(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステップd)において、前記脱硫温度が、前記加硫クラムラバーの炭素−硫黄結合または硫黄−硫黄結合の部分的な開裂が起こるときに到達する、請求項1に記載の方法。
g)前記混合物を前記気密固定チャンバからドラムタンブラに移すステップをさらに含み、そして、前記ドラムタンブラ内で、前記混合物を10〜45秒の期間内に20〜70℃にさらに冷却する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
温度を低減することは、前記回転子軸の速度を低減することと、前記気密固定チャンバの中に冷却剤を注入することである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
前記ステップe)において、前記より低温に下げるステップが、前記回転子軸の速度を落とすステップと、前記気密固定チャンバを囲む冷却ジャケットに水を注入するステップと、前記冷却剤を霧状又はジェット気流状に注入するステップと、からなることを特徴とする請求項11又は12に記載の方法。
前記気密固定チャンバが、前記回転子軸および前記羽根が回転しているとき、前記不均一な内表面の温度を冷却するために、前記不均一な内表面を外方に包囲する冷却ジャケットをさらに備えた、請求項14乃至21のいずれか一項に記載のサーモキネティックミキサ。
【背景技術】
【0002】
先行技術の説明
タイヤは、生成量が多く、またそれらの耐久性に起因して、とりわけ最も大きく、最も問題のある廃棄物源である。廃タイヤをそのような問題にする特徴は、ゴムが非常に弾性があり、他の製品に再利用できるため、タイヤは最も再利用される廃材の1つにもなる。タイヤまたは他のゴム製品も、たとえばタイヤ由来の燃料、土木工学の応用、スポーツ分野および新しい靴製品のような使用にしばしばリサイクルされる。
【0003】
タイヤは、主にゴムからできているが、各タイヤの化学成分はタイヤの由来に依存する。たとえば、トラックタイヤ、自動車タイヤまたはオフロードタイヤは、主にスチレンブタジエンゴム(SBR)および天然ゴムから異なる濃度でできている。
【0004】
廃ゴムはまた、バイブレータおよび密閉具、ガラスランチャンネル、ラジエータ、庭ホースおよび器具用ホース、管、ワッシャー、ベルト、電気絶縁体、ならびにスピーカーコーンサラウンドなどの他の源にも由来する。また、ゴムは、高電圧の高分子ケーブルジョイント取り付けの耐水用の媒体として、屋根の薄膜、ジオメンブレン、ゴム製機械商品、プラスチック衝撃改質剤、熱可塑性プラスチック、加硫物、エンジン油添加剤、池の中敷き、電気ケーブル結合、RV車の屋根、および鎖帷子適用品としても使用される。これらの特定の場合において、ゴムは主にエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム(Mクラスゴム)からできている。
【0005】
ゴムの「再生」または「再生する」とは、元の加硫ゴムが部分的な脱硫、さらに表面積、篩径または密度などのその異なる特性の改変を受けることを意味する。
【0006】
脱硫は、廃タイヤゴムをリサイクルまたは再生利用する潜在的な方法である。ゴムの脱硫は、歴史は長いが、この主題における新たな関心は、タイヤ廃棄を適切に管理にするための規制および一般の関心が高まったことにより、過去10〜15年に再燃した。その名称が示唆するように、脱硫のプロセスにおいて、加硫廃ゴムの構造が修正された。得られる脱硫された材料を、有益な製品に再加硫するまたは変換することができる。脱硫されたゴムは、廃ゴムの価値の高い形である。
【0007】
「加硫」とは、弾力性および製造されたゴム製品に望まれる他の特性を提供するために、硫黄および硫黄の架橋をゴム分子の混合物に組み込む、熱化学プロセスが存在することを意味する。そのプロセスにおいて、硫黄原子は、ゴム分子の炭素分子に化学結合され、硫化ゴム分子間の架橋(化学結合)として働く。加硫プロセスは、温度および圧力の基準大気条件で不可逆である。
【0008】
歴史的および実質的に、ゴムの脱硫の概念は、炭素−硫黄(C−S)結合および/または硫黄−硫黄(S−S)結合などの化学網の分子間結合の開裂からなり、さらに鎖の短縮も起こる。化学的に述べると、脱硫は、加硫ゴムのモノ硫化物、二硫化物、およびポリ硫化物の架橋(炭素−硫黄結合または硫黄−硫黄結合)を開裂するプロセスである。理想的には、脱硫されたゴムは、他の化合物の使用の有無に関わらず、再硫化できる。
【0009】
異なるタイプの脱硫プロセスはまた、ゴムの他の特性も変更する。これらのプロセスにより、親ゴムの特性に比べ一部の特性の低下を引き起こす。理想的には、脱硫は、特性に関してまた製造費に関しての両方で、バージンゴムに代わる手段として働くことができる製品を得ることである。
【0010】
今日、スクラップのエラストマーまたはゴムのリサイクル(タイヤから生成した燃料、タイヤカーカスからの穿孔製品または型打ち製品、クラムラバーの結合技術を使用する敷物および多くの低価格の応用)をしている大型市場がいくつかある。様々な特許権を有する方法により、熱、機械エネルギーまたは超音波処理などの、他の形のエネルギーに関与する化学処理を使用する、廃ゴムの化学的部分脱硫が教示されている。例として、米国特許第4,148,763号(Bryson)、第5,798,394号(Myersら)、第6,133,413号(Mouriら)および第6,548,560号(Kovalakら)、ならびに仏国特許出願第2,846,661号(Schaumburg)を参照されたい。しかし、加硫ゴムの一部の化学処理に由来する、再生ゴムに取り組むこれらの公開は、環境に配慮する解決策の有望な代替手段ではない。
【0011】
ゴムをリサイクルするためのプロセス、およびこうしたリサイクルのための主な方法を以下に説明する。より詳しくは、読者は、Bill Klingensmithによる記事「Recycling, production and use of reprocessed rubbers」(Rubber World、1991年3月、16〜21ページ)を参考にされたい。
【0012】
