特許第5893323号(P5893323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893323
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】在室確認錠システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20160310BHJP
   G08B 25/08 20060101ALI20160310BHJP
   E05B 41/00 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   G08B25/04 K
   G08B25/08 A
   E05B41/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-217562(P2011-217562)
(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公開番号】特開2013-77217(P2013-77217A)
(43)【公開日】2013年4月25日
【審査請求日】2014年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】村野 昌宏
【審査官】 宮田 繁仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−215376(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3166756(JP,U)
【文献】 特開2007−323605(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3110633(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 1/00− 9/20、19/00−31/00
E05B1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の各住戸の室内側に設けられる室内表出部材に取り付けられ、前記室内側からの施錠操作を検出し、この室内側からの施錠操作を検出してからの計測時間が設定時間を経過したときに、室内に異常がある旨の異常出力信号を出力する在室監視装置と、
前記建物の共用口又は該建物の各階毎に設けられ、前記在室監視装置の制御手段との間で有線又は無線により通信可能であって、前記制御手段から異常出力信号を受けたときに、室内に異常がある旨を識別表示する在室確認表示装置とを備えたことを特徴とする在室確認錠システム。
【請求項2】
外側に設けられ、前記在室監視装置と前記在室確認表示装置との間に有線又は無線により通信可能に接続され、前記制御手段から異常出力信号を受けたときに、室内に異常がある旨を報知するとともに前記異常出力信号を前記在室確認表示装置に出力する室外報知装置をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の在室確認錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば一つの建物の中に複数の世帯が入居しているマンションなどの集合住宅のセキュリティシステムの一部として採用され、住戸内の在室状態を外部で確認することができる在室確認錠システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
独居老人など、コミュニティから孤立してしまっている状態の人の非常事態を未然に防ぐために、宅内(室内)での状態を、外部に知らせる手段に関しては近年、様々な提案がなされている。例えば、下記特許文献1に開示される生活モニターシステムは、家庭内の日常に使う電気ポットを検知センサとして、その使用頻度等を監視し、未使用時間が長くなった場合に、ネットワークを通じて外部に報知するようになっている。
【0003】
また、下記特許文献2に開示される安否確認システムは、部屋に備え付けの機器、器具、扉などにセンサを取り付け、又は人感知センサを室内に設け、これらを監視する。この監視により、部屋内(宅内)での状況を、例えば使用回数をカウントすることによって、安否確認(モニタリング)を行い、異常発生などの際には、外部へ電話などで報知するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002ー78034号公報
