(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弁体と、弁座と、弁体を閉弁方向へ付勢する第1バネと、弁体に係合可能な揚弁軸と、揚弁軸を弁体から遠ざかる方向へ付勢する第2バネと、弁体と第1バネとを収容し揚弁軸が水密に貫通する弁ケーシングと、レバー部とレバー部の一端近傍でレバー部に直交する軸部とを有し弁ケーシングの外側に配設された操作レバーとを備え、弁ケーシングは一対の対向する操作レバー支持腕を有し、操作レバー支持腕は、操作レバーの軸部と係合する第1係合部と第1係合部に隣接する第2係合部とを有する貫通穴と、操作レバーの軸部を前記貫通穴に案内する案内溝とを有しており、揚弁軸の延在方向を上下方向とし、且つ弁体から遠ざかる方向を上方、弁体に接近する方向を下方とした時に、第1係合部と第2係合部とが上下に隣接し、且つ第2係合部が第1係合部の上方に位置し、操作レバーは、揚弁軸に直交するレバー部の一端近傍側部が揚弁軸の弁ケーシング外に突出した一端に当接すると共に軸部が操作レバー支持腕の貫通穴の第1係合部と係合した状態で、操作レバー支持腕からの離脱不能に操作レバー支持腕に係合した退避位置と、揚弁軸に整列するレバー部の一端が揚弁軸の前記一端に当接すると共に軸部が操作レバー支持腕の貫通穴の第2係合部と係合した状態で、操作レバー支持腕と揚弁軸の前記一端とによって挟持された稼働位置との間で揺動可能であり、操作レバーが退避位置に在る時の操作レバー支持腕貫通穴の第2係合部と操作レバーの前記一端近傍側部との間の距離は操作レバー軸部と操作レバーの前記一端近傍側部との間の距離よりも長く設定され、操作レバーが稼働位置に在る時の操作レバー軸部と操作レバーの前記一端との間の距離は操作レバーが退避位置に在る時の操作レバー支持腕貫通穴の第2係合部と操作レバーの前記一端近傍側部との間の距離よりも長く設定され、操作レバーが退避位置に在る時には、第2バネの付勢力を受けた揚弁軸が弁体から離れ、第1バネの付勢を受けた弁体が弁座に当接し、操作レバーが稼働位置に在る時には、第2バネの付勢力に抗して揚弁軸が弁体に係合して弁体を押圧し、第1バネの付勢力に抗して弁体が弁座から離脱することを特徴とする強制開放弁。
揚弁軸は、操作レバーに当接する前記一端を形成する頭部と、頭部に形成された貫通ネジ穴に螺合する軸部とを有し、操作レバー支持腕の貫通穴は揚弁軸の頭部と係合する第3係合部を有し、操作レバーが退避位置から稼働位置へ向けて揺動する際に、揚弁軸頭部の揚弁軸中心軸線回りの回動が、揚弁軸頭部が係合する操作レバー支持腕の貫通穴の第3係合部によって阻止されることを特徴とする請求項1又は2に記載の強制開放弁。
円環板状のダイアフラムと、ダイアフラムを一次圧側へ付勢する第3バネと、請求項1乃至3の何れか1項に記載の強制開放弁とを備え、強制開放弁の弁座はダイアフラムの一次圧側内周縁部に形成され、強制開放弁の弁ケーシングはダイアフラムと第3バネとを収容し、強制開放弁の弁体は一次圧側から弁座に当接離脱可能であり、強制開放弁の揚弁軸は二次圧側に在り、強制開放弁の操作レバーが退避位置に在る時に、一次圧が所定圧に達する迄は強制開放弁の弁体が弁座に当接した状態でダイアフラムと強制開放弁の弁体とが一体となって二次圧側へ移動し、一次圧が所定圧に達すると強制開放弁の弁体が揚弁軸に係合して強制開放弁の弁体の二次圧側への移動が規制され、一次圧が所定圧を超えるとダイアフラムの二次圧側への移動に伴って弁座が弁体から二次圧側へ離脱して弁座が取り囲むダイアフラム中央開口が開放され、一次圧が所定圧以下の時に操作レバーが退避位置から稼働位置へ揺動駆動されると、強制開放弁の弁体が弁座から一次圧側へ離脱してダイアフラム中央開口が強制開放されることを特徴とする圧力逃し弁。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施例に係る強制開放弁と、当該強制開放弁を備える圧力逃し弁とを説明する。以下の説明において、