「超音波リサイクル」 高出力超音波を硬化されたゴムに押出し中に当て、高い圧力、熱および機械的エネルギーが硫黄架橋を破壊し、押出し物をゴム状の新材料にし、新材料を再硬化し、新しいゴム製品に形作ることができる。
【0013】
「タイヤ熱分解」 中古タイヤのリサイクルのための熱分解方法は、タイヤを作られた材料に熱分解するために、中古タイヤを閉鎖した、無酸素環境のストーブ内で加熱する特別な機構を使用する技法である。
【0014】
「マイクロ波リサイクル」 マイクロ波は、ゴムがディーゼル、合成ガス、ならびにカーボンブラックおよびめっき鋼を含む、その構成部分に凝結される気体状態になるまで、ゴムを励起する。このプロセスにおいて排出物は生成されず、すべての構成部品を再利用することができる。
【0015】
「超臨界流体」 米国特許第7,182,762号(TZOGANAKIS)として認可された国際公開第2003/029298号は、通常気体である超臨界CO
2流体の存在下で、ゴムが機械的引張およびせん断力を受けることを含む、架橋されたゴムを改変するプロセスを開示している。このプロセスにより、ゴムの制御可能な脱硫が可能になる。脱硫されたゴムは、商標TYROMER(登録商標)の下で商品化される。
【0016】
遺憾ながら、これらの方法の大型の商業的応用は、経済的観点から、または提案されたプロセスから得られる製品の特性が優れないという点での、いずれかにより妨げられている。
【0017】
化学物質との組み合わせの有無に関わらず、製粉プロセスを使用して、廃タイヤ材料を脱硫する試みがされてきた。たとえば、米国特許第5,883,140号(Fisherら、1999年)は、ゴムの塊が250℃未満の温度で3000〜4000rpmの回転翼速度を使用して、非常に強力な機械的衝撃力を受けることにより、加硫ゴムから得られる再生利用ゴムを作成するプロセスを開示している。該プロセスは、ゴム内の硬化速度の遅延で公知の、様々な化学物質を少量(通常1重量%〜2重量%程度)加えて使用できる。
【0018】
米国特許第7,342,052号(Fulfordら、2008年)は、スクラップのエラストマーを器(具体的にはGELIMAT(登録商標)ミキサ)の中に導入し、振動させ、次いでエラストマーが分解を開始する温度より低い温度に加熱することにより、スクラップのエラストマーを再生エラストマーに変換するプロセスを開示している。次に熱油(190〜200℃)を器に導入して、スクラップのエラストマーに混ぜる。次いで混合物を冷却する。このプロセスの主な欠点の1つは、ゴムに追加される前に、油を約200℃の温度に予熱しなければならないことにある。
【0019】
タイヤを処理する第1のステップは、概して異なるメッシュサイズのクラムラバーが得られるまで、タイヤを刻むまたは圧搾するものである。次いでクラムラバーは、そのメッシュサイズに従って異なる応用に販売される。約30〜80の分布のメッシュサイズの小型クラムラバーは、圧搾プロセス中に成形もされる。小型クラムラバーは、概して安価の「充填」材のみであり、大量に使用されることはまれである。実際、クラムラバーは、アクティブな比表面積(m
2/g)が低いが、依然として加硫される(高い架橋密度)ので、別の化合物(ポリマーなど)と充填材として使用される際に、あまりよく付着しない。
【0020】
サーモキネティックミキサは、概してクラムラバーの機械的リサイクルのために使用されることがあることが、公知である。しかし、当技術分野のサーモキネティックミキサは、ゴムを圧搾する副産物である、クラムラバーを処理するのに十分なほど有効ではない。
【発明を実施するための形態】
【0033】
前述のように、本発明の第1の態様によれば、加硫ゴムは、以下のようにゴムを処理することによって再生することができる。方法およびデバイス組立体は、
図1の流れ図により示すことができる。
【0034】
方法の第1のステップa)は、好ましくは予洗された清潔で粉末に挽いた加硫クラムラバー(1)、および潤滑剤(3)をバッチミキサ(5)の中に導入するものであり、潤滑剤(3)およびバッチミキサ(5)は室温である。使用されるバッチミキサ(5)は、当技術分野で公知のあらゆる種類の工業用ミキサでよい。
【0035】
本明細書で使用される「室温」または「周囲温度」とは、本発明の異なる材料が処理される、保管される、または使用される、あるいは指定される温度であると理解されたい。好ましくは、室温は、約15〜30℃、より好ましくは20〜25℃である。
【0036】
「加硫(された)ゴム」とは、リサイクルされたスクラップゴムの副産物であるゴムなどの、当技術分野で周知のプロセスにより、予め加硫されたゴムであることを理解されたい。好ましくは、加硫スクラップゴムは、タイヤゴム(自動車タイヤ、トラックタイヤ、オフロードタイヤなど)、靴または加硫ゴムからなる他の品物である。ゴムは、概して天然ゴムまたはSBR(スチレンブタジエンゴム)またはEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー(Mクラス))ゴムなどの合成ゴムからできている。
【0037】
「クラム」とは、10未満のメッシュサイズ(10より大きいクラムのサイズ)、好ましくは10〜100を有するゴムの固体粉末であると理解されたい。当技術分野で周知であるように、クラムのサイズは、均一の値ではないが、むしろ1インチ四方当たりの穴の数によって定義される異なるメッシュサイズの分布である。好ましくは、クラムラバーは、「新鮮」でなければならず、要素(たとえば、UV、極端な温度)に曝されてはならない。
【0038】
「潤滑剤」とは、抵抗を低減する熱転写材料として当技術分野で公知の、あらゆる種類の固体または流体の潤滑剤であると理解されたい。本方法に潤滑剤が存在すると、クラムの「拡大」が促進され、それにより以下に実証されるように、径および比表面積が高くなる。流体の潤滑剤は、植物油(キャノーラ、コーンオイルなど)などの有機溶媒もしくは油、または鉱油でよい。さらに油は、未使用、リサイクルされた、または処理されたものでよい。固体の潤滑剤は、固体もしくはペースト状のカーボンブラック、タルク、黒鉛、パラフィン、当技術分野で公知の微粉末の形状を有するあらゆる他の固体潤滑剤、またはその混合物であってもよい。
【0039】