【特許文献2】特開2001ー357475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のシステムでは、不在のときに、システムの検知動作を解除しておかなければ、動作し続けてミス検知を行い、誤報を出力するおそれがあった。また、上述した従来のシステムでは、異常が発生したときに、その旨を外部に報知するので、異常が発生した建物内で異常を知ることができなかった。
【0006】
さらに、上述した特許文献1や特許文献2のシステムにおいて、扉の室外側に報知装置を取り付け、室内の異常を検知したことを報知装置で報知することも考えられるが、この場合、異常が発生した住戸の前まで行かなければ把握しずらいという問題があった。このため、異常が発生した際に、その住戸の前まで行かなくても建物内で異常の有無を確認することができるシステムの構築が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、従来のシステムと比較して、より確実に住戸内の在室状態を外部に知らせて確認することが可能な在室確認錠システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載された在室確認錠システムは、建物の各住戸の室内側に設けられる室内表出部材に取り付けられ、前記室内側からの施錠操作を検出し、この室内側からの施錠操作を検出してからの計測時間が設定時間を経過したときに、室内に異常がある旨の異常出力信号を出力する在室監視装置と、
前記建物の共用口又は該建物の各階毎に設けられ、前記在室監視装置の制御手段との間で有線又は無線により通信可能であって、前記制御手段から異常出力信号を受けたときに、室内に異常がある旨を識別表示する在室確認表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された在室確認錠システムは、請求項1の在室確認錠システムにおいて
外側に設けられ、前記在室監視装置と前記在室確認表示装置との間に有線又は無線により通信可能に接続され、前記制御手段から異常出力信号を受けたときに、室内に異常がある旨を報知するとともに前記異常出力信号を前記在室確認表示装置に出力する室外報知装置をさらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る在室確認錠システムによれば、室内側から施錠された状態で住戸内に異常が発生した場合、その旨を有線又は無線により通信して室外の在室確認表示装置に識別表示するので、異常発生の有無を建物内で確認することができる。すなわち、異常発生箇所の住戸前まで直接出向かなくても共用口やその階で異常発生の有無を確認することができる。
【0011】
また、各住戸の錠装置の室外側に設置される室外報知装置は、既存錠装置のオプションとして構成可能であり、必要時に手軽に導入して扉に既設の錠装置に簡単に後付けで構築でき、外出時に検出動作を解除する解除操作無しで不在時の誤報を防止することができる。しかも、入室時に必ず操作される施錠操作で監視が始まるので、閉じ込め状態での異変を継続させてしまうことがなく、住戸内の異常の早期発見に繋がる。また、在室確認表示装置との併用により、異常が発生した住戸の扉の前だけでなく、その住戸の階や共用口でも異常が発生した旨が識別表示されるので、より確実に住戸内の在室状態を外部に知らせて確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る在室確認錠システムの一例を示す構成図である。
図2】(a),(b)本発明に係る在室確認錠システムの在室確認表示装置の構成例を示す概略平面図である。
図3】本発明に係る在室確認システムを集合住宅に採用した場合の在室監視装置、室外報知装置、在室確認表示装置の間の接続例を示す概要図である。
図4】本発明に係る在室確認システムを集合住宅に採用した場合の在室監視装置、室外報知装置、在室確認表示装置の間の他の接続例を示す概要図である。
図5】本発明に係る在室確認錠システムの動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、この形態に基づいて当業者などによりなされる実施可能な他の形態、実施例及び運用技術などはすべて本発明の範疇に含まれる。
【0014】
