特許第5893174号(P5893174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5893174負荷が印加される保持機構を手動でロック解除するためのデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893174
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】負荷が印加される保持機構を手動でロック解除するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/00 20160101AFI20160310BHJP
   A61G 13/10 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   A61B19/00 502
   A61G13/10
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-555263(P2014-555263)
(86)(22)【出願日】2013年2月7日
(65)【公表番号】特表2015-507950(P2015-507950A)
(43)【公表日】2015年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2013052408
(87)【国際公開番号】WO2013117632
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年8月19日
(31)【優先権主張番号】102012100970.8
(32)【優先日】2012年2月7日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513242656
【氏名又は名称】マッケ・ゲゼルシャフトミットベシュレンクターハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスウハ,ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】シンガー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ガントケ,ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ホプフェンガルト,ハンス−イェルク
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2005/007053(WO,A2)
【文献】 実開昭63−176438(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/00 − 90/98
A61G 13/00 − 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷が増加するに連れて大きくなる操作力により保持機構(10)をロック解除するために手動で操作される操作要素(62)と、
前記操作要素(62)に連結された力伝達要素(72)を含む変換機構(64、90)と、
前記力伝達要素(72)に連結されたトリガ(66)と、
を備え、
前記保持機構(10)をロック解除するために、前記トリガ(66)は、前記力伝達要素(72)を介して前記トリガ(66)に伝達された前記操作力により、前記トリガ(66)が前記保持機構(10)から作動的に分離されるロック位置から前記保持機構(10)をロック解除するために前記トリガ(66)が前記保持機構(10)に作動的に連結されるロック解除位置に移動自在であり、
前記変換機構(64、90)は、伸縮自在に変形可能なフォースリミッタ(80)を含み、前記力伝達要素(72)が前記フォースリミッタ(80)を介して前記トリガ(66)に連結され、前記操作力が予め定義された力を超える場合、前記フォースリミッタ(80)がその弾性変形により前記トリガ(66)に対する前記操作力の伝達を妨げ
細長いハウジング(52)を更に備え、前記変換機構(64、90)は、前記操作要素(62)に手動で加えられた前記操作力をハウジング前後軸に沿った前記力伝達要素(72)の移動に変換し、前記フォースリミッタ(80)は、前記ハウジング長手軸に沿って伸縮自在に変形可能であることを特徴とする、負荷が印加される保持機構(10)を手動でロック解除するためのデバイス(50)。
【請求項2】
前記フォースリミッタ(80)は発条であり、前記発条は、前記操作力が前記予め定義された力以下である場合、前記発条がその原形状を保持すると共に、前記操作力が前記予め定義された力を超える場合、前記発条が伸縮自在に変形するように前記発条の復原力が設計されることを特徴とする請求項に記載のデバイス(50)。