図1〜6のI II III IV V VIの方向を上方、下方、左方、右方、前方、後方と呼ぶ。
図1は、後述する強制開放弁の操作レバーが退避位置にあり、且つ圧力逃がし弁のダイアフラムが無負荷状態にある時の強制開放弁と圧力逃し弁付とを示している。
図1に示すように、圧力逃し弁1は、円環板状のダイアフラム2を備えている。ダイアフラム2は、円環板状のダイアフラム本体2aと、ダイアフラム本体2aの内周縁部の下面(一次圧側)に固定されて当該内周縁部の一次圧側に円環状の弁座2b’を形成する円環板状の弁座形成体2bと、ダイアフラム本体2aの内周縁部の上面(二次圧側)に固定された円環板状のダイアフラム受け2cとを有している。弁座2b’は、弁座形成体2bの一次圧側端面の内周縁部に形成されている。ダイアフラム受け2cは、中央開口2c’と、中央開口2c’の周囲に形成された複数の周辺開口2c”とを有している。圧力逃し弁1は更に、ダイアフラム受け2cを介してダイアフラム2を一次圧側へ付勢するコイルバネ3を備えている。圧力逃し弁1は更に、ダイアフラム2とコイルバネ3とを収容する弁ケーシング4を備えている。ダイアフラム本体2aの外周縁部は弁ケーシング4に固定されている。
弁ケーシング4には、ダイアフラム2よりも下方(一次圧側)に流入口4aが形成され、ダイアフラム2よりも上方(二次圧側)に流出口4bが形成されている。
弁座形成体2bの一次圧側端面の外周縁部が、当該外周縁部に対峙する弁ケーシング4の流入口4aの周縁部4a’に当接して、ダイアフラム2の一次圧側への移動が規制されている。
【0010】
圧力逃し弁1は、強制開放弁5を備えている。
強制開放弁5は、ダイアフラム2の下方(一次圧側)から弁座2b’に当接離脱可能な弁体5aを備えている。弁体5aは軸部5a’を有しており、軸部5a’はダイアフラム2の上方(二次圧側)へ延びて、ダイアフラム受け2cの中央開口2c’を摺動可能に貫通している。軸部5a’の上端近傍部に、スナップリング5bが係止し、スナップリング5bとダイアフラム受け2cの中央開口2c’周縁部との間に圧縮状態のコイルバネ5cが配設されている。コイルバネ5cの付勢力を受けて、弁体5aはダイアフラム2の一次圧側から弁座2b’に当接し、弁座2b’が取り囲むダイアフラム2の中央開口を閉鎖している。弁体5a、軸部5a’、スナップリング5b、コイルバネ5cは弁ケーシング4に収容されている。
【0011】
強制開放弁5は、弁体軸部5a’の上端に下端が係合可能な揚弁軸5dを備えている。揚弁軸5dは、上端部を形成する頭部5d’と、頭部5d’に形成された貫通ネジ穴に螺合して下方へ延びる軸部5d”とを有している。頭部5d’は、弁ケーシング4の外側に在って、弁ケーシング4の上部外面に形成された上下に延在する円筒状凹部4cに摺動嵌合している。軸部5d”は弁ケーシング4を水密に且つ摺動可能に上下に貫通して、弁ケーシング4内へ延びている。軸部5d”の上端面に、マイナスドライバーの刃と係合可能な直線溝5d
1”が形成されている。
図1、
図2に示すように、頭部5d’は、上面視形状が左右短辺を外側に凸の円弧とし、前後長辺を互いに平行の直線とした、略長方形の頂板部5d
1’と、頂板部5d
1’の下面中央部から下方へ延びる円柱状の軸部5d
2’とを有している。軸部5d
2’の中心軸線を中心軸線とするネジ穴5d
3’が、頂板部5d
1’と軸部5d
2’とを貫通して形成され、上下に延在している。前述のごとく、貫通ネジ穴5d
3’に、軸部5d”の上部が螺合している。頂板部5d
1’の後側長辺に後方へ延びる突起5d
4’が形成され、頂板部5d
1’の上面に、且つ前側長辺と貫通ネジ穴5d
3’とに挟まれて、上方へ延びる突起5d
5’が形成されている。
