(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の保護条件および前記第2の保護条件を格納する記憶手段を備え、前記制御手段は、系統連系時に前記第1の保護条件を適用し、前記検知手段の検知を受けた際に、前記記憶手段から前記第2の保護条件を読み出し、前記第1の保護条件から前記第2の保護条件に変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給電システム。
前記系統電源と、前記蓄電手段との間に開閉手段を備え、該開閉手段により前記蓄電手段から前記系統電源が遮断した場合、前記制御手段が、前記検知手段の検知または前記開閉手段の遮断またはこれら双方の通知により、前記第1の保護条件から前記第2の保護条件に切り替え、前記第2の保護条件を適用して前記発電手段を運転させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかの請求項に記載の給電システム。
系統電源の停電時に電力負荷に給電し、または前記系統電源の非停電での自立運転時に電力負荷に給電する蓄電手段と、前記停電時または前記自立運転時に、該蓄電手段の給電により発電し、発電電力を前記電力負荷に給電する発電手段を含む給電システムに搭載されたコンピュータに実行させるための給電制御プログラムであって、
前記系統電源の連系時、前記発電手段に適用される第1の保護条件とともに、該第1の保護条件と異なり、前記第1の保護条件より緩和され、または前記第1の保護条件を無効化する第2の保護条件を記憶手段に格納し、
前記停電検知または前記自立運転の検知により、前記第1の保護条件から前記第2の保護条件に切り替え、前記第2の保護条件を適用して前記発電手段を運転させる
処理を前記コンピュータに実行させるための給電制御プログラム。
系統電源の停電時に電力負荷に給電し、または前記系統電源の非停電での自立運転時に電力負荷に給電する蓄電手段と、前記停電時または前記自立運転時に、該蓄電手段の給電により発電し、発電電力を前記電力負荷に給電する発電手段を備えた給電制御方法であって、
前記停電または前記自立運転を検知し、
前記系統電源の連系時、前記発電手段に適用される第1の保護条件とともに、該第1の保護条件と異なり、前記第1の保護条件より緩和され、または前記第1の保護条件を無効化する第2の保護条件を設定し、
前記停電検知または前記自立運転の検知により、前記第1の保護条件から前記第2の保護条件に切り替え、前記第2の保護条件を適用して前記発電手段を運転させる
ことを特徴とする給電制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蓄電池システムおよびFCシステムを備える給電システムでは、系統連系時、電力負荷の消費電力は系統、蓄電池システムおよびFCシステムの各電力で賄われる。この場合、蓄電池システムから電力負荷までの総合インピーダンスをZ1、FCシステムから電力負荷までの総合インピーダンスをZ2とすると、Z2はZ1より小さく、Z1>Z2が成立している。
【0007】
系統電源の停電時には、系統電源が解列し、蓄電池システムの給電を得てFCシステムを発電させれば、電力負荷にはFCシステムの発電電力および蓄電池システムの電力の双方を供給することができる。
【0008】
斯かる電力が供給される電力負荷には、電気冷蔵庫など、急冷時に瞬間的に大電流を消費する特殊な負荷(特殊電力負荷)が含まれている。このような特殊電力負荷に大電流が流れると、瞬間的にFCシステムからの電力品質が低下するという課題がある。つまり、既述のZ1>Z2が成立した状態で、特殊電力負荷が瞬間的に大電流を消費すると、インピーダンスの低いFCシステム側から大電流が特殊電力負荷に供給される。
【0009】
FCシステム側から大電流が消費されると、FCシステムの出力電圧が低下し、電力品質が低下して保護機能が働く。つまり、FCシステムの出力電圧に電圧波形の乱れなどが生じると、FCシステムでは単独運転検知が行われ、一定時間、発電を停止したり、単独運転検知回数や単独運転検知の継続によってはエラー停止を起こす。瞬間的な大電流が消費されなければ、FCシステムの発電電力を電力負荷に供給できるのに対し、瞬間的な大電流の供給のため、系統電源の停電時、FCシステムの発電電力が利用できないという課題がある。
【0010】
しかし、系統電源と連系するFCシステムや蓄電池システムの分散型電源の単独運転検知機能などの保護機能は、系統連系上、必要不可欠である。系統連系規程の充足は必須であり、系統連系状態において、分散型電源の保護機能に対する動作条件の変更や無効化は認められない。
【0011】
系統電源の停電時または系統電源非停電での自立運転時に、FCシステムの発電電力を併用する場合、FCシステムの発電が停止すれば、FCシステムの発電電力を利用できないうえ、蓄電池に対する負担が増大し、蓄電池の消耗が顕著となるという課題がある。
【0012】
