特許第5892693号(P5892693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5892693
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】防水スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/06 20060101AFI20160310BHJP
   H01H 13/02 20060101ALI20160310BHJP
   H01H 9/04 20060101ALN20160310BHJP
【FI】
   H01H13/06 B
   H01H13/02 A
   H01H13/02 C
   !H01H9/04 B
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-5861(P2012-5861)
(22)【出願日】2012年1月16日
(65)【公開番号】特開2013-145698(P2013-145698A)
(43)【公開日】2013年7月25日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一
(72)【発明者】
【氏名】田代 泰隆
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−347067(JP,A)
【文献】 実開昭56−129027(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00−13/76
H01H 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに取り付けられて固定接点を収容するスイッチケースと、該スイッチケースに対して変位可能に保持されて可動接点を変位させる可動部材と、該可動部材に連結される操作ノブと、該操作ノブと前記可動部材との間からの水の浸入を防ぐシール部材を備える防水スイッチにおいて、
前記操作ノブに、前記可動部材との間で前記シール部材の一端を挟着する周縁部を形成するとともに、前記操作ノブの周縁部の端から該操作ノブの押込方向にオフセットした位置に、前記シール部材と前記可動部材とが嵌合する凹凸状の嵌合部を形成し、前記シール部材に作用して前記操作ノブを前記可動部材から外す方向の外力を、前記嵌合部を介して前記可動部材によって受けるよう構成したことを特徴とする防水スイッチ。
【請求項2】
前記シール部材の前記嵌合部と対向する部位の外周面と前記操作ノブの外周面とを略面一に連続する面としたことを特徴とする請求項1記載の防水スイッチ。
【請求項3】
前記嵌合部は、前記可動部材の周縁に形成されたフランジ部から径方向外方に突設された凸部と、前記シール部材の内周面に形成された凹部とで構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の防水スイッチ。
【請求項4】
前記可動部材を、前記可動接点を有するスライダと前記フランジ部が形成されたノブベースとを係着することによって構成するとともに、前記ノブベースの内周面に、前記操作ノブと係合する係合部を形成したことを特徴とする請求項3記載の防水スイッチ。
【請求項5】
前記ノブベースを透光性材料で構成するとともに、該ノブベースに、前記操作ノブとの間で閉空間を形成する光透過部を設けたことを特徴とする請求項4記載の防水スイッチ。
【請求項6】
前記シール部材を中空の蛇腹状に成形し、該シール部材の一端に、前記操作ノブの周縁部と前記ノブベースのフランジ部周縁との間で挟着される被挟着部を形成し、他端に、前記スイッチケースの一端に取り付けられる固定部を形成したことを特徴とする請求項4又は5記載の防水スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水用のシール部材によって可動部をシールして成る防水スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、直線方向に操作することによって接点切り替えを行うスイッチ等には、防塵及び防水のために可動部をゴムブーツ等のシール部材で覆う構成が採用されているが、その一例を図7に示す(特許文献1参照)。
【0003】
