(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893009
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】変形可能なチューブから物質を分配するための装置
(51)【国際特許分類】
B65D 35/28 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
B65D35/28
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-513383(P2013-513383)
(86)(22)【出願日】2011年6月3日
(65)【公表番号】特表2013-527095(P2013-527095A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011039113
(87)【国際公開番号】WO2011153462
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】61/351,582
(32)【優先日】2010年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】フランク, ジョン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】モリネ, マイケル シー.
(72)【発明者】
【氏名】トロッター, バイロン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォルク, ダイアン アール.
【審査官】
高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06669055(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0218229(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第0521200(EP,A2)
【文献】
特開2003−226374(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/032309(WO,A1)
【文献】
特開平07−172447(JP,A)
【文献】
実開昭60−167756(JP,U)
【文献】
米国特許第6315165(US,B1)
【文献】
米国特許第7077292(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能なチューブから物質を分配するための装置であって、
上部分及び底部分を有し、2つのシェル部品で構成されるシェルを含み、前記シェルが、変形可能なチューブを受容するために適した区画を画定し、その上部分に開口を有しており、
各シェル部品が、(i)周囲の溝によって取り囲まれた加圧部分であって、前記周囲の溝は、前記シェル部品の残部から前記加圧部分を分離すると共に、前記シェル部品の前記残部によって取り囲まれる、加圧部分と、(ii)前記底部分に配置されたヒンジであって、前記加圧部分が前記シェル部品の前記残部から独立して動作可能となるように前記加圧部分を前記シェル部品に接合するヒンジと、を含み、前記加圧部分の内表面が、変形可能なチューブを前記チューブの底部から前記チューブの上部へ絞るように構成された加圧機構を有し、前記加圧機構が、その上部よりその底部でより厚みがある、装置。
【請求項2】
変形可能なチューブから物質を分配するための装置であって、
上部分及び底部分を有するシェルを含み、前記シェルが、変形可能なチューブを受容するために適した区画を画定し、その上部分及びその底部分に開口を有しており、
前記シェルが(i)2つの加圧部分であって、各加圧部分が、周囲の溝によって取り囲まれ、前記周囲の溝は、前記シェルの残部から前記各加圧部分を分離すると共に、前記シェルの前記残部によって取り囲まれる、2つの加圧部分と、(ii)前記シェルの前記底部分に配置されたヒンジであって、前記各加圧部分が前記シェルの前記残部から独立して動作可能となるように前記各加圧部分を前記シェルに接合するヒンジと、を有し、前記各加圧部分の内表面が、変形可能なチューブを前記チューブの底部から前記チューブの上部へ絞るように構成された加圧機構を有し、前記加圧機構が、その上部よりその底部でより厚みがある、装置。
【請求項3】
