特許第5892775号(P5892775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧 ▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5892775-チャイルドシートアンカー装置 図000002
  • 特許5892775-チャイルドシートアンカー装置 図000003
  • 特許5892775-チャイルドシートアンカー装置 図000004
  • 特許5892775-チャイルドシートアンカー装置 図000005
  • 特許5892775-チャイルドシートアンカー装置 図000006
  • 特許5892775-チャイルドシートアンカー装置 図000007
  • 特許5892775-チャイルドシートアンカー装置 図000008
  • 特許5892775-チャイルドシートアンカー装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5892775
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】チャイルドシートアンカー装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   B60N2/28
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-264980(P2011-264980)
(22)【出願日】2011年12月2日
(65)【公開番号】特開2013-116678(P2013-116678A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】小林 英樹
(72)【発明者】
【氏名】東 憲朗
【審査官】 小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−168616(JP,A)
【文献】 特開2009−166605(JP,A)
【文献】 特開2002−046517(JP,A)
【文献】 特表2009−521353(JP,A)
【文献】 特開2011−162059(JP,A)
【文献】 国際公開第03/070510(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートの後部に配置されるチャイルドシートアンカー装置において、
前記車両用シートに据え付けられるチャイルドシートのコネクタが係合する一対の係合部材がそれぞれ取り付けられ、左右方向に離間して配置された一対の第1ブラケットと、
前記一対の第1ブラケット同士を左右方向に連結する連結部材と、
前記一対の第1ブラケットの間において前記連結部材に取り付けられ、前記連結部材の下方に向けて延びる第2ブラケットと、を備え、
前記一対の第1ブラケットの後板部が車体の床面に対して膨出した立壁部の前面に締結して固定され、前記第2ブラケットのボトム部が前記立壁部の前側において前記床面に締結して固定されており、
前記第1ブラケットの後板部が前記車体に固定される位置は、側面視にて、前記第2ブラケットのボトム部が前記車体に固定される位置と異なり、
前記第1ブラケットの後板部から前記連結部材の接合位置に向かう方向は、側面視にて、前記第2ブラケットのボトム部から前記連結部材の接合位置に向かう方向と異なることを特徴とするチャイルドシートアンカー装置。
【請求項2】
前記第2ブラケットが前記床面に取り付けられる位置は前記連結部材よりも車体前方であることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシートアンカー装置。
【請求項3】
前記第2ブラケットが前記床面に面接触して前記床面に締結されることを特徴とする請求項1又は2に記載のチャイルドシートアンカー装置。
【請求項4】
前記第2ブラケットが、
前記床面に載せられて前記床面に締結されるボトム部と、
前記ボトム部の左右両側に設けられ、前記ボトム部に対して立てられた状態に設けられた一対の側壁部と、
前記側壁部の上縁から側方に延出したフランジ部と、を有し、
前記連結部材が前記側壁部の上縁及び前記フランジ部の上に載せられた状態で、前記連結部材が前記側壁部の上縁及び前記フランジ部に溶接されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のチャイルドシートアンカー装置。
【請求項5】
