(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
封入用紙の印刷内容が封筒毎に異なる1to1ダイレクトメールを作成するために、前述し、特許文献1に示したような卓上封入封緘機を利用する場合には、その用紙給紙台にセットする封入用紙の積載順序と、その封筒給紙台にセットする封筒の積載順序を一致させる必要があった。しかし、前述したように封筒の印刷は自社で行なうが、内容物の印刷は外注した場合のように、異なる場所で異なる手段により印刷された用紙と封筒では、その出力順序に違いがあったり、間紙の混入の有無に違いがある等、条件の相違が発生しうるため、卓上封入封緘機の給紙台にセットする際には誤封入防止のために十分な確認が必要であった。また、手作業による封入作業では、誤封入防止の施策に工数がかかり、処理が長時間に及ぶことがあった。
【0006】
本発明は、係る課題に鑑みてなされたものであり、封筒(又は封筒となる用紙)と必要な内容物の用紙(存在しない場合も含む)に印刷を施し、内容物を封筒に封入封緘して封書を作成する封書作成装置において、簡易かつコンパクトな構成でありながら、内容物の封入に失敗したり内容物を取り違えて封筒に封入するといった封入ミスが発生しにくいため、ユーザーサイドにおける作業のみで効率的な封書作成を行なうことができ、特に1to1ダイレクトメールの作成等に適した封書作成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載された封書作成装置は、
封筒及び内容物に印刷を施し、前記封筒に前記内容物を封入封緘して封書を作成する封書作成装置において、
作成すべき前記封書ごとに、前記封筒及び前記内容物をそれぞれ印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷された前記封筒を搬送する第1の搬送経路と、
前記印刷部で印刷された前記内容物を搬送する第2の搬送経路と、
前記封筒となる用紙を前記封筒の形状に折り畳む第1の折り手段と、
前記第1の経路と前記第2の経路が合流する位置に配置され、
前記第1の折り手段で折り畳まれた前記封筒となる用紙に前記内容物を整合させて封入した後に封緘する封入封緘部と、
を有することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載された封書作成装置は、請求項1記載の封書作成装置であって、
前記内容物は、前記内容物となる用紙を折り畳むことによって構成され、
前記第2の搬送経路には、前記内容物となる用紙を留める整合部と、前記整合部に留められた前記内容物となる用紙を折り畳む第2の折り手段が設けられ、
前記封入封緘部は、前記封筒
となる用紙に、前記第2の折り手段で折り畳まれた前記内容物となる用紙を封入した後に封緘することを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載された封書作成装置は、請求項1又は2に記載の封書作成装置であって、
前記封筒
となる用紙には、感圧接着剤が塗布されており、
前記封入封緘部は、前記第1の折り手段で折り畳まれた前記封筒となる用紙に前記内容物を整合させて封入した後に、前記封筒を押圧して封緘することを特徴としている。
【0010】
ここで、本発明における封筒とは、袋状に形成された通常の意味での封筒だけでなく、折り畳む等して袋状に形成する前の用紙をも意味する。通常の意味での封筒の場合は、市販の既製品でもよいし、自ら作成したものでもよい。また、本発明では、内容物は、必要に応じて封筒に封入されるものであるから、封書の封筒内に内容物が必要でなく、内容物を封入しない封筒だけの封書も、本発明の封書作製装置が作製する封書の範囲に含まれる。さらに、本発明においては、内容物となる用紙は必ずしも折って封筒に封入する必要はなく、印刷された用紙の外形のままで封筒に封入してもよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項