即ち、図7は防水スイッチ要部の側断面図であり、ゴム等の弾性部材によって中空の蛇腹状に成形されたシール部材109は、その一端がスイッチケース102の先端に形成された環状の溝部102aに嵌着され、他端がシャフト103の先端に形成された環状の溝部103aに嵌着されることによって取り付けられており、シャフト103のスイッチケース102から突出する部分がシール部材109によって覆われている。
【0004】
上記防水スイッチにおいては、シール部材109の両端部は、その弾性によって径方向に縮もうとする力のみによってスイッチケース102とシャフト103の各溝部102a,103aに嵌着されるため、該シール部材109が劣化によって硬化して弾性を失った場合には、その両端の嵌着力が低下したり、該シール部材109に亀裂が発生してシール性能が著しく低下するという問題が発生する可能性がある。
【0005】
上記問題を解決するため、特許文献2には、図8の断面図に示すように、ゴムキャップ(シール部材)209に形成された通孔209aに操作杆(シャフト)203の先端に形成された連結軸203aを通し、この連結軸203aに、駆動杆203とは別体の操作釦(操作ノブ)204をゴムキャップ209の外面側から固着するとともに、該操作釦204の下面をゴムキャップ209の通孔209aの周縁に圧接する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4328574号公報
【特許文献2】特開平5−002947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2において提案された構成では、操作釦204にこれを駆動杆203から取り外す方向の外力が加わった場合には、該操作釦203が駆動杆203から容易に離脱してしまうという問題がある。
【0008】
又、ゴムキャップ209の組み付けに際しては、該ゴムキャップ209の通孔209aの周縁を操作釦204と駆動杆203の何れにも圧接させつつ該ゴムキャップ209を固定位置に収める必要があるため、ゴムキャップ209と操作釦204及び駆動杆203との間の摺動摩擦によってゴムキャップ209が本来の固定位置からずれた位置で固定されてしまうことがあり、ゴムキャップ209の組付性が悪いという問題もあった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、高い防水性を確保しつつ、操作ノブの離脱を防ぐとともに、組付性の向上を図ることができる防水スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、パネルに取り付けられて固定接点を収容するスイッチケースと、該スイッチケースに対して変位可能に保持されて可動接点を変位させる可動部材と、該可動部材に連結される操作ノブと、該操作ノブと前記可動部材との間からの水の浸入を防ぐシール部材を備える防水スイッチにおいて、前記操作ノブに、前記可動部材との間で前記シール部材の一端を挟着する周縁部を形成するとともに、前記操作ノブの周縁部の端から該操作ノブの押込方向にオフセットした位置に、前記シール部材と前記可動部材とが嵌合する凹凸状の嵌合部を形成し、前記シール部材に作用して前記操作ノブを前記可動部材から外す方向の外力を、前記嵌合部を介して前記可動部材によって受けるよう構成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記シール部材の前記嵌合部と対向する部位の外周面と前記操作ノブの外周面とを略面一に連続する面としたことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記嵌合部は、前記可動部材の周縁に形成されたフランジ部から径方向外方に突設された凸部と、前記シール部材の内周面に形成された凹部とで構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記可動部材を、前記可動接点を有するスライダと前記フランジ部が形成されたノブベースとを係着することによって構成するとともに、前記ノブベースの内周面に、前記操作ノブと係合する係合部を形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記ノブベースを透光性材料で構成するとともに、該ノブベースに、前記操作ノブとの間で閉空間を形成する光透過部を