特許第5893154号(P5893154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893154
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】基板の形状変化の測定
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20160310BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   G01B11/16 H
   G01B11/00 H
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-540327(P2014-540327)
(86)(22)【出願日】2011年11月14日
(65)【公表番号】特表2014-533360(P2014-533360A)
(43)【公表日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】EP2011070023
(87)【国際公開番号】WO2013071943
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2014年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァーゲンライトナー
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−122814(JP,A)
【文献】 特開2003−214816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板表面(16o)上に配置された構造(14,15,20)のイメージを検出する少なくとも1つの検出装置(2)と、
前記検出装置に、前記構造(14,15,20)を結像するための少なくとも2つの異なる光路(10,11,12,13,26,27)を備えた少なくとも2つの光学装置(4,7,21)から成る光学系と、
を備えた、前記基板表面(16o)に対して平行な基板(16)の形状変化を測定する装置であって、
該装置によって、前記構造(14,15,20)の前記イメージ(14´,15´,20´)間の距離(dx1,dy1,dx2,dy2,dxn,dyn)及び/又は前記距離(dx1,dy1,dx2,dy2,dxn,dyn)の変化が測定可能である、即ち、前記光路(10,11,12,13,26,27)を重ね合わせる又は一緒に案内することにより測定可能であり、
前記基板表面(16o)に沿って分配された、前記構造(14,15,20)の複数の検出対(18)の複数の距離を検出することができ、これらの距離を各検出対(18)に対応させて記憶することができることを特徴とする、基板の形状変化を測定する装置。
【請求項2】
前記基板表面(16o)又は、前記基板(16)を保持する基板チャックに対して前記光学系をキャリブレーションするキャリブレーション手段を有している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記光路(10,11,12,13,26,27)の少なくとも1つが調節可能に形成されている、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
前記光路(10,11,12,13,26,27)が互いに相対的に位置固定可能に形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記光学装置(4,7,21)を支持し、かつ前記基板(16)に対して相対的に一緒に動かす、振動減衰性のかつ/又は断熱性の支持装置(3)が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記検出装置(2)は単一のカメラを有しており、該カメラにより、前記構造(14,15,20)のイメージ(14´,15´,20´)を一に検出可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記光路(10,11,12,13,26,27)は、前記光学装置(4,7,21)の変向手段(5,8,22)によって、前記検出装置(2)において前記構造(14,15,20)を結像するために1つにまとめるように方向付けられることができる、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記光学装置(4,7,21)は、前記基板表面(16o)に面する少なくとも1つの端面(4s,7s,21s)で互いに、前記基板表面(16o)に対して平行に整列して配置されている又は配置可能である、請求項1からまでのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
少なくとも2つの光学装置(4,7,21)から成る、少なくとも2つの異なる光路(10,11,12,13,26,27)を有する光学系を、基板表面(16o)上に配置された構造(14,15,20)を検出装置(2)に結像するために位置調整するステップと
前記構造(14,15,20)のイメージ(14´,15´,20´)を前記検出装置(2)によって検出するステップと
前記基板(16)を処理するステップと
前記構造(14,15,20)のイメージ(14´,15´,20´)を前記検出装置(2)によって検出するステップと