【0012】
図1、
図3に示すように、弁ケーシング4は、円筒状凹部4cを間に挟んで対峙し、上下前後に延在する一対の操作レバー支持腕4d’、4d”を、上端部に有している。操作レバー支持腕4d’は円筒状凹部4cの右方に在り、操作レバー支持腕4d”は円筒状凹部4cの左方に在る。操作レバー支持腕腕4d’、4d”は弁ケーシング4と一体形成されている。
図1(b)、(c)、
図3に示すように、操作レバー支持腕腕4d’に、左右に延在する貫通穴4d
1’が形成されている。貫通穴4d
1’は、横置き長方形の中央部4d
2’と、中央部4d
2’の前端近傍上端から上方へ延びる上端が半円形で狭幅長方形の上方張出部4d
3’と、中央部4d
2’の後端下部から後方へ延びる横置き長方形の後方張出部4d
4’とを有している。後方張出部4d
4’の下端と中央部4d
2’の下端とは前後方向に整列している。操作レバー支持腕4d’は更に、後部上端から下方へ延びて貫通穴中央部4d
2’の後部上端に連通する矩形断面溝4d
5’を、操作レバー支持腕4d”に対峙する左側面に有している。
図1(c)、
図3に示すように、操作レバー支持腕4d”に、左右に延在する貫通穴4d
1”が形成されている。貫通穴4d
1”は、横置き長方形の中央部4d
2”と、中央部4d
2”の前端近傍上端から上方へ延びる上端が半円形で狭幅長方形の上方張出部4d
3”と、中央部4d
2”の後端下部から後方へ延びる縦置き長方形の後方張出部4d
4”と、中央部4d
2”の前端下部から前方へ延びる横置き長方形の前方張出部4d
5”とを有している。後方張出部4d
4”の下端および前方張出部4d
5”の下端と中央部4d
2”の下端とは前後方向に整列している。操作レバー支持腕4d”は更に、後部上端から下方へ延びて貫通穴中央部4d
2”の後部上端に連通する矩形断面溝4d
6”を、操作レバー支持腕4d’に対峙する右側面に有している。
貫通穴中央部4d
2’の上端、下端、前端、後端と貫通穴中央部4d
2”の上端、下端、前端、後端ととは左右方向に整列している。
上部張出部4d
3’の半円形上端と上部張出部4d
3”の半円形上端とは左右方向に整列している。
【0013】
図1、
図4に示すように、強制開放弁5は操作レバー5fを備えている。操作レバー5fは、棒状のレバー部5f’を有している。レバー部5f’は、後半部から下方へ延びる右脚部5f
1’と左脚部5f
1”とを有している。右脚部5f
1’から右軸部5f
2’が右方へ突出し、左脚部5f
1”から左軸部5f
2”が左方へ突出している。右軸部5f
2’と左軸部5f
2”とは左右方向に整列している。左右軸部5f
2’、5f
2”と左右両脚部5f
1’、5f
1”の下面との間の上下距離は、左右軸部5f
2’、5f
2”とレバー部5f’後端面との間の水平距離よりも短く設定されている。レバー部5f’の後部に、上下貫通穴5f
3’が形成されている。上下貫通穴5f
3’は、揚弁軸5dの軸部5d”の上端に対峙している。
退避位置に在る操作レバー5fは、右軸部5f
2’が操作レバー支持腕4d’の貫通穴4d
1’の上方張出部4d
3’の半円形上端の近傍部に係合し、左軸部5f
2”が操作レバー支持腕4d”の貫通穴4d
1”の上方張出部4d
3”の半円形上端の近傍部に係合し、且つ左右両脚部5f
1’、5f
1”の下面が揚弁軸の頭部5d’の上端面に当接した状態で、僅かな上方移動可能に且つ操作レバー支持腕4d’、4d”からの離脱不能に、操作レバー支持腕4d’、4d”に係合している。
また退避位置に在る操作レバー5fにおいては、左右軸部5f
2’、5f
2”と左右両脚部5f
1’、5f
1”の下面との間の上下距離は、操作レバー支持腕貫通穴の上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端と中央部4d
2’、 4d
