(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記可動体が光軸方向の他方側に変位した際、前記第1ストッパ部と前記第2ストッパ部とは、前記バネ部材を介して当接することを特徴とする請求項1に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
前記可動体が光軸方向後側に変位した際、前記アーム部の少なくとも一部が、前記第1ストッパ部と前記第2ストッパ部とに挟まれることを特徴とする請求項2に記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、光学ユニットとして撮像ユニットの手振れを防止するための構成を例示する。また、以下の説明では、互いに直交する3方向を各々X軸、Y軸、Z軸とし、光軸L(レンズ光軸)に沿う方向をZ軸とする。また、以下の説明では、各方向の振れのうち、X軸周りの回転は、いわゆるピッチング(縦揺れ)に相当し、Y軸周りの回転は、いわゆるヨーイング(横揺れ)に相当し、Z軸周りの回転は、いわゆるローリングに相当する。また、X軸の一方側には+Xを付し、他方側には−Xを付し、Y軸の一方側には+Yを付し、他方側には−Yを付し、Z軸の一方側(被写体側とは反対側)には+Zを付し、他方側(被写体側)には−Zを付して説明する。
【0021】
(光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットを携帯電話機等の光学機器に搭載した様子を模式的に示す説明図である。
図2は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットの外観等を示す斜視図であり、
図2(a)、(b)は、光学ユニットを被写体側(光軸方向前側)からみたときの斜視図、および光学ユニットを被写体側とは反対側(光軸方向後側)からみたときの斜視図である。
図3は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニットの断面図であり、
図3(a)、(b)はYZ断面図およびXZ断面図である。なお、
図3(a)、(b)では、撮像ユニットの内部についてはレンズホルダ等の図示を省略してある。
【0022】
図1に示す光学ユニット100(振れ補正機能付き光学ユニット)は、カメラ付き携帯電話機等の光学機器1000に用いられる薄型カメラであって、光学機器1000のシャーシ1100(機器本体)に支持された状態で搭載される。かかる光学ユニット100では、撮影時に光学機器1000に手振れ等の振れが発生すると、撮像画像に乱れが発生する。そこで、本形態の光学ユニット100には、後述するように、撮像ユニット1を備えた可動体3を固定体200内で揺動可能に支持するとともに、光学ユニット100に搭載したジャイロスコープ(図示せず)、あるいは光学機器1000の本体側に搭載したジャイロスコープ(図示せず)等の振れ検出センサによって手振れを検出した結果に基づいて、可動体3を揺動させる振れ補正用駆動機構(
図1では図示せず)が設けられている。
【0023】
図1、
図2および
図3に示すように、光学ユニット100には、撮像ユニット1や振れ補正用駆動機構への給電等を行うためのフレキシブル配線基板410、420が引き出されており、かかるフレキシブル配線基板410、420は、共通のコネクタ490等を介して光学機器1000の本体側に設けられた上位の制御部等に電気的に接続されている。また、フレキシブル配線基板410は、撮像ユニット1から信号を出力する機能も担っている。このため、フレキシブル配線基板410は、配線数が多いので、フレキシブル配線基板410としては、比較的幅広のものが使用されている。
【0024】
撮像ユニット1は、鋼板等の強磁性板からなる矩形箱状のケース14を有しており、かかるケース14の内側には、レンズ1aを保持するホルダ12、ホルダ12を保持する円筒状のスリーブ13、レンズ1aをフォーカシング方向に駆動するレンズ駆動機構5、光軸方向の後側に配置された撮像素子1b、撮像素子1bを保持する素子ホルダ16等が設けられている。かかる撮像ユニット1の外周部分はケース14からなる。
【0025】
(光学ユニット100の構成)
図4は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を被写体側からみたときの分解斜視図であり、
図4(a)、(b)は、光学ユニット100から撮像ユニット1および下カバー等を外した様子を示す分解斜視図、およびホルダと撮像ユニット1とが結合して可動体を構成している様子を示す分解斜視図である。
図5は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を被写体側とは反対側からみたときの分解斜視図である。
図6は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100をさらに細かく分解したときの分解斜視図である。
【0026】
図3、
図4、
図5および
図6において、光学ユニット100は、まず、固定体200と、撮像ユニット1を備えた可動体3と、可動体3が固定体200に変位可能に支持された状態とするバネ部材600と、可動体3と固定体200との間で可動体3を固定体200に対して相対変位させる磁気駆動力を発生させる振れ補正用駆動機構500とを有している。
【0027】
