特許第5893162号(P5893162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5893162付属品充電コイルに結合可能な外部充電器を有する埋め込み可能医療デバイスのためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893162
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】付属品充電コイルに結合可能な外部充電器を有する埋め込み可能医療デバイスのためのシステム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/00 20160101AFI20160310BHJP
   A61N 1/378 20060101ALI20160310BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   H02J17/00 B
   A61N1/378
   H02J7/00 301D
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-549054(P2014-549054)
(86)(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公表番号】特表2015-509353(P2015-509353A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】US2012064115
(87)【国際公開番号】WO2013095799
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年6月20日
(31)【優先権主張番号】61/578,487
(32)【優先日】2011年12月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/671,693
(32)【優先日】2012年11月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507213592
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】アガシアン ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン ジュノ
(72)【発明者】
【氏名】オザワ ボブ
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−111315(JP,A)
【文献】 特表平11−506646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00 − 50/90
H02J 7/00 − 7/36
A61N 1/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスを充電するための外部充電器システムであって、
前記1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスに給電する第1の場を選択的に与えるように構成された内部第1充電コイルを含む外部充電器と、
前記1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスに給電する第2の場を選択的に与えるように構成された第2充電コイルを各々が含む複数の外部充電コイルアセンブリと、
を含み、
各外部充電コイルアセンブリが、前記外部充電器のポートで該外部充電器に取り付け可能であり且つ該外部充電器から切り離し可能である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
少なくとも1つの外部充電コイルアセンブリが、可撓性を有することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つの外部充電コイルアセンブリが、剛体部品であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記外部充電器は、前記第1充電コイルと前記外部充電コイルアセンブリの前記第2充電コイルとを励磁して前記第1及び第2の場をそれぞれ生成するためのコイルドライバを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記外部充電器に外部充電コイルアセンブリが取り付けられていない場合に、前記第1充電コイルを用いて前記1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスに対して、前記第1の場を供給することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記外部充電器に取り付けられた外部充電コイルアセンブリの第2充電コイルを用いて前記1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスに対して、前記第2の場を供給し、