2”上端との間の上下距離よりも短く設定され、左右軸部5f
2’、5f
2”とレバー部5f’後端面との間の水平距離は、操作レバー支持腕貫通穴の上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端と中央部4d
2’、 4d
2”上端との間の上下距離よりも長く設定されている。
【0014】
揚弁軸5dの弁ケーシング4への組み付け手順を説明する。
図5(a)に示すように、頭部の頂板部5d
1’の長辺を前後に延在させ、突起5d
4’を左方へ差し向け、頭部の軸部5d
2’と揚弁軸の軸部5d”とを下方へ差し向ける。所定の治具を用いて頭部の突起5d
5’を掴み、揚弁軸の軸部5d”を弁ケーシングの円筒状凹部4cに上方から対峙させ、頭部の突起5d
4’を上方から操作レバー支持腕4d”の溝4d
6”に対峙させ、コイルバネ5eを押し縮めつつ、揚弁軸5dを下方へ押し下げる。頂板部5d
1’の右側長辺が操作レバー支持腕4d’の左側面に摺接し、頂板部5d
1’の左側長辺が操作レバー支持腕4d”の右側面に摺接し、突起5d
4’が操作レバー支持腕4d”の溝4d
6”に係合した状態で、揚弁軸5dが下方へ移動する。揚弁軸の軸部5d”が円筒状凹部4c内を下降し、軸部5d”の下部が弁ケーシング4を水密に貫通して弁ケーシング4内に進入する。
図5(b)に示すように、頂板部5d
1’は、操作レバー支持腕4d”の溝4d
6”に対峙しつつ下降し、次いで操作レバー支持腕4d’、4d”の貫通穴の中央部4d
2’、 4d
2”に対峙しつつ下降し、終には
図5(c)に示すように、貫通穴の中央部4d
2’、 4d
2”の下端に到達する。頂板部5d
1’は、貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の下端部と、中央部4d
2’の後端下部から後方へ延びる後方張出部4d
4’と、中央部4d
2”の後端下部から後方へ延びる後方張出部4d
4”と、中央部4d
2”の前端下部から前方へ延びる前方張出部4d
5”とに対峙する。
図5(d)〜(e)に示すように、頂板部5d
1’を、上面視反時計回りに90度回転させる。突起5d
4’が後方張出部4d
4”を通過し、頂板部5d
1’の左側長辺の前端部が前方張出部4d
5”を通過し、頂板部5d
1’の右側長辺の後端部が後方張出部4d
4’を通過して、頂板部5d
1’は支障なく回転する。
図5(e)に示すように、頂板部5d
1’の前側長辺が貫通穴中央部4d
2’の前端に当接して、頂板部5d
1’の反時計回りの回転が終了する。
前記所定の治具を突起5d
5’から外す。
図5(f)に示すように、コイルバネ5eの付勢力を受けた頂板部5d
1’は、前側長辺の左右両端部を貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の前端に摺接させ、後側長辺の左右両端部を貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の後端に摺接させつつ、貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”内を上昇し、
図5(g)に示すように、頂板部5d
1’の上面の左右両端部が貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の上端に当接して、頂板部5d
1’の上昇が終了する。
これにより、揚弁軸5dの弁ケーシング4への組み付けが完了する。
【0015】
操作レバー5fの弁ケーシング4への組み付け手順を説明する。
揚弁軸5dの頂板部5d
1’は
図5(g)の状態で、操作レバー支持腕の貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の上端に係合している。
