(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
シルバーカーやショッピングカートなどの台車においては、台車の本体部に、台座付きキャスタを取り付けたタイプのものがある。
台座付きキャスタの台座には、四方にボルト、螺子、リベット等を通す穴が設けられており、台座に設けられた穴からボルト等を挿し込み、ボルトにナット等を介在させることで台座付きキャスタを台車の本体部に取り付けることは、従来一般的に知られている。
【0003】
ところで、台車においては、経年の使用により、取り付けたキャスタに備わるタイヤの磨耗や、取り付けたキャスタが自在キャスタである場合における車輪の向きを自在にするために内蔵されているベアリングの磨耗が生ずるため、キャスタの交換が必要となる。
【0004】
しかし、台車の本体部に対し、ボルトとナット等を用いて台座付きキャスタを取り付けるのでは、キャスタの交換のための取り付け及び取り外し作業が煩雑化する。
【0005】
このため、台車の本体部において、ボルト等を用いることなく、台座付きキャスタを着脱可能なキャスタの着脱構造が求められている。
【0006】
従来、この種のキャスタの着脱構造としては、台車の本体部の下面側に設けられた装着部にキャスタの台座を嵌め込むとともに、台座と本体部との隙間に固定部材を嵌め込むことにより、キャスタを本体部から抜け出ないように固定させた状態に取り付けるようにした構成が、例えば、次の特許文献1〜3に開示されている。
【0007】
特許文献1に記載のキャスタの着脱構造は、例えば、
図9に示すように、荷台51の下面から下方に向けて突出したリブで形成された左右の側壁52a,52bと前後の側壁52c,52dとによって形成された矩形の枠部52と、枠部52の下端部で囲まれた空間の前部及び後部に形成されている前後の底板部53,54と、この内部空間の上方位置に形成されている上板部55と、荷台51の上面に設けられた開口部(
図9においては表れていない)とを有するとともに、開口部に対し夫々強嵌するためのストッパ58、押さえ込片59を備えて構成されている。前方底板部53の上面には低い突条(
図9においては表れていない)が複数本、後方底板部54の上面にも低い突条(
図9においては表れていない)が複数本、上板部55の下面には支持リブ55aが複数本、前後方向に等間隔に形成されている。ストッパ58は、上板と、四方に側壁58aと、側壁58aの内側に台座61の板厚程度の高さに突出形成された突出部58bと、側壁58aに形成された横条の係合凸部58cを有している。荷台51の側壁52a,52c,52dの対応する箇所には、係合凸部58cが係合する係合凹部(
図9においては表れていない)が形成されている。押さえ込片59は、上板と、四方に側壁59aと、側壁59aに形成された横条の係合凸部59bを有している。荷台51の側壁52b,52c,52dの対応する箇所には、係合凸部59bが係合する係合凹部(
図9においては表れていない)が形成されている。
【0008】
そして、特許文献1に記載のキャスタの着脱構造では、キャスタ60を荷台51に取り付ける際には、まず、キャスタ60を傾けて台座61の一端部61aを、後方底板部54内に斜めに、側壁52dに突き当たるまで挿入し、台座61を支持リブ55aに密接させるとともに、台座61の一端部61aと対向する他端部61bが、前方底板部53と干渉しないようにする。次いで、台座61の上面を支持リブ55aに当接させるようにし、台座61の他端部61bを前方底板部53の上面に設けられた突条をつぶしながら嵌入してゆくとともに、一端部61aが後方底板部54の上面に設けられた突条を潰しながら摺動させることによって所定の固定位置まで移動し、台座61を支持リブ55aと前方底板部53及び後方底板部54とで強圧状態に保持されるようにする。次いで、荷台51の上面から開口部56にはストッパ58、開口部57には押さえ込辺59を夫々挿入し、係合凸部58c、係合凸部59cを夫々対応する係合凹部に係合させる。これにより、ストッパ58の側壁端面58aが台座61の一端部61aの上面を押圧するとともに、ストッパ58の突出部58bが台座61の他端部61bと当接しうる位置で、台座61の後方移動を阻止するため、キャスタ60が荷台51に対し固定した状態に取り付けられるようになっている。
