(54)【発明の名称】データユニット内のデータを複数の空間ストリームにパーシングする方法、生成されたデータユニットを復号する方法、無線ネットワークにおいて送信されるべきデータユニットを生成する装置、および、受信したデータユニットを復号する装置
【文献】
Sudhir Srinivasa, et al.,MCS Selection and Padding Equations,IEEE 802.11-10/0820r0,2010年 7月13日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のパーシングルール群にしたがって前記符号化ビットをパーシングする段階は、前記1以上の符号化器のそれぞれから、ラウンドロビン方式で、前記複数の空間ストリームに対して、sビットから成る連続ブロックを複数割り当てる段階を有し、
sビットから成る一の連続ブロックは、1サイクルにおいて、前記1以上の符号化器のうち1つから前記複数の空間ストリームのそれぞれに割り当てられる請求項1または2に記載の方法。
前記第1のパーシングルール群にしたがって前記符号化ビットをパーシングする段階はさらに、前記1以上の符号化器のそれぞれから前記複数の空間ストリームのそれぞれに対して同数の符号化ビットを割り当てる段階を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
前記空間ストリームパーサは、前記1以上の符号化器のそれぞれから、ラウンドロビン方式で、前記複数の空間ストリームに対して、sビットから成る連続ブロックを割り当てることによって、前記第1のパーシングルール群にしたがって前記符号化ビットをパーシングし、
sビットから成る一の連続ブロックは、一サイクルにおいて、前記1以上の符号化器のうち1つから前記複数の空間ストリームのそれぞれに割り当てられる請求項9または10に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下で説明する実施形態では、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)のアクセスポイント(AP)等の無線ネットワークデバイスがデータストリームを1以上のクライアント局に送信する。ある実施形態によると、APは、複数のクライアント局のうち少なくとも1つへの送信について空間多重化を利用する。つまり、複数の空間ストリームを介して複数のクライアント局のうち少なくとも1つにデータストリームを送信する。このため、ある実施形態によると、APにおいて、送信前に、クライアント局が間違いなくデータを復号できるように決められている所定のパーシングルールに応じて、符号化された情報ビットを複数の空間ストリームにパーシングする。一部の実施形態によると、特定のシステム構成がパーシングルールに関連付けられている特定の制約を満たさない場合、このシステム構成は送信には利用されない(つまり、この特定のシステム構成は、一連の許可されたシステム構成から除外される)。ある実施形態によると、システム構成は、少なくとも一の特定の変調符号化方式(MCS)/チャネル帯域幅/空間ストリーム数の組み合わせによって記述される。しかし、一部の実施形態によると、制約を満たさない幾つかのシステム構成を、例えば、このようなシステム構成に対応付けられている所望のデータレートを利用するために、利用することが有益である。したがって、このような一実施形態によると、パーシング制約を満たさない少なくとも幾つかのシステム構成を許容するべく、パーシング制約が満たされない状況であってもクライアント局で間違いなくデータが復号されるような異なる一連のパーシングルールを利用する。
【0020】
図1は、ある実施形態に係るワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)10の一例を示すブロック図である。AP14では、ホストプロセッサ15がネットワークインターフェース16に結合されている。ネットワークインターフェース16は、媒体アクセス制御(MAC)処理部18および物理層(PHY)処理部20を有する。PHY処理部20は複数の送受信機21を含み、これらの送受信機21は複数のアンテナ24に結合されている。
図1に図示されている送受信機21およびアンテナ24はそれぞれ3つであるが、AP14が備える送受信機21およびアンテナ24の数は、他の実施形態では異なるとしてもよい(例えば、1つ、2つ、4つ、5つ等)。一実施形態によると、MAC処理部18およびPHY処理部20は、第1の通信プロトコルに応じて動作するように構成されている。第1の通信プロトコルは、本明細書では、超高スループット(VHT)プロトコルと呼ぶ。別の実施形態によると、MAC処理部18およびPHY処理部20は、さらに少なくとも第2の通信プロトコルに応じて動作するように構成されている(例えば、IEEE802.11n規格、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格等)。
【0021】
WLAN10は、複数のクライアント局25を備える。
図1で図示しているクライアント局25は4つであるが、WLAN10が備えるクライアント局25の数は、状況および実施形態に応じて異なるとしてよい(例えば、1つ、2つ、3つ、5つ、6つ等)。クライアント局25のうち少なくとも1つ(例えば、クライアント局25−1)は、少なくとも第1の通信プロトコルに応じて動作するよう構成されている。
【0022】
クライアント局25−1では、ホストプロセッサ26がネットワークインターフェース27に結合されている。ネットワークインターフェース27は、MAC処理部28およびPHY処理部29を含む。PHY処理部29は複数の送受信機30を含み、これらの送受信機30は複数のアンテナ34に結合されている。
図1に図示している送受信機30およびアンテナ34はそれぞれ3つであるが、クライアント局25−1が有する送受信機30およびアンテナ34の数は、他の実施形態では、異なるとしてよい(例えば、1つ、2つ、4つ、5つ等)。
【0023】
ある実施形態によると、クライアント局25−2、25−3および25−4のうち1つまたは全ては、クライアント局25−1と同一または同様の構造を持つ。これらの実施形態によると、クライアント局25−1と同一または同様の構造を持つクライアント局25は、同じまたは異なる数の送受信機およびアンテナを持つ。例えば、ある実施形態によると、クライアント局25−2は、送受信機およびアンテナが2つのみである。
