特許第5893397号(P5893397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893397
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】プローブユニットおよび検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/073 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   G01R1/073 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-288395(P2011-288395)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-137243(P2013-137243A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】満木 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】村山 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】塩入 章弘
【審査官】 川瀬 正巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−330006(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0237097(US,A1)
【文献】 特開平10−206462(JP,A)
【文献】 実開平4−126176(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0143889(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/073
G01R 1/067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のプローブピンと、前記各プローブピンを各々の先端部でそれぞれ保持すると共に当該各プローブピンをプロービングさせるプロービング機構に各々の基端部が取り付けられる一対の保持部材とを備えたプローブユニットであって、
前記各保持部材の前記先端部同士および前記各プローブピン同士の双方は、弾性体によって互いに連結されているプローブユニット。
【請求項2】
前記弾性体は、弾性を有する高分子材料で形成されている請求項1記載のプローブユニット。
【請求項3】
前記弾性体は、前記高分子材料としてのシリコーン接着剤を硬化させて形成されている請求項2記載のプローブユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のプローブユニットと、前記各保持部材の前記各基端部を取り付け可能に構成されて当該各保持部材によって保持されている各プローブピンをプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構と、前記プロービング対象体にプロービングされている前記各プローブピンを介して入出力した電気信号に基づいて当該プロービング対象体についての検査を行う検査部とを備えている検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のプローブピンを各々の先端部でそれぞれ保持すると共にプロービング機構に各々の基端部が取り付けられる一対の保持部材を備えたプローブユニット、およびそのプローブユニットを備えてプロービング対象体についての検査を行う検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のプローブユニットとして、特開2006−330006号公報において出願人が開示したプローブユニットが知られている。このプローブユニットは、プローブ保持部および一対のコンタクトプローブを備えて構成されて、プローブ案内機構に固定されている。また、各コンタクトプローブは、プローブ保持部のベース部に取り付けられる一対の保持具と、各保持具に固定された一対のプローブピンとを備えてそれぞれ構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−330006号公報(第5−6頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のプローブユニットには、改善すべき以下の課題がある。すなわち、このプローブユニットは、一対の保持具および一対のプローブピンを備えたコンタクトプローブがプローブ保持部を介してプローブ案内機構に固定されている。この場合、このプローブユニットを用いて検査を行う際には、プローブ案内機構がプロービング対象体に向けてプローブユニットを移動(下降)させることにより、一対のプローブピンの先端部をプロービング対象体に接触させる。