このような課題は、FCシステムのみならず、蓄電手段に太陽光発電などの発電手段を併用する場合にも同様の課題がある。
【0013】
そこで、本発明の目的は、系統電源の停電時または系統電源非停電での自立運転時に、蓄電手段および発電手段を併用する給電システムにおいて、電力負荷に対する給電の継続性および安定性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の給電システムは、系統電源により蓄電した電力を前記系統電源の停電時に電力負荷に給電し、または前記系統電源の非停電での自立運転時に前記電力負荷に給電する蓄電手段と、前記停電時または前記自立運転時に、前記蓄電手段の給電により発電する発電手段と、前記停電または前記自立運転を検知する検知手段と、
前記系統電源の連系時、前記発電手段に適用される第1の保護条件とともに、該第1の保護条件と異な
り、前記第1の保護条件より緩和され、または前記第1の保護条件を無効化する第2の保護条件を備え、前記検知手段の検知を受け、前記第1の保護条件から前記第2の保護条件に切り替え、前記第2の保護条件を適用して前記発電手段を運転させる制御手段とを備える。
【0015】
上記給電システムにおいて、前記第1の保護条件および前記第2の保護条件は、前記発電手段の単独運転の検知条件で
あってもよい。
【0016】
上記給電システムにおいて、前記第1の保護条件および前記第2の保護条件を格納する記憶手段を備え、前記制御手段は、系統連系時に前記第1の保護条件を適用し、前記検知手段の検知を受けた際に、前記記憶手段から前記第2の保護条件を読み出し、前記第1の保護条件から前記第2の保護条件に変更してもよい。
【0017】
上記給電システムにおいて、前記系統電源と、前記蓄電手段との間に開閉手段を備え、該開閉手段により前記蓄電手段から前記系統電源が遮断した場合、前記制御手段が、前記検知手段の検知または前記開閉手段の遮断またはこれら双方の通知により、前記第1の保護条件から前記第2の保護条件に切り替え、前記第2の保護条件を適用して前記発電手段を運転させてもよい。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明の給電制御プログラムは、系統電源の停電時に電力負荷に給電し、または前記系統電源の非停電での自立運転時に電力負荷に給電する蓄電手段と、前記停電時または前記自立運転時に、該蓄電手段の給電により発電し、発電電力を前記電力負荷に給電する発電手段を含む給電システムに搭載されたコンピュータに実行させるための給電制御プログラムであって、前記系統電源の連系時、前記発電手段に適用される第1の保護条件とともに、該第1の保護条件と異な
り、前記第1の保護条件より緩和され、または前記第1の保護条件を無効化する第2の保護条件を記憶手段に格納し、前記停電検知または前記自立運転の検知により、前記第1の保護条件から前記第2の保護条件に切り替え、前記第2の保護条件を適用して前記発電手段を運転させる処理を前記コンピュータに実行させる。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明の給電制御方法は、系統電源の停電時に電力負荷に給電し、または前記系統電源の非停電での自立運転時に電力負荷に給電する蓄電手段と、前記停電時または前記自立運転時に、該蓄電手段の給電により発電し、発電電力を前記電力負荷に給電する発電手段を備えた給電制御方法であって、前記停電または前記自立運転を検知し、前記系統電源の連系時、前記発電手段に適用される第1の保護条件とともに、該第1の保護条件と異な
り、前記第1の保護条件より緩和され、または前記第1の保護条件を無効化する第2の保護条件を設定し、前記停電検知または前記自立運転の検知により、前記第1の保護条件から前記第2の保護条件に切り替え、前記第2の保護条件を適用して前記発電手段を運転させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0021】
(1) 系統連系時、第1の保護条件の適用により運転される発電手段が、系統電源の停電時、第1の保護条件から切り替えられた第2の保護条件の適用により運転されるので、系統電源と切り離された発電手段を緩和された保護条件で運転させることができる。これにより、発電手段を含む給電システムから電力負荷に対する給電の継続性および安定性が高められる。
【0022】
(2) 系統電源の停電時、電力負荷の動作状態によって発電手段側から電力負荷に供給される電流増加などの負担が増大しても、それによる発電手段の発電停止を回避でき、電力負荷に対する給電の継続性および安定性が高められる。
【0023】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、第1の実施の形態に係る給電システムを示している。
図1に示す構成は一例であり、本発明が斯かる構成に限定されるものではない。
【0028】