前記側壁部の上縁が前記連結部材の外周面に沿って凹んだ状態に設けられ、前記連結部材がその凹みに嵌め合っていることを特徴とする請求項4に記載のチャイルドシートアンカー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャイルドシートアンカー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チャイルドシートを自動車の座席に固定するためのチャイルドシートアンカー装置が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載のチャイルドシートアンカー装置は、可倒式リヤシートの背もたれ下部に設けられたものである。このチャイルドシートアンカー装置は、パイプ(16)、4つのストライカー(34)及び3つのブラケット(18)を備える。パイプ(16)が車幅方向に延在し、ブラケット(18)及びストライカー(34)がパイプ(16)に固着されている。どのブラケット(18)も、水平な床面(20)に固定されている。チャイルドシートに設けられたコネクタをストライカー(34)に係合することで、チャイルドシートを自動車の座席に据え付けることができる。
【0004】
特許文献2に記載のチャイルドシートアンカー装置は、連結部材(32)、左右一対のブラケット(33)及びストライカー(34)を備える。連結部材(32)が車幅方向に延在し、ブラケット(33)が連結部材(32)の両端部にそれぞれ結合され、ストライカー(34)がブラケット(33)にそれぞれ溶接されている。どちらのブラケット(33)も、後ろ上がりに傾斜した床面(12a)に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−268668号公報
【特許文献2】特開2009−280146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、チャイルドシートアンカー装置が複雑な構造をとることなく、そのチャイルドシートアンカー装置が強固に車体に取り付けられることが求められている。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、シンプルな構造であり、強固に車体に取り付けられるチャイルドシートアンカー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための請求項1に係る発明は、車両用シートの後部に配置されるチャイルドシートアンカー装置において、前記車両用シートに据え付けられるチャイルドシートのコネクタが係合する一対の係合部材がそれぞれ取り付けられ、左右方向に離間して配置された一対の第1ブラケットと、前記一対の第1ブラケット同士を左右方向に連結する連結部材と、前記一対の第1ブラケットの間において前記連結部材に取り付けられ、前記連結部材の下方に向けて延びる第2ブラケットと、を備え、前記一対の第1ブラケットの後板部が車体の床面に対して膨出した立壁部の前面に締結して固定され、前記第2ブラケットのボトム部が前記立壁部の前側において前記床面に締結して固定されており、前記第1ブラケットの後板部が前記車体に固定される位置は、側面視にて、前記第2ブラケットのボトム部が前記車体に固定される位置と異なり、前記第1ブラケットの後板部から前記連結部材の接合位置に向かう方向は、側面視にて、前記第2ブラケットのボトム部から前記連結部材の接合位置に向かう方向と異なることを特徴とするチャイルドシートアンカー装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記第2ブラケットが前記床面に取り付けられる位置は前記連結部材よりも車体前方であることを特徴とする請求項1に記載のチャイルドシートアンカー装置である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記第2ブラケットが前記床面に面接触して前記床面に締結されることを特徴とする請求項1又は2に記載のチャイルドシートアンカー装置である。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記第2ブラケットが、前記床面に載せられて前記床面に締結されるボトム部と、前記ボトム部の左右両側に設けられ、前記ボトム部に対して立てられた状態に設けられた一対の側壁部と、前記側壁部の上縁から側方に延出したフランジ部と、を有し、前記連結部材が前記側壁部の上縁及び前記フランジ部の上に載せられた状態で、前記連結部材が前記側壁部の上縁及び前記フランジ部に溶接されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のチャイルドシートアンカー装置である。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記側壁部の上縁が前記連結部材の外周面に沿って凹んだ状態に設けられ、前記連結部材がその凹みに嵌め合っていることを特徴とする請求項4に記載のチャイルドシートアンカー装置である