前記外部充電器に外部充電コイルアセンブリが取り付けられていない場合は、前記第1充電コイルを用いて、前記1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスに対して、前記第1の場を供給することを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの外部充電コイルアセンブリが、少なくとも1つのサーミスタを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記外部充電器は、前記複数の外部充電コイルアセンブリのうちのどれが前記ポートで該外部充電器に取り付けられたかを自動的に決定するためのマイクロコントローラを更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記マイクロコントローラは、どのアセンブリが取り付けられたかをそのアセンブリに対する少なくとも1つのアドレスを読み取ることによって決定することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記マイクロコントローラは、前記取り付けられたアセンブリに合わせてシステムの作動を調節することを特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムの作動を調節することは、前記取り付けられたアセンブリ内の前記第2充電コイルによって供給される前記第2の場の強度を調節することを含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムの作動を調節することは、前記取り付けられたアセンブリに対する温度設定値を調節することを含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の外部充電コイルアセンブリの各々が、前記外部充電器によって認識可能な少なくとも1つの固有アドレスを含むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
外部充電器システムを用いて1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスを充電する方法であって、
外部充電器に外部充電アセンブリが結合されているか否かを決定する段階と、
前記外部充電器に外部充電アセンブリが結合されている場合に、該外部充電器に結合された該外部充電アセンブリのタイプを決定する段階と、
前記取り付けられた外部充電アセンブリを用いて前記1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスを無線充電する段階と、
を含み、
前記充電する段階は、前記取り付けられた外部充電アセンブリの前記決定されたタイプに少なくとも部分的に基づいて制御され、
前記外部充電器に外部充電アセンブリが結合されていない場合に、該外部充電器自体を用いて前記1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスを無線充電する段階、を更に含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記外部充電器に外部充電アセンブリが結合されていない場合に、前記1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスは、前記外部充電器内の第1コイルによって充電されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
充電の最初の段階として、前記外部充電器での充電セッションを開始する段階を更に含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記充電する段階は、前記取り付けられた外部充電アセンブリに外部充電器によって供給される電力を調節することによって制御されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記充電する段階は、前記取り付けられた外部充電アセンブリに対する温度設定値を調節することによって制御されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記外部充電器は、前記外部充電アセンブリに結合するためのポートを含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記タイプは、前記外部充電アセンブリのアドレスを前記外部充電器において読み取ることによって決定されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記外部充電器に外部充電アセンブリが結合されている場合に、前記1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能医療デバイスは、取り付けられた外部充電アセンブリ内の第2コイルによって充電されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本発明は、共に本明細書に引用によって組み込まれる2011年12月21日出願の米国特許仮出願番号第61/578,487号及び2012年11月8日出願の米国特許出願番号第13/671,693号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本発明の開示は、一般的に、脊髄刺激(SCS)、脳深部刺激(DBS)、後頭神経刺激(ONS)、末梢神経刺激、及びその他のような再充電可能な埋め込み可能医療デバイスのための付属式外部充電器システムに関する。
【背景技術】
【0003】
埋め込み可能刺激デバイスは、不整脈を治療するためのペースメーカー、心細動を治療するための細動除去器、難聴を治療するための蝸牛刺激器、盲目を治療するための網膜刺激器、協働する体肢運動を生成するための筋肉刺激器、慢性疼痛を治療するための脊髄刺激器、慢性頭痛を治療するための後頭神経刺激器、運動障害及び心理的障害を治療するための皮質及び脳深部刺激器、及び尿失禁、睡眠時無呼吸、肩関節亜脱臼などを治療するための他の神経刺激器のような様々な生物学的障害の治療のために電気刺激を発生させて身体の神経及び組織に送出するデバイスである。
【0004】