前記イメージ(14´,15´,20´)間の距離(dx1,dy1,dx2,dy2,dxn,dyn)及び/又は前記距離(dx1,dy1,dx2,dy2,dxn,dyn)の変化を、前記基板の前記処理の前及び前記処理の後に、前記光路(10,11,12,13,26,27)を重ね合わせる又は一緒に案内することにより測定するステップと
前記基板表面(16o)に沿って分配された、前記構造(14,15,20)の複数の検出対(18)の複数の距離を検出するステップと、
これらの距離を各検出対(18)に対応させて記憶するステップと、
有することを特徴とする、基板表面(16o)に対して平行な基板(16)の形状変化を測定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の形式の、基板表面に対して平行な基板の形状変化を測定する装置、並びに、請求項10に記載の形式の該装置に対応する方法に関する。
【0002】
半導体産業においてますます進められている小型化により、もはや、特にますます重要になっている3D技術に関するウェハの互いのアライメント(位置合わせ)だけではなく、ウェハの処理によって生じる、特にウェハ表面に対して平行な形状変化も重要となっている。
【0003】
とりわけボンディング技術において、ますます小さくなる構造により、できるだけ高いアライメント精度ひいてはできるだけ高いボンディング精度の達成が求められる。ボンディングプロセスの前に2つの構造の正確な互いのアライメントを得るという問題は、既に種々様々な技術により効果的に解決されている。しかしながら、ボンディング過程中、互いに接触する構造に歪みが生じる恐れもあることが示された。さらにこれらの構造は、ボンディングプロセスが既に実行された後で、別の物理的パラメータに基づき互いに相対的に摺動される恐れがある。このような摺動若しくは歪みにより、特に既にボンディングプロセスが行われた後に、事前に極めて良好なアライメント精度が得られていても、再び、又はより大きなずれが生じる恐れがある。今日の先行技術はとりわけ、定置に規定された座標系に関して2つの表面を移動させ、この表面上の構造の位置を記憶し、相応のボンディング過程後に、歪みについての情報を得るために測定を繰り返す測定装置を有している。
【0004】
基板処理前及び処理後の基板表面上における個々の構造の測定は極めて手間がかかり、相応のコストを要する。
【0005】
従って本発明の課題は、検出を迅速かつ正確、確実かつ安価に行う、基板表面に対して平行な基板の形状変化を測定する装置及び方法を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1及び10の特徴部に記載の構成により解決される。本発明の有利な別の構成は従属請求項に記載されている。明細書、請求の範囲及び/又は図面に記載された少なくとも2つの特徴から成る全ての組み合わせも本発明の範疇にあるものである。規定された値範囲では、記載した範囲内にある値も、制限値として開示されるものであって、任意の組み合わせで請求の範囲とすることができる。
【0007】
本発明の根底を成す思想はこの場合、特に1つの機械的な光学測定システムによって、基板表面上における2つの(又は複数の)構造の互いに相対的なずれ(距離dxn/dyn)を、(基板表面上に分配された2つ又は複数の構造を結像するための)本発明による1つの光学系と、(結像された構造を検出するための)1つの検出手段とによって測定するというものであって、前記構造は、光学系の2つ(又はそれ以上)の光学装置の2つの異なる視野(field-of-view)に位置している。従って、本発明は、相対的なずれ(距離dxn/dyn)を測定するために絶対的な若しくは固定的な基準系を使用しないので、形状変化を検出するために改めて行われる測定の際に再び、2つ(又はそれ以上)の検出すべき構造の間の相対位置を測定して、特に基板の処理により生じる2つ(又はそれ以上)の構造の相対的なずれを測定する若しくは基板の形状変化を推定することができる。従って本発明の構成では、一般に、n個の光学装置によって、特に2つだけの光学装置によって、n個の若しくは2つの異なる位置の表面を同時に撮影することができる。撮影は、n個全ての若しくは2つの画像の重ね合わせ(重畳)である。撮影は特にCCD検出器、又は類似のカメラ等によって行われる。
【0008】
本発明による構造としては特に、検出マークが考えられるが、検出マークの刻印された構造又は検出マークの一部も考えられる。刻印された構造である場合、特にステップ&リピート法でその都度刻印された刻印構造の部分又はその都度の刻印構造又は組み合わされた複数の刻印構造が考えられる。
【0009】
光学系又は光学装置(特にそのレンズ)と、測定すべき基板の表面との間の距離Aは、使用レンズの特性に依存する。当業者にはこの距離は、「ワーキングディスタンス(working distance)」、相対的な作業距離、の概念で公知である。本発明の構成では、作業距離はマイクロメータ範囲である。それ以外の次元も可能である。「焦点深度」(DOF)の範囲は約5〜50μmである。拡大ステージが20倍の場合(DOF)範囲は10μmより小さく、拡大ステージが10倍の場合DOF範囲は20μmより小さく、拡大ステージが5倍の場合、DOF範囲は50μmよりも小さい。
【0010】
