(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
座部と、この座部を床面上で支持する基礎フレームと、前記座部の後部に配備されて使用者の背部を支持可能に設けられた背もたれ部と、前記背もたれ部に内蔵され且つ座部に着座した使用者に対してマッサージ動作を行うマッサージ部と、を有する椅子型マッサージ機において、
前記背もたれ部の下側が座部より下方に収容された収容位置と、背もたれ部の下側が上方に移動した突出位置との間で、前記背もたれ部の高さを上下方向に切り替え自在に調整する昇降手段が設けられており、
前記突出位置には、前記背もたれ部が上方に飛び出た位置である第1突出位置と、当該第1突出位置より前記背もたれ部がさらに後方にリクライニングした位置である第2突出位置とがあり、前記昇降手段は、前記背もたれ部を収容位置と第1突出位置との間で上下方向に移動させ、且つ前記背もたれ部を第1突出位置と第2突出位置との間で前後方向に移動させる構成とされているものであって、
前記昇降手段は、一端側が前記基礎フレームに対して左右軸回りに揺動自在に連結されると共に他端側が背もたれ部の下端部に連結された昇降リンク部材と、基端側が前記基礎フレームに連結されると共に先端側に設けられた移動子が前記昇降リンク部材の中途側に連結され、基端側に対して先端側の移動子を近接離反するように移動させることで前記昇降リンク部材を左右軸回りに揺動させるリンク駆動部と、を有しており、
前記昇降リンク部材は、前記基礎フレームに対し左右軸回りに揺動自在に連結する第1部材と、前記背もたれ部に対し左右軸回りに揺動自在に連結する連結する第2部材とを略L字状に組み合わせて形成されており、前記第2部材は、前記背もたれ部が収容位置に位置する際に、床面と略平行になるように設けられている
ことを特徴とする椅子型マッサージ機。
前記連動機構は、前記背もたれ部を移動させる昇降リンク部材の揺動量を、前記フットレスト部を移動させるフットレスト揺動リンク部材の揺動量に変化させて伝達する揺動量調整部材を備えていることを特徴とする請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の第1実施形態の椅子型マッサージ機1を図を基に説明する。
[第1実施形態]
図1〜
図8は、第1実施形態の椅子型マッサージ機1を示している。特に、
図1、
図2は椅子型マッサージ機1の外観の斜視図及び側面図を示している。
図3〜
図8は、内部構造を示した図とされている。なお、各図では説明の便宜上、構造の一部を省略して描いてある場合がある。
【0016】
また、以下の説明では、
図6〜
図8の左右方向を椅子型マッサージ機1を説明する際の前後方向と呼び、
図6〜
図8の上下方向を椅子型マッサージ機1を説明する際の上下方向と呼ぶ。
図6〜
図8の紙面貫通方向を椅子型マッサージ機1を説明する際の左右方向又は幅方向と呼ぶ。これらの方向は、椅子型マッサージ機1に座った使用者から見たものと一致する。
【0017】
まず、
図1(a)に示すように、この椅子型マッサージ機1は、座部2と、この座部2の後部に設けられた背もたれ部3とを有している。また、座部2の下側には、使用者の下肢をマッサージするフットレスト部4が収容されており、座部2の左右両側には座部2に着座した使用者が肘を載せる肘掛け部5が設けられている。
図1(a)から
図1(b)への遷移や
図2(a)から
図2(c)への遷移を見るに、上述した背もたれ部3は、この背もたれ部3の下側が座部2の下側に収容された収容位置から、収容位置の上方に設けられた第1突出位置(背もたれ部3が上方に飛び出た位置)に向かって上方に大きく移動し、次に、第1突出位置の後方に位置する第2突出位置(第1突出位置より背もたれ部3がさらに後方にリクライニングした位置)に向かって後方に大きく移動するようになっている。なお、背もたれ部3には、破線で図示するように、使用者の背部や腰部をマッサージするマッサージ部6が内蔵されている。
【0018】
また、フットレスト部4も、背もたれ部3の上方への進出(上昇)に伴って、座部2の下側(収容位置)から前方に向かって進出し、突出位置、(使用位置)へと移動するようになっている。フットレスト部4にも、図示は省略するが、使用者の下肢をマッサージするフットマッサージ部が内蔵されている。
次に、第1実施形態の椅子型マッサージ機1を構成する座部2、背もたれ部3、フットレスト部4、肘掛け部5について、詳細に説明する。
【0019】
座部2は、着座する使用者の臀部を下方から支持するに十分な広さを有する矩形状の部材であり、クッション性を備えた材料を用いて形成されている。
図3に示すように、座部2の下部には、床面に対して床面の上方に位置するように座部2を支える基礎フレーム8が設けられている。
図3〜
図5に示すように、基礎フレーム8は、複数本の金属のパイプ材やアングル材などを互いに組み合わせることにより櫓状に構成されている。基礎フレーム8は、床面に対して椅子型マッサージ機1の全重量を支えるものであり、上述した座部2だけでなくフットレスト部4や背もたれ部3の重量、さらには座部2に着座した使用者の体重も支えられるようになっている。
【0020】
基礎フレーム8は、下端側を床面に接地するようにして上下方向を向いて起立する4本の支柱フレーム9と、支柱フレーム9の上端同士を連結・固定するように水平方向に架け渡された上部フレーム10と、支柱フレーム9の下端同士を連結・固定するように上部フレーム10の下側で水平方向に架け渡された下部フレーム11と、を有している。
支柱フレーム9は、座部2の四隅、言い換えれば座部2における左前、右前、左後、右後のコーナーに対応して1本ずつ、合計で4本設けられている。上部フレーム10は、左右に隣接するまたは前後に隣接する支柱フレーム9の間に水平に架け渡された横桟状の部材であり、支柱フレーム9の上端同士をつなぎ合わせている。この上部フレーム10の上には、上述した座部2が載置されている。また、下部フレーム11も、上部フレーム10同様に左右に隣接するまたは前後に隣接する支柱フレーム9の間に水平に架け渡された横桟部材であり、支柱フレーム9の下端同士をつなぎ合わせている。なお、この支柱フレーム9の下端側には、床面に対するマッサージ機の滑り止めを可能とする滑り止め部材12が設けられている。
【0021】
上述したように支柱フレーム9、上部フレーム10及び下部フレーム11は、いずれも前後・左右・上下に離れて配備されており、これらのフレームの間には部材を収容するに十分なスペースがある。それゆえ、このように基礎フレーム8の内部に形成されたスペースは、フットレスト部4を収容するために利用されている。
上述した座部2の左右両側には、着座した使用者の肘を載せることができる肘掛け部5が左右で一対設けられている。この肘掛け部5は、左右に板面を向けて起立状に設けられた板状の部材であり、上端面が使用者の肘を載せられるように略平面状とされている。この肘掛け部5の幅方向内側面には、座部2に着座した使用者の腰又は太股などに対して揉みや叩き、或いは振動などのマッサージ動作を行うマッサージ部が設けられていてもよい。
【0022】
背もたれ部3は、使用者の背中を支持するに十分な面積を備え且つ前面視で略矩形状とされた部材であり、図例では左右方向に座部2とおおよそ同じ幅を備えている。また、背もたれ部3は、使用者の上半身の体重(重量)を支えられるように厚肉に形成されている。
