特許第5892695号(P5892695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5892695-配線基板 図000002
  • 特許5892695-配線基板 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5892695
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20160310BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   H01L23/12 F
   H05K3/34 501E
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-69282(P2012-69282)
(22)【出願日】2012年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-201321(P2013-201321A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2014年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】304024898
【氏名又は名称】京セラサーキットソリューションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 茂治
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−134318(JP,A)
【文献】 特開2007−227708(JP,A)
【文献】 特開2007−110114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面中央部に半導体素子が搭載される搭載部を有する絶縁基板と、該絶縁基板の上面に前記搭載部の外周部を互いに隣接して前記半導体素子の外周辺に直角な方向に延在する複数の配線導体と、前記絶縁基板の上面に被着されており、前記外周部における前記配線導体の一部を前記外周辺に沿って互いに並設された複数の半導体素子接続パッドとして露出させる開口部を有するとともに前記配線導体の残余の部分を被覆するソルダーレジスト層とを具備して成る配線基板であって、前記開口部は、並設された前記半導体素子接続パッド間の開口縁において、該開口縁の両端部から前記半導体素子接続パッド間の中間位置に向かって漸次幅が小さくなっていく切り欠きが形成されていることを特徴とする配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子等を搭載するための配線基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子集積回路素子等の半導体素子を搭載するための配線基板は、図3(a)および(b)に示すように、上面中央部に半導体素子Sを搭載するための搭載部11aを有する絶縁基板11と、絶縁基板11の上面に、搭載部11aの外周部を互いに隣接して半導体素子Sの外周辺に直角な方向に延在するとともに絶縁基板11の下面に導出する複数の配線導体12と、絶縁基板11の上面に被着されており、搭載部11aの外周部における配線導体12の一部を露出させる開口部13aを有するとともに、残余の配線導体12を被覆するソルダーレジスト層13とを具備している。
【0003】
開口部13aから露出された配線導体12の一部は、半導体素子Sの外周辺に沿って互いに並設された複数の半導体素子接続パッド14として機能する。また、絶縁基板11の下面に露出する配線導体12は、外部の電気回路基板に接続するための外部接続パッド15として機能する。そして、半導体素子Sの電極Tを半導体素子接続パッド14に半田を介して接続するとともに、外部接続パッド15を外部の電気回路基板の配線導体に半田を介して接続することにより半導体素子Sが外部の電気回路基板に電気的に接続され、半導体素子Sと外部の電気回路基板との間で配線導体12に信号を伝送することにより半導体素子Sが作動する。なお、上述のようにして半導体素子Sが配線基板20に搭載される場合、半導体素子Sと配線基板20との間の隙間を封止樹脂により充填しておき水分や異物等が隙間に浸入することを防止することで半導体素子Sの作動を安定化させている。
【0004】
ところで、半導体素子Sと配線基板20との間の隙間に封止樹脂を充填する際に、搭載部11aにおける半導体素子接続パッド14よりも内側部分に封止樹脂をあらかじめ山状に被着させておき、それぞれが対応する半導体素子Sの電極Tと、半導体素子接続パッド14とが対向するように位置決めされた半導体素子Sを、搭載部11aの上方から下方へ下降させて電極Tと半導体素子接続パッド14とを接合すると同時に、山状に被着された封止樹脂を半導体素子Sと配線基板20との隙間に押し広げていく方法がとられる場合がある。このように、封止樹脂が搭載部11aの中央部から外周部に向けて押し広げられることで半導体素子Sと配線基板20との隙間が充填される。
【0005】
ところが、封止樹脂が搭載部11aの中央部から外周部に向けて押し広げられる際に、図4に示すように、互いに並設された半導体素子接続パッド14間のソルダーレジスト層13の開口縁16において、封止樹脂が気泡Bを巻き込んで滞留させてしまい、半導体素子接続パッド14と気泡Bとが接触状態となる場合があった。