【0024】
さまざまな実施形態によると、AP14のPHY処理部20は、第1の通信プロトコルに準拠したデータユニットを生成するように構成されている。送受信機21は、生成されたデータユニットをアンテナ24を介して送信するように構成されている。同様に、送受信機24は、アンテナ24を介してデータユニットを受信するように構成されている。ある実施形態によると、AP14のPHY処理部20は、第1の通信プロトコルに準拠した受信データユニットを処理する。
【0025】
さまざまな実施形態によると、クライアント局25−1のPHY処理部29は、第1の通信プロトコルに準拠したデータユニットを生成するように構成されている。送受信機30は、生成されたデータユニットをアンテナ34を介して送信するように構成されている。同様に、送受信機30は、アンテナ34を介してデータユニットを受信するように構成されている。ある実施形態によると、クライアント局25−1のPHY処理部29は、第1の通信プロトコルに準拠した受信データユニットを処理するように構成されている。
【0026】
図2は、ある実施形態によると、VHTプロトコルに応じて動作するように構成されているPHY処理部200の一例を示すブロック図である。
図1を参照すると、AP14およびクライアント局25−1は、一実施形態において、それぞれがPHY処理部200等のPHY処理部を有する。
【0027】
PHY処理部200は、ある実施形態によると、1または0が長く続くシーケンスの発生を低減するべく、情報ビットストリームに粗いスクランブリングを適用するスクランブラ204を備える。別の実施形態によると、スクランブラ204に代えて、複数のパラレルスクランブラ(不図示)を符号化器用パーサ208の後に配置する。本実施形態によると、パラレルスクランブラはそれぞれ、対応する出力が、複数の順方向誤り訂正(FEC)符号化器212のうち対応する1つに結合される。複数のパラレルスクランブラは、デマルチプレクスされたストリームに対して同時に処理を行う。さらに別の実施形態によると、スクランブラ204は、複数のパラレルスクランブラと、情報ビットストリームを複数のパラレルスクランブラにデマルチプレクスするデマルチプレクサとを含む。複数のパラレルスクランブラは、デマルチプレクスされたストリームに対して同時に処理を行う。これらの実施形態は、状況によっては、帯域幅を広く、そして動作クロック周波数を高くする上で有用である。
【0028】
符号化器用パーサ208は、スクランブラ204に結合されている。符号化器用パーサ208は、情報ビットストリームをデマルチプレクスして、1以上のFEC符号化器212に対応する1以上の符号化器用入力ストリームを生成する。複数のパラレルスクランブラを備える別の実施形態によると、符号化器用パーサ208は、情報ビットストリームを複数のパラレルスクランブラに対応する複数のストリームにデマルチプレクスする。
【0029】
実施形態および/または状況に応じて、並列に動作する符号化器212の数が変化する。例えば、一実施形態によると、PHY処理部200は、4つの符号化器212を備え、1個、2個、3個または4個の符号化器が、特定のMCS、帯域幅、および、空間ストリーム数に応じて同時に動作する。別の実施形態によると、PHY処理部200は、5個の符号化器212を備え、1個、2個、3個、4個または5個の符号化器が同時に動作する。別の実施形態によると、PHY処理部200が備える符号化器212の数は最高で10個であり、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の符号化器が、特定のMCS、帯域幅およびガードインターバルが利用されているか否かに応じて、同時に動作する。ある実施形態によると、同時に動作する符号化器の数は、データレートの倍数で、例えば、600Mbps毎に増加する。言い換えると、例えば、1個の符号化器は最高で600Mbpsまでのデータレートに利用され、2個の符号化器は600Mbpsと1200Mbpsとの間のデータレートに利用される。
【0030】
符号化器212は、対応する入力ストリームを符号化して、対応する符号化ストリームを生成する。一実施形態によると、FEC符号化器212は、バイナリ畳み込み符号化器を含む。別の実施形態によると、FEC符号化器212は、バイナリ畳み込み符号化器の後に、パンクチャリングブロックを備える。別の実施形態によると、FEC符号化器212は、低密度パリティチェック(LDPC)符号化器を有する。さらに別の実施形態によると、FEC符号化器212はさらに、バイナリ畳み込み符号化器の後にパンクチャリングブロックを備える。一実施形態によると、FEC符号化器212は、1)パンクチャリング無のバイナリ畳み込み符号化、2)パンクチャリング有のバイナリ畳み込み符号化、または、3)LDPC符号化のうち任意のものを実施するように構成されている。
【0031】
ストリーム用パーサ216は、別箇にインターリービングを行い、コンステレーション点にマッピングするために、1以上の符号化ストリームを1以上の空間ストリームにパーシングする。インターリーバ220は、各空間ストリームに対応しており、当該空間ストリームのビットをインターリービングして(つまり、ビットの順序を変更して)、ノイズビットが互いに隣接して長く続くシーケンスが受信機側で復号器に入力されないようにする。また、コンステレーションマッパ224が、各空間ストリームに対応しており、インターリーブされたビットシーケンスを、直交周波数分割多重化(OFDM)シンボルの複数の異なるサブキャリアに対応するコンステレーション点にマッピングする。より具体的に説明すると、各コンステレーションマッパ224は、対応する空間ストリームを、長さがlog
2(C)のビットシーケンス毎に、C個のコンステレーション点のうちの1つに変換する。さまざまな実施形態および/または状況によると、コンステレーションマッパ224は、利用されているMCSに応じて、さまざまな数のコンステレーション点を利用する。一実施形態によると、各コンステレーションマッパ224は、C=2、4、16、64、256および1024の直交振幅変調(QAM)マッパである。別の実施形態によると、コンステレーションマッパ224は、{2,4,16,64,256,1024}の群から選択される少なくとも2つの値から成る異なるサブセットに等しいCに対応する異なる変調方式を利用する。