この給電システム2は、本発明の給電システムの一例である。この給電システム2には、蓄電システム4およびFCシステム(燃料電池コジェネレーションシステム)6が含まれている。蓄電システム4は蓄電手段の一例である。FCシステム6は発電手段の一例である。給電システム2は配電系統8に接続されている。この配電系統8には、系統電源10が接続されるとともに、電力負荷12が接続されている。系統連系時、系統電源10から配電系統8を通して電力負荷12に給電され、同時に、蓄電システム4およびFCシステム6から配電系統8を通して電力負荷12に給電される。
【0029】
蓄電システム4は、系統連系時、系統電源10から系統電力を受け、蓄電し、系統電源10の停電時、電力負荷12やFCシステム4に給電する。この蓄電システム4には電圧センサ14、開閉器16、インバータ(INV)18、蓄電池20が含まれる。
【0030】
電圧センサ14は系統電源10の停電検出手段であるとともに、復電検出手段の一例である。この電圧センサ14は配電系統8の入力端に接続され、この入力端で停電発生および停電からの復電を検出する。
【0031】
開閉器16は配電系統8の入力端側に挿入され、配電系統8の遮断手段の一例である。この開閉器16は、電圧センサ14のセンサ出力を受け、系統連系時に閉じ、系統電源10の停電時に開かれる。この電圧センサ14と開閉器16はたとえば、リレーのソレノイドおよび常閉接点で構成できる。つまり、系統連系時にソレノイドの励磁により常閉接点を閉じて系統電源10を配電系統8に給電させ、系統電源10の停電時、ソレノイドの励磁解除により常閉接点を開き、系統電源10を配電系統8から解列させる。
【0032】
インバータ(INV)18は配電系統8に接続されている。このINV18は系統連系時、系統電源10からの交流入力を直流に変換して蓄電池20に給電し、停電時、蓄電池20からの直流出力を交流に変換する。
【0033】
蓄電池20は、系統連系時、INV18の直流出力を受けて充電されるとともに直流出力を出力し、停電時、蓄電電力をINV18に出力する。
【0034】
FCシステム6は、配電系統8に接続され、系統連系時、系統電源10の給電により発電し、系統電源10の停電時、蓄電システム4からの給電により発電する。この発電電力が配電系統8に給電される。
【0035】
このFCシステム6には、発電スタック22、インバータ(INV)24および制御部26が含まれる。発電スタック22は、INV24を介して配電系統8から電圧入力を受け発電する。
【0036】
INV24は、系統連系時および系統電源10の停電時、発電スタック22の直流出力を交流に変換する。FCシステム6の発電電力がINV24から配電系統8に給電される。
【0037】
制御部26は制御手段の一例でありたとえば、マイクロコンピュータで構成される。この制御部26は、INV24から配電系統8に対する交流出力の監視とともに、系統連系、停電または復電の監視により、系統連系保護機能を司る。この実施の形態では、制御部26に対し、電圧センサ14から監視情報として、系統連系情報、停電情報または復電情報が通知される。制御部26は、系統連系情報により系統連系時の動作、停電情報により停電時の動作、または復電情報により系統連系時の動作に移行する。
【0038】
この制御部26が備える系統連系保護機能には単独運転検知機能が含まれる。この単独運転検知機能には受動方式の場合と能動方式の場合の双方が含まれる。この実施の形態では、系統連系時には第1の保護条件が適用され、系統電源10の停電時には第2の保護条件が適用される。第1の保護条件は系統連系時、既述のとおり系統連系規程を充足するための厳しい保護条件として適用される。これに対し、系統電源10が停電し、系統電源10を解列した時点では、第1の保護条件より緩和された第2の保護条件が適用される。この第2の保護条件には、条件緩和または第1の保護条件の無効化が含まれる。そして、系統電源10が復電した時点から、第2の保護条件から第1の保護条件に切り替えられる。つまり、系統連系時には第1の保護条件への復帰により、系統連系規定の充足が図られる。
【0040】
この給電システム2では、
図2のAに示すように、電圧センサ14が系統電源10の連系状態を検出し、開閉器16が閉じる。これにより、系統電源10から系統電力Psが配電系統8に給電され、電力負荷12に供給される。このとき、蓄電システム4は充電されるが、蓄電システム4からの電力Pbが配電系統8に出力され、電力負荷12に供給される。また、FCシステム6は系統電源10から給電されて発電し、その発電電力Pgが配電系統8に出力され、電力負荷12に供給される。電力負荷12に供給される電力をPw1とすれば、この供給電力Pw1は、
Pw1≒Ps+Pb+Pg ・・・(1)
となる。
【0041】
この系統連系時、制御部26には電圧センサ14から系統連系情報が通知される。このとき、制御部26は系統連系規程を充足するための厳しい保護条件として第1の保護条件を適用する。つまり、保護機能が動作すれば、FCシステム6は発電を停止する。