図1は本発明に係る在室確認錠システムの一例を示す構成図、図2(a),(b)は本発明に係る在室確認錠システムの在室確認表示装置の構成例を示す概略平面図、図3は本発明に係る在室確認システムを集合住宅に採用した場合の在室監視装置、室外報知装置、在室確認表示装置の間の接続例を示す概要図、図4は本発明に係る在室確認システムを集合住宅に採用した場合の在室監視装置、室外報知装置、在室確認表示装置の間の他の接続例を示す概要図、図5は本発明に係る在室確認錠システムの動作手順を示すフローチャートである。
【0015】
本発明に係る在室確認錠システムは、複数の住戸からなる建物、例えば一つの建物の中に複数の世帯が入居しているマンションなどの集合住宅のセキュリティシステムの一部として採用され、住戸内の在室状態を外部で目視により容易に確認することができるものである。尚、本発明に係る在室確認錠システムは、建物として集合住宅に限定されず、例えば老人ホームや寮などの建物に採用することもできる。
【0016】
図1に示すように、在室確認錠システム1は、既存錠装置2、在室監視装置3、室外報知装置4、在室確認表示装置5を備えて構築される。
【0017】
まず、既存錠装置2は、例えば室内表出部材11としての錠箱が扉12の室内面13に表出して取り付けられる露出タイプの周知の施解錠装置等で構成される。室内表出部材11としての錠箱には、デッドボルト14、ラッチボルト15、室内側操作部材16としてのサムターン、開閉操作部材17としてのレバーハンドルなどが取り付けられる。
【0018】
尚、錠箱11が扉12に内設される場合には、扉12の室内面13に表出する座板部材が室内表出部材11になる。また、室内面13にサムターン16のみ表出する構成の場合には、サムターン16のカラー部分などが室内表出部材11になる。
【0019】
次に、在室監視装置3は、既存錠装置2と別体に構成され、扉や引戸等の開閉体に設けられた錠装置としての既存錠装置2の室内表出部材(錠箱)11に取り付けられる。在室監視装置3は、既存錠装置2の室内側から施錠操作がなされたか否かを監視するもので、室内側操作部材(サムターン)16の操作を検出する操作検出部材18を有している。
【0020】
操作検出部材18は、在室監視装置3が室内表出部材11としての錠箱に取り付けられた際、室内側操作部材(サムターン)16の操作で作動するリードスイッチで構成することができる。これにより、在室監視装置3は、既存錠装置2に取り付けられた状態において、室内側の室内側操作部材(サムターン)16の操作により操作検出部材18としてのリードスイッチがオン・オフし、室内側からの施錠操作のみを検出することができる。
【0021】
尚、操作検出部材18は、リードスイッチに限定されるものではない。例えば機械的なスイッチ、タッチセンサ、表面スイッチなどで構成することもできる。さらに説明すると、機械的なスイッチとしては、室内側操作部材(サムターン)16の操作でオン・オフするマイクロスイッチなどがある。タッチセンサは、室内から室内側操作部材(サムターン)16が操作されたときにオンするものである。表面スイッチとしては、室内側操作部材(サムターン)16の表面に設けられ、室内側操作部材(サムターン)16を操作(摘む)するとオンする押しボタンなどがある。
【0022】
また、在室監視装置3は、既存錠装置2の室内側からの施錠操作を検出する構成として、例えば特開2001−227214号公報(特許第4198857号公報)に示される錠前の信号取り出し機構において、シリンダーとサムターンを入れ替える構成を採用すれば、室内側のサムターンによる施錠操作を検出することができる。
【0023】
さらに、在室監視装置3は、操作検出部材(リードスイッチ)18や室外報知装置4と接続される制御手段(CPU、RAM、ROM等)19を搭載した回路基板20や電池等の電源部21を有している。回路基板20には、計時手段22としてのタイマー回路や切替スイッチ23が設けられている。計時手段22は、操作検出部材18としてのリードスイッチのオン信号によって時間の計測を開始し、時間の計測が開始されてから設定時間が経過したときに、時間経過信号を出力する。そして、制御手段19は、計時手段22から時間経過信号が入力されたときに、室外報知装置4に住戸内の異常発生を知らせる異常発生信号を出力し、室外報知装置4の駆動を制御している。また、制御手段19は、後述する状態表示器24の点灯・消灯を制御している。
【0024】