【0032】
ある実施形態によると、時間空間ブロック符号化(STBC)部228は、1以上の空間ストリームに対応するコンステレーション点を受信して、空間ストリームをより多数の時間空間ストリームに拡散させる。一部の実施形態によると、時間空間ブロック符号化部228を省略する。時間空間ブロック符号化部228には、複数のサイクリックシフトダイバーシティ(CSD)部232が結合されている。CSD部232は、時間空間ストリームのうち1つを除いて全てに(複数の時間空間ストリームがある場合)サイクリックシフトを挿入して、意図せずビームフォーミングが行なわれないようにする。説明の便宜上、時間空間ブロック符号化部228が省略される実施形態であっても、CSD部232への入力は、時間空間ストリームと呼ぶ。
【0033】
空間マッピング部236は、時間空間ストリームを送信チェーンにマッピングする。さまざまな実施形態によると、空間マッピングは以下のうち1以上を含む。
1)各時間空間ストリームのコンステレーション点が送信チェーンに直接マッピングされる直接マッピング(つまり、1対1マッピング)
2)全ての時間空間ストリームのコンステレーション点のベクトルをマトリクス乗算によって拡張して送信チェーンへの入力を生成する空間拡張
3)全ての時間空間ストリームのコンステレーション点の各ベクトルをステアリングベクトルマトリクスで乗算して送信チェーンへの入力を生成するビームフォーミング
【0034】
空間マッピング部236からの各出力は、一の送信チェーンに対応し、空間マッピング部236の各出力は、1ブロックのコンステレーション点を一の時間ドメイン信号に変換する逆離散フーリエ変換(IDFT)部240で処理される。IDFT部240の出力は、GI挿入および窓関数部244に供給される。GI挿入および窓関数部244は、ある実施形態によると、各OFDMシンボルの先頭にOFDMシンボルのサイクリック拡張であるガードインターバル(GI)部分を付加し、各シンボルのエッジを平滑化してスペクトル減衰を大きくする。GI挿入および窓関数部244の出力は、信号をアナログ信号に変換して、信号を送信用のRF周波数までアップコンバートするアナログおよびRF部248に供給される。この信号は、実施形態および/または状況に応じて、20MHz、40MHz、80MHz、120MHzまたは160MHzの帯域幅チャネルで送信される。
【0035】
ある実施形態によると、特定のチャネルは、少なくとも部分的に2以上の別箇のチャネルで処理される複合チャネルである。言い換えると、本実施形態では、複合チャネルは、2以上の別箇のチャネルから構成され、各チャネルは別々に処理される。例えば、ある実施形態によると、80MHzチャネルは、少なくとも部分的に、2つの40MHz部分を用いて処理される。別の例を挙げると、別の実施形態では、160MHzのチャネルは、少なくとも部分的に、2つの80MHz部分を用いて処理される。
図3は、実施形態例に係る、2つの80MHzチャネルを利用して160MHz複合チャネル用のデータユニットを生成するよう構成されているPHY処理部300の一例を示すブロック図である。PHY処理部300は、PHY処理部300では周波数パーサ318がストリームパーサ316の出力のそれぞれに結合されていることを除き、
図2のPHY処理部200と同様である。ある実施形態によると、周波数パーサ318は、各空間ストリームの符号化ビットを、2つの80MHzチャネル間で等しく分配する。PHY処理部300では、スクランブラ304、符号化器用パーサ308、符号化器312およびストリームパーサ316が全て、160MHz帯域全体で動作する一方、複数の別箇のインターリーブ部320、複数の別箇のコンステレーションマッピング部324、複数の別箇のCSD部332および複数の別箇の空間マッピング部336は、80MHz帯域部分を処理するために用いられる。ある実施形態によると、160MHzチャネルは、2つの別箇のフロントエンドブロックを持つ二重無線送受信機アーキテクチャを用いて送信される。例えば、一実施形態によると、第1の無線送受信機が、チャネルのうち下側の80MHz部分を送信し、第2の無線送受信機が、チャネルのうち上側の80MHz部分を送信する。したがって、本実施形態によると、80MHzサブ帯域のそれぞれについて、一の独立したIDFT部340および一の独立したDAC部344を用いる。別の実施形態によると、160MHzチャネル全体は、一の無線送受信機アーキテクチャ(または、一のRFフロントエンド)を用いて送信する。したがって、本実施形態によると、一のIDFT部340および一のDAC部344を用いて、各空間ストリームについて160MHz全体を生成する。
【0036】
ある実施形態によると、PHY処理部200(
図2)またはPHY処理部300(
図3)が利用する特定の変調符号化方式(MCS)は、適切なMCS群から(例えば、MCSテーブルから)選択する。一実施形態に係るMCSテーブルの一例は、
図4のテーブルである。ある実施形態によると、選択されたMCSは、システム構成の他の仕様、例えば、利用されているチャネル帯域幅、データ送信に利用されるOFDMシンボルのトーン数(データトーン)、空間ストリーム数等と共に、送信の際のデータレートを左右するのが普通である。本開示の一部の実施形態で利用されるさまざまな送信チャネルおよびトーンマッピングの例は、米国特許出願第12/846,681号(発明の名称:「Methods and Apparatus for WLAN Transmission」、出願日:2010年7月29日)に記載されている。当該出願の内容は全て、参照により本願に組み込まれる。ある実施形態によると、データレートによって、データユニットを生成するために並列に動作する必要があるFEC符号化器(動作している符号化器)の数が決まる。
【0037】
適切な数の符号化器によって情報ビットが符号化されると、ある実施形態では、特定のパーシングルールに従って符号化データビットは1以上の空間ストリームにパーシングされる。本明細書では