図6(a)に示すように、操作レバー5fの棒状のレバー部5f’を前後に延在させ、軸部5f
2’、5f
2”を上方から操作レバー支持腕の溝4d
5’、4d
6”に対峙させ、操作レバー5fに下方への付勢力を印加して、操作レバー5fを下降させる。左右軸部5f
2’、5f
2”が溝4d
5’、4d
6”によって案内されつつ、操作レバー5fが下降し、脚部5f
1’、5f
1”の下面が、揚弁軸頭部の頂板部5d
1’の上面に当接する。
コイルバネ5eを押し縮めつつ、操作レバー5fを更に下降させる。
図6(b)に示すように、軸部5f
2’、5f
2”が操作レバー支持腕の貫通穴の中央部4d
2’、 4d
2”に進入する。
図6(c)に示すように、操作レバー5fを前方へ移動させる。軸部5f
2’、5f
2”が貫通穴の中央部4d
2’、 4d
2”の上端に当接しつつ前方へ移動し、貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の前端近傍部上端から上方へ延びる上方張出部4d
3’、 4d
3”に対峙する。
操作レバー5fに印加した下方への付勢力を解除する。
図6(d)に示すように、コイルバネ5eの付勢力を受けた頂板部5d
1’が、前側長辺の左右両端部を貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の前端に摺接させ、後側長辺の左右両端部を貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の後端に摺接させつつ、貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”内を上昇する。頂板部5d
1’の上昇に追随して、脚部5f
1’、5f
1”の下面を揚弁軸頭部の頂板部5d
1’の上面に当接させた操作レバー5fが上昇し、軸部5f
2’、5f
2”が貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の前端近傍部上端から上方へ延びる上方張出部4d
3’、 4d
3”内を上昇する。
図6(e)に示すように、頂板部5d
1’の上面の左右両端部が貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の上端に当接して頂板部5d
1’の上昇が終了し、脚部5f
1’、5f
1”の下面を揚弁軸頭部の頂板部5d
1’の上面に当接させた操作レバー5fの上昇も終了する。操作レバー5fの上昇が終了した時点で、軸部5f
2’、5f
2”は貫通穴中央部の上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端の下方近傍部に在り、軸部5f
2’、5f
2”と上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形の上端との間には所定の微少クリアランスが在る。
上述の手順を経て、操作レバー5fの弁ケーシング4への組み付けが完了する。
操作レバー5fは、弁ケーシング4への組み付けが完了した時点で、揚弁軸5dに直交するレバー部5f’の一端近傍側部、より具体的には脚部5f
1’、5f
1”の下面が、揚弁軸5dの弁ケーシング4外に突出した一端、より具体的には揚弁軸頭部の頂板部5d
1’の上面、に係合し、軸部5f
2’、5f
2”が操作レバー支持腕の貫通穴の第1係合部、より具体的には貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の前端近傍部上端から上方へ延びる上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端の下方近傍部、に係合した状態で、僅かに上方移動可能に且つ操作レバー支持腕4d’、4d”からの離脱不能に、操作レバー支持腕4d’、4d”に係合した、