さらに、用語「実際距離」(距離B)と、「仮想距離」(距離dxn/dyn)とを規定する。実際距離とは、本発明の関連では、2つの構造の間の実際の距離のことであり、これは、任意の別の各測定法によって同様に測定することができる。仮想距離とは、検出フィールド(カメラスペース)における2つの構造間の距離(dxn/dyn)である。仮想距離は、2つ(又はそれ以上)の光学装置の互いのX−Y位置に依存するが、測定すべき基板に対する光学装置のX−Y位置には依存していない(試料座標系、下記参照)。従って本発明による検出フィールドは、少なくとも1つの構造を有した構造フィールドに必ずしも重なっていない。1つの構造フィールドは、特に、ステップ&リピート法で設けられた1つの刻印構造であって良い。各構造フィールドのために複数の検出フィールドを設けることができ、またその逆もある。
【0011】
本発明による構成は、多くの場合、前検出・後検出のために使用される。本発明による光学系の使用は、1つの表面における構造間の相対的な間隔についての統計学的な情報を得るために、1回の、特に同時の測定プロセスで、複数の表面構造の複数の相対間隔を検出するために重要である。これにより、ボンディングプロセスの前に既に、構造間の間隔についての統計学的情報が得られる。第3に、表面の変形時の、即ち例えば、ボンディングプロセス中のインシトゥ(in-situ)測定が考えられる。
【0012】
本発明によれば、複数の言及すべき座標系が存在している。光学系に関する光学座標系、測定すべき基板に関連した、若しくは該基板に又は基板チャックに固定された試料座標系、本発明による装置が配置された実験室座標系である。
【0013】
本発明による構成によれば、装置起因の誤差(TIS)を計算することが考えられる。TISは当業者には公知である。TISとは、工具及び光学系エラーに基づく、想定理想位置からの構造のずれのことである。例えば光軸(若しくは複数の光軸)は、測定すべき表面に対して常に垂直である必要はない。基板表面に関する光軸の誤差がどの程度かを計算するために、本発明によれば、0度の回転位置における構造のX−Y位置が測定される。次いで、システム全体を180°回転させて、再度、表面における構造のX−Y位置を測定する。TISは、2つの任意の構造の0°で測定されたX−Y位置と180°で測定されたX−Y位置との算術平均値である。TISは、理想的には機器ごとに1回だけ規定すれば良い。実際にはTISの計算は、それぞれ1つのウェハ(基板)の交換後に行われる。TIS値は構造形態(topography)に依存している。構造形態が高くなるほど、TISは大きくなる。この依存性及びこれにより生じる技術的問題も当業者には公知である。
【0014】
本発明による装置はとりわけ、1つのウェハ上の2つ(又はそれ以上)の大きく離れた点の相対的なずれ若しくは「仮想距離」を、互いに堅固に結合された複数の光学装置によって、定置の基準系を使用することなく求めるのに適している。ずれに加え、又はずれの代わりに、X方向及び/又はY方向での実際の間隔Bを測定すべき場合、光学系を事前に、キャリブレーションウェハによって校正することができる。キャリブレーションウェハには、構造として複数のマークが設けられているが、これらのマークのうち少なくとも2つのマークは、互いの間隔が高い精度でわかっている。このようなウェハは例えば高い局所的解像度を用いる方法、例えば電子ビーム書き込み法により製作することができる。
【0015】
光学装置は、これら両マークに基づき位置合わせされ、その位置で固定される。その後、本発明の構成は、同じような間隔を置いて位置している点を、画像重畳により正確に測定することができる。本発明によれば、光学系の光学装置は、キャリブレーション後かつ/又は同じ基板における測定の間では、もはや互いにずれることはないことが重要である。キャリブレーションウェハによって、本発明による構成を、試料保持体と光学系との間の回転誤差の検出のために使用することができる。このために2つの(n倍の光学系では相応にn個の)測定点が、まさに公知の間隔で焦点合わせされる。この場合、光学装置は、好適には、試料保持体の回転軸に対して同心的に又は互いに直線的に位置する。光学装置がn個である場合、それぞれ2つの光学装置の間の角度は360/n°である。n個の構造の1回の撮影(検出)は0度の回転位置で行われる。次いで、ウェハは360/n°回転される。別の撮影が行われる。最良の場合にはn回の撮影が行われる。n回の撮影により、試料保持体表面の傾斜位置が測定可能である。
【0016】
再度、はっきり強調したいのは、前後比較による歪みの測定のために、本発明による光学系をキャリブレーションする必要はないということである。両方法の組み合わせもこれにより明らかである。
【0017】
上記手段により、本発明によれば、ベクトル計算及び/又は統計学的方法を用いて、基板表面上の(即ち特に好適には基板表面平面のX方向及び/又はY方向における)構造の位置、ひずみ、ずれについての必要な全ての情報が、任意のプロセス、特にボンディングプロセス前、プロセス中、プロセス後に検出かつ/又は計算することができる。
【0018】
ボンディングプロセス前に得られた全データは、特に、データライン及び相応の周波数帯域を介して、第2の機器、例えばボンダーに伝達することができる。好適には、このような転送は、種々様々な役割を持った複数の機器が1つのウェハシステムを順次処理していくインラインプロセスチェーン内で行われる。
【0019】
この場合、形状変化は特に、基板表面に沿って生じる延伸及び/又は歪みであり、これは例えば、ウェハの熱処理により、特に、本発明による装置から分離された装置で生じるものである。本発明に関連する形状変化は1000nm以下、特に500nm以下、さらに好ましくは200nm以下、さらに好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下である。