潤滑剤が植物油である場合、潤滑剤は再生方法中に有毒ガスを除去する。植物油は、方法をより「グリーン」で人にやさしくし、出費も少ない。
【0040】
潤滑剤は、好ましくは、全質量の百分率(重量百分率またはwt.%)としてクラムラバーに加えられる。好ましくは、1つまたは複数の潤滑剤は、約2〜12wt.%、より好ましくは、約5wt.%(すなわち、100lbsのクラムラバーが処理される場合は、5lbsの油が加えられて、合計105lbsになる)の範囲で原料内に存在することができる。
【0041】
本明細書および特許請求の範囲に使用される用語「約」とは、本明細書に示された測定が、この測定を得るために使用する装置の精度より劣ってはならない精度を有するものと理解されたい。10%の精度の測定は許容可能であり、用語「約」を含むことが通常許容される。
【0042】
方法の第2のステップb)は、混合物を形成するために、クラムラバー(1)と潤滑剤(複数可)(3)を室温で十分な期間混合するものである。
【0043】
「十分な期間」とは、潤滑剤をクラムラバーに混合および/または浸透させることができるのに十分な期間であると理解されたい。この期間は、混合する加硫クラムラバー(1)の量、選択された潤滑剤の性質(流体または固体)、およびこの第2のステップに使用されるミキサの型により変化する。好ましくは、十分な期間は、約2〜15分である。
【0044】
方法の第3のステップc)は、ステップb)において作成された混合ゴム/潤滑剤をサーモキネティックミキサ(7)の中に移動するものである。好ましくは、このような移動は、SAS(9)などの分離チャンバを介して行われる。より好ましくは、分離チャンバは、気密分離チャンバである。「気密分離チャンバ」とは、デバイス組立体の分離チャンバが、空気および酸素が分離チャンバの中に浸透するのを回避するために、好ましくは密封しているものと理解されたい。
【0045】
好ましくは、第1のミキサ(5)は、重力の利点を生かすために、サーモキネティックミキサ(7)の上に配置されたSAS(9)の上に配置される。
【0046】
本発明のサーモキネティックミキサ(または以下K−ミキサとも呼ばれる)は、米国特許第5,883,140号に記載されたGELIMAT(登録商標)などの、当技術分野で公知のサーモキネティックミキサのすべての特徴を含む。塊が受ける非常に強力な機械的衝撃により、また運動学的復元のゴムの特性により、K−ミキサは、通常プロセスの過程で、たとえば、上に論じた衝撃に続く、クラムの形状の急速な変形および弾性の復元から発生する、ヒステリシスまたは内部摩擦の損失の結果として、温度のかなり急激な上昇を示す。好ましくは、働きは、塊が約5℃/秒〜約60℃/秒、より好ましくは、約10℃/秒〜約50℃/秒の温度上昇の割合を表すものである。
【0047】
GELIMAT(登録商標)に比べて、本発明のK−ミキサは改良されている。まず、K−ミキサは、特にチャンバが不均一な内表面を有する、混合物を受け取るための気密固定チャンバを有する。K−ミキサは、チャンバ内に回転自在に同軸上に搭載された回転子軸を有する。回転子軸は、軸からチャンバの中に延在する羽根を有し、制御された速度は少なくとも約2000rpm(1分当たりの回転数)まで変化する。
【0048】
サーモキネティックミキサは、可変の電気速度制御を備えてもよい。高速のK−ミキサは、約400rpmから約1400〜2000rpmまで、または必要ならそれ以上に上昇する回転を有する回転軸を有する。K−ミキサにおいては、温度は、K−ミキサの軸および羽根の回転機能で変化する。好ましくは、K−ミキサの軸および羽根の組合せの半径は、約8インチ(20.3cm)である。さらに本発明のK−ミキサに関する好ましい実施形態の説明は、以下に与えられる。
【0049】
「気密」とは、K−ミキサのチャンバが、好ましくは、高温でクラムラバーの自然発火を引き起こし得る、空気および酸素がチャンバの中へ浸透するのを回避するために、密封するものと理解されたい。より好ましくは、チャンバは、さらに処理中にチャンバを真空にするための真空ポンプ(10)に連結される。
【0050】
方法の第4のステップd)では、クラムラバーに衝撃を与え、第1の期間中に脱硫温度が到達するまで混合物の温度を上昇させるために、回転子軸の速度を上げる。好ましくは、軸の制御された速度は、サーモキネティックミキサの温度がほぼ室温であるときは、約400rpmであり、温度がほぼ脱硫温度であるときは、約1400〜2000rpmである。
【0051】
「脱硫温度」とは、加硫ゴムのモノ硫化物、二硫化物、およびポリ硫化物の架橋(炭素−硫黄結合または硫黄−硫黄結合)を完全にまたは部分的に開裂する温度であると理解されたい。理想的には、脱硫は、特性の観点および製造コストの観点の両方から、バージンゴムの代用品としての働きをすることができる、再生ゴムを得るはずである。
【0052】
好ましくは、ステップd)において到達した脱硫温度は、約300℃〜約330℃、より好ましくは、315℃である。脱硫温度は、約5〜30秒、好ましくは、
図2に示された例に示されたように、約20秒の短期間で到達する。その後、温度は0.25秒〜3秒間一定を保った後下がる。
【0053】
方法の第5のステップe)では、混合物の温度は、第2の期間中より低温に低減される。好ましくは、この低温は、約150〜250℃であり、第2の期間は約2〜30秒である。
【0054】
好ましくは、ステップd)およびe)は、約120秒の時間間隔内、より好ましくは、60秒未満内で実行される。新しいサーモキネティックミキサを使用すると、その構成部品によって、より高温による処理時間を低減することが可能になるので、ゴムが亀裂し自然発火する危険を回避し、さらにより低いエネルギー消費で再生クラムラバーの大量生産が可能になる。
【0055】
チャンバの中に入れる混合物の温度を低減することは、回転子軸の速度を好ましくは、1400〜2000rpmから約400rpmに低減し、チャンバの中に冷却剤を注入することである。冷却剤は、熱エネルギーを消失できる特性を有する、あらゆる種類の公知の冷却剤でよい。冷却剤は、ジェット気流または霧などの異なる形で注入できる。
【0056】
