(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行する移動体から撮影した前方画像の消失点又は当該消失点の近傍の点を基準点とし、前記基準点と前記前方画像中の特徴物との相対的な位置関係を示す表示オブジェクトを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記表示オブジェクトを含む前方画像を出力する出力手段と、
を備え、
前記生成手段は、前記基準点を始点として前記特徴物を通過する半直線上に位置する線分を含むよう前記表示オブジェクトを生成することを特徴とする画像処理装置。
前記生成手段は、前記基準点を始点として前記特徴物を通過する半直線上において、前記基準点から放射方向で移動する移動オブジェクトを含むよう前記表示オブジェクトを生成することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
前記生成手段は、前記基準点から前記特徴物までの区間と、当該特徴物から外周側の区間とで前記表示オブジェクトの表示態様を異ならせるよう生成することを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態のうちの一つを図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本発明の画像処理装置の実施形態を含む運転支援装置を搭載した車両の構成例を示す斜視図である。この
図1において、運転支援装置Sは、移動体である車両Vの車内天井に設置されているルームミラー101の前方側位置に単独のフロントカメラ1を設けている。フロントカメラ1の撮像方向Dcは、当該車両Vの進行方向の前方を撮像可能な姿勢で取り付けられている。なおこの例では、フロントカメラ1は、例えばユニバーサルジョイントを介した取付装置によって車両Vに取り付けられており、その撮像方向Dcはヨー方向(水平方向)とピッチ方向(垂直方向)のそれぞれの所定範囲で手動により可動となっている。このフロントカメラ1は、その姿勢の可動範囲内では、当該車両Vの中央前後方向を貫く車両軸の方向Dvを撮像範囲から外さない。
【0017】
図2は、運転支援装置Sのハードウェア構成例を示すブロック図である。この
図2において、運転支援装置Sは、フロントカメラ1、イメージングユニット2、ディスプレイ3、GPS13、車速センサ14を有している。
【0018】
フロントカメラ1は撮像手段に相当し、例えばCCD撮像素子などを利用して、上述した当該車両の進行方向の前方画像を撮像し、対応する信号をイメージングユニット2のCPU(後述)へ出力する機能を有する。なお、本実施形態の例では、このフロントカメラ1が十分に短い時間周期で時系列的に複数の画像フレームを撮像し続けることで、前方画像を動画の形式で撮像する。
【0019】
ディスプレイ3は表示手段に相当し、例えばLCDパネルなどで構成されて、イメージングユニット2のグラフィックコントローラ(後述)から入力された画像信号に基づき、上記フロントカメラ1で撮像された前方画像に後述の注意支援画像を重畳させた合成画像を表示する機能を有する。
【0020】
GPS13は、車両Vの現在地の測位を行い現在位置情報を取得するとともに、予め記憶している地図情報に基づいて所定の注意対象物(後に詳述する)の位置検出を行う機能を有する。
【0021】
車速センサ14は、当該車両Vの走行速度を検出する機能を有する。イメージングユニット2が備える後述のCPUは、この車速センサ14の検出信号に基づき、当該車両Vが停止中の状態であるか、もしくはどのくらいの走行速度で走行しているか、を識別することができる。
【0022】
イメージングユニット2は画像処理装置に相当し、CPU11、記憶装置12、グラフィックコントローラ15を有している。
【0023】
CPU11は、所定のプログラムの動作によって各種の演算を行うとともに、他の各部との間で情報の交換や各種の制御指示を出力することで、運転支援装置S全体を制御する機能を有する。
【0024】
記憶装置12は、ROM12a、RAM12b、及び記憶媒体12cを有する。ROM12aは、各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた情報記憶媒体である。RAM12bは、上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。記憶媒体12cは、例えばフラッシュメモリ、ハードディスクなどの不揮発性の情報記憶媒体である。
【0025】
グラフィックコントローラ15は、CPU11の制御によってビデオRAM(図示せず)及び上記GPS13などから画像データを取得し、この画像データに基づく画像信号を上記ディスプレイ3に表示させる機能を有する。なお、上述したように、本実施形態の例におけるこのグラフィックコントローラ15は、上記フロントカメラ1で撮像された前方画像に後述の注意支援画像を重畳させた合成画像データに基づく画像信号をディスプレイ3に出力する。また、本実施形態の例では、このグラフィックコントローラ15は、上記フロントカメラ1が動画形式で前方画像を撮像する際の時間周期とは無関係に、任意のタイミングで画像信号をディスプレイ3に表示させる。
【0026】
図3は、運転室から見た車窓風景及びこれに対応するディスプレイ3の表示の一例を示す図である。図示する例では、当該車両Vはほぼ直線の走行車線を走行しており、その走行方向前方にいる前方車両Vfに追従している状態を示している。ルームミラー101の裏側(進行方向側)に備えられているフロントカメラ1は、上記直線の走行車線と前方車両Vfを含んだ前方画像を撮像している。このとき、上述したように、フロントカメラ1の撮像範囲は当該車両Vの車両軸方向Dvを外さずに含んでいる。そして、ディスプレイ3は、フロントカメラ1が撮像した前方画像を表示している。