図2を参照しつつさまざまなパーシングルールを説明するが、一部の実施形態によると、これらのパーシングルールは、二重チャネルPHY処理部、例えば、PHY処理部300等でも利用される。このような一部の実施形態では、パーシングルールは、各チャネルに対応するチャネル帯域幅に基づいて規定されており、帯域幅の全範囲にわたって動作するストリームパーサによって利用される。このような一部の実施形態では、パーシングルールは、IEEE802.11n規格で規定されているパーシングルールと同一である。しかし、場合によっては、ある実施形態によると、サブチャネル帯域幅の場合には満たされているパーシングルールに対応付けられている特定の制約(「パーシング制約」)が、チャネル帯域幅全体の場合には満たされないことがある。これらの場合、一部の実施形態では、サブチャネル帯域幅に基づいたパーシングルールをチャネル全体に用いると、受信側(例えば、
図1のクライアント局25−1)で空間ストリームのデータを適切にパーシングできなくなるので、この場合には、データを受信機側で適切に回復することができなくなる。
【0038】
ここで
図2を参照すると、ある実施形態において、符号化器用パーサ208は、所定の符号化器用パーシングルールに従って、動作している符号化器212にビットを割り当てる。例えば、ある実施形態によると、符号化器用パーサ208は、一の符号化器用パーシングルールに応じて、動作している符号化器212にラウンドロビン方式でビットを割り当て、1サイクルに1ビットを動作している各符号化器212に割り当てる。さらに、ある実施形態によると、別の符号化器用パーシングルールに従って、動作している符号化器212はそれぞれ、同数の情報ビットに処理を行うので、符号化器用パーサ208は、同数の情報ビットを動作している各符号化器212に割り当てる。
【0039】
同様に、ある実施形態によると、情報ビットが符号化器212によって符号化された後、ストリーム用パーサ216が、空間ストリーム用パーシングルールに応じて、符号化ビットを複数の空間ストリームに割り当てる。一実施形態によると、例えば、ストリーム用パーサ216は、各符号化器212の出力をラウンドロビン方式で利用して、1サイクルにおいて一の符号化器212からのSビットを複数の空間ストリームに割り当てる。Sは以下の式で表される。
【数1】
式中、N
SSが空間ストリーム数を表し、N
BPSCS(i
SS)は、空間ストリームi
SSについてキャリア毎の符号化ビット数である。ある実施形態によると、このパーシングルールに応じて、ストリーム用パーサ216は、動作中の各符号化器212からのN
SS×sビットを、ラウンドロビン方式で、N
SS個の空間ストリームに割り当てる。つまり、ある実施形態によると、一の符号化器からのsビットから成る連続ブロックS個を、N
SS個の空間ストリームのそれぞれに一サイクルで割り当てる。さらに、ある実施形態によると、第2の空間ストリーム用パーシングルールによると、動作中の各符号化器212から得られる同数の符号化ビットを、N
SS個の空間ストリームのそれぞれに割り当てる。つまり、このパーシングルールにしたがって、動作中の角符号化器212は、各空間ストリームに、同数のビットを渡す。
【0040】
一部の実施形態によると、さまざまなパーシングルールを満たすべく、パディングを利用して、符号化器用パーサ212および/または空間ストリームパーサ216が適切な数のビットに処理を行うようにする。パディングは一般的に、既知の値(例えば、ゼロまたはその他の適切な値)のビットまたはシンボルを一連の情報ビットまたはシンボルに追加することを含む。一実施形態によると、例えば、利用している特定のシステム構成で定められているように、パディングを用いて、符号化器用パーサ208への入力時に一のOFDMシンボル内の情報ビット数が、動作している符号化器の数の整数倍になるようにする。この場合、パーサ208によるパーシングの後、パディングによって、同数の情報ビットが各符号化器212に入力されることになる。別の例を挙げると、ある実施形態において、パディングを用いて、符号化の前の一連の情報データ、および/または、符号化の後の一連の符号化データビットを長くして、各空間ストリームが同数の符号化ビットを動作中の各符号化器から受信するようにする。さまざまな実施形態および/または状況に応じた幾つかのパディング方式は、例えば、米国特許出願第12/846,681号(発明の名称:「Methods and Apparatus for WLAN Transmission」)に記載されている。
【0041】
しかし、場合によっては、特定のパーシングルールを満たすためには多数のパディングビットまたはパディングシンボルが必要となることがある。したがって、このような幾つかの実施形態または場合には、特定のMCS/チャネル帯域幅/空間ストリーム数の組み合わせに対応するシステム構成を送信に用いないこととする。つまり、これらの実施形態では、特定のMCSは、特定のチャネル帯域幅および特定の空間ストリーム数と共に利用できないようになっている。またはこれに代えて、特定のMCSは、一連の許可されているMCSから(例えば、MCSテーブルから)完全に除外されている。例えば、このような一実施形態によると、MCSは、システム構成について数2で表す制約が満たされていない場合、特定のチャネル帯域幅について禁止される。
【数2】
式中、N
CBPSは、OFDMシンボル毎の符号化ビット数を表し、N
ESは、データストリームを符号化するために必要な符号化器の数を表し、N
RおよびD
Rは、数2で示しているように符号化レートRの分子および分母である。ある実施形態によると、数2は一般的に、MCSが、システム構成に対応するOFDMシンボル毎のデータビットの数(つまり、符号化前の情報ビット)およびOFDMシンボル毎の符号化ビットの数は共に、利用している符号化器の数の整数倍になる(つまり、N
DBPS/N
ESおよびN
CBPS/N
ESが共に整数である)場合に限り、送信に用いられるようにする。
【0042】
また、一実施形態において、動作している各符号化器212からN
SS個の空間ストリームへの均等パーシングを実現するためには、数2で表した制約に加えて、動作している符号化器のそれぞれの出力時の符号化ビット数は、N
SS×sで表す値の整数倍になるという別の制約を満たす必要がある。ある実施形態によると、この制約は数3で表される。
【数3】
【0043】