より好ましくは、冷却剤または溶液は、高温ゴムと接触して気化する特性を有する水である。次いで蒸気は、K−ミキサから出ることがあり、ゴムの部分的な脱硫から生じる不純物および硫黄派生物が出ていく。
【0057】
上述の水の注入に加えて、またはこれを伴わずに、K−ミキサの内表面を冷却することによって、混合物を冷却することができる。以下に説明されるように、ウォータージャケットは、チャンバの表面下で使用してよい。
【0058】
K−ミキサのチャンバは、利用可能な内部容積、すなわち、チャンバの全容積から回転子軸および羽根によって占有された容積を引いたものを有する。好ましくは、混合物自体の衝撃および摩擦を改善するために、利用可能な内部容積の約50%を超えて、好ましくは、約50%〜約90%、より好ましくは、内部容積の3分の2、すなわち約67%を混合物で占有される。
【0059】
方法の第6のステップf)では、ゴムは再生ゴム(13)としてK−ミキサ(7)から出る。
【0060】
図1に示されたように、方法は、混合物をK−ミキサ(7)のチャンバ(22)からドラムタンブラ(15)の中に移動する際に、混合物を約10〜45秒の期間内に約150〜250℃から約20〜70℃にさらに冷却するものである、第7のステップg)をさらに含んでもよい。ゴムがK−ミキサから出る際に、ゴムを冷却するために他の方法を使用できることは明白である。ドラムタンブラを使用する利点は、ゴムを迅速に冷却し膨張させることである。ゴムは、広い表面上においてそれ自体を冷却することができる。また、ペルチェ冷却器を単独で、または他の冷却システムと組み合わせて使用して、脱硫されたクラムラバーの最終冷却を促進してもよい。
【0061】
本発明の別の態様によれば、上述の方法によって得た、再生クラムラバーが提供される。
【0062】
好ましくは、本発明の方法により、通常10〜40の範囲内のメッシュサイズで、再生固体のクラムラバーを作成できる。このクラムラバーは、加硫を特徴とする様々な応用における材料として使用することができる。
【0063】
再生ゴムは、粒子分布、密度、アセトン抽出成分、揮発性成分、再生/脱硫度、耐熱性、灰分、形態論、比表面積を使用して、篩の径(メッシュサイズの分布)などの、当技術分野で周知の物理的および/または化学的特性を評価または測定することによって特徴付けられてもよい。
【0064】
以下の例示において詳述される特徴のこれらの方法を通じて、脱硫度の測定(硫黄−橋架橋密度)、径(メッシュサイズの分布)および比表面積は、商品化される再生ゴムの品質を数値化するために、最も関心のあるパラメータを保持する。さらに、これらの特性により、再生ゴムを方法のステップa)において使用される元の加硫ゴムから、また当技術分野で公知の異なるプロセスによって得たその他の再生ゴムから、容易な差別化が可能になる。
【0065】
たとえば、再生ゴムは、ステップa)の加硫ゴムの架橋密度に比べて低い架橋密度を有してもよい。再生ゴムは、ステップa)の加硫クラムラバーより20%〜90%少ない、好ましくは約28%〜77%少ない、より好ましくは、加重平均値が61%少ない架橋を有してもよい。
【0066】
ステップa)において加硫クラムラバーの径および脱硫された材料を、篩からメッシュサイズを使用して数値化できる。約30〜80メッシュの最初のメッシュの分布、およびおよそ40の加重平均メッシュサイズの、加硫クラムラバーは、脱硫されたメッシュサイズの分布が約10〜40、加重平均メッシュサイズがおよそ14となる。
【0067】
本発明の方法によって得た再生ゴムは、約0.8m
2/gより大きい比表面積、またはステップa)の加硫ゴムの比表面積の約2〜5倍大きい比表面積を有することがある。
【0068】
以下の例は、本発明の再生ゴムが、再生ゴムが充填剤として使用される際に、未処理のゴムと比較して同等またはより良好でさえある特性を化合物に与えることを示す。
【0069】
本発明の別の態様によれば、本明細書でK−ミキサとも知られ、また呼ばれており、
図4および5に示されたミキサのような、サーモキネティックミキサが提供される。
【0070】
サーモキネティックミキサ(20)は、粒径が約10メッシュ〜200メッシュ(2000〜74ミクロン)、好ましくは、約30〜100メッシュ(595〜149ミクロン)の粉砕された加硫ゴム(クラムラバーとも呼ばれる)の再生、または脱硫に特に適合する。
図3に示されたように、加硫クラムは、約40メッシュ(388ミクロン)に集中した分布を有する異なるサイズのクラムを含む。
【0071】
K−ミキサ(20)は、気密固定チャンバ(22)を備える。
図4上で、チャンバ(22)は、チャンバ(22)の不均一な内表面(24)を示すために、開いた構成内に表した。
【0072】
また、K−ミキサ(20)は、チャンバ(22)の回転子軸(26)から内表面(24)に向かって延びる羽根(28)を有する、チャンバの中に同軸上に延在する回転子軸(26)を備える。
【0073】
図5に示された軸は、6個の羽根(281、282)を有し、これは40リットル容積のK−ミキサ(チャンバの利用可能な容積)に対する羽根の典型的な数である。羽根は、軸上に不規則に配置されてよい。羽根の寸法、それらの相対的位置、および形は、クラム材料をチャンバの内部で軸を中心に移動し続けるために修正することができ、したがってK−ミキサの中に処理されるゴムのバッチ全体に均一な温度を分布することが確実になる。前述のように、羽根の形は、たとえば、(船のプロペラなどの)羽根を長手方向にひねることによって、変更することができる。
【0074】
図4(拡大図)および
図5にも示されたように、羽根(28、281、282)は、軸(26)の片側上に3個の羽根(281)、および軸(26)の反対側の上に別の3個の羽根(282)を備え、互いに非平行の関係にあることが可能である。
【0075】
ゴムの再生のために、本明細書に記載されたミキサのように、K−ミキサ(20)の回転子軸(26)および羽根(28)は、約400rpmから始まって約1400〜2000rpmまで変化し得る制御された回転速度を有する。当然のことながら、この特定の範囲外の回転速度は、必要とされる場合、使用することができ、本発明は、この例示的回転速度の範囲に限定されない。半径は、前述のrpmに対しておよそ20.3cm(8インチ)である。
【0076】