【0027】
ここで、上述したようにフロントカメラ1はその取り付け姿勢が可動であるため、図示する例のように、その撮像方向Dcが車両軸方向Dvと平行な姿勢関係にない場合がある。このようなズレは、ユーザがフロントカメラ1を任意の位置に取り付けた場合や、手作業で取り付けた場合などにも生じうる。そこで本実施形態では、このようなフロントカメラ1の撮像方向Dcと車両軸方向Dvとの間のズレを考慮しつつ、動画形式の前方画像中で移動表示される所定の注意対象物の認識を適切に支援可能な注意支援画像の生成と表示を行う。以下、そのような注意支援画像の生成手法及び表示例を順次説明する。
【0028】
まず
図4は、上記
図3に示した姿勢状態のフロントカメラ1が撮像した前方画像をディスプレイ3に表示した場合の表示例を表している。なお、図示する例では、ディスプレイ3の表示領域に設定した表示座標X−Yの全体で前方画像を表示しており、すなわち表示座標X−Yが前方画像の画像座標と一致する。この
図4において、前方画像中には上記前方車両Vf以外にも、郵便ポスト51、2つの道路標識52,53、2つの信号機54,55、看板56、及び歩行者57が表示物として表示されている。
【0029】
また、上述したようにフロントカメラ1は、その姿勢の可動範囲内では当該車両Vの車両軸方向Dvを撮像範囲から外さないことから、前方画像の表示座標X−Y中には必ず移動表示基準点P2が存在する。この移動表示基準点P2とは、前方画像中において当該車両Vのその時点の進行方向の無限遠方移動位置(その時点に表示されている前方画像での表示座標X−Y中において当該車両Vがそのままの進行方向で移動した場合に到達する予定位置)に相当する点であり、この点は常にその時点の略地平線(略水平線:
図4中では特に図示せず)と車両軸方向Dvの略延長線との交点上に位置するもので、これを消失点という。なお、この移動表示基準点P2が各請求項記載の基準点に相当する。
【0030】
そして当該車両Vが車両軸方向Dvへ向かって移動するに伴い、上述した前方画像中の全ての表示物は上記移動表示基準点P2を中心とした放射状に移動する。つまり、前方画像中の全ての表示物は、当該車両Vから遠方に離間している際にはいずれも移動表示基準点P2の近傍に位置している。そして、当該車両Vが移動表示基準点P2へ向かって移動するに従い、動画形式の前方画像中において各表示物は移動表示基準点P2を中心とした略放射状に配置される半直線上(図中の破線矢印参照)に沿って移動するよう表示される。
【0031】
以下においては、上記の郵便ポスト51を注意対象物Fに設定した場合を考える。注意対象物Fとは、当該車両Vの運転者や同乗者であるユーザに対して、前方画像中に表示される多くの表示物の中から特に見落とすことのないよう注意を促すべき表示物である。ここでは、一例として郵便ポスト51を注意対象物Fとしているが、これに限るものではない。他の例では道路標識、信号機、看板などの地物や、歩行者などの車両の速度と比較して十分に低速で移動するものであってもよい。なお注意対象物Fは各請求項に記載の所定の特徴物に相当する。特徴物は画像認識により検出可能な特徴部位を備えるものである。イメージングユニット2は、この特徴部位を画像認識して前方画像中から注意対象物Fを検出する。この注意対象物Fの設定方法としては、郵便ポストや道路標識などの所定の種類の特徴物をあらかじめ設定しておいてもよいし、GPS13が記憶している地図情報に基づいてこれから通過する予定の道路近傍に設置されている特徴物をあらかじめ指定して設定してもよいし、または、ユーザが前方画像中の特徴物をディスプレイ3に設けたタッチパネル(特に図示せず)上での直接接触やカーソルなどの指標により直接指定することで、指定された特徴物と同種の特徴物が注意対象物Fに設定してもよい。
【0032】
このようにして注意対象物Fとして設定された郵便ポスト51に対し、前方画像中におけるその注意を促すために
図5に示すような枠形状のマーカ61を注意支援画像として生成し、当該郵便ポスト51の表示領域を囲むように重畳表させることが考えられる。しかしこの場合には、イメージングユニット2のCPU11が前方画像の表示座標X−Yにおいて画像認識により郵便ポスト51の表示領域とその存在位置を検出するとともに、当該表示領域の大きさに合わせて枠形状マーカ61の大きさを算出し描画する処理を行わなければならない。これらの処理はいずれも計算量が多く、特に画像認識には処理時間が長くかかる。そのため、前方画像を動画形式で表示する場合にはそのフレームサイクルに間に合わず、
図5に示すように枠形状のマーカ61を重畳表示しても対応する郵便ポスト51が枠形状から大きく外れてしまい、ユーザからの注意が困難となる。
【0033】
そこで本実施形態では、注意支援画像を、上記移動表示基準点P2と注意対象物Fの存在位置との相対的な位置関係を幾何的に示すよう生成、表示する。具体的に本実施形態の例では、
図6に示すように、前方画像中において画像認識により検出した郵便ポスト51の表示領域の中心位置P3を存在位置とし、上記移動表示基準点P2とこの中心位置P3とを結ぶ線分G1で注意支援画像を生成し、表示する。そしてこのように生成、表示した注意支援画像の線分G1は、結果的に移動表示基準点P2を中心とした略放射状の図形で形成される。なお、この注意支援画像は各請求項に記載の表示オブジェクトに相当する。
【0034】
上述したように、動画形式の前方画像中に表示されるいずれの表示物も、当該車両Vの移動に伴い移動表示基準点P2を中心として放射状に移動表示する。つまり上記の注意支援画像として生成、表示される線分画像G1は、注意対象物Fである郵便ポスト51の前方画像中における移動軌跡を示す。このため、画像認識により検出した郵便ポスト51の中心位置P3が、前方画像の最新画像フレームにおける中心位置と多少ずれた場合でも、郵便ポスト51は注意支援画像の線分G1の延長上に位置するため、視覚的にそのズレの補間が容易であり、ユーザは自然かつ直感的に郵便ポスト51を認識できる。これは、車両Vの移動速度と比較して十分に遅い歩行者などを注意対象物Fとしても、同じ効果が得られる。