図1A及び図1Bは、例えば、チタンで形成された生体適合性ケース30を含む埋め込み可能パルス発生器(IPG)100を示している。ケース30は、通常は、IPGが機能するのに必要な回路と電源又はバッテリとを保持する。IPG100は、電極106が電極アレイ110を形成するように1つ又はそれよりも多くの電極リード(2つのそのようなリード102a及び102bが示されている)を通じて電極106に結合される。電極106は、各電極に結合された個々の信号線112a〜112pも収容する可撓性本体108上に担持される。信号線112a〜112pは、リード102(又はリード延長部、図示していない)をIPG100に取外し可能に接続することを可能にするあらゆる適切なデバイスとすることができインタフェース115を通じてIPG100に接続される。インタフェース115は、例えば、リード上の対応するコネクタと嵌合するように構成されたリードコネクタ38a及び38bを含む電気機械コネクタ配置を含むことができる。図示の実施形態において、リード102a上にE1〜E8とラベル付けした8つの電極が存在し、かつリード102上にE9〜E16とラベル付けした8つの電極が存在するが、リード及び電極の個数は用途に特定であり、従って、変化する可能性がある。
【0005】
図2に示すように、IPG100は、典型的に、プリント回路基板(PCB)16をPCB16上に装着されたマイクロプロセッサ、集積回路、及びコンデンサーのような様々な電子構成要素20と共に含む電子基板アセンブリ14を含む。最終的に、電子回路は、神経刺激のような治療機能を実行する。貫通アセンブリ24が、様々な電極信号を電子基板アセンブリ14からリードコネクタ38a、38bまで経路指定し、これは、次に、リード102に結合される(図1A及び図1Bを参照されたい)。IPG100は、取りわけリードコネクタ38a、38bを収容するヘッダコネクタ36を更に含む。IPG100は、ヘッダコネクタ36内に装着することができる携帯式又は手持ち式又は臨床医のプログラミング器(図示せず)のような外部デバイスに対するデータの送受信のためのテレメトリアンテナ又はコイル(図示せず)を更に含むことができる。これに代えて、一部の実施形態において、充電コイル18は、充電コイルとテレメトリコイルの両方として利用することができる。通常、IPG100はまた、電源及び特に再充電可能バッテリ26を含む。
【0006】
図2には、IPG100内のバッテリ26を再充電するのに使用される外部充電器12も示されており、これに対して下記でより詳細に説明する。外部充電器12は、それ自体が作動するのに電力を必要とし、従って、セルラー電話とほぼ同じく壁コンセント充電クレードル又は電源コード接続を用いて再充電可能なバッテリとすることもできるそれ独自のバッテリ70を含むことができる。これに代えて、外部充電器12は、バッテリを欠き、その代わりに壁コンセント内に接続されることによって直接に電力を引き込むことができる。
【0007】
外部充電器12は、その機能を実施するのに必要とされる回路76を含む1つ又はそれよりも多くのプリント回路基板72、74を含むことができる。一実施形態においてかつ図2に示すように、回路76の大部分は、米国特許公開第2008/0027500号明細書により詳しく記載されているように、充電コイル17によって生成される可能性がある干渉及び加熱を低減する直交回路基板74上に位置付けることができる。外部充電器12はまた、接合部13で接続された上部分15aと下部分15bに分割することができる典型的に硬質プラスチックで形成されたケース又はハウジング15から構成される。ケース15は、手持ち式又は身体着用式又は携帯式とすることができる。回路基板72及び74を機械的に所定位置に保持するためにクランプ19を利用することができるが、他の手段も同様に使用することができる。
【0008】
外部充電器12とIPG100の間でエネルギ29を無線伝送するためにかつ図2に示すように、充電器12は、典型的には、誘導結合を通じてIPG100内又はその上に位置付けられた類似の充電コイル18に磁場の形態でエネルギ29を供給する交流(AC)コイル17を含む。この点に関して、外部充電器12内のコイル17は、好ましくは、IPG100内のコイル18の平面に対して実質的に平行に置かれた平面内に巻かれる。そのような誘導エネルギ伝達の手段は、経皮的に、すなわち、患者の組織25を通して行うことができる。IPGのコイル18によって受け入れられたエネルギ29は、整流されてIPG100内のバッテリ26を再充電するために使用することができ、それは、次に、IPG100を作動させる電子回路を給電する。これに代えて、受け入れられたエネルギ29は、バッテリを全く欠く場合があるIPGの電子回路に直接に給電するために使用することができる。エネルギ29の供給は、例えば、外部充電器のケースの外部上に位置付けられた電源オン/オフボタン80を含む簡単なユーザインタフェースの使用を通じて制御することができる。充電器12のユーザインタフェースはまた、所定の実施に対して望ましい場合があるように、充電器のオン/オフステータス及び他の関連充電器ステータスを患者に警告するために1つ又は複数のLED表示灯を含むことができる。
【0009】
図3に示すように、外部充電器12は、患者による使用中に様々な異なる充電シナリオに直面する場合がある。そのような充電シナリオは、埋め込み可能デバイスが外部充電器12の充電コイル17に対して様々な深さ及び角度で埋め込まれている場合に、1つ又はそれよりも多くの埋め込み可能デバイスに関わる場合がある。充電シナリオを更に複雑にすることに、埋め込み可能デバイスはまた、患者内で互いから様々な距離に位置付けられる場合がある。例えば、図3に示すシナリオ200aでは、互いから比較的小さい距離Dだけ離れて位置付けられ、かつ患者の皮膚25の面に対して、従って、外部充電器12内の充電コイル17に対してそれぞれθ及びθ’のオフセット角度に向けられた充電コイル18を有する2つの埋め込み可能デバイス100a及び100bが存在する。一部のそのようなシナリオでは、外部充電器12内の充電コイル17の電力は、埋め込み可能デバイスの向き及び/又は深さによって引き起こされる電力伝達の非効率性のために増加させなければならない。
【0010】