1に記載された封書作成装置によれば、封筒と内容物に印刷を施す共通の印刷部が、折り畳まれて封筒となるべき用紙と、これに対応する内容物とを、作成すべき封書ごとに交互に印刷して排出する。そして、印刷された封筒の用紙を専用の第1の搬送経路で搬送しながら、第1の折り手段で折り曲げて内容物を受け入れ可能な形態に成形し、また印刷された内容物を専用の第2の搬送経路で搬送し、両搬送経路の合流する位置に設けられた封入封緘手段において、内容物を受け入れ可能な形態に成形された封筒の用紙と内容物とをミスなく整合させ、封筒の用紙をさらに搬送しながら折り曲げることによって封筒の形状を完成して内容物を封入封緘し、封書を作成することができる。従って、内容物が封筒毎に異なる1to1ダイレクトメールの作成等に適しており、封筒となる用紙及び内容物の印刷から、用紙を封筒に折り曲げつつ内部に内容物を入れ込む封入作業を経て、封緘に至る一連の複雑な工程を、全自動でミスなく確実に実行することができる。
【0013】
請求項
2に記載された封書作成装置によれば、封筒と内容物に印刷を施す共通の印刷部が、封筒又は折り畳まれて封筒となるべき用紙と、これに対応する内容物となる用紙を、作成すべき封書ごとに交互に印刷して排出する。そして、印刷された封筒又は封筒の用紙を専用の第1の搬送経路で搬送しながら、封筒の用紙については第1の折り手段で折り曲げて内容物を受け入れ可能な形態に成形し、また印刷された内容物の用紙を専用の第2の搬送経路で搬送して整合部に留めた後、第2の折り手段で折り曲げて内容物とし、両搬送経路の合流する位置に設けられた封入封緘手段において、封筒と内容物をミスなく整合させ、内容物を封筒に封入封緘し、封書を作成することができる。従って、内容物が封筒毎に異なる1to1ダイレクトメールの作成等に適しており、封筒又は封筒となる用紙及び内容物となる用紙の印刷から、用紙を折り曲げて形成した内容物を封筒に入れ込む封入作業を経て、封緘に至る一連の複雑な工程を、全自動でミスなく確実に実行することができる。
請求項3に記載された封書作成装置によれば、前記封筒には感圧接着剤が塗布されているので、前記封入封緘部は、前記第1の折り手段で折り畳まれた前記封筒となる用紙に前記内容物を整合させて封入した後に、前記封筒を押圧して封緘することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に説明する本発明の実施形態に係る封書作製装置は、作製すべき封書ごとに、既成の封筒又は折りによって封筒となる用紙と、内容物となる用紙(0枚以上)を、時間的な効率が最も良くなるような順序で連続して印刷し、それぞれ異なる搬送経路で搬送しながら必要な折りを加えて最後に合流させて封筒に内容物を封入し、最終的に封筒のフラップを閉じて封緘された封書とし、装置の上部に揃えて排出する装置である。
【0016】
以下の実施形態では、第1実施形態として既成の封筒を使用する場合を示し、第2実施形態として用紙を折って封筒を作製し、これを使用する場合を示す。第1実施形態では、封筒の本体とフラップの折り目は、フラップが開閉する際の中心となる部分であり、図中では便宜的に黒丸(
図1、20及び12)又は白丸(
図8〜10)で示した。なお、いずれの実施形態の説明においても、説明に対応するように図中には矢印を以て用紙等の移動経路を示した。
【0017】
1.第1実施形態(
図1〜
図11)
図1に示す第1実施形態の封書作製装置1は、作製すべき封書ごとに、すでに袋状に成形されている封筒(例えば既製品の封筒等)と、内容物となる0枚以上の用紙とに、共通の印刷部2により適当な順序で必要な印刷を施し、それぞれ別系統の搬送経路で搬送しながら、内容物が存在する場合には当該搬送経路で必要な折りを施し、最終的に両者を封入封緘手段で合流させ、内容物を封筒に封入・封緘して装置の上部に揃えて排出する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、この封書作製装置1は、封筒及び内容物となる用紙を印刷して排出する印刷部2を備えている。この印刷部2は、装置の各部を収納する筐体4の内部又は側面等に、複数種類の被印刷体(枚葉状の用紙や封筒)を収納可能な複数の給紙台P(P1〜P4)を備えている。本例では、筐体の側面に取り付けられた給紙台P1に封筒が収納され、筐体の内部に設けられた給紙台P2〜P4に内容物となる枚葉状の用紙が収納されている。
【0019】
これら給紙台Pから出た用紙等は、導入路からループ状の搬送路5に送り込まれて搬送され、搬送路の下半部に沿って下向きに所定間隔で配置された印刷手段によって画像が形成される。本例では、印刷手段として、シアン、ブラック、マゼンタ、イエローの各色のインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェット装置C、K、M、Yが配置されている。
