外観図について説明をする。
図4〜
図6は、出力装置1を覆うケースを外した場合の図である。
【0022】
図4は、本実施形態に係る出力装置1の内部構造を表す背面図である。この図は、出力装置1の裏面の内部構造を表す。裏面には、電極101及び102とアース103とが突起して設けられている。出力装置1が被験者に装着された場合、電極101及び102とアース103とは、被験者の皮膚に接触する。
電極101及び102とアース103は、金属等の電気伝導体である。なお、アース103は、接地であり、ノイズ等の除去や感電防止、装置の保護に用いられる。例えば、アース103は、電気機器等の外部要因によってアーチファクト(例えば、信号のゆがみ)が発生した場合に、これを除去する。
【0023】
図5は、本実施形態に係る出力装置1の内部構造を表す側面図である。この図は、
図3の視点v1から、出力装置1の内部構造を参照した場合の図である。
出力装置1には、4個のスイッチ12として、スイッチ121〜124が設けられている。例えば、スイッチ121は、第1の校正用サンプルを使用する場合に押下される。スイッチ122は、第2の校正用サンプルを使用する場合に押下される。
【0024】
出力装置1には、7個のLED14として、LED141〜147が設けられている。このLED141〜147は、その点灯数が官能評価値を表す。なお、4個のLED141〜LED144は、例えば緑色であり、官能評価値「1」〜「4」を表す。3個のLED145〜LED147は、例えば赤色であり、官能評価値「5」〜「7」を表す。つまり、LED145〜LED147は、官能評価値が中央値「4」を超えた場合に点灯し、その点灯により官能評価が「悪い」ことを表す。
このように、出力装置1では、官能評価値の範囲によって点灯色を変えることで、観測者は、官能評価を直ぐに知ることができる。また、出力装置1では、中央値より高い点灯色を予め決めておくことで、観測者は、官能評価が「悪い」ことを瞬時に知ることができる。逆に、出力装置1では、中央値より低い点灯色を予め決めておくことで、観測者は、官能評価が「良い」ことを瞬時に知ることができる。なお、LED144は、赤色であってもよい。
【0025】
出力装置1には電池ケースが設けられ、電池ケースには電池104が設置されている。出力装置1には、調整部105が設けられている。出力装置1には、電極101及び102とアース103の上(裏面から側面へ向かう方向)に、アナログ回路11が設けられている。
【0026】
図6は、本実施形態に係る出力装置1の内部構造を表す正面図である。出力装置1には、基板上に、スイッチ121〜124、LED141〜147、及び、デジタル回路13が設けられている。
【0027】
図7は、本実施形態に係る出力装置1の論理構成を示す概略ブロック図である。この図において、出力装置1は、電極101、電極102、調整部105、アナログ処理部(アナログ回路)11、入力部(スイッチ)12、デジタル処理部(デジタル回路)13、及び、発光部(LED)14を含んで構成される。アナログ処理部11は、差動増幅部111、フィルター部112、及び、平滑部113を含んで構成される。
【0028】
電極101及び102は、電気を伝導(電導)させることで、被験者の筋電位を差動増幅部111へ供給する。
調整部105は、差動増幅部111が電位を増幅する強さ(増幅強度と称する)を調整する。
【0029】
差動増幅部111は、電極101及び102から供給された電位に基づいて、電極101と電極102の間の電位差を表す信号を生成する。差動増幅部111は、生成した信号を、調整部105によって調整された増幅強度に基づいて増幅する。差動増幅部111は、増幅後の信号をフィルター部112へ出力する。
【0030】
フィルター部112は、差動増幅部111から入力された信号からノイズを除去する。具体的には、フィルター部112は、バンドパスフィルタであり、第1の周波数(例えば、13.3Hz)より低い周波数と、第2の周波数(例えば、399Hz)より高い周波数と、を除去する。フィルター部112は、ノイズを除去した信号を、平滑部113へ出力する。つまり、フィルター部112は、差動増幅部111から入力された信号のうち、第1の周波数以上で第2の周波数以下の周波数の信号を、平滑部113へ出力する。
【0031】