この背もたれ部3の内部には、座部2と同様にもたれかかる使用者の重量を支えられるように金属のパイプ材などを組み合わせて形成された背もたれフレーム14と、この背もたれフレーム14により支持されるクッション材と、座部2に着座した使用者の背部〜腰部に対して揉みや叩き、或いは振動などのマッサージ動作を行うマッサージ部6とが設けられている。
【0023】
第1実施形態の椅子型マッサージ機1は、
図1(a)に示すように、使用者の背部に対するマッサージを行わない場合(背もたれ部3が収容位置にある場合)には、背もたれ部3の上端が肘掛け部5の上面と略同じ高さにある。つまり、第1実施形態の椅子型マッサージ機1は、その外観が、背もたれ部3の上端が肘掛け部5の上面と全く同じ高さか、やや高い位置にあるような椅子、例えばデザイン性が高いソファや座椅子などに類するものである。このような外観を備えた椅子を、本明細書では「ミニソファ型」と呼ぶこととする。それ故、第1実施形態の椅子型マッサージ機1は、ミニソファ型の椅子型マッサージ機と考えることができる。
【0024】
このようなミニソファ型の椅子型マッサージ機を用いて、使用者の背部、特に肩をマッサージしようとすると、マッサージ部の高さが肩に届かない場合がある。この不都合を回避するために、第1実施形態の椅子型マッサージ機1では背もたれ部3が上下に昇降するようになっている。
つまり、第1実施形態の椅子型マッサージ機1は、背もたれ部3の下側が座部2より下方に収容された収容位置(
図6参照)と、背もたれ部3の下側が収容位置より上方に移動した突出位置との間で、背もたれ部3の高さを上下方向に切り替え自在に調整する昇降手段15が設けられていることを特徴とする。突出位置は、背もたれ部3が上方に飛び出た位置である第1突出位置(
図7参照)と、この第1突出位置の突出状態を維持しつつ、背もたれ部3が後方にリクライニングした第2突出位置(
図8参照)と、を含むものとなっている。
【0025】
このような昇降手段15を設ければ、ミニソファ型の椅子型マッサージ機においても、背部に対するマッサージ施術時に背もたれ部3を突出させることで、使用者に無理な姿勢を強いることなく、使用者に十分なマッサージ効果を与えることが可能となる。
次に、第1実施形態の椅子型マッサージ機1に設けられた昇降手段15について説明する。
【0026】
図3〜
図5に示すように、昇降手段15は、上述した基礎フレーム8に対して背もたれ部3を昇降すると共に左右軸回りに背もたれ部3を揺動させる昇降リンク部材16と、リニアアクチュエータから構成されたリンク駆動部17とを備えている。このリンク駆動部17は昇降リンク部材16に連結していて、リンク駆動部17の伸縮駆動により昇降リンク部材16を揺動させる。
【0027】
具体的には、昇降リンク部材16は、一端側が基礎フレーム8に対して左右軸回りに揺動自在に連結されており、他端側が背もたれ部3の下端側に連結されている。また、リンク駆動部17は、基端側が基礎フレーム8に左右軸心回り回動自在に連結されると共に、先端側に設けられた移動子18が昇降リンク部材16の中途側に連結され、基端側に対して先端側の移動子18を近接離反するように移動させることで昇降リンク部材16を左右軸回りに揺動させるものとなっている。
【0028】
なお、昇降リンク部材16及びこの昇降リンク部材16に繋がる各リンク部材は、座部2の左右両側に互いに対称となるようにそれぞれ設けられており、後述する連結桿19などを用いて幅方向に連結されている。そのため、左右に配備された昇降リンク部材16及びこの昇降リンク部材16に繋がる各リンク部材は、互いに左右に対称な配置を維持したまま動くようになっている。故に、以降の説明では、椅子型マッサージ機1の左側面図を用いつつ、構成ならびに動作の説明を行う。
【0029】
図6〜
図8に示すように、昇降リンク部材16は、基礎フレーム8側に設けられた第1部材20と、背もたれ部3側に設けられた第2部材21とが一体となるように組み合わせて形成されている。具体的には、この昇降リンク部材16は、左側方から見た場合に、第1部材20と第2部材21とが下方に向かって凸となるように略L字状に折れ曲がって組み合わされた形状とされている。
【0030】
図6に示すように、第1部材20は、左側方から見た場合に上方に向かって凸となる略L字状(ブーメラン形状)に曲げられた帯板状の部材である。第1部材20の一端側(前端側)は、基礎フレーム8の下部フレーム11の中途側から上方に突出するように伸びる突出部22の先端(上端)に枢支されており、下部フレーム11(基礎フレーム8)に対して左右軸回りに揺動自在に取り付けられている。また、第1部材20の他端側(後端側)には、左右の第1部材20の他端同士を連結・固定する連結桿19が設けられている。この連結桿19は、左右の第1部材20の他端同士を連結する棒状の部材であり、
図4に示すように、左右方向の中途側にはリンク駆動部17の移動子18が連結している。
【0031】
図6に示すように、第2部材21は、左側方から見た場合に、床面に沿って直線状に伸びる長尺な帯板状の部材であり、背もたれ部3の下端側と第1部材20の他端側とを連結している。第2部材21の一端側(前端側)は第1部材20の他端側、より正確には連結桿19に一体に固定されており、上述した第1部材20の前端側を中心に左右軸回りに揺動自在となっている。また、第2部材21の他端側(後端側)は背もたれ部3の下端側に揺動自在に連結されており、昇降リンク部材16が一端側を中心に左右軸回りに揺動すると、この揺動に合わせて背もたれ部3の下端側も揺動し、背もたれ部3が昇降するようになっている。
【0032】
なお、上述した昇降リンク部材16の第2部材21は、背もたれ部3が収容位置にあるときに床面と略平行になるように配備されるのが好ましい。このようにすれば、昇降リンク部材16の高さを床面近くまで下げることが可能となり、背もたれ部3を床面の近くまで可能な限り下げつつ収容することが可能となる。
図5などに示すように、リンク駆動部17は、基礎フレーム8に対して背もたれ部3やフットレスト部4を揺動させる動力を発生する長尺な部材であり、第1実施形態では電動モータの回転力により、先端側に設けられた移動子18が長手方向に沿って基端側に近接離反(移動)する電動リニアアクチュエータが用いられている。
【0033】
具体的には、
図5に示すように、リンク駆動部17の基端側は、基礎フレーム8の上部フレーム10、より正確には左右の上部フレーム10間に架け渡された架設フレーム23の左右方向の中途側に、左右軸回りに回動自在に連結されている。そして、リンク駆動部17の移動子18は上述した連結桿19の左右方向の中途側に左右軸回りに回動自在に連結されている。
【0034】
それゆえ、リンク駆動部17の移動子18を基端側に向かって近づければ、移動子18に連結された連結桿19が上方に向かって移動し、昇降リンク部材16の他端側が一端側を中心として、
図6〜
図8に示す反時計方向に揺動する。つまり、
図6に示すように背もたれ部3が収容位置にある場合では、昇降リンク部材16の他端側は一端側よりも低い位置にある。しかし、
図8に示す状態まで揺動すると、昇降リンク部材16の他端側は一端側より高い位置まで移動し、他端側が低い位置とな昇降リンク部材16の他端側に連結された背もたれ部3が収容位置より上方に移動(上昇)する。一方、リンク駆動部17の移動子18を基端側から遠ざければ、連結桿19が下方に向かって移動し、昇降リンク部材16の他端側が一端側を中心として
図6〜
図8に示す時計回り方向に揺動し、背もたれ部3が収容位置に向かって下方に移動する。
【0035】