【0020】
このループ状の搬送路5には、印刷手段の下流の隣部に、ほぼ水平な方向で用紙をループ外に排出する第1の排出路6が分岐して設けられている。また、ループ状の搬送路5の上半部には、用紙をループ外に排出する第2の排出路7が分岐して設けられている。さらに、第2の排出路7と給紙台Pからの導入路との間にはスイッチバック路8が分岐して設けられている。このスイッチバック路8は、搬送路5を搬送されてきた用紙を受け入れた後に逆行させて搬送路5に戻すことにより、搬送路5中における用紙の上下を反転させる手段である。このスイッチバック路8を用い、用紙の上下面を逆転させて搬送路5を2回通過させれば、インクジェット装置C、K、M、Yで用紙の両面にカラー画像を形成するカラー両面印刷を行なうことができる。
【0021】
図1及び
図2に示すように、印刷部2の隣部には、印刷部2の第1の排出路6から送られた封筒や用紙を受け入れて処理し、当該封筒に当該用紙を封入して封緘するための封入封緘部3が設けられている。
【0022】
図1に示すように、封入封緘部3の筐体9の内部には、印刷部2で印刷された封筒を搬送する第1の搬送経路10が設けられている。この第1の搬送経路10は、印刷部2の第1の排出路6から水平方向に送られてきた封筒を搬送方向に沿って斜め上方に送る一方の経路11と、この経路11と略平行な斜め姿勢で筐体9の上面に設けられ、経路11から送られた封筒を一時的に貯留する封筒ストッカ12と、封筒ストッカ12から封筒を筐体9内に取り込み、斜め下方に送る他方の経路13とを有している。
なお、この他方の経路13の終端には、封筒反転手段50と、封入封緘手段としての封筒開封封入手段60及び封緘手段70が設けられているが、これらの構成及び作用は後述する。
【0023】
図2に示すように、封入封緘部3の筐体9の内部には、印刷部2で印刷された用紙を搬送する第2の搬送経路20が設けられている。この第2の搬送経路20は、第1の搬送経路10よりも下方にあり、印刷部2の第1の排出路6から水平方向に送られた用紙を斜め下方に送る一方の経路21を有している。
【0024】
図3に示すように、この経路21の中途には、用紙搬送ローラ22と、開閉自在なゲートである整合部23が設けられており、搬送した用紙を、経路21を閉止した整合部23に留めることにより、用紙を経路21内で重ねて貯留することができるようになっている。また、この経路21の終端には、用紙を折り畳むための折り手段が設けられている。この折り手段には、回動自在な中央の主折りローラAが設けられ、さらに、第1折りローラB、第2折りローラC及び1つの用紙搬送ローラDが主折りローラAにそれぞれ回動自在に接触して設けられている。さらに第1及び第2折りローラB,Cの近傍の2箇所には、折りローラA,B,C及び搬送ローラDで挟持搬送された用紙の先端が突き当たる突き当て部材24,25が設けられており、搬送されて突き当たった用紙を撓ませて他の2つの折りローラA,B及びA,Cの間に用紙の撓み部を導いて2回以上の折りができるようになっている。
【0025】
図3中に示すように、この突き当て部材24,25の位置は可変であり、折り長さを調節できるようになっている。また
図4に示すように、突き当て部材24,25に替えて搬送ローラ24a,25aを設け、この搬送ローラ24a,25aの回転を停止することで突き当て部材24,25と同様の働きをさせてもよい。
【0026】
図5〜
図6を参照して折りローラA,B,C等による用紙の折り工程について説明する。なお、これらの図には便宜上整合部23は示していない。
図5(a)に示すように、経路21に沿って用紙搬送ローラ22で送られた用紙30は、主折りローラAと用紙搬送ローラDに挟持搬送される。同図(b)に示すように、用紙30は、主折りローラAと用紙搬送ローラDに挟持搬送されて搬送され、その先端が突き当て部材24に突き当たる。同図(c)に示すように、用紙30は先端が突き当て部材24に突き当たった状態でさらに搬送されるので、経路21内で経路の形状に沿ってたるむことにより、主折りローラAと第1折りローラBの間に挟み込まれる。同図(d)に示すように、用紙30は、主折りローラAと第1折りローラBに挟み込まれ、搬送されながら二つ折りになる。
【0027】