このように、半導体素子接続パッド14と気泡Bとが接触状態になっていると、半導体素子接続パッド14間の電気的な絶縁性が不十分となる恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−199208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、半導体素子搭載時に半導体素子と配線基板との隙間に封止樹脂が充填される配線基板について、並設された半導体素子接続パッド間のソルダーレジスト層の開口縁において半導体素子接続パッドと封止樹脂中の気泡との接触をなくすことで、並設された半導体素子接続パッド間の電気的な絶縁性が良好な配線基板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の配線基板は、上面中央部に半導体素子が搭載される搭載部を有する絶縁基板と、絶縁基板の上面に搭載部の外周部を互いに隣接して半導体素子の外周辺に直角な方向に延在する複数の配線導体と、絶縁基板の上面に被着されており、外周部における配線導体の一部を外周辺に沿って互いに並設された複数の半導体素子接続パッドとして露出させる開口部を有するとともに配線導体の残余の部分を被覆するソルダーレジスト層とを具備して成る配線基板であって、開口部は、並設された半導体素子接続パッド間の開口縁において、開口縁の両端部から半導体素子接続パッド間の中間位置に向かって漸次幅が小さくなっていく切り欠きが形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の配線基板によれば、ソルダーレジスト層の開口部が、並設された半導体素子接
続パッド間の開口縁において、開口縁の両端部から半導体素子接続パッド間の中間位置に向かって漸次幅が小さくなっていく切り欠きが形成されていることから、封止樹脂が搭載部の中央部から外周部に向けて押し広げられる際に、半導体素子接続パッド間の開口縁において気泡を巻き込んだ場合でも、気泡が半導体素子接続パッドと接触状態となることなく切り欠きの中に誘導されていく。このため、半導体素子接続パッド間の開口縁において半導体素子接続パッドと封止樹脂中の気泡との接触をなくすことが可能となり、並設された半導体素子接続パッド間の電気的な絶縁性が良好な配線基板を提供することができる。


【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)および(b)は、本発明の配線基板の実施の形態の一例を示す概略断面図および平面図である。
図2図2は、図1に示す配線基板の要部拡大平面図である。
図3図3(a)および(b)は、従来の配線基板の実施の形態の一例を示す概略断面図および平面図である。
図4図4は、図3に示す配線基板の要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態の一例を図1(a)および(b)を基に説明する。図1(a)に示すように本例の配線基板は、主として絶縁基板1と、配線導体2とソルダーレジスト層3とを具備している。
【0012】
絶縁基板1は、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂やビスマレイミドトリアジン樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた電気絶縁材料から成る。絶縁基板1は、この例では単層構造であるが、同一または異なる電気絶縁材料から成る複数の絶縁層を多層に積層した多層構造であってもよい。
【0013】
絶縁基板1は、その上面中央部に半導体素子Sが搭載される搭載部1aを有している。搭載部1aは半導体素子Sに対応する大きさおよび形状をしている。また、絶縁基板1の下面は、外部の電気回路基板と接続するための接続面となっている。
【0014】
配線導体2は、絶縁基板1の上面を搭載部1aの外周部において互いに隣接して半導体素子Sの外周辺に直角な方向に延在するとともに絶縁基板1を貫通して絶縁基板1の下面に導出している。このような、配線導体2は、例えば銅めっきから成り、周知のサブトラクティブ法やセミアディティブ法により形成されている。
【0015】
配線導体2は、その一部が搭載部1aの外周部において、ソルダーレジスト層3に形成された開口部3aから露出されて半導体素子接続パッド4として機能する。また、絶縁基板1の下面に導出した部位に外部の電気回路基板に接続するための外部接続パッド5を有している。そして、半導体素子Sの電極Tを半導体素子接続パッド4に半田を介して接続するとともに、外部接続パッド5を外部の電気回路基板の配線導体に半田を介して接続することにより半導体素子Sが外部の電気回路基板に電気的に接続され、半導体素子Sと外部の電気回路基板との間で配線導体2に信号を伝送することにより半導体素子Sが作動する。
【0016】
半導体素子接続パッド4は、図1(b)に示すように、半導体素子Sの電極Tに対応するように配置されている。この例では、絶縁基板1の中央部から外周部に向けて延在する複数の配線導体2のそれぞれの一部が開口部3aから露出されることで、開口部3a内に複数の半導体素子接続パッド4が並設されている。
【0017】
ソルダーレジスト層3は、アクリル変性エポキシ樹脂等の感光性を有する熱硬化性樹脂を硬化させた電気絶縁材料から成る。ソルダーレジスト層3は、搭載部1aにおける配線導体2の一部を露出させる開口部3aを有しているとともに、配線導体2の残余の部分を被覆している。これにより半導体素子接続パッド4に半導体素子Sの電極Tを接続可能とするとともに配線導体2の残余の部分を外部環境より保護している。
【0018】
開口部3aは、並設された半導体素子接続パッド4間の開口縁6において、半導体素子接続パッド4間の中間位置に向かって幅が細くなっていく切り欠き7が形成されている。これにより、半導体素子Sと配線基板10との間の隙間に封止樹脂を充填する際に、図2に示すように、並設された半導体素子接続パッド4間の開口縁6において封止樹脂が気泡Bを巻き込んだ場合でも、気泡Bが切り欠き7の中に誘導されることで、半導体素子接続パッド4と気泡Bとが接触状態となることを回避することができる。なお、切り欠き7の開口幅Wは20μm以上であり、奥行きLは15μm以上であることが好ましい。開口幅Wが20μmより小さく、奥行きLが15μmより小さいと、気泡Bを半導体素子接続パッド4に接触しないように切り欠き7内に完全に誘導することが困難になる恐れがある。
【0019】
このように、本発明の配線基板10によれば、半導体素子接続パッド4と気泡Bとの接触を回避することで、半導体素子接続パッド4間の電気的な絶縁性を良好なものにすることができる。
【符号の説明】
【0020】
1 絶縁基板
1a 搭載部
2 配線導体
3 ソルダーレジスト層
3a 開口部
4 半導体素子接続パッド
6 開口縁
7 切り欠き
10 配線基板
S 半導体素子
図1
図2
図3
図4