この場合、例えば図8に示すように、プロービング対象体としての基板100のバンプ101における上部が平面状のときには、各プローブピン113における各先端部の双方がバンプ101に接触する。しかしながら、図9,10に示すように、上部が球面状のバンプ101に各プローブピン113をプロービングさせたときには、各保持具111同士(各プローブピン113同士)が互いに離反しつつ各プローブピン113の先端部がバンプ101の球面を滑りながら球面に沿って移動し、この結果、各先端部の一方または双方がバンプ101から外れてバンプ101に非接触の状態となるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、一対のプローブピンをプロービング対象体に確実に接触させ得るプローブユニットおよび検査装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載のプローブユニットは、一対のプローブピンと、前記各プローブピンを各々の先端部でそれぞれ保持すると共に当該各プローブピンをプロービングさせるプロービング機構に各々の基端部が取り付けられる一対の保持部材とを備えたプローブユニットであって、前記各保持部材の前記先端部同士および前記各プローブピン同士の双方は、弾性体によって互いに連結されている。
【0007】
また、請求項2記載のプローブユニットは、請求項1記載のプローブユニットにおいて、前記弾性体は、弾性を有する高分子材料で形成されている。
【0008】
また、請求項3記載のプローブユニットは、請求項2記載のプローブユニットにおいて、前記弾性体は、前記高分子材料としてのシリコーン接着剤を硬化させて形成されている。
【0009】
請求項4記載の検査装置は、請求項1から3のいずれかに記載のプローブユニットと、前記各保持部材の前記各基端部を取り付け可能に構成されて当該各保持部材によって保持されている各プローブピンをプロービング対象体にプロービングさせるプロービング機構と、前記プロービング対象体にプロービングされている前記各プローブピンを介して入出力した電気信号に基づいて当該プロービング対象体についての検査を行う検査部とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のプローブユニット、および請求項4記載の検査装置では、2つの保持部材の各先端部同士および各先端部にそれぞれ保持されている各プローブピン同士の双方を弾性体によって互いに連結している。このため、このプローブユニットおよび検査装置によれば、例えば、上部が球面状に形成されているプロービング対象体としてのバンプに各プローブピンをプロービングさせた場合においても、弾性体の弾性変形量を超える各保持部材の各先端部同士の離反および各プローブピン同士の離反を規制できる結果、プローブピンがバンプから外れてバンプに非接触の状態となる事態を防止でき、これにより、各プローブピンの各先端部をバンプに確実に接触させた状態に維持することができる。
【0011】
また、請求項2記載のプローブユニット、および請求項4記載の検査装置では、弾性を有する高分子材料で形成した弾性体を用いている。この場合、高分子材料は、一般的に加工が容易であるため、各保持部材の各先端部同士や各プローブピン同士を連結可能な形状の弾性体を容易に作製することができる。このため、このプローブユニットおよび検査装置によれば、弾性体を低コストで作製することができる分、プローブユニットおよび検査装置の製造コストを低減することができる。
【0012】
また、請求項3記載のプローブユニット、および請求項4記載の検査装置によれば、高分子材料としてのシリコーン接着剤を硬化させて形成した弾性体を用いることにより、各保持部材の各先端部や、各先端部によって保持されている各プローブピンの保持部分を覆うように、シリコーン接着剤を塗布してそのシリコーン接着剤を硬化させるだけの極めて簡易な工程で、弾性体を形成することができると共に、各保持部材の各先端部同士や各プローブピン同士を弾性体によって連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】基板検査装置1の構成を示す構成図である。
図2】プローブユニット3a,3bおよびプロービング機構4の構成を示す斜視図である。
図3】弾性体12による各保持部材11および各プローブピン13の連結状態を示す斜視図である。
図4】保持部材11およびプローブピン13を保持部材11の先端部11b側から見た正面図である。
図5】プローブユニット3の動作を説明する第1の説明図である。
図6】プローブユニット3の動作を説明する第2の説明図である。
図7】プローブユニット3の動作を説明する第3の説明図である。
図8】従来のプローブユニットの動作を説明する第1の説明図である。