本発明のK−ミキサの特異性は、回転子軸(26)を包囲するチャンバ(22)が、不均一な内表面(24)を有することにある。好ましくは、各羽根(28)は、不均一な外表面(30)も有する。
【0077】
図4に示されたように、K−ミキサの内表面または壁(24)および/または羽根の外表面は、折目加工されているか、または型押しされてもよい。表面は、ビーズ状の非平滑表面(24、30)を生成する、溶接されたビーズの形状に硬化鋼で裏打ちされてもよい。加えて、表面は、ビーズ状の非平滑表面をモデル化するために機械加工されることもできる。
【0078】
これらの非平滑表面(24、30)は、該表面とクラムラバーとの間で接触する表面を増加し、クラムラバーの中により良好な衝撃および温度分布または拡散が可能になる。
【0079】
K−ミキサは、チャンバの内表面(24)の下に冷却デバイス(32)をさらに備えることが好ましい。冷却デバイスは、軸(26)および羽根(28)が回転する際、内表面(24)の温度を冷却するのに適合する。冷却デバイスの例として、ウォータージャケット(32)を使用して、ミキサの内部表面を正しい割合で、必要な時間内に引き続き処理されるバッチを通して冷却できる。
【0080】
また本発明のサーモキネティックミキサ(20)は、K−ミキサが回転中、ゴム粉末を冷却するために、水などの冷却剤をチャンバの中に注入または噴霧するように適合された、少なくとも1つの冷却注入デバイス(34)も備えてもよい。
図4(拡大図)に示されたように、各注入デバイスは、霧またはジェット気流の形で、チャンバの中に水を噴霧するように適合したノズル(34)であることができる。水注入デバイスの数およびその具体的な配置は、
図4に示された4個のノズルに限定されない。
【0081】
また、本発明のサーモキネティックミキサ(20)のチャンバ(22)は、プロセスの間ゴムの燃焼を回避するために気密である。好ましくは、ミキサ(2)は、空気、すなわち酸素をチャンバから除去するために、チャンバ(22)と連結した真空ポンプ(10)をさらに備える。真空ポンプがないと、入口は気密チャンバのための抜け口として使用されるはずである。
【0082】
さらに、K−ミキサ(20)の容積は、関連した生産およびプロセスの容量の必要に従って調節できる。K−ミキサ(20)の利用可能な容積の50%を超える容積が、処理される材料によって占有されるべきであり、それにより、クラムラバー間の内部衝撃および摩擦が可能になる。好ましくは、容積の50〜90%、より好ましくは、3分の1(約67%)が占有されるべきである。通常、K−ミキサは、幅を増加させる一方で、望ましい容積が達成されるように、回転子および羽根の径をできる限り維持するべきである。たとえば、40リットルのK−ミキサは、長さ約30.5cm(12インチ)で、直径(内寸)約43.2cm(17インチ)である。
【0083】
本発明の別の態様によれば、加硫ゴムを再生するためのデバイス組立体が提供される。
【0084】
図1に示されたように、デバイス組立体は、クラムラバーと潤滑剤を室温で混合するための第1のミキサ(5)(方法のステップa))、ならびに上述の、また
図4に示されているミキサなどの本発明のK−ミキサ(20)を備える。
【0085】
またデバイス組立体は、混合物を第1のミキサからSAS(搭載し分離する区画)などのK−ミキサ(
図1の7、または
図4の20)の中に移動するための移動デバイス(9)も備える。好ましくは、移動は、空気がK−ミキサチャンバ(22)の中に移動する可能性を回避するために、気密である。
【0086】
図4および5に示されたように、移動デバイス(9)からチャンバ(22)への移動は、好ましくは、K−ミキサ(2)の入口で軸(26)の周囲に配置された、ウォーム駆動またはスクリュー駆動(36)を使用して行われてもよい。
【0087】
次に、本発明は、ゴム製品(新しいタイヤ、ゴムの床、ゴムの靴など)の作成のため、またはプラスチック複合材料を作成するための充填剤として、上述の方法によって得た再生クラムラバーの使用も対象とする。したがって、本発明の別の態様によれば、
上に定義された方法によって得た再生クラムラバー、および十分な量の加硫剤を含む混合物を加硫されるバージンゴムポリマーに加えるステップと、
加硫ゴムを得るために、混合物およびバージンゴムポリマーが加硫を受けるステップと、を含む、加硫ゴムを作成するプロセスが提供される。
【0088】
好ましくは、プロセスは、活性剤、アミド、被覆金属酸化物、被覆硫黄、結合剤、均質化剤、マンドレル除去、金型洗浄剤、解膠剤、可塑剤、ポリエチレン・ワックス、加工剤または分散剤(たとえば、商標Struktol(登録商標)の下で提供されたもの)などの、当技術分野で周知の1つまたは複数の加硫添加剤を、バージンゴムポリマーに加えるステップをさらに含む。
【0089】
好ましくは、上のプロセスにおいて、再生クラムラバーおよび加硫剤を含む混合物は、加硫添加剤(複数可)を加える前に、バージンゴムポリマーに加えられる。
【0090】
バージンゴムポリマーは、バージンゴムポリマーをベースとする化合物(即ち、バージンゴムポリマー系化合物)でよい。「バージンゴムポリマーをベースとする化合物」とは、バージンゴムポリマーが、少なくとも1つの加硫剤および/または添加剤とすでに混合されたことを意味する。ベースとなる化合物は、したがって再生粉末/加硫剤の混合物で処理される(たとえば表6を参照)。
【0091】
好ましくは、加硫剤は、粉末状であるか、または硫黄を含むCBS促進剤(CBSはN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルホンアミドである)などの流体に予め含まれている。上のプロセスで使用される加硫剤(複数可)は、ゴム加硫の当技術分野で公知のあらゆる加硫剤であることができ、好ましくは硫黄を含む。過酸化物、ウレタン架橋剤、または金属酸化物などの、当技術分野の他の加硫剤を使用できる。
【0092】
硫黄と化合した硫化剤は、再生クラムラバーの約1重量%〜約10重量%および約1〜3phr(ゴムの重量部)、好ましくは、バージンゴムポリマーの約1.5phrの濃度で使用することができる。これらの濃度は適用によって変化する。
【0093】