【0020】
しかしながらこの方法は、まだ背面切削されていないウェハでの使用に限定されるものではない。このウェハは規格化された標準厚さを有している。従って基板として、例えば、特に1000μm未満、好適には800μm未満、さらに好適には725μm未満の厚さを備えたウェハが重要である。ウェハの典型的な直径は200mm又は300mm又は450mmである。この方法は厳密には、ウェハの厚さとは無関係である。しかしながら本発明による光学系は主として厚い、まだ背面切削されていないウェハのために使用されるので、互いに粗悪にボンディングされたウェハは後の再作業プロセスにおいて再び互いに分離することができる。分離、即ち互いに粗悪にボンディングされたウェハの「再作業」は、特に、後に行われるウェハ処理ステップの前に行われるのが好ましい。その後、もはやいかなる措置によっても互いに分離することができない程強い永久結合が両ウェハ間で形成される。この方法は所定のウェハ材料に限定されるものではない。従って、種々様々な材料から成る全ての種類のウェハを使用することができる。半導体産業では、半導体材料から成るウェハが主に使用される。特に以下のような、セラミック、金属、プラスチックから成る材料も考慮される。
−Si、GE、GeAs、InP等
−Cu、Au、Ag、Ti、Cr等
−ポリマ
−セラミック
−複合材料
【0021】
本発明による「構造」としては、特にアライメントマーク、ウェハ上の電子構成部品、ダイス、IC構造体、エッジが考えられる。この場合、「構造」は好適には種々様々であるが、さらに好適には互いに相補的に形成されている。
【0022】
距離を検出するための本発明による検出装置は、特に、各光学装置を相応の構造に焦点合わせしてから、上記構造の位置を互いに相対的に検出し、割り当てることができる。
【0023】
光学装置の本発明による構成部分は特に、プリズム、ミラー(変向手段)及び/又はレンズであって良い。プリズムは好適には、反射プリズム及び/又は偏光プリズムとして形成されている。レンズは、1よりも、特に2よりも、好適には5よりも、さらに好適には10よりも、さらに好適には100よりも、極めて好適には1000よりも大きな拡大率を有している。この場合、レンズは、各光学装置のレンズと、各基板若しくは検出すべき各構造との間の間隔ができるだけ小さくなるように形成されている。光路に関する言及は、本発明によれば、光路区分も意味する場合がある。ミラーは、光路の変向・方向付けに用いられる。光学系の上記構成部分の位置及び/又はアライメントは、光学系の内側で(即ち、光学座標系に関して)固定可能である。
【0024】
本発明の一側面はまた、特に両光学装置の光路の重畳又は光路を一緒に案内することにより、必ずしも構造間の実際の間隔が測定されるわけではなく、虚像の又は光学装置によって投影された間隔が測定されることにある。何故ならば、本発明によれば単に、間隔変化の正確な検出が重要であるからである。
【0025】
本発明の好適な構成によれば、装置は、第1の光学装置と第2の光学装置(又は複数の光学装置)を互いにキャリブレーションするためのキャリブレーション手段を有している。従って本発明による装置は、種々様々な基板及び構造間隔に合わせて調節することができる。
【0026】
第1の光路及び/又は第2の光路(又は相応に複数の光路)が調節可能に形成されているならば、本発明による装置は、特に、基板上に種々異なる構造を備えた種々様々な基板又は基板タイプのために柔軟に使用することができる。この場合、光路の調節が、各光学装置のレンズ、特に光学装置につき1つのレンズの調節により行われるならば好ましい。この場合、好適には6の自由度、即ち、変換の3の自由度と回転の3の自由度が設けられている。
【0027】
第1の光路と第2の光路が互いに相対的に位置固定可能に形成されているならば特に好ましい。何故ならばこれにより、第1の構造と第2の構造の距離は2つの測定の間で調節不能であるので、間隔変化の検出の際に最大の精度が得られるからである。
【0028】
本発明の別の側面によれば、基板に対して相対的に第1の光学装置と第2の(又はさらに別の)光学装置とを共通して動かし支持するための、特に振動緩衝を行う、かつ/又は熱的に絶縁された支持装置が設けられている。このようにして、光学装置は、互いに相対的に(即ち、光学座標系で)行われる位置固定にもかかわらず、可動なままである。
【0029】
さらに好適には、検出装置は1つのカメラ、特に1つのデジタルカメラを有しており、該カメラにより、第1の構造と第2の構造を第1の光学装置及び第2の光学装置を介して、特に一緒に、好適には同時に、検出することができる。検出装置は、第1の構造の位置及び第2の構造の位置に関するデジタル値又はデジタル化された値を得て、この値から、両構造間の距離、特にX方向の距離及びY方向の距離を別個に、即ちdx1とdy1とを求める。
【0030】
特に第1の光学装置及び/又は第2の光学装置の変向手段により第1の光路と第2の光路とが、検出手段による距離の検出のために一緒にされるように方向付けられるならば、第1の構造と第2の構造の同時的な検出が、可能な限り大きな解像度の場合に、両構造の間の距離が大きいにも関わらず(即ち、それぞれ個々の光学装置の検出領域よりも大きいにも関わらず)可能である。
【0031】