図9】従来のプローブユニットの動作を説明する第2の説明図である。
図10】従来のプローブユニットの動作を説明する第3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、プローブユニットおよび検査装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
最初に、検査装置の一例としての基板検査装置1の構成について説明する。図1に示す基板検査装置1は、一例として、プロービング対象体としての基板100に設けられている各バンプ101間の抵抗を4端子法で測定し、その測定値に基づいて基板100(各バンプ101)の良否を検査可能に構成されている。具体的には、基板検査装置1は、同図に示すように、基板支持台2、プローブユニット3a,3b(図2も参照:以下、区別しないときには「プローブユニット3」ともいう)、プロービング機構4、測定部5、操作部6、記憶部7および制御部8を備えて構成されている。
【0016】
基板支持台2は、クランプ(図示せず)を備え、検査対象の基板100を支持可能に構成されている。
【0017】
プローブユニット3は、図2に示すように、2つの保持部材11、弾性体12および2つのプローブピン13を備えて構成されている。
【0018】
保持部材11は、図2,3に示すように、基端部11aが後述するプロービング機構4における取付部62a,62bの取付部本体71に固定された状態において片持ち状(片持ち梁状)となるように構成されている。また、保持部材11は、絶縁性を有する材料(一例として、非導電性の樹脂)で形成されると共に、先端部11bでプローブピン13を保持可能に構成されている。具体的には、図4に示すように、保持部材11の先端部11bには、溝41が形成されおり、プローブピン13の基端部13a側がこの溝41にはめ込まれることによってプローブピン13が先端部11bに保持される。
【0019】
この場合、各保持部材11の先端部11bに形成されている各溝41は、図3に示すように、下側(プロービング機構4によるプロービング時に基板100に近接する側)に向かうに従って各保持部材11の延在方向に沿って取付部本体71から離間するように傾斜し、かつ、図4に示すように、下側に向かうに従って互いに近接するように傾斜している。このため、各溝41にはめ込まれた各プローブピン13は、図3に示すように、先端部13b側ほど各保持部材11の延在方向に沿って取付部本体71から離間し、かつ、図4に示すように、先端部13b側ほど互いに近接している。また、このようにして保持部材11の先端部11b保持されたプローブピン13は、後述するように、接着剤によって先端部11bに固定される。
【0020】
また、保持部材11は、一例として、4節回転リンク機構で構成され、プロービング機構4によって行われるプロービングの際に、プロービング対象体としてのバンプ101にプローブピン13が接触したときの衝撃を吸収する機能を有している。
【0021】
弾性体12は、図3,4に示すように、一対の保持部材11における各先端部11b同士、および各先端部11bにそれぞれ保持されている各プローブピン13同士を連結する。この場合、弾性体12は、一例として、絶縁性および弾性を有するシリコーンゴム(弾性を有する高分子材料の一例)で形成されて、弾性変形可能に構成されている。この弾性体12は、弾性変形量の範囲内で各先端部11b同士の離反および各プローブピン13同士の離反を許容すると共に、弾性変形量を超える各先端部11b同士の離反および各プローブピン13同士の離反を規制する機能を有している。
【0022】
プローブピン13は、上記したように保持部材11の先端部11bに保持されている。また、プローブピン13は、導電性を有する材料によって形成されている。
【0023】
プロービング機構4は、図1に示すように、2つのアーム61a,61b(以下、区別しないときには「アーム61」ともいう)、および各アーム61a,61bに固定された2つの取付部62a,62b(図2参照:以下、区別しないときには「取付部62」ともいう)を備え、制御部8の制御に従い、基板支持台2によって支持されている基板100の表面に沿った方向(XY方向)、および基板100に接離する下向きおよび上向き(Z方向)に各アーム61を移動させて基板100のバンプ101にプローブピン13をプロービングさせる。この場合、取付部62は、同図に示すように、取付部本体71および固定板72を備えて構成されている。なお、以下の説明において、取付部62aの固定板72を固定板72aともいい、取付部62bの固定板72を固定板72bともいう。
【0024】
取付部本体71は、図2に示すように、各保持部材11の基端部11aを取り付け可能に構成されると共に、固定板72の先端部(同図における下端部)を固定可能に構成されている。また、取付部本体71は、図3に示すように、各保持部材11の基端部11aが取り付けられた状態において、保持部材11の先端部11bが互いに近接するように(図4も参照)、その形状が規定されている。