固定体200は上カバー250および下カバー700等を備えており、上カバー250は、撮像ユニット1の周りを囲む角筒状胴部210と、角筒状胴部210の被写体側の開口部を塞ぐ端板部220とを備えている。端板部220には、被写体からの光が入射する窓220aが形成されている。上カバー250において、角筒状胴部210は、被写体側(光軸Lが延在している側)とは反対側(+Z側)の端部が開放端になっている。また、角筒状胴部210において、X方向で対向する2つの側面には切り欠き218が形成され、Y方向で対向する2つの側面には切り欠き219が形成されている。かかる切り欠き218、219のうち、Y軸方向の一方側+Yに位置する切り欠き219は、フレキシブル配線基板420を、後述するシート状コイル体550の端子部と接続する際に利用されている。また、切り欠き219は、フレキシブル配線基板410を外部に引き出す開口部として利用されている。
【0028】
下カバー700は、金属板に対するプレス加工品であり、略矩形の底板部710と、底板部710の外周縁から被写体側に向けて起立する4つの側板部720とを備えている。また、下カバー700の側板部720のうち、側板部Y軸方向の一方側+Yに位置する側板部720には、切り欠き728が形成されており、かかる切り欠き728は、フレキシブル配線基板410を外部に引き出すのに利用されている。
【0029】
下カバー700の底板部710にはその中央位置に、後述する揺動支点180が構成されている。また、底板部710の内面は略鏡面になっており、撮像ユニット1の光軸方向後側端部に設けられた基板15に実装された第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590に対する反射面として利用される。かかる下カバー700は、例えば、熱処理により非磁性化した金属部品からなる。より具体的には、下カバー700はSUS304等の金属材料を所定形状に曲げ加工や絞り加工等を行なった金属部品からなる。ここで、SUS304等に曲げ加工や絞り加工等を行なうと、オーステナイトの一部がマルテンサイトに転移し磁性をもつが、本形態では、曲げ加工や絞り加工等の後、熱処理を行なって下カバー700を得ている。このため、光学ユニット100を組み立てる際、永久磁石520と下カバー700との吸着等を防止することができる。なお、下カバー700は、上記の他にアルミ、銅、銅合金(例えば、真鍮や洋白)等といった非磁性材料そのもの、またはそれにメッキを施したものでもよい。
【0030】
(可動体3の構成)
本形態の光学ユニット100において、可動体3は、撮像ユニット1と、撮像ユニット1のケース14の外周面を囲む矩形枠状のホルダ7と、第1ストッパ部材8とによって構成されており、第1ストッパ部材8はホルダ7の光軸方向後側の面に溶接等の方法で固定されている。本形態において、第1ストッパ部材8は、後述するように、可動体3の光軸方向に直交する方向への可動範囲を規定する第1ストッパ機構810の第1ストッパ部として利用される。また、第1ストッパ部材8は、上カバー250の角筒状胴部210の内側に配置された第2ストッパ部材9(第2ストッパ部)と光軸方向で対向し、可動体3の光軸方向に直交する方向への可動範囲を規定する第2ストッパ機構820を構成している。
【0031】
ホルダ7は、光軸方向前側に位置する矩形枠状の第1ホルダ部材71と、光軸方向後側で第1ホルダ部材71に対向する矩形枠状の第2ホルダ部材72とからなる。本形態において、第1ホルダ部材71と第2ホルダ部材72との間には、振れ補正用駆動機構500に用いた平板状の永久磁石520が保持されている。より具体的には、永久磁石520において光軸方向前側の面には第1ホルダ部材71が固定され、永久磁石520において光軸方向後側の面には第2ホルダ部材72が固定されており、永久磁石520、第1ホルダ部材71および第2ホルダ部材72によって角筒状の永久磁石アセンブリ75が構成されている。このため、角筒状の永久磁石アセンブリ75の内側に撮像ユニット1を挿入した後、撮像ユニット1のケース14の外周面と、永久磁石アセンブリ75の内周面(永久磁石520の内面)とを接着剤73(
図8(b)、(c)参照)等により固定すれば、永久磁石520、第1ホルダ部材71、第2ホルダ部材72、第1ストッパ部材8および撮像ユニット1を一体化して可動体3を構成することができる。
【0032】
(バネ部材600の構成)
バネ部材600は、固定体200側に連結される矩形枠状の固定側連結部620と、可動体3側に連結される可動側連結部610と、可動側連結部610と固定側連結部620の間で延在する複数本のアーム部630とを備えた板状バネ部材であり、アーム部630の両端は各々、可動側連結部610および固定側連結部620に繋がっている。ここで、固定側連結部620は、矩形枠状の本体部分621と、本体部分621の辺部分の中央位置で外側に向けて突出した凸部622とを備えている。
【0033】
かかるバネ部材600を可動体3と固定体200とに接続するにあたって、本形態では、可動側連結部610が第1ストッパ部材8の光軸方向後側端面に溶接等の方法で固定されている。また、固定側連結部620は、凸部622が上カバー250の切り欠き218、219内に嵌った状態で、上カバー250の切り欠き218、219の前側端面に溶接等の方法で固定されている。かかるバネ部材600は、銅合金や非磁性のSUS系鋼材等といった非磁性の金属製であり、所定厚の薄板に対するプレス加工、あるいはフォトリソグラフィ技術を用いたエッチング加工により形成したものである。
【0034】
ここで、バネ部材600の可動側連結部610を可動体3に連結する一方、固定側連結部620を固定体200に固定すると、可動体3は、揺動支点180によって光軸方向前側に押し上げられた状態となる。このため、バネ部材600において、可動側連結部610は固定側連結部620よりも光軸方向前側に押し上げられた状態となり、バネ部材600のアーム部630は、可動体3を光軸方向後側に付勢する。従って、可動体3は、バネ部材600によって揺動支点180に向けて付勢された状態になり、可動体3は、揺動支点180によって揺動可能な状態に固定体200に支持された状態となる。