【0043】
図2のBに示すように電圧センサ14が系統電源10の停電を検出し、開閉器16が開かれる。これにより、配電系統8から系統電源10が解列する。つまり、給電システム2は、系統電源10から切り離されて自立運転に移行する。蓄電システム4は、電力Pbを配電系統8に出力し、電力負荷12およびFCシステム6に供給する。
【0044】
また、FCシステム6は蓄電システム4から給電されて発電し、その発電電力Pgを配電系統8に出力し、電力負荷12に供給する。この場合、電力負荷12に供給される電力をPw2とすれば、この供給電力Pw2は、Ps=0であるから、
Pw2≒Pb+Pg ・・・(2)
となる。
【0045】
この停電時には、制御部26には電圧センサ14から停電情報が通知される。このとき、系統電源10が解列しているので、制御部26は既述の第1の保護条件から第2の保護条件を適用する。これにより、電力負荷12に突入電流などの瞬間的な大電流が生じ、FCシステム6側の電流負担が増加しても、FCシステム6側の単独運転検知などの保護機能の動作が緩和され、継続的にFCシステム6から発電出力Pgが配電系統8に出力され、電力負荷12に供給される。
【0047】
図2のAに示すように電圧センサ14が系統電源10の復電を検出すれば、開閉器16が閉じる。これにより、系統電源10の解列が解除され、系統連系運転に移行する。これにより、系統電源10から系統電力Psが配電系統8に給電され、電力負荷12に供給される。これにより、電力負荷12には、既述の電力Pw1(≒Ps+Pb+Pg)が供給される。
【0048】
この復電時、制御部26には電圧センサ14から復電情報が通知される。このとき、制御部26は系統連系規程を充足するための厳しい保護条件として第1の保護条件に切り替える。つまり、系統連系時に復帰しているので、保護機能が動作すれば、FCシステム6は発電を停止する。
【0050】
図3は、FCシステム6の制御機能を示している。FCシステム6の制御部26は、コンピュータによる情報処理を実行し、この情報処理には、状態判断機能30、保護条件設定機能32、保護条件切替え機能34、運転制御機能36などが含まれる。
【0051】
状態判断機能30は、系統電源10の状態を判断する。系統電源10の状態は系統連系、停電、停電からの復電がある。つまり、状態判断機能30は、系統連系、停電、停電からの復電の各状態判断機能である。そこで、この状態判断機能30では一例として電圧サンサ14のセンサ出力を受け、系統電源10が連系状態か、停電状態か、停電から復電した状態かを判断する。この状態判断には、この実施形態のように、電圧センサ14からのセンサ出力を受けて判断してもよいし、蓄電システム4から状態情報を受けてもよい。
【0052】
保護条件設定機能32は、既述の第1および第2の保護条件を設定する。この保護条件はたとえば、データテーブルに選択または切替え可能に設定される。
【0053】
保護条件切替え機能34は、保護条件設定機能32により設定されている保護条件を状態判断機能30の判断結果に基づき、現在の保護条件から他の保護条件に切替える。系統連系時には第1の保護条件を設定する。停電時、この第1の保護条件から第2の保護条件に切り替える。停電から復電に移行した際には、第2の保護条件から第1の保護条件に切り替え、これにより系統連系規程を充足させる。
【0054】
運転制御機能36は、設定中の保護条件で、FCシステム6の運転制御を行う。FCシステム6は、系統連系時や、停電から復電した場合、第1の保護条件での運転を行い、停電時、第2の保護条件で運転を行う。
【0056】
図4は、制御部26のハードウェアの一例を示している。この制御部26はコンピュータで構成されている。この制御部26にはたとえば、プロセッサ40、ROM(Read-Only Memory)42、NVM(Non Volatile Memory )44、RAM(Random-Access Memory)46および入出力部(I/O)48が含まれる。これらプロセッサ40などの機能部はバス50で接続されている。
【0057】
プロセッサ40は、ROM42にあるOS(Operating System)を実行し、ファームウエアプログラムやアプリケーションプログラムを実行し、既述の機能を含む情報処理や制御を行う。ROM42は、プログラム記憶部の一例であり、たとえば、半導体記憶素子などの記憶媒体で構成する。このROM42にはOS(Operating System)、ファームウエアプログラム、アプリケーションプログラムアプリが格納されている。NVM44には各種データが可能され、データベースが構築される。このNVM44は記憶手段の一例であり、たとえば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの不揮発性メモリで構成される。このNVM44には設定情報などの各種の制御情報などが格納され、この制御情報には既述の保護条件情報が含まれ、系統連系保護機能(検知条件)データテーブル52(