適用の機能では、加硫プロセスにおいて使用される再生クラムラバーの容積は、3〜99%でよい。
【0094】
しかし、初めて、本発明の方法は、約10〜40メッシュのメッシュサイズで再生クラムラバーを作成できた(
図3参照)。したがって、100%の再生クラムラバーは、ある種のゴム商品を作成するために加硫プロセスに使用してもよい。
【0095】
したがって本発明は、上に定義された、再生硫化されたゴムの方法によって得た、再生クラムラバーの100%の加硫によって作成された、加硫ゴムを含むあらゆるゴム商品も対象とする。
【0096】
再生クラムラバーが、バージンゴムポリマーを含む化合物と混合されるときは、硫黄などの加硫剤は、加硫中に再生クラムラバーに移動し、バージンポリマーと反応する加硫剤の量が不十分なために、再生度が低くなる。この加硫剤の移動は、再生ゴムとバージンゴムが混合される前に、別の十分な量の加硫剤を再生クラムラバーに加えることによって回避される。
【0097】
再生クラムを含むバージンゴムポリマーは、当技術分野で公知のゴムのあらゆる加硫を対象としてよい。
【実施例1】
【0098】
再生クラムラバーの準備および特徴
再生ゴムの製造における第1のステップは、再生利用されるゴム部分の粉砕である。次いでスクラップのゴム内に存在することがある金属不純物を、機器への損傷の可能性を回避するために、磁石の使用などによって除去できる。
【0099】
さらに、供給業者からの材料は「フラッフがない」ものとする。「フラッフ」は、未処理のクラムラバーから除去されていない場合がある、ポリエステル繊維またはナイロンである。
【0100】
一旦粉砕されると、未処理ゴムは、下の表1および
図3のグラフに報告されているように、30〜80メッシュの加硫クラムラバーに対する、通常のメッシュサイズを有する。
【0101】
本発明の具体的な例の本記述において、文字Uは用語「未処理」を象徴し、SBRは「スチレンブタジレンゴム」を意味するが、記号Tは、本発明の方法によって処理された/再生された/脱硫されたゴムに使用される。表1に述べられたU−SBRは、例で原料として使用されたトラックタイヤトレッドから処理されなかったクラムラバーを表す。
【表1】
【0102】
本例では、選択された潤滑剤は、約5wt.%の量の原料と混合された植物油である(すなわち、100lbsのクラムラバーが処理された場合は、5lbsの油を加えて合計105lbsになる)。油およびクラムラバーを、MARION MIXERS INC.の低速度ミキサModel SPC−3696(商標)を使用して、約4分間均一に混合する。
【0103】
一旦油とクラムラバーが混合されると、混合投入は、SAS内に落とされ、次いで高速ミキサに送り込まれる。SASの投入量は、22lbs〜200lbsと異なってよい。当然のことながら、SASの投入量は、サーモキネティックミキサの容量に依存する。たとえば、本例において使用されたサーモキネティックミキサは、40Lの容量を有し、可変周波数電気速度制御を含む。
【0104】
第1のミキサは、K−ミキサの上に配置されたSAS上に配置される。U−SBRは、SASを通って重力により落下し、次いでウォーム駆動(スクリュー駆動とも呼ばれる)によりK−ミキサに運ばれる。一旦処理されると、対応する処理された材料(T−SBR)は、K−ミキサから出て冷却を仕上げるためにタンブラードラムの中に進む。
【0105】
図2に示されたように、K−ミキサ内の材料は、特定の温度分布に従う。温度は、室温(すなわち、本例では約20℃の温度)で始まり、約22秒以内におよそ315℃に上昇し、200℃まで冷却される前に0.25〜3秒間一定に維持される。示されたように、K−ミキサにおいてこれらの各温度相の時間は、非常に短い。
【0106】
図2に示されたように、K−ミキサは、好ましくは400rpm〜1800rpmで変化するように制御された、その回転羽根の速度変化により、温度の迅速な上昇を可能にする。軸および羽根の速度は、約10秒間以内に400rpmから約1800rpmに増加する。次いで、速度は、次の約10秒間一定に維持される。最後に、速度は、約5秒間以内に400rpmに落ち、再生されたクラムがK−ミキサから出るまで一定に維持される。
【0107】
さらに
図2に示されたように、温度は、軸の回転が400rpmに落ちても、上昇し続ける。次いで、温度は、約200℃に温度が下がる前に、約0.25〜3秒間一定に維持される。温度の低下は、本例では約20秒間続く。
【0108】
全ステップは、約60秒未満、好ましくは45秒未満行われ、このことは、より低いエネルギー消費で、再生されたクラムラバーを大量生産するという点で特に興味深い。
【0109】
K−ミキサおよびその内容物は、軸の回転速度を落とすことによって、さらに、たとえば噴霧器を使用することにより、K−ミキサのチャンバ内の異なる位置で、霧の形で水を注入することによって、冷却される。水は、油、硫黄および材料から出る他の不純物を運び、真空ポンプを通ってK−ミキサから出る蒸気に即座に変換される。K−ミキサ内で行われるゴムの脱硫または脱硫黄の証拠として、K−ミキサから出るこれらの蒸気は、洗浄器の使用で除去できる、強い硫黄臭を有する。
【0110】
またK−ミキサは、チャンバを包囲する冷却ジャケットを備え、その中で冷えた冷却剤がチャンバを冷却するために循環され、必要とされる温度に下げて材料を処理することができる。冷却ジャケットおよび噴霧器は、チャンバを冷却するために、両方を合同で使用することができる。
【0111】
処理されたSBRは、K−ミキサから出てドラムタンブラの中に入り、その中で約10〜45秒でおよそ140℃から30℃までさらに冷却される。この最後の冷却段階により、材料を必要に応じて拡大できる。さらに、ドラムタンブラは、より小さいクラムラバーは不純物と考えてもよいので、より小さいクラムラバー(たとえば40メッシュ以下)を除去するための篩として使用されてもよい。
【0112】
次に、クラムラバーは、梱包する前に室温(約20℃)までさらに冷却されてもよい。
【0113】
リサイクルされたSRBの機械化学特性および本発明の再生方法の効果を論じるために、いくつかの特徴が示されている。2つのSBRの粉末が、受け取られ試験された。未処理のクラムSBRはここではU−SBRとも呼ばれ、再生されたクラムラバーはT−SBRとも呼ばれる。