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の発明において、前記シール部材を中空の蛇腹状に成形し、該シール部材の一端に、前記操作ノブの周縁部と前記ノブベースのフランジ部周縁との間で挟着される被挟着部を形成し、他端に、前記スイッチケースの一端に取り付けられる固定部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、操作ノブに形成された周縁部と可動部材との間でシール部材の一端を挟着するとともに、可動部材とシール部材とを凹凸嵌合させることによって両者の接触面積が増えるため、操作ノブと可動部材との間からの浸水を確実に防ぐことができ、当該防水スイッチの防水性が高められる。
【0017】
又、シール部材と可動部材との嵌合部を操作ノブの周縁部の端から該操作ノブの押込方向にオフセットした位置に形成したため、シール部材に操作ノブを可動部材から外す方向の外力が作用した場合、この外力は嵌合部を介して可動部材によって受けられ、操作ノブに外力が作用することがなく、該操作ノブの可動部材からの離脱が確実に防がれる。
【0018】
更に、防水スイッチの組み付けに際しては、嵌合部によってシール部材が可動部材に保持された状態で操作ノブを組み付けることができるため、シール部材が本来の位置からずれた位置に固定されることがなく、当該防水スイッチの組付性が高められる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、シール部材の嵌合部と対向する部位の外周面と操作ノブの外周面とを略面一に連続する面としたため、シール部材と操作ノブとの境界に段差が発生せず、操作ノブを直接操作して外そうとしてもシール部材が邪魔となって操作することができず、操作ノブを取り外すことができない。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、可動部材の周縁に形成されたフランジ部から径方向外方に突設された凸部とシール部材の内周面に形成された凹部とを嵌合させるようにしたため、シール部材を介して操作ノブを可動部材から外れる方向に押しても、その押圧力は凸部と凹部による嵌合部を介して可動部材によって受けられて操作ノブには及ばないため、操作ノブの可動部材からの外れが確実に防がれる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、スライダとノブベースとを係着することによって可動部材を構成するとともに、ノブベースの内周面に、操作ノブと係合する係合部を形成したため、操作ノブをノブベースに確実に固定することができるとともに、該操作ノブをノブベースに固定した後には係合部がノブベースの内部にあるために操作ノブを容易に取り外すことができない。
【0022】
又、ノブベースと操作ノブ及びシール部材をサブ組した後に、スライダに対してノブベースを取り付ければ良いため、当該防水スイッチの組立性が高められる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、ノブベースを透光性材料で構成するとともに、該ノブベースの光透過部と操作ノブとの間に閉空間が形成されるため、たとえシール部材の挟着部から水が浸入したとしても、この水は閉空間に閉じ込められてそれ以外の部位には流れ込まず、当該防水スイッチの防水性が高められる。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、スイッチケースに対して可動の操作ノブとノブベースによって蛇腹状のシール部材の一端を挟着し、シール部材の他端をスイッチケースの一端に取り付けたため、シール部材が弾性変形して操作ノブと可動部材の変位を許容するとともに、両者間(可動部)からの水の浸入を確実に防ぐ機能を果たす。又、透光性材料から成るノブベースを通って操作ノブとスイッチケースとの間からの光の漏れがシール部材によって確実に防がれるため、当該防水スイッチの外観性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る防水スイッチの分解斜視図である。
図2】本発明に係る防水スイッチの側面図である。
図3図2のA−A線断面図である。
図4】本発明に係る防水スイッチの背面図である。
図5図3のB部拡大詳細図である。