本発明の別の有利な構成によれば、本発明による装置によって、基板表面に沿って分配された複数の検出対(それぞれ第1の構造と第2の構造とを有する)の複数の間隔を検出することができ、これを各検出対に割り当てることができる。このようにして、基板における個々の形状変化が検出されるだけでなく、変化のベクトルとして、即ち、応力マップ及び/又は延伸マップのような形状変化マップが各基板について求められ、これを基板のさらなるプロセスのために使用することができる。
【0032】
本発明による構成の部分の材料は熱負荷に対して耐性が高い。特にこの材料は、ゼロに近い熱膨張係数を有しており、最善の場合には、熱膨張係数はゼロである。この関係では、インバー(商標)合金の使用が挙げられる。
【0033】
本発明による光学系の使用可能性は多岐にわたる。ボンディング過程前及び後の表面の構造の測定が考えられる。この場合、本発明による光学系は、検出したいウェハを透過することができる電磁ビームの放射源と組み合わされる。ボンディング前及び後の構造の測定により、最良の場合、ボンディング中の、即ちインシトゥ(in-situ)の2つの構造の測定により、構造の相互のずれ、即ちひずみを測定することができる。このような測定の理由は、半導体工業によりますます促進され求められているアライメント精度にある。アライメント精度は、互いにボンディングされる構造が小さくなるほど重要になる。このようなボンディング過程後に、歪みが大きすぎることが確認されると、このウェハを再び互いに分離して、再使用することができる。
【0034】
好適な構成によれば、基板表面と単数又は複数の光学装置との間に、検出中の屈折率を変更するための、特に液体の、流体がもたらされる。
【0035】
全ての光学経路に、種々様々なフィルタを取り付けることができる。好適な構成では、半影フィルタ及び/又は偏光フィルタが使用される。さらに、個々の光路を順次に接続・遮断することにより画像室(若しくは検出装置における重畳画像)における構造の認識を容易にするために、光学経路を完全に遮断するフィルタを組み込むこともできる。目的に合った特性を満たす当業者に公知の全ての別のフィルタも考えられる。
【0036】
装置的な特徴が、方法的特徴を含む又は説明している場合は、これは方法的に開示されているとみなされるべきであり、逆のことも同様である。
【0037】
本発明のさらなる利点、特徴、構成は、以下に図面に基づく説明、特許請求の範囲、添付の図面により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1a】複数の検出フィールを備えた基板を示した平面図である。
図1b】構造を有する2つの検出フィールドから成る1つの検出対を示す詳細図である。
図2a】第1の構造のイメージと第2の構造のイメージとの間の第1の距離を検出する際の、本発明による装置を概略的に示した横断面図である。
図2b】本発明の第1の構成による、図2aに示したイメージ間の距離を評価し算出するための、(図2aによるイメージを有した)検出された画像を概略的に示した図である。
図3a】1つの処理ステップ後に、第1の構造のイメージと第2の構造のイメージとの間の第2の距離を検出する際の、本発明による装置を概略的に示した横断面図である。
図3b図3aに示したイメージ間の距離を評価し、算出するための(図3aによるイメージを有した)検出装置により検出された画像を概略的に示した図である。
図4a】3つの光学装置を有した本発明の第2の構成を概略的に示した横断面図である。
図4b図4aに示したイメージ間の距離を評価し、算出するための(図4aによるイメージを有した)検出装置により検出された画像を概略的に示した図である。
図5】2つの光学装置とフィルタ装置とを有した本発明の第3の構成を概略的に示した横断面図である。
図6】相前後して配置された光学系を有した本発明の第4の構成を概略的に示した斜視図である。
【0039】
図面において同じ又は同じ機能を有する構成部分には同じ符号を付与する。
【0040】
図1aには、基板16の基板表面16oの平面図が示されており、この基板16は複数の検出フィールド17を有している。これらの検出フィールド17のうちの2つの検出フィールド17が1つの検出対18を形成する。この場合、検出対18は2つ(又はそれ以上)の任意の検出フィールド17であって良いが、好適には隣接する検出フィールド17である。検出対18の各検出フィールド17上には、図1bに示したように少なくとも1つの構造14,15がそれぞれ設けられている。図1bの左側の検出フィールド17には第1の構造14が、右側の検出フィールド17には第2の構造15が設けられている。本発明によれば第1の構造14は、第2の構造15と異なるものであり、特に、第2の構造15を補完するものである。これにより構造14,15の区別・識別を簡単に行うことができる。しかしながら構造14,15は同じ形状及び/又はサイズを有していても良く、即ち合同であっても良い。
【0041】
単数又は複数の構造14,15を備えた検出フィールド17若しくは検出対18が、基板16の1つの基板表面16o上に多数分配されているほど、基板表面16oに沿った若しくは基板表面16oに平行な基板の形状変化をより正確に確認することができる。
【0042】
検出フィールド17は特にダイシングシートであって良く、この場合、ダイシングシートの基準マークを同時に構造14,15として使用することができる。基準マークは、後工程で分離手段によって互いに分離される領域である。
【0043】