平滑部113は、フィルター部112から入力された信号の波形を、平滑にする。具体的には、平滑部113は、予め定めた時間(例えば、0.2秒)内の信号について振幅の絶対値を合算し、合算後の値を振幅とする信号を生成する。つまり、平滑部113が生成した信号は、測定結果の筋電位を表す信号(筋電位信号と称する)である。平滑部113は、生成した筋電位信号を、デジタル処理部13へ出力する。
【0032】
入力部12は、入力に基づいて信号を生成し、生成した信号をデジタル処理部13へ出力する。例えば、入力部12は、スイッチ121が押下された場合、第1の校正用サンプルが使用されることを示す第1入力信号をデジタル処理部13へ出力する。また、入力部12は、スイッチ122が押下された場合、第2の校正用サンプルを使用されることを示す第2入力信号をデジタル処理部13へ出力する。
【0033】
デジタル処理部13は、平滑部113から入力された筋電位信号及び入力部12から入力された信号を、アナログ−デジタル変換することで、デジタル信号を生成する。デジタル処理部13は、生成したデジタル信号に基づいて、処理を行う。例えば、デジタル処理部13は、第1入力信号又は第2入力信号の入力を契機に、筋電位を測定して官能関数kを生成する。また、デジタル処理部13は、筋電位を測定し、測定した筋電位と官能関数kに基づいて、官能評価値を算出する。デジタル処理部13は、算出した官能評価値を示す情報を発光部14へ出力する。
【0034】
発光部14(報知部)は、デジタル処理部13から入力された情報に基づいて、LED141〜147の中から、官能評価値に対応するLEDを選択する。発光部14は、選択したLEDを点灯させる。具体的には、発光部14は、官能評価値がK1(K1=1〜7のいずれかの整数)の場合、LED141〜LED14KのK個のLEDを点灯させる。
【0035】
図8は、本実施形態に係るデジタル処理部13の論理構成を示す概略ブロック図である。この図において、デジタル処理部13は、モデル記憶部131、官能関数生成部132、官能関数記憶部133(記憶部)、及び、官能評価値推定部134を含んで構成される。
【0036】
モデル記憶部131は、官能関数のモデルを記憶する。ここで、官能関数のモデルとは、例えば、官能関数の形状である。具体的には、モデル記憶部131は、官能関数が「直線」であることを示す情報を記憶する。
【0037】
官能関数生成部132は、第1入力信号又は第2入力信号の入力を契機に、平滑部113から入力された筋電位信号に基づいて、筋電位を決定する。具体的には、官能関数生成部132は、第1入力信号の入力から予め定められた時間内において、平滑部113から入力された筋電位信号の最大値を抽出する。官能関数生成部132は、抽出した最大値を、第1の校正用サンプルを被験者が使用した場合の筋電位V1に決定する。同様に、官能関数生成部132は、第2入力信号に基づいて、第2の校正用サンプルを被験者が使用した場合の筋電位V2を決定する。
【0038】
官能関数生成部132は、決定した筋電位V1及びV2と予め定められた官能評価値とを対応付ける。つまり、官能関数生成部132は、スイッチ121への1回の入力に応じて、測定された筋電位V1と予め定められた官能評価値「2」とを対応付けることで、第1の対応情報を生成する。また、官能関数生成部132は、スイッチ122への1回の入力に応じて、測定された筋電位V2と予め定められた官能評価値「6」とを対応付けることで、第2の対応情報を生成する。
【0039】
官能関数生成部132は、生成した第1の対応情報及び第2の対応情報と、モデル記憶部131が記憶するモデルと、に基づいて、官能関数kを生成する。すなわち、官能関数生成部132は、官能評価値が既知の校正物(校正用サンプル)を被験者が使用した場合に測定された筋電位に基づいて、官能関数kを生成する。ここで、官能関数生成部132は、2つの校正物(第1の校正用サンプル、第2の校正用サンプル)各々を使用した場合に測定された筋電位V1、V2に基づいて、官能関数kを生成する。
【0040】
具体的には、官能関数生成部132は、筋電位と官能評価値の2点、P1(V1,2)、P2(V2,6)を通る「直線」を官能関数kとする。官能関数生成部132は、これら2つの対応情報に基づいて、官能関数k=[(6−2)/(V2−V1)](V−V1)+V2を生成する(
図10参照)。官能関数生成部132は、生成した官能関数kを官能関数記憶部133に記憶させる。すなわち、官能関数記憶部133は、筋電位と官能評価値とを対応付ける官能関数kを記憶する。