図6】本発明に係る防水スイッチの操作ノブとシール部材及びノブベースの斜視図である。
図7】特許文献1において提案された防水スイッチ要部の側断面図である。
図8】特許文献2において提案された防水スイッチ要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は本発明に係る防水スイッチの分解斜視図、図2は同防水スイッチの側面図、図3図2のA−A線断面図、図4は同防水スイッチの背面図、図5図3のB部拡大詳細図、図6は同防水スイッチの操作ノブとシール部材及びノブベースの斜視図である。
【0028】
本発明に係る防水スイッチ1は、略矩形筒状のスイッチケース2の内部に可動部材3を変位可能に収容するとともに、該可動部材3のスイッチケース2から突出する先端部(図2の左端部)に操作ノブ4を取り付け、スイッチケース2の後端部(図2の右端部)から内部にターミナルベース5を組み込んで構成されている。
【0029】
上記スイッチケース2は、その左右両側部に一体に形成された係合爪2aを不図示のパネルの装着孔の周縁に係合させることによってパネルに固定される。そして、このスイッチケース2の前端部には円形のフランジ部2Aが一体に形成されており、このフランジ部2Aには図1及び図3に示すようにリング溝状のスプリング受け2bが形成されている。又、図1に示すように、スイッチケース2の後端部の上下には矩形の係合孔2c(図1には一方のみ図示)が形成されている。
【0030】
上記スイッチケース2の内部に図3の左右方向に変位可能に収容された前記可動部材3は、矩形ブロック状のスライダ6とその先端部に係着される2段筒状のノブベース7とで構成されており、スライダ6は不透光性材料によって一体成形され、ノブベース7はアクリル樹脂等の透明な透光性材料によって一体に成形されている。
【0031】
そして、上記スライダ6の前端には円筒状の嵌合筒6A(図1参照)が一体に形成されており、この嵌合筒6Aの左右両側部には図1及び図3に示すように係合爪6a(図1には一方のみ図示)が一体に形成され、嵌合筒6Aの上下には幅の異なるガイド突起6b(図1には一方のみ図示)が突設されている。尚、スライダ6には不図示の可動接点が設けられており、この可動接点は前記操作ノブ4の押圧操作によってターミナルベース5に設けられた固定接点5c(図1参照)に選択的に接触する。
【0032】
前記ノブベース7は、小径の嵌合筒7Aの前端に環状のフランジ部7Bを一体に形成して構成されており、図6に示すように、嵌合筒7Aの左右両側部(スライダ6の前記係合爪6aに対応する部分)には矩形の係合孔7aが形成され、嵌合筒7Aの上下には幅の異なるガイド溝7bがそれぞれ形成されている。又、ノブベース7の嵌合筒7Aとフランジ部7Bとの間には、図3に示すように円形の隔壁としての光透過部7cが形成されており、フランジ部7Bの内周面の周方向4箇所には図1に示すように矩形の係合爪7d(図1には1つのみ図示)が形成されるとともに、同フランジ部7Bの内周面の上下には幅の異なるガイド突起7e(図1には一方のみ図示)が突設されている。
【0033】
又、図5に詳細に示すように、ノブベース7のフランジ部7Bの外周にはフランジ状の凸部7fが径方向外方に向かって一体に突設されている。
【0034】
而して、ノブベース7は、その嵌合筒7Aが図3に示すようにスライダ6の嵌合筒6Aの外周に嵌め込まれるが、このとき、該嵌合筒7Aの上下に形成された幅の異なるガイド溝7b(図6参照)にスライダ6の嵌合筒6Aの上下に突設されたガイド突起6b(図1参照)が嵌合することによってノブベース7とスライダ6との周方向の位置決めがなされるとともに、両者の誤組が防がれる。そして、ノブベース7の嵌合筒7Aをスライダ6の嵌合筒6Aに嵌め込んだ状態でノブベース7を押し込むと、図3に示すように該ノブベース7の嵌合筒7Aに形成された係合孔7aにスライダ6の嵌合筒6Aに突設された係合爪6aが係合し、スライダ6の先端部にノブベース7が取り付けられて両者が係着されて一体化される。
【0035】
前記操作ノブ4は、アクリル樹脂等の透明な透光性材料によって円形に一体成形されており、その裏側には図6に示すように嵌合筒4Aが一体に形成されている。そして、この嵌合筒4Aの外周の周方向4箇所(ノブベース7のフランジ部7Bに形成された係合爪7d(図1参照)に対応する4箇所)には係合孔4a(図6には1つのみ図示)が形成されており、嵌合筒4Aの上下には幅の異なるガイド溝4bが形成されている。
