【実施例】
【0024】
図1(a),(b)に示す第1実施例の外装構造、及び
図2(a),(b)に示す第2実施例の外装構造は、何れもその下層構造が、
図1(c)に拡大して示す保持部材2と、
図1(d)に拡大して示す外装材1とからなり、第1実施例は流れ(勾配)方向に配した下地4Aに横葺き仕様の下層構造を構築して更に太陽電池パネル3Aを敷設してなる構造であり、第2実施例は桁行き方向に配した下地4Bに縦葺き仕様の下層構造を構築して更に太陽電池パネル3Bを敷設してなる構造である。
なお、両実施例に共通する説明に際し、以下、太陽電池パネルを3、下地及び下地面を4と説明する。
【0025】
前記外装材1は、長手方向に沿う被重合部14と、該被重合部14に重合する重合部15とを有し、前記被重合部14は段部141を備え、前記重合部15は裏面側に折曲した係止部151を備え、敷設状態にて下地面4に略平行状となる構成である。
図1に示す外装材1は、略平坦状の面板部11の長手方向に沿う一方の端縁(水下側)に傾斜状の立上り部12を介して重合部15を設け、他方の端縁(水上側)に略鉛直状の立上り部13を介して被重合部14を設けた構成である。
この外装材1を
図2の縦葺き用として用いる場合には、図面右側の水上側、左側を水下側として敷設したが、下地4等に応じてどのように適宜に敷設すればよい。
【0026】
前記被重合部14は、前述のように段部141を備える構成であり、この段部141とは、裏面側へ段状に変形される部分を指し、後述する保持部材2の保持部22が保持される部位である。
前記重合部15は、敷設時に上記被重合部14の表面側に重合されるものであって、前述のように裏面側に折曲した係止部151を備える構成であり、この係止部は、後述する保持部材2の被係止部23に係合する部位である。
なお、この重合部15は、予め面板部11を下地面4に沿わせる構成としたので、この面板部11に略平行状に重合部15を成形することにより、敷設状態において下地面4と略平行状に配置される。
【0027】
前記保持部材2は、下地4上に固定するれ連続材であって、
図1(c)に示すように下地4への固定部21と、前記外装材1の段部141を上方から保持する保持部22と、前記係止部151と係合する被係止部23とを有する構成である。
図1に示す保持部材2は、それぞれ直交する上横片部2a、縦片部2b、下横片部2cからなる構成とした。そのうち下横片部2cが固定部21であり、上横片部2aの中程に保持部22が、先端に被係止部23が形成され、取付強度を保持する太陽電池パネル3の取付部分である。また、縦片部2bは、下地4(固定部21)から太陽電池パネル3の実質的な取付部分を離間させる持出部分の役割を果たす。
【0028】
前記保持部22は、下方へ凹状(陥没状)に形成され、前記外装材1の被重合部14の段部141を上方から保持するので、外装材1の被重合部14と隣り合う外装材1の重合部15との間に保持部22(上横片部2a)は挟着状に保持される。
なお、前述のように前記外装材1の重合部15は、敷設状態にて下地面4に対して略平行状となるためには、それを保持する保持部材2の保持部22(上横片部2a)も、下地面4に対して略平行状に取り付ける必要があり、そのためにこの上横片部2aを、下地4に固定する固定部21(下横片部2c)に対して略平行状に成形した。
【0029】
本発明の下層構造は、前記下地4A,4B上に前記構成の保持部材2を固定し、該保持部材2に前記構成の外装材1を取り付けたものであるから、極めて簡単に且つ安価に太陽電池パネル3A,3Bを取り付けるための下層構造を構築できる。
また、保持部材2は連続材であるため、その保持部22も、該保持部22に取り付ける外装材1の重合部15も、連続状であり、太陽電池パネル3や桟部材5を容易に取付位置を調整して施工することができ、固定強度も高いものである。
さらに、外装材1の被重合部14に段部141を設け、保持部材2の保持部22を凹状に形成したので、該段部141に保持部材2の保持部22を保持でき、更に重合部15を重合した状態でビス止め(ビス3c)固定した場合に、万が一ビス孔から雨水が侵入しても面板部11上に導かれる(落下する)だけであり、外装材1の内部に浸水することがない。
【0030】