【0009】
また、特許文献2に記載のキャスタの着脱構造は、例えば、
図10に示すように、台車本体70に形成されたキャスタ台座固定支持体71の上面と、キャスタ取付部内連結リブ72の下端との間に形成された間隙に、キャスタ80の台座81の相対する辺部81a,81bの一方の辺部81aを挿入した後、台車本体70の裏側に形成された嵌合ブロック装着空間部82に、キャスタ台座取付支持ブロック73の嵌合ブロック部73’を嵌合するとともに、嵌合ブロック部73’の側壁73a’に形成された弾性片に突設された水平状係止突条73a1’を、台車本体70の裏側に形成されたキャスタ取付部を構成する短辺部対向区画リブ74に穿設された外側係止透孔74aに嵌合し係止し、また、嵌合ブロック部73’の弾性片が形成されている側壁73a’と対向する側壁73b’に突設された係止突起73b1’を、キャスタ取付部内連結リブ72に穿設された内側係止透孔(
図10においては表れていない)に嵌合し係止することにより、キャスタ台座取付支持ブロック73のキャスタ台座支持板73”により、キャスタ80の台座81の相対する辺部81a,81bのもう一方の辺81bを下方から支持するように構成されている。
【0010】
また、特許文献3に記載のキャスタの着脱構造は、例えば、
図11に示すように、テーブル90の裏面に、キャスタ100の台座101の三辺を挟み込む挟着部92(支持面92a,挟着面92b,リブ92c)を設け、挟着部92にキャスタ100の台座101の三辺を挿入した後、残る一辺部分に、テーブル90の表面側の挿入孔94からストッパ93を挿入し係合突起93aを台座101の下面に係合させてキャスタ100を所定位置に固定するように構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
本発明のキャスタ着脱構造は、台車の本体部に台座付きキャスタを着脱するためのキャスタの着脱構造であって、前記本体部の下面に設けられ、前記キャスタの台座における二辺の端部を嵌入可能な一対の台座嵌入部と、前記本体部の下面に設けられ、前記一対の台座嵌入部に嵌入した前記キャスタの台座における嵌入方向先端の辺の端部と当接する第1の台座当接部と、前記本体部に対し上下方向に
重力に従って可動に
且つ該上下方向への移動により該本体部から離脱しないように取り付けられ、前記一対の台座嵌入部に嵌入し、かつ、前記第1の台座当接部に嵌入方向先端の辺の端部が当接した前記キャスタの台座に対し、前記台車の本体部の下面が下方を向いた状態にあるときには、前記キャスタの台座における嵌入方向手前側から該キャスタの台座の嵌入方向とは反対方向への移動を規制する位置に
重力に従って移動し、前記台車の本体部の下面が上方を向いた状態にあるときには、前記キャスタの台座における嵌入方向手前側からの該キャスタの台座の嵌入方向とは反対方向への移動の規制を解除する位置に
重力に従って移動する台座装着状態固定・解除部材、を有する。
【0023】
本発明のキャスタ着脱構造のように、台車の本体部の下面に設けられ、キャスタの台座における二辺の端部を嵌入可能な一対の台座嵌入部と、本体部の下面に設けられ、台座嵌入部に嵌入したキャスタの台座における嵌入方向先端の辺の端部と当接する第1の台座当接部を備えれば、ボルト等を用いることなく、台座付きキャスタを台車本体部に容易に着脱できる。
【0024】
その上で、本発明のキャスタ着脱構造のように、台車の本体部に対し上下方向に
重力に従って可動に
且つ該上下方向への移動により該本体部から離脱しないように取り付けられ、台座嵌入部に嵌入し、かつ、第1の台座当接部に嵌入方向先端の辺の端部が当接したキャスタの台座に対し、台車の本体部の下面が下方を向いた状態にあるときには、キャスタの台座における嵌入方向手前側から該キャスタの台座の嵌入方向とは反対方向への移動を規制する位置に
重力に従って移動し、台車の本体部の下面が上方を向いた状態にあるときには、キャスタの台座における嵌入方向手前側からの該キャスタの台座の嵌入方向とは反対方向への移動の規制を解除する位置に
重力に従って移動する台座装着状態固定・解除部材を有すれば、キャスタの着脱者は、従来の特許文献1〜3に記載のキャスタの着脱構造のような、キャスタを台車の本体部に着脱する際に、台車の本体部に取り付けられた台座の抜け出し方向への移動を規制するための規制部材の台車の本体部への取り付け及び取り外しが不要となる。