図5)、単独運転検知(受動的方式)条件データテーブル54(
図6)、単独運転検知(能動的方式)条件データテーブル56(
図7)が構築される。RAM46は、情報処理のワークエリアを形成する。I/O48は、設定情報の入力や制御出力を取出しに用いる。
【0058】
<系統連系保護機能(検知条件)データテーブル52>
【0059】
図5は、系統連系保護機能(検知条件)データテーブル52の一例を示している。この系統連系保護機能データテーブル52には保護リレー種別52−1、標準整定値52−21、条件緩和整定値52−22、整定値の関係性定義52−3が設定されている。標準整定値52−21と、条件緩和整定値52−22との間にある矢印53は、系統連系から停電による標準整定値52−21から条件緩和整定値52−22への移行、停電状態から復電による条件緩和整定値52−22から標準整定値52−21への移行を示している。
【0060】
保護リレー種別52−1には、保護リレーの種別情報が設定されている。この保護リレー種別には過電圧(OVR)52−11、不足電圧(UVR)52−12、周波数上昇(OFR)52−13、周波数低下(UFR)52−14、逆電力(RPR)52−15、逆充電検出機能52−16、単独運転検出機能52−17が含まれる。逆充電検出機能52−16には不足電力(UPR)52−161、不足電圧(UVR)52−162が含まれる。単独運転検出機能52−17には、受動的方式52−171、能動的方式52−172が含まれる。
【0061】
標準整定値52−21は、第1の保護条件の一例である。この標準整定値52−21には検出基準52−211、検出時限52−212が含まれる。この実施の形態の検出基準52−211には、過電圧52−11=x1、不足電圧52−12=x2、周波数上昇52−13=x3、周波数低下52−14=x4、逆電力52−15=x5、不足電力52−161=x6、不足電圧52−162=x7が設定されている。検出時限52−212には、過電圧52−11=t1、不足電圧52−12=t2、周波数上昇52−13=t3、周波数低下52−14=t4、逆電力52−15=t5、不足電力52−161=t6、不足電圧52−162=t7が設定されている。
【0062】
条件緩和整定値52−22は、第2の保護条件の一例である。この条件緩和整定値52−22では、検出基準52−221には過電圧52−11=X1、不足電圧52−12=X2、周波数上昇52−13=X3、周波数低下52−14=X4、逆電力52−15=X5、不足電力52−161=X6、不足電圧52−162=X7が設定されている。検出時限52−222には、過電圧52−11=T1、不足電圧52−12=T2、周波数上昇52−13=T3、周波数低下52−14=T4、逆電力52−15=T5、不足電力52−161=T6、不足電圧52−162=T7が設定されている。
【0063】
これら整定値の関係性定義52−3は、x1≦X1、t1≧T1、x2≧X2、t2≧T2、x3≦X3、t3≧T3、x4≧X4、t4≧T4、x5≦X5、t5≧T5、x6≦X6、t6≧T6、x7≧X7、t7≧T7である。このような関係から、条件緩和整定値52−22は標準整定値52−21より緩和されている。
【0064】
<単独運転検知(受動的方式)条件データテーブル54>
【0065】
図6は、単独運転検知(受動的方式)条件データテーブル54の一例を示している。この単独運転検知(受動的方式)条件データテーブル54には受動的方式54−1、標準整定値(検知条件)52−21、条件緩和整定値52−22、整定値の関係性定義52−3が設定されている。
【0066】
受動的方式54−1には電圧位相跳躍検出54−11、3次高調波電圧歪急増検出54−12、周波数変化率検出54−13が含まれる。
【0067】
標準整定値52−21の検出基準52−211では、電圧位相跳躍検出54−11=y11、3次高調波電圧歪急増検出54−12=y12、周波数変化率検出54−13=y13が設定されている。
【0068】
標準整定値52−21の検出時限52−212では、電圧位相跳躍検出54−11=t11、3次高調波電圧歪急増検出54−12=t12、周波数変化率検出54−13=t13が設定されている。
【0069】
条件緩和整定値52−22の検出基準52−221では、電圧位相跳躍検出54−11=Y11、3次高調波電圧歪急増検出54−12=Y12、周波数変化率検出54−13=Y13が設定されている。
【0070】
条件緩和整定値52−22の検出時限52−222では、電圧位相跳躍検出54−11=T11、3次高調波電圧歪急増検出54−12=T12、周波数変化率検出54−13=T13が設定されている。
【0071】
これら受動的方式の各整定値の関係性定義52−3は、y11≦Y11、t11≧T11、y12≦Y12、t12≧T12、y13≦Y13、t13≧T13である。このような関係から、条件緩和整定値52−22は標準整定値52−21の検知レベルより緩和されている。