前記下層構造の施工手順については、まず、下地4A,4B上に、直交する方向に保持部材2を組み付けるが、
図1に示す横葺きの場合には、下地4Aが流れ方向に配設されているので、保持部材2は桁行き方向に配設する。その際、より広い敷設面積とするためには、
図1(b)に示すように最も妻側の下地4Aから図中xにて示す部分だけはみ出すように保持部材2を固定(固定具2b)する。なお、流れ方向に所定間隔にて保持部材2を固定するが、予め配設する外装材1の有効幅に応じて取付間隔を設定する。
次に、所定間隔にて下地4Aに固定された保持部材2に外装材1を敷設するが、水下側に位置する外装材1の立上り部13を、保持部材2の縦片部2bの水下側に沿うように配すると共に、外装材1の被重合部14を、保持部材2の上横片部2aの下面側に沿うように配設する。
そして、水上側に位置する外装材1の傾斜状の立上り部12を、保持部材2の縦片部2bの水上側に配すると共に、外装材1の重合部15を、保持部材2の上横片部2aの上面側を覆うように配し、その先端(被係止部23)に係止部151を係止させる(オーバーハング状に取り付ける)。
【0031】
このように施工される下層構造では、太陽電池パネル3の取付部位である重合部15が
図1に示される第1実施例では桁行き方向に連続しており、流れ方向に所定間隔にて形成され、
図2に示される第2実施例では流れ方向に連続しており、桁行き方向に所定間隔にて形成される。
したがって、
図1の第1実施例では、太陽電池パネル3Aの取付に際し、妻側(ケラバ)の端縁から外側へ突出させて配設することができ、太陽電池パネル3Aの桁行き方向における割付調整が容易となり、より多数枚の太陽電池パネル3Aを割付、敷設することができる。また、
図2の第2実施例では、太陽電池パネル3Bの取付に際し、水下側(軒先)の端縁から外側へ突出させて配設することができ、太陽電池パネル3Aの流れ方向における割付調整が容易となり、より多数枚の太陽電池パネル3Bを割付、敷設することができる。
【0032】
このように、前記下層構造に太陽電池パネル3A,3Bを直接的に取り付ける際には、桁行き方向の調整を必要とするものは、取付部位である重合部15(保持部材2)が桁行き方向に連続する第1実施例の仕様を選択し、流れ方向の調整を必要とするものは、取付部位である重合部15(保持部材2)が流れ方向に連続する第2実施例の仕様を選択することが望ましい。
尤も本発明の基本概念は、予め太陽電池パネルの仕様を選択するものではなく、多くの建築物、建造物を容易に太陽電池パネルを敷設できる下層構造とすることが目的であって、既設屋根や新築屋根は当然のことながら、従来、当該太陽電池パネルを敷設する対象と認識されていなかった簡易構造物にも容易に太陽電池パネルを敷設することができる対象とできるものである。したがって、基になる建造物等の躯体組みにより、原則的には躯体(下地)4に直交する方向に保持部材2を取り付けて外装材1を敷設し、この外装材1の葺き方向に応じた太陽電池パネル3を選択すればよいが、後述する
図4(d)の実施例のように桟部材5を介在させて太陽電池パネル3を間接的に取り付ける場合にはこの限りではない。
【0033】
前記第1実施例、第2実施例にそれぞれ用いられた太陽電池パネルA,3Bは、太陽電池30の側縁に裏面側に中空部分を備えるフレーム材31を周設した構成であって、該フレーム材31をビスである固定具3cにて前記下層構造の重合部15に直接的に固定するものである。
【0034】
図3(a)は、第1実施例及び第2実施例に用いた下層構造を示すが、前記傾斜状の立上り部12(幅a、開き角度b)を設けた外装材1は、
図3(b)に示すように平積みが可能であり、搬送時に嵩張りを生ずることがなく、また大量生産(成形)して保管する際にも好適である。
これに対し、
図3(c)に示す下層構造に用いた外装材1'は、略平坦状の面板部11'を幅狭にすると共に、傾斜状の立上り部12'(幅c、開き角度d)の勾配を緩やかにした点で異なるが、略鉛直状の立上り部13や被重合部14、重合部15については前記外装材1と全く同様であり、
図3(d)に示すように平積みが可能である点でも同様であり、搬送時に嵩張りを生ずることがなく、また大量生産(成形)して保管する際にも好適である。
【0035】