しかも、本発明のキャスタ着脱構造のように、台座装着状態固定・解除部材を台車の本体部に対し上下方向に
重力に従って可動に
且つ該上下方向への移動により該本体部から離脱しないように取り付けた構造にすれば、上述した特許文献1〜3に記載のキャスタの着脱構造に備わる規制部材のような、キャスタを台車の本体部から取り外す際に、台車の本体部から取り外されることによって、台車の本体部とは別体となることがないため、キャスタの着脱者は上記規制部材を紛失しないように注意を払う必要がない。
その結果、本発明のキャスタ着脱構造のようにすれば、台車の本体部に取り付けられた台座の抜け出し方向への移動を規制するための規制部材の台車の本体部への取り付け及び取り外しが不要で、台車の本体部に対するキャスタの台座の着脱操作を極力簡単化できる。
【0025】
また、本発明のキャスタ着脱構造においては、好ましくは、前記台座装着状態固定・解除部材は、前記台車の本体部を貫通する貫通部に遊嵌された遊嵌部と、前記遊嵌部の一端に設けられていて、前記台車の本体部の下面が下方を向いた状態にあるときに、前記台車の本体部の上面に当接する第1の本体部当接部と、前記遊嵌部における前記第1の本体部当接部よりも他端側に設けられていて、前記台車の本体部の下面が上方を向いた状態にあるときに、前記台車の本体部の下面に当接する第2の本体部当接部と、前記遊嵌部に接続されていて、前記台車の本体部の下面が下方を向いた状態にあるときに、前記一対の台座嵌入部に嵌入し、かつ、前記第1の台座当接部に嵌入方向先端の辺の端部が当接した、前記キャスタの台座における嵌入方向手前側の辺の端部と近接し、前記台車の本体部の下面が上方を向いた状態にあるときに、前記キャスタの台座における嵌入方向手前側の辺の端部に当接しない位置に退避する第2の台座当接部、を有する。
このようにすれば、本発明における、台車の本体部に取り付けられた台座の抜け出し方向への移動を規制するための規制部材の台車の本体部への取り付け及び取り外しが不要で、台車の本体部に対するキャスタの台座の着脱操作を極力簡単化できる効果が具現化する。
【0026】
また、本発明のキャスタ着脱構造においては、好ましくは、前記遊嵌部における前記第1の本体部当接部よりも他端側に円柱部を有し、前記第2の本体部当接部が前記円柱部における前記本体部側の面からなるとともに、前記第2の台座当接部が前記円柱部における側面からなる。
また、本発明のキャスタ着脱構造においては、好ましくは、前記第2の台座当接部は、棒状に形成されている。
これらのようにすれば、台座装着状態固定・解除部材を小型化でき、台車の本体部への着脱スペースを抑えることができる。
【0027】
また、本発明のキャスタ着脱構造においては、好ましくは、前記第2の台座当接部は、板状に形成されている。
このようにすれば、台車の本体部に装着した台座の嵌入方向手前側の辺の端部に広範囲にわたり第2の台座当接部が当接可能となるため、台車の本体部に取り付けられた台座の抜け出し方向への移動をより確実に規制できる。
【0028】
また、本発明による台車は、上記本発明のいずれかのキャスタ着脱構造を備えている。
このようにすれば、台車の本体部に取り付けられた台座の抜け出し方向への移動を規制するための規制部材の台車の本体部への取り付け及び取り外しが不要で、台車の本体部に対するキャスタの台座の着脱操作を極力簡単化可能な効果を奏する台車が得られる。
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
第1実施形態
図1は本発明の第1実施形態にかかるキャスタ着脱構造を備えた台車を斜め上方から見た斜視図である。
図2は
図1の台車の本体部近傍の側面図である。
図3は
図1に示すキャスタ着脱構造を備えた台車の本体部の要部構成を示す図で、(a)は台車の本体部の要部近傍の側面図、(b)は(a)における要部を一部断面で示す図、(c)は台車の本体部の要部近傍の下面図、(d)は台車の本体部の要部近傍の上面図である。
図4は第1実施形態のキャスタ着脱構造を備えた台車に、台座付きキャスタを取り付けるときの手順及びキャスタ着脱構造の要部の動作状態を示す説明図で、(a)は台車の本体部における台座付きキャスタが装着されていない初期状態を示す図、(b)は(a)の状態から台車の本体部の上下を反転させた状態を示す図、(c)は(b)の状態になっている台車の本体部にキャスタを装着した状態、(d)は(c)の状態になっている台車の本体部の上下を元に戻した状態を示す図である。