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、荷重・モーメントに対して、チャイルドシートアンカー装置の取付強度が高い。つまり、係合部材が前に引っ張られるような荷重が作用すると、第2ブラケットが床面に取り付けられた位置を支点としたモーメントが作用するが、第1ブラケットが立壁部の前面に取り付けられているので、そのようなモーメントに対しても耐えられる。また、チャイルドシートアンカー装置の構造がシンプルである。
【0013】
請求項2,3に係る発明によれば、第2ブラケットが前に倒れにくく、第2ブラケットと床面との取付強度の向上を図ることができる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、第2ブラケットの剛性が向上するとともに、第2ブラケットと連結部材との接合強度が向上する。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、第2ブラケットと連結部材の接合強度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係るチャイルドシートアンカー装置の斜視図である。
図2】同チャイルドシートアンカー装置の正面図である。
図3】同チャイルドシートアンカー装置の平面図である。
図4】同チャイルドシートアンカー装置の底面図である。
図5】同チャイルドシートアンカー装置の側面図である。
図6図2に図示のVI−VIに沿った面を矢印方向に見て示した断面図である。
図7図2に図示のVII−VIIに沿った面を矢印方向に見て示した断面図である。
図8】同チャイルドシートアンカー装置によってチャイルドシートを固定した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
図1は、チャイルドシートアンカー装置1の斜視図である。図2は、チャイルドシートアンカー装置1の正面図である。図3は、チャイルドシートアンカー装置1の平面図である。図4は、チャイルドシートアンカー装置1の底面図である。図5は、チャイルドシートアンカー装置1の右側面図である。図6は、図2に図示のVI−VIに沿った面を矢印方向に見て示した断面図である。図7は、図2に図示のVII−VIIに沿った面を矢印方向に見て示した断面図である。なお、以下の説明において「前・後・左・右・上・下」は、車体の「前・後・左・右・上・下」をいう。
【0019】
チャイルドシートアンカー装置1は、左右方向に離間して配置された一対の第1ブラケット30,30と、第1ブラケット30,30にそれぞれ取り付けられた係合部材40,40と、第1ブラケット30,30同士を左右方向に連結する連結部材20と、第1ブラケット30,30の間において連結部材20に連結され、連結部材20から下方に向けて延びる第2ブラケット10と、を備える。
【0020】
第2ブラケット10は、ボトム部11、通し孔12、側壁部13,13、嵌合凹部14,14及びフランジ部15,15を有する。
【0021】
ボトム部11は、前後左右に延びた板状に設けられている。チャイルドシートアンカー装置1が車体に取り付けられる際には、ボトム部11が下に向けられる。ボトム部11には通し孔12が形成され、その通し孔12がボトム部11を上下に貫通している。通し孔12は、前後の幅が通し孔12の左右の幅よりも長い穴である。
【0022】
側壁部13,13はボトム部11の左右両端にそれぞれ連結され、側壁部13,13とボトム部11が一体形成されている。側壁部13,13はボトム部11の左右のそれぞれの端から上方へ延びており、それら側壁部13,13はボトム部11に対して立てられた状態に設けられ、側壁部13,13が互いに対向する。具体的には、側壁部13,13は、ボトム部11の左右のそれぞれの端から後ろ斜め上へ延びている。正面視で、側壁部13,13とボトム部11がU字を形作る。チャイルドシートアンカー装置1が車体に取り付けられる際には、側壁部13,13が左右に向けられる。
【0023】