【0035】
ここで、前方画像の表示座標X−Yにおける上記移動表示基準点P2の位置は、多くの場合表示座標X−Yの中央位置から外れて、その時点のフロントカメラ1の撮像方向Dcがどの方向に向いているかによって異なってくる。本実施形態では、表示座標X−Y中における移動表示基準点P2の位置を、以下に説明する平均消失点の算出により取得する。
【0036】
まず
図7は、上記
図3に示した姿勢状態のフロントカメラ1が撮像した前方画像をディスプレイ3に表示した場合の表示例を表している。なお、図示の煩雑をさけるために、前方車両Vfだけを表示物として表示している。この
図7において、上述したようなフロントカメラ1の撮像方向Dcと車両軸方向Dvとの間のズレがある場合には、ディスプレイ3の表示座標X−Yの中央位置、つまり図中の縦方向、横方向それぞれの中心線Lv,Llの交点位置が、車両軸方向Dvから離れている。この場合には、前方画像は中心線Llに対する左右方向の対称性を損なっており、例えば実際に車両Vが直線状の走行車線を走行している場合でも、その走行車線を挟んで左側と右側にそれぞれ表示される表示物どうしは、その前方画像中における移動の方向と速度が走行車線に関して非対称となっている。
【0037】
これに対し、図示する例のように直線状の走行車線を走行している際に撮像した前方画像中においては、走行車線の無限遠方点に相当する車線消失点P1が、常にその時点の略地平線(略水平線)と車両軸方向Dvの略延長線との交点上に位置する。つまり、このように直線状の走行車線を走行している際の車線消失点P1の位置は、上記移動表示基準点P2の位置と一致する。
【0038】
上記車線消失点P1を検出する手法としては、まず図示するように実際の走行車線の両側に塗布されている白線や、路面と縁石との境界線や、又はアスファルト道路の縁部などを前方画像の画像解析により検出し、当該走行車線の輪郭を形成する2本の車線輪郭線Lrとして認識する。そして、これら2本の車線輪郭線Lrの車両進行方向の延長線上の交点が、前方画像上における上記車線消失点P1として検出される。
【0039】
ここで例えば
図8に示すように、走行車線がカーブ状である場合には、上記2本の車線輪郭線Lrも、前方画像上におけるそのカーブの方向と曲率に合わせて認識される。なお、特に図示しないが、このカーブの曲率が途中で変化する場合には、当該車両Vの手前側の曲率を優先して2本の車線輪郭線Lrが認識される。そして手前側の曲率に基づいた近似式でカーブの延長線を算出し、それらの交点位置が車線消失点P1として検出される。
【0040】
当該車両Vが多様な形状の走行車線を長く走行し、上記車線消失点P1を多数検出して記録した場合には、それら車線消失点P1の平均位置に位置する平均消失点P2は統計的に車両軸方向Dvの延長上と地平線上に近接する。つまり、表示座標X−Y上における平均消失点P2の位置は、その時点のフロントカメラ1の撮像方向Dcに対応する上記移動表示基準点P2の固定位置と見なせる。このように本実施形態では、適切な注意支援画像を生成する前の準備作業として、車両Vが多様な形状の走行車線を走行して十分多くの車線消失点P1を検出し、それらに基づいて信頼性のある平均消失点P2を算出する。そしてこの算出された平均消失点P2が、その時点のフロントカメラ1の撮像方向Dcに対応する表示座標X−Y上の移動表示基準点P2として取得する。
【0041】
図9は、以上説明した動作態様を実現するために、イメージングユニット2のCPU11が実行する制御内容を表すフローチャートである。なお、このフローは、フロントカメラ1が動画の形態で前方画像を撮像している間に、例えば適宜の時間間隔で呼び出されて実行する。
【0042】
図9において、まずステップS5において、車速センサ14の検出信号に基づき当該車両Vが所定速度以上で走行しているか否かを判定する。当該車両Vが所定速度以上で走行している場合には、判定が満たされ、ステップS10へ移る。
【0043】
ステップS10では、その時点でフロントカメラ1が撮像した前方画像(静止画像フレーム)を取得する。
【0044】
ステップS15へ移り、前回フロントカメラ1の撮像方向Dcを設定してからそれに対応する表示座標X−Y上の平均消失点P2をすでに取得済みであるか否かを判定する。その時点の撮像方向Dcに対応する平均消失点P2をまだ取得できていない場合、判定は満たされず、ステップS20へ移る。
【0045】
ステップS20では、前回の車線消失点P1の検出から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、判定は満たされず、ステップS5に戻って同様の手順を繰り返す。このように車線消失点P1を検出する時間間隔を空けることで、検出する車線消失点P1の多様性を確保し、検出する平均消失点P2の信頼性を向上できる。
【0046】
一方、所定時間を経過した場合には、判定が満たされ、ステップS25へ移る。
【0047】
ステップS25では、上記ステップS10で撮像した前方画像中において、現在の走行車線における2本の車線輪郭線Lrを認識する。
【0048】
ステップS30へ移り、上記ステップS25で認識した2本の車線輪郭線Lrに基づいて、現在の走行車線における車線消失点P1を検知する。
【0049】
ステップS35へ移り、上記ステップS30で検出した車線消失点P1を記憶媒体12cに蓄積するよう追加記録する。
【0050】
ステップS40へ移り、その時点で既に信頼性の高い平均消失点P2を検出できるだけの十分な数で車線消失点P1を検出、記憶しているか否かを判定する。その時点でまだ検出数が十分でない場合、判定は満たされず、ステップS5へ戻り、同様の手順を繰り返す。