【0030】
第1実施形態の台車10は、
図1、
図2に示すように、本体部11の四隅A,B,C,Dに、夫々、四つの台座付きキャスタ20を着脱可能に構成されている。
図1中、12は把持部、22は台座付きキャスタ20に備わる車輪である。なお、以下の説明は、便宜上、本体部11の一つの隅における、台座付きキャスタ20を着脱可能なキャスタ着脱構造の構成について行うものとする。また、以下の各実施形態においては、台座付きキャスタ20として、車輪の向きを自在に変更可能な自在キャスタを用いるものとする。
【0031】
台車10の本体部11は、
図3(b)に示すように、一対の台座嵌入部11a1,11a2と、第1の台座当接部11bと、台座装着状態固定・解除部材11cを有している。
一対の台座嵌入部11a1,11a2は、本体部11の下面に設けられた、下面支持部11a1
1,11a2
1と、上面当接部11a0,11a1
2,11a2
2とで構成されている。
下面支持部11a1
1,11a2
1は、キャスタ20の嵌入方向に沿って延び、断面が略L字形状及び略L字の左右をひっくり返した形状に形成されていて、挿入されたキャスタ20の台座21の下面を支持する。
上面当接部11a0は、キャスタ20の嵌入方向に対し垂直な方向に延びた板状に形成されていて、下側の縁部が、挿入されたキャスタ20の台座21の上面に当接する。
上面当接部11a1
2,11a2
2は、キャスタ20の嵌入方向に沿って延びた板状に形成されていて、下側の縁部が、挿入されたキャスタ20の台座21の上面に当接する。
そして、一対の台座嵌入部11a1,11a2は、キャスタ20の台座21における対向する二辺の端部21a,21bを嵌入可能になっている。
第1の台座当接部11bは、本体部11の下面に設けられ、キャスタ20の嵌入方向に対し垂直な方向に延びていて、一対の台座嵌入部11a1,11a2に嵌入したキャスタ20の台座21における嵌入方向先端の辺の端部21cと当接するように形成されている。
【0032】
なお、本体部11におけるキャスタ20の台座21を嵌入する側の側面には、一対の台座嵌入部11a1,11a2に台座21を嵌入できるようにするための切欠きが形成されている。なお、一対の台座嵌入部11a1,11a2にキャスタ20の台座21を嵌入できれば、本体部11におけるキャスタ20の台座21を嵌入する側の側面に、切欠きが形成されていなくても良い。また、切欠きの形状及び大きさは
図3の例に限定されるものではなく、どのような形状及び大きさであっても良い。
【0033】
さらに、本体部11における、一対の台座嵌入部11a1,11a2に対応する位置には、一対の開口部11e1,11e2が形成されており、一対の台座嵌入部11a1,11a2にキャスタ20の台座21を嵌入させた場合に、キャスタ20の台座21における嵌入方向先端の辺の端部21cが、第1の台座当接部11bに当接しているか否かを、上方を向けた状態の本体部11の上面側からキャスタの着脱者が目視で確認することもできるようになっている。
【0034】
台座装着状態固定・解除部材11cは、本体部11に対し上下方向に可動に取り付けられ、一対の台座嵌入部11a1,11a2に嵌入し、かつ、第1の台座当接部11bに嵌入方向先端の辺の端部21cが当接したキャスタ20の台座21に対し、台車10の本体部11の下面が下方を向いた状態にあるときには、キャスタ20の台座21における嵌入方向手前側からキャスタ20の台座21の嵌入方向とは反対方向への移動を規制する位置に移動し、台車10の本体部11の下面が上方を向いた状態にあるときには、キャスタ20の台座21における嵌入方向手前側からのキャスタ20の台座21の嵌入方向とは反対方向への移動の規制を解除する位置に移動するように構成されている。
【0035】
詳しくは、台座装着状態固定・解除部材11cは、遊嵌部11c1と、第1の本体部当接部11c2と、第2の本体部当接部11c3と、第2の台座当接部11c4を有する。
遊嵌部11c1は、棒状に形成され、台車10の本体部11の上面から下方に向けて設けられた筒状部11fを貫通する貫通部11dに遊嵌されている。