図6(a)に示すように、用紙30は、第2の突き当て部材25に突き当たり、さらに搬送されて経路21内で経路の形状に沿ってたるむことにより、主折りローラAと第2折りローラCの間に挟み込まれる。同図(b)に示すように、用紙30は主折りローラAと第2折りローラCで搬送されて内三つ折りになっていき、同図(c)に示すように内三つ折りが完成する。
【0028】
なお、
図7(a)に示すように第1の突き当て部材24の位置を折り部から遠方に移動すれば、外三つ折りとすることができ、同図(b)に示すように第1の突き当て部材24の位置を折り部から遠方に移動するとともに、第2の突き当て部材25の位置を折り部により近い位置に移動させれば、四つ折りとすることができる。
【0029】
図2に示すように、封入封緘部3の筐体9の内部において、前記第2の搬送経路20は、折り手段で折られた用紙30を前記経路21と略直交する斜め上方に連続して搬送する他方の経路26を有している。この他方の経路26は、封筒を斜め下方に送る前述した第1の搬送経路10の他方の経路13よりも下方の位置にあり、封筒反転手段50と、封入封緘手段の一部を構成する封筒開封封入手段60において第1の搬送経路10の経路13と合流している。
【0030】
図1及び
図8の一部に示すように、封筒反転手段50は、用紙搬送ローラaと、これを中心に配置された用紙搬送ローラb及びgと、下方及び斜め上方に延設された2つの経路27,28とによって構成されている。第1の搬送経路10の他方の経路13から送られた封筒40は、フラップFが下方かつ左側となる姿勢で用紙搬送ローラa及びgの間に入り、挟持搬送されて下方の経路27に送られる。さらに
図8(a)に示すように、この封筒40は、用紙搬送ローラa及びbに挟持されて斜め上方の経路28に送られ、
図8(b)に示すように、フラップFが上側かつ左側となる姿勢で後述する封筒開封封入手段60に送り込まれる。
【0031】
図1及び
図8に示すように、封筒開封封入手段60は、前述した用紙搬送ローラa,bと、これらの用紙搬送ローラa,bから斜め上方に延設された経路28と、水平な経路29と、水平な経路29に沿って封筒及び用紙30を正逆両方向に搬送する用紙搬送ローラcと、用紙30が封入された封筒を搬出する用紙搬送ローラdと、封筒のフラップを開く往復揺動可能な開封爪41とを有している。
【0032】
図8(a)に示すように、封筒反転手段50で姿勢を反転された封筒40は、用紙搬送ローラa、bによって搬入され、さらに正転する用紙搬送ローラcによって水平な経路29に沿って送り込まれる。同図(b)に示すように、逆転する用紙搬送ローラcと、用紙搬送ローラdの回転により、封筒40は所定の位置に位置決めされ、停止する。同図(c)乃至(e)に示すように、開封爪41が開封位置に移動して封筒40のフラップFを開くとともに、第2の搬送経路20に沿って搬送されてきた折り畳まれた1枚又は複数枚の用紙30(用紙30がない場合もありうる)が、用紙搬送ローラa乃至cによって封筒40内に送り込まれる。この間、封筒40は、用紙搬送ローラdによって位置が固定されている。
【0033】
図9(a)に示すように、折り畳まれた用紙30は開口を広げられた封筒40の内部に封入され、封入が完了する。同図(b)に示すように、開封爪41は待機位置戻り、同図(c)乃至(d)に示すように、逆転する用紙搬送ローラcと用紙搬送ローラdの回転により封筒40を移動して後段に送り出す。
【0034】
図1及び
図10に示すように、用紙搬送ローラdから送り出された封筒40等は、斜め上前方に向けて傾斜して配置された経路42を通って封緘手段70に送り込まれる。この経路42は第1の搬送経路10の斜め下方に向けられた他方の経路13の上方にあり、これと略平行に配置されている。この経路42の上方には、封緘手段70を構成する一対の用紙搬送ローラe及びfが設けられている。
【0035】
図10(a)乃至(c)に示すように、経路42に沿って送られた封筒40は、経路42の終端に突き当たり、フラップFの折り目43が折れて用紙搬送ローラe及びfの間に入る。これと同時に用紙搬送ローラe及びfを駆動すれば、封筒40はフラップFが閉じられた状態になって筐体9の上面側に送り出される。
【0036】
図11に示すように、筐体9の上面には、前述した封筒ストッカ12の後方に、封筒ストッカ12と略平行に排出ストッカ44が設置されており、用紙30が封入封緘された封筒40(すなわち完成した封書45)が順次送り出された場合、これらを受け入れることができるようになっている。これらの封書45は、排出ストッカ44上に整然と並んで重ねられた状態で順次斜め上方に移動していく。