図1(a)に示す退避位置に在る。操作レバー5fが
図1(a)に示す退避位置にある時、揚弁軸5dは、頭部5d’が操作レバー支持腕の貫通穴中央部4d
2’、 4d
2”の上端に当接した、上方位置に在る。
操作レバー5fが退避位置に在る時、
図1(a)に示すように、揚弁軸の軸部5d”の下端は、弁ケーシング4内に在って、且つ弁体5aの軸部5a’の上端から上方へ離隔しており、弁体5aは弁座2b’ に当接して、ダイアフラム2の中央開口を閉鎖している。また、操作レバー5fが退避位置に在る時、
図1(a)に示すように、揚弁軸頭部の軸部5d
2’の下端部はベンケーシングの円筒状凹部4cに摺動可能に嵌合している。
【0016】
圧力逃し弁1は、貯湯式温水器の貯湯タンク上部から延びる給湯管の貯湯タンク近傍部に固定されている。流入口4aは前記給湯管に接続されており、流出口4bには図示しない導通管の一端が接続されている。前記導通管の他端は大気開放されている。
【0017】
図1(a)を参照しつつ圧力逃し弁1の作動を説明する。
操作レバー5fを退避位置に位置決めした圧力逃し弁1を貯湯式温水器に取り付けると、流入口4aを介して貯湯タンクに連通する一次圧側空間の内圧は、貯湯タンクの内圧と等しくなる。強制開放弁の弁体5aとダイアフラム2とが一体となって形成する隔壁が、一次圧側空間の内圧を受圧し、コイルバネ3の付勢力に抗しつつ、前記内圧に応じた量だけ二次圧側へ移動する。二次圧側空間は、前記隔壁により一次圧側空間から隔てられており、貯湯タンク内の蒸気や温水は二次圧側空間へは流入しない。
尚以下の説明において、便宜上
図1のI II III IV V VIの方向を上方、下方、左方、右方、前方、後方と呼ぶが、圧力逃し弁1は、必ずしも
図1の状態、即ち操作レバー5fを上方へ差し向けた状態で、貯湯式温水器に取り付けられるわけではない。
【0018】
貯湯タンクの内圧が、所定値 P1に達すると、弁体5aの軸部5a’の上端が揚弁軸の軸部5d”の下端に当接し、弁体5aとダイアフラム2とが一体となって形成する隔壁の二次圧側への移動が規制される。前記所定値P1は、無負荷時の弁体軸部5a’上端と揚弁軸の軸部5d”下端との間の隙間Sとコイルバネ3のバネ定数とにより決定される。従って、前記所定値P1は、操作レバー5fが退避位置に在る時に、レバー部5f’の後端近傍部に形成された穴5f
3’ からドライバーを差し込んで、揚弁軸の軸部5d”を回動させ、軸部5d”の頭部5d’への螺入量を調整することにより、調整することができる。
【0019】
貯湯タンクの内圧が前記所定値P1を超えると、弁体5aの軸部5a’上端が揚弁軸の軸部5d”の下端に当接することにより、二次圧側への移動が規制された弁体5aを規制位置に残して、貯湯タンクの内圧を受圧したダイアフラム2が、ダイアフラム受け2cを介して印加されるコイルバネ3の付勢力とコイルバネ5cの付勢力とに抗しつつ、二次圧側へ移動する。この結果、弁座2b’が弁体5aから二次圧側に離脱し、ダイアフラム2の中央開口を介して、一次圧側空間が二次圧側空間と連通する。貯湯タンク内の水蒸気や温水が、流入口4aと、一次圧側空間と、弁体5aと弁座2b’との間の隙間と、ダイアフラム2の中央開口と、ダイアフラム受け2cの周辺開口2c”と、二次圧側空間と、流出口4bとを通って、導通管の一端に流入し、導通管の他端から大気中に放出される。この結果、貯湯タンク内圧の異常上昇が防止される。
【0020】
貯湯式温水器の清掃・点検時には、
図1(a)に示す退避位置にある操作レバー5fが、稼働位置まで90度、反時計回りに回動操作される。操作レバー5fは、離脱不能に操作レバー支持腕4d’、4d”に係合すると共に揚弁軸の頭部5d’に当接した状態を維持しつつ回動し、当該回動に伴って、操作レバー5fの揚弁軸頭部5d’との当接部が、脚部5f