前記加圧機構が、内部補強材を含む変形可能なチューブの前記内部補強材に対して加圧するように構成される、請求項1又は2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2010年6月4日に出願された米国特許仮出願第61/351582号の利益を主張するものであり、その開示の全体は本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、例えば接着剤などの物質を変形可能なチューブから分配するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
変形可能なチューブ(例えば、アルミニウムチューブ)は、例えば接着剤などの液体及びゲルを収容し、分配するために使用されることが多い。しかしながら、変形可能なチューブから出る接着剤又は他の物質の流量を調節することは困難なことがある。したがって、これらのチューブから接着剤を分配することは、厄介であり、接着剤の無駄を生じることがある。更に、ユーザーはチューブを正しい領域で絞らないことがあり、接着剤の一部はチューブの底部に閉じ込められて残ることがある。
【0004】
変形可能なチューブからの液体及びゲルの送達を制御しようとして、様々な装置が開発されてきた。典型的にこれらの装置は、ボタン又は把持つめ(gripping jaw)を有する容器又はケーシングを含む。変形可能なチューブは、容器又はケーシング内に配置され、次にボタン又はつめが作動されて、比較的制御された方法でチューブの中身が押し出される。このような装置の例は、米国特許出願公開第2007/0218229号(Nagahamaら)及び同第2009/0179031号(Chen)、並びに欧州特許出願公開第0 521 200号に記載されている。ただし、多くの場合に、これらの装置は、多数の部品を含み、比較的高価であり、製造及び/又は組み立てが複雑である。
【0005】
変形可能なチューブからの制御された送達を提供するために開発されてきた別の方法には、チューブ内に内部補強材を配置すること(例えば、貫通開口又は開放コイルを有するチューブ)が含まれる。内部補強材は、バネのように働き、チューブを絞った後にチューブの壁が元に戻るのを助ける。おそらく、これによりチューブ内部に真空状態が生み出され、それによって接着剤が吸い戻されて流動が止まる。しかしながら、内部補強材は、より高粘度の接着剤がチューブの底部に閉じ込められる問題には対処していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記を考慮すると、変形可能なチューブから接着剤などの物質を分配するための改善された装置を求める必要性があることが分かる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡単に言うと、一態様では、本発明は、上部分及び底部分を有し、2つのシェル部品で構成される、シェルを含む、変形可能なチューブから物質を分配するための装置を提供する。シェルは、変形可能なチューブを受容するために適した区画を画定し、その上部分にチューブの放出口が延出可能な開口を有する。各シェル部品は、加圧部分を取り囲む溝と、加圧部分をシェル部品に接合する底部分に配置されたヒンジとを有する加圧部分を含む。加圧部分の内表面は、変形可能なチューブをチューブの底部からチューブの上部へ絞るように構成された加圧機構を有する。
【0008】
別の態様では、本発明は、変形可能なチューブから物質を分配するための別の装置を提供する。装置は、上部分及び底部分を有するシェルを含む。シェルは、変形可能なチューブを受容するために適した区画を画定し、その上部分とその底部分とに開口を有する。シェルは、2つの加圧部分を含む。各加圧部分は、加圧部分を取り囲む溝と、加圧部分をシェルに接合するシェルの底部分に配置されたヒンジとを有する。各加圧部分の内表面は、変形可能なチューブをチューブの底部からチューブの上部へ絞るように構成された加圧機構を有する。
【0009】
更に別の態様では、本発明は、内部補強材を含む変形可能なチューブから物質を分配するための装置を提供する。装置は、上部分及び底部分を有し、2つのシェル部品で構成される、シェルを含む。シェルは、変形可能なチューブを受容するために適した区画を画定し、その上部分に開口を有する。各シェル部品は、加圧部分を取り囲む溝と、加圧部分をシェル部品に接合する底部分に配置されたヒンジとを含む。加圧部分の内表面は、内部補強材を含む変形可能なチューブの補強材に対して加圧するように構成された加圧機構を有する。
【0010】