【0036】
而して、操作ノブ4は、その嵌合筒4Aが図3に示すようにノブベース7のフランジ部7Bの内周に嵌め込まれるが、このとき、該嵌合筒4Aの上下に形成された幅の異なるガイド溝4bにノブベース7のフランジ部7Bの内周面の上下に突設された幅の異なるガイド突起7e(図3には一方のみ図示)が嵌合することによって操作ノブ4とノブベース7との周方向の位置決めがなされるとともに、両者の誤組が防がれる。そして、操作ノブ4の嵌合筒4Aをノブベース7のフランジ部7Bの内周に嵌め込んだ状態で該操作ノブ4を押し込むと、ノブベース7のフランジ部7Bの係合爪7dが操作ノブ4の嵌合筒4Aに突設された係合孔4aに係合し、操作ノブ4がノブベース7のフランジ部7Bに取り付けられて該操作ノブ4とノブベース7が一体化される。このように操作ノブ4がノブベース7に固定された後はノブベース7側の係合爪7dがノブベース7の内部にあるために操作ノブ4を容易に取り外すことができない。
【0037】
以上のようにして可動部材3を構成するスライダ6とノブベース7が係着されて両者が一体化され、ノブベース7に操作ノブ4が係合によって固定されるが、これらの操作ノブ4と可動部材3はスイッチケース2に対して図3の左右方向に変位可能に保持されており、これらはノブベース7の背面とスイッチケース2のフランジ部2Aに形成された前記スプリング受け部2bとの間に縮装されたリターンスプリング8によって図3の左方(スライダ6側の不図示の可動接点がターミナルベース5の固定接点5cから離れて当該防水スイッチ1がOFFされる方向)に付勢されている。
【0038】
ところで、図3に示すように、当該防水スイッチ1のスイッチケース2から前方へ突出する可動部であるノブベース7やリターンスプリング8は防水用のシール部材9によって覆われてシールされている。ここで、シール部材9は、ゴム等の弾性材によって中空の蛇腹状に成形されており、その一端には被挟着部9aが形成され、他端には固定部9bが形成されている。
【0039】
又、図5に詳細に示すように、シール部材9の内周面には凹部9cが全周に亘って形成されており、この凹部9cに前記ノブベース7のフランジ部7Bに形成された凸部7fが嵌合している。ここで、互いに嵌合するノブベース7の凸部7fとシール部材9の凹部9cとは嵌合部を構成しており、この嵌合部は、操作ノブ4の周縁部4Bの端から該操作ノブ4の押込方向(図5の右方)に図示のεだけオフセットした位置に形成されており、本実施の形態では、嵌合部のオフセット量εは、操作ノブ4の周縁部4Bの端からノブベース7の凸部7fの中心がオフセットしている距離であり、操作ノブ4の周縁部4Bの端からノブベース7の凸部7fの操作ノブ4と対向する面7gとの間でシール部材9を挟着している。即ち、嵌合部のオフセット量εは、操作ノブ4の周縁部4Bの端とノブベース7の凸部7fの面7gとの間がシール部材9の厚み分離れた量に設定されている。
【0040】
更に、操作ノブ4の周縁部4Bは裏側に向かって円弧状に折り曲げられており、この周縁部4Bとノブベース7のフランジ部7Bによってシール部材9の一端の被挟着部9aが挟み込まれて挟着されており、シール部材9の他端に形成された固定部9bはスイッチケース2のフランジ部2Aの外周面に嵌め込まれて固定されている。尚、実際の組み付けにおいては、先ず、ノブベース7のフランジ部7Bがシール部材9の被挟着部9aに嵌め込まれ、操作ノブ4が前述のようにノブベース7に固定されることによってシール部材9の被挟着部9aが操作ノブ4の周縁部4Bとノブベース7のフランジ部7Bによって挟み込まれて挟着される。そして、図3に示すようにシール部材9が組み付けられた状態では、該シール部材9の被挟着部9aの外周面と操作ノブ4の周縁部4Bの外周面とが略面一に連続する面とされており、両者間には段差が生じないために操作ノブ4を引っ掛けてこれを取り外すことができないようになっている。尚、本実施の形態では、シール部材9の被挟着部9aの外周面と操作ノブ4の周縁部4Bの外周面とを略面一に連続する面としたが、操作ノブ4を引っ掛けてこれを取り外すことができないようにするためには、シール部材9の被挟着部9aの外径を操作ノブ4の周縁部4Bの外径よりも大きく設定して操作ノブ4の外周面がシール部材9の被挟着部9aの外周面より径方向外方に出っ張らないようにすれば良い。
【0041】