【0035】
(振れ補正用駆動機構の構成)
図3および
図6等に示すように、本形態の光学ユニット100では、コイル部560と、コイル部560に鎖交する磁界を発生させる永久磁石520とによって、振れ補正用駆動機構500が構成されている。より具体的には、可動体3においてケース14の4つの外面には平板状の永久磁石520が各々固定されており、上カバー250の角筒状胴部210の内面にはコイル部560が配置されている。永久磁石520は、外面側および内面側が異なる極に着磁されている。また、永久磁石520は、光軸L方向に配置された2つの磁石片からなり、かかる磁石片は、コイル部560と対向する側の面が光軸方向で異なる極に着磁されている。また、コイル部560は、略四角形の枠状に形成されており、上下の長辺部分が有効辺として利用される。
【0036】
これらの永久磁石520およびコイル部560のうち、可動体3をY軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル部560はY側振れ補正用駆動機構500yを構成しており、
図3(a)に矢印X1、X2で示すように、揺動支点180を通ってX軸方向に延在する軸線X0を中心にして可動体3を揺動させる。また、撮像ユニット1をX軸方向の両側で挟む2箇所に配置された永久磁石520およびコイル部560はX側振れ補正用駆動機構500xを構成しており、
図3(b)に矢印Y1、Y2で示すように、揺動支点180を通ってY軸方向に延在する軸線Y0を中心にして可動体3を揺動させる。
【0037】
かかるY側振れ補正用駆動機構500yおよびX側振れ補正用駆動機構500xを構成するにあたって、本形態では、上カバー250の4つの内面に沿って延在するシート状コイル体550が用いられており、シート状コイル体550では、4つのコイル部560が所定の間隔を空けて一体に形成されている。また、シート状コイル体550は展開したときに帯状に延在する形状を備えており、上カバー250の4つの内面に沿うように折り曲げた状態で上カバー250の内面に面接着等の方法で固定されている。
【0038】
シート状コイル体550は、導電配線技術を利用して微細な銅配線からなるコイル部560をプリント基板上に形成した構造を有しており、複数層の銅配線(コイル部560)が絶縁膜を介して多層に形成されている。また、銅配線(コイル部560)の表面も絶縁膜で覆われている。かかるシート状コイル体550としては、例えば、旭化成エレクトロニクス株式会社製のFPコイル(ファインパターンコイル(登録商標))を挙げることができる。
【0039】
本形態では、シート状コイル体550には、4つのコイル部560から延在する導電層によって複数の端子部565が形成されている。本形態において、端子部565は、シート状コイル体550において永久磁石520と対向する内側とは反対側の外側に向いている。また、上カバー250において端子部565と重なる部分は、切り欠き219が形成されている。このため、シート状コイル体550の端子部565は外面に露出しているので、かかる切り欠き219において、シート状コイル体550とにおいて光軸Lの方向に向けて折り曲げられた端部425とはハンダ等により電気的に接続されている。
【0040】
フレキシブル配線基板420において端部425の折れ曲がり部分は、第2ストッパ部材9において光軸方向後側に向けて折れ曲がった板状部98によって補強されており、かかる板状部98は、上カバー250の切り欠き219をフレキシブル配線基板420の端部425とともに塞いで埃等の異物の侵入を防止する。なお、第2ストッパ部材9において、板状部98の後端部からY軸方向の一方側+Yに向けて折れ曲がった部分99は、フレキシブル配線基板420を支持する補強板等として利用されている。
【0041】
このように本形態では、シート状コイル体550が用いられているため、単体の空芯コイルを用いた場合に比して、撮像ユニット1と固定体200との間隔を狭めることができるので、光学ユニット100のサイズを小さくすることができる。また、シート状コイル体550の場合、複数のコイル部560が端子部565と一体に設けられているため、光軸L周りの複数個所にコイル部560を配置する場合でも、シート状コイル体550を光軸L周りに延在させればよい。従って、単体の空芯コイルを用いた場合と違って、光軸L周りの複数個所の各々に単体の空芯コイルを配置する必要がないとともに、複数の単体の空芯コイルの各々に電気的な接続を行なう必要がないので、本形態によれば、組立工数が少なく済む。また、シート状コイル体550において、端子部565は、永久磁石520と対向する側とは反対側の外側に向いているため、コイル部560に対する電気的接続、すなわち、端子部565へのフレキシブル配線基板420の接続を容易に行なうことができる。
【0042】
(揺動支点の構成)
図7は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の揺動支点の説明図であり、
図7(a)、(b)は、揺動支点等のYZ断面図、および揺動支点を構成する部材の説明図である。
【0043】
撮像ユニット1に対してZ軸の一方側+Z(被写体側とは反対側)では、撮像ユニット1と固定体200の下カバー700との間に、撮像ユニット1を揺動させる際の揺動支点180が設けられており、撮像ユニット1は、バネ部材600によって揺動支点180を介して下カバー700に向けて付勢されている。
【0044】