更に別の態様では、本発明は、内部補強材を含む変形可能なチューブから物質を分配するための別の装置を提供する。この装置は、上部分及び底部分を有するシェルを含む。シェルは、変形可能なチューブを受容するために適した区画を画定し、その上部分及びその底部分に開口を有する。シェルは、2つの加圧部分を含む。各加圧部分は、加圧部分を取り囲む溝と、加圧部分をシェルに接合するシェルの底部分に配置されたヒンジとを有する。加圧部分の内表面は、内部補強材を含む変形可能なチューブの補強材に対して加圧するように構成された加圧機構を有する。
【0011】
本発明は、上記のようなディスペンサーであるが、加圧部分が1つしかないディスペンサーも提供する。このような実施形態では、シェルの内表面の少なくとも一部(例えば、加圧部分の向かい側にある内表面)は、好ましくは加圧部分にある加圧機構と同様の加圧機構を含む。
【0012】
本明細書で使用する場合、
「上部」は、変形可能なチューブを装置内に配置するとき、変形可能なチューブの放出口が延出するであろう装置の末端部を一般的に指すよう使用され、「上部分」は、装置の上半分を一般的に指すよう使用される。
「底部」は、装置の上部の反対側にある装置の末端部を一般的に指すよう使用され、「底部分」は、装置の下半分を一般的に指すよう使用される。
「内表面」又は「内側」は、変形可能なチューブを装置の区画内に配置するとき、チューブに面する表面又は領域を指すよう使用される。
「外表面」又は「外側」は、変形可能なチューブを装置の区画内に配置するとき、チューブから見て外方向の表面又は領域を指すよう使用される。本発明の装置は、変形可能なチューブから液体及びゲル接着剤などの物質を高精度で分配すると同時に、接着剤の無駄も最小限に抑える。有利なことに、本発明の装置は、人間工学的な単純な構成であり、製造及び組み立てが容易であり、比較的低コストである。したがって、本発明の装置は、変形可能なチューブから接着剤などの物質を分配するための改善された装置を求める当該技術分野における要望を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】変形可能なチューブから物質を分配するための本発明の装置に有用なシェル部品の内表面及び外表面を示す。
【
図1B】変形可能なチューブから物質を分配するための本発明の装置に有用なシェル部品の内表面及び外表面を示す。
【
図2】変形可能なチューブから物質を分配するための本発明の装置に有用な別のシェル部品を示す。
【
図3】変形可能なチューブから物質を分配するための本発明の装置に有用なシェルを示す。
【
図4】内部補強材を含む変形可能なチューブから物質を分配するための本発明の装置に有用なシェル部品の内表面を示す。
【
図5】変形可能なチューブから物質を分配するための本発明の装置に有用な別のシェル部品を示す。
【
図6】内部補強材を含む変形可能なチューブから物質を分配するための本発明の装置に有用な別のシェル部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
変形可能なチューブから物質を分配するのに有用な本発明の装置の一実施形態は、変形可能なチューブを受容するための区画を画定し、上部にチューブの放出口用の開口を有する、シェルを含む。シェルは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリスチレンなどの、プラスチック材料から典型的に製造される。好ましくは、シェルはポリプロピレン製である。
【0015】
シェルは、共に噛み合ってシェルを形成し、チューブ区画を画定する、2つのシェル部品を含む。いくつかの実施形態では、シェル部品は、ほぼ等しい大きさの対をなす片方である。いくつかの好ましい実施形態では、2つのシェルの片方は同一である。
図1は、本発明の装置に有用なシェル部品の片方の例を示す。
図1Aは、シェル部品100の外表面を示し、
図1Bは、シェル部品100の内表面を示す。
【0016】
シェル部品100は、ヒンジ104によりシェル部品100の底部でシェル部品100の残部に接合され、周囲の溝106で囲まれた、加圧部分102を含む。好ましくは、加圧部分は、シェル部品の一体化部分である(すなわち、別個の部品ではない)。
図1に示されるように、ヒンジ104は、リビングヒンジ(すなわち、2つの比較的剛性の物体を共に接合するプラスチックの薄い可撓性ウェブ)である。ただし、他の実施形態では、加圧部分は、シェル部品の一体化部分でなくてもよい。このような実施形態では、加圧部分は、可動構成要素を含む機械的ヒンジによりシェル部品に取り付けられ得る。加圧部分は、例えば、一般的に三角形、方形、多角形、又は楕円形状の、いずれか有用な形状を有していてもよい。いくつかの実施形態では、加圧部分は、区画内に配置される変形可能なチューブの幅とほぼ同じ幅である。他の実施形態では、加圧部分は、変形可能なチューブより幅が狭いか、又は幅が広い。