第1の本体部当接部11c2は、遊嵌部11c1の一端に設けられていて、台車10の本体部11の下面が下方を向いた状態にあるときに、台車10の本体部11に設けられた筒状部11fの上面に形成された溝11f
1に入り込み、溝11f
1の底面に当接する鍔形状のフランジで構成されている。
第2の本体部当接部11c3は、遊嵌部11c1における第1の本体部当接部11c2よりも他端側に設けられた円柱部における本体部側の面で構成されていて、台車10の本体部11の下面が上方を向いた状態にあるときに、台車10の本体部11に設けられた筒状部11fの下面11f
2に当接するようになっている。
第2の台座当接部11c4は、上記円柱部における側面で構成されている。そして、第2の台座当接部11c4は、台車10の本体部11の下面が下方を向いた状態にあるときに、一対の台座嵌入部11a1,11a2に嵌入し、かつ、第1の台座当接部11bに嵌入方向先端の辺の端部21cが当接した、キャスタ20の台座21における嵌入方向手前側の辺の端部21dと近接する。また、第2の台座当接部11c4は、台車10の本体部11の下面が上方を向いた状態にあるときに、キャスタ20の台座21における嵌入方向手前側の辺の端部21dに当接しない位置に退避する。
【0036】
このように構成された第1実施形態のキャスタ着脱構造を備えた台車10の本体部11への台座付きキャスタ20の着脱操作について
図4を用いて説明する。
台車10の本体部11へ台座付きキャスタ20を装着する場合、まず、下面が下方を向いた状態の台車10の本体部11(
図4(a)参照)を、下面が上方を向くようにひっくり返す(
図4(b)参照)。このとき、貫通部11dに遊嵌される遊嵌部11c1が重力に従って移動し、第2の本体部当接部11c3が台車10の本体部11に設けられた筒状部11fの下面11f
2に当接するとともに、第2の台座当接部11c4がキャスタ20の台座21における嵌入方向手前側の辺の端部21dに当接しない位置に退避する。
次いで、キャスタ20の台座21を一対の台座嵌入部11a1,11a2に嵌入し、嵌入方向先端の辺の端部21cを第1の台座当接部11bに当接させる(
図4(c)参照)。
次いで、台車10の本体部11を、下面が下方を向くようにひっくり返す(
図4(d)参照)。このとき、貫通部11dに遊嵌される遊嵌部11c1が重力に従って移動し、第1の本体部当接部11c2が台車10の本体部11に設けられた筒状部11fの上面に形成された溝11f
1に入り込み、溝11f
1の底面に当接するとともに、第2の台座当接部11c4がキャスタ20の台座21における嵌入方向手前側の辺の端部21dと近接する。これにより、キャスタ20の台座21における嵌入方向とは反対方向への移動が規制され、台座付きキャスタ20の台車10の本体部11への装着が完了する。なお、キャスタ20の台座21における嵌入方向先端の辺の端部21cが、第1の台座当接部11bに当接しているか否かは、本体部11の下面が上方を向いた状態(
図4(c)参照)にあるときには、そのまま本体部11の上方からキャスタの着脱者が目視で確認することができ、また、本体部11の下面が下方を向いた状態(
図4(d)参照)にあるときには、一対の開口部11e1,11e2を通して、本体部11の上方からキャスタの着脱者が目視で確認することができる。
【0037】
台座付きキャスタ20を台車10の本体部11から取り外す場合、まず、台座付きキャスタ20が装着されている、下面が下方を向いた状態の台車10の本体部11(
図4(d)参照)を、下面が上方を向くようにひっくり返す(
図4(c)参照)。このとき、貫通部11dに遊嵌される遊嵌部11c1が重力に従って移動し、第2の本体部当接部11c3が台車10の本体部11に設けられた筒状部11fの下面11f
2に当接するとともに、第2の台座当接部11c4がキャスタ20の台座21における嵌入方向手前側の辺の端部21dに当接しない位置に退避する。
次いで、キャスタ20の台座21を一対の台座嵌入部11a1,11a2から抜き出す(
図4(b)参照)。これにより、台座付きキャスタ20の台車10の本体部11からの取り外しが完了する。
【0038】