図3に示すシナリオ200bのような他のシナリオでは、比較的大きい距離D’にわたって埋め込まれた多数の埋め込み可能デバイス、例えば、埋め込み可能デバイス100c〜100gが存在する場合がある。充電コイル17に対するオフセット角度θ”が小さい場合であっても、患者が外部充電器を移動する心配をする必要なく全てのインプラントを同時に充電することができるように、かなり大きい直径、例えば、D’よりも大きい直径を有する充電コイル17を使用するのが患者に対して望ましい場合がある。
【0011】
単一外部充電コイルアセンブリを結合することができる外部コントローラを用いてインプラントを充電するためのシステムが提案されている。典型的には、外部コントローラは、データをインプラントにテレメトリ的に送信し、かつそこから受信するためだけに使用され、インプラントを充電するためのいずれの手段も別途含むことはない。インプラント充電に対するこの手法は、米国特許公開第2009/0118796号明細書(「‘796公報」)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許公開第2008/0027500号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2009/0118796号明細書
【特許文献3】米国特許公開第2011/0234155号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者は、外部充電システムの多用性及び設計に更なる改善を加えることができると考えている。図2の外部充電器12は、既に言及したある一定の埋め込み可能デバイス充電シナリオに対しては十分に大きくなく又は強力ではない場合がある。‘796公報の解決法は、インプラントを充電するために、それ以外は外部コントローラを必要としないのに外部コントローラの使用を必要とする。すなわち、患者は、充電を必要とする場合に彼らの外部コントローラを手元に持たなければならず、これは不便である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】従来技術による埋め込み可能パルス発生器(IPG)と電極アレイがIPGに結合される方式とを示す図である。
図1B】従来技術による埋め込み可能パルス発生器(IPG)と電極アレイがIPGに結合される方式とを示す図である。
図2】従来技術による外部充電器からIPGへの電力の無線伝達を示す図である。
図3】従来技術による1対の例示的な外部充電器/インプラントシナリオを示す図である。
図4A】内部充電コイルと複数の外部付属品充電コイルとを有する外部充電器を含む改善された付属式外部充電システムの実施形態を示す図である。
図4B】内部充電コイルと複数の外部付属品充電コイルとを有する外部充電器を含む改善された付属式外部充電システムの実施形態を示す図である。
図5】一実施形態による改善された付属式外部充電器システムの回路図である。
図6】一実施形態による改善された付属式外部充電器システムの作動を詳描する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に続く説明は、改善された外部充電システムに関し、これは、様々なタイプの埋め込み可能医療デバイスシナリオを有する患者、及び外部デバイスと埋め込みデバイスの間の改善された結合、並びに改善された患者の快適性及び利便性から利益を得ることができる患者によって使用することができるものである。例えば、本発明は、埋め込み可能センサ、埋め込み可能ポンプ、ペースメーカー、細動除去器、蝸牛刺激器、網膜刺激器、後頭神経刺激器、協働する体肢運動を生成するように構成された刺激器、皮質及び脳深部刺激器、又は様々な病状のうちのいずれかを治療するように構成されたあらゆる他の神経刺激器を使用するシステムの一部として使用することができる。
【0016】
本発明の開示は、内部充電コイルに加えて、様々な形状及びサイズを有する複数の外部付属品充電コイルの1つに結合可能な出力ポートを含む外部充電器システムを説明する。そのようなシステムは、外部充電器のためのクレードル又はドッキングステーションを含むことができ、高い電力要件を有する大きい付属品充電コイルの使用を可能にする。所定の患者の充電要求に対して外部充電器の内部充電コイルが十分である場合には、外部充電器から付属品充電コイルを切り離すことができ、外部充電器は、典型的な外部コントローラによって必要とされる複雑な回路又はインタフェースなしに独立自己完結型外部充電器として機能することができる。外部充電器は、複数タイプの付属品充電コイルのうちのどのタイプが接続されているかを自動的に検出することができ、それに従ってその作動を調節することができる。この多用途設計は、多くの患者によってかれらの特定のインプラント充電シナリオが異なる場合であっても外部充電器システムが使用されることを可能にする。それに応じて、開示する外部充電器システムは、各々が特定の充電シナリオに合わせられた異なる外部充電器を製造するのと比較した場合に、製造することがより廉価で簡単である。
【0017】
改善された付属品外部充電システム210の一実施形態を図4Aに例示している。システム210は、改善された外部充電器275、及び外部充電器275に結合可能な少なくとも1つの外部付属品充電コイルアセンブリ220という2つの主要構成要素を含む。下記でより詳しく解説するように、付属品充電コイル220が外部充電器275に結合されると、システム210は、内部充電コイル17を無効にし、接続された付属品充電コイル220のタイプをインテリジェントに決定し、この付属品充電コイル220を通じて電力を1つ又はそれよりも多くのIPG100に送ることができる。下記でより詳しく解説するように、外部充電器275は、外部充電器275内のバッテリ70のような再充電可能電源を使用するか、又はAC−DCアダプタ291によってDCレベルに整流されたAC電源292(例えば、壁プラグ)を用いて電力を受け入れるクレードル又はドッキングステーション270内の電力ポート272を経由するかのいずれかによって付属品充電コイル220に給電することができる。外部充電器275は、そうでなければ独自の制御、電力、及びユーザインタフェースを欠く付属品充電コイル220内の充電コイル250を励磁することによって電力伝送を制御する。