【0114】
異なる開口、10、14、20、30、40、50、60、70、80、および90から(皿の中で最小の粉末)メッシュサイズを引いた9組の篩で粒度分布を測定した。材料の約180gを、Ro−Tap(登録商標)自動篩振とう機内で10分間篩にかけた。
【0115】
処理ガスとして純窒素を使用して、Ultrapyc(商標)1200eガス比重瓶で固相密度を測定した。試験は、室温(23℃)で10cm
3のチャンバ内で行われた。
【0116】
ASTM−D297(ゴム製品化学分析の標準試験方法、http://www.astm.org/Standards/D297.htm)に従って、アセトン抽出物を測定した。ロータリーエバポレータを使用してアセトンを除去した後、残留物を制御されたオーブン内に85℃で一定重量に(一晩)乾燥した。アセトン抽出物は式(1)のように計算された。
【数1】
上式で、a%はアセトン抽出物(%)、Rは残留物の重量(g)およびMは試料の重量(g)である。
【0117】
ASTM D1278(http://www.astm.org/Standards/D1278.htm)に従って、A&D MF − 50(登録商標)水分収支モデルで揮発性成分を測定した。以下の2つの試験が実行された。すなわち、水分(水)および他の軽い揮発性成分を決定できる100℃の揮発性成分、および油分が決定できる160℃の揮発性成分である。揮発性成分は式(2)によって得られた。
【数2】
上式で、V%は揮発性成分(%)、Mは試料の最初の重量(g)、Rは試料の最後の重量(g)である。
【0118】
あらゆる架橋ゴムの再生度(または脱硫度)は、通常ポリマーと溶媒との相互作用によって決定される。構造の中に浸透する溶媒量は、溶媒の機能(ポリマー親和性および架橋密度に関する利用可能な自由空間の量)である。より多くの自由空間により、架橋密度における低減に直接関連した、より多くの溶媒浸透(または膨張)が可能になる。基本原理は、ASTM D6814(架橋密度に基づいたクラムラバーの脱硫百分率を決定するための標準試験方法、http://www.astm.org/Standards/D6814.htmで利用可能)に関連した処理の前後の架橋密度を決定することである。このプロトコルを尊重したが、クラムラバーと作用することによって、課せられた条件に対処するために修正された。
【0119】
再生度(RD)は、対照試料(未処理)架橋密度に対する試料(処理された)架橋密度変化として定義される。
【数3】
上式で、処理された試料(V
s)および未処理の制御試料(V
r)の架橋密度は、当技術分野で公知のフローリー・レーナーの式を使用して得られる。
【0120】
ASTM D6814方法はゴムブロックまたはゴムパッドのために開発されたので、小さいクラム(粉末)に容易に適用できない。これらの不都合を克服するために、手順にいくつかの修正が行われなければならない。(A. Macsiniuc、A. Rochette、D. Rodrigueによる「Understanding the regeneration of EPDM crumb rubber from used tires」Progress in Rubber Plastics & Recycling Technology、26、2、51〜81、2010)。
【0121】
A)抽出および第1の乾燥ステップ後、試料の約2gを計量瓶内に移動する。量は、瓶の容積の4分の3未満を満たすように調節することができる。次に、瓶をトルエンで完全に満たす。24時間毎にトルエンを交換する。合計72時間後、過剰トルエンを濾過により除去し、膨張した試料を瓶の中に保持して迅速に計量し、オーブン内で85℃で24時間乾燥させる。最後に、乾燥した試料を計量する。決定された時間間隔で瓶の計量を繰り返すことにより、平衡状態で保持されたトルエンの質量(m
s)および試料の質量(m
r)を決定できた。粉末の密度を決定するために、ガス比重瓶を使用した。
【0122】
B)各材料に対して、3つのレプリカを分析する。再生度は、各SBRの粉末に対して平均架橋密度を使用して計算される。標準偏差は、以下の式を通して決定される(D.A. Skoog、D.M. West、F.J.Hooler、Chimie Analytique、De Boeck、35ページ(2002))。
【数4】
上式で、SD
v-sampleは、試料の架橋密度(V
sample)に対して得た標準偏差であり、SD
v-controlは対照試料の架橋密度(V
control)対して得た標準偏差である。
【0123】
未処理のクラムラバー、U−SBRは、対照試料として使用された。
【0124】
熱重量分析(TGA)または示差熱重量分析(DTGA)は、ゴムの熱安定性についてのいくつかの情報を提供する。レプリカから得たTGAとDTGA曲線の比較は、材料の均質性についての情報も提供できる。それらの結果は、可能な構成の修正についての情報を与える。TGAのデータは、空気流量25ml/分、昇温速度5℃/分で、プラチナ皿を使用して50〜650℃でTA Instruments model Q5000(商標)に集められた。
【0125】
灰分は、TGA分析により間接的に提供される。値は、以下のように、100%の試料から焼成後の最終塊の損失%を引いた差から得られる。
【数5】
【0126】
TGA分析はASTM D297によって規定された値より100℃高い温度で行われ、TGA分析はより小さい試料(約13mg)を使用するので、代表性が低い可能性がある。結果の精度を確実にするために、灰分は、ASTM D297の方法も使用して決定された。この場合、より大きい試料を使用し(1〜1.4g初期塊)、焼成はオーブン内で550℃で90分間実行された。
【0127】
粒子形態論は、光学実体顕微鏡(Olympus(商標)SZ−PT)および走査型電子顕微鏡(JEOL JSM 840A(商標))で決定される。粉末と成形された試料には異なる倍率を使用した。
【0128】
比表面積は、TriStar 3000(商標)装置でBET方法を使用して、窒素吸着等温線によって決定される。約0.28gの試料を使用した。
【表2】
【0129】