一部の実施形態によると、数3の制約は、全ての許可されたMCSについて、全てのチャネル帯域幅/空間ストリーム数の組み合わせについて(例えば、数2の制約を満たしてシステム構成の全てについて)満たされる。このため、これらの実施形態においては、数3が表す制約が満たされていないことに起因してさらにMCSを除外したり、または、ストリーム用パーシングルールを変更したりすることは必要ない。一方、別の実施形態によると、この制約は、特定の場合において、例えば、一部のチャネル帯域幅について、特定の許容されたMCSについて満たされ、同じMCSについてであっても他の場合には、例えば、他のチャネル帯域幅については満たされない。例えば、このような一実施形態によると、この制約は、数2にしたがって許容されたMCS全てについて、80MHzチャネルについては満たされるが、数2にしたがって許容されたMCSの少なくとも一部について、160MHzチャネルについては満たされない。具体的に一例を挙げると、一実施形態において、4つのMCS/空間ストリームの組み合わせが
図5のテーブルに列挙されているが、160MHzチャネルの場合にはこれらは数3の制約を満たさない。この結果、この場合には、数2が表す条件が満たされていたとしても、各符号化器からの符号化ビットは、160MHzチャネルについて、複数の空間ストリーム間で均等に分配することができない。
【0044】
パーシング制約(例えば、数3)を満たさないシステム構成を利用可能とするべく、一部の実施形態では、少なくとも一部のシステム構成について利用したパーシングルール、例えば、
図5に挙げたMCS/空間ストリーム数の組み合わせについてのパーシングルールを変更して、動作している符号化器212からN
SS個の空間ストリームに対して不均等な分配を許可する。例えば、
図6は、一実施形態に係る、符号化器212からN
SS個の空間ストリームに対する不均等な分配を可能とする一連のパーシングルールを用いたストリームパーシング技術600を説明するためのフローチャートである。
【0045】
ブロック604において、数1を参照しつつ上述したように、動作している符号化器のそれぞれから得られるN
SS×sビットを、ラウンドロビン方式で、sビットから成る連続ブロックを複数用いて、動作している符号化器のそれぞれの出力においてM×sビットの最終ブロックが残るまで、空間ストリームに割り当てる。尚、Mは整数であり、M<N
SSである。数学的には、ある実施形態において、Mは以下の式で表される。
【数4】
【0046】
ブロック608において、最初の符号化器で残ったM×sビットは、M個の空間ストリームから成る第1の空間ストリーム群に対して、s個のビットから成る連続ブロックを複数用いて、ストリーム番号1から割り当て始める。ブロック612において、二番目の符号化器212で残ったM×sビットは、M個の空間ストリームから成る第2の空間ストリーム群に対して、ストリーム番号M+1から割り当て始める。このプロセス(つまり、ブロック612)は、動作している符号化器212の全てから得られる残余ビットが全て、このようにして、空間ストリームに割り当てられるまで続く。ある実施形態によると、全ての符号化器からの符号化ビットの全ての分配が完了する前に最後のストリームに到達すると、このプロセスは再度、空間ストリーム番号1から開始される。
【0047】
ストリームパーシング技術600を実施する説明のための例において、160MHzチャネル(データトーンは468個)を5個の空間ストリーム(N
SS=5)と共に利用し、
図4のMCSテーブルからMCS番号5(つまり、64QAM、2/3符号化レート)を選択する。この場合、ある実施形態によると、コンステレーションサイズは6に等しい(つまり、コンステレーションサイズ=log
2(コンステレーションの点の数)=log
2(64)=6)ので、数1によると、Sは3*5=15に等しくなる(つまり、s=3)。OFDMシンボルの符号化ビットの数は、N
CBPS=データトーン数*コンステレーションサイズ*空間ストリーム数=468*6*5=14040となる。ある実施形態によると、データレートは、(N
CBPS*符号化レート)/シンボル期間によって決まる。例えば、シンボル期間が3.6μsである場合、データレートは2.6GHzとなる。したがって、符号化器の数はデータレートが600Mbps増える度に増加する場合、この場合に動作している符号化器の数は5に等しい(N
ES=5)。このため、動作している符号化器のそれぞれの出力におけるOFDMシンボルに含まれるsビットのブロックの数は、この場合、936に等しい。
図6を参照すると、ブロック604において、この実施形態では、各符号化器から得られる15ビットのブロックを、5個の空間ストリームにラウンドロビン方式で分配し、3ビットブロックが1つ、動作している符号化器のそれぞれの出力において残るまで(つまり、M=1)、3ビットを各サイクルにおいて各空間ストリームに割り当てる。ブロック608において、最初の符号化器の出力に残っている3ビットのブロックは、最初の空間ストリームに割り当てられる。ブロック612において、二番目の動作している符号化器の出力に残った3ビットのブロックを二番目の空間ストリームに割り当て、そして、三番目の動作している符号化器の出力に残った3ビットのブロックを三番目の空間ストリームに割り当て、動作している符号化器の全ての出力に残っているビットを全てこのようにしてN
SS個(この場合には、5個)の空間ストリームに割り当てるまで、同様に続ける。
【0048】
図7は、別の実施形態に係る、動作している符号化器から得られるビットをN
SS個の空間ストリームに不均等に分配することを含む一連のパーシングルールを利用した別のパーシング技術700を説明するための図である。
図6のパーシング技術600と同様に、ブロック704において、数1を参照しつつ上述したように、動作している符号化器のそれぞれから得られるN
SS×sビットは、ラウンドロビン方式で、sビットから成る連続ブロックを複数用いて、N
SS個の空間ストリームに対して割り当てる。符号化器の出力にはN
SS×sビットより少ないビットが残る。ある実施形態によると、M×sの残余ビットは、動作している符号化器のそれぞれの出力に残る。Mは、整数であり、M<N
SSである。ブロック708において、最初の符号化器から得られる最初のsビットを最初の空間ストリームに割り当てる。ブロック712において、二番目の符号化器から得られる最初のsビットを、対応する次の空間ストリームに割り当てる。ある実施形態によると、ブロック712は、後続の(三番目、四番目等)の符号化器および後続の空間ストリームについて、全ての動作している符号化器から得られる全てのビットがこのようにN