【0018】
外部充電器275のハウジング15は、付属品充電コイル上のコネクタ230を差し込むことができるポート271を含む。コネクタ230は、充電コイルハウジング240の充電コイル250を含む部分にケーブル235によって接続される。図示の例では、付属品充電コイルアセンブリ220は、充電コイル250の円形形状を受け入れるようにほぼドーナツ形のものであるが、この形状は、下記でより詳しく解説するように、他の付属品充電コイルでは変えることができる。例えば、充電コイルハウジング240は、正方形又は更に円盤形のものとすることができ、中心孔を欠く可能性がある。
【0019】
図4Aに示す例示的な付属品充電コイル220内の充電コイル250は、好ましくは、25/38リッツ線(この場合に、各線は、38ゲージ線の25本の個々に絶縁されたストランドを含む)又は50/41リッツ線(41ゲージ線の50本の個々に絶縁されたストランド)のようなリッツ線から構成される。一例において、充電コイル250は、約400マイクロヘンリーのインダクタンスを示し、このインダクタンスは、5.5cmのコイル直径(CD)で巻かれた約75回巻回の25/38リッツ線を使用することによって達成することができる。しかし、充電コイル250に関するこれらの値は、設計者に関する実施選択の問題であり、システムによって使用される各付属品充電コイルにおいて変更される可能性がある。コイル直径(CD)は、好ましくは、IPG内の対応する充電コイル18との結合の信頼性を最大にするために大きくされる。しかし、より大きいコイル直径は、より高い電力を必要とすることになり、これは下記でより詳しく解説する主題である。
【0020】
外部充電コイルアセンブリ220のような付属品充電コイルは、多くの異なる方法で組み立てることができ、ここでは可撓性外部充電コイルアセンブリを形成するための1つの方法を詳細に説明する。図4Aの断面で最も明快に分るように、組立ては、充電コイル250及び下記でより詳細に解説する温度感知サーミスタ260のような電子構成要素を保持するための基板255で始めることができる。基板255は、可撓性であり、かつ電子回路を担持するのに使用されるカプトン又はポリイミドのようないずれかのタイプの可撓性基板を含むことができる。充電コイル250は、指定された巻回数まで巻かれ、得られるコイル250が、可撓性を有する絶縁シリコーン母材中に巻線を含むように、シリコーンの堆積と同時に巻かれる。他の実施形態において、より堅固な付属品充電コイルを可能にするために、より硬質の筐体が好ましい場合がある。更に他の実施形態において、付属品充電コイルが患者の身体の湾曲面に適用される用途において、ある程度の「形状記憶」を有する付属品充電コイルが望ましい場合がある。
【0021】
図4Aの付属品充電コイル220の断面図には、磁気遮蔽材料256が示されている(しかし、上面図には示されていない)。磁気遮蔽材料256は、例えば、Maruwa Co.によって製造されているFLEX−μ FERRITE SHEETのような可撓性フェライト材料を含むことができる。米国特許公開第2011/0234155号明細書(「‘155公報」)により詳細に記載されているように、フェライト遮蔽は、充電コイル250によって生成された磁場を集束させるために、すなわち、患者に向う磁気充電場の大部分を反射するために使用することができ、それによって充電効率が高まるだけでなく、充電コイル250によって生成される磁気充電場から電子機器が遮蔽される。可撓性フェライト材料は、類似の遮蔽特性を有する同等の硬質フェライト材料(‘155公報に記載されている硬質フェライト材料のような)よりも薄くすることができ、従って、充電効率を更に促進するより薄く可撓性の高いコイルの構成が可能になる。より薄いアセンブリを可能にするために、硬質の付属品充電コイル内で可撓性フェライト遮蔽を使用することができる。断面図に示すように、磁気遮蔽材料256は、基板255と充電コイル250の間に装着することができる。更に、‘155公報に記載されているように、磁気遮蔽材料256は、同じ利益に向けて外部充電器275自体の内部に使用することができる。
【0022】
サーミスタ260が、基板255上に置かれ、かつケーブル235に向けて誘導される適切なリード線265に取り付けることができる。下記でより詳しく解説するように、サーミスタ260は、安全温度が維持されることを確実にするために、充電中、すなわち、充電コイル250が励磁されている時の温度を感知するように設計される。サーミスタ260は、温度を外部充電器275に報告して戻すことができ、次に、外部充電器275は、温度が過度に高い(41C又は約106Fを超える)場合に、更なる充電を一時的に無効にすることができる。実際の閾値温度は、サーミスタ260の配置、及びこれらのサーミスタ260が付属品充電コイル220の面温度にどれ程良好に相関するかに依存することになる。しかし、サーミスタ260は、厳密に必須であるわけではなく、更に、個数及び充電コイルハウジング240の回りの配置は変更することができる。例えば、図4Aに示すように、サーミスタ260は、基板255の上部又は下部に現れるか(図4Aの断面図に示すように)、又はハウジング240の反対側部に現れるようにすることができる。ハウジング240が円盤形のものである場合には、基板255も同じく円盤形にすることができ、サーミスタ260は、この配置では、これに代えて又はこれに加えてハウジングの中央に位置付けることができる。
【0023】
電子構成要素が基板255に装着された状態で、リード線は、ケーブル235内の線に接続される。次に、充電コイルハウジング240が、得られる基板255の周囲に射出成形される。射出成形工程における充填材料としてシリコーンを使用することができ、軟質で可撓性を有する充電コイルハウジング240を提供する。結果は、快適であり、かつ患者の身体と共形になるように曲げることができる充電コイルハウジング240である。これは、患者が、充電中にハウジング240をIPG100との適正なアラインメントに置く上でハウジング240上に重りを置かなければならない用途では特に重要である。充電コイルハウジング240は、一例では3.0mmの厚み(t)を有することができる。