【0072】
<単独運転検知(能動的方式)条件データテーブル56>
【0073】
図7は、単独運転検知(能動的方式)条件データテーブル56の一例を示している。この単独運転検知(能動的方式)条件データテーブル56には能動的方式56−1、標準整定値(検知条件)52−21、条件緩和整定値52−22、整定値の関係性定義52−3が設定されている。
【0074】
能動的方式56−1には周波数シフト方式56−11、スリップモード周波数シフト方式56−12、有効電力変動方式56−13、無効電力変動方式56−14、負荷変動方式56−15が含まれる。
【0075】
標準整定値52−21の検出基準52−211では、周波数シフト方式56−11=z1、スリップモード周波数シフト方式56−12=z2、有効電力変動方式56−13=z3、無効電力変動方式56−14=z4、負荷変動方式56−15=z5が設定されている。
【0076】
条件緩和整定値52−22の検出基準52−221では、周波数シフト方式56−11=Z1、スリップモード周波数シフト方式56−12=Z2、有効電力変動方式56−13=Z3、無効電力変動方式56−14=Z4、負荷変動方式56−15=Z5が設定されている。
【0077】
これら能動的方式の各整定値の関係性定義52−3は、z1≦Z1、z2≦Z2、z3≦Z3、z4≦Z4、z5≦Z5である。このような関係から、条件緩和整定値52−22は標準整定値52−21より緩和されている。
【0079】
(1) 系統連系状態から停電に移行する場合
【0080】
図8は、系統連系状態から停電に移行する場合の処理手順を示している。この処理手順は、本発明の給電システムの給電制御プログラムおよび給電制御方法の一例である。
【0081】
この処理手順には、蓄電システム4側およびFCシステム6側の処理手順が含まれる。この処理手順は、系統連系時、系統電源10の停電監視を実行する(S101)。この停電監視では、電圧センサ14のセンサ出力により系統電源10が停電したか否かの判断を行う(S102)。系統電源10が停電していなければ(S102のNO)、停電監視(S101)を継続する。
【0082】
停電であれば(S102のYES)、開閉器16が開かれ(S103)、配電系統8から系統電源10が解列する。
【0083】
電圧センサ14のセンサ出力(系統保護検知条件の変更指令)が制御部26に通知される(S104)。
【0084】
これにより、制御部26では、系統保護検知条件を標準整定値から条件緩和整定値に変更する(S105)。
【0085】
この条件緩和整定値に変更された系統保護検知条件により、FCシステム6が運転される(S106)。
【0086】
(2) 停電状態から復電(系統連系)に移行する場合
【0087】
図9は、停電状態から復電に移行する場合の処理手順を示している。この処理手順は、本発明の給電システムの給電制御プログラムおよび給電制御方法の一例である。
【0088】
停電状態では、系統電源10の復電監視が実行される(S111)。この復電監視では、電圧センサ14のセンサ出力により復電したか否かを判断する(S112)。復電していなければ(S112のNO)、復電監視(S111)が継続して行われる。
【0089】
復電であれば(S112のYES)、開閉器16が閉じられる(S113)。これにより配電系統8に系統電源10が接続され、系統電源10から給電が行われる。
【0090】
電圧センサ14のセンサ出力(系統保護検知条件の変更指令)が制御部26に通知される(S114)。
【0091】
これにより、制御部26では、系統保護検知条件を条件緩和整定値から標準整定値に変更する(S115)。
【0092】
この標準整定値に変更された系統保護検知条件により、FCシステム6が運転される(S116)。
【0094】
この第1の実施の形態では、次のような効果が得られる。
【0095】
(1) 停電検知手段の一例として電圧センサ14が備えられ、電圧センサ14から停電検知情報が得られる。開閉器16が備えられ、電圧センサ14の停電検知に基づき、分散型電源である蓄電システム4およびFCシステム6から系統電源10を解列させる。系統電源10を解列させた状態において、FCシステム6の系統保護検知条件が変更され、単独運転検知条件が緩和される。系統保護検知条件である単独運転検知条件が緩和されると、電力負荷12の急激な負荷電流の増大などにより、系統保護検知条件が標準整定値ではFCシステム6が単独運転検知となる電圧変化が生じても、単独運転検知を回避できる。これにより、継続的な発電動作が得られ、発電電力を電力負荷12に供給することができる。
【0096】