側壁部13,13の上縁には嵌合凹部14,14がそれぞれ形成されている。嵌合凹部14,14は、側面視で凹んでいる。
【0024】
フランジ部15,15は側壁部13,13にそれぞれ連結され、フランジ部15,15がそれぞれ側壁部13,13と一体に形成されている。フランジ部15,15は、側壁部13,13の前縁、上縁及び後縁に沿って設けられているとともに、側壁部13,13の前縁、上縁及び後縁から側方に延出している。また、フランジ部15,15は、側面視で、嵌合凹部14,14に沿うように湾曲している。このようなフランジ部15,15が設けられているので、第2ブラケット10の剛性が高い。
【0025】
連結部材20は、円筒状のパイプ材であって、左右方向に延在している。連結部材20は、第2ブラケット10と第1ブラケット30,30を左右に並べた状態で、これらのブラケット10,30,30を連結する棒状部材である。第2ブラケット10と第1ブラケット30,30が間隔をおいて左右方向に並列されており、第2ブラケット10が第1ブラケット30,30の間に配置されている。
【0026】
連結部材20は、第2ブラケット10に接合されている。具体的には、連結部材20の中間部が側壁部13,13の上から嵌合凹部14,14に嵌め合っているとともに、連結部材20が側壁部13,13の上縁及びフランジ部15,15に載せられた状態で、連結部材20の中間部と側壁部13,13の上縁が溶接により接合されている。更に、連結部材20の中間部とフランジ部15,15の上端が溶接により接合されている。符号19は、第2ブラケット10と連結部材20との溶接部であり、連結部材20は第2ブラケット10の左右外側及び連結部材20の下側から第2ブラケット10に溶接されている。連結部材20が側壁部13,13のみならずフランジ部15,15にも接合されているから、連結部材20と第2ブラケット10の接合強度が高い。
【0027】
嵌合凹部14,14は、連結部材20の外周面に沿って円弧状に凹んでいる。そのため、第2ブラケット10を複雑な形状・構造とすることなく、連結部材20と第2ブラケット10の接合強度が高い。更に、連結部材20を第2ブラケット10に溶接する際に、連結部材20と第2ブラケット10との位置決めを行いやすい。
【0028】
連結部材20は、第2ブラケット10のボトム部11及び通し孔12よりも後方に位置している(図3図7参照)。連結部材20は、側壁部13,13の間を架け渡すように設けられているとともに、右の側壁部13から右方へ延び出ており、左の側壁部13から左方へ延び出ている。
【0029】
連結部材20には、第1ブラケット30,30が接合されている。具体的には、第1ブラケット30,30は、連結部材20の左右両端において連結部材20の下面に接合されている。連結部材20は、第2ブラケット10と左の第1ブラケット30との間に架け渡されているとともに、第2ブラケット10と右の第1ブラケット30との間に架け渡されている。
【0030】
第2ブラケット10も第1ブラケット30,30も連結部材20の下面に接合され、これらブラケット10,30,30が連結部材20の下に位置しているから、チャイルドシートアンカー装置1の上下方向の長さを小さくすることができ、チャイルドシートアンカー装置1がコンパクトである。
【0031】
ストライカーである係合部材40は、第1ブラケット30を用いた取付構造によって連結部材20に取り付けられている。以下、係合部材40を連結部材20に取り付ける取付構造について具体的に説明する。
【0032】
第1ブラケット30は、台座部(天板部)31、第1凸部32、第2凸部33、側板部34,34、後板部35及び連結孔36を有する。
台座部31は、前後左右に延びた板状に設けられている。チャイルドシートアンカー装置1が車体に取り付けられる際には、台座部31が上に向けられる。台座部31は、第2ブラケット10のボトム部11に対して前上がりに傾斜している。台座部31が前部31a及びそれよりも後ろの後部31bからなり、前部31aが後部31bに対して上に折り曲げられ、前部31aが後部31bよりも傾斜している(図6参照)。前部31aと後部31bの境界部分31cが曲げ部である。台座部31の前端の左右方向の中央部には、矩形状の切欠き31dが形成されており、台座部31の前端が矩形状切欠き31dによって二股に分かれている。
【0033】
側板部34,34が台座部31の左右両端にそれぞれ連結され、側板部34,34と台座部31が一体形成されている。側板部34,34が台座部31の左右のそれぞれの端から下方へ延び、側板部34,34が互いに対向する。正面視で、側板部34,34と台座部31が逆U字を形作る。チャイルドシートアンカー装置1が車体に取り付けられる際には、側板部34,34が左右に向けられる。