本形態において、固定体200において撮像ユニット1の光軸方向後端部分と対向する部分には、穴181aが形成された第1板部181と、第1板部181に対して光軸方向後側で重ねて配置されたエラストマー製の弾性部材185と、弾性部材185に対して光軸方向後側で重ねて配置された第2板部182とが設けられ、第2板部182は、弾性部材185を第1板部181との間で圧縮させた状態で保持している。本形態において、第1板部181は、下カバー700の底板部710の中央部分において、光軸方向前側に向けて凹む凹部の底板部分からなる。第2板部182は、下カバー700の底板部710に溶接等により取り付けられた円形の支持板であり、その中央には小さな穴182aが形成されている。
【0045】
弾性部材185は、略円盤状であり、光軸方向前側の面には穴181aと重なる位置で光軸方向前側に向けて半球状に突出した凸部185bと、凸部185bの周りで広がる環状のフランジ部185cとを備えており、フランジ部185cは、第1板部181と第2板部182との間に保持されている。また、弾性部材185は、凸部185bとフランジ部185cとの間に肉厚部185dを備えており、光軸方向後側の面の中央には円形の凹部185sが形成されている。
【0046】
また、第1板部181は、穴181aが形成された円形の底部181bと、底部181bを囲む円錐面からなる傾斜部181c、傾斜部181cの周りで広がる環状の平板部181dと、平板部181dを囲む円錐面からなる傾斜部181eと、傾斜部181eの周りで広がる環状の平板部181fを有しており、第2板部182(支持板)は、平板部181fに重なって溶接等により固定されている。この状態で、第1板部181の傾斜部181cと平板部181dとは、弾性部材185の肉厚部185dおよびフランジ部185cに当接して、第2板部182との間に弾性部材185を保持している。
【0047】
その結果、弾性部材185の凸部185bは、その一部が第1板部181の穴181aから光軸方向前側に半球状に突出し、かかる凸状部分185gが揺動支点180のピボット部分として、撮像ユニット1の光軸方向後側端面に当接している。本形態では、撮像ユニット1において揺動支点180が当接する部分は、基板15の光軸方向後側の面に固定された受け板19において、光軸方向後側に向けて突出するように折り曲げられた部分19aからなる。
【0048】
このように本形態では、固定体200において可動体3の光軸方向後端部分と対向する部分には、穴181aが形成された第1板部181と、第1板部181に対して光軸方向後側で重ねて配置されたエラストマー製の弾性部材185と、弾性部材185に対して光軸方向後側で重ねて配置された第2板部182とが設けられ、弾性部材185のうち、穴181aから可動体3に向けて突出した凸状部分185gによって揺動支点180が構成されている。このため、可動体3に光軸方向後側に向かう衝撃が加わった際、弾性部材185の凸状部分185gで衝撃を吸収できるので、下カバー700(固定体200)の底板部710が変形することがない。また、振れ補正の制御中に可動体3に加わった不要な振動を弾性部材185で吸収することができるので、共振の発生を防止することができる。さらに、揺動支点180を単なるゴム部品で構成すると、高さ寸法等の制御が難しいが、2つの板部(第1板部181および第2板部182)により挟まれた弾性部材185であれば、揺動支点180の高さ寸法に十分な精度を確保することができる。
【0049】
また、第1板部181は、下カバー700(固定体200)の底板部710であり、第2板部182は、底板部710に対して固定された支持板である。このため、下カバー700の底板部710に対して弾性部材185および第2板部282(支持板)を順次重ねていく構造になっているので、組み立てを容易に行うことができる。
【0050】
また、弾性部材185は、穴181aの周りで第1板部181と第2板部182との間に保持されたフランジ部185cと、フランジ部185cから穴181a内に向けて突出した凸部185bとを備えているため、第1板部181と第2板部182との間でガタつきが発生するのを防止することができる。
【0051】
また、弾性部材185は、凸部185bの周りで圧縮変形した肉厚部185dを備えているため、弾性部材185による衝撃吸収効果や防振効果が高いという利点がある。
【0052】
また、弾性部材185において光軸方向後側の面には、穴181aと重なる位置で可動体3に向けて凹んだ凹部185sが設けられている。このため、可動体3に光軸方向後側に向かう衝撃が加わった際、弾性部材185を介して第2板部182に伝わるストレスを緩和することができる。
【0053】
(第1ストッパ機構810の構成)
図8は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の第1ストッパ機構810の説明図であり、
図8(a)、(b)、(c)は、光学ユニット100において第1ストッパ機構810を構成する部材等を光軸方向後側からみた底面図、XZ断面図、YZ断面図である。
【0054】
本形態の光学ユニット100において、可動体3は、揺動支点180によって揺動可能な状態に固定体200に支持された状態にある。従って、外部から大きな力が加わって撮像ユニット1が大きく変位すると、バネ部材600のアーム部630が塑性変形するおそれがある。そこで、本形態では、以下に説明するストッパ機構が設けられている。
【0055】
まず、本形態では、
図6および
図8に示すように、可動体3は、ホルダ7の光軸方向後側端面に矩形枠状の第1ストッパ部材8が溶接等の方法により固定されている。本形態において、ホルダ7および第1ストッパ部材8は金属製であり、溶接により固定されている。ここで、ホルダ7の内面(第1ホルダ部材71の内面および第2ホルダ部材72の内面)および第1ストッパ部材8の内面は、光軸と平行な同一平面上に位置しており、第1ストッパ部材8はホルダ7の内面を基準に配置されている。従って、第1ストッパ部材8と永久磁石520との間の位置精度を高めることができる。また、永久磁石520は、外面がホルダ7の内面を基準に治具等(図示せず)により精度よく配置されている。このため、永久磁石520に厚さのバラツキが発生しても、永久磁石520とシート状コイル体550との間隔に高い精度を得ることができる。