而して、本実施の形態では、図5及び図6に示すように、操作ノブ4の周縁部4Bの内面である挟着面(シール部材9の被挟着部9aに対向する面)には複数の凹凸10が同心円状に形成されている。又、図6に示すように、操作ノブ4の内面(裏面)の嵌合筒4Aによって囲まれた円形部分には、光を屈曲させる複数の同心円状のレンズカットで構成される光屈曲部11が形成されている。尚、操作ノブ4がノブベース7に固定された状態では、図3に示すように、ノブベース7の光透過部7cは操作ノブ4との間で閉空間Sを形成している。
【0042】
スイッチケース2の内部に後端開口部から嵌め込まれる前記ターミナルベース5は、後端部に矩形筒状のカプラー部5Aが一体に形成されており、このカプラー部5Aよりも前方の前半部5Bがスイッチケース2の後端開口部から内部に嵌め込まれて固定されている。即ち、図1に示すように、ターミナルベース5の前半部5Bの上下には係合爪5a(図1には一方のみ図示)が形成されており、ターミナルベース5は、その前半部5Bをスイッチケース2に後端開口部から嵌め込み、その上下に突設された係合爪5aをスイッチケース2の後端部の上下に形成された前記係合孔2cに係合させることによってスイッチケース2に固定される。
【0043】
そして、ターミナルベース5の前端面には基板12が垂直に取り付けられており、この基板12には発光部であるLED(発光ダイオード)13が実装されるとともに、ターミナルベース5から前方に突出する上下2本のターミナル14が差し込まれて基板12に電気的に接続されている。又、図1に示すように、ターミナルベース5の側部には軸5bが横方向に突設されており、この軸5bにはカムスプリング15が巻装されている。このカムスプリング15は、その一端がターミナルベース5に係止されており、他端が図3に示すようにスライダ6に形成されたカム6cに係合している。尚、図4に示すように、ターミナルベース5のカプラー部5Aの内部には、上下2本のターミナル16と上下4本のターミナル17が収容されている。又、カムスプリング15とその一端が係合するスライダ6のカム6cとはプッシュロック機構を構成している。
【0044】
以上のように構成された防水スイッチ1において、操作者が操作ノブ4をリターンスプリング8の付勢力に抗して押すと、該操作ノブ4に連結された可動部材3が同方向(図3の右方向)に変位し、可動部材3のスライダ6に設けられた不図示の可動接点がターミナルベース5に設けられた固定接点5cに接触するため、当該防水スイッチ1がONされる。そして、操作者が操作ノブ4から手を離しても可動部材3の変位がロックされ、防水スイッチ1のON状態は前記プッシュロック機構によって維持される。又、防水スイッチ1がON状態にあるとき、基板12に実装されたLED13に通電されて該LED13が起動されると、LED13から出射する光は、透明なノブベース7の光透過部7cを透過して操作ノブ4へと進み、該操作ノブ4の内面に形成された光屈曲部11で屈曲して外部に向けて出射される。
【0045】
その後、操作者が操作ノブ4を再度押すと、前記プッシュロック機構による可動部材3のロックが解除され、該可動部材3と操作ノブ4はリターンスプリング8の付勢力によって図3の左方に変位するため、可動部材3のスライダ6に設けられた可動接点がターミナルベース5の固定接点5cから離れるために防水スイッチ1がOFFされ、LED13への通電が遮断されるために該LED13の発光が停止する。
【0046】
以上のように、本発明に係る防水スイッチ1によれば、操作ノブ4に形成された周縁部4Bとノブベース7との間でシール部材9の被挟着部9aを挟着するとともに、ノブベース7の凸部7fとシール部材9の凹部9cとを嵌合させることによってノブベース7とシール部材9との接触面積が増えるため、操作ノブ4と可動部材3との間からの浸水を確実に防ぐことができ、当該防水スイッチ1の防水性が高められる。
【0047】
又、シール部材9とノブベース7との嵌合部である凹部9cと凸部7fを操作ノブ4の周縁部4Bの端から該操作ノブ4の押込方向にεだけオフセットした位置に形成したため、図5に示すようにシール部材9に操作ノブ4を可動部材3から外す方向の外力Fが作用した場合、この外力Fは嵌合部である凹部9cと凸部7fを介して可動部材3によって受けられ、操作ノブ4に外力Fが作用することがなく、該操作ノブ4の可動部材3からの離脱が確実に防がれる。
【0048】