【0025】
固定板72は、アーム61に取付部62を固定するための部材であって、図2に示すように、固定用ネジ70によってアーム61の先端部に固定される。また、同図に示すように、取付部62aの固定板72aには、各プローブピン13に接続される信号ケーブル80を支持するケーブル支持部81が設けられている。
【0026】
測定部5は、基板100の各バンプ101にプロービングされた各プローブピン13を介して入出力する電気信号に基づいて各バンプ101間の抵抗を4端子法で測定する測定処理を実行する。操作部6は、各種のスイッチやキーを備えて構成され、これらが操作されたときに操作信号を出力する。
【0027】
記憶部7は、プローブピン13をプロービングさせるべき各バンプ101の位置を示す位置データを記憶する。また、記憶部7は、基板100(バンプ101)の検査に用いる抵抗値の基準値を記憶する。
【0028】
制御部8は、プロービング機構4および測定部5を制御する。また、制御部8は、測定部5と共に検査部として機能して、測定部5によって測定された抵抗値に基づいて基板100の良否、具体的には、一例として、各バンプ101間の絶縁状態の良否を検査する。
【0029】
次に、保持部材11にプローブピン13を保持させる方法の一例、並びに各保持部材11の各先端部11b同士および各プローブピン13同士を弾性体12で連結する方法の一例について説明する。
【0030】
まず、各保持部材11の各先端部11bにプローブピン13をそれぞれ保持させる。具体的には、一方の保持部材11の先端部11bに形成されている溝41にプローブピン13の基端部13aを嵌め込む。次いで、嵌め込み部分に接着剤を塗布して保持部材11の先端部11bとプローブピン13の基端部13aとを固定する。続いて、同様の手順で、他方の保持部材11の先端部11bにプローブピン13を保持させる。
【0031】
次いで、各保持部材11の各先端部11b同士、および各プローブピン13同士を弾性体12によって連結する。具体的には、図4に示すように、互いに近接している各保持部材11の各先端部11b、および各先端部11bによって保持されている各プローブピン13の基端部13a側(溝41に嵌め込まれている部分)を覆うように、湿気硬化型のシリコーン接着剤(以下、単に「シリコーン接着剤」ともいう)を塗布する。
【0032】
この場合、湿気硬化型のシリコーン接着剤は、空気市中の水分と硬化反応することによって弾性を有するゴム状に変化(硬化)すると共に、被塗布体(この例では、保持部材11の先端部11bおよびプローブピン13)に含有または付着している水酸基(OH)と接着反応して被塗布体に固着する。このため、上記のようにして塗布されたシリコーン接着剤が弾性を有する弾性体12となって各先端部11b同士および各プローブピン13同士を連結する。なお、湿気硬化型のシリコーン接着剤に代えて、付加硬化型(加熱硬化型)のシリコーン接着剤や、紫外線硬化型のシリコーン接着剤を用いることもできる。
【0033】
次に、基板検査装置1を用いて基板100(バンプ101)を検査する方法、およびその際の各部の動作について図面を参照して説明する。
【0034】
まず、基板支持台2の載置面に基板100を載置し、続いて、図外のクランプによって基板100を固定する。これにより、基板100が基板支持台2に支持される。次いで、操作部6を操作して、検査の開始を指示する。この際に、操作部6が操作信号を出力し、これに応じて、制御部8が検査処理を開始する。
【0035】
この検査処理では、制御部8は、記憶部7から位置データを読み出して、プローブピン13をプロービングさせるべきバンプ101の位置を特定する。続いて、制御部8は、プロービング機構4を制御して、基板100の表面(基板支持台2の載置面)に沿って一方のアーム61(例えば、図2における左側のアーム61)を移動させ、取付部62を介してそのアーム61に取り付けられているプローブユニット3aにおける各保持部材11にそれぞれ保持されている各プローブピン13の各先端部13bを1つのバンプ101の上方に位置させる。また、制御部8は、プロービング機構4を制御して、基板100の表面に沿って他方のアーム61(同図における右側のアーム61)を移動させ、そのアーム61に取り付けられているプローブユニット3bにおける各保持部材11にそれぞれ保持されている各プローブピン13の各先端部13bを他の1つのバンプ101の上方に位置させる。
【0036】
次いで、制御部8は、プロービング機構4を制御して、基板100の表面に近接する向き(下向き)に各アーム61を移動(下降)させる。続いて、各アーム61の下降により、図5に示すように、各プローブユニット3における各保持部材11にそれぞれ保持されているプローブピン13の先端部13bがバンプ101に接触する。次いで、各アーム61がさらに下降させられたときには、プローブピン13の先端部13bがバンプ101を押圧する。