【0024】
基板255は、シリコーンの射出成形の前に充電コイル250及びあらゆる関連電子機器(例えば、温度センサ260)を安定化するのに有用とすることができるが、基板255は厳密に必要とされるわけではない。これらの構成要素を封入するためのハウジング240の射出成形は、基板255の利益なしでも行うことができる。
【0025】
内部充電コイル17及び外部充電コイル250を励磁するのに必要とされる電力を含む電子構成要素275を作動させるための電力は、バッテリ70から取得することができる。バッテリ70は、標準の使い捨てアルカリバッテリ(例えば、2つから4つのAA又はAAAバッテリ)を含むことができる。しかし、好ましい実施形態において、バッテリ70は再充電可能であり、それによってバッテリのコスト及び廃棄物が低減される。特に、バッテリ70には、リチウム(Li)イオンバッテリ又はLi−イオンポリマーバッテリが好ましい。そのようなバッテリは、高いセル電圧(例えば、4.2V)を有し、従って、1つのセルで、直列接続された多くのアルカリセルを置換することができる。そのようなバッテリは、アルカリセルのほぼ2倍とすることができる高いエネルギ容量も有する。従って、再充電可能なLi−イオンバッテリ又はLi−イオンポリマーバッテリ70は、同じ形状因子で2倍のアルカリセル稼動時間を可能にするか、又はより小さい電子構成要素275の設計を可能にする約半分のパッケージサイズで同じ稼動時間を可能にするかのいずれかである。
【0026】
これに代えて、電子構成要素275を作動させる電力は、クレードル270内に接続された壁コンセントから引くことができる。外部充電器275のハウジング15は、外部充電器275がクレードル内に静置されている間にコイル250を励磁することを可能にする2つの端子273a及び273bを有することができる(図5を参照されたい)。外部充電コイル250がクレードル270を通じて励磁されている間に外部充電器275内の外部充電器バッテリ70を同時に充電することができるが、両方のバッテリを同時に充電するほど十分な電力が取得不能である場合には、IPGバッテリ26を充電するために外部充電コイル250に優先度を与えることができる。
【0027】
図4Bは、外部充電器275に接続された異なる付属品充電コイル320を有するシステム210を示している。図4Bでは、外部充電コイルアセンブリ320は、図4Aに示す付属品充電コイル220の直径よりも各々大きい断面幅(例えば、6インチ)及び長さ(例えば、10インチ)を有する大きい矩形コイル350、並びに大きい基板355、ハウジング340を含み、時に磁気遮蔽材料(図示せず)を含む。大きい付属品充電コイル320は、深く埋め込まれた(例えば、約12cmの深さ)刺激器を有する患者、又は比較的大きい面積にわたって散在する多数のインプラントを有する患者における使用に望ましい場合がある。大きい付属品充電コイル320を用いた充電は、充電場が患者の組織を通じてより深く侵入することを可能にし、大きい有効面積を与えるので、一部の患者に対してより有益である場合がある。
【0028】
しかし、より大きいコイルサイズの場合には、より厳しい電力要件がもたらされる。他の実施形態において、付属品充電コイル320は、約4ワットの電力を引き込む可能性がある。バッテリ70を過度に急速に消耗させるのを回避するために、付属品充電コイル320を用いた充電は、好ましくは、外部充電器275がクレードル270内に静置され、電力を壁プラグ292を通じて壁コンセントから直接に引き込む状態で行うことができる。必要に応じて、付属品充電コイル320は、外部充電器275及びクレードル270を壁プラグの近くに位置付けるという要件に適合させるために長いケーブル235を有することができる。
【0029】
大きいコイルサイズは、より複雑な加熱の懸念を呈する場合もある。従って、外部充電コイルアセンブリ320の周りに、図4Aの外部充電コイルアセンブリ220(2個)に示したものよりも多いサーミスタ260(例えば、6個)が配置される。好ましい実施形態において、サーミスタ260は、外部充電コイルアセンブリ320の周りに実質的に均等に離間され、それによって外部充電コイルアセンブリ320の様々な場所における温度を外部充電器275によってモニタすることが可能になる。外部充電コイルアセンブリ320の周りの様々な場所において、様々なファクタによってもたらされる「ホットスポット」が生じる可能性があるので、このモニタリングは重要である場合がある。充電コイル350によって生成される比較的強い磁場によって発生する干渉を考えると、サーミスタ260から値を読み取り、それに応じて充電を調節するのは困難である場合がある。従って、一実施形態において、サーミスタ260からデータを読み取る間に、外部充電コイル350は一時的に無効にされる。サーミスタ260は、約30秒間隔で読み取ることができる。図4Bには示していないが、付属品充電コイル320は、熱を均等に分散させて、使用中に付属品充電コイル320内に生じるホットスポットによってもたらされる問題を軽減するために、熱伝導材料、例えば、熱パッドを含むことができる。
【0030】
ここで図5に移ると、図4A及び図4Bの付属品充電コイル220及び320を含む付属式外部充電器システム210の回路図がより詳細に示されている。付属品充電コイルの各々の内部に存在する基本的な回路を示すために、付加的な付属品充電コイル420が示されている。
【0031】