【0037】
次に、以上説明した本実施形態の封書作製装置1において、既成の封筒40に宛て名等を印刷し、さらに複数枚の用紙30に必要な印刷を施して折り畳み、用紙30を封筒40に封入封緘する全体の手順について通して説明する。
【0038】
図1に示すように、印刷部2では、給紙台P1から封筒40が送り出され、ループ状の搬送路5を1周する間にインクジェット装置C、K、M、Yで封筒40の両面が印刷される。両面印刷でなく、片面印刷を選択することもできる。この封筒40は封入封緘部3に入り、第1の搬送経路10の一方の経路11から一旦封筒スタッカ12に入り、さらに他方の経路13から封筒反転手段50に入って姿勢を反転させ、封筒開封封入手段60に送り込まれる。
図8(a)乃至(e)に示すように、封筒40は開封爪41でフラップFが開かれて開口が開いた状態で待機する。
【0039】
図2に示すように、封筒40に続き、定められた一定の間隔を空けて用紙30が給紙台P2乃至P4の何れかからループ状の搬送路5に送り込まれ、この搬送路を1周する間にインクジェット装置C、K、M、Yで用紙30の両面が印刷される。両面印刷でなく、片面印刷を選択することもできる。用紙30は必要枚数が溜まるまで第2の搬送経路20の整合部23に貯留され、必要枚数が揃ったところで整合部23が開いて折り手段に送り込まれる。折り手段で所望の状態に折り畳まれた用紙30は、封筒反転手段50を通過して封筒開封封入手段60に送り込まれる。すなわち、
図8(c)乃至(e)及び
図9(a)乃至(d)に示すように、折り畳まれた複数枚の用紙30が封筒40内に封入される。
【0040】
図10及び
図11に示すように、用紙30が封入された封筒40は封緘手段70に送り出され、用紙搬送ローラe及びfを通過することでフラップFが閉じられ、完成した封書45として排出ストッカ44に排出される。
【0041】
本実施形態の封書作成装置によれば、封筒40及び内容物の用紙30に印刷を施す共通の印刷部2が、作成すべき封書45ごとに封筒40と用紙30を交互に印刷して排出し、印刷された封筒40を専用の第1の搬送経路10で搬送し、印刷された用紙30を専用の第2の搬送経路20で搬送し、両搬送経路10,20の終端が交差する位置に設けた封筒開封封入手段60で用紙30を封筒40に封入するので、内容物と封筒40の組み合わせ違いが生じにくい。従って、内容物が封筒毎に異なる1to1ダイレクトメールの作成等に適しており、特に既成の封筒を用いた封書の作成において、封筒及び内容物の印刷から封入封緘までを全自動でミスなく確実に実行することができる。
【0042】
また、この実施形態では、封筒40を印刷部2の給紙台P1にセットして印刷後に封入封緘部3に送り込んだが、既に印刷済みの封筒40であれば、所定の順序で重ね、封筒ストッカ12に設置して供給するようにしてもよい。また、封筒40を印刷部2の給紙台P1にセットして印刷後に封入封緘部3に送り込む場合において、実施形態では一旦封筒40を封筒ストッカ12に排出してから、再度第1の搬送経路10の経路13に戻すようにしていたが、この場合には最初の経路11を介さずに印刷部2から他方の経路13に直接封筒40を送り込む構成としてもよい。
【0043】
また、この実施形態の封入封緘部3では、封筒40を搬送する第1の搬送経路10が、筐体9内の中央上部で斜め下方に向けて配置された経路13を有しており、その下方において、用紙30を搬送する第2の搬送経路20が、第1の搬送経路10の前記経路13に略平行となるように斜め下方に向いた経路21と、これと略直交して斜め上方に向いた経路26とで構成されており、両搬送経路10,20の終端が封筒反転手段50及び封筒開封封入手段60で合流している。そして、さらに封筒開封封入手段60から封緘部70に至る経路42は、第1の搬送経路10の前記経路13の上方で、これと略平行となるように斜め上方に向けて配置されている。このように、多くの搬送経路が筺体9内の空間を有効に利用して最小限の隙間で効率的に構築されており、封筒40と用紙30を別系統として封入間違いを起きにくくした精妙な構造であるにも関わらず、全体として非常にコンパクトな構成となっている。また、以上のような搬送経路の構成の帰結として、作成された封書45は、取り出しやすい筺体9の上面に斜めに設けられた排出ストッカ44に整列して押し出されてくるので、まとめて取り出す際の取り扱いが便利である。