【0056】
なお、永久磁石520の厚さ精度が高い場合には、永久磁石520の内側の面と第1ストッパ部材8の内側の面とを光軸と平行な同一平面上に位置する構造としてもよい。この場合、第1ストッパ部材8と永久磁石520とを同一の取り付け公差で配置することができるので、双方を高い位置精度をもって配置することができる。
【0057】
また、第1ストッパ部材8は、矩形枠状の本体部分80と、本体部分80から外側に向けて突出した凸部81とを備えており、かかる凸部81は、永久磁石520より外側に突出している。本形態において、凸部81は、本体部分80の4つの辺部分の各々に形成されている。また、凸部81は、本体部分80の4つの辺部分の各々において、第1凸部81aと、第1凸部81aに対して辺の延在方向で離間する位置に設けられた第2凸部81bとからなり、第1凸部81aと第2凸部81bとの間には、第1ストッパ部材8をホルダ7に溶接等により固定する際に利用される小さな凹部81cが形成されている。本形態において、凸部81は、本体部分80の4つの辺部分の各々において、辺部分の中央よりも周方向の同一方向にずれた位置に配置されており、相対向する辺部分において、凸部81は、点対称位置にある。なお、第1ストッパ部材8は、第1凸部81aと第2凸部81bとの間に相当する部分がホルダ7の光軸方向後側端面に溶接等の方法により固定されている。
【0058】
ここで、凸部81は、固定体200の側に設けられたシート状コイル体550と狭い隙間G1を介して対向している。従って、凸部81およびシート状コイル体550は、光軸方向における振れ補正用駆動機構500と揺動支点180との間において、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位した際の可動範囲を規定する第1ストッパ機構810を構成している。より具体的には、凸部81およびシート状コイル体550は、光軸方向における振れ補正用駆動機構500と揺動支点180との間のうち、振れ補正用駆動機構500とバネ部材600との間において、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位した際の可動範囲を規定する第1ストッパ機構810を構成している。
【0059】
ここで、シート状コイル体550の場合、空芯コイルと違って、永久磁石520と当接しても巻線が解けることがない。従って、凸部81が当接する箇所は、シート状コイル体550のうち、コイル部560が構成されている箇所、およびコイル部560が構成されていない箇所のいずれでもよいが、本形態では、凸部81が当接する箇所は、シート状コイル体550のうち、コイル部560が構成されていない箇所に設定されている。
【0060】
また、シート状コイル体550と永久磁石520とは狭い隙間G2を介して対向し、かかる隙間G2は、凸部81とシート状コイル体550との隙間G1よりわずかに大である。従って、シート状コイル体550と永久磁石520とは可動体3が揺動した際の揺動範囲を規定する第3ストッパ機構830を構成している。
【0061】
なお、永久磁石520が当接する箇所は、シート状コイル体550のうち、コイル部560が構成されている箇所、およびコイル部560が構成されていない箇所のいずれでもよいが、本形態では、永久磁石520が当接する箇所は、シート状コイル体550のうち、コイル部560が構成されている箇所に設定されている。このような第3ストッパ機構830によれば、可動体3の揺動範囲を精度よく設定することができる。すなわち、振れ補正用駆動機構500ではシート状コイル体550と永久磁石520との間隔は精度よく設定されるので、シート状コイル体550と永久磁石520とを利用して第3ストッパ機構830を構成すれば、可動体3の揺動範囲を精度よく設定することができる。
【0062】
以上説明したように、本形態では、固定体200および可動体3のうちの一方側から突出した凸部81が他方側に当接することにより可動体3が光軸方向に直交する方向に変位した際の可動範囲を規定するストッパ機構810が設けられている。より具体的には、本形態では、可動体3から突出した凸部81が固定体200の側に当接することにより可動体3が光軸方向に直交する方向に変位した際の可動範囲を規定する第1ストッパ機構810が設けられている。このため、可動体3に衝撃が加わって、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位したときにでも、可動体3の可動範囲が制限されている。従って、バネ部材600が塑性変形して損傷することがない。また、凸部81(ストッパ機構810)は、光軸方向において振れ補正用駆動機構500と揺動支点180との間に設けられているため、例えば、揺動支点180から離れた振れ補正用駆動機構500の光軸方向前側に凸部81を設ける場合と比較して、可動体3の少ない変位でストッパ機構810が作動する。従って、バネ部材600の塑性変形を確実に防止することができる。
【0063】
また、凸部81(ストッパ機構810)は、光軸方向における振れ補正用駆動機構500とバネ部材600との間に設けられている。このため、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位する際の可動範囲をより狭く制限することができるので、バネ部材600の塑性変形をより確実に防止することができる。
【0064】