図面に概略的に示した図は、装置の本発明による構成部分の機能を把握し易くするために縮尺に忠実に示されたものではない。このような理由から、本発明の記載に重要ではない又は関係のない構成部分、又はその機能が公知である構成部分は図面に示されていない。従って例えば、ここでは公知の基板支持体(チャック)を使用することができるので、基板チャックは図示されていない。さらに、装置のフレーム若しくはハウジングも、公知のフレームを使用することができるので図示されておらず、フレームは特に、第1の光学装置4と第2の光学装置7を、基板16に対して相対的に、特に基板表面16oに平行に一緒に動かし、支持する支持装置3を備えた光学系1の保持及び位置決めを行うロボットアームに結合されている。特に、支持装置3にはロボットアームが含まれて良い。
【0044】
第1の光学装置4はレンズ6とプリズム5とを備えており、レンズ6は第1の構造14の方向で、その端面4sをほぼ(間隔Aを置いて)第1の構造14に対して位置合わせ可能であり、これにより、第1の構造14を含む検出フィールド17は少なくとも部分的に、第1の光学装置4の光路12によって、第1の光学装置4の検出領域19において検出可能である(視野)。光路12は特に集光レンズとして形成されたレンズ6を貫通して延在する。レンズ6は、基板表面16oからレンズ6に入る平行でない光波を増大させ平行にするために用いられる。
【0045】
第1の光学装置4は、装置の制御装置(図示せず)によって第1の構造14に焦点を合わせることができる。
【0046】
プリズム5及び/又は8は特に、好ましくは少なくとも部分的に非晶質の、さらに好ましくは傾斜面5s及び/又は8sが非晶質のガラスプリズムである。これにより、光源によって発生させられる、構造14,15から反射された光波が、傾斜面5s,8sで少なくとも部分的に反射される。これにより、構造15から反射された光波(光路13)はまず、傾斜面8sで(少なくとも部分的な反射により)光路11へと変向される。光路11の光波は、傾斜面5sで少なくとも部分的に光路10へと変向・反射される。
【0047】
光源は、検出装置2内に、又は本発明による構成の側方に、又は測定すべき基板の下方に位置している。即ち第2の場合、光は側方から入射し、第3の場合には、測定すべき基板は、光源の相応の波長域で透過性でなければならない。
【0048】
同時に、構造14から反射された光波(光路12)は傾斜面5s(反射面)で光路10へと入り、この場合、変向は最小限であるか、好適には全く行われない。
【0049】
従って、第1の光学装置4は、構造14を含む視野を検出装置2で結像し、この場合、構造14は、イメージ14´として検出装置2によって検出可能である。
【0050】
光源(図示せず)は、反射光源として、特に散乱光を発生させるように形成されていて良い。選択的に、基板16透過性の光源を設けることもできる。光源は特にカメラ(検出装置2)に配設することができる。
【0051】
第2の光学装置7には、第1の光学装置4と同様に、プリズム8とレンズ9とが設けられており、第2の光学装置7の光路13は、第2の構造15若しくは第2の構造15を有する検出フィールド17又は検出領域(視野)を検出可能に配置することができる。
【0052】
第2の光学装置7に設けられたプリズム8は、光路13を、第1の光学装置4のプリズム5の方向に変向された光路11へと変向する。ここでは光路11が光路12と共に1つの共通の光路10となるようにまとめられ、好ましくは高解像度の画像センサを備えたデジタルカメラである検出装置2へと到る。検出装置2は、図2bに示された画像を検出する。この画像は、第1の構造14の拡大イメージ14´と、特に相応に、第2の構造15の拡大イメージ15´とを同時に含んでいる。
【0053】
図2aのプリズム8は、ここに示された構成では、それ以外に透過性の光路を要さないので、ミラーによって置き換えることもできる。
【0054】
第1の構造14に対する第1の光学装置4の位置合わせ及び第2の構造15に対する第2の光学装置7の位置合わせは、構造14,15が各光学装置4,7によって(検出領域若しくは視野において)完全に検出されるようにさえすれば良い。位置合わせは好適には基板16(若しくは基板を支持する基板チャック)を動かすことにより行われ、位置合わせ中、光学装置4,7は位置固定されている。本発明によれば、光学装置4,7と基板チャックとの間で異なる方向(X、Y、Z、及び場合によっては回転)の位置合わせを分担することが考えられる。構造14,15の絶対位置の検出のために構造14,15に対して光学装置4,7を正確に位置合わせすることは省くことができ、この点に、本発明の利点がある。
【0055】
検出装置2によって検出された、図2bに示したイメージ14´,15´を有する光学装置4,7の両検出領域の重畳画像を評価して、第1の構造14のイメージ14´の、第2の構造15のイメージ15´に対するX方向の距離dx1を求めることができる。同様に、X方向に対して垂直なY方向(両者とも、基板表面16oに対して平行である)の距離dy1を求めることもできる。これらの距離dx1,dy1は、一般に、基板表面16o上の構造14,15の実際の距離に相当するものではない。
【0056】
付加的に、第1の光学装置4と第2の光学装置7とを互いに予めキャリブレーション(校正)しておくことにより、光学的なパラメータ、特に、変向光路11の長さLを規定し、求めることで、構造14,15の間の実際の距離Bを計算することができる。長さLは、視界の領域の長さ及び/又は幅よりも好適には3倍、さらに好適には5倍、さらに好適には10倍、さらに好適には15倍大きい。
【0057】