【0051】
一方、その時点で既に信頼性の高い平均消失点P2を検出できるだけの十分な数で車線消失点P1を検出、記憶している場合、判定が満たされ、ステップS45へ移る。
【0052】
ステップS45では、記憶媒体12cに記録されている全ての車線消失点P1を読み出す。
【0053】
ステップS50へ移り、上記ステップS45で読み出した全ての車線消失点P1の平均位置に位置する平均消失点P2を算出する。そして、ステップS5に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0054】
一方、上記ステップS15の判定において、その時点の撮像方向Dcに対応する平均消失点P2をすでに取得していた場合、判定が満たされ、ステップS55へ移る。
【0055】
ステップS55では、注意対象物Fが設定されているか否かを判定する。なお注意対象物Fはあらかじめ設定されていたり、又はユーザが設定可能であってもよい。また、地図情報に基づいた注意対象物Fの設定がある場合は、それが前方画像に表示されるほど近い位置に接近しているか否かも併せて判定してもよい。注意対象物Fが何ら設定されていない場合、もしくは地図情報に基づいて設定されていても前方画像に表示される程度にまだ接近していない場合には、判定は満たされず、ステップS5に戻って同様の手順を繰り返す。
【0056】
一方、注意対象物Fが設定済みであり、前方画像上に注意支援画像を表示させる必要がある場合には、判定が満たされ、ステップS60へ移る。
【0057】
ステップS60では、上記ステップS10で取得した前方画像において、注意対象物Fを画像認識により認識し、その表示領域の中心位置P3を当該注意対象物Fの存在位置として検出する。なお、このステップS60の手順が、各請求項記載の生成手段及び生成工程に相当する。
【0058】
ステップS65へ移り、表示座標X−Y上において平均消失点P2から注意対象物Fの中心位置P3までを結ぶ線分G1の画像を注意支援画像として生成する。なお、このステップS65の手順も、各請求項記載の生成手段及び生成工程に相当する。
【0059】
ステップS70へ移り、上記ステップS65で生成した注意支援画像の線分G1を前方画像に重畳表示させるようディスプレイ3に出力する。そして、ステップS5に戻り、同様の手順を繰り返す。なお、このステップS70の手順が、各請求項記載の出力手段及び出力工程に相当する。
【0060】
以上説明したように、上記実施形態のイメージングユニット2においては、走行する車両V(移動体に相当)から撮影した前方画像の平均消失点P2(消失点に相当)又はその近傍に位置する移動表示基準点P2(基準点に相当)と、前記前方画像中の所定の注意対象物F(所定の特徴物に相当)との相対的な位置関係を示す注意支援画像(表示オブジェクトに相当)としての線分画像G1を生成するステップS60、S65の手順(生成手段に相当)と、前記ステップS60、S65の手順により生成された前記注意支援画像を含む前方画像を出力するステップS70の手順(出力手段に相当)と、を備える。
【0061】
また、上記実施形態のイメージングユニット2が実行する画像処理方法においては、走行する車両V(移動体に相当)から撮影した前方画像の平均消失点P2(消失点に相当)又はその近傍に位置する移動表示基準点P2(基準点に相当)と、前記前方画像中の所定の注意対象物F(所定の特徴物に相当)との相対的な位置関係を示す注意支援画像(表示オブジェクトに相当)としての線分画像G1を生成するステップS60、S65の手順(生成工程に相当)と、前記ステップS60、S65の手順により生成された前記注意支援画像を含む前方画像を出力する出力工程と、を実行する。
【0062】
このようにすると、車両Vのその時点の進行方向への移動に伴って、前方画像中の全ての表示物は、移動表示基準点P2又はその近傍から当該前方画像の外周側へ移動表示される。そして、移動表示基準点P2と注意対象物Fの中心位置P3との相対的な位置関係を示す注意支援画像G1は、当該注意対象物Fの前方画像中における移動方向を概略的に示す画像となる。このため、処理時間が比較的長くかかる画像認識により検出した注意対象物Fの中心位置P3が、最新の画像フレームにおける同一の注意対象物Fの中心位置から多少ずれた場合でも、ユーザは注意支援画像G1を参照することにより前方画像中における注意対象物Fの位置を直感的に把握できる。この結果、車両Vから撮像した画像中の所定の注意対象物Fに対する注意を適切に支援できる注意支援画像の重畳表示が可能となる。
【0063】
上述した構成に加えてさらに、ステップS65の手順では、前記前方画像において前記移動表示基準点P2を中心とした略放射状の図形で前記注意支援画像G1を生成してもよい。
【0064】
このようにすると、略放射状の図形で生成された注意支援画像G1は、注意対象物Fの前方画像中における移動軌跡とほぼ重複する。このため、画像認識により検出した注意対象物Fの中心位置P3が、前方画像の最新画像フレームにおける同一の注意対象物Fの中心位置と多少ずれた場合でも、注意対象物Fは注意支援画像G1の延長上に位置するため、視覚的にそのズレの補間が容易であり、ユーザは自然かつ直感的に注意対象物Fを把握できる。
【0065】
上述した構成に加えてさらに、前記前方画像中において、前記車両Vが走行する走行車線の左右両側に位置して当該走行車線の輪郭を形成する2本の車線輪郭線Lrを認識するステップS25の手順と、前記2本の車線輪郭線Lrのそれぞれの前記進行方向の延長線上の交点を車線消失点P1として検知するステップS30の手順と、前記ステップS30の手順で過去に検知した複数の前記車線消失点P1のそれぞれの平均位置に位置する平均消失点P2を算出してこれを前記ステップS65の手順で用いる前記移動表示基準点P2とするステップS50の手順と、を実行する。
【0066】