表2は、2%重量の硫黄(M1)と混合され、さらに0.57%のCBS反応促進剤(M2)を追加した従来処理の形で、100%処理された材料の、典型的な合成されていない材料の機械的特性の例を表す。M1と特にM2の両方の高い引張特性により、適切なレベルの硫黄および反応促進剤で100%再生された材料を使用して、新製品の開発が可能になる。
【0130】
表2において
(1)「反応促進剤」 CBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルホンアミド)は、遅延作用の反応促進剤である。従来処理(反応促進剤0.57%、硫黄2%)を尊重した。
(2)処理特徴は、再処理化合物内のREGEN−T01の25%加重を使用して得た。結果は、化合物内のREGEN−T01の加重の百分率が異なると変化する。
(3)「機械的特性」 元の標準は、脱硫シートのために開発されたが、この仕様は、再生されたクラムラバーを取り扱う現実に必要な調整を特徴付けた。材料の機械的特性は、100%のREGEN−T01に対して得た。部分厚さは、試験試料が鋳型内のクラムの微小変位によって引き起こされる空間がないことを確実にするために、3mmであった。試験スラブ部分は、160℃で8分間処理された。部分圧は、研究者がその部分を圧迫し処理しなければならないので、2,000psiであった。
(4)再生度 ASTM D6814は、クラムラバーの取り扱いに関係する問題を説明するために、修正される。
【0131】
クラムのサイズ/径の分布 図3にも報告された上の表1のデータは、処理されたT−SBRが、未処理SBR(加重平均約40メッシュ)より大きい篩径(加重平均約14メッシュ)を有することを示す。
【0132】
比表面積 下の表3のデータは、処理されたSBRが、未処理SBRより単位重量当たり利用可能な面積が、およそ5倍より大きい面積を有することができることを立証する。立体斜視図から、処理は、SBRクラムとその中に含まれるマトリクスとの間の可能な接触領域が、実質的に増加する。
【表3】
【0133】
「脱硫」 脱硫に関して、修正されたASTM D6814(ここでは再生度と呼ばれる)の結果は、下の表4に示されており、
図6に転記されている。実行された分析に基づいて、両方のSBRは、処理されたSBRが未処理のSBRより低い値を有する、著しく異なる架橋密度を有する。この場合、40メッシュの処理された材料が除去されると(この試験では、処理後に40メッシュが平均で、わずかに再加硫された)、その処理により、61%の再生度(RD%)が生成された。メッシュサイズと再生度との間に明白な関係が存在する(R
2=0.90)。概念的に、処理されたクラムの径が大きいほど、再生度は大きい。
【表4】
【0134】
得た結果に基づいて、処理されたSBRクラムと未処理のSBRクラムとの間に差が観測された。一般的には、再生されたSBRは、密度、比表面積、アセトン抽出物および篩径がより高い。一方、再生されたSBRは、脱硫を示す架橋密度がより低く(約61%少ない架橋)、径はより大きい(メッシュサイズは、処理前は40、処理後は14に集中していた)。
【0135】
本発明のプロセスに従って得た、再生されたまたは処理されたクラムラバーは、異なる種類の用途のためのバージンゴムとして、現在使用することができる。
【0136】
たとえば、再生されたゴムは、新しい架橋を形成するその能力および表面積の増加(より大きい結合表面)に起因して、別の化合物と混合することができる。
【0137】
処理されたクラムラバーの第2の化合物との互換性をさらに増加させる、「グリーン」添加物も加えてよい。当技術分野で公知のように、この添加物は、再生されたゴムが第2の化合物を引き付けることをさらに促進するはずである。
【実施例2】
【0138】
再生されたクラムラバーを含む加硫プロセス
下の表5では、ゴムの加硫の例(バージンゴムおよび再生されたゴム)が詳述される。たとえば、プロセスのために、バンバリーミキサを使用することができる。
【表5】
【0139】
表5において詳述された混合の順番は、再生されたクラムラバーに対して配慮するべき、再生されたゴムの追加に比べて、より良好な結果を提供する(ステップ3参照)。ステップ3では、再生されたクラムの所要重量は、所要加重を得るために、総重量の百分率として予混合した硫黄に追加される。たとえば、85lbsの混合化合物(ポリマー、カーボンブラックおよび添加剤)に対して、15lbsの発明者が再生したクラム(予混合した硫黄を含む)を加え、15重量%加重を得るために混合する(合計重量は100lbsである)。
【0140】
混合プロトコルを変更すると、様々な混合物特性を顕著に生成することができ、また結果を向上させる機会も表す。
【0141】
新しい処理されたクラムラバーおよび硫黄混合剤を含む化合物は、いつでも部品に加硫される状態にある。たとえば、2mmの試験プラークは、774psiで30分間145℃で材料を圧迫することによって作成できる。業界で作成される部品は、鋳造プロセス中に、様々な圧力、時間、部品形状および温度を使用する。
【0142】
再生されたクラムラバーをバージンゴムポリマーに加えるか、または加えないことに従って、加硫プロセスの2つの比較例が、下の表6に与えられている。
【0143】
下の表6に示されたように、15%の再生されたゴムを加えることにより、使用されるバージンゴムポリマーをベースとする化合物の量を削減でき、その結果、加硫添加剤の量がベースとなる化合物に含まれる。
【表6】
【0144】
下の表7は、15重量%加重で、通常処理されたタイヤ化合物内に混合された材料に対する、化合物材料の機械的特性を示す。これらの結果は、処理された材料(15重量%)で充填された化合物が、硬さ、係数(100%、200%、300%)、引張強度、破断点および裂け目の延びによって与えられる、より良好な、または同様の機械的性能を有することを実証する。再生されたクラム内の硫黄のレベルと化合物内に存在する硫黄を調節すると、機械的特性が著しく変わる。
【表7】
【0145】
本発明は、その好ましい実施形態によって上記に説明されたが、特許請求の範囲は、例において説明されたこれらの好ましい実施形態に限定されるべきではなく、全体として説明と一致する最大限の解釈が与えられるべきであることに、注目されたい。