(2) 系統連系に用いられる分散型電源では単独運転検知機能を備えることが不可欠であり、系統連系規程を充足することが求められている。しかし、解列状態では単独運転検知機能を働かせる必要はなく、その機能が停止状態となっている。つまり、単独運転検知機能を無効にしても系統連系規程に抵触しない。系統電源10の停電を検知して系統電源10から解列させる開閉器16を備えれば、開閉器16が開状態に移行すると、解列状態にある配電系統8にある分散型電源たとえば、FCシステム6では、単独運転検知機能が不要となる。系統電源10の停電時、系統電源10から切り離されたFCシステム6の単独運転検知条件を変更し、緩和ないし無効化させても問題はない。FCシステム6側では自由な制御を行うことができ、FCシステム6の単独運転検知を回避できる。
【0097】
このような制御状態に移行したFCシステム6では、系統保護検知条件である単独運転検知条件を変更した状態で電力負荷12による電力品質の低下を生じても、FCシステム6が単独運転検知をすることなく発電を継続でき、給電システム2の発電電力を利用可能となる。
【0100】
図10は、第2の実施の形態の給電システムを示している。この実施の形態の給電システム2では蓄電システム4側に電流センサ58、制御部60が備えられている。電流センサ58は、電力供給センサの一例である。配電系統8が開閉器16により系統電源10から切り離されたとき、この電流センサ58が配電系統8に対し、蓄電システム4から電力が供給されているか否かを電流の有無により検出する。
【0101】
制御部60には電圧センサ14および電流センサ58のセンサ出力が加えられている。制御部60はこれらセンサ出力を受け、系統電源10の停電時、蓄電システム4からの電力供給を監視する。そして、系統電源10の停電時、蓄電システム4から電力供給が行われていなければ、INV18を制御し、配電系統8に対する蓄電池20の給電を開始させる。
【0102】
制御部60にはFCシステム6の制御部26が連系されている。制御部26には制御部60から蓄電システム4の電力供給の有無が通知される。この実施の形態では電圧センサ14の出力が制御部60に入力されているが、第1の実施の形態と同様に制御部26に入力する構成でもよい。いずれにしても、制御部26では、系統電源10の停電時、蓄電システム4からの電力供給があることが認識できればよい。
【0103】
<蓄電システム4およびFCシステム6の制御機能>
【0104】
図11は、蓄電システム4およびFCシステム6の制御機能を示している。この実施の形態では、蓄電システム4には状態監視機能62および出力状態監視機能64が含まれる。状態監視機能62は、電圧センサ14のセンサ出力を監視し、このセンサ出力から系統電源10の状態として系統連系、停電、または停電からの復電の各状態を判断する。その監視出力が蓄電システム4から通知機能によりFCシステム6の状態判断機能30に通知される。
【0105】
出力状態監視機能64は、電流センサ58のセンサ出力を監視し、このセンサ出力から蓄電システム4の状態として出力状態、出力解除状態の各状態を判断する。電流センサ58は配電系統8に設置されているので、系統電源10が給電状態にあれば、電流センサ58のセンサ出力には系統電源10からの電流が検出される。しかし、系統電源10が解列していれば、蓄電システム4の出力電流が電流センサ58に検出される。そして、出力状態監視機能64の監視出力がFCシステム6の状態判断機能30に通知される。
【0106】
この実施の形態の状態判断機能30では状態監視機能62および出力状態監視機能64の双方の監視出力から、停電時、蓄電システム4から電力が配電系統8に出力されているか否かを判断することができる。これにより、保護条件変更の適正な制御を行うことができる。
【0107】
その他の機能は既述の通りであるので、同一符号を付し、その説明を割愛する。
【0109】
(1) 系統連系状態から停電に移行する場合
【0110】
図12は、系統連系状態から停電に移行する場合の処理手順を示している。この処理手順は、本発明の給電システムの給電制御プログラムおよび給電制御方法の一例である。
【0111】
この処理手順には、蓄電システム4側の制御C1およびFCシステム6側の制御C2が含まれる。蓄電システム4では、系統連系時、系統電源10の停電監視を実行する(S201)。この停電監視では、電圧センサ14のセンサ出力により系統電源10が停電したか否かの判断を行う(S202)。系統電源10が停電していなければ(S202のNO)、停電監視(S201)を継続する。
【0112】
停電であれば(S202のYES)、開閉器16が開かれ(S203)、配電系統8から系統電源10が解列する。
【0113】
蓄電システム4の出力状態監視が実行される(S204)。この出力状態監視では、蓄電システム4の蓄電池20から電力が供給されているかを判断する(S205)。この判断には電流センサ58のセンサ出力が参照される。
【0114】
蓄電システム4からの電力供給がなければ(S205のNO)、蓄電システム4の蓄電池20から電力を供給する(S206)。この供給制御は制御部60により実行する。
【0115】