【0044】
2.第2実施形態(
図12〜
図14)
図12〜
図14に示す第2実施形態の封書作製装置1は、作製すべき封書ごとに処理を行なう。すなわち、折り畳んで封筒40となる用紙30と、内容物となる0枚以上の用紙30に対し、共通の印刷部2を用いて適当な順序で必要な印刷を施す。そして、それぞれ別系統の搬送経路で搬送しながら、封筒40となるべき用紙30については、封筒40の形態となるように用紙30を折るとともに、内容物が存在する場合には、これに必要な折りを施す。そして、最終的に両者を封入封緘手段で合流させ、内容物を封筒40に封入・封緘して装置の上部に完成した封書として揃えて排出する。
なお、本実施形態で封筒40とは、
図12〜
図14中には示していないが、第1実施形態で説明した封筒40と実質的に同様の構造を有する袋体であり、第1実施形態と同様の符号40をもって説明に使用する。
【0045】
本実施形態では、印刷部2と、封入封緘部3’に設けられて内容物としての用紙30を搬送する第2の搬送経路20と、内容物の用紙30を折り畳む折り手段(折りローラA〜C及び用紙搬送ローラD等)の構成は、第1実施形態におけるものと同一である。そこで、第1実施形態と同一乃至同等の構成部分については、図中に第1実施形態と同一の符号を付すとともに、第1実施形態の記載を援用して説明の繰返しを可及的に避け、必要な説明においては第1実施形態と同一の符号を用いるものとする。以下、封筒40となる用紙30を搬送する第1の搬送経路10’と、封筒40となる用紙30の折り手段と、さらに封筒40となる用紙30に内容物の用紙30を整合させて封書を作成する封入封緘手段の構成と、全体の作用について、
図12乃至14を参照して説明する。
【0046】
封書作製装置1’では、印刷部2の第1の排出路6が水平に延設されて、隣にある封入封緘部3’の筐体9内に導入されている。筐体9内では、この排出路6から、第2の搬送経路20が斜め下方に分岐しており、そのさらに下流は、第1の搬送経路10’の一方の経路11’となって斜め下方に延設されている。この第1の搬送経路10’の一方の経路11’は、第2の搬送経路20の一方の経路21と略平行に配置されている。第1の搬送経路10’の一方の経路11’は封筒40となる用紙30を折り手段に搬送する案内路であり、前述したように、第2の搬送経路20の一方の経路21は内容物の用紙30を折り手段に搬送する案内路であり、第1及び第2の搬送経路10’,20の切り替えは、第2の搬送経路20の分岐点に設けられた図示しない切り替えフラップで行なう。
【0047】
第1の搬送経路10’の一方の経路11’の終端には、用紙30を折って封筒40の形態を作製するための折り手段が設けられている。この折り手段には、回動自在の主折りローラA’と、これに接して回動する用紙搬送ローラD’及び第1折りローラB’が設けられている。
【0048】
第1の搬送経路10’の折り手段の主折りローラA’と第1折りローラB’の間からは、第1の搬送経路10’の他方の経路13’が、上方に凸の形状に湾曲して水平方向に延設されており、その終端には封入封緘手段の一部を構成する封入手段が設けられている。
【0049】
封入手段には、回動自在の主折りローラA”と、これに接して回動する用紙搬送ローラD”及び第1及び第2折りローラB”,C”が設けられている。また、主折りローラA”の下方には、主折りローラA”と用紙搬送ローラD”から出た用紙30を下方に導く
経路46が設けられている。
【0050】
封筒40となる用紙30は、必要に応じて、前記折り手段において封緘前段の折りが実行され、内容物を受け入れるために封入手段である主折りローラA”等に送られる。この一部が折られただけの未完成の封筒は、内容物の用紙30との整合及びその後の折りによる成形を受けるために経路46で待機する。この封緘前段の折りは、四つ折り封筒の場合には必要であるが、三つ折り封筒の場合には不必要なので折らずに折り手段を通過することになる。また未完成の封筒が、内容物の用紙30との整合等のために経路46で待機するものとしたが、これは封筒が先に合流位置に来た場合であり、内容物か封筒か、何れか合流位置に先に到達した方が待機することになる。
【0051】