上述したように、外部充電器275は内部コイル17を有し、IPGバッテリを充電するための独立型コードレス外部充電器として使用することができる。外部充電器275は、バッテリ70と、バッテリ70を制御方式で充電するバッテリ充電回路92とを更に含む。スイッチ282とコイルドライバ284とを含む外部充電器275の様々な要素を制御するために、マイクロコントローラ160が使用される。(マイクロコントローラ160は、コンピュータシステム内の論理を処理することができる集積回路又は非集積回路を含むことができる。)スイッチ282は、コイルドライバ284に対する電源をバッテリ70とクレードル270によって接点273a及び273bに供給されるDC電圧との間で切り換える。上述したように、大きい電力引き込みを必要とする大きいコイルでは、外部充電器275は、好ましくは(又は更に余儀なく)、クレードル270によって供給される電力で作動させることができる。外部充電器275がクレードル270から電力を受けていない場合には、コイルドライバ284に給電するのに、余儀なくバッテリ70に依存することが必要である場合がある。
【0032】
付属式外部充電器システム210は、付属品充電コイルが外部充電器275上のポート271内に挿入されているか否かを決定することができる。ポート271は、十分な個数のコネクタピンを有するあらゆる個数の公知の円筒コネクタを含むことができる。一実施形態において、ポート271は、コイル電力(COIL)、サーミスタ電力(TP)、サーミスタデータ(TD)、接地(GND)、及び接地ループバック(GL)信号という5つの接続を有する。GL信号274は、コイル420に示すように、付属品充電コイル内でGNDに短絡される。付属品充電コイルが外部充電器275に接続されると、GLは、この短絡を通じて接地され、それによって外部充電器275内のスイッチ295のゲートが接地されてスイッチが切られ、それによって内部充電コイル17が接断される。一方、付属品充電コイルが接続されない時には、スイッチ295のゲートは、プルアップ抵抗288を通じてハイにプルアップされ、それによってスイッチ295が入れられ、内部充電コイル17及びその同調コンデンサー286がコイルドライバ284に接続される。このようにして、外部充電器275は、ポート271に接続された場合に付属品充電コイルを駆動することになり、他の場合はそれ自体の内部充電コイル17を駆動することになる。
【0033】
図5には、サーミスタ電力(TP)を受けて、外部充電器275の温度をサーミスタデータ信号TDに沿ってマイクロコントローラ160に報告する内部サーミスタ261も示されている。例示的な付属品充電コイル420内には、同じく電力(TP)を受けてTDを通じて外部温度を報告する外部サーミスタ260が示されている。サーミスタ261及び260は、Dallas Semiconductorによって供給されているMaxim DS1825デジタルサーミスタを含むことができる。DS1825は、通信に1つの線(TD)だけしか必要とせず、各サーミスタは、そのオンボードROM内に固有の64ビットシリアルコードを格納することができる。DS1825は、4ビットアドレスを用いてプログラムすることができ、それによって16個までのサーミスタを単一の線(TD)を通じて一意的にプログラムすることが可能になる。DS1825の単線通信機能は、外部サーミスタ260の各々が同じ電力信号、データ信号、及び接地信号を共有することを可能にし、3つの線のみを用いて複数のサーミスタの使用を可能にする。
【0034】
充電パラメータを適切に設定することができるように、外部充電器275がどのタイプの付属品充電コイル(例えば、220、320、又は420)が接続されたかを決定する機能を有することを可能にするために、サーミスタ260のアドレスをプログラムすることも有利である場合がある。この点に関して、図5に示すように、付属品充電コイル220がアドレス0(すなわち、「0000」)及び1(すなわち、「0001」)を用いてプログラムされた2つのサーミスタ260を含むと仮定する。付属品充電コイル320がアドレス2〜7(すなわち、「0010」から「0111」)を用いてプログラムされた6つのサーミスタ260を含むと更に仮定する。付属品充電コイル420がアドレス8(すなわち、「1000」)及びアドレス9(すなわち、「1001」)を用いてプログラムされた2つのサーミスタ260を含むと更に仮定する。これらを知った上で、各アドレスを特定のタイプの付属品充電コイルに関連付けるテーブル262をマイクロコントローラ160に格納するか又はそれに対してアクセス可能にすることができる。すなわち、テーブル262は、アドレス0及び1が小さい円形付属品充電コイル220に対応し、アドレス2〜7が大きい矩形付属品充電コイル320に対応し、かつアドレス8及び9が付属品充電コイル420に対応することを反映する。
【0035】
付属品充電コイルが外部充電器275に接続されたことが検出されると(例えば、上述したように)、マイクロプロセッサ160は、従って、信号線TDを通じてサーミスタの様々なアドレスを問い合わせることができる。確認応答又は温度が、例えば、0又は1というプログラミングされたアドレスを有するサーミスタ260から報告されない場合には、マイクロコントローラ160は、付属品充電コイル220が接続されていないことを認識することになる。一方、2から7までの範囲にわたるプログラミングされたアドレスを有するサーミスタに関する確認応答又は温度の報告が戻された場合には、マイクロコントローラ160は、大きい付属品充電コイル320が接続されたことを認識することになり、それに従ってこのコイルによる充電処理を制御することができる。例えば、大きいコイル320が検出された場合には、マイクロコントローラ160は、コイルドライバ284によって供給される電力を増大させることができ、このコイルを駆動するのに使用される電力をクレードル270によって供給されるものに制限することができ、安全温度設定値をこのコイルに適するように変更することができる等々のことを行うことができる。
【0036】