切替スイッチ23は、計時手段22の設定時間(例えば36時間、48時間などの任意の時間)を選択的に切り替えるもので、設定時間の可変が可能である。この設定時間の可変により、計時手段22が時間の計測を開始してから時間経過信号を出力するまでの時間を短くしたり、長くしたりできる。これにより、室内側からの最後の施錠操作が行われてから室外報知装置4が駆動されるまでの時間を、監視対象者の個人差に応じて適宜設定することができる。
【0025】
また、在室監視装置3には、在室者の確認用となる状態表示器24が設けられている。状態表示器24は、例えば赤色LED24a、緑色LED24bで構成され、制御手段19によって点灯・消灯が制御される。この赤色LED24aと緑色LED24bの点灯・消灯の制御により、室内施錠確認や電池交換などの各種状態を識別表示することができる。
【0026】
次に、室外報知装置4は、例えばLEDなどの発光表示器4aを有した室外ユニットとして構成される。室外報知装置4は、室外の建物部分、例えば扉12の室外面25、既存錠装置2の室外表出部材としてのエスカチオンに設けられる。室外報知装置4は、扉内でコネクタ26,27を介して在室監視装置3との間で着脱可能に接続され、在室監視装置3と電気的に接続される。
【0027】
室外報知装置4は、在室監視装置3の制御手段19から住戸内の異常発生を知らせる異常発生信号が入力されたときに、住戸内の異常発生を報知するべく発光表示器4aを点灯するとともに、異常発生信号を在室確認表示装置5に出力している。
【0028】
尚、室外報知装置4は、発光表示器4aによる表示のみの報知に限定されるものではない。例えば、ブザーやベル等の音による報知を行う構成、表示と音による報知を併用する構成であっても良い。
【0029】
次に、在室確認表示装置5は、例えば図2(a),(b)に示すような構成を採用することができる。図2(a)の在室確認表示装置5は、室外報知装置4が設置された各住戸の表記(図示の例では、101、102、201、202、301、302、401、402、501、502)にそれぞれ対応してLEDからなる表示器5aが設けられた表示端末装置で構成される。この表示端末装置からなる在室確認表示装置5では、室外報知装置4からの異常発生信号の入力の有無に応じて該当する住戸の表記に対応する表示器5aを点灯(異常時)・消灯(正常時)することで異常が発生した旨を住戸別に識別表示することができる。また、図2(b)の在室確認表示装置5は、高輝度LEDを備えた警告灯で構成される。この警告灯からなる在室確認表示装置5では、室外報知装置4からの異常発生信号の入力の有無に応じて高輝度LEDを点灯(異常時)・消灯(正常時)することで集合住宅内の何処かの住戸内で異常が発生した旨を識別表示することができる。
【0030】
尚、図2(a)の在室確認表示装置5は、各住戸の表記に対応して表示器5aを備えた構成であるが、室外報知装置4が異常発生信号を出力して住戸内の異常発生を知らせる住戸の部屋番号を、例えば液晶表示器やLEDなどで識別表示する構成としても良い。
【0031】
このように構成される在室確認表示装置5は、室外報知装置4との間で通信可能に有線又は無線によって接続されている。図3及び図4は在室監視装置3、室外報知装置4、在室確認表示装置5のそれぞれの間の接続構成の一例を示している。
【0032】
図3の接続構成の場合には、在室監視装置3と室外報知装置4とを各住戸毎に1つずつ設置して両者を接続し、1つの在室確認表示装置5を集合住宅の共用口に設置し、各住戸の室外報知装置4と共用口の在室確認表示装置5との間を有線又は無線により接続する。
【0033】
これに対し、図4の接続構成の場合には、在室監視装置3と室外報知装置4とを各住戸毎に1つずつ設置して両者を接続し、在室確認表示装置5を各階に1つずつ設置し、各階の在室確認表示装置5と同じ階の各住戸の室外報知装置4との間を有線又は無線により接続する。
【0034】
ところで、図1の在室確認錠システムでは、在室監視装置3を既存錠装置2と別体に構成した場合を例にとって説明したが、在室監視装置3を既存錠装置2に一体的に組み込む構成としても良い。尚、在室監視装置3を既存錠装置2と別体に構成する利点としては、既設の既存錠装置2に対して在室監視装置3を簡単に後付けが可能なオプションとして手軽に導入でき、通常の生活を過ごしている状態から必要になった際に適宜組み込むことが可能な点にある。
【0035】
次に、上記のように構成される在室確認錠システム1の動作について図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0036】