Y方向で光路12,13の変向が行われず、光路13が正確に平行にキャリブレーションされたならば、若しくは位置合わせされたならば、距離dy1は、レンズ9による拡大を除いては、構造14,15の間のY方向の実際の距離もしくはずれに相当する。しかしながら、本発明によれば距離dxn,dynの相対的な算出が行われるので、これは不要であり、光学装置4,7の検出空間内の構造を含み、(検出するために)焦点を合わせるためには、本発明によれば光学装置4,7の位置合わせを大雑把に行うだけで良い。
【0058】
光学装置4,7のキャリブレーション若しくは調節のために、少なくとも第2の光学装置7は、X方向及びY方向で移動可能であって、これにより光学装置4,7は、構造14,15が各光路12,13内に位置し、検出可能であるように互いに相対的に位置決めされる。この場合、第2の光学装置7は、支持装置3に対して相対的に動かされるが、第1の光学装置4は支持装置3に対して位置固定されている。第1の光学装置4は、支持装置3の移動により、X方向及びY方向で、第1の構造14が光路12によって包括され、第1の光学装置4の検出領域19内に位置するまで動かされることができる。次いで第2の光学装置7が、上述したように、第2の構造15が光路13内に位置し、対応する検出領域19´(視界)内に位置するまで動かされる。
【0059】
Z方向での移動は、構造14,15検出の際に構造14,15に対する光学装置4,7の距離が、できるだけ僅かに、特に標準的になるように(第2の光学装置7の端面7sに対して端面4sを整合するように位置合わせしながら)、調節するために行われる。Z方向での移動により、焦点合わせかつ/又は作業間隔の調節が行われる。当業者にはこのような間隔は、英語の専門用語では「working distance」として知られている。
【0060】
光学装置4,7、検出装置2、支持装置3、又は基板チャックの操作は、駆動手段(図示せず)を介して行われ、制御装置によって制御される。
【0061】
第2の光学装置7は、上記位置に達すると、第1の光学装置4に対して位置固定される。
【0062】
第1の光学装置4と第2の光学装置7のレンズ6,9は、プリズム5,8の方向で光路12,13の焦点合わせ及び正確な調節・キャリブレーションを可能にするために、好適には6の自由度を有している。
【0063】
光路12,13は好適には互いに平行かつ、基板表面16oに対して垂直にプリズム5,8まで延在している。光路12はプリズム5を通り方向変更せずに光路10に移行するが、光路13は、プリズム8(又はミラー)により変向された光路11として、光路12の方向へ方向変更される。変向は好適には、光路13に対して正確に直角に行われる。
【0064】
変向された光路11は、プリズム5からの光路12の出口領域若しくは光路12の光路10への移行部でプリズム5にぶつかり、ここで、光路11は光路12と共に光路10へと入るように合流するようにここで変向され、即ち検出装置2の方向に変向される。光路10は好適には、光路11に対して直角である。
【0065】
このようにして構造14,15を、検出装置2で重畳画像を形成するようにまとめて、評価することができる。評価は、特に検出装置2に組み込まれた、又は検出装置2に論理的に接続された制御装置によって行われる。
【0066】
適当な形式で、複数の検出対18を、基板表面16oに沿って検出することができ、それぞれ検出対を成す対応する第1の構造14と第2の構造15とのその都度の相対的な距離と、基板表面16o上における位置を記憶することができる。
【0067】
次いで、基板16には、1つまたは複数の処理ステップが実行され、この処理ステップにより、特にX方向及びY方向で基板16の形状変化が生じる場合がある。このような形状変化は、延伸・歪みと言われる。
【0068】
図3a及び図3bに示した方法ステップでは、距離dx1及びdy1の上記検出に応じて、記憶された検出対18の変化する可能性のある距離dx2,dy2が測定される。この場合、第1の光学装置4又は第2の光学装置7を、第1の構造14又は第2の構造15に対して再び正確に同じように位置決めする必要は必ずしもない。単に、構造14,15が、光学装置4,7によって、各検出領域19,19´(視界)において検出可能であれば良い。さらに重要なのは、光学装置4,7が、距離dx1,dy1の検出を行う図2a,図2bに示した第1の検出の場合と互いに同じ位置をとり、光路12,13,11,10が同様に延在していることである。
【0069】
距離dx2,dy2の検出後、X方向での変化(δx=dx2−dx1)とY方向での変化(δy=dy2−dy1)を計算することができ、計算されたベクトルから、基板表面16oに沿った基板16の形状変化が推量される。これにより、複数の検出対18における複数の距離変化の算出により、各基板16の形状変化マップ若しくは延伸マップ及び/又は歪みマップが得られる。これを、基板16のさらなる処理のために、特に基板16を別の基板16に対して正確に位置決め及びアライメントするために使用することができる。従って収量(yield)を著しく高めることができる。
【0070】
構造14,15は、好適には、光学装置4,7、特にレンズ6,9の焦点に位置している。本発明による装置は、光学的な光、赤外線、X線を用いて、反射モード又は透過モードで作動することができ、使用される基板材料の反射特性及び/又は透過性特性によってのみ限定される。従って、本発明による光学系1と共に使用される相応の検出器及び/又は光源は、測定すべきシステムの同じ側又は相反する側に位置していて良い。赤外線放射を使用する場合、その波長は好適には、1000nmよりも大きく、さらに好適には1050nmより大きく、さらに好適には1700nmよりも大きく、特に10μmよりも小さい。特別な構成では、光学系は、共焦点顕微鏡の部分であって良く、特に共振点レーザー走査型顕微鏡の部分であって良い。特別な使用例ではレーザーは光源として使用することができる。