【0037】
ここで、図5に示すように、バンプ101の上部が平面状のときには、1つのプローブユニット3における2つの保持部材11にそれぞれ保持されている2つのプローブピン13の各先端部13bの双方がバンプ101の上面に接触し、その後のアーム61の下降によってバンプ101の上面を均等に押圧する。この状態では、プローブピン13の移動(XY方向への移動)が防止され、各プローブピン13の各先端部13bがバンプ101に確実に接触した状態に維持される。
【0038】
また、図6に示すように、バンプ101の上部が球面状の場合において、球面状の上部の中心を挟んで対称の位置に2つのプローブピン13の各先端部13bが接触しているときには、その後のアーム61の下降によって各プローブピン13の各先端部13bがバンプ101の上面を下向きに押圧し、その下向きの押圧力の反力が上向きに加わる。この際に、各プローブピン13の各先端部13bがバンプ101における球面状の部分に接触して、先端部13bとバンプ101との接触点を通る接線が上下方向(Z方向)に対して傾斜しているため、上向きの反力の分力が各先端部13b同士を離反させる向きに加わる。この場合、各保持部材11の先端部11b同士および各プローブピン13同士が連結されていない構成では、各プローブピン13の各先端部13bがバンプ101の球面を滑りながら球面に沿って移動して、先端部11b同士および各プローブピン13同士が互いに離反することとなる。これに対して、このプローブユニット3では、各保持部材11の先端部11b同士および各プローブピン13同士が弾性体12によって連結されている。このため、このプローブユニット3では、弾性体12の弾性変形量を超える各先端部11b同士の離反および各プローブピン13同士の離反が規制される結果、プローブピン13がバンプ101から外れてバンプ101に非接触の状態となる事態が防止され、各プローブピン13の各先端部13bがバンプ101に確実に接触した状態に維持される。
【0039】
また、図7に示すように、一方(同図における右側)のプローブピン13の先端部13bがバンプ101における球面状の上部の中心に接触し、他方(同図における左側)のプローブピン13の先端部13bが球面状の上部の中心から偏心した位置(同図における左側の位置)に接触しているときには、その後のアーム61の下降によって各プローブピン13の各先端部13bがバンプ101の上面を下向きに押圧し、その下向きの押圧力の反力が上向きに加わる。この際に、右側のプローブピン13の先端部13bは、上部の中心に接触しているため、右側のプローブピン13の先端部13bには、反力がそのまま上向きに加わる。一方、左側のプローブピン13の先端部13bは、上部の中心から偏心した位置に接触して、先端部13bとバンプ101との接触点を通る接線が上下方向に対して傾斜しているため、左側のプローブピン13の先端部13bには、上向きの反力の分力が右側のプローブピン13の先端部13bから離反させる向きに加わる。この場合にも、各保持部材11の先端部11b同士および各プローブピン13同士が弾性体12によって連結されているため、同図に示すように、弾性体12の弾性変形量を超える各先端部11b同士の離反および各プローブピン13同士の離反が規制される結果、各プローブピン13の各先端部13bがバンプ101に確実に接触した状態に維持される。
【0040】
続いて、制御部8は、測定部5を制御して測定処理を実行させる。この測定処理では、測定部5は、各バンプ101の間の抵抗値を4端子法で測定する。具体的には、測定部5は、測定用信号(例えば定電流)を出力する。この際に、プローブユニット3aにおける一方の保持部材11に保持されているプローブピン13、およびプローブユニット3bにおける一方の保持部材11に保持されているプローブピン13を介して2つのバンプ101に測定用信号が供給される。次いで、測定部5は、測定用信号の供給に伴って生じる電気信号(各バンプ101の間に生じる電圧)をプローブユニット3aにおける他方の保持部材11に保持されているプローブピン13、およびプローブユニット3bにおける他方の保持部材11に保持されているプローブピン13を介して入力し、その電圧値と測定用信号の電流値とに基づいて各バンプ101の間の抵抗値を測定する。
【0041】
続いて、制御部8は、各バンプ101間の絶縁状態の良否を検査する。具体的には、制御部8は、記憶部7から基準値を読み出して、この基準値と測定部5によって測定された抵抗値(測定値)とを比較する。この場合、制御部8は、測定値が基準値以上のときには、各バンプ101間の絶縁状態が良好と判別し、測定値が基準値未満のときには、各バンプ101間の絶縁状態が不良と判別する。この場合、この基板検査装置1では、上記したように、プローブユニット3の各プローブピン13が各バンプ101に確実に接触しているため、測定部5による抵抗値の測定が正確に行われる結果、各バンプ101間の絶縁状態の良否を正確に検査することが可能となっている。