1’、5f
1”の下面から、脚部5f
1’、 5f
1”の後端面が形成するレバー部5f’の後端面へ移動する。前述のごとく、操作レバー5fが退避位置に在る時の左右軸部5f
2’、5f
2”と左右両脚部5f
1’、5f
1”の下面との間の上下距離は、操作レバー支持腕貫通穴の上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端と中央部4d
2’、 4d
2”上端との間の上下距離よりも短く設定され、左右軸部5f
2’、5f
2”とレバー部5f’後端面との間の水平距離は、操作レバー支持腕貫通穴の上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端と中央部4d
2’、 4d
2”上端との間の上下距離よりも長く設定されているので、前記移動の際、先ず軸部5f
2’、5f
2”が貫通穴上方張出部4d
3’、 4d
3”内を上昇して第2係合部、即ち前記上方張出部の半円形上端に係合し、次いで操作レバー5fの揚弁軸頭部5d’との当接部が前記頭部5d’を下方へ押し、揚弁軸の頭部5d’が、ひいては揚弁軸の軸部5d”が、コイルバネ5eの付勢に抗して、下方へ押し下げられて、軸部5d”が弁体軸部5a’の方向へ移動する。操作レバー5fが稼働位置まで回動操作されても、揚弁軸頭部の頂板部5d
1’は、操作レバー支持腕の貫通穴中央部4d
2’、4d
2”の下端までは下降せず、頂板部5d
1’の前側長辺と貫通穴中央部4d
2’、4d
2”前端との摺接と、頂板部5d
1’の後側長辺と貫通穴中央部4d
2’、4d
2”後端との摺接とは維持される。貯湯式温水器の清掃・点検時には、一般に貯湯タンク内圧はP1未満なので、弁体軸部5a’の上端と、揚弁軸の軸部5d”の下端との間には隙間が形成されている。揚弁軸の軸部5d” が弁体軸部5a’の方向へ移動し、軸部5d”の下端が軸部5a’の上端に当接して、軸部5a’を弁体5a方向へ駆動する。強制開放弁の弁体5aとダイアフラム2とが一体となった隔壁全体の受圧面積に比べて弁体5aの受圧面積は小さく、また前記隔壁に印加される一次圧による付勢力に比べてコイルバネ5cの付勢力は小さいので、前記隔壁が一次圧側へ僅かに移動した時点で、弁体5aが弁座2b’から一次圧側へ離脱して、弁体5aが、ひいては圧力逃し弁1が強制開弁される。この結果、弁体5aと弁座2b’との間の隙間と、ダイアフラム2の中央開口と、ダイアフラム受け2cの周辺開口2c”とを介して、一次圧側空間が二次圧側空間に連通する。
操作レバー5fが稼働位置に到達する。稼働位置においては、レバー部5f’ が揚弁軸5dに整列し、レバー部5f’の後端が揚弁軸5dの頭部5d’に当接すると共に軸部5f
2’、5f
2”が操作レバー支持腕の貫通穴の第2係合部、即ち上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端と係合した状態で、操作レバー5fは操作レバー支持腕4d’、4d”と揚弁軸5dの頭部5d’とによって挟持される。操作レバー5fが稼働位置に到達した時点で、揚弁軸5dは、頭部5d’が操作レバー支持腕の貫通穴中央部4d
2’、4d
2”上端から最も下方へ離隔した下方位置に到達し、弁体5aと弁座2b’との間の隙間が最大になる。
貯湯タンク内の水蒸気や温水が、流入口4aと、一次圧側空間と、弁体5aと弁座2b’との間の隙間と、ダイアフラム2の中央開口と、ダイアフラム受け2cの周辺開口2c”と、二次圧側空間と、流出口4bとを通って、導通管の一端に流入し、導通管の他端から大気中に放出される。
稼働位置に在る操作レバー5fが時計回りに回動操作されると、軸部5f
2’、5f