【0071】
構造14,15を検出する際の支持装置3若しくは光学装置4,7の端面4s,7sから基板表面16oまでの距離Aは、好適には、構造14,15間の実際の距離よりも小さい。さらに前記距離Aは、変向光路11の長さLよりも小さい。
【0072】
図4a,図4bに示した本発明の別の構成では、光学系1´は2つよりも多い(ここでは3つの)光学装置4,7,21を有していて、1つのステップで、光学系1´によって形成される、複数の構造14,15,20の複数のイメージ14´,15´,20´を検出装置2で同時に検出することができ、構造間の距離若しくは距離変化を迅速に算出できる。
【0073】
レンズ23と、光路26へ光路27を変向するための傾斜面22sを備えたプリズム22(又はミラー)とを備えた第3の光学装置21の機能は、図2a、図2b、図3a、図3bについて上述した第2の光学装置7と同様であって、光路26は、プリズム8の傾斜面8sを少なくとも部分的に通り過ぎた後、少なくとも部分的に光路11と一緒になる。
【0074】
従って、図4bに示したような画像が検出装置2において得られ、検出装置2ではイメージ14´,15´,20´が検出され、特に制御装置によって、この画像からイメージ14´,15´,20´間の距離及び/又は距離変化が算出される。
【0075】
別の構成(図示せず)では、(この場合中央の)光学装置4の光路10は好適には、光学系1の重心点を通っており、この光学系1のその他の光学装置は好適には、中央の光学装置4を中心として対称的に配置されている。このようにn倍の光学系を使用することにより、全体でn個所を同時に分析することができる。これにより、前撮影及び後撮影することにより、光学系に関する試料保持体の回転精度に関する補正を求め、計算することもできる。その後、相応の補正措置により、光学系と試料保持体との間の相対回転を、できるだけ小さな誤差で行うことができる。特に、n倍の光学系を備えたシステムで各光学系を個々に照明することができることも明らかである。
【0076】
本発明の構成では重畳画像を好適にはデジタルで記憶することができ、これによりこれらの画像をデジタル的に分析し、かつ/又は後処理(特にコントラスト向上)を行うことができる。デジタル保存された画像の使用、評価、適当なソフトウェアアルゴリズムによる解像度を上げるための調整についてもこの場合公知である。
【0077】
特に上記構成と組み合わせることができる図5に示した本発明による別の構成では、検出を最良にするためにフィルタ24,24´,25が設けられている。これらのフィルタは、半影フィルタ及び/又は偏光フィルタとして形成することができる。例えば、イメージ14´,15´(及び場合によっては20´)を対応する構造14,15(及び場合によっては20)に配属させるために、フィルタ24,24´,25をその都度の光路10,11,12,13(及び場合によっては26,27)に移動させることができる。フィルタ24が光路12内に入る(又は有効にされる)と、検出装置2の画像にはイメージ15だけがまだ見えている。イメージ14´はフィルタ24によって「吸収」され、フィルタ24が光路12から外されると(又は無効にされると)再び見えるようになる。同様なことが、光路13若しくは11用のフィルタ24´若しくは25にも言える。
【0078】
特別な構成では、上述した本発明による複数の光学系を、複数の光学系1,1´,1´´を相前後して接続するために新たな構成において組み合わせることができる。この場合、2つの下方の光学系1,1´´の重なる光路10,10´´は、光学系1´´用のそれぞれ新たな出射ビーム12´´,13´´となる(図6)。光学系1´´は光学系1,1´と同様に構成されており、(レンズ6,9と同様の)レンズは省くことができる。従って、図示の構成では、4つの異なる、特に隣接する検出領域19が検出され、その構造14,15,29(及び別の図示されていない構造)は検出装置へと結像される。画像は、上記構成と同様に、場合によっては図5に示したフィルタと組み合わせて評価可能である。
【0079】
このように重ねられた「多重光学系」は、2つの構造よりも多い構造を同時に検出できる。
【符号の説明】
【0080】
1,1´,1´´ 光学系
2 検出装置
3 支持装置
4 第1の光学装置
4s 端面
5 プリズム
5s 傾斜面
6 レンズ
7 第2の光学装置
7s 端面
8 プリズム(又はミラー)
8s 傾斜面
9 レンズ
10,10´,10´´ 光路
11,11´,11´´ 光路
12,12´,12´´ 光路
13,13´,13´´ 光路
14 第1の構造
15 第2の構造
16 基板
16o 基板表面
17 検出フィールド
18 検出対
19,19´ 検出領域
20 別の構造
21 別の光学装置
22 プリズム(又はミラー)
22s 傾斜面
23 レンズ
24,24´ フィルタ
25 フィルタ
26 光路
27 光路
dx1,dy1 第1の距離
dx2,dy2 第2の距離
A 距離
B 距離
D 直径
L 長さ
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6