【請求項3】
前記発条は、圧縮発条からなることを特徴とする請求項に記載のデバイス(50)。
【請求項4】
前記変換機構(64)は、前記操作要素(62)に形成された第一の待歯(68)と、前記第一の待歯(68)に歯合される、前記力伝達要素(72)に形成された第二の待歯(70)と、を備えることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載のデバイス(50)。
【請求項5】
前記変換機構(90)は、前記操作要素(62)に形成された圧縮面(104)と、長い第一の脚部(94)と短い第二の脚部(96)とを有するトグルレバー(92)と、を備え、
前記トグルレバー(92)の前記長い第一の脚部(94)は、前記デバイス(50)の内部に静止している第一の回旋点(98)に一端が回転自在に支持され、
前記トグルレバー(92)の前記短い第二の脚部(96)は、移動自在に誘導された前記力伝達要素(72)に対して静止している第二の回旋点(100)に一端が回転自在に支持され、
前記長い第一の脚部(94)と前記短い第二の脚部(96)は、共通の第三の回旋点(102)にそれらの他端が回転自在にそれぞれ支持され、
前記操作要素(62)を手動操作する間の圧縮面(104)は、前記第三の回旋点(102)の付近の前記トグルレバー(92)を押すことを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載のデバイス(50)。
【請求項6】
前記操作要素(62)は、旋回自在に支持されたハンドルであることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載のデバイス(50)。
【請求項7】
前記力伝達要素(72)は、前記フォースリミッタ(80)が支持される中空円筒状部分(74)を含むことを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載のデバイス(50)。
【請求項8】
前記トリガは、その長手軸の方向に直線的に誘導されるトリガロッド(66)を備えることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載のデバイス(50)。
【請求項9】
前記トリガロッド(66)は、長方形の前記フォースリミッタ(80)の内部に少なくとも部分的に誘導されることを特徴とする請求項に記載のデバイス(50)。
【請求項10】
前記フォースリミッタ(80)の弾性変形を制限するエンドストッパ(78)を更に備えることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載のデバイス(50)。
【請求項11】
前記エンドストッパは、前記力伝達要素(72)に隣接するエンドストッパ面からなることを特徴とする請求項10に記載のデバイス(50)。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載のデバイス(50)を備えることを特徴とする、負荷が印加される保持機構(10)。
【請求項13】
前記保持機構(10)は、患者の身体部分を支持するように形成された保持アームであり、前記保持アームは、少なくとも二つの強直な保持部材(12、14、16、18、20、22)とジョイント(24、26、28、30、32)とを有し、前記ジョイント(24、26、28、30、32)は、前記少なくとも二つの強直な保持部材(12、14、16、18、20、22)を相互に接続し、
前記トリガ(66)の前記ロック位置で前記ジョイント(24、26、28、30、32)が前記少なくとも二つの強直な保持部材(12、14、16、18、20、22)を強直に相互に連結し、前記トリガ(66)の前記ロック解除位置で前記少なくとも二つの強直な保持部材(12、14、16、18、20、22)を移動自在に相互に連結するように、前記トリガ(66)と共に作動するロック解除機構を更に備えることを特徴とする請求項12に記載の保持機構(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷が増加するに連れて大きくなる操作力により保持機構をロック解除するために手動で操作される操作要素と、操作要素に連結された力伝達要素を含む変換機構と、力伝達要素に連結されたトリガと、を備え、保持機構をロック解除するために、トリガは、力伝達要素を介してトリガに伝達された操作力により、トリガが保持機構から作動的に分離されるロック位置から保持機構をロック解除するためにトリガが保持機構に作動的に連結されるロック解除位置に移動自在であることを特徴とする、負荷が印加される保持機構を手動でロック解除するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