開示するサーミスタのアドレス指定機能を様々な付属品充電コイルを識別して制御するための手段として使用することは容易で好適であるが、この方式は例示的な方式に過ぎないことに注意しなければならない。外部充電器がそれに接続された付属品充電コイルのタイプを決定することを可能にする他の方式も同じく使用することができる。例えば、付属品充電コイル220、320、420などの各々は、コイルのアドレスを定めるプログラム可能なメモリ、ヒューズ、又はアンチヒューズを含むことができる。これらのアドレスは、次に、接続された付属品充電コイルの特定のタイプを外部充電器275に通知し、かつそれに応じてこのコイルを制御するために、標準の方法で問い合わせることができると考えられる。更に、当該付属品充電コイルを決定するために、サーミスタ260の各々の64ビットシリアルコードを読み取って、外部充電器275に格納し、かつ同様にテーブル262に追加することができる。
【0037】
より洗練された実施形態において、外部充電器275は、接続された付属品コイルがテーブル262内のエントリに符合しない場合に患者に警告することができ、それによって患者は、自身の特定の埋め込み可能デバイスシナリオに不適切な付属品充電コイルを使用するのを防ぐことができる。
【0038】
開示する改善された外部充電器システムは、従って、単一外部充電器275を用いてポート271を通じて様々なタイプの付属品充電コイルを駆動する。図5に示す例示的な付属品コイルは、従来技術の独立型の専用外部充電器を用いては利用することができない機能を有する付属式外部充電器システム210を提供することができる。例えば、小さいコイルアセンブリ220(図4A)は、単一インプラントを伴う状況において、又は患者が外部充電器を自身の身体に接して長い期間にわたって容易又は快適に保持することができない場合に、より快適な充電を可能にする小さくて薄いコイルを含むことができる。小さいコイルアセンブリ220は、約7cmの直径及び1Wの電力要件を有することができる。大きいコイルアセンブリ320は、大きい有効面積を必要とする多数のインプラントが存在するシナリオ、又はインプラントが深く埋め込まれており、強い外部充電場が望ましいシナリオにおいて良好な充電を可能にすることができる。大きいコイルアセンブリ320は、約10インチ×6インチの寸法を有し、約4Wの電力要件を有することができる。後頭神経刺激(ONS)付属品充電コイル(図示せず)は、そのようなインプラントが自然に位置付けられると考えられる患者の首の背後と共形になるように湾曲形状に形成することができる可撓性材料で製造することができ、約2Wの電力要件を有することができる。
【0039】
すなわち、改善された付属式外部充電器システム210は、様々な患者、例えば、SCS治療、DBS治療、又はONS治療を受けている患者によって使用することができ、所定の患者は、自身の特定の埋め込み可能デバイスシナリオに対応する付属品充電コイルを購入して使用することだけが必要である。これに代えて、一部の患者は、独立型携帯外部充電器275のみを使用することができ、自身の充電要求に対して付属品充電コイルを必要としない。更に、各全ての埋め込み可能医療デバイスシナリオに対して独特の外部充電器を設計する代わりにシステム210内で機能する外部充電器275をただ1つだけ製造することで済むことにより、システムの製造業者には更に好都合である。
【0040】
ここで図6に移ると、改善された付属式外部充電器システム210の作動を詳描する流れ図が示されている。最初に、患者は、充電セッションを開始するために外部充電器275を起動する(段階600)。次に、外部充電器275は、外部充電器に結合された付属品充電コイルが存在するか否かを決定する(段階605)。そうである場合に、システムは、外部充電器の内部充電コイル17を無効にし(段階615)、接続されている付属品充電コイルのタイプを識別し(段階620)、接続された付属品充電コイルのアイデンティティに基づいて充電ルーチン及びパラメータを決定する(段階625)。次に、システム210は、この付属品コイルに対して決定した充電ルーチンに従って接続された付属品充電コイルを通じて埋め込み可能医療デバイスを充電することになる(段階630)。充電セッション中に定期的に、システム210は、付属品充電コイルが切り離されたか否かを決定することになる(段階635)。そうでない場合に、システム210は、埋め込み可能医療デバイスを充電し続けることになる(段階630)。付属品充電コイルが切り離されている場合には、システム210は、外部充電器の内部充電コイル17を用いて充電を開始することができる(段階610)。これに代えて、システム210は、付属品充電コイルが切り離されている場合に充電を完全に休止することができる(図6には示していない)。
【0041】
段階605に戻ると、外部充電器275により、接続された付属品充電コイルが存在しないと最初に決定された場合には、外部充電器は、自体の内部充電コイル17を用いて充電を開始することができ(段階610)、そのようにして充電を続けながら、付属品充電コイルがその後に接続されたか否かを決定するために定期的に検査を行い(段階605)、付属品充電コイルが接続された場合には、システム210は、直前に解説したようにそのような付属品コイルを用いて充電を開始することができる(段階615〜630)。
【0042】
本発明の特定の実施形態を図示して記述したが、以上の解説は、本発明をこれらの実施形態に限定するように意図していないことを理解しなければならない。当業者には、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変形及び修正を加えることができることが明らかであろう。すなわち、本発明は、特許請求の範囲によって定められる本発明の精神及び範囲に入ることができる代替物、修正物、及び均等物を網羅するように意図している。
【符号の説明】
【0043】
92 バッテリ充電回路
210 付属品外部充電システム
270 クレードル
275 外部充電器
320 外部充電コイルアセンブリ
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6