SS個の空間ストリーム間で分配されるまで、繰り返し実行される。
【0049】
図8は、さらに別の実施形態に係る、動作している符号化器からN
SS個の空間ストリームへの不均等にビットを分配することを含む一連のパーシングルールを用いたさらに別のパーシング技術800の例を示す図である。パーシング技術800は、各符号化器の出力において残る残余ビットがN
SS×sビットより少なくなるまでN
SS×sビットを空間ストリームに割り当てる動作がパーシング技術800では省略されている点を除き、
図7のパーシング技術700と同様である。パーシング技術800では、ブロック804において、最初の符号化器から得られるsビットは最初の空間ストリームに割り当てられる。ブロック808において、二番目の符号化器からのSビットが、対応する次の空間ストリームに割り当てられる。ある実施形態によると、ブロック808は、後続の(三番目、四番目等)の符号化器および後続の空間ストリームについて、全てのビットがこのようにN
SS個の空間ストリーム間に分配されるまで、繰り返し実行される。
【0050】
図2および
図3を参照すると、パーシング技術600、パーシング技術700またはパーシング技術800は、さまざまな実施形態および/または状況において、PHY処理部200またはPHY処理部300で(例えば、ストリーム用パーサ216またはストリーム用パーサ316において)実現される。
図1を参照すると、一部の実施形態において、パーシング技術600、パーシング技術700および/またはパーシング技術800は、ネットワークインターフェース16および/またはネットワークインターフェース27で実現される。例えば、一部の実施形態によると、パーシング技術600、パーシング技術700および/またはパーシング技術800は、PHY処理部20および/またはPHY処理部29で実現される。一部の実施形態によると、パーシング技術600、パーシング技術700またはパーシング技術800は、部分的にMAC処理部18および/またはMAC処理部28で実現され、部分的にPHY処理部20および/またはPHY処理部29で実現される。
【0051】
一部の実施形態または状況によると、パーシング技術600、パーシング技術700またはパーシング技術800は、OFDMシンボルに含まれる符号化ビットを、動作している符号化器のそれぞれから空間ストリームへと均等に分配することができない場合に(例えば、数3が満たされないシステム構成について)のみ、ストリームパーシングに利用される。例えば、一部の実施形態によると、第1の群のパーシングルール、例えば、数1を参照しつつ上述したパーシングルールを、20MHz、40MHz、80MHzおよび160MHzのチャネルについて、全ての許容されたMCS/帯域幅/空間ストリーム数の組み合わせについて利用し、(例えば、パーシング技術600、パーシング技術700またはパーシング技術800に応じて)変更した一連のパーシングルールは、動作している符号化器のそれぞれから空間ストリームへの均等なビットの分配が実現可能であることを保証するパーシング制約が満たされる160MHzチャネルの場合にのみ利用する。例えば、一実施形態によると、パーシング技術600、パーシング技術700またはパーシング技術800は、
図5のテーブルに列挙している4つのシステム構成のうち1つを用いて160MHzチャネルの場合にのみ利用する。
【0052】
これに代えて、別の実施形態によると、一の共通のパーシングルール群を許可されたシステム構成全てについて利用する。このような一実施形態によると、パーシング技術600、パーシング技術700またはパーシング技術800は、数1を参照しつつ上述した空間ストリームパーシングで動作している各符号化器からN
SS個の空間ストリームへと符号化ビットを均等にパーシングする場合であっても、つまり、数3の制約が満たされる場合であっても、利用される。この場合、パーシング技術600またはパーシング技術700を利用する一部の実施形態では、数3の制約が満たされる場合に実施する必要があるのはブロック604またはブロック704のみである。このような場合には、動作している各符号化器の出力における符号化ビットの数がN
SS×sの整数倍であるためである。また、一般的に、N
CBPS/N
SSが整数であるので、パーシング技術600、パーシング技術700およびパーシング技術800では、全ての許容されているシステム構成においてN
SS個の空間ストリーム間で均等に符号化ビットが分配されることになるが、数3の制約が満たされていない状況では各符号化器から各空間ストリームへのビット割り当ては均等ではない。
【0053】
動作している各符号化器からN
SS個の空間ストリームへと不均等なビット分配を可能とすることに代えて、一実施形態では、数3を満たさないシステム構成を一連の許容されたシステム構成から除外する。したがって、本実施形態では、数2で表現したMCS除外ルールを修正して、数3もMCS除外ルールに含める。つまり、本実施形態では、特定のシステム構成について所与のMCSを許可するためには、数2に加えて数3も満たす必要がある。したがって、このような一実施形態では、
図5のテーブルに列挙している4つのMCS/空間ストリーム数の組み合わせは、送信に利用されることが許可されていない。
【0054】
上述したように、ある実施形態によると、
図2のPHY処理部200または
図3のPHY処理部300等のPHY処理部は、データユニットを符号化して送信するために利用される。一部の実施形態によると、PHY処理部はさらに、データユニットを受信して復号するように構成されている。データストリームを復号するために利用される復号器の数は通常、データストリームを符号化するために用いられた符号化器の数に対応する。このため、AP(例えば、AP14)および/またはクライアント局(例えば、クライアント局25−1)は通常、符号化器および復号器を同数備える。しかし、一部の実施形態では、符号化器の数は、復号器の数と異なる。ある実施形態によると、同時に動作する復号器の数は、所与のデータレートの倍数で増加する。例えば、復号器の数は、データレートが600Mbps大きくなる度に増加する。言い換えると、例えば、データレートが最高で600Mbpsまでの場合には1個の復号器を利用し、データレートが600Mbpsと1200Mbpsとの間の場合には2個の復号器を利用する。一部の実施形態によると、受信したデータユニットは、当該データユニットを生成するために用いられたパーシングルールを逆に基づいて大部分が作成されるパーシングルールを利用して、例えば、