2”と第2係合部である貫通穴上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端との係合状態が維持されつつ、操作レバー5fと揚弁軸頭部5d’との当接部が上方へ移動する。操作レバー5fが退避位置近傍部まで回動した時点で、揚弁軸頭部5d’が操作レバー支持腕の貫通穴中央部4d
2’、4d
2”の上端に当接して、揚弁軸頭部5d’の上方への移動が終了する。操作レバー5fが時計回りに更に回動操作されると、軸部5f
2’、5f
2”が第2係合部である貫通穴上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端から離脱し、下方へ移動して第2係合部の下方近傍部である第1係合部に到達し、脚部5f
1’、5f
1”の下面が揚弁軸頭部5d’上面に当接して、操作レバー5fは退避位置に戻る。操作レバー5fの退避位置への復帰行の途上で、強制開放弁5は閉弁し、強制開放弁の弁体5aとダイアフラム2とが一体となった隔壁が形成される。操作レバー5fが退避位置近傍まで復帰した時点で、揚弁軸5dは上方位置に復帰する。従って、仮に操作レバーが退避位置まで復帰していなくても、退避位置近傍まで復帰していれば、逃し弁1の開弁圧P1は、強制開放弁作動前の設定値に維持される。
【0021】
強制開放弁5においては、操作レバー支持腕4d’、4d”は、操作レバーの軸部5f
2’、5f
2”と係合する第1係合部、すなわち上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端の下方近傍部を有する貫通穴4d
1’、 4d
1”と、操作レバーの軸部5f
2’、5f
2”を前記貫通穴4d
1’、 4d
1”に案内する案内溝4d
5’、 4d
6”とを有しており、前記案内溝4d
5’、 4d
6”を介して操作レバーの軸部5f
2’、5f
2”を操作レバー支持腕の貫通穴4d
1’、 4d
1”に導き、次いで前記貫通穴の第1係合部、すなわち上方張出部4d
3’、 4d
3”の半円形上端の下方近傍部へ導けば、操作レバー5fは、離脱不能に操作レバー支持腕腕4d’、4d”に係合する。従って、特許文献1の強制開放弁では必用とされた操作レバー支持腕と操作レバーへの軸部材の挿通作業と、軸部材端部のかしめ作業とが不要となり、特許文献1の強制開放弁に比べて組立工数が減少する。
強制開放弁5においては、操作レバー支持腕4d’、4d”を弁ケーシング4に一体形成したので、特許文献1の強制開放弁では必用とされた操作レバー支持腕の弁ケーシングへの固定作業が不要になり、特許文献1の強制開放弁に比べて組立工数が更に減少する。
強制開放弁5においては、操作レバー支持腕の貫通穴4d
1’、 4d
1”が、揚弁軸頭部の頂板部5d
1’の前後の長辺と係合する第3係合部、より具体的には貫通穴中央部穴4d
2’、4d
2”の前端と後端を有し、操作レバー5fが退避位置から稼働位置へ向けて揺動する際に、揚弁軸頭部5d’の軸部5d”中心軸線回りの回動が、第3係合部である貫通穴中央部穴4d
2’、4d
2”の前端と後端によって阻止されることにより、揚弁軸の軸部5d”の頭部5d’への螺入量の変化が阻止され、強制開放弁5dが取り付けられた圧力逃し弁1の開弁圧の変化が阻止される。この結果、特許文献1の強制開放弁では必用とされた、揚弁軸の頭部と軸部との螺合部への接着剤の塗布作業が、強制開放弁5においては不要になる。
圧力逃し弁1においては、弁強制開放弁5の組み立て工数が、特許文献1の強制開放弁を備えた圧力逃し弁よりも少ない。
【0022】
上記実施例では、強制開放弁5を圧力逃し弁1に使用したが、強制開放弁5の用途は圧力逃し弁に限定されない。例えば、圧力逃し弁1のダイアフラム2を剛体として、圧力逃し弁1を単なる強制開放弁としても良い。係る強制開放弁を各種流体の配管や、各種流体のタンクに取り付ければ、前記配管や前記タンクの点検時に、配管やタンク内の流体を簡単に排出できる。