図4(a),(b)に示す第3,第4実施例は、その下層構造の構成と、該下層構造の重合部15に太陽電池パネル3Aを直接取り付ける点では共通するので、図面に同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
図4(a)に示す第3実施例は、太陽電池パネル3A'を断面逆ハット状の押さえ部材6Aを下層構造の重合部15に固定することにより、隣接する太陽電池パネル3A',3A'の上縁を押さえ部材6Aの押さえ片にて押さえて固定している。なお、押さえ部材6Aは、ピース材であっても連続材であってもよく、また、押さえ部材6Aに目地キャップを配して平坦状とするものであってもよい。
【0037】
図4(b)に示す第5実施例も、前記第3実施例と同様に押さえ部材6Bの押さえ片にて隣接する太陽電池パネル3A',3A'の上縁を押さえて固定するが、下方に高さを補う断面略ハット状の連続材である台座部材6Cを介在させて固定することで、押さえ部材6Bの固定ピッチ(固定箇所)を小さくする(任意にする)ことができ、太陽電池パネル3A'を固定する強度が向上する(重合部間隔より狭い位置での取り付けが可能になる)。なお、図中、6dは台座部材6Cを固定するビスであり、6eは押さえ部材6Bを台座部材6Cに連結するビスである。
【0038】
図4(c)に示す第5実施例は、桟部材7を介在させて間接的に太陽電池パネル3Aを取り付ける例であって、連続材である桟部材7を、下層構造の重合部15に固定し、該桟部材7に太陽電池パネル3Dを取り付けて固定する。
この実施例では、前記下層構造(重合部15)の上に、排水部71を備える桟部材7を流れ方向に配設し、固定具7b,7bにて固定し、該桟部材7に太陽電池パネル3Dの流れ方向に沿う端縁を支持させた構成である。
そして、桁行き方向に隣接する太陽電池パネル3D,3D間には、押さえ部材6Fを取り付けた。
【0039】
前記桟部材7は、左右の側端縁に上方へ延在する一対の起立片72,72を備え、この起立片72の更に外側にフランジ状の固定部74が設けられ、固定具7bにて前記下層構造(重合部15)に固定され、略中央には隆起部73を備え、この隆起部73の高さの中程には、左右へ突出する突出片75,75が設けられ、該突出片75,75に左右の太陽電池パネル3D,3Dの下端が支持されている。また、前記隆起部75の頂部には、上方が開放する溝部が設けられ、該溝部には上向きボルト6gが嵌合状に配され、締め付けナット6hを締め付けることにより、押さえ部材6Fが固定されるため、太陽電池パネル3D,3Dの端縁(フレーム32,32)は、これら桟部材7と押さえ部材6Fとの間に挟着状に固定される。
この構成の桟部材7では、左右の起立片72,72と隆状部73との間が、排水部71,71であり、雨水を流れ方向に流す役割を果たす。また、起立片72,72のフランジ状の上端には、桁行き方向に配設されたジョイント部材を兼ねる流水部材8,8が固定具8b,8bにて固定され、これらの流水部材8,8の流水空間から導かれた雨水も、排水部71に集められて水下側へ排水される。
【0040】
図4(d)に示す第7実施例は、太陽電池パネル3Eが、パネル本体30と、取付部材9とからなり、パネル本体30は、面板部301に可撓性を有する太陽電池を備え、該面板部301の対向する側縁に成形部302,302を設けた構成であり、取付部材9は、前記パネル本体30の成形部302に取り付ける構成である。
前記パネル本体30の成形部302は、面板部301から裏面側へ略垂直状に折り下げた折り下げ部分と、該折り下げ部分を内側(面板部301側)へ延在させた略水平状の内向き片である係止部分とを有する、断面略コ字状に成形されている。
前記取付部材9は、前記パネル本体30の成形部302を支持する略直角状(L字状)の支持部91と、前記パネル本体30の係止部分を係合させる外側に向く係合溝状の係合部92と、該係合部92の外側へ延在させた下地4への固定部93と、を有する構成であり、断面略2字状のピース材として成形されている。
そして、図示実施例の取付部材9の支持部91は、図示するように略水平状からやや上方へ向くように傾いているため、該支持部91に前記パネル本体30の成形部302を支持させると、パネル本体30の面板部301が強制的に上方への凸状に湾曲され、断面性能を向上することができる。