【0034】
後板部35が台座部31の後端及び側板部34,34の後端に連結され、後板部35と台座部31と側板部34,34が一体形成されている。後板部35は、台座部31の後端から下方に延びている。更に、後板部35は、側板部34,34の後端間に架け渡されるように左右に延びている。チャイルドシートアンカー装置1が車体に取り付けられる際には、後板部35が後ろに向けられる。
後板部35には連結孔36が形成され、その連結孔36が後板部35を前後に貫通している。
【0035】
第1ブラケット30の上面つまり台座部31の上面には、第1凸部32及び第2凸部33が凸設されている。具体的には、第1凸部32及び第2凸部33が台座部31の後部31bの上面に形成されており、第1凸部32が第2凸部33との間に間隔をおいて第2凸部33の前に位置している。
【0036】
第1凸部32は、プレス加工等によって形成されたビードである。そのため、第1凸部32の裏側が凹んでおり、台座部31の裏面(下面)に凹み32aが形成されている(図6参照)。第1凸部32は、連結部材20の延在方向(長手方向)に延在している。第1凸部32の左右方向(延在方向)の長さは、第1ブラケット30の上面(台座部31の上面)の左右方向の幅よりも短い。第1凸部32の左右方向の位置は、第1ブラケット30の上面の(台座部31の上面)の左縁と右縁の間である。
【0037】
第2凸部33は、連結部材20の延在方向(長手方向)に延在している。第2凸部33は、第1凸部32の後方において台座部31に段差をプレス加工等によって設けることで形成されたものであり、第2凸部33とそれよりも前側の部分との間には段差がある。そのため、第2凸部33の裏側が窪んでおり、台座部31の裏面に窪み33aが形成されている(図6等参照)。
【0038】
連結部材20は、第1ブラケット30の上面つまり台座部31の上面に載せられた状態で第1ブラケット30に接合されている。具体的には、連結部材20が第1凸部32と第2凸部33の間に配置され、その連結部材20が第1凸部32の後ろから第1凸部32に当接するとともに第2凸部33の前から第2凸部33に当接し、連結部材20が第1凸部32及び第2凸部33に溶接されている。連結部材20が第1凸部32に当接する当接方向は、連結部材20の長手方向に直交するとともに、台座部31の上面に沿う。連結部材20が第2凸部33に当接する当接方向も、同様である。符号38は連結部材20と第1凸部32の溶接部であり、符号39は連結部材20と第2凸部33の溶接部である。
【0039】
連結部材20が前の第1凸部32と後ろの第2凸部33に当接して、連結部材20がこれら凸部32,33に挟まれているから、第1ブラケット30と連結部材20が安定して接合されている。更に、連結部材20を第1ブラケット30に接合する際の位置決め精度が第1凸部32及び第2凸部33によって向上する。更に、第1凸部32と第2凸部33が左右方向に延在しているから、連結部材20をブラケット30に接合する際に連結部材20が傾くのを防止することができる。
【0040】
台座部31の上面のうち第1凸部33と第2凸部33の間の部分が凹部であるが、その凹部は連結部材20の外周面にほぼ沿うように形成されている。そのため、第1ブラケット30と連結部材20が安定して接合されている。
【0041】
係合部材40は、直線状の棒体をU字状(コ字状)に折り曲げることでU字状(コ字状)に形作られたストライカーである。つまり、係合部材40は、前後に延びているとともに左右に並列された一対の脚部41,41と、脚部41,41の前端に連結されて、脚部41,41の前端から折り曲げられて左右に延在した連結部42と、を有する。脚部41,41の前部は側面視で上に折り曲げられており(図6参照)、その折り曲げ角(内角)は鈍角である。
【0042】
係合部材40は、第1ブラケット30に接合されている。具体的には、脚部41,41が台座部31の下側において側板部34,34の間に配置され、台座部31と側板部34,34の間の入隅において台座部31の下面及び側板部34,34に沿って配置され、更に脚部41,41が側板部34,34の内面及び台座部31の下面に当接して、脚部41,41が側板部34,34にそれぞれ溶接されている。符号49は、脚部41と側板部34との溶接部である。
【0043】