なお、第1実施形態の椅子型マッサージ機1においては、上述した昇降手段15だけでなく、背もたれ部3を上下に案内する案内機構24が設けられている。この案内機構24は、背もたれ部3の側面に背もたれ部3の長手方向に沿って設けられた長尺の案内溝25と、この案内溝25に対してスライド自在に嵌り込むことで背もたれ部3の昇降中の姿勢を保持する姿勢保持部26とで構成されている。
【0036】
案内溝25は、背もたれ部3の長手方向に沿って伸びる背もたれフレーム14に、背もたれ部3の長手方向に沿って長尺な長孔状に形成されている。この案内溝25は、背もたれ部3の右側面と左側面との双方に形成されている。それぞれの案内溝25は、左右方向に背もたれフレーム14を貫通するように形成されている。
姿勢保持部26は、案内溝25に対してスライド自在に嵌り込むピン部材であり、背もたれ部3の昇降中の姿勢を保持する機能を備えている。この姿勢保持部26も案内溝25と同様に左右に1つずつ設けられており、左右の案内溝25に嵌り込んで背もたれ部3の長手方向に沿って案内するようになっている。
【0037】
より具体的には、上述した基礎フレーム8には、上部フレーム10から後方突出するように、背もたれ部3を支持する背もたれ支持フレーム27が形成されている。この背もたれ支持フレーム27は、基礎フレーム8の後部の上側からさらに後ろ上方に向かって伸びるものであり、基礎フレーム8同様に金属のパイプ材やアングル材などを用いて形成されている。そして、この背もたれ支持フレーム27の突端は2又状に分岐しており、2又状に分岐した部位は、それぞれの案内溝25を両側から挟むようになっており、ピン部材(姿勢保持部26)が案内溝25に挿通されている。なお、姿勢保持部26は案内機構24に対して回動自在なように遊嵌されているため、背もたれ部3は、上昇しながら揺動することができる。
【0038】
このような案内機構24を設ければ、上述した昇降リンク部材16の揺動した際にも、この昇降リンク部材16に連結された下端側と、案内機構24の姿勢保持部26との上下2箇所で背もたれ部3が支持されることになるので、背もたれ部3を安定した姿勢のまま昇降しつつ揺動させることが可能となる。
一方、第1実施形態の椅子型マッサージ機1には、使用者の下肢をマッサージするフットレスト部4が設けられており、上述した昇降手段15の動きに連動して斯かるフットレスト部4を前後に揺動させる連動機構28が設けられている。
【0039】
フットレスト部4は、箱形に形成されていて、使用者の下肢(ふくらはぎより下側の脚部)をマッサージする凹状の足入れ部29が左右一対の形成されている。また、フットレスト部4の下面には、フットレスト部4の前後移動を可能にする左右一対の車輪30が設けられている。さらに、フットレスト部4と基礎フレーム8との間には、フットレスト部4を基礎フレーム8に対して揺動させるフットレスト揺動リンク部材31が設けられている。
【0040】
フットレスト揺動リンク部材31は、フットレスト部4を基礎フレーム8に対して揺動自在に連結するアーム部材である。フットレスト揺動リンク部材31の先端側(一端側)は、フットレスト部4に左右軸回りに揺動自在に連結されている。フットレスト揺動リンク部材31の基端側(他端側)は、基礎フレーム8を構成する上部フレーム10の前後方向略中央部に、左右軸回りに揺動自在に連結されている。
【0041】
そして、フットレスト揺動リンク部材31の基端側には、フットレスト揺動リンク部材31を反時計回りに回動させる方向に(フットレスト部4の収容方向に)付勢するコイルバネ32が設けられている。
図1(a)、
図2(a)に示す状態では、フットレスト部4は足入れ部29が上方を向くように座部2の下側に収容されている。マッサージを行う場合には、
図2(a)から
図2(c)に示すように、フットレスト部4を座部2より前方に引き出す。すると、上述した車輪30が設けられた側(図例では前端側)を中心として、フットレスト揺動リンク部材31に連結された側(後端側)が跳ね上がるようにフットレスト部4が揺動する。そして、
図1(b)、
図2(c)に示すように、前方に向かって最も引き出された位置(第2突出位置)では、フットレスト部4が起立し且つ足入れ部29が前方を向き、使用者の脚部をマッサージすることが可能となる。なお、フットレスト部4を収容する際には、上述した動作を逆の手順で行う。
【0042】
上記したフットレスト部4は、連動機構28を介して、昇降手段15の動きに連動して座部2の下方位置から座部2の前方位置へと出退自在に移動するものとされている。
図6〜
図8に示すように、この連動機構28は、上述した昇降リンク部材16の揺動に連動して動作する複数のリンク部材を有している。
具体的には、連動機構28は、以降に示す第1リンク部材33〜第4リンク部材36とを組み合わせたものとなっている。
【0043】
図6〜
図8に示すように、第1リンク部材33は、長尺な帯板状の部材であり、上下方向を向くように配備されている。第1リンク部材33の下端側は昇降リンク部材16の第1部材20の中途側、より正確には第1部材20の略L字状に曲がった部分に連結されていて、昇降リンク部材16の揺動に合わせて上下に移動可能とされている。また、第1リンク部材33の上端側は第2リンク部材34に連結されている。
【0044】
第2リンク部材34は、側面視で略L字状に形成された板状の部材であり、中途側の曲げられた部分には、この第2リンク部材34を基礎フレーム8の上部フレーム10に対して左右軸回りに揺動自在に固定する揺動軸37が設けられている。第2リンク部材34は、揺動軸37(揺動中心)から互いに異なる方向に伸びる長短2本の辺部を有している。これら2本の辺部のうち、短い辺部(短辺部38)の突端には、第1リンク部材33の上端側が左右軸回りに揺動自在に連結される。第2リンク部材34の長い辺部(長辺部39)の突端には、第3リンク部材35が連結されている。
【0045】
このような第2リンク部材34を用いれば、短辺部38に入力された昇降リンク部材16の揺動量を揺動距離を大きくしつつ第3リンク部材35に伝達することが可能となる。言い換えれば、この第2リンク部材34は、昇降リンク部材16の揺動量をフットレスト部4を移動させるフットレスト揺動リンク部材31の揺動量に増大させて伝達する揺動量調整部材40となっている。
【0046】
つまり、背もたれ部3を上昇(下降)させる場合と、フットレスト部4を前方(後方)に移動させる場合とでは必要となるリンク部材の揺動量は異なっている場合が多い。それゆえ、第1実施形態のように背もたれ部3の揺動量に比べてフットレスト部4の揺動量の方を大きくしなくてはならない場合は、上述した揺動量調整部材40を用いて昇降リンク部材16の揺動量を大きくした上でフットレスト部4に伝達することにより、フットレスト部4を背もたれ部3とを同じタイミングで動作させることが可能となる。
【0047】
第3リンク部材35は、基礎フレーム8の上部フレーム10の下方に設けられた長尺な帯板状の部材であり、
図6〜
図8に示すように、上部フレーム10と略平行となるように前後方向に沿って配備されている。第3リンク部材35の他端側(後端側)は上述した第2リンク部材34の長辺部39に連結されており、また、第3リンク部材35の一端側(前端側)は第4リンク部材36に連結されている。それゆえ、この第3リンク部材35を用いることにより、第2リンク部材34の長辺部39から出力された駆動力を第4リンク部材36に伝達できるようになっている。
【0048】
第4リンク部材36は、上述した第2リンク部材34の長辺部39と同じ回動方向(