また、凸部81は、可動体3から永久磁石520よりシート状コイル体550側に向けて突出してシート状コイル体550に当接する。このため、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位する際の可動範囲を精度よく設定することができるので、可動体3の揺動を妨げることなく、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位する際の可動範囲を制限することができる。すなわち、振れ補正用駆動機構500ではシート状コイル体550と永久磁石520との間隔は精度よく設定されるので、凸部81がシート状コイル体550に当接するように構成すれば、凸部81とシート状コイル体550との間隔も精度よく設定されることになる。それ故、可動体3が光軸方向に直交する方向に変位する際の可動範囲を精度よく設定することができる。
【0065】
また、可動体3は、永久磁石520を保持する枠状のホルダ7と、凸部81をもってホルダ7の光軸方向後側端面に固定された枠状の第1ストッパ部材8とを備えている。このため、第1ストッパ部材8が固定される前に永久磁石520をホルダ7に固定した状態で着磁することができ、永久磁石520の取り扱いが容易である。また、ホルダ7と第1ストッパ部材8とが別部材であるため、ホルダ7に第1ストッパ部材8を固定する前の状態で着磁工程を行うことができるので、着磁工程の際、ストッパ機構810を構成する凸部81が邪魔にならない。従って、永久磁石520と着磁ヘッドの間に不要な隙間を作らずに着磁を行うことができるという利点がある。
【0066】
また、永久磁石520が固定されたホルダ7の内面(第1ホルダ部材71の内面および第2ホルダ部材72の内面)および第1ストッパ部材8の内面は、光軸と平行な同一平面上に位置している。すなわち、第1ストッパ部材8はホルダ7の内面を基準に配置されている。従って、第1ストッパ部材8と永久磁石520との間の位置精度を高めることができる。
【0067】
また、バネ部材600の可動体3側への接続部分は第1ストッパ部材8である。このため、精度よく固定された第1ストッパ部材8にバネ部材600が接続されるので、バネ部材600のバネ定数を精度よく設定することができる。
【0068】
また、凸部81は、四角形状の4つの辺の各々において互いに離間する第1凸部81aと第2凸部81bとして設けられている。このため、可動体3に捩じれ方向の力が加わっても各辺に凸部81が各々1つずつ設けられている場合と比較して、第1凸部81aと第2凸部81bのいずれか一方が先に第1ストッパ機構810として作動する。それ故、可動体3に捩じれ方向の大きな力が加わらないので、バネ部材600に捩じれ方向の塑性変形が発生することを防止することができる。
【0069】
(第2ストッパ機構820の構成)
図9は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の第2ストッパ機構820全体の構成を示す説明図であり、
図9(a)、(b)は、光学ユニット100において第2ストッパ機構820を構成する部材等を光軸方向前側からみた斜視図、および分解斜視図である。
図10は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の第2ストッパ機構820の平面構造を示す説明図であり、
図10(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)は、第2ストッパ機構820を光軸方向前側からみた平面図、第2ストッパ機構820から第1ストッパ部材8を外した状態の平面図、第2ストッパ機構820からバネ部材600を外した状態の平面図、第2ストッパ機構820から第2ストッパ部材9を外した状態の平面図、第1ストッパ部材8の平面図、バネ部材600の平面図、および第2ストッパ部材9の平面図である。
図11は、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100の第2ストッパ機構820を拡大して示す断面図である。
【0070】
図3、
図5、
図8等に示すように、本形態の振れ補正機能付きの光学ユニット100では、固定体200に用いた上カバー250に第2ストッパ部材9(第2ストッパ部)が固定されている。
図9、
図10および
図11に示すように、第2ストッパ部材9は、矩形枠状の枠部90と、枠部90から光軸方向後側に向けて屈曲した板状部98と、板状部98の後端部からY軸方向の一方側に屈曲した部分99とを備えており、枠部90の4つの辺部分において、中央位置から一方側にずれた位置には台形形状の切り欠き97が形成されている。
【0071】
本形態において、第2ストッパ部材9は、矩形枠状の枠部90が上カバー250の角筒状胴部210の内側に位置する状態で、上カバー250に溶接等により固定されている。本形態において、第2ストッパ部材9および上カバー250は金属製であり、第2ストッパ部材9は上カバー250に溶接により固定されている。より具体的には、枠部90は、上カバー250の切り欠き218の内縁と溶接され、板状部98は、上カバー250の切り欠き219の内縁と溶接されている。
【0072】
この状態で、第2ストッパ部材9の枠部90は、バネ部材600に対して光軸方向後側に位置する。ここで、第2ストッパ部材9の枠部90の外形寸法は、第1ストッパ部材8の外形寸法より大きいが、第1ストッパ部材8の外形寸法は、第2ストッパ部材9の枠部90の内形寸法より大きい。このため、第2ストッパ部材9の枠部90は、第1ストッパ部材8に対してバネ部材600を介して光軸方向後側で対向している。
【0073】
また、バネ部材600のアーム部630は、全体あるいは略全体が第2ストッパ部材9の枠部90と光軸方向で重なっている。また、バネ部材600のアーム部630は、第1ストッパ部材8の第1凸部81aと第2凸部81bと光軸方向で重なっており、第1凸部81aおよび第2凸部81bは、第2ストッパ部材9の枠部90と光軸方向で重なっている。このため、バネ部材600のアーム部630の一部は、第1ストッパ部材8および第2ストッパ部材9の双方と光軸方向で重なっている。