【0041】
官能評価値推定部134は、平滑部113から入力された筋電位信号と、官能関数記憶部133が記憶する官能関数kと、に基づいて、官能評価値K1を推定する。なお、平滑部113から入力された筋電位信号は、評価用サンプルを使用した場合の筋電位信号である。すなわち、官能評価値推定部134は、測定された筋電位と、官能関数生成部132が生成した官能関数kと、に基づいて、官能評価値を推定する。
具体的には、官能評価値推定部134は、筋電位信号が示す筋電位Vtを官能関数kのVに代入し、その結果のkを官能評価値K1とする。官能評価値推定部134は、推定した官能評価値K1を示す情報を、発光部14へ出力する。
【0042】
図9は、本実施形態に係るデジタル処理部13の処理を表す概念図である。この図において、横軸は筋電位Vであり、縦軸は官能評価値kである。この図は、官能関数生成部132が、官能評価値「2」と筋電位V1を対応付けることにより、P1(V1,2)(第1の対応情報)を生成したことを示す。また、この図は、官能関数生成部132が、官能評価値「6」と筋電位V2を対応付けることにより、P2(V2,6)(第2の対応情報)を生成したことを示す。
【0043】
図10は、本実施形態に係るデジタル処理部13の処理を表す別の概念図である。この図において、横軸は筋電位Vであり、縦軸は官能評価値kである。この図は、官能関数生成部132が、官能関数kとして、P1(V1,2)とP2(V2,6)を通る直線L1を決定したことを表す。また、この図は、官能評価値推定部134が、官能関数k(直線L1)を用いて、筋電位Vtに対応するkを、官能評価値K1としたことを表す。
【0044】
以上のように、本実施形態では、出力装置1は、筋電位と官能評価値とを対応付けた官能関数kを記憶する。出力装置1は、測定された筋電位と官能関数kに基づいて、官能評価値を推定する。これにより、出力装置1は、官能評価値を推定できるので、容易に官能評価を実現できる。
【0045】
また、本実施形態では、出力装置1は、筋電位を伝導する電極101、102と、推定した官能評価値を報知する発光部14と、を備える。例えば、出力装置1は、電極101、102と発光部14とを一つの筐体に備える。また、例えば、出力装置1は、電極101、102と発光部14とのいずれかを備える筐体を組み合わせることにより、これらの機能を近傍に備えさせる。これにより、出力装置1は、測定対象部分の筋肉の近傍で官能評価値を報知でき、観測者は、その官能評価値を迅速に知ることができる。
【0046】
また、本実施形態では、出力装置1は、官能評価値が既知の校正物(校正用サンプル)を被験者が使用した場合に測定された筋電位に基づいて、官能関数kを生成する。出力装置1は、測定された筋電位と、生成した官能関数kと、に基づいて、官能評価値を推定する。これにより、出力装置1は、被験者各々の筋力と官能評価値とを整合することができ、被験者に応じた基準で官能評価値を推定できる。よって、出力装置1は、絶対的な基準で官能評価値と筋電位の対応を決める場合と比較して、正確に官能評価値を推定できる。また、出力装置1は、部分部分の筋肉の筋力と官能評価値とを整合することができ、正確に官能評価値を推定できる。
【0047】
また、本実施形態では、出力装置1は、2つの校正物(第1の校正用サンプル、第2の校正用サンプル)各々を使用した場合に測定された筋電位に基づいて、官能関数kを生成する。これにより、出力装置1は、1つの校正物を用いた場合と比較して、官能関数のモデルを官能関数kに一致させることができる。よって、正確に官能評価値を推定できる。
【0048】
また、本実施形態では、出力装置1は、スイッチ121への1回の入力に応じて、測定された筋電位V1と予め定められた官能評価値「2」とを対応付ける。また、官能関数生成部132は、スイッチ122への1回の入力に応じて、測定された筋電位V2と予め定められた官能評価値「6」とを対応付ける。これにより、出力装置1は、官能評価値を選択する場合等、スイッチを複数回操作する場合と比較して、簡易な操作で官能関数kを生成でき、容易に官能評価を実現できる。
【0049】