図6における反時計方向)に向かって揺動する長尺な帯板状の部材である。第4リンク部材36の基端側(上端側)は第2リンク部材34と同様に基礎フレーム8の上部フレーム10に揺動自在に枢支されており、第4リンク部材36の先端側(下端側)は基端側を中心として左右軸回りに揺動可能となっている。
【0049】
図3に示すように、第4リンク部材36の長手方向の中途側には、左右一対の第4リンク部材36間に架け渡されると共に第4リンク部材36の中途部同士を連結・固定する棒状の当接部41が設けられている。
一方、フットレスト揺動リンク部材31の基端側の近傍であって、この当接部41に対応するフットレスト揺動リンク部材31には、当接部41に係脱自在に嵌着する嵌着部42が設けられている。このようにフットレスト揺動リンク部材31の嵌着部42に第4リンク部材36の当接部41を嵌着させた上で第4リンク部材36の先端側を基端側を中心に前方に揺動させれば、第4リンク部材36によってフットレスト揺動リンク部材31が前方に押される。そして、フットレスト揺動リンク部材31が後側から前側に向かって揺動させられ、フットレスト部4が上述したコイルバネ32の付勢力に逆らって前方に移動(前進)することになる。
【0050】
また、第4リンク部材36の先端側を基端側を中心に後方に揺動させれば、上述したコイルバネ32の付勢力によって当接部41が嵌着部42に嵌着させられた状態のままフットレスト揺動リンク部材31が第4リンク部材36に追従して前側から後側に向かって揺動し、フットレスト部4が後方に移動(後退)することになる。
なお、フットレスト部4が後方に移動する時に、当該フットレスト部4の位置を維持するような大きな負荷が加わった際には、当接部41が嵌着部42から外れて第4リンク部材36とフットレスト揺動リンク部材31との連動(嵌着)が解消されるので、フットレスト部4の収容時に不意の挟み込みなどが起きても、安全性を確保することが可能となる。つまり、第4リンク部材36は安全機構を構成するリンク部材と考えることもできる。
【0051】
次に、上述した昇降手段15及び連動機構28を用いて、背もたれ部3を上方に進出させると共に、背もたれ部3の昇降に連動してフットレスト部4を出退させる動作を説明する。
図6に示す椅子型マッサージ機1において、背もたれ部3を上方に押し出すと共にフットレスト部4を前方に移動させる際には、リンク駆動部17を動作させ、移動子18を長手方向に沿って先端側から基端側に移動させる(近接させる)。
【0052】
そうすると、リンク駆動部17の移動子18に連結された連結桿19(左右に配備された昇降リンク部材16の中途部を左右方向で連結する連結桿19)が上方に向かって移動し、昇降リンク部材16の他端側(後端側)が一端側(前端側)を中心として左右軸回りに上方に向かって(図例では反時計回りに)揺動する。その結果、昇降リンク部材16の他端側に連結された背もたれ部3が一端側を中心に上方に移動し、背もたれ部3が収容位置から第1突出位置に向かって上方に大きく上昇する。
【0053】
背もたれ部3が第1突出位置まで上昇すると、昇降リンク部材16の他端側の位置が一端側より高くなり、これ以降は昇降リンク部材16の他端側は一端側を中心に前方に向かって揺動するようになる。
つまり、昇降リンク部材16の他端側は一端側を中心として前方に揺動すると、背もたれ部3の下端側も前方に移動する。そして、前方移動を規制された上端側に対して下端側が前方に移動した分だけ背もたれ部3の姿勢は後方に倒れ込む。このように背もたれ部3が第1突出位置から第2突出位置に向かって移動すると、背もたれ部3の姿勢が後方に傾斜したリクライニング状態となる。
【0054】
一方、
図6に示すように、昇降リンク部材16の他端側が一端側を中心として反時計回りに揺動すると、この昇降リンク部材16の第1部材20の中途側に連結された第1リンク部材33も上方に向かって移動する。そして、第1リンク部材33の上方移動に連動して、第2リンク部材34が揺動軸37を中心として時計回りに回動する。
つまり、第2リンク部材34の短辺部38の先端側には第1リンク部材33の上端が連結されており、第2リンク部材34の長辺部39の先端側には第3リンク部材35の後端側が連結されている。そして、第2リンク部材34は、揺動軸37を挟んで左側に短辺部38、右側に長辺部39が設けられている。それゆえ、第1リンク部材33が上方に移動すると、揺動軸37の左側に位置する短辺部38を上方に移動させるように第2リンク部材34は左右軸回りに時計回り方向に回動する。そして、この第2リンク部材34の回動に合わせて、第2リンク部材34の長辺部39の先端側も時計回り方向に回動し、長辺部39の先端側に連結された第3リンク部材35が前方に向かって移動する。
【0055】
このようにして第3リンク部材35が前方に移動すると、第3リンク部材35に連結された第4リンク部材36も揺動する。つまり、第4リンク部材36の先端側(下端側)は第3リンク部材35の前端側に連結されているため、第3リンク部材35が前方に移動すれば、第4リンク部材36の先端側が基端側(上端側)を中心として第2リンク部材34と同じ前方(時計回り方向)に向かって揺動する。言い換えれば、連動機構28を構成する第2リンク部材34〜第4リンク部材36は、第1リンク部材33を介して伝えられたリンク駆動部17の駆動力をフットレスト揺動リンク部材31に伝達する平行リンク機構を構成している。
【0056】
このようにして第4リンク部材36の先端側が基端側を中心として前方に向かって時計回り方向に揺動すると、第4リンク部材36の長手方向の中途側に設けられた当接部41がフットレスト揺動リンク部材31を前方に向かって押し、フットレスト揺動リンク部材31の先端側が基端側を中心に時計回り方向に揺動するようになる。その結果、フットレスト揺動リンク部材31の揺動に合わせてフットレスト部4が前方に向かって移動(揺動)する。つまり、背もたれ部3は
図6に示すような収容位置から
図8に示すような突出位置(第2突出位置)まで上昇し、それに連動して、フットレスト部4が座部2の下側から前方に向かって移動することになる。
【0057】
なお、背もたれ部3を座部2の下方に移動させると共にフットレスト部4を後方に移動(後退)させる際には、上述した手順と逆の手順を行うことで、背もたれ部3やフットレスト部4を収容することができる。
つまり、
図8に示す状態において、リンク駆動部17を動作させ、リンク駆動部17の移動子18を長手方向に沿って先端側に向かって移動させれば、上述した動作と逆の順序で昇降手段15が動作して背もたれ部3が起き上がる(第1突出位置に戻る)。また、リンク駆動部17をさらに動作させれば、背もたれ部3が降下して収容位置へと戻る。また、上述した動作と逆の順序で連動機構28が動作して、上述したコイルバネ32の付勢力によってフットレスト部4が後方に移動(後退)し、座部2の下方位置へと戻ることとなる。
【0058】
以上述べたように、第1実施形態の椅子型マッサージ機1によれば、当該椅子型マッサージ機1に備えられた昇降手段15を用いることで、背もたれ部3の高さが低いミニソファ型の場合であっても、背もたれ部3を収容位置から突出位置(第1突出位置や第2突出位置)まで容易に突出させることができ、使用者に無理な姿勢を強いることなく、十分且つ確実な背部へのマッサージを施術することが可能となる。
【0059】
また、昇降手段15に連動してフットレスト部4を前進させる連動機構28を用いれば、背もたれ部3の昇降に用いられるリンク駆動部17の駆動力を用いて、フットレスト部4を前後に移動させることも可能となる。