在室監視装置3の制御手段19は、室内側から施錠(室内施錠)が行われたか否かを判別する(S1)。すなわち、制御手段19は、操作検出部材(リードスイッチ)18からの室内側操作部材(サムターン)16の施錠操作信号が入力されると、室内側から施錠が行われて在室(住戸内に人がいる状態)と判別する(S2)。そして、制御手段19は、この施錠操作信号の検出をトリガーとして計時手段22の初期化及びカウントを開始する。すなわち、室内側において、室内側操作部材(サムターン)16で施錠すると、在室モードになり、「室内でサムターンによる施錠操作をした」ということを検知し、計時手段22が時間の計時を開始(タイマースタート)する(S3)。そして、制御手段19は、計時手段22の時間の計時の開始と同時に、錠前が解錠、すなわち、操作検出部材(リードスイッチ)18から解錠信号が入力されたか否かを判別し(S4)、操作検出部材(リードスイッチ)18から解錠信号が入力されなければ時間の計時を続行する。これに対し、制御手段19は、操作検出部材(リードスイッチ)18から解錠信号が入力されると、ST1の室内施錠されたか否かの処理に戻る。
【0037】
そして、制御手段19は、操作検出部材(リードスイッチ)18から解錠信号の入力がなく、計時手段22による時間の計時が継続すると、この時間の計時が設定時間を経過したか否かを判別する(S5)。制御手段19は、計時手段22の時間の計時が設定時間を経過したと判別すると、住戸内で異常が発生(異常発生)したものと判別し(S6)、室外報知装置4の発光表示器4aを発光駆動するとともに(S7)、異常発生信号を在室確認表示装置5に有線又は無線により出力する(S8)。
【0038】
そして、在室確認表示装置5は、制御手段19から室外報知装置4を介して異常発生信号が入力されると、住戸内で異常が発生した旨を識別表示する。すなわち、在室確認表示装置5が図2(a)に示す表示端末装置で構成される場合は、室外報知装置4から異常発生信号が入力されると、該当する住戸の表記に対応した表示器5aを点灯する。また、在室確認表示装置5が図2(b)に示す警告灯で構成される場合、室外報知装置4から異常発生信号が入力されると、消灯状態の高輝度LEDを点灯する。
【0039】
ここで、上述した在室確認表示装置5による識別表示の具体例として図3及び図4の接続構成による在室確認錠システム1を集合住宅に採用した場合を例にとって説明する。尚、図3及び図4の例では、5階建て住戸数10戸の集合住宅に本例の在室確認システム1を採用しているが、これに限定されるものではない。
【0040】
今、住戸「301」の住人が室内から施錠したまま解錠することなく所定時間(計時手段22の設定時間)が経過し、住戸内の住人に非常事態(異常)が発生したものと仮定する。
【0041】
この場合、図3の接続構成では、住戸「301」に設置された在室監視装置3の制御手段19は、室内施錠されたときに在室と判別し、計時手段22による時間の計時を開始する。そして、在室監視装置3は、計時手段22の時間の計時が設定時間を経過すると、住戸内で異常が発生したものと判別し、住戸「301」の室外報知装置4の発光表示器4aを発光駆動するとともに、共用口の在室確認表示装置5に異常発生信号を有線又は無線により出力する。
【0042】
そして、共用口の在室確認表示装置5は、制御手段19から室外報知装置4を介して異常発生信号が入力されると、住戸内で異常が発生した旨を識別表示する。具体的に、在室確認表示装置5が図2(a)に示す表示端末装置で構成される場合は、異常発生信号が入力されると、住戸「301」の表記に対応する表示器5aを点灯する。これにより、住戸「301」の住戸内で異常が発生していることを室外から確認できる。また、在室確認表示装置5が図2(b)に示す警告灯で構成される場合は、異常発生信号が入力されると、消灯状態の高輝度LEDを点灯する。これにより、何れかの住戸内で異常が発生していることを室外から確認できる。
【0043】
また、図4の接続構成では、住戸「301」に設置された在室監視装置3の制御手段19は、室内施錠されたときに在室と判別し、計時手段22による時間の計時を開始する。そして、在室監視装置3は、計時手段22の時間の計時が設定時間を経過すると、住戸内で異常が発生したものと判別し、住戸「301」の室外報知装置4の発光表示器4aを発光駆動するとともに、住戸「301」と同じ階、すなわち3階に設置された在室確認表示装置5に異常発生信号を有線又は無線により出力する。