また、本実施形態では、出力装置1は、官能評価値が「2」と「6」に基づいて、官能関数kを生成する。つまり、出力装置1は、官能評価値の最小値「1」又は最大値「7」以外の官能評価値に基づいて、官能関数kを生成する。校正用サンプルについては、例えば、1人でも官能評価値が最小値又は最大値ではないとした時点で、官能評価値の平均値は最小値又は最大値でなくなってしまう。このように、官能評価値が最小値又は最大値の校正用サンプルは、作成が非常に困難である。そのため、仮に官能評価値の最小値又は最大値の官能評価値に基づいて官能関数kが生成されたとき、官能関数kが正確でない場合がある。これに対して、出力装置1は、官能評価値の最小値「1」又は最大値「7」以外の官能評価値に基づいて官能関数kを生成するので、正確な官能関数kを生成できる。また、出力装置1を用いる官能評価では、官能評価値が最小値又は最大値の場合の校正用サンプルと比較して、校正用サンプルを容易に作成できる。
【0050】
なお、上記実施形態において、官能関数のモデルは、官能評価値が筋電位の増加関数でなくてもよく、減少関数であってもよい。また、官能関数のモデルは「直線」に限られず、曲線であってもよい。例えば、官能関数のモデルが極小値又は極大値(極値)を有するモデルであり、官能関数生成部132は、極値を有する官能関数kを生成してもよい。具体的には、官能関数生成部132は、軸を「4」(「2」と「6」の中間値)とし、2点(V1,2)、(V2,6)を通る「2次関数」を官能関数kとする。つまり、官能関数生成部132は、官能関数k=(V−a)
2+bを生成する。ここで、a、bは、2=(V1−a)
2+b、6=(V2−a)
2+bを満たす解である。
【0051】
図11は、本実施形態の変形例に係るデジタル処理部13の処理を表す別の概念図である。この図は、モデル記憶部131が「2次関数」であることを示す情報を記憶する。この図は、官能関数生成部132が、官能関数kとして、P1(V1,2)とP2(V2,6)を通る2次関数L2を決定したことを表す。また、この図は、官能評価値推定部134が、官能関数k(2次関数L2)を用いて、筋電位Vtに対応するkを、官能評価値K1としたことを表す。
【0052】
このように、官能評価値は、筋電位に比例しない場合や筋電位の増加関数にならない場合がある。例えば、ハンドソープやシャンプー等のポンプ型の容器において、ポンプを押す力が軽くなると(筋肉への負荷が軽くなると)、被験者が意図した量より多くの内容物が出てしまう。これを被験者が不快に感じ、筋電位が低くなるにつれて、官能評価値が大きくなる(悪くなる)ことがある。
出力装置1は、官能関数のモデルに従って官能関数を生成するので、評価用の製品や評価内容に応じたモデルを用いて、官能評価値を算出できる。つまり、出力装置1は、製品や評価内容に応じた官能評価を、容易で正確に実現できる。このように、官能関数のモデルは、官能評価値が筋電位の増加関数や減少関数でなくてもよく、増加と減少の両方を有するような関数であってもよい。
【0053】
また、官能関数のモデルは、その他の形状であってもよい。この場合、官能関数生成部132は、モデルを拡大、回転、移動させることによって、測定した点を通るような官能関数を生成する。
また、官能関数生成部132は、官能評価値が既知である2点について、筋電位を測定して、官能関数kを決定した。しかし本発明はこれに限らず、官能評価値が既知である点は、1点又は3点以上であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、出力装置1は、LEDの点灯数が少ないほど官能評価値が「良い」(使いやすい)ことを表し、その点灯数が値が高いほど「悪い」(使いにくい)ことを表す場合について説明した。しかし本発明はこれに限らず、例えば、点灯数と官能評価値との関係は、逆であってもよい。出力装置1は、LEDの点灯数が少ないほど官能評価値が「悪い」(使いにくい)ことを表し、その点灯数が値が高いほど「良い」(使いやすい)ことを表してもよい。
【0055】
なお、出力装置1は、官能関数のモデルを、例えば、製品、容器形状のグループ、被験者、年齢又は世代、性別のいずれか1つ或いは複数の組み合わせ毎に、記憶してもよい。つまり、出力装置1は、製品、容器形状のグループ、被験者、年齢又は世代、性別のいずれか1つ或いは複数の組み合わせ毎に、官能関数kの生成を行って記憶してもよい。そして、出力装置1は、製品、容器形状のグループ、被験者、年齢又は世代、性別のいずれか1つ或いは複数の組み合わせが同じ被験者については、一度記憶した官能関数kを用いて(新たに官能関数kの生成を行わずに)、評価用サンプルについての官能評価を行ってもよい。