医療技術において、最近では、例えば、患者の肩又は上腕において手術中に腕を支持するための機械的な補助システムが使用される。この補助システムは、図1に純粋に概略的に図示された保持アームにより実質的に形成される。
【0003】
図1において10で参照された保持アームは、ジョイント24、26、28、30、及び32を介して相互に連結された複数の強直な保持部材12、14、16、18、20、及び22を含む。保持アーム10の一端に、保持アーム10を手術台の摺動レールに取り付ける役割を果たす固定デバイス34が配置される。保持アーム10の他端に、先に説明された方法で保持アーム10をロック解除するために操作者により手動で操作されるハンドル36が配置される。複数のラッチ開口部38と共にハンドル36に提供されたホルダ40は、例えば、患者の腕を支持するために取り付けられたサポートに取り付けられる。
【0004】
先に言及されたように、ハンドル36は、保持アーム10をロック解除する役割を果たし、特に、ジョイント24〜32とそれぞれの保持部材12〜22とを相互に連結する。そのため、ハンドル36は、ハンドル36を押さえ付ける際に、保持アーム10を介して案内された図1で図示されていないロッドシステムをロック解除する、図1で図示されていない機械的なトリガを含む。このとき、ハンドル36に加えられた操作力は、ハンドル36の内部に配置された変換機構を介してトリガに伝達される。ハンドル36の操作によりトリガがロッドシステムに作用する場合、後者は、それぞれのジョイント24〜32がロック解除されることを保証する。ジョイント24〜32のそれぞれは、ジョイントにより相互に連結された二つの保持部材の相対的な移動をロック解除状態において可能にするように形成される。
【0005】
操作力がハンドル36に加えられない場合、保持アーム10の保持部材12〜22は、ジョイント24〜32を介して相互に強直に連結される。この状態で、保持アーム10は、安定位置において患者の腕を支持するように適合された強直なユニットを形成する。空間中で患者の腕の位置が変更される場合、操作者によるハンドル36の押し付けにより機械的なトリガを介してロック解除機構が操作される。ハンドル36の操作により、ジョイント24〜32を介して相互に連結された保持部材12〜22は、操作者が希望する通りに保持アーム10を位置調整することができるように、相互に関連して移動自在になる。操作者が後にハンドル36を再び解放する場合、ジョイント24〜32が再び固定されると共に、保持アーム10がその変更された位置で再び固定される。
【0006】
操作者が保持アーム10をロック解除するためにハンドル36に加えなければならない操作力は、保持アーム10に印加された負荷に依存する。この負荷は、保持アーム10の固有の重量及び支持された患者の腕の重量からなる。患者の腕が重い程、結果的に操作力は大きくなければならず、操作者は、保持アーム10をロック解除するためにハンドル36にその操作力を加えなければならない。
【0007】
操作者が十分に大きな操作力によりハンドル36を操作すれば、保持アーム10は、速やかにロック解除される。これは、保持アーム10が負荷、即ち、実質的に患者の腕の重量を受けて即座に曲がることを意味する。この保持アーム10の曲がりは、保持アーム10に支持された重量が比較的に軽い限り、さほど問題にならない。この場合、操作者は、手でハンドル36を保持して患者の腕の重量の反対の反作用力を働かせることにより、即ち、負荷が下向きに作用するため、操作者は、一般的に少し上向きにハンドル36を押すことにより、保持アーム10の突然のバッギングを妨げることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、支持された患者の重量が比較的に大きい場合、操作者は、保持アーム10を安定させるために保持アーム10をロック解除した後に、対応する大きな反作用力を働かせなければならない。保持アーム10のロック解除が速やかに生じるとき、操作者は、速く反応しなければならず、保持アーム10の取り扱いを困難にする。そこで、操作者は、一方の手によりハンドル36を操作している間に、その始めから他方の手で下から保持アーム10を支持することにより、保持アーム10の急なバッギングを妨げることができる。これは、保持アーム10をロック解除することを更に容易にする。しかしながら、操作者が保持アーム10を支持するためのこの安全対策を忘れ、保持アーム10をロック解除する手順及び下向きのバッグの間に不意にその安定を失うことにより不意打ちを食うことが、実際上、頻繁に生じる。これは、保持アーム10の取り扱いを困難にする。
【0009】