さらに、背もたれ部3を移動させる昇降リンク部材16の揺動量を、フットレスト部4を移動させるフットレスト揺動リンク部材31の揺動量に変化させて伝導する揺動量調整部材40を設ければ、例えば、背もたれ部3の揺動量に比べてフットレスト部4の揺動量の方を大きく(小さく)しなくてはならない場合には、昇降リンク部材16の揺動量をフットレスト部4の揺動量に合わせて調整することにより、フットレスト部4を背もたれ部3とを同じタイミングで動作させることが可能となる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の椅子型マッサージ機1を説明する。
【0060】
まず、
図9〜
図12に示すように、この椅子型マッサージ機1は、座部2と、この座部2の後部に設けられた背もたれ部3とを有している。また、座部2の下側には使用者の下肢をマッサージするフットレスト部4が収容されており、座部2の左右両側には座部2に着座した使用者が肘を載せる肘掛け部5が設けられている。
以下の説明では、
図9〜
図11の左右方向を椅子型マッサージ機1を説明する際の前後方向と呼び、
図9〜
図11の上下方向を椅子型マッサージ機1を説明する際の上下方向と呼ぶ。
図9〜
図11の紙面貫通方向を椅子型マッサージ機1を説明する際の左右方向又は幅方向と呼ぶ。これらの方向は、椅子型マッサージ機1に座った使用者から見たものと一致する。
【0061】
図9から
図11への遷移を見るに、上述した背もたれ部3は、この背もたれ部3の下側が座部2の下側に収容された収容位置から、収容位置の上方に設けられた第1突出位置(背もたれ部3が上方に飛び出た位置である)に向かって上方に大きく移動し、次に、第1突出位置の後方に位置する第2突出位置(第1突出位置より背もたれ部3がさらに後方にリクライニングした位置である)に向かって後方に傾動するようになっている。そして、背もたれ部3には、破線で図示するように、使用者の背部や腰部をマッサージするマッサージ部6が内蔵されている。
【0062】
また、フットレスト部4も、背もたれ部3の上方への進出(上昇)に伴って、座部2の下側(収容位置)から前方に向かって進出し、突出位置(使用位置)へと移動するようになっている。フットレスト部4にも、図示は省略するが、使用者の下肢をマッサージするフットマッサージ部が内蔵されている。
次に、第2実施形態の椅子型マッサージ機1を構成する座部2、背もたれ部3、フットレスト部4、肘掛け部5について、詳細に説明する。
【0063】
座部2は、着座する使用者の臀部を下方から支持するに十分な広さを有する矩形状の部材であり、クッション性を備えた材料を用いて形成されている。座部2の下部には、床面に対して床面の上方に位置するように座部2を支える基礎フレーム8が設けられている。
図9〜
図12に示すように、基礎フレーム8は、複数本の金属のパイプ材やアングル材などを互いに組み合わせることにより櫓状に構成されている。基礎フレーム8は、床面に対して椅子型マッサージ機1の全重量を支えるものであり、上述した座部2だけでなくフットレスト部4や背もたれ部3の重量、さらには座部2に着座した使用者の体重も支えられるようになっている。
【0064】
基礎フレーム8は、下端側を床面に接地するようにして上下方向を向いて起立する4本の支柱フレーム9と、支柱フレーム9の上端同士を連結・固定するように水平方向に架け渡された上部フレーム10と、支柱フレーム9の下端同士を連結・固定するように上部フレーム10の下側で水平方向に架け渡された下部フレーム11と、を有している。
支柱フレーム9は、座部2の四隅、言い換えれば座部2における左前、右前、左後、右後のコーナーに対応して1本ずつ、合計で4本設けられている。上部フレーム10は、左右に隣接するまたは前後に隣接する支柱フレーム9の間に水平に架け渡された横桟状の部材であり、支柱フレーム9の上端同士をつなぎ合わせている。この上部フレーム10の上には上述した座部2が載置されている。また、下部フレーム11も、上部フレーム10同様に左右に隣接するまたは前後に隣接する支柱フレーム9の間に水平に架け渡された横桟部材であり、支柱フレーム9の下端同士をつなぎ合わせている。なお、この支柱フレーム9の下端側には、床面に対するマッサージ機の滑り止めを可能とする滑り止め部材12が設けられている。
【0065】
上述したように支柱フレーム9、上部フレーム10及び下部フレーム11は、いずれも前後左右上下に離れて配備されており、これらのフレームの間には部材を収容するに十分なスペースがある。基礎フレーム8の内部にフットレスト部4が収容できるようになっている。
上述した座部2の左右両側には、着座した使用者の肘を載せることができる肘掛け部5が左右で一対設けられている。この肘掛け部5は、左右に板面を向けて起立状に設けられた板状の部材であり、上端面が使用者の肘を載せられるように略平面状とされている。この肘掛け部5の幅方向内側面には、座部2に着座した使用者の腰部又は太股などに対して揉みや叩き、或いは振動などのマッサージ動作を行うマッサージ部が設けられていてもよい。
【0066】
背もたれ部3は、使用者の背中を支持するに十分な面積を備え且つ前面視で略矩形状とされた部材であり、図例では座部2とおおよそ同じ幅を左右方向に備えている。また、背もたれ部3は、使用者の上半身の体重(重量)を支えられるように厚肉に形成されている。
この背もたれ部3の内部には、座部2と同様にもたれかかる使用者の重量を支えられるように金属のパイプ材などを組み合わせて形成された背もたれフレーム14と、この背もたれフレーム14により支持されるクッション材と、座部2に着座した使用者の背部〜腰部に対して揉みや叩き、或いは振動などのマッサージ動作を行うマッサージ部6とが設けられている。
【0067】
第2実施形態の椅子型マッサージ機1は、
図9に示すように、使用者の背部に対するマッサージを行わない場合(背もたれ部3が収容位置にある場合)には、背もたれ部3の上端が肘掛け部5の上面と略同じ高さにある。つまり、第2実施形態の椅子型マッサージ機1は、その外観が、背もたれ部3の上端が肘掛け部5の上面と全く同じ高さか、やや高い位置にあるような椅子、例えばデザイン性が高いソファや座椅子などに類するものである。このような外観を備えた椅子を、本明細書では「ミニソファ型」と呼ぶこととする。それ故、第2実施形態の椅子型マッサージ機1は、ミニソファ型の椅子型マッサージ機と考えることができる。
【0068】
このようなミニソファ型の椅子型マッサージ機を用いて、使用者の背部、特に肩をマッサージしようとすると、マッサージ部の高さが肩に届かない場合がある。この不都合を回避するために、第2実施形態の椅子型マッサージ機1では背もたれ部3が上下に昇降するようになっている。
つまり、第2実施形態の椅子型マッサージ機1は、背もたれ部3の下側が座部2より下方に収容された収容位置(
図9参照)と、背もたれ部3の下側が収容位置より上方に移動した突出位置との間で、背もたれ部3の高さを上下方向に切り替え自在に調整する昇降手段15が設けられていることを特徴とする。突出位置は、背もたれ部3が上方に飛び出た位置である第1突出位置(
図10参照)と、この第1突出位置の突出状態を維持しつつ、背もたれ部3が後方にリクライニングした第2突出位置(
図11参照)と、を含むものとなっている。
【0069】
このような昇降手段15を設ければ、ミニソファ型の椅子型マッサージ機1においても、背部に対するマッサージ施術時に背もたれ部3を突出させることで、使用者に無理な姿勢を強いることなく、使用者に十分なマッサージ効果を与えることが可能となる。
次に、第2実施形態の椅子型マッサージ機1に設けられた昇降手段15について説明する。