【0074】
このようにして、本形態の光学ユニット100では、第1ストッパ部材8の第1凸部81aおよび第2凸部81bは、バネ部材600のアーム部630を介して第2ストッパ部材9の枠部90に光軸方向で対向して第2ストッパ機構820を構成しており、かかる第2ストッパ機構820は、可動体3の光軸方向後側への可動範囲を規定する。このため、可動体3に衝撃が加わって、可動体3が光軸方向後側に変位したときにでも、可動体3の可動範囲が制限されているので、バネ部材600が塑性変形して損傷することがない。また、可動体3に衝撃が加わって、可動体3が勢いよく揺動支点180の第1板部181に当接することがないので、可動体3に搭載した撮像素子1bや、撮像素子1bを電気的に接続するボンディングワイヤーやダイボンディング等が損傷することもない。
【0075】
さらに、本形態では、可動体3が光軸方向後側に変位した際、第1ストッパ部材8と第2ストッパ部材9とは、バネ部材600を介して当接する。このため、第2ストッパ機構820を構成するにあたって、第1ストッパ部材8と第2ストッパ部材9とをバネ部材600を避けて当接させるような構造を採用しなくてもよい。従って、バネ部材600周辺の構造を簡素化することができる。また、可動体3が光軸方向後側に変位した際、第1ストッパ部材8と第2ストッパ部材9とは、バネ部材600のアーム部630を介して当接する。このため、第2ストッパ機構820が作動した際、アーム部630が第1ストッパ部材8と第2ストッパ部材9とに挟まれて保護されるので、アーム部630が塑性変形することを防止することができる。
【0076】
また、可動体3の光軸方向に直交する方向の可動範囲および光軸方向の可動範囲の双方を規定するのに第1ストッパ部材8を利用するとともに、バネ部材600を光軸方向で挟む両側に第1ストッパ部材8および第2ストッパ部材9を設けたため、第2ストッパ機構820が作動した際にバネ部材600に捩じれが発生しにくい。また、バネ部材600を光軸方向で挟む両側に第1ストッパ部材8および第2ストッパ部材9を設けたため、第2ストッパ機構820を設けるのに大きなスペースを必要としない。
【0077】
さらに、第1ストッパ部材8および第2ストッパ部材9は、光軸周りの全周に設けられているので、第1ストッパ部材8および第2ストッパ部材9の一部に大きな力が集中しない。従って、第1ストッパ部材8および第2ストッパ部材9が損傷しにくいとともに、第1ストッパ部材8および第2ストッパ部材9が当接した際の反動で当接個所とは反対側で可動体3が大きく傾くのを防止することができる。従って、バネ部材600の塑性変形を確実に防止することができる。
【0078】
また、第1ストッパ部材8の外形寸法は、第2ストッパ部材9の内形寸法より大であるため、第1ストッパ部材8と第2ストッパ部材9とがバネ部材600を介して面で当接することになる。このため、第1ストッパ部材8および第2ストッパ部材9が損傷しにくい。また、第1ストッパ部材8と第2ストッパ部材9とがバネ部材600を介して面で当接するので、第1ストッパ部材8および第2ストッパ部材9が当接した際の反動で当接個所以外の側で可動体3が大きく傾くのを防止することができる。従って、バネ部材600の塑性変形を確実に防止することができる。
【0079】
さらに、第2ストッパ部材9は、固定体200のうち、可動体3を覆う上カバー250に溶接により固定されているので、第2ストッパ部材9によって、上カバー250を補強することができる。従って、上カバー250が薄い金属板からなる場合でも、上カバー250の変形を防止することができる。
【0080】
さらにまた、第2ストッパ部材9は、可動体3の光軸周りの全周に配置された枠部90と、固定体200の内側からフレキシブル配線基板420が引き出される側で枠部90から光軸方向に屈曲した板状部98とを備え、板状部98は、フレキシブル配線基板420が引き出された切り欠き219(開口部)を塞いでいる。このため、切り欠き219から埃等の異物が侵入することを防止することができる。
【0081】
また、バネ部材600のアーム部630は、全体または略全体が第2ストッパ部材9と光軸方向で重なっているため、アーム部630が延在している領域を利用して第2ストッパ機構820を構成することができる。従って、第2ストッパ機構820を設けるのに大きなスペースを必要としない。
【0082】
(振れ補正動作)
本形態の光学ユニット100において、
図1に示す光学機器1000が振れると、かかる振れはジャイロスコープによって検出されるとともに、上位の制御部では、ジャイロスコープでの検出に基づいて、振れ補正用駆動機構500を制御する。すなわち、ジャイロスコープで検出した振れを打ち消すような駆動電流をフレキシブル配線基板410およびフレキシブル配線基板420を介してシート状コイル体550のコイル部560に供給する。その結果、X側振れ補正用駆動機構500xは、揺動支点180を中心に撮像ユニット1をY軸周りに揺動させる。また、Y側振れ補正用駆動機構500yは、揺動支点180を中心に撮像ユニット1をX軸周りに揺動させる。また、撮像ユニット1のX軸周りの揺動、およびY軸周りの揺動を合成すれば、XY面全体に対して撮像ユニット1を変位させることができる。それ故、光学ユニット100で想定される全ての振れを確実に補正することができる。かかる撮像ユニット1に対する駆動の際、撮像ユニット1の変位は、
図5に示す第1フォトリフレクタ580および第2フォトリフレクタ590によって監視される。
【0083】
(フレキシブル配線基板410の構成)
図3および