本発明は、先に説明されたタイプの保持機構のために究明され、その取り扱いがこれまでよりも更に容易且つ安全になる、手動で操作可能なロック解除デバイスを示すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、変換機構が伸縮自在に変形可能なフォースリミッタを含み、力伝達要素がフォースリミッタを介してトリガに連結され、操作力が予め定義された力を超える場合、フォースリミッタがその弾性変形によってトリガに対する操作力の伝達を妨げることにより、この目的を解決する。
【0011】
本発明は、保持機構をロック解除するために操作部に手動で加えられる操作力が支持された負荷に依存する、特に、負荷が増加するに連れて大きくなるという事実を利用する。これは、保持機構をロック解除するために印加される力が保持機構に印加された負荷のための指標として考慮されることを意味する。負荷の増加により操作力が大きくなる環境は、負荷が大きい場合の偶発的なロック解除が妨げられるという効果の安全態様を含む。
【0012】
本発明は、操作力が予め定義された力ほど大きくない場合に限り、操作部に手動で加えられた操作力のトリガに対する伝達を許可する、伸縮自在に変形可能なフォースリミッタを提供する。先に説明されたように、操作力が保持機構に載せる負荷のための指標であるとき、この負荷が予め定義された値を超える場合、フォースリミッタは、操作力のトリガに対する伝達を妨げ、負荷が印加された保持機構をロック解除する。逆に、これは、負荷がこの予め定義された値ほど大きくない場合、操作部の操作を介してのみ保持機構をロック解除することが本発明によってのみ可能であることを意味する。
【0013】
操作者が操作部を操作する際に、この方法で保持機構をロック解除することが操作者にとって可能ではないことを実感すれば、操作者は、保持機構に載せる負荷が予め定義された値よりも大きいことに気が付く。操作者がそれを実感した後、操作者は、例えば、操作部に操作力を加え続ける間に、保持機構に載せる負荷を打ち消し、保持機構の負荷を軽くするために、同一又は異なる手で保持機構を支持する。この方法で保持機構が十分に負荷を軽くされた場合、操作部に操作力を加えることにより保持機構をロック解除することが操作者にとって可能になる。その結果として、負荷保持状態から負荷屈曲状態への保持機構の突然の移行によって操作者が驚くことが確実に妨げられる。更に、ロック解除デバイス及び/又は保持機構を形成する部品の効果的な操作力ダメージの制限により過度の加力の影響が妨げられる。最後に、操作力の制限により、ハンドル操作の優れたエルゴノミクスが保証される。
【0014】
好適な実施の形態では、フォースリミッタは発条であり、操作力が予め定義された力以下である場合、発条がその原形状を保持すると共に、操作力が予め定義された力を超える場合、発条が伸縮自在に変形されるようにその復原力が設計される。操作力が十分に小さい場合、力伝達要素とトリガとの間に相互に連結された発条は、実質的に剛体要素として作用し、その結果、操作部に加えられた操作力は、大部分が弱められていない発条を介してトリガに作用し、保持機構がロック解除される。しかしながら、操作部に加えられた操作力がとても大きい場合、保持機構の不意に生じる不安定によって不意打ちを食わないために、操作者は、それがロック解除する前に保持機構の負荷を軽くするべきであり、加えられた操作力に準じた弾性変形の結果として発条が吸収し、これにより、後者はもはやトリガに作用せず、保持機構がロックされ続ける。保持機構の負荷を軽くすることでのみ、操作部に加えられる操作力は再びとても小さくなるので、これは発条の弾性変形をもたらさず、操作力はトリガに伝達される。
【0015】
好ましくは、発条は圧縮発条であり、その圧縮発条は、操作部に加えられた力が予め定義された力よりも大きい場合、力伝達要素とトリガとの間に押し付けられる。
【0016】
好適な実施の形態では、変換機構は、操作部に形成された第一の待歯と、第一の待歯に歯合する、力伝達要素に形成された第二の待歯と、を備える。二つの待歯様式により形成されたそのような変速機は操作部の操作、例えば、力伝達要素の直線移動、及びこれによるフォースリミッタを介して力伝達要素に連結されたトリガの対応する移動(操作力が予め定義された力を超えない限り)を変換するのに特に適切である。
【0017】
他の実施の形態では、変換機構は、操作部に形成された移動可能な圧縮面と、長い第一の脚部と短い第二の脚部とを有するトグルレバーと、を備え、トグルレバーの長い第一の脚部は、ロック解除デバイスの内部に静止している第一の回旋点に一端が支持され、トグルレバーの短い第二の脚部は、移動自在に誘導された力伝達要素に対して静止している第二の回旋点に一端が回転自在に支持され、二つの脚部は、共通の第三の回旋点に他端がそれぞれ支持され、圧縮面は、操作部が手動で操作されたときに、第三の回旋点の付近のトグルレバーを押す。トグルレバーの使用により、一定の操作速度での操作力の遅延伝達を得ることができる。これは、力伝達要素により加えられた力が増加している間に減少する、力伝達要素が移動されることによる一定の操作速度のストローク速度を意味する。これにより、操作者により加えられた操作力は、遅延に対して有効となり、その結果、操作部を操作するときに、操作者は、より上手に保持機構の来るべきロック解除の準備をすることができる。更に、この方法では、より大きな力伝達が可能になる。