【0070】
図9〜
図12に示すように、第2実施形態の昇降手段15は、上述した基礎フレーム8に対して背もたれ部3を昇降すると共に左右軸回りに背もたれ部3を揺動させる昇降リンク部材16と、リニアアクチュエータから構成されたリンク駆動部17とを備えている。このリンク駆動部17は昇降リンク部材16に連結していて、リンク駆動部17の伸縮駆動により昇降リンク部材16を揺動させる。
【0071】
具体的には、昇降リンク部材16は、一端側(正確には、昇降リンク部材16を構成する第1部材20の元端部43の先端側、詳しくは後述する)が基礎フレーム8に対して左右軸回りに揺動自在に連結されており、他端側が背もたれ部3の下端側に連結されている。また、リンク駆動部17は、基端側が基礎フレーム8に左右軸心回り回動自在に連結されると共に、先端側に設けられた移動子18が昇降リンク部材16の中途側に連結され、基端側に対して先端側の移動子18を近接離反するように移動させることで昇降リンク部材16を左右軸回りに揺動させるものとなっている。
なお、昇降リンク部材16及びこの昇降リンク部材16に繋がる各リンク部材は、座部2の左右両側に互いに対称となるようにそれぞれ設けられており、後述する連結桿19などを用いて幅方向に連結されている。そのため、左右に配備された昇降リンク部材16及びこの昇降リンク部材16に繋がる各リンク部材は、互いに左右に対称な配置を維持したまま動くようになっている。故に、以降の説明では、椅子型マッサージ機1の左側面図を用いつつ、構成ならびに動作の説明を行う。
【0072】
図9〜
図12に示すように、昇降リンク部材16は、基礎フレーム8側に設けられた第1部材20と、背もたれ部3側に設けられた第2部材21とが一体となるように組み合わせて形成されている。具体的には、この昇降リンク部材16は、左側方から見た場合に、第1部材20と第2部材21とが下方に向かって凸となるように略L字状に折れ曲がって組み合わされた形状とされている。
【0073】
図9に示すように、昇降リンク部材16を構成する第1部材20は、左側方から見た場合にT字を時計回り方向に90°回転させたような形状に形成された帯板状の部材である。具体的には、
図9に示す状態を基準とすれば、第1部材20は、その中央部Cから上方、下方、左方の3方に向かって伸びる端部を備えている。この3つの端部のうち、左方に伸びる端部(元端部43)の先端は、基礎フレーム8の下部フレーム11の中途側から上方に突出するように伸びる突出部22の先端(上端)に枢支されている。つまり、第1部材20の元端部43は、下部フレーム11(基礎フレーム8)に対して左右軸回りに揺動自在に取り付けられている。
【0074】
また、第1部材20の中央部Cから上方に伸びる第1部材20の一端側(上端側)は、連動リンク部材44(詳しくは後述)の後端側に左右軸回りに揺動自在に枢支されている。さらに、第1部材20の他端側(下端側)には、左右に配備された第1部材20の他端同士を連結・固定する連結桿19が設けられている。この連結桿19は左右の第1部材20の他端同士を連結する棒状の部材であり、連結桿19の左右方向の中途側にはリンク駆動部17の移動子18が連結している。
【0075】
図9に示すように、第2部材21は、左側方から見た場合に、床面に沿って直線状に伸びる長尺な帯板状の部材であり、背もたれ部3の下端側と第1部材20の他端側とを連結している。第2部材21の一端側は第1部材20の他端側、より正確には連結桿19に一体に固定されており、上述した第1部材20の元端部43を中心に左右軸回りに揺動自在となっている。また、第2部材21の他端側(後端側)は背もたれ部3の下端側に揺動自在に連結されており、昇降リンク部材16の他端側が元端部43を中心に左右軸回りに揺動すると、この揺動に合わせて背もたれ部3の下端側も揺動し、背もたれ部3が昇降するようになっている。
【0076】
なお、上述した昇降リンク部材16の第2部材21は、
図9の如く、背もたれ部3が収容位置にあるときに床面と略平行になるように配備されるのが好ましい。このようにすれば、昇降リンク部材16の高さを床面近くまで下げることが可能となり、背もたれ部3を床面の近くまで可能な限り下げつつ収容することが可能となる。
図11などに示すように、リンク駆動部17は、基礎フレーム8に対して背もたれ部3やフットレスト部4を揺動させる動力を発生する長尺な部材であり、第2実施形態では電動モータの回転力により、先端側に設けられた移動子18が長手方向に沿って基端側に近接離反(移動)する電動リニアアクチュエータが用いられている。
【0077】
具体的には、
図11及び
図12に示すように、リンク駆動部17の基端側は、基礎フレーム8の上部フレーム10、より正確には左右の上部フレーム10間に架け渡された架設フレーム23の左右方向の中途側に、左右軸回りに回動自在に連結されている。そして、リンク駆動部17の移動子18は上述した連結桿19の左右方向の中途側に左右軸回りに回動自在に連結されている。
【0078】
それゆえ、リンク駆動部17の移動子18を基端側に向かって近づければ、移動子18に連結された連結桿19が上方に向かって移動し、昇降リンク部材16の他端側(後端側)が元端部43の先端側を中心として、
図9〜
図11に示す反時計方向に揺動する。つまり、
図9に示すように背もたれ部3が収容位置にある場合では、昇降リンク部材16の他端側は元端部43よりも低い位置にある。しかし、
図11に示す状態まで揺動すると、昇降リンク部材16の他端側が元端部43とほぼ同じ高さまで移動し、昇降リンク部材16の他端側に連結された背もたれ部3が収容位置より上方に移動(上昇)する。一方、リンク駆動部17の移動子18を基端側から遠ざければ、連結桿19が下方に向かって移動し、昇降リンク部材16の他端側が元端部43の先端側を中心として
図9〜
図11に示す時計回り方向に揺動し、背もたれ部3が収容位置に向かって下方に移動する。
【0079】
なお、第2実施形態の椅子型マッサージ機1においては、上述した昇降手段15だけでなく、背もたれ部3を上下に案内する案内機構24が設けられている。この案内機構24は、背もたれ部3の側面に背もたれ部3の長手方向に沿って設けられた長尺の案内溝25と、この案内溝25に対してスライド自在に嵌り込むことで背もたれ部3の昇降中の姿勢を保持する姿勢保持部26とで構成されている。
【0080】
案内溝25は、背もたれ部3の長手方向に沿って伸びる背もたれフレーム14に、背もたれ部3の長手方向に沿って長尺な長孔状に形成されている。この案内溝25は、背もたれ部3の右側面と左側面との双方に形成されている。それぞれの案内溝25は、左右方向に背もたれフレーム14を貫通するように形成されている。
姿勢保持部26は、案内溝25に対してスライド自在に嵌り込むピン部材であり、背もたれ部3の昇降中の姿勢を保持する機能を備えている。この姿勢保持部26も、案内溝25と同様に左右に1つずつ設けられており、左右の案内溝25のそれぞれに嵌り込んで背もたれ部3の長手方向に沿って案内されるようになっている。
【0081】
より具体的には、上述した基礎フレーム8には、上部フレーム10から後方突出するように、背もたれ部3を支持する背もたれ支持フレーム27が形成されている。この背もたれ支持フレーム27は、基礎フレーム8の後部の上側からさらに後ろ上方に向かって伸びるものであり、基礎フレーム8同様に金属のパイプ材やアングル材などを用いて形成されている。そして、この背もたれ支持フレーム27の突端は2又状に分岐しており、2又状に分岐した部位はそれぞれの案内溝25を左右両側から挟み込むようになっており、ピン部材(姿勢保持部26)が案内溝25を左右方向に貫くようになっている。なお、姿勢保持部26は案内機構24に対して回動自在なように遊嵌されているため、背もたれ部3は、上昇しながら揺動することができる。