以上のような方法で平均消失点P2を算出すれば、フロントカメラ1の撮像方向Dcが任意の方向に向いている状態でも、精度よく消失点を特定し移動表示基準点P2とすることができる。このため、
図6に示すように郵便ポスト51の表示領域の中心位置P3と移動表示基準点P2とを結ぶ線分G1の向きは不変となり、郵便ポスト51は注意支援画像の線分G1の延長上に正確に位置するため、ユーザは自然かつ直感的に郵便ポスト51を認識できるという効果を最大に得ることができる。
上述した構成では、前記前方画像から得られる平均消失点P2を前記移動表示基準点P2としたが、他の方法で移動表示基準点P2を設定してもよい。例えば、他の方法で消失点を算出してもよいし、フロントカメラ1の撮像方向Dcがほぼ正確に設置されている場合は、前方画像の中心点を移動表示基準点P2としてもよい。どのような方法でも、正確な消失点の近傍を移動表示基準点P2に設定できれば、郵便ポスト51の表示領域の中心位置P3と移動表示基準点P2とを結ぶ線分G1の向きはほぼ不変となり、郵便ポスト51は注意支援画像の線分G1の延長上に位置するため、ユーザは自然かつ直感的に郵便ポスト51を認識できるという効果を得られる。
【0067】
上述した構成に加えてさらに、前記前方画像中の前記所定の注意対象物Fは、地物又は歩行者である。
【0068】
このようにすると、地物は地面に対して静止し、また歩行者は当該車両Vの速度と比較して十分に低速で移動するため、それらと当該車両Vとの間の相対速度はほぼ当該車両Vの車両速度と同等とみなすことができる。これにより、最新の画像フレームにおける同一の注意対象物Fの中心位置は、注意支援画像G1が示すそれら注意対象物Fの前方画像中における移動方向から大きく外れることがない。この結果、前方画像中における注意対象物Fの位置を直感的に把握するための注意支援画像G1の信頼性を確保できる。
【0069】
上述した構成に加えてさらに、ステップS65の手順は、前記平均消失点P2を始点として注意対象物Fの中心位置P3を通過する半直線上に位置する線分を含むよう前記注意支援画像を生成してもよい。
【0070】
このようにすると、注意支援画像として生成された線分画像G1は、注意対象物Fの前方画像中における過去の移動軌跡上もしくは将来の移動軌跡上にほぼ重畳一致する。このため、画像認識により検出した注意対象物Fの中心位置P3が、前方画像の最新画像フレームにおける同一の注意対象物Fの中心位置と多少ずれた場合でも、注意支援画像の線分画像G1が最新画像フレームにおける注意対象物Fと重複している可能性が高い。また、重複していない場合でも注意対象物Fは線分画像の延長上に位置するため、視覚的にそのズレの補間が容易であり、ユーザは自然かつ直感的に注意対象物Fを把握できる。また、線分画像G1で注意を支援するため、注意させる方向や領域を比較的狭い範囲で明確に特定して示すことができる。
【0071】
また、比較従来例の注意支援画像として上記
図5に示した枠形状マーカ61では、前方画像の画像フレームが切り替わって注意対象物Fが表示座標X−Y上を移動表示するに伴い、それに追従するように位置を変えて当該枠形状マーカ61の全体を再描画する必要があった。しかし、上記実施形態で
図6に示したように移動表示基準点P2と注意対象物Fの中心位置P3とを結ぶ線分画像G1で注意支援画像を生成、表示する場合には、注意対象物Fが表示座標X−Y上を移動してもそれに合わせて線分画像G1の放射方向の先端部分を延長するよう追加的に描画するだけでもよい。この場合には、線分画像G1の全体を再描画する必要がないため描画処理の負担が軽減されるだけでなく、適切な長さで先端部分を延長できれば画像認識による注意対象物Fの中心位置P3の検出を繰り返す必要がないため、注意支援画像G1の生成処理の負担も大きく軽減でき、全体の処理の高速化が可能となる。
【0072】
上述した構成に加えてさらに、前記車両Vに搭載されて撮像した前記前方画像を前記ステップS60、S65の手順で利用可能に供給するフロントカメラ1(撮像手段に相当)と、前記ステップS70の手順で出力した前記注意支援画像G1を含む前記前方画像を表示するディスプレイ3(表示手段に相当)と、を有してもよい。
【0073】
このようにすると、前方画像の撮像と、注意支援画像G1を重畳させた前方画像の表示までを、運転支援装置Sが一体的に単独で行うことができる。
【0074】
上述した構成に加えてさらに、前記ステップS60、S65の手順は、前記前方画像中に存在する表示物のうちユーザが任意に指定したものを前記注意対象物Fとして設定可能であってもよい。
【0075】
このようにすると、ディスプレイ3に設けたタッチパネル(特に図示せず)上での直接接触やカーソルなどの指標によりユーザが前方画像上で直接指定した表示物を注意対象物として設定できるため、注意対象物Fのリアルタイムでの設定が可能となり利便性が向上する。
【0076】
なお、上記実施形態では、上記
図6に示したように移動表示基準点P2から注意対象物Fの表示領域の中心位置P3までを結ぶ線分画像G1で注意支援画像を生成、表示したが、本発明はこれに限られない。例えば、
図10に示すように、移動表示基準点P2を始点として注意対象物F(図示する例の郵便ポスト51)の表示領域の中心位置P3を通過する半直線の画像G2で注意支援画像を生成、表示してもよい。この場合でも注意支援画像の半直線画像G2は、結果的に移動表示基準点P2を中心とした略放射状の図形となり、さらにこの半直線画像G2の全体は注意対象物Fの過去及び将来の移動軌跡全体を示して必ず注意対象物Fの表示領域に重複する。このため、ユーザに対して、上記実施形態での線分画像G1よりも確実に注意対象物Fに対する注意を促すことができる。
【0077】
また、上記半直線画像G2のうち移動表示基準点P2から注意対象物Fの中心位置P3までの区間と、当該中心位置P3から外周側の区間とで表示態様を異ならせるよう生成、表示してもよい。例えば、