【0018】
好ましくは、力伝達要素は、フォースリミッタが支持される中空円筒状部分を含む。これは、ロック解除デバイスの著しくコンパクトな構成を可能にする。トリガは、例えば、その長手軸の方向に直線的に誘導されるトリガロッドを備える。この場合、トリガロッドは、少なくとも部分的に長方形のフォースリミッタの内部に誘導される。例えば、フォースリミッタがコイル発条である場合、この実施の形態では、トリガロッドの一部がコイル発条の内部に延在する。これは、更にロック解除デバイスの著しくコンパクトな構成を促進する。
【0019】
好ましくは、フォースリミッタの弾性変形を制限するエンドストッパが提供される。例えば、フォースリミッタが圧縮発条である場合、エンドストッパは、圧縮発条が非常にしっかりと押し付けられることを保証し、もたらされた発条変形は、その結果、予め定義された発条荷重撓み曲線により決定された操作域内に常に存在する。これは、発条がその機能、即ち、操作部に加えられた操作力のトリガに対する伝達をその力の大きさに依存して確実に長期に亘り許可するか又は妨げる役割を果たすことを保証する。
【0020】
先に説明されたエンドストッパは、例えば、力伝達要素に隣接したエンドストッパ面である。この実施の形態では、エンドストッパは、力伝達要素の上昇を制限する。しかしながら、操作部の操作の経路を限定するために、例えば、操作部にエンドストッパを設けることも可能である。
【0021】
本発明の更に態様によれば、負荷が印加される保持機構は、先に説明されたタイプのロック解除デバイスを備える。
【0022】
本発明は図面に基づいて以下に説明される:
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】患者の腕を支持する従来の保持アームを示す。
図2】ロック解除デバイスのハンドルが操作されず、保持アームがロックされた状態の第一の実施の形態による図1の保持アームに利用可能なロック解除デバイスを通る縦断面を示す。
図3】ハンドルが操作され、その結果、保持アームがロック解除された状態の図2のロック解除デバイスを通る縦断面を示す。
図4】ハンドルが操作され、保持アームが常にロックされ続けた状態の図2のロック解除デバイスを通る縦断面を示す。
図5】ロック解除デバイスのハンドルが操作されず、保持アームがロックされた状態の第二の実施の形態による図1の保持アームに利用可能なロック解除デバイスを通る縦断面を示す。
図6】ハンドルが操作され、保持アームがロック解除された状態の図5のロック解除デバイスを通る縦断面を示す。
図7】ハンドルが操作され、保持アームが常にロックされ続けた状態の図5のロック解除デバイスを通る縦断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図2は、第一の実施の形態としての縦断面のロック解除デバイス50を示す。ロック解除デバイス50は、記載された方法で図1に示された保持アーム10をロック解除するように適合される。
【0025】
ロック解除デバイス50は、螺締された接続部58、60を介して相互に連結された二つのハウジング部分54、56からなる細長いハウジング52を有する。ロック解除デバイス50は、操作者により手動で操作可能なハンドル62を更に含み、変換機構は、一般に図2において64で参照され、トリガロッド66は、ハウジング長手軸に沿って移動自在に誘導される。変換機構64は、ハンドル62に形成された歯車部分68と、歯車部分68に歯合された歯竿70と、を備える第一の実施の形態の変速機により形成される。歯竿70は、その歯竿70に対向する端に中空円筒状部分74を含む力伝達要素72の一部である。
【0026】
ハンドル62に対向するトリガロッド66の端に強直な支持体76が備え付けられ、中空円筒状エンドストッパ78は、圧力負荷可能コイル発条80が配置される空間を定義する。
【0027】
トリガロッド66は、ハウジング部分56に形成された貫通孔82を通って延在する。その結果として、トリガロッド66は、ハウジング52の長手軸の方向に移動自在に誘導される。トリガロッド66は、図2に示されない保持アームに含まれ、ロック解除機構を操作する役割を果たす。図2のロック解除機構の旋回軸86に対して旋回自在に支持された一つのロック解除部品84のみが図示される。トリガロッド66によりロック解除部品84を押し、後者が保持アームのロック解除のために旋回軸86に対して移動される。
【0028】