第1実施形態のキャスタ着脱構造によれば、台車10の本体部11の下面に設けられ、キャスタ20の台座21における二辺の端部を嵌入可能な一対の台座嵌入部11a1,11a2と、本体部11の下面に設けられ、台座嵌入部11a1,11a2に嵌入したキャスタ20の台座21における嵌入方向先端の辺の端部21cと当接する第1の台座当接部11bを備えたので、ボルト等を用いることなく、台座付きキャスタを台車本体部に容易に着脱できる。
その上で、第1実施形態のキャスタ着脱構造によれば、台車10の本体部11に対し上下方向に
重力に従って可動に
且つ上下方向への移動により本体部11から離脱しないように取り付けられ、台座嵌入部台座嵌入部11a1,11a2に嵌入し、かつ、第1の台座当接部11bに嵌入方向先端の辺の端部21cが当接したキャスタ20の台座21に対し、台車10の本体部11の下面が下方を向いた状態にあるときには、キャスタ20の台座21における嵌入方向手前側からキャスタ20の台座21の嵌入方向とは反対方向への移動を規制する位置に
重力に従って移動し、台車10の本体部11の下面が上方を向いた状態にあるときには、キャスタ20の台座21における嵌入方向手前側からのキャスタ20の台座21の嵌入方向とは反対方向への移動の規制を解除する位置に
重力に従って移動する台座装着状態固定・解除部材11cを有したので、キャスタの着脱者は、従来の特許文献1〜3に記載のキャスタの着脱構造のような、キャスタを台車の本体部に着脱する際に、台車の本体部に取り付けられた台座の抜け出し方向への移動を規制するための規制部材を台車の本体部への取り付け及び取り外しが不要となる。
しかも、第1実施形態のキャスタ着脱構造によれば、台座装着状態固定・解除部材11cを台車10の本体部11に対し上下方向に
重力に従って可動に
且つ上下方向への移動により本体部11から離脱しないように取り付けた構造にしたので、上述した特許文献1〜3に記載のキャスタの着脱構造に備わる規制部材のような、キャスタを台車の本体部から取り外す際に、台車の本体部から取り外されることによって、台車の本体部とは別体となることがないため、キャスタの着脱者は上記規制部材を紛失しないように注意を払う必要がない。
その結果、第1実施形態のキャスタ着脱構造によれば、台車の本体部に取り付けられた台座の抜け出し方向への移動を規制するための規制部材の台車の本体部への取り付け及び取り外しが不要で、台車の本体部に対するキャスタの台座の着脱操作を極力簡単化できる。
【0039】
また、第1実施形態のキャスタ着脱構造は、遊嵌部11c1における第1の本体部当接部11c2よりも他端側に円柱部を有し、第2の本体部当接部11c3を円柱部における本体部側の面で構成するとともに、第2の台座当接部11c4を円柱部における側面で構成したので、台座装着状態固定・解除部材11cを小型化でき、台車の本体部への着脱スペースを抑えることができる。
【0040】
第2実施形態
図5は本発明の第2実施形態にかかるキャスタ着脱構造を備えた台車の本体部の要部構成を示す図で、(a)は台車の本体部の要部近傍の側面図、(b)は(a)における要部を一部断面で示す図、(c)は台車の本体部の要部近傍の下面図、(d)は台車の本体部の要部近傍の上面図である。
図6は第2実施形態のキャスタ着脱構造を備えた台車に、台座付きキャスタを取り付けるときの手順及びキャスタ着脱構造の要部の動作状態を示す説明図で、(a)は台車の本体部における台座付きキャスタが装着されていない初期状態を示す図、(b)は(a)の状態から台車の本体部の上下を反転させた状態を示す図、(c)は(b)の状態になっている台車の本体部にキャスタを装着した状態、(d)は(c)の状態になっている台車の本体部の上下を元に戻した状態を示す図である。なお、第1実施形態と同様の構成部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0041】
第2実施形態のキャスタ着脱構造では、一対の台座嵌入部11a1,11a2は、本体部11の下面に設けられていて、キャスタ20の台座21における対向する二辺の端部21a,21bを嵌入可能な、嵌入方向に延びた断面が略Lコの字形状及び略コの字の上下をひっくり返した形状の溝で構成されている。
また、