図11中の半直線画像G2Aに示すように、移動表示基準点P2から注意対象物Fの中心位置P3までの区間で実線の態様で表示し、中心位置P3から外周側の区間で破線の態様で表示してもよい。このようにすると、注意支援画像G2Aの全体で注意対象物Fの過去及び将来の移動軌跡全体を示すことができるとともに、その移動軌跡全体のうちで注意対象物Fがその時点でおおよそどの位置にあるかを示すことができる。このため、ユーザに対して、上記の単純な半直線画像G2よりも明確に注意対象物Fに対する注意を促すことができる。
【0078】
また、注意支援画像を線分画像で生成する場合でも、例えば
図12に示すように、注意対象物Fの表示領域の大きさよりも少し長い程度の長さの線分画像G3で、注意対象物Fの中心位置P3に重複するように生成、表示してもよい。この場合には、線分画像G3が注意対象物Fの移動方向を簡略的に示しながら、その中心位置P3を特に注意させることができる。また、この線分画像G3の外周側に矢印の矢先を追加することで、線分画像G3全体が注意対象物Fの移動ベクトルのように見せることができ、前方画像における注意対象物Fの移動に対応した表現が可能となる。
【0079】
また以上においては、移動表示基準点P2を始点として注意対象物Fの表示領域の中心位置P3を通過する半直線上に位置する線分を含むよう注意支援画像を生成、表示したが、本発明はこれに限られない。例えば、
図13に示すように、それぞれ移動表示基準点P2を始点として注意対象物Fの表示領域を包絡する2本の線分G4を含む画像で注意支援画像を生成、表示してもよい。この場合でも2本の線分画像G4は、結果的に移動表示基準点P2を中心とした略放射状の図形となり、さらにこれら2本の線分画像G4の間の領域の全体は、注意対象物Fの表示領域の過去及び将来の遠近による縮尺も反映した通過範囲全体を示して必ず注意対象物Fの表示領域に重複する。このため、ユーザに対して、上記実施形態での線分画像G1よりも確実に注意対象物Fの存在範囲を把握させることができる。
【0080】
また、上記2本の線分画像G4とその間の領域のうち移動表示基準点P2から注意対象物Fの中心位置P3までの区間と、当該中心位置P3から外周側の区間とで表示態様を異ならせるよう生成、表示してもよい。例えば、
図14中のG4Aに示すように、2本の線分画像G4の間の領域において、移動表示基準点P2から注意対象物Fの中心位置P3までの区間と、中心位置P3から外周側の区間とで色(もしくは濃度)を変えて半透過色のペイント処理で表示してもよい。このようにすると、注意支援画像G4Aの全体で注意対象物Fの表示領域の過去及び将来の遠近による縮尺も反映した通過範囲全体を示すことができるとともに、その通過範囲全体のうちで注意対象物Fがその時点でおおよそどの位置にあるかを示すことができる。このため、ユーザに対して、上記の単純な2本の線分画像G4よりも明確に注意対象物Fに対する注意を促すことができる。
【0081】
また以上においては、移動表示基準点P2を中心として放射状となる位置に固定的に配置した注意支援画像を生成、表示したが、本発明はこれに限られない。例えば、
図15に示すように、移動表示基準点P2を始点として注意対象物Fの表示領域の中心位置P3を通過する半直線上において、移動表示基準点P2から放射方向で移動する移動オブジェクトG5を含む画像で注意支援画像を生成、表示してもよい。
図15に示す例では、移動表示基準点P2と注意対象物Fの中心位置P3とを結ぶ線分(図中の点線参照)上で、移動表示基準点P2から注意対象物Fの中心位置P3へ向かう方向に動的に移動する流星の形態の移動オブジェクトG5で注意支援画像を生成、表示している。この例に示す流星の移動オブジェクトG5は、先端と尾ビレで移動方向を表現し、前方画像中における注意対象物Fの移動よりも早い速度で流星を移動表示する。この場合には、注意対象物Fの移動軌跡と移動方向を動的なアニメーションで表現できる。なお、移動表示基準点P2と注意対象物Fの中心位置P3とを結ぶ線分(図中の点線参照)は表示してもよいし、表示を省略してもよい。また、流星の移動オブジェクトG5は、注意対象物Fの中心位置P3で止めてもよいし、そのまま注意対象物Fを追い越して前方画像の外周側まで移動させてもよい。
【0082】
また、従来比較例の注意支援画像として上記
図5に示した円形の枠形状マーカ61に対しても、
図16に示すように移動表示基準点P2を始点として注意対象物Fの表示領域の中心位置P3を通過する半直線(図中の破線参照)に沿って扁平させて注意支援画像G6を生成、表示してもよい。この場合でも楕円形の注意支援画像G6は、結果的に移動常時基準点P2を中心とした略放射状の図形となり、この楕円形画像G6の全体は注意対象物Fの過去及び将来の移動軌跡全体を概略的に示して必ず注意対象物Fの表示領域に重複する。このため、ユーザに対して、上記実施形態での線分画像G1よりも確実に注意対象物Fの存在範囲を把握させることができる。
【0083】
また以上においては、1つの静止画像の画像フレームにおいて検出される注意対象物Fの中心位置P3と、表示座標X−Y上で固定的に取得された移動表示基準点P2との間の相対的な位置関係を幾何的に示す図形で注意支援画像を生成、表示していたが、本発明はこれに限られない。例えば、動画形式の前方画像で時系列的に撮像された複数の画像フレームのうち、同一の注意対象物Fに対して過去の画像フレームと最新の画像フレームでそれぞれ検出した2つの中心位置P3を結ぶ線分を含むよう注意支援画像を生成、表示してもよい。この場合、例えば
図17に示すような線分画像G7が注意支援画像となり、この線分画像G7もまた結果的に移動表示基準点P2を中心とした略放射状の図形であって、移動表示基準点P2(