側面視で(図5図7参照)、係合部材40の一部が第1ブラケット30から前方に延出している。具体的には、脚部41,41が台座部31の前端及び側板部34,34の前端から前斜め上に延出し、連結部42が台座部31の前端及び側板部34,34の前端の前方において脚部41,41の間に連結されている。平面視又は底面視で、脚部41,41が台座部31の切欠き31dの左側・右側において側板部34,34及び台座部31に支えられている。台座部31に切欠き31dが形成されているから、係合部材40の脚部41,41や連結部42及び第1ブラケット30の台座部31によって囲われた開口領域を広くとることができる。そのような開口領域が広くても、係合部材40の脚部41,41が台座部31の前端から延出した長さを短くするこができ、係合部材40の脚部41,41が台座部31によって補強することができる。
【0044】
台座部31の曲げ部31cが脚部41,41の折り曲げ部に合わせられ、脚部41,41が台座部31の下面に沿って設けられている。そのため、係合部材40を第1ブラケット30に接合する際に、第1ブラケット30に対する係合部材40の位置決めをすることができる。
【0045】
係合部材40の脚部41,41は第1凸部32の裏側の凹み32aの左右両側にそれぞれ配置され、第1凸部32の裏側の凹み32aが脚部41,41の間にある(図4参照)。台座部31は第1凸部32によって強化されており、その第1凸部32が脚部41,41の間に位置しているから、係合部材40の取付強度が高い。
【0046】
脚部41,41の基端(後端)の前後方向の位置は第1凸部32の前後方向の位置に揃っているが、脚部41,41の基端は第2凸部33の裏側の窪み33aよりも前に避けている(図6参照)。そのため、第2凸部33の裏側の窪み33aが係合部材40の取付に影響を与えない。側面視又は平面視で、係合部材40の連結部42が通し孔12よりも後ろに位置している(図3図7参照)。
【0047】
側面視で、係合部材40が連結部材20よりも前に位置し、後板部35が連結部材20よりも後ろに位置し(図6参照)、係合部材40と後板部35の間に連結部材20がある。
【0048】
以下、チャイルドシートアンカー装置1が車体に取り付けられた状態について説明する。第2ブラケット10が車体に取り付けられる位置は、第1ブラケット30が車体に取り付けられる位置と異なる。また、第2ブラケット10が下向きに車体に取り付けられ、第1ブラケット30が後ろ向きに車体に取り付けられ、第2ブラケット10が車体に取り付けられる向きは第1ブラケット30が車体に取り付けられる向きと異なる。
【0049】
具体的には、第2ブラケット10のボトム部11が下に向けられて、そのボトム部11が車体の床面91に載せられているとともにその床面91に面接触し、締結部材92がボトム部11の通し孔12に通されて、ボトム部11が締結部材92によって床面91に締結されている(図5図7参照)。そのため、第2ブラケット10及びその側壁部13,13が床面91に対して立てられた状態で第2ブラケット10が床面91に締結されている。
【0050】
一方、第1ブラケット30の後板部35が後ろに向けられて、その後板部35が立壁部93の前面93a(以下、立壁面93aという。)に面接触し、締結部材94が後板部35の連結孔36に通されて、後板部35が締結部材94によって立壁面93aに締結されている。そのため、第1ブラケット30及びその台座部31や側板部34,34が立壁面93aから前方に突き出た状態で、第1ブラケット30が立壁面93aに締結されている。
【0051】
立壁部93は床面91に対して上へ膨出しており、立壁面93aは床面91に対して立てられている。立壁面93aが上下に延び、床面91が立壁面93aの下端から前方に延びている。立壁面93aが前方に向き、床面91が上方に向いている。そのため、第2ブラケット10及びそのボトム部11が締結部材92によって下向きに床面91に締結され、第1ブラケット30及びその後板部35が締結部材94によって後ろ向きに立壁面93aに締結されている。また、第2ブラケット10が床面91に締結される位置は、第1ブラケット30が立壁面93aに締結される位置よりも前方且つ下方である。
【0052】
ボトム部11及び通し孔12が連結部材20よりも前に位置しており(図3参照)、第2ブラケット10が連結部材20よりも前において床面91に締結されている。また、通し孔12が係合部材40の連結部42よりも僅かに前に位置しているから(図3参照)、第2ブラケット10が係合部材40の連結部42よりも前において床面91に締結されている。
【0053】
締結部材92,94はボルト、ネジ又はリベット等である。
【0054】