また、前記第2の搬送経路20の他方の経路26の終端が、前記封入手段の主折りローラA”と第1折りローラB”の間に接続されている。第2の搬送経路20において、折り手段(主折りローラA等)で適宜に折り畳まれた内容物の用紙30は、他方の経路26を経て封入手段の主折りローラA”等に送られ、経路46で待機している未完成の封筒40’に整合される。未完成の封筒40’と内容物の用紙30は、主折りローラA”と第1及び第2ローラB”,C”による折り成形によって、封筒40内に用紙30が封入された状態に成形される。
【0052】
封入手段の主折りローラA”と第2折りローラC”の間から、斜め上前方に向けて傾斜して経路47が配置されている。この経路47は、第1の搬送経路10’の一方の経路11’や、第2の搬送経路20の一方の経路21と略平行となっている。この経路47の中途には、封入封緘手段の一部を構成する封緘手段としての封緘ローラ80が設けられている。この封緘ローラ80は、封入手段で内容物が封入された封筒40の周囲を貼り合わせ、封筒40の封緘を行なう。
【0053】
封緘ローラ80で封緘された封筒40は、筐体9の上面に設けられた排出トレイ48に排出され、順次積み上げられて取り出しを待つ。
【0054】
次に、以上説明した本実施形態の封書作製装置1’において、封筒40となる用紙30に宛て名等を印刷し、さらに複数枚の用紙30に必要な印刷を施して折り畳み、用紙30を折り畳んで成形した封筒40に用紙30を封入封緘する全体の手順について通して説明する。
【0055】
図12に示すように、印刷部2では、折りによって封筒40を成形するための用紙30が、給紙台P1から送り出される。本実施形態では、封筒40の用紙30は印刷部2の給紙台P1からP4のいずれにあっても良い。この用紙30は、ループ状の搬送路5を1周する間にインクジェット装置C、K、M、Yで両面に印刷される。両面印刷でなく片面印刷を選択することもできる。一般に封筒40の外面となる面には宛て名等が印刷され、封筒40の内面となる面には、封入されない内容物に替え、又は封入される内容物の印刷内容とともに、宛先に送られるべき何らかの情報が必要に応じて印刷される。封筒40の内面に印刷された情報は、受取人が封筒40を切り開くことによって読むことができる。
【0056】
封筒40となる用紙30は、図示しない切り替えフラップの切り替えにより、第1の搬送経路10’の一方の経路11’から折り手段に送られる。用紙30は、主折りローラA’と用紙搬送ローラD’によって先方に送られ、図示しない突き当て部材に突き当って撓み、撓んだ部分から主折りローラA’と第1折りローラB’の間に入り、さらに挟持搬送されて通紙方向先端部の一部に折り目がつけられる。
図12中に装置外に引き出して装置と重ねないように図示したが、一部が折られた未完成の封筒40’は、封入手段の主折りローラA”と用紙搬送ローラD”に搬送されて
経路46に送られ、下端の折り部を第2の搬送経路20側に向けた姿勢で同位置において待機する。
【0057】
図13に示すように、封筒40となる用紙30に続き、定められた一定乃間隔を空けて内容物として必要な用紙30が給紙台P2乃至P4の何れかからループ状の搬送路5に送り込まれ、この搬送路を2周する間にインクジェット装置C、K、M、Yで用紙30の両面が印刷される。両面印刷でなく片面印刷を選択することもできる。内容物の用紙30は、図示しない切り替えフラップの切り替えにより、第2の搬送経路20の一方の経路21に送られる。用紙30は必要枚数が溜まるまで第2の搬経路20の一方の経路21にある整合部23に貯留され、必要枚数が揃ったところで整合部23が開いて折り手段(主折りローラA等)に送り込まれる。折り手段で行なわれる複数回の折りにより、所望の状態に折り畳まれた用紙30は、第2の搬経路20の他方の経路22を経て封入手段(主折りローラA”等)に送り込まれる。本実施形態では、用紙30は内三つ折りとなっている。
図13中に装置外に引き出して装置と重ねないように図示したが、内三つ折りの用紙30は、未完成の封筒40’の折り部の上方に当接した状態となる位置まで搬送される。なお、この実施形態では、先に未完成の封筒40’を封入手段に送り、その後に内容物の用紙30を折って封入手段に送ったが、逆の順序でもよい。
【0058】
図14に示すように、封入手段の主折りローラA”と第1及び第2折りローラB”,C”により、封筒40となる用紙30を外側にして内容物の用紙30を内側に包み込むように折り曲げる操作を行い、封筒40の内部に用紙30を包み込んでいく。
【0059】