図6のパーシング技術600、
図7のパーシング技術700、
図8のパーシング技術800に対応付けられるパーシングルールを逆にしたもの、または、別の一群の適切なパーシングルール等を利用して、複数の空間ストリームから適切な数の復号器へとパーシングされる。
【0055】
より具体的には、ある実施形態によると、クライアント局(例えば、
図1のクライアント局25−1)は通常、MCS除外ルールおよび送信に利用されるパーシングルールを知っているので、データユニットを受信すると送信されてきた情報ビットを適切に回復することができる。このため、ある実施形態によると、送信に利用された特定のMCS、チャネル帯域幅および/または、データユニットの空間ストリーム数は、例えば、データユニットのプリアンブルの1以上の信号フィールドを利用して、APによってクライアント局に通知される。システム構成毎にパーシングルールが規定されている実施形態では、クライアント局は、データユニットを送信するために利用された特定のシステム構成を決定し、データを適切に復号するために必要な適切な一群のパーシングルールを適用することができる。
【0056】
図9は、ある実施形態に係る、データユニットに含まれるビットを複数の空間ストリームにパーシングする方法900の一例を説明するフローチャートである。方法900は、ある実施形態では、ネットワークインターフェース16(例えば、
図1のPHY処理部20)によって実施される。方法900は、別の実施形態によると、ネットワークインターフェース27(例えば、
図1のPHY処理部29)によって実施される。他の実施形態では、方法900は他の適切なネットワークインターフェースで実施される。
【0057】
ブロック904において、MCSは一連のMCSから選択する。ある実施形態では、MCSは、
図5に図示しているMCSテーブルから選択する。他の実施形態によると、他の適切なMCSテーブルを利用する。一実施形態によると、利用されている特定のチャネル帯域幅/空間ストリーム数の組み合わせに対応するシステム構成について、1以上のMCS除外ルールが満たされている場合に限り、特定のチャネルについてMCSを選択する。例えば、ある実施形態によると、MCSは、利用されている特定のチャネル帯域幅/空間ストリーム数の組み合わせに対応するシステム構成について数2が満たされている場合に限り、選択される。
【0058】
ブロック908において、データユニットに含まれるデータビットは、データを符号化するために必要な数の符号化器を利用して符号化される。符号化器の数は、ブロック908において選択されるMCSに応じて決まる。より具体的に説明すると、必要な符号化器の数は、利用されている特定のMCS/チャネル帯域幅/空間ストリーム数の組み合わせに対応付けられているデータレートによって決まる。例えば、一実施形態によると、特定のデータレートに対応して決まる必要な符号化器の数は、符号化器のデータレートが600Mbps増加する毎に増加する。
【0059】
ブロック912において、符号化ビットが特定のパーシング制約を満たすか否かを判断する。例えば、一実施形態によると、利用されている特定のMCS/チャネル帯域幅/空間ストリーム数の組み合わせについて、数3を満たしているか否かを判断する。つまり、本実施形態によると、ブロック912において、動作している各符号化器の出力における符号化ビットの数が空間ストリーム数の整数倍であるか否かを判断する。
【0060】
ブロック916において、符号化ビットを、第1のパーシングルール群に応じて、送信に利用されている複数の空間ストリームにパーシングする。つまり、ブロック912においてパーシング制約が満たされていると判断されると、第1のパーシングルール群を用いる。ある実施形態において、第1のパーシングルール群は、数1を参照しつつ上述したパーシングルールに対応する。別の実施形態によると、第1のパーシングルール群は、1以上の他の適切なパーシングルールに対応する。
【0061】
ブロック920において、符号化ビットを、第2のパーシングルール群に応じて、送信に用いられている複数のストリームにパーシングする。つまり、第2のパーシングルール群は、ブロック912においてパーシング制約が満たされていないと判断されると、利用される。ある実施形態によると、第2のパーシングルール群は、
図6のパーシング技術600に応じて規定されている。別の実施形態によると、第2のパーシングルール群は、
図7のパーシング技術700に応じて規定されている。さらに別の実施形態によると、第2のパーシングルール群は、
図8のパーシング技術800に応じて規定される。別の実施形態によると、第2のパーシングルール群は、1以上の他の適切なパーシングルールに対応する。
【0062】
一部の実施形態によると、ブロック912を省略して、1以上のパーシングルールから成る一のパーシングルール群、全ての許可されているシステム構成について利用する。
【0063】
図10は、ある実施形態に係る、データユニットを復号する方法1000の一例を説明するためのフローチャートである。ある実施形態では、ネットワーク10(
図1)または他の適切なネットワーク等の無線ネットワークを介してデータユニットを受信する。方法1000は、ある実施形態によると、ネットワークインターフェース16(例えば、
図1のPHY処理部20)によって実施される。方法1000は、別の実施形態によると、ネットワークインターフェース27(例えば、
図1のPHY処理部29)によって実施される。他の実施形態によると、方法900は他の適切なネットワークインターフェースによって実施される。
【0064】
ある実施形態によると、受信されたデータユニットは、データユニットの特定の特徴を受信機に通知するために通常用いられるプリアンブルを含む。例えば、一実施形態によると、データユニットのプリアンブルは、受信機に対して、データを変調するために用いられた特定のMCS、チャネル帯域幅および空間ストリーム数を指定し、受信機はこの情報を用いてデータを間違いなく復号する。他の実施形態によると、受信機は、他の適切な方法で、データを変調するために用いられた特定のMCS、チャネル帯域幅、および/または、空間ストリーム数を決定する。