【0082】
このような案内機構24を設ければ、上述した昇降リンク部材16の揺動した際にも、この昇降リンク部材16に連結された下端側と、案内機構24の姿勢保持部26との上下2箇所で背もたれ部3が支持されることになるので、背もたれ部3を安定した姿勢のまま昇降しつつ揺動させることが可能となる。
なお、案内溝25の溝方向を背もたれ部3の長手方向に沿って下方に延ばした位置に、昇降リンク部材16の他端側が背もたれ部3に枢支されている枢支点50が位置するように設定されている。
【0083】
一方、第2実施形態の椅子型マッサージ機1には、使用者の下肢をマッサージするフットレスト部4が設けられており、上述した昇降手段15の動きに連動して斯かるフットレスト部4を前後に揺動させる連動機構28が設けられている。
フットレスト部4は、箱形に形成されていて、使用者の下肢(ふくらはぎより下側の脚部)をマッサージする凹状の足入れ部29が左右一対の形成されている。また、フットレスト部4の下面には、フットレスト部4の前後移動を可能にする左右一対の車輪30が設けられている。さらに、フットレスト部4と基礎フレーム8との間には、フットレスト部4を基礎フレーム8に対して揺動させるフットレスト揺動リンク部材31が設けられている。
【0084】
フットレスト揺動リンク部材31は、フットレスト部4を基礎フレーム8に対して揺動自在に連結するアーム部材である。フットレスト揺動リンク部材31の先端側(一端側)は、フットレスト部4の上部に左右軸回りに揺動自在に連結されている。フットレスト揺動リンク部材31の基端側(他端側)は、基礎フレーム8を構成する上部フレーム10の前後方向略中央部に、左右軸回りに揺動自在に連結されている。
【0085】
そして、フットレスト揺動リンク部材31の基端側(基礎フレーム8側)には、フットレスト揺動リンク部材31を反時計回りに回動させる方向に(フットレスト部4の収容方向に)付勢するコイルバネ32が設けられている。
図9に示す状態では、フットレスト部4は足入れ部29が上方を向くように座部2の下側に収容されている。マッサージを行う場合には、
図9から
図11に示すように、フットレスト部4を座部2より前方に引き出す。すると、上述した車輪30が設けられた側(図例では前端側)を中心として、フットレスト揺動リンク部材31に連結された側(後端側)が跳ね上がるようにフットレスト部4は揺動する。そして、
図11に示すように、前方に向かって最も引き出された位置(突出位置)では、フットレスト部4が起立し且つ足入れ部29が前方を向き、使用者の脚部をマッサージすることが可能となる。なお、フットレスト部4を収容する際には、上述した動作を逆の手順で行う。
【0086】
上記したフットレスト部4は、連動機構28を介して、昇降手段15の動きに連動して座部2の下方位置から座部2の前方位置へと出退自在に移動するものとされている。
図9〜
図12に示すように、この連動機構28は、上述した昇降リンク部材16の揺動に連動して動作する一本の連動リンク部材44から構成されている。
図9〜
図12に示すように、連動リンク部材44は、基礎フレーム8の上部フレーム10の下方に設けられた長尺な帯板状の部材であり、上部フレーム10と略平行となるように前後方向に沿って配備されている。
【0087】
連動リンク部材44の他端側(後端側)は上述した昇降リンク部材16の第1部材20(T字形状の部材)の一端側に連結されており、また連動リンク部材44の一端側(前端側)はフットレスト揺動リンク部材31の長手方向の中途側に左右軸回りに揺動自在に連結されている。それゆえ、昇降リンク部材16の他端側を元端部43の先端側を中心に上方に揺動させ、第1部材20を反時計回りに回動させることで、連動リンク部材44が後側から前側に向かって移動し、上述したコイルバネ32の付勢力に逆らってフットレスト部4が前方に移動することになる。また、昇降リンク部材16の他端側を元端部43の先端側を中心に下方に揺動させ、第1部材20を時計回りに回動させることで、連動リンク部材44が前側から後側に向かって移動し、コイルバネ32の付勢力に押されつつフットレスト部4が後方に移動することになる。
【0088】
次に、上述した昇降手段15及び連動機構28(一本の連動リンク部材44)を用いて、背もたれ部3を上方に進出させると共に、連動してフットレスト部4を出退させる動作を説明する。
図9に示す椅子型マッサージ機1において、背もたれ部3を上方に押し出すと共にフットレスト部4を前方に移動させる際には、リンク駆動部17を動作させ、移動子18を長手方向に沿って基端側に移動させる(近接させる)。
【0089】
そうすると、リンク駆動部17の移動子18に連結された連結桿19(左右に配備された昇降リンク部材16の中途部を左右方向で連結する連結桿19)が上方に向かって移動し、昇降リンク部材16の他端側(後端側)が元端部43(前端側)を中心として左右軸回りに上方に向かって(図例では反時計回りに)揺動する。その結果、昇降リンク部材16の他端側に連結された背もたれ部3が元端部43を中心に上方に移動し、背もたれ部3が収容位置から第1突出位置に向かって上方に大きく上昇する。
【0090】
背もたれ部3が第1突出位置まで上昇すると、昇降リンク部材16の他端側の位置も元端部43と同じ高さとなり、これ以降は昇降リンク部材16の他端側は元端部43を中心に前方に向かって揺動するようになる。
つまり、昇降リンク部材16の他端側が元端部43を中心として前方に揺動すると、背もたれ部3の下端側が前方に移動する。そして、前方移動を規制された上端側に対して下端側が前方に移動した分だけ背もたれ部3の姿勢は後方に倒れ込む。このように背もたれ部3が第1突出位置から第2突出位置に向かって移動すると、背もたれ部3の姿勢がリクライニング状態となる。
【0091】
一方、
図9に示すように、昇降リンク部材16の他端側が一端側を中心として反時計方向に揺動すると、この昇降リンク部材16の第1部材20の一端側に連結された連動リンク部材44が前方に向かって移動する。そして、連動リンク部材44の前方移動に連動してフットレスト揺動リンク部材31が時計回りに回動し、フットレスト部4が前方に移動する。その結果、背もたれ部3は、
図9に示すような収容位置から
図10に示すような第1突出位置を経由して、
図11に示すような突出位置(第2突出位置)まで上昇し、それに連動して、フットレスト部4が座部2の下側から前方に向かって移動することになる。
【0092】
なお、背もたれ部3を下方に収納すると共にフットレスト部4を後方に移動(後退)させる際には、上述した手順と逆の手順を行うことで、背もたれ部3やフットレスト部4を収容することができる。
つまり、
図11に示す状態において、リンク駆動部17を動作させ、リンク駆動部17の移動子18を長手方向に沿って基端側から先端側に向かって移動させれば、上述した動作と逆の順序で昇降手段15が動作して背もたれ部3が起き上がる(第1突出位置に戻る)。また、リンク駆動部17をさらに動作させ移動子18をさらに先端側へ向けて移動させれば、背もたれ部3が降下して収容位置へと戻る。また、上述した動作と逆の順序で連動手段が動作して、フットレスト部4が後方に移動(後退)し、座部2の下方位置(収容位置)へと戻ることとなる。
【0093】