【0017】
変形可能なチューブから物質を分配するとき、できる限り完全に物質を使用してチューブの底部に未使用の物質を閉じ込めないために、チューブをその底部からその上部へ系統的に絞ることが重要である。したがって、加圧部分は、シェル部品の底部分にヒンジで取り付けられており、加圧部分の内表面は、変形可能なチューブをチューブの底部からチューブの上部へ絞るように構成された加圧機構を有する。チューブの底部から上部に向けて絞ることにより、チューブの中身の分配に必要なチューブの量だけが絞られるため、分配の精度が著しく向上する。
【0018】
いくつかの実施形態では、
図2のシェル部品200のように、加圧機構208は、その上部(幅「B」)よりその底部(幅「A」)により厚いリブを含む。他の実施形態では、加圧機構は、固体面、ボス、網状線、又はいずれか他の有用な構成を含む。加圧機構がチューブを平らにしてチューブからできる限り多くの物質を絞り出せるように、ヒンジをできる限りチューブの近くに配置することも有利なことがある。したがって、
図2に例示した実施形態などのいくつかの実施形態では、ヒンジ(204)の回転軸は、チューブの底部付近でよりよく回転できるようにシェル部品の内表面に配置される。ただし、
図5に例示した実施形態などの他の実施形態では、ヒンジ504の回転軸は、シェル部品の外表面に配置される。
【0019】
好ましくは、変形可能なチューブから物質を分配するための装置は、チューブを支持し、好ましくは装置の組み立て及び使用時にチューブが回転することを防ぐ、チューブ支持機構を含む。シェル部品100は、シェル部品100の底部付近に配置されたチューブ支持機構110を含む。支持機構110は、チューブの底部を支持する。支持機構110は、チューブの底部を支持する棚の役目をする。他の実施形態では、支持機構は、チューブを挟んで適所に保持するように角度がついた、シェル部品の一部であってもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、シェルの上部分は、分配ノズルを適所にねじで留めるための機構をシェルの首部の周囲に含む。例えば、
図3に例示したようなシェル301は、分配ノズル(図示なし)を適所にねじで留め得るように一端に角度がつけられた固定傾斜面312を(開口318の首部に)含む。一旦ノズルが変形可能なチューブ(図示なし)上のねじ山と嵌合して固定傾斜面312上を通過すると、ノズルは適所に固定され、それによって、ノズル、チューブ、及びシェル301間の相対回転が防止されるであろう。更に、ノズルは、チューブから取り外されなくてもよい。
【0021】
2つのシェル部品は、好ましくは必ずしも同一ではないが、共に噛み合って変形可能なチューブの区画を形成する。シェル部品は、ピン及びボス又はスナップなどの噛合機構を含むことができる。例えば、
図1のシェルの片方100は、ピン114及びボス116を含む。あるいは、又は更に、シェルの片方同士を共に接着又は超音波溶接してもよい。
【0022】
本発明の装置内に配置される変形可能なチューブは、例えば、金属又はプラスチックなどの、いずれか好適な変形可能な材料で製造されてもよい。変形可能なチューブは、多くの液体、ゲル、及びペースト様物質を収容及び分配するために使用され得る。これらのチューブは、通常、例えば、接着剤、練り歯磨き、化粧品、充填材、マスチック、パテ(例えば、木材又は自動車修理用)、軟膏、膏薬などの物質と共に使用される。好ましくは、変形可能なチューブは、例えば、アルミニウム合金などの、柔軟で押しつぶし可能な金属から製造される。
【0023】
チューブの底部は、典型的に開けたままにされ、チューブの中身を充填するために使用される。充填後、チューブの底部は閉じられ、圧着又は封止される。金属チューブは、典型的に圧着され、その後、チューブの平坦部分がS字折り又は重複折りに折り畳まれてもよい。プラスチックチューブは、熱を使用して単に圧着して閉じてもよく、又は超音波溶接されてもよい。
【0024】
例えば、米国特許出願公開第2009/0001098号に開示されているように、変形可能なチューブは内部補強材と共に提供されることがある。したがって、本発明は、内部補強材を含む変形可能なチューブから物質を分配するための装置も提供する。この装置は、典型的に(チューブの底部から絞り上げる、補強材のないチューブ用に設計された装置に対して)補強材を含むチューブ部分を絞るように構成される。
【0025】