【0065】
ブロック1004において、データユニットに対応するMCS、チャネル帯域幅および空間ストリーム数を決定する。ある実施形態によると、MCS、チャネル帯域幅および空間ストリーム数は、データユニットのプリアンブル部分に含まれている1以上のフィールドを分析することによって決定される。他の実施形態によると、データを変調するために用いられたMCS、チャネル帯域幅および/または空間ストリーム数は、他の適切な方法を用いて決定する。
【0066】
ブロック1008において、データユニットを復号するために必要な復号器の数を決定する。ある実施形態によると、復号器の数は、データユニットを変調して符号化するために用いられるMCSに応じて決まる(つまり、ブロック1008で決定されるMCS)。より具体的には、必要な復号器の数は、データユニットを生成する際に用いられた特定のMCS/チャネル帯域幅/空間ストリーム数の組み合わせに対応付けられているデータレートによって決まる。一実施形態によると、特定のデータレートに対応する復号器の数は、データレートが600Mbps増加する度に大きくなる。他の実施形態では、特定のデータレートに対応する復号器の数は、他の適切な基準にしたがって増加する。
【0067】
ブロック1012において、符号化ビットが特定のパーシング制約を満たすか否かを判断する。例えば、一実施形態によると、データユニットに対応するMCS/チャネル帯域幅/空間ストリーム数の組み合わせについて数3を満たしているか否かを判断する。つまり、本実施形態では、ブロック1012において、各復号器に入力される符号化ビットの数が空間ストリーム数の整数倍であるか否かを判断する。
【0068】
ブロック1016において、空間ストリーム(その数はブロック1008で決定されている)から得られる符号化ビットを、第1のパーシングルール群に従って複数の復号器にパーシングする。つまり、ブロック1012においてパーシング制約が満たされていると判断されると、第1のパーシングルール群を用いる。ある実施形態によると、第1のパーシングルール群は通常、数1を参照しつつ上述したパーシングルールを逆にしたものに対応する。別の実施形態によると、第1のパーシングルール群は、送信機でデータを複数の空間ストリームにパーシングするために用いられたパーシングルールの逆に大部分が基づいている1以上の他のパーシングルールに対応する。
【0069】
ブロック1020において、空間ストリーム(この数はブロック1008で決定される)から得られた符号化ビットは、第2のパーシングルール群に応じて、複数の復号器にパーシングされる。つまり、ブロック1012においてパーシング制約が満たされていないと判断されると、第2のパーシングルール群を利用する。ある実施形態によると、第2のパーシングルール群は、
図6のパーシング技術600に対応付けられているルールの逆に基づいて特定される。別の実施形態によると、第2のパーシングルール群は、
図7のパーシング技術700に対応付けられているルールの逆に基づいて規定されている。さらに別の実施形態によると、第2のパーシングルール群は、
図8のパーシング技術800に対応付けられているルールの逆に基づいて規定されている。別の実施形態において、第2のパーシングルール群は、送信機においてデータを複数の空間ストリームにパーシングするために用いられるパーシングルールの逆に大部分が基づいている1以上の他の適切なパーシングルールに対応する。
【0070】
一部の実施形態によると、ブロック1012を省略して、許容された全てのシステム構成について1以上のパーシングルールから成る一のパーシングルール群を利用する。
【0071】
上述したさまざまなブロック、演算および技術のうち少なくとも一部は、ハードウェア、ファームウェア命令を実行するプロセッサ、ソフトウェア命令を実行するプロセッサ、または、これらの任意の組み合わせを用いて実施し得る。ソフトウェア命令またはファームウェア命令を実行するプロセッサを用いて実装する場合、ソフトウェア命令またはファームウェア命令は、任意のコンピュータ可読メモリ、例えば、磁気ディスク、光ディスクまたはその他の格納媒体、RAMまたはROMまたはフラッシュメモリ、プロセッサ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、テープドライブ等に格納されるとしてよい。同様に、ソフトウェア命令またはファームウェア命令は、任意の公知または所望の配信方法、例えば、コンピュータ可読ディスクまたは他の輸送可能なコンピュータ格納メカニズムまたは通信媒体を利用して、システムまたはユーザに配信するとしてよい。通信媒体は通常、搬送波または他の輸送メカニズム等の変調データ信号においてコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータを具現化する。「変調データ信号」という用語は、特性の1以上を情報を信号内で符号化するように設定または変更した信号を意味する。一例を挙げると、これに限定されるものではないが、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続等の有線媒体と、音波、無線周波数、赤外線および他の無線媒体等の無線媒体とを含む。このため、ソフトウェア命令またはファームウェア命令は、電話線、DSL線、ケーブルテレビ線、光ファイバ線、無線通信チャネル、インターネット等の通信チャネルを介して、ユーザまたはシステムに配信されるとしてよい(このようなソフトウェアを輸送可能な格納媒体で提供することと同じまたは同様であると見なされる)。ソフトウェア命令またはファームウェア命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサにさまざまな動作を実行させる機械可読命令を含むとしてよい。
【0072】
ハードウェアで実装される場合、ハードウェアは、離散素子、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能ロジックデバイス(PLD)等のうち1以上を含むとしてよい。
【0073】
本発明を具体例を参照しつつ説明してきたが、本発明を例示することのみを目的としているに過ぎず、本発明を限定するものではない。開示した実施形態の内容については、本発明の範囲から逸脱することなく、変更、追加および/または削除が可能である。