【0042】
次いで、制御部8は、プロービング機構4を制御して、各アーム61を基板100から離反する向き(上方)に移動(上昇)させる。続いて、制御部8は、上記した各処理を実行して、他のバンプ101に各プローブピン13をプロービングさせると共に、他のバンプ101間の絶縁状態の良否を検査する。
【0043】
このように、このプローブユニット3および基板検査装置1では、2つの保持部材11の各先端部11b同士および各先端部11bにそれぞれ保持されている各プローブピン13同士を弾性体12によって互いに連結している。このため、このプローブユニット3および基板検査装置1によれば、例えば、上部が球面状に形成されているプロービング対象体としてのバンプ101に各プローブピン13をプロービングさせた場合においても、弾性体12の弾性変形量を超える各先端部11b同士の離反および各プローブピン13同士の離反を規制できる結果、プローブピン13がバンプ101から外れてバンプ101に非接触の状態となる事態を防止でき、これにより、各プローブピン13の各先端部13bをバンプ101に確実に接触させた状態に維持することができる。
【0044】
また、このプローブユニット3および基板検査装置1では、弾性を有する高分子材料で形成した弾性体12を用いている。この場合、高分子材料は、一般的に加工が容易であるため、保持部材11の各先端部11b同士および各プローブピン13同士を連結可能な形状の弾性体12を容易に作製することができる。このため、このプローブユニット3および基板検査装置1によれば、弾性体12を低コストで作製することができる分、プローブユニット3および基板検査装置1の製造コストを低減することができる。
【0045】
また、このプローブユニット3および基板検査装置1によれば、高分子材料としてのシリコーン接着剤を硬化させて形成した弾性体12を用いることにより、各保持部材11の各先端部11b、および各先端部11bによって保持されている各プローブピン13の保持部分を覆うように、シリコーン接着剤を塗布してそのシリコーン接着剤を硬化させるだけの極めて簡易な工程で、弾性体12を形成することができると共に、保持部材11の各先端部11b同士および各プローブピン13同士を弾性体12によって連結することができる。
【0046】
なお、プローブユニットおよび回路基板検査装置は、上記の構成に限定されない。例えば、2つの保持部材11の各先端部11b同士および2つのプローブピン13同士の双方を弾性体12で連結した例について上記したが、各先端部11b同士のみを弾性体12で連結する構成や、プローブピン13同士のみを弾性体12で連結する構成を採用することができる。
【0047】
また、シリコーン接着剤を塗布して硬化させることによって弾性体12を構成する例について上記したが、予め硬化させた状態の弾性体12を、各保持部材11の各先端部11b同士、および各プローブピン13の各基端部13a同士の少なくとも一方を連結するように、接着剤(シリコーン接着剤、または他の接着剤)を用いて接着する方法を採用することもできる。また、シリコーンゴム以外の材料で形成した弾性体を用いる構成を採用することもできる。具体的には、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどの各種のゴムやエラストマー(弾性を有する高分子材料の他の一例)で形成した弾性体を用いることができる。
【0048】
また、弾性体としてのばねを用いる構成を採用することもできる。この構成では、2つの先端部11b、および2つのプローブピン13の少なくとも一方に、ばねの両端部を固定してこれらを連結する。この場合、樹脂製のばねを採用することもできるし、各プローブピン13同士の短絡防止が可能であれば、金属製のばねを採用することもできる。
【0049】
また、絶縁性を有する弾性体(上記の例ではシリコーンゴム)を用いる例について上記したが、各保持部材11の各先端部11b同士だけを連結するときには、絶縁性を有していない弾性体を用いることができる。また、絶縁性を有する材料で形成した保持部材11を用いる例について上記したが、導電性を有する材料(例えば、金属)で形成した保持部材を用いる構成を採用することもできる。なお、この構成を採用する場合、保持部材とプローブピン13とが絶縁されていない構成では、絶縁性を有する弾性体を用いることで、各保持部材同士の短絡および各プローブピン13同士の短絡を防止することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 基板検査装置
3a,3b プローブユニット
4 プロービング機構
5 測定部
8 制御部
11 保持部材
11a 基端部
11b 先端部
12 弾性体
13 プローブピン
62a,62b 取付部
100 基板
101 バンプ
図1
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図10