図5(d)に示すように、一対の台座嵌入部11a1,11a2は、夫々、断面が略コの字形状及び略コの字の上下をひっくり返した形状の溝を構成する下側の板状部と、第1の台座当接部11bとの間が、所定間隔L1離れるように形成されており、一対の台座嵌入部11a1,11a2にキャスタ20の台座21を嵌入させた場合に、キャスタ20の台座21における嵌入方向先端の辺の端部21cが、第1の台座当接部11bに当接しているか否かを、一対の開口部11e1,11e2を通して、上方を向けた状態の本体部11の上面側からキャスタの着脱者が目視で確認することができるようになっている。
また、遊嵌部11c1は、棒状に形成され、台車10の本体部11を貫通する貫通部11dに遊嵌されている。
また、第1の本体部当接部11c2は、遊嵌部11c1の一端に設けられていて、台車10の本体部11の下面が下方を向いた状態にあるときに、台車10の本体部11に当接する鍔形状のフランジで構成されている。
また、第2の本体部当接部11c3は、遊嵌部11c1における第1の本体部当接部11c2よりも他端側に設けられていて、台車10の本体部11の下面が上方を向いた状態にあるときに、台車10の本体部11の下面に当接する鍔形状のフランジで構成されている。
また、第2の台座当接部11c4は、棒状に形成され、遊嵌部11c1に接続されている。
その他の構成は、第1実施形態のキャスタ着脱構造と略同じである。
【0042】
このように構成された第2実施形態のキャスタ着脱構造を備えた台車10の本体部11への台座付きキャスタ20の着脱操作について
図6を用いて説明する。
台車10の本体部11へ台座付きキャスタ20を装着する場合、まず、下面が下方を向いた状態の台車10の本体部11(
図6(a)参照)を、下面が上方を向くようにひっくり返す(
図6(b)参照)。このとき、貫通部11dに遊嵌される遊嵌部11c1が重力に従って移動し、第2の本体部当接部11c3が台車10の本体部11の下面に当接するとともに、第2の台座当接部11c4がキャスタ20の台座21における嵌入方向手前側の辺の端部21dに当接しない位置に退避する。
次いで、キャスタ20の台座21を一対の台座嵌入部11a1,11a2に嵌入し、嵌入方向先端の辺の端部21cを第1の台座当接部11bに当接させる(
図6(c)参照)。
次いで、台車10の本体部11を、下面が下方を向くようにひっくり返す(
図6(d)参照)。このとき、貫通部11dに遊嵌される遊嵌部11c1が重力に従って移動し、第1の本体部当接部11c2が台車10の本体部11の上面に当接するとともに、第2の台座当接部11c4がキャスタ20の台座21における嵌入方向手前側の辺の端部21dと近接する。これにより、キャスタ20の台座21における嵌入方向とは反対方向への移動が規制され、台座付きキャスタ20の台車10の本体部11への装着が完了する。なお、キャスタ20の台座21における嵌入方向先端の辺の端部21cが、第1の台座当接部11bに当接しているか否かは、本体部11の下面が上方を向いた状態(
図6(c)参照)にあるときには、そのまま本体部11の上方からキャスタの着脱者が目視で確認することができ、また、本体部11の下面が下方を向いた状態(
図6(d)参照)にあるときには、一対の開口部11e1,11e2を通して、本体部11の上方からキャスタの着脱者が目視で確認することができる。
【0043】
台座付きキャスタ20を台車10の本体部11から取り外す場合、まず、台座付きキャスタ20が装着されている、下面が下方を向いた状態の台車10の本体部11(
図6(d)参照)を、下面が上方を向くようにひっくり返す(
図6(c)参照)。このとき、貫通部11dに遊嵌される遊嵌部11c1が重力に従って移動し、第2の本体部当接部11c3が台車10の本体部11の下面に当接するとともに、第2の台座当接部11c4がキャスタ20の台座21における嵌入方向手前側の辺の端部21dに当接しない位置に退避する。
次いで、キャスタ20の台座21を一対の台座嵌入部11a1,11a2から抜き出す(
図6(b)参照)。これにより、台座付きキャスタ20の台車10の本体部11からの取り外しが完了する。
【0044】
第2実施形態のキャスタ着脱構造によっても、第1実施形態のキャスタ着脱構造と同様に、台車の本体部に取り付けられた台座の抜け出し方向への移動を規制するための規制部材の台車の本体部への取り付け及び取り外しが不要で、台車の本体部に対するキャスタの台座の着脱操作を極力簡単化でき、しかも、台座装着状態固定・解除部材を小型化でき、台車の本体部への着脱スペースを抑えることができる。
【0045】