図14に示すように、内容物が封入された封筒40の用紙30は、筐体9の上面に向けて斜め上方に向けて傾斜した経路47に入り、封緘ローラ80を通過することによって周囲が貼り合わされ、封筒40の封緘が行なわれる。なお、封筒40となる用紙30の貼り合わせ面に予め感圧接着剤を塗布しておくことにより、上述した封緘ローラ80による加圧で封緘を行なうことができる。但し、従来公知のその他の手段や通常の接着剤を用いて封緘を行なうこととしてもよい。
【0060】
そして、封入・封緘が完了して完成した封書は、筐体9の上面に設けられた排出トレイ48に排出され、順次積み上げられて取り出しを待つ。
【0061】
本実施形態の封書作成装置1’によれば、封筒40となる用紙30及び内容物の用紙30に印刷を施す共通の印刷部2が、作成すべき封書ごとに封筒40の用紙30と内容物の用紙30を交互に印刷して排出し、封筒40の用紙30を専用の第1の搬送経路10’で搬送しながら折り曲げて成形し、内容物の用紙30を専用の第2の搬送経路20で搬送しながら折り曲げ、両搬送経路の終端が交差する位置に設けた封入手段において、用紙30を封筒40の用紙30に包み込みながら折り曲げて封筒40を完成する。従って、一般的な枚葉状の用紙30を利用して封筒と内容物を同一工程で作製し、封入封緘までを全自動でミスなく確実に実行して封書を作製するので、作業が効率的で経済性に優れるとともに、内容物と封筒の組み合わせ違いが生じにくいために内容物が封筒毎に異なる1to1ダイレクトメールの作成等に適している。また、一部を折っただけで封筒としては完成していない状態の用紙に内容物の用紙を整合させ、さらに両用紙を一体として折りを加えて封筒40を完成していくので、完成した封筒の開口から内容物を挿入する場合に比べて挿入ミスが少ない。
【0062】
また、この実施形態の封入封緘部3’では、封筒40となる用紙30を搬送する第1の搬送経路10’の一方の経路11’と、内容物の用紙30を搬送する第2の搬送経路20の一方の経路21と、封入手段である主折りローラA”と封緘ローラ80が設けられた経路47とが、いずれも互いに略平行となるように斜めに配置されている。さらに第1の搬送経路10’の他方の経路13’の終端と、第2の搬送経路20の他方の経路22の終端とが、それぞれ封入手段である主折りローラA”に接続されている。そして、さらに封緘ローラ80が設けられた最後の経路47は筐体9の上面に到達している。このように、多くの搬送経路が筺体9内の空間を有効に利用して最小限の隙間で効率的に構築されており、封筒40となる用紙30及び内容物の用紙30を別系統で搬送して封入間違いを起きにくくした精妙な構造であるにも関わらず、全体として非常にコンパクトな構成となっている。また、以上のような搬送経路の構成の帰結として、作成された封書は、取り出しやすい筺体9の上面に斜めに設けられた排出トレイ48に整列して押し出されてくるので、まとめて取り出す際の取り扱いが便利である。
【0063】
3.実施形態の変形例について
以上説明した各実施形態の封書作製装置1,1’は印刷部2を備えているが、この印刷部2は既設の画像形成装置であってもよい。すなわち、既に事業所等に設置してある通常の画像形成装置を本発明における印刷部2とし、これに封入封緘部3,3’を接続することによって本発明の封書作製装置1,1’とすることができる。このため、1台の既設の画像形成装置を利用して封筒と内容物の印刷を行なうことができ、自動的な封書作製装置の設置コストが少なくて済む。
【0064】
また、画像形成装置としては、実施形態で説明したようなインクジェット装置を用いるものでもよいし、その他の種類の画像形成手段でもよく、画像形成原理を問わない。
【0065】
各実施形態では、内容物として1枚又は複数枚の用紙を折って内容物として封筒に封入する場合を主に説明したが、内面に必要な内容が印刷された封筒のみで発送する所謂セルフメーラーの場合には、内容物となる用紙の印刷、封入は必要ない。
【0066】
また、内容物がある場合でも、内容物の用紙は必ずしも折る必要はなく、封筒の大きさとの関係により、折らずに元のサイズのままで封筒に封入することとしてもよい。このような場合には、封書作製装置1,1’の封入封緘部3,3’には、内容物の用紙30の折り部(折りローラ等)は必要ない。
【0067】
また、各実施形態では、封筒及び内容物の用紙として枚葉状の用紙を使用したが、例えばロール状の用紙を使用し、使用の都度、必要な長さに切断して供給するようにしてもよい。