図4に示されるように、この変形可能なチューブから物質を分配するための装置は、上記の装置と非常によく似ている。ただし、シェル部品400の加圧部分の内表面は、(例えば、チューブの中央部分で)内部補強材に対して加圧するように構成された加圧機構408を有する。加圧機構408は、例えば、その上部(幅「B」)又は底部(幅「A」)よりその中央部(幅「C」)でより厚みがある。
【0026】
図6は、内部補強材を含む変形可能なチューブから物質を分配するための本発明の装置の別の実施形態を示す。この実施形態では、加圧機構708は、ディスペンサーの中央上部部分(幅「D」)で最も幅が広い。
【0027】
内部補強材を含む変形可能なチューブから物質を分配するための本発明のいくつかの実施形態では、加圧機構は、補強材より下でも加圧するように構成される。
【0028】
本発明の装置は、その単純な構成のために製造が比較的容易かつ安価である。シェルの各片方は、例えば、一体成形として成形されてもよい。シェルの片方同士は同一であってもよく、したがって異なる成形型を必要としない。
【0029】
本発明の装置は、組み立ても容易である。チューブの放出口又はノズルがシェル部品の上部の半円形開口を通って延出するように、一方のシェル部品にチューブを配置することにより、2つのシェル部品を含む装置を変形可能なチューブと共に組み立てることができる。チューブ支持機構がある場合、チューブの底部をチューブ支持機構上に乗せることができる。次に、もう一方のシェル部品を最初の部品の片方と共に噛み合わせることで、シェルの区画にチューブを納めることができる。シェル部品は、噛み合う機構、溶接(例えば、超音波溶接)、接着剤、これらの組み合わせなどを使用して、共に固定することができる。
【0030】
シェルが単一部品で構成される本発明の装置も、組み立てが容易である。変形可能なチューブは、シェルの底部にある開口を通じて挿入され、放出口又はノズルが上部の開口を通って延出するようにシェル内に押し上げられ得る。所望により、その後、底部品を使用して底部の開口を閉止してもよい。装置を使用するまで放出口若しくはノズルを適所に維持するために、クリップを使用してもよく、又はチューブを適所に維持するために、ノズル若しくはキャップをねじ付きにしてもよい。
【0031】
本発明の装置は、変形可能なチューブから高粘度のゲル及びペーストだけでなく低粘度の液体も分配するのに好適である。いくつかの実施形態では、変形可能なチューブは、シアノアクリレート接着剤などの接着剤を収容する。
【0032】
本発明の装置は、加圧部分を指で単純に押すか又はやさしく絞ることで変形可能なチューブの中身を分配するように使用され得る。
【実施例】
【0033】
以下の実施例によって本発明の目的及び利点を更に説明するが、これらの実施例において記載される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不要に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0034】
(実施例1〜4)
Cartell Chemical Co.,Ltd,Chia−Yi Hsien,Taiwanから入手した金属チューブに、50,000cPのシアノアクリレートゲル接着剤4.5gを充填した。
図2に例示したような本発明のディスペンサーに金属チューブを配置した。接着剤が出なくなるまで両手を用いてディスペンサーを絞った。その後、分配された接着剤を計量した。結果を表1に示す。
【0035】
比較例C1〜C4
シアノアクリレートゲル接着剤をそれぞれ4g含有する、Henkel Consumer Adhesives,Avon,OHにより製造された、Loctite Super Glue Control(商標)ディスペンサー(モデル番号01−30380)4つを小売店で購入した。接着剤が出なくなるまで両手を用いてディスペンサーを絞った。その後、分配された接着剤を計量した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
本明細書中に引用される刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく本発明に様々な変更及び改変を行いうる点は、当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不要に限定されない点、また、こうした実施例及び実施形態はあくまで例として与えられるものであり、本発明の範囲は、本明細書において以下に記載される特許請求の範囲によってのみ限定されるものである点は理解すべきである。