【0044】
そして、3階の在室確認表示装置5は、制御手段19から室外報知装置4を介して異常発生信号が入力されると、住戸内で異常が発生した旨を識別表示する。具体的に、3階の在室確認表示装置5が図2(a)に示す表示端末装置で構成される場合は、異常発生信号が入力されると、住戸「301」の表記に対応する表示器5aを点灯する。これにより、住戸「301」の住戸内で異常が発生していることを室外から確認できる。また、3階の在室確認表示装置5が図2(a)に示す警告灯で構成される場合は、異常発生信号が入力されると、消灯状態の高輝度LEDを点灯する。これにより、住戸「301」又は「302」の何れかの住戸内で異常が発生していることを室外から確認できる。
【0045】
このように、本例の在室確認錠システムによれば、室内側から施錠された状態で住戸内に異常が発生した場合、その旨を共用口や各階に設置された在室確認表示装置5により識別表示される構成なので、異常発生の有無を建物内で確認することができる。すなわち、異常発生箇所の住戸前まで直接出向かなくても共用口やその階で異常発生の有無を確認することができる。
【0046】
また、各住戸に設置される室外報知装置4は、既存錠装置2のオプションとして構成可能であり、必要時に手軽に導入して扉に既設の錠装置に簡単に後付けで構築でき、外出時に検出動作を解除する解除操作無しで不在時の誤報を防止することができる。しかも、入室時に必ず操作される施錠操作で監視が始まるので、閉じ込め状態での異変を継続させてしまうことがなく、住戸内の異常の早期発見に繋がる。また、在室確認表示装置5との併用により、異常が発生した住戸の扉の前だけでなく、その住戸の階や共用口でも異常が発生した旨が識別表示されるので、より確実に住戸内の在室状態を外部に知らせて確認することができる。
【0047】
さらに、在室監視装置3の状態表示器24により在室確認も可能であり、外出時の施錠操作では検知しないので、在室状態ではない、すなわち外出中であるという確認も室外から可能となり、不必要な監視をなくすことができる。そして、計時手段22に設定される設定時間が経過した場合には、住戸内の異常発生を室外報知装置4の発光表示器4aで表示するとともに、住戸内の異常発生を知らせる異常発生信号を在室確認表示装置5に出力し、在室確認表示装置5がその旨を識別表示するので、住戸内の人に非常事態が発生した際に、手遅れになるようなことが減少する。
【0048】
ところで、本例の在室確認錠システム1において、在室監視装置3、室外報知装置4、在室確認表示装置5の間の接続構成は、図3図4に限定されるものではない。例えば、同一管理者の管理下にある集合住宅が所定領域内に複数棟立ち並ぶような場合、在室確認表示装置5を各棟の集合住宅の共用口毎に設け、これら在室確認表示装置5との間で有線又は無線により通信が可能な在室確認表示装置5を管理室にも設ける。そして、管理室の在室確認表示装置5は、各棟の集合住宅の共用口に設けられる在室確認表示装置5が室外報知装置4から異常出力信号を受けて入力されたときに、該当する棟の集合住宅に異常が発生した旨を表示すれば、集合住宅の各棟毎の在室状態を一元管理することができる。
【0049】
また、図1の在室確認錠システム1では、在室確認表示装置5が室外報知装置4を介して在室監視装置3の制御手段19との間で有線又は無線により通信可能に電気的に接続される構成であるが、室外報知装置4の構成を省略し、在室監視装置3の制御手段19と在室確認表示装置5との間を有線又は無線により通信可能に電気的に接続する構成としても良い。この場合、在室監視装置3が住戸内の異常発生を判別すると、在室監視装置3から住戸内の異常発生を知らせる異常発生信号が在室確認表示装置5に出力され、前述したように、異常発生信号を受けた在室確認表示装置5が住戸内の異常発生の有無を識別表示する。
【符号の説明】
【0050】
1 在室確認錠システム
2 既存錠装置
3 在室監視装置
4 室外報知装置
4a 発光表示器
5 在室確認表示装置
11 室内表出部材
12 扉
13 室内面
14 デッドボルト
15 ラッチボルト
16 室内側操作部材
17 開閉操作部材
18 操作検出部材
19 制御手段
20 回路基板
21 電源部
22 計時手段
23 切替スイッチ
24 状態表示器
25 室外面
26,27 コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5