図5等に示すように、本形態の光学ユニット100において、撮像ユニット1の基板15には、フレキシブル配線基板410の一方の端部が接続されており、撮像ユニット1を揺動させた際にフレキシブル配線基板410が撮像ユニット1に負荷を印加すると、撮像ユニット1を適正に揺動させるのに支障がある。
【0084】
そこで、フレキシブル配線基板410は、光学ユニット100の外部に位置する本体部分415は、コネクタ490の搭載やフレキシブル配線基板420の接続が可能な広幅になっているが、光学ユニット100の内側に位置する部分は、本体部分415より幅寸法の狭い2本の帯状部分411になっている。このため、揺動支点180を可動体3と当接させるのに支障がない。また、フレキシブル配線基板410は、光学ユニット100の内側に位置する部分が、幅寸法の狭い2本の帯状部分411になっているため、帯状部分411の剛性が緩和されている。従って、フレキシブル配線基板410の帯状部分は、可動体3の振れにスムーズに追従するので、大きな負荷を可動体3に印加することがない。
【0085】
また、帯状部分411は、Y軸方向の一方側+Yから他方側−Yに向けて延在した後、一方側+Yに向けて折り返され、その後、端部が基板15の縁に沿って基板15の被写体側の基板面に向けて折り返されて固定されている。このため、フレキシブル配線基板410は、外部の本体部分415から基板15に固定にされている部分までの間に折り返し部分413が設けられている分、寸法が長い。従って、フレキシブル配線基板410の帯状部分は、撮像ユニット1の振れにスムーズに追従するので、大きな負荷を可動体3に印加することがない。
【0086】
さらにまた、フレキシブル配線基板410の折り返し部分413は、揺動支点180における可動体3の揺動中心(凸状部分185gと可動体3との接触位置)と同一の高さ位置にある。このため、可動体3が揺動した際の帯状部分411の変位を小さく抑えることができる。従って、フレキシブル配線基板410が可動体3に及ぼす影響を低減することができるので、可動体3を精度よく揺動させることができる。
【0087】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、バネ部材600に対して光軸方向前側に第1ストッパ部材8を設け、バネ部材600に対して光軸方向後側に第2ストッパ部材9を設けたが、バネ部材600に対して光軸方向後側に第1ストッパ部材8を設け、バネ部材600に対して光軸方向後前に第2ストッパ部材9を設けてもよい。
【0088】
上記実施の形態では、枠状の第1ストッパ部材8によって第1ストッパ部を構成し、枠状の第2ストッパ部材9によって第2ストッパ部を構成したが、可動体3側のホルダ7等に設けた凸部によって第1ストッパ部を構成し、上カバー250に設けた枠部等によって第2ストッパ部を構成してもよい。
【0089】
上記実施の形態では、カメラ付き携帯電話機に用いる光学ユニット100に本発明を適用した例を説明したが、薄型のデジタルカメラ等に用いる光学ユニット100に本発明を適用してもよい。また、上記形態では、撮像ユニット1にレンズ駆動機構等が構成されている例を説明したが、撮像ユニット1にレンズ駆動機構が搭載されていない固定焦点タイプの光学ユニットに本発明を適用してもよい。
【0090】
さらに、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、携帯電話機やデジタルカメラ等の他、冷蔵庫等、一定間隔で振動を有する装置内に固定し、遠隔操作可能にしておくことで、外出先、たとえば買い物の際に、冷蔵庫内部の情報を得ることができるサービスに用いることもできる。かかるサービスでは、姿勢安定化装置付きのカメラシステムであるため、冷蔵庫の振動があっても安定な画像を送信可能である。また、本装置を児童、学生のカバン、ランドセルあるいは帽子等の、通学時に装着するデバイスに固定してもよい。この場合、一定間隔で、周囲の様子を撮影し、あらかじめ定めたサーバへ画像を転送すると、この画像を保護者等が、遠隔地において観察することで、子供の安全を確保することができる。かかる用途では、カメラを意識することなく移動時の振動があっても鮮明な画像を撮影することができる。また、カメラモジュールのほかにGPSを搭載すれば、対象者の位置を同時に取得することも可能となり、万が一の事故の発生時には、場所と状況の確認が瞬時に行える。さらに、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載すれば、ドライブレコーダーとして用いることができる。また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100を自動車において前方が撮影可能な位置に搭載して、一定間隔で自動的に周辺の画像を撮影し、決められたサーバに自動転送してもよい。また、カーナビゲーションの道路交通情報通信システム等の渋滞情報と連動させて、この画像を配信することで、渋滞の状況をより詳細に提供することができる。かかるサービスによれば、自動車搭載のドライブレコーダーと同様に事故発生時等の状況を、意図せずに通りがかった第三者が記録し状況の検分に役立てることもできる。また、自動車の振動に影響されることなく鮮明な画像を取得できる。かかる用途の場合、電源をオンにすると、制御部に指令信号が出力され、かかる指令信号に基づいて、振れ制御が開始される。
【0091】
また、本発明を適用した振れ補正機能付きの光学ユニット100は、レーザポインタ、携帯用や車載用の投射表示装置や直視型表示装置等、光を出射する光学機器の振れ補正に適用してもよい。また、天体望遠鏡システムあるいは双眼鏡システム等、高倍率での観察において三脚等の補助固定装置を用いることなく観察するのに用いてもよい。また、狙撃用のライフル、あるいは戦車等の砲筒とすることで、トリガ時の振動に対して姿勢の安定化が図れるので、命中精度を高めることができる。