コイル発条80は、力伝達要素72を介してトリガロッド66に連結され、操作力が予め定義された力を超えない場合、操作者によりハンドル62に手動で加えられた操作力が変換機構64を介してトリガロッド66に伝達され、その結果としてロック解除部品84に伝達されることを保証するフォースリミッタを形成する。
【0029】
操作力が予め定義された力を超える場合、コイル発条80が押し付けられるように、その圧縮を打ち消すコイル発条80の発条力が正確に選択される。この場合、コイル発条80は、伸縮自在に押し付けられることによりハンドル62を介して力伝達要素72に加えられた操作力を外見上吸収する。しかしながら、操作力が予め定義された力以下である場合、コイル発条80を押し付けるには足りない。その後、コイル発条80は、ハンドル62の操作によりもたらされた力伝達要素72の移動が旋回軸86に対してロック解除部品84を移動させるハウジング52の長手軸の方向にトリガロッド66の対応する移動に変換され、究極的に保持アームがロック解除されるように、力伝達要素72とトリガロッド66との間の強直な連結要素を形成する。
【0030】
図2〜4は、コイル発条80により形成されたフォースリミッタのロック解除デバイス50の操作形態を特に示す。
【0031】
図2では、ハンドル62は操作されない。同様に、トリガロッド66は、ロック解除部品84に作用せず、そのロック位置に留まる。保持アームがロック解除される。
【0032】
図3では、ハンドル62は、コイル発条80を大きく押し付けるには足りない操作力(負荷に依存する)により操作される。これにより、この状態で、コイル発条80は、力伝達要素72の中空円筒状部分74が強直なエンドストッパ78に隣接するまでハウジング52の長手軸の方向に力伝達要素72と共に下向きに移動される、実質的な剛体要素を形成する。従って、操作力は、トリガロッド66に伝達され、それをロック解除位置に移動させ、ロック解除部品84が旋回軸86に対して旋回される。保持アームがロック解除される。
【0033】
図4では、ハンドル62は、コイル発条80を押し付けるのに十分に大きい操作力(負荷に依存する)により操作される。コイル発条80は、加えられた操作力を吸収し、トリガロッド66をロック位置に留め、ロック解除部品84に作用させない。保持アーム10は、ハンドル62の操作によらずロックされ続ける。
【0034】
図5〜7では、ロック解除デバイス50の変更が第二の実施の形態として図示される。第二の実施の形態は、図5〜7において90で参照される変更された変換機構のみが図2〜4に示された第一の実施の形態と異なる。第一の実施の形態のものとそれらの機能が一致する、第二の実施の形態の構成要素には第一の実施の形態で使用された符号が付される。
【0035】
第一の実施の形態に対して変更された変換機構90は、長い第一の脚部94と、短い第二の脚部96と、からなるトグルレバー92を含む。第一の脚部94は、ハウジング52に強直に備え付けられた旋回軸98に一端が支持される。旋回軸98は、これによりハウジング52に対して静止しているトグルレバー92の第一の回旋点を形成する。第二の脚部96は、ハウジング52の長手軸の方向に移動自在である力伝達要素72に強直に備え付けられた旋回軸100の第一の脚部94に対向する一端が支持される。旋回軸100は、これにより力伝達要素72と共に移動される第二の回旋点を形成する。
【0036】
二つの脚部94、96は、その対向する端が相互に回転自在に連結される。このために、第二の脚部96は、第二の脚部に対向する第一の脚部94aの端に形成された対応する球状のレセプタクルに支持される略球状の部分102を含む。二つの脚部94、96のこの回転自在な連結により、トグルレバー92の共通の移動自在な第三の回旋点が与えられる。
【0037】
トグルレバー92は、その第三の回旋点の付近のハンドル62に形成された圧縮面104に隣接する。操作者がハンドル62を操作する場合、図6に示されたように、二つの脚部94、96は、概してハウジング52の長手軸に対して略平行に配置された形状にトグルレバー92を至らせて垂直に位置調整される。トグルレバー92のこの位置調整により、ハンドル62に加えられた操作力は、力伝達要素72に伝達され、ハウジング52の長手軸の方向に力伝達要素72を下向きに移動させる(図5〜7)。
【0038】
その上、図5〜7に示された第二の実施の形態は、図2〜4による第一の実施の形態と同一の方法で操作する。更に言えば、ハンドル62が操作されず、保持アームが結果的にロックされた図5に示された状態は、図2による状態に対応する。ハンドル62が操作され、保持アームがロック解除された図6に図示された状態は、図3による状態とハンドル62が操作された図7に示された状態の何れかに対応し、保持アームがロックされ続ける図4による状態に対応する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7