蓄電システム4からの電力供給があれば(S205のYES)、制御部60から制御出力(系統保護検知条件の変更指令)が制御部26に通知される(S207)。
【0116】
これにより、制御部26では、系統保護検知条件を標準整定値から条件緩和整定値に変更する(S208)。
【0117】
この条件緩和整定値に変更された系統保護検知条件により、FCシステム6が運転される(S209)。
【0118】
(2) 停電状態から復電(系統連系)に移行する場合
【0119】
図13は、停電状態から復電に移行する場合の処理手順を示している。この処理手順は、本発明の給電システムの給電制御プログラムおよび給電制御方法の一例である。
【0120】
停電状態では、系統電源10の復電監視が実行される(S211)。この復電監視では、電圧センサ14のセンサ出力により復電したか否かを判断する(S212)。復電していなければ(S212のNO)、復電監視(S211)が継続して行われる。
【0121】
復電であれば(S212のYES)、開閉器16が閉じられる(S213)。これにより配電系統8に系統電源10が接続され、系統電源10から給電が行われる。
【0122】
FCシステム6の制御部26に制御部60から制御出力(系統保護検知条件の変更指令)が通知される(S214)。
【0123】
これにより、制御部26では、系統保護検知条件を条件緩和整定値から標準整定値に変更する(S215)。
【0124】
この標準整定値に変更された系統保護検知条件により、FCシステム6が運転される(S216)。
【0126】
(1) この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様にFCシステム6の発電の継続性が高められ、電力負荷12に対する発電電力の有効利用を図ることができる。
【0127】
(2) 電力負荷12に対し、FCシステム6から発電電力が供給されるので、蓄電システム4の蓄電池20の消耗を低減することができる。
【0128】
(3) この実施の形態では、蓄電システム4の制御部60を媒介として制御部26で単独運転検知条件を変更するので、蓄電システム4側の動作および制御と、FCシステム6側の動作および制御とを独立させることができる。制御の信頼性が高められる。
【0130】
(1) 第1の実施の形態では、FCシステム6の制御部26でFCシステム6側の運転制御を行っているが、
図14に示すように、FCシステム6の運転制御を蓄電システム4の制御部60で担当させてもよい。
【0131】
(2) 第2の実施の形態では、FCシステム6に制御部26、蓄電システム4に制御部60を備え、保護条件の変更を制御部26側で実行しているが、
図15に示すように、制御部26、60に連携する外部制御部66を備えてもよい。この外部制御部66は、パーソナルコンピュータなどで構成したとえば、
図4に示すハードウェアで構成すればよい。この外部制御部66では、
図3に示す機能や、
図11に示す機能を備えればよい。そして、FCシステム6側の保護条件の変更およびその制御を外部制御部66で行えばよい。斯かる構成によっても、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
【0132】
(3) 他の実施の形態としてたとえば、
図16に示すように、系統電源10と蓄電システム4の入力端との間に開閉器68を備えてもよい。この開閉器68を開き、給電システム2から系統電源10を人為的に切り離すことが可能なシステムを構成できる。たとえば、電力負荷12が小さい場合には、系統電源10から配電系統8を切り離し、給電システム2の電力を以て電力負荷12に給電することができる。この場合、電圧センサ14は給電システム2の自立運転検知手段の一例である。つまり、電圧センサ14には系統電源10から給電システム2が切り離された状態である自立運転検知として系統電源10からの電圧入力が解除されたことを検知する。この検知出力に基づき、給電システム2の自立運転時には、既述した系統電源10の停電時と同様の制御が行われる。その制御内容の詳細は既述のとおりであるので、その説明は割愛する。
【0133】
このような構成としても、FCシステム6などの定置用発電機器と蓄電システム4とを組み合わせて停電に対応可能な給電システムを構成できる。そして、電力負荷12が急変した際に電圧波形が乱れても定置用発電機器が単独運転検知することなく運転を継続でき、発電出力を有効に利用できる。
【0134】
(4) 上記実施の形態では、第1の保護条件を緩和した第2の保護条件を例示したが、第2の保護条件は、第1の保護条件を無効化する条件であってもよい。
【0135】
(5) 上記実施の形態では、分散電源として定置用発電機器であるFCシステム6を例示したが、太陽光発電システムなどの太陽光や、エンジン発電システムであってもよい。
【0136】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。