第3実施形態
図7は本発明の第3実施形態にかかるキャスタ着脱構造を備えた台車の要部構成を示す図で、(a)は台車の本体部の要部近傍の側面図、(b)は(a)における要部を一部断面で示す図、(c)は台車の本体部の要部近傍の下面図、(dc)は台車の本体部の要部近傍の上面図である。
図8は第3実施形態のキャスタ着脱構造を備えた台車に、台座付きキャスタを取り付けるときの手順及びキャスタ着脱構造の要部の動作状態を示す説明図で、(a)は台車の本体部における台座付きキャスタが装着されていない初期状態を示す図、(b)は(a)の状態から台車の本体部の上下を反転させた状態を示す図、(c)は(b)の状態になっている台車の本体部にキャスタを装着した状態、(d)は(c)の状態になっている台車の本体部の上下を元に戻した状態を示す図である。なお、第2実施形態と同様の構成部分については、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0046】
第3実施形態のキャスタ着脱構造では、台座装着状態固定・解除部材11c’の構成が、第2実施形態の台車のキャスタ着脱構造における台座装着状態固定・解除部材11cとは異なっている。
詳しくは、台座装着状態固定・解除部材11c’を構成する第2の台座当接部11c4’、遊嵌部11c1’が、夫々板状に形成されている。
また、第2の本体部当接部11c3’、第1の本体部当接部11c2’は、夫々、第2の台座当接部11c4’、遊嵌部11c1’の端面を覆う細長の矩形状に形成されている。
そして、本体部11に形成される貫通部11d’は、遊嵌部11c1’を遊嵌する板状空間を有するように形成されている。
その他の構成は、第2実施形態のキャスタ着脱構造と略同じである。
【0047】
第3実施形態のキャスタ着脱構造によれば、台車10の本体部11に装着した台座21の嵌入方向手前側の辺の端部21dに広範囲にわたり、第2の台座当接部11c4’が当接可能となるため、台車の本体部に取り付けられた台座の抜け出し方向への移動をより確実に規制できる。
その他の作用効果は、第2実施形態のキャスタ着脱構造と略同じである。
【0048】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明のキャスタ着脱構造及びそれを備えた台車は、上記各実施形態の構成に限定されるものではない。
例えば、第1実施形態のキャスタ着脱構造は、
図1〜
図4の例では、台座装着状態固定・解除部材11cをキャスタ20の台座21における長手方向の辺の中間位置に当接するように、1つ設けたが、複数の台座装着状態固定・解除部材11cをキャスタ20の台座21における長手方向の辺の中間位置に対して対称な位置に当接するように、複数設けても良い。
【0049】
その他、各実施形態のキャスタ着脱構造において、一対の台座嵌入部11a1,11a2の台座当接部11bとは反対側の端部近傍における溝の底面を形成する夫々の部位を、嵌入開始位置ではキャスタ20の台座21を遊嵌する間隔を有し、台座21を嵌入方向に嵌入させるにしたがって台座21と摺接するように間隔が狭まる形状(例えば、テーパ形状、曲面形状)に形成するのが好ましい。このようにすれば、上記テーパ形状、曲面形状によって、キャスタ20の台座21が一対の台座嵌入部11a1,11a2へ嵌入位置に導かれるため、キャスタ20の台座21を一対の台座嵌入部11a1,11a2に嵌入し易くなり、嵌入操作が一層容易になる。
【課題】台車の本体部に取付けられた台座の抜け出し方向への移動を規制する規制部材の台車の本体部への取付け及び取外しが不要で、台車の本体部に対するキャスタの台座の着脱操作を極力簡単化可能なキャスタ着脱構造の提供。
【解決手段】台車10の本体部11の下面に設けられたキャスタ20の台座21の端部21a,21bを嵌入可能な一対の台座嵌入部11a1,11a2と、台座嵌入部に嵌入した台座の嵌入方向先端の辺の端部21cと当接する第1の台座当接部11bと、本体部に対し上下方向に可動に取り付けられ、台座嵌入部に嵌入し、かつ、第1の台座当接部に嵌入方向先端の辺の端部が当接した台座に対し、本体部の下面が下方を向いたとき台座の嵌入方向とは反対方向への移動を規制する位置に移動し、本体部の下面が上方を向いたとき上記規制を解除する位置に移動する台座装着状態固定・解除部材11cを有する。