図17中では図示省略)と注意対象物Fの中心位置P3との間の相対的な位置関係を幾何的に示している(なお、図中の中心位置P4は、過去の画像フレームで検出した中心位置)。このため、この線分画像G7によっても注意対象物Fの移動方向を簡略的に示しながら、その中心位置P3を特に注意させることができる。また、この線分画像G7を生成するにあたっては移動表示基準点P2の設定を必要としないため、まだ十分な車線消失点P1が得られてない際に表示する注意支援画像として有用である。
【0084】
また、例えば
図18に示すように、上述したような移動表示基準点P2を中心とした略放射状の図形の注意支援画像(図示する例では線分画像G1)と、従来比較例の注意支援画像として上記
図5に示した枠形状マーカ61とを組み合わせて表示させてもよい。前方画像の画像フレームの撮像周期が十分長かったり、イメージングユニット2のCPU11の処理速度が十分速い場合には、図示するようにいずれの注意支援画像G1,61も正確な配置で生成、表示することができ、これらの組み合わせによってユーザに対する注意対象物Fの注意を最も明確に促すことができる。
【0085】
また、本実施形態の運転支援装置Sでは、注意支援画像G1〜G7を重畳させた前方画像をそのまま記憶媒体12cなどに記録しておき、後で再生させるドライブレコーダに適用してもよい。もしくは、記憶媒体12cには前方画像だけを記録しておいて、後の再生時や編集時などに初めて注意支援画像G1〜G7を生成、重畳させて表示したりさらにその重畳画像を記録してもよい。
【0086】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0087】
(1)第1変形例:前方画像を外部のデータベースに記憶させる場合
上記実施形態では、運転支援装置Sが自ら撮像した前方画像を利用して、自ら画像認識処理や注意支援画像の生成、表示を行ったりその前方画像を内部に備えた記憶媒体12cに記録させるいわゆるスタンドアローン型であったが、本発明はこれに限られない。例えば、
図19に示すように、運転支援装置S2が無線通信装置21(通信手段に相当)とアンテナ22を備え、中継局23(受信手段、送信手段に相当)との無線通信を介した通信ネットワークで外部のデータセンター24に備えたデータベースサーバ25(画像処理サーバに相当)に前方画像を送信し、そのデータベースサーバ25に前方画像の画像認識や注意支援画像の生成、さらにそれらの記録を行わせるいわゆるサーバ型としてもよい。そして、注意支援画像を重畳した前方画像をデータベースサーバ25から運転支援装置S2に返信して、そのディスプレイ3に表示させてもよい。または、注意支援画像のみをデータベースサーバ25から運転支援装置S2に返信して、運転支援装置S2が注意支援画像を前方画像に重畳して、そのディスプレイ3に表示させてもよい。
【0088】
これにより、運転支援装置S2の記憶媒体12cの方で過去の前方画像を誤って消去してしまった場合でも、データセンター24のデータベースサーバ25に記録させた前方画像と注意支援画像をバックアップとして利用できる。
【0089】
(2)第2変形例:電子携帯端末を利用して構成する場合
上記実施形態及び上記第1変形例は、いずれも車両Vに搭載する機器構成が運転支援装置S、S2だけであったが、本発明はこれに限られない。近年では市販のスマートフォンや電子書籍端末などの電子携帯端末31にカメラ、ディスプレイ、又はGPSを装備しているモデルが多く、これを例えば上記車速センサ14に接続されたクレードル32に着脱可能に取り付けて車両Vに搭載する場合がある(
図20参照)。そして、この電子携帯端末31に前方画像を撮像させ、同じ電子携帯端末31が備えるCPUに所定の画像認識処理や注意支援画像の生成を行わせることで、画像処理装置として機能させることができる。このような構成の画像処理装置においても、上記実施形態で例示した注意支援画像の生成、表示を行える。
【0090】
この場合には、電子携帯端末31が各請求項記載の画像処理装置に相当し、これに装備されているカメラが撮像手段に相当し、当該電子携帯端末31のCPUが処理する制御手順のうち注意支援画像を生成する手順が生成手段に相当し、注意支援画像を含む前方画像を出力する手順が出力手段に相当し、電子携帯端末31に装備されているディスプレイが表示手段に相当する。
【0091】
また、特に図示しないが、電子携帯端末31を利用した構成でも上述したサーバ型とすることは可能である。この場合には、電子携帯端末31に通信手段が備えられ、データセンター24のデータベースサーバ25が前方画像の認識や注意支援画像の生成、及びそれらを記録する画像処理サーバに相当する。
【0092】
なお、以上説明した実施形態、第1変形例、及び第2変形例はいずれも必要とする基本的なハードウェア構成要素及びソフトウェア処理内容は同じであり、構成機器間におけるそれらの分担が相違するだけである。これらの分担の主な例を
図24と
図25に示す。
【0093】
まず
図24は、各構成機器間におけるハードウェア構成要素の分担の組み合わせ例を示している。この
図24のハードウェア構成要素における記憶部とは注意支援画像を重畳した前方画像を記録する記憶媒体12cやデータベースサーバ25に相当するものであり、通信部とは上記無線通信装置21に相当するものである。また構成機器における車載装置(運転支援装置、クレードル)には車速センサの装備があってもよく、データセンターには記憶部の装備があってもよい。また、GPSは車載装置か携帯端末のいずれに装備させてもよいが、データセンターには装備できない。また、サーバ型の場合には、携帯端末と車載装置のいずれかと、データセンターにそれぞれ通信部の装備が必須である。
【0094】