以上述べたように、第2実施形態の椅子型マッサージ機1によれば、当該椅子型マッサージ機1に備えられた昇降手段15を用いることで、背もたれ部3の高さが低いミニソファ型の場合であっても、背もたれ部3を収容位置から突出位置(第1突出位置や第2突出位置)まで容易に突出させることができ、使用者に無理な姿勢を強いることなく、十分且つ確実な背部へのマッサージを施術することが可能となる。
【0094】
また、昇降手段15に連動してフットレスト部4を前進させる連動機構28を用いれば、背もたれ部3の昇降に用いられるリンク駆動部17の駆動力を用いて、フットレスト部4を前後に移動させることも可能となる。
さらに、第2実施形態の椅子型マッサージ機1では、側方視で略T字状に形成された昇降リンク部材16の第1部材20の中央部C(T字形状の略中心部)から、下部フレーム11との連結位置(元端部43の先端側、乃至は下部フレーム11に設けられた突出部22の上端)までの距離(L1)を大きくすれば、昇降リンク部材16に連動して移動する連動リンク部材44の移動量が大きくなる。その結果、フットレスト揺動リンク部材31の揺動量を昇降リンク部材16の揺動量に比して大きくすることができる。また、フットレスト揺動リンク部材31の揺動中心から、連動リンク部材44との連結位置までの距離(L2)を小さくしても、フットレスト揺動リンク部材31の揺動量を昇降リンク部材16の揺動量に比して大きくなる。
【0095】
それゆえ、第2実施形態の椅子型マッサージ機1では、L1,L2の距離を適宜調整することで、フットレスト部4を背もたれ部3とを同じタイミングで動作させることができるようになっている(第1実施形態の揺動量調整部材40に対応する)。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の椅子型マッサージ機1を説明する。
【0096】
第1実施形態や第2実施形態の椅子型マッサージ機1、1は、背もたれ部3を昇降させる昇降手段15の動作に連動して、フットレスト部4を前後に移動させる連動機構28を備えたものであった。しかし、以降に示す第3実施形態に示すように、本発明の椅子型マッサージ機としては、背もたれ部3の昇降動作とフットレスト部4の前後移動とをそれぞれ独立に行えるようにした椅子型マッサージ機1を考えることもできる。
【0097】
つまり、第3実施形態の椅子型マッサージ機1は、背もたれ部3とフットレスト部4との間に連動機構28を有さないものであり、基礎フレーム8に対するフットレスト部4の揺動とは別の機構として昇降手段15を備えている。また、第3実施形態の椅子型マッサージ機1は、背もたれ部3の昇降に合わせて座部2が前後に移動するようになっており、座部2の動作という点でも第1実施形態や第2実施形態と異なっている。
【0098】
具体的には、第3実施形態の椅子型マッサージ機1は、基礎フレーム8の上部フレーム10に対して前後方向に移動自在とされた座部2を備えている。この座部2と上部フレーム10との間には、上部フレーム10に対して座部2を前後方向に案内自在に支持するスライド部45が設けられている。また、座部2と上部フレーム10との間には、上述したスライド部45により支持された座部2を、上部フレーム10に対して前後双方に切り替え自在に移動させるリンク駆動部17が設けられている。
【0099】
リンク駆動部17は、基礎フレーム8に対して背もたれ部3やフットレスト部4を揺動させる動力を発生する長尺な部材であり、第3実施形態では電動モータの回転力により、先端側に設けられた移動子18が長手方向に沿って移動(基端側に近接離反)する電動リニアアクチュエータが用いられている。
リンク駆動部17の基端側は、上部フレーム10の前側に固定されており、リンク駆動部17の移動子18は座部2の後端側に取り付けられている。つまり、このリンク駆動部17を駆動させて、移動子18を基端側に対して接近離反させることで、基礎フレーム8に対して座部2を前後に移動させることができる。
【0100】
また、第3実施形態の椅子型マッサージ機1は、基礎フレーム8の下部フレーム11と背もたれ部3の下端側との間に、基礎フレーム8に対して背もたれ部3の下端側を左右軸回りに揺動自在に連結する略直線状の昇降リンク部材16を有している。
第3実施形態の昇降リンク部材16の一端側(前端側)は下部フレーム11に直接(突出部22を介さず)連結されており、第1実施形態や第2実施形態に比べて基礎フレーム8の中でも上下方向の低い位置に連結されている。また、昇降リンク部材16の他端側(後端側)は背もたれ部3の下端側に左右軸回りに揺動自在に連結されており、昇降リンク部材16の揺動により背もたれ部3が昇降するようになっている。
【0101】
さらに、昇降リンク部材16の長手方向の中途側と座部2の下面とは連動アーム部材46により連結されている。この連動アーム部材46は、座部2に対しても昇降リンク部材16に対しても揺動自在となっており、座部2の前後移動に合わせて昇降リンク部材16を揺動できるようになっている。
つまり、
図13(a)に示す第3実施形態の椅子型マッサージ機1では、上述した電動アクチュエータを伸縮させる(移動子18を基端側に移動させる)と座部2が基礎フレーム8に対して前方に移動し、連動して、座部2の前方移動に合わせて連動アーム部材46を介して連結された昇降リンク部材16の他端側が一端側を中心に
図13の反時計方向に揺動する。このようにして昇降リンク部材16の他端側が一端側を中心に揺動すると、昇降リンク部材16の他端側に連結された背もたれ部3も上方に移動する。そして、
図13(b)に示すように、背もたれ部3がマッサージ位置から第1突出位置を経由して第2突出位置まで移動する。一方、背もたれ部3を下降させる際には、上述した手順と逆の操作を行えばよい。
【0102】
一方、第3実施形態の椅子型マッサージ機1にも第1実施形態や第2実施形態と同様に、フットレスト部4を前後に移動(揺動)させるフットレスト揺動リンク部材31が設けられている。第3実施形態のフットレスト揺動リンク部材31は、その基端側が座部2下面に対して、左右方向軸回りに回動自在に枢支され、先端側がフットレスト部4の上部に対して、左右方向軸回りに回動自在に枢支されている。
【0103】
フットレスト揺動リンク部材31は、リンク駆動部17とは別に設けられた電動リニアアクチュエータ(図示せず)により駆動される構成とされている。フットレスト揺動リンク部材31を手動ハンドルの操作で、前後に揺動させ、フットレスト部4を収容位置から使用位置へと進出させる、逆に、使用位置から収容位置へと後退させる構成としてもよい。
【0104】
つまり、第3実施形態の椅子型マッサージ機1では、背もたれ部3がどのような状態にある場合でも、フットレスト部4を前後に移動させることができ、昇降手段15による背もたれ部3の昇降動作とフットレスト部4の出入りの動作とを独立して行うことができる。それゆえ、椅子型マッサージ機1の姿勢を使用者のニーズに合わせてさまざまに変化させることが可能となり、椅子型マッサージ機1の利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0105】
以上述べた第3実施形態において、その他の構成、動作状況、作用効果などについては第2実施形態と略同様であるため、図面に対し、同一作用を奏するものに同一の符号を付することにより、ここでの詳説は省略する。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操作手順、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。