これにより、出力装置1は、官能関数kの生成にかかる工数を削減できる。
【0056】
なお、上記実施形態において、フィルター部112は、第1の周波数より低い周波数と第2の周波数より高い周波数のいずれか一方を削除してもよい。例えば、フィルター部112は、ハイパスフィルタであり、第1の周波数より低い周波数を除去してもよい。また、フィルター部112は、ローパスフィルタであり、第2の周波数より高い周波数と、を除去してもよい。
【0057】
なお、上記実施形態において、出力装置1は、官能評価値を数字や画像で表示してもよい。例えば、出力装置1は、発光部14に代えてディスプレイを有し、ディスプレイに官能評価値を表す数字や画像を表示してもよい。また、出力装置1は、表示態様を切り替えてもよい。例えば、観測者が「良い」又は「悪い」の一方を判断したい場合には2色のLEDで報知する態様とし、一方、観測者が値の詳細を知りたい場合には数字で報知する態様としてもよい。この場合、どちらの表示態様にするかを観測者が予め出力装置1に設定してもよいし、また、出力装置1が設定時間単位で(例えば、1秒毎に)表示態様を切り替えても良い。また、出力装置1は、官能評価値を音や振動で報知してもよい。
ただし、複数の出力装置1を使用して官能評価をする場合には、音だと聞き分けられない可能性がある。これに対し、出力装置1が官能評価値を表示するときは、複数の出力装置1を使用して官能評価をする場合でも、正確な官能評価値を報知できる。複数の出力装置1を使用して官能評価をする場合とは、例えば、1人の被験者が複数の出力装置1を装着した状況で官能評価をする場合や、複数の被験者が同じ場所で官能評価をする場合である。
【0058】
また、上記実施形態において、出力装置1が備える構成は、1つの筐体が備えなくてもよい。例えば、電極101、102が導線によって筐体に接続され、その筐体がアナログ処理部11、デジタル処理部13を備えてもよい。この場合、この筐体がディスプレイに接続され、デジタル処理部13は、官能評価値をディスプレイに表示させてもよい。つまり、電極101、102と、アナログ処理部11及びデジタル処理部13を備える処理装置と、ディスプレイと、を具備する情報処理装置(情報処理システムとも称する)であってもよい。また、電極101、102、及びアナログ処理部11を備える電極シートと、デジタル処理部13を備える処理装置と、ディスプレイと、を具備する情報処理装置であってもよい。
【0059】
また、上記実施形態において、スイッチ12及びLED14は、出力装置1の側面、又は表面と側面の両方に設けられてもよい。被験者がサンプルを使用する際の体勢や動きによっては、被験者と接触する面や官能評価の観測者(被験者を含んでもよい)が見やすい面が異なる。例えば、被験者と接触する可能性が低い面にスイッチ12が設けられる場合には、スイッチの誤入力を防止できる。また、観測者が見やすい面にLED14が設けられる場合には、官能評価値の見間違いを防止できる。
また、上記実施形態において、出力装置1は、筋電位に代えて、測定した筋電位と最大筋電位の比(筋電比と称する)を用いてもよい。この場合、出力装置1は、校正用サンプルが用いられた場合に、筋電比と官能評価値とを対応付ける。出力装置1は、測定された筋電比と予め定められた官能評価値に基づいて、官能関数kを生成する。出力装置1は、測定された筋電比と官能関数kに基づいて、官能評価値を推定して表示する。
【0060】
なお、上述した実施形態における出力装置1の一部をコンピュータで実現するようにしても良い。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、出力装置1に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上述した実施形態における出力装置1の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現しても良い。出力装置1の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化しても良い。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いても良い。
【0061】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。