図示する分担例以外でも、カメラとディスプレイは、それぞれ携帯端末と車載装置のいずれかが装備すればよく、記憶部は、携帯端末、車載装置、及びデータセンターのいずれかが装備すればよい。なお、各ハードウェア構成要素はそれぞれ装備可能ないずれかの構成機器に1つずつ備えてあればよいが、例えば携帯端末と車載装置の両方に重複してディスプレイを備える構成としてもよい。また、携帯端末利用形態において、車載装置がカメラ、ディスプレイ、GPS、記憶部、及び通信部のいずれかを備え、それを利用する場合には、携帯端末と車載装置とがコネクタや、近距離無線通信などを介して情報信号を送受可能に装着できる必要がある。また、ハードウェア構成要素のうちカメラ、ディスプレイ、及び通信部(サーバ型の場合)はそれぞれ構成機器のいずれか対応するものに必ず装備させる必要があるが、その他のGPS、記憶部、及び車速センサの装備については任意となる。
【0095】
次に
図25は、各構成機器間におけるソフトウェア処理内容の分担の組み合わせ例を示している。この
図25に示すソフトウェア処理内容としては、平均消失点P2(移動表示基準点P2)を算出する算出処理、前方画像中の注意対象物Fの中心位置P3を検出する検出処理、注意支援画像を生成する生成処理、及び注意支援画像を重畳した前方画像を記録する記録処理の4つである。これらソフトウェア処理内容のうち検出処理及び生成処理はそれぞれ構成機器のいずれかで必ず処理させる必要があるが、その他の算出処理及び記憶処理の処理については任意となる。このソフトウェア処理内容の分担については、十分な処理能力を有するCPUが各構成機器に搭載されて互いに情報の送受が可能であれば、基本的にはどの処理内容もいずれかの構成機器に分担処理させればよい。図示する分担例はあくまで主な例であり、他にも多様な組み合わせが可能である。
【0096】
(3)第3変形例:注意支援画像をヘッドアップディスプレイで表示させる場合
上記実施形態では、フロントカメラ1で撮像した前方画像に対して注意支援画像を重畳表示させた合成画像を単独のディスプレイに表示させていたが、本発明はこれに限られない。例えば、車両Vのウィンドウガラスを介した運転者の視界と一致させるよう表示座標X−Yを配置し、当該ウィンドウガラス上又はその手前位置に注意支援画像を表示するヘッドアップディスプレイを備えてもよい。
【0097】
図21は、上記実施形態の
図2に対応して本変形例の運転支援装置S4のハードウェア構成例を示すブロック図である。この
図21において、本変形例の運転支援装置S4はディスプレイ3の代わりにヘッドアップディスプレイプロジェクター4およびコンバイナ5を有しており、それ以外のハードウェア構成は上記実施形態と同等である。ただし、グラフィックコントローラ15からは、前方画像を含まずに注意支援画像の画像データのみによる画像信号が出力される。
【0098】
上記実施形態の
図3に対応する
図22は、車両Vの車内から見た車窓風景及びこれに対応するヘッドアップディスプレイの表示の一例を示す図である。この
図22に示す例において、図中の右側に位置する運転席の上方でヘッドアップディスプレイプロジェクター4が天井ルーフに固定されている。また、フロントガラス104の前面側でヘッドアップディスプレイプロジェクター4の投影範囲を覆うようにコンバイナ5が設けられている。このヘッドアップディスプレイプロジェクター4とコンバイナ5がヘッドアップディスプレイに相当し、上記グラフィックコントローラ15から出力された画像信号に基づいて、適宜にハーフミラーとしての機能を有するコンバイナ5の前面に注意支援画像(図示する例では線分画像G1)の映像を投影表示する。
【0099】
図23は、上記ヘッドアップディスプレイによるフロントガラス104の前面側へ投影表示する態様を側方から見た模式図である。ヘッドアップディスプレイプロジェクター4は、ハーフミラーとしての機能を有するコンバイナ5上に表示座標X−Yを設定してその注意支援画像G1〜G7の映像を投影表示する。ここで、上記表示座標X−Yを、車両Vのフロントガラス104を介した運転者の視界と一致させる配置に設定していることで、運転者はフロントガラス104を介した前方視界中において、移動表示基準点P2と注意対象物Fの存在位置との相対的な位置関係を幾何的に示す注意支援画像G1〜G7を視認できる。
【0100】
この場合、表示座標X−Y上における注意支援画像G1〜G7の配置と、運転者の前方視界における配置との整合を図るために、運転者の座高の高さ(眼球の高さ位置)とフロントカメラ1の撮像方向Dcの偏差に応じて、ヘッドアップディスプレイプロジェクター4の表示座標X−Yの配置を適宜調整する必要がある。
【0101】
以上説明したように、上記第3変形例の運転支援装置S4においては、走行する車両Vに搭載され、前記車両Vの前方画像を取得するフロントカメラ1と、前記前方画像中の平均消失点P2又はその近傍に位置する移動表示基準点P2と所定の注意対象物Fとの相対的な位置関係を示す注意支援画像を生成するステップS60、S65の手順と、前記ステップS60、S65の手順により生成された前記注意支援画像を出力するステップS70の手順と、運転者の運転時における視界内に前記ステップS70の手順で出力した前記注意支援画像を映し出すヘッドアップディスプレイプロジェクター4およびコンバイナ5(ヘッドアップディスプレイに相当)と、を有する。
【0102】
このようにすると、運転者がフロントガラス104を介して視認する前方視界そのものに位置が整合した注意支援画像G1〜G7の映像を投影表示できるため、運転者は視線を大きく移動させることなく注意支援画像G1〜G7を視認でき、運転に集中することができる。
【0103】
なお、上記第3変形例では、フロントガラス104の前面側に設けたコンバイナ5に対してヘッドアップディスプレイプロジェクター4から注意支援画像G1〜G7の映像を投影表示することでヘッドアップディスプレイを構成していたが、本発明はこれに限られない。他にも、フロントガラス自体に例えば透過型の液晶パネル等を設け、その自発光により注意支援画像を表示するなどの構成としてもよい。
【0104】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。