更に、防水スイッチ1の組み付けに際しては、嵌合部であるシール部材9の凹部9cとノブベース7の凸部7fによってシール部材9が可動部材3に保持された状態で操作ノブ4を組み付けることができるため、シール部材9が本来の位置からずれた位置に固定されることがなく、当該防水スイッチ1の組付性が高められる。
【0049】
又、本実施の形態においては、スライダ6とノブベース7とを係着することによって可動部材3を構成するとともに、ノブベース7の内周面に、操作ノブ4の係合孔4aと係合する係合爪7dを形成したため、操作ノブ4をノブベース7に確実に固定することができるとともに、該操作ノブ4をノブベース7に固定した後には係合爪7dがノブベース7の内部にあるために操作ノブ4を容易に取り外すことができない。そして、ノブベース7と操作ノブ4及びシール部材9をサブ組した後に、スライダ6に対してノブベース7を取り付ければ良いため、当該防水スイッチ1の組立性が高められる。
【0050】
その他、本実施の形態においては、ノブベース7を透光性材料で構成するとともに、該ノブベース7の光透過部7cと操作ノブ4との間に閉空間Sが形成されるため、たとえシール部材9の被挟着部9aから水が浸入したとしても、この水は閉空間Sに閉じ込められてそれ以外の部位には流れ込まず、当該防水スイッチ1の防水性が高められる。
【0051】
尚、本実施の形態では、嵌合部のノブベース7の凸部7fとシール部材9の凹部9cとの間は隙間なく嵌合しているが、これに限定されるものではなく、シール部材9がノブベース7に保持された状態で操作ノブ4を組み付けることができれば良い。又、嵌合部のオフセット量εは、操作ノブ4の周縁部4Bの端とノブベース7の凸部7fの面7gとの間がシール部材9の厚み分離れた量としているが、操作ノブ4をノブベース7から外す方向の外力がシール部材9に作用した場合に、ノブベース7の凸部7fによって操作ノブ4よりも先に外力を受けられる位置に嵌合部を設ければ良いため、シール部材9の厚み分とは、シール部材9の強度を考慮した厚さとすれば良い。
【0052】
又、本実施の形態では、スイッチケース2に対して可動の操作ノブ4とノブベース7によって蛇腹状のシール部材9の一端に形成された被挟着部9aを挟着し、シール部材9の他端に形成された固定部9bをスイッチケース2の一端に取り付けたため、シール部材9が弾性変形して操作ノブ4と可動部材3の変位を許容するとともに、両者間(可動部)からの水の浸入を確実に防ぐ機能を果たす。そして、透光性材料から成るノブベース7を通って操作ノブ4とスイッチケース2との間からの光の漏れがシール部材9によって確実に防がれるため、当該防水スイッチ1の外観性が高められる。
【0053】
尚、以上は本発明をプッシュロック方式を採用する防水スイッチに対して適用した形態について説明したが、本発明は、プッシュロック方式を採用しない他の防水スイッチに対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 防水スイッチ
2 スイッチケース
2A スイッチケースのフランジ部
2a スイッチケースの係合爪
2b スイッチケースのスプリング受け
2c スイッチケースの係合孔
3 可動部材
4 操作ノブ
4A 操作ノブの嵌合筒
4B 操作ノブの周縁部
4a 操作ノブの係合孔
4b 操作ノブのガイド溝
5 ターミナルベース
5A ターミナルベースのカプラー部
5B ターミナルベースの前半部
5a ターミナルベースの係合爪
5b ターミナルベースの軸
5c ターミナルの固定接点
6 スライダ
6A スライダの嵌合筒
6a スライダの係合爪
6b スライダのガイド突起
6c スライダのカム
7 ノブベース
7A ノブベースの嵌合筒
7B ノブベースのフランジ部
7a ノブベースの係合孔
7b ノブベースのガイド溝
7c ノブベースの光透過部
7d ノブベースの係合爪(係合部)
7e ノブベースのガイド突起
7f ノブベースの凸部
7g ノブベースの凸部の面
8 リターンスプリング
9 シール部材
9a シール部材の被挟着部
9b シール部材の固定部
9c シール部材の凹部
10 操作ノブの凹凸
11 操作ノブの光屈曲部
12 基板
13 LED
14 ターミナル
15 カムスプリング
16,17 ターミナル
S 閉空間
ε 嵌合部のオフセット量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8