図8に示すように、このチャイルドシートアンカー装置1は車両用シート80の後部の下に設けられる。車両用シート80は、床面91の上に設置されたシートクッション81と、シートクッション81の後部に連結された背もたれ82とを有する。シートクッション81の座面の後ろ寄りには、左右対のスリットが形成されており、係合部材40,40がスリットの下に配置される。
【0055】
チャイルドシート85を車両用シート80に据え付ける際には、チャイルドシート85の後部から後方に延出したコネクタ86をシートクッション81のスリットに通して、そのコネクタ86を係合部材40に係合させる。
【0056】
車両用シート80は後部席又は助手席である。車両用シート80が二人掛け又は三人掛けの後部席である場合、2つ又は3つのチャイルドシートアンカー装置1が左右に並べられてもよい。
【0057】
以上のような本発明の実施形態のチャイルドシートアンカー装置1は以下のような作用効果をもたらす。
【0058】
(1) 第2ブラケット10と第1ブラケット30は車体に取り付けられる位置及び向きが異なるから、チャイルドシートアンカー装置1の取付強度が高く、耐荷重性・耐モーメント性が高い。例えば、車両の前突時には、前方に向かう慣性力がチャイルドシート85に作用し、コネクタ86によって係合部材40が前斜め上に引っ張られる。チャイルドシートアンカー装置1は三個所(第2ブラケット10と床面91の締結部、2つの第1ブラケット30,30と立壁面93aの締結部)で支えられているから、係合部材40が前方に引っ張られても、その荷重に対して耐えられる。また、係合部材40が前方に引っ張られると、第2ブラケット10と床面91の締結部を支点としたモーメントが作用するが、そのようなモーメントに対しても、第1ブラケット30と立壁面93aの締結部によって耐えられる。
【0059】
(2) 第2ブラケット10が係合部材40の前端(連結部42)よりも前において締結部材92によって床面91に締結されているから、前突時のモーメントによっても第2ブラケット10が前に倒れない。従って、第2ブラケット10と床面91の取付強度の向上を図ることができる。
【0060】
(3) 第2ブラケット10が床面91に面接触している。従って、前突時のモーメントによっても第2ブラケット10が前に倒れない。
【0061】
(4) 第2ブラケット10が連結部材20よりも前において締結部材92によって床面91に締結されているから、前突時のモーメントによっても第2ブラケット10が前に倒れない。
【0062】
(5) 第1ブラケット30が連結部材20の下に配置されて、第1ブラケット30が連結部材20の下面に接合されているから、チャイルドシートアンカー装置1をコンパクトにすることができる。更に、第1ブラケット30及び係合部材40が床面91に近くなるから、前突時のモーメントが小さくなり、第2ブラケット10が前に倒れない。
【0063】
(6) 第2ブラケット10がフランジ部15によって補強され、第2ブラケット10と連結部材20の接合強度がフランジ部15によって向上する。
【0064】
(7) 連結部材20が第2ブラケット10の嵌合凹部14に嵌め合った状態で第2ブラケット10に接合されているから、第2ブラケット10と連結部材20の接合強度が高い。
【0065】
(8) チャイルドシートアンカー装置1の構成部材が第2ブラケット10、第1ブラケット30,30、連結部材20及び係合部材40,40であるから、チャイルドシートアンカー装置1はシンプルな構造である。
【0066】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0067】
上述の実施の形態では、第1ブラケット30及び係合部材40の数が2であったが、連結部材20に接合される第1ブラケット30及び係合部材40の数は1でもよいし、3以上でもよい。第1ブラケット30及び係合部材40の数は偶数であることが好ましい。
【0068】
上述の実施の形態では、第2ブラケット10の数が1であったが、連結部材20に接合される第2ブラケット10の数は2以上でもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 チャイルドシートアンカー装置
10 第2ブラケット
11 ボトム部
13 側壁部
14 嵌合凹部
15 フランジ部
20 連結部材
30 第1ブラケット
40 係合部材
80 車両用シート
85 チャイルドシート
86 コネクタ
91 床面
93 立壁部
93 立壁面93a
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8