(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893399
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】超音波加工装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/08 20060101AFI20160310BHJP
B26F 1/26 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
B26D7/08 A
B26F1/26 G
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-288903(P2011-288903)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-136130(P2013-136130A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】593098093
【氏名又は名称】株式会社ソノテック
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(72)【発明者】
【氏名】青砥 達徳
【審査官】
福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−273721(JP,A)
【文献】
特開2000−070279(JP,A)
【文献】
米国特許第06336803(US,B1)
【文献】
特開平11−291228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/00− 3/16
B26D 7/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生部で発生した超音波振動を伝達するホーン部の先端面に刃を取り付け、前記刃を超音波振動させることで被加工物を加工する超音波加工装置であって、
前記刃は筒体であり、超音波振動する刃の先端辺を前記被加工物に当てて打ち抜くことで、被加工物に刃の形状の開口を形成すると共に、
前記刃の外周を囲んで超音波が伝播されないように装着され且つ装着した状態で前記刃の先端辺を突出させるダンパーを取り付け、
前記ダンパーと前記刃の外周面との間には弾性材が介在し、
さらに、前記刃は前記ホーン部の先端面の外周よりも内側に位置するように外周側段部を介して取り付けられ、
一方前記ダンパーは前記刃の外周から前記ホーン部の先端部分の外周にわたる長さを有し、且つダンパーの内周にはその内径を異ならせることで前記ホーン部の先端面に対向する内周側当接面を設け、これらホーン部の先端面とダンパーの内周側当接面との間に前記弾性材を設置することで、前記ダンパーが被加工物に当接した際の力を前記弾性材を介してホーン部が受けることを特徴とする超音波加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波加工装置であって、
前記ホーン部の外周面とダンパーの内周面の間に、両者間の接触を防止する第2の弾性材を設置したことを特徴とする超音波加工装置。
【請求項3】
振動発生部で発生した超音波振動を伝達するホーン部の先端面に刃を取り付け、前記刃を超音波振動させることで被加工物を加工する超音波加工装置であって、
前記刃は筒体であり、超音波振動する刃の先端辺を前記被加工物に当てて打ち抜くことで、被加工物に刃の形状の開口を形成すると共に、
前記刃の外周を囲んで超音波が伝播されないように装着され且つ装着した状態で前記刃の先端辺を突出させるダンパーを取り付け、
前記刃は横断面が非円形の筒体であり、
一方前記ダンパーの内周面の内の前記刃の外周に対向する部分は前記刃の外形形状に合わせて横断面を非円形とすることでダンパーの回り止めとし、且つダンパーに刃の向きを表す目印を付したことを特徴とする超音波加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波加工装置に関し、特に被加工物に開口を形成するのに用いて好適な超音波加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の樹脂製バンパーや樹脂製ダッシュボード等の樹脂製の被加工物(ワーク)に各種形状の開口を開ける場合、一般にプレスによる打ち抜き加工が行われていた。
【0003】
一方従来、振動発生部を超音波振動させることでこの振動発生部に接続したカッター刃を超音波振動させ、この超音波振動するカッター刃を被加工物に当てることで被加工物を加工する超音波加工装置が使用されている(例えば特許文献1参照)。そしてこの超音波加工装置で被加工物に開口を開ける場合は、カッター刃によって被加工物の開口をその輪郭線に沿って切り欠いてくり抜くことで行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−167535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記プレス加工の場合は、高価なプレス金型が必要で、大量生産するような場合は良いが、例えば多品種少量生産するような場合は加工コストが高くなるという問題があった。
【0006】
また上記超音波加工装置で加工する場合は、作業性が悪く、また加工精度も十分とはいえなかった。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、被加工物に開口を開ける際の作業効率がよく、同時に加工精度も高くて加工コストも廉価にできる超音波加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる超音波加工装置は、振動発生部で発生した超音波振動を伝達するホーン部の先端面に刃を取り付け、前記刃を超音波振動させることで被加工物を加工する超音波加工装置であって、前記刃は筒体であり、超音波振動する刃の先端辺を前記被加工物に当てて打ち抜くことで、被加工物に刃の形状の開口を形成する
と共に、前記刃の外周を囲んで超音波が伝播されないように装着され且つ装着した状態で前記刃の先端辺を突出させるダンパーを取り付け、前記ダンパーと前記刃の外周面との間には弾性材が介在し、さらに、前記刃は前記ホーン部の先端面の外周よりも内側に位置するように外周側段部を介して取り付けられ、一方前記ダンパーは前記刃の外周から前記ホーン部の先端部分の外周にわたる長さを有し、且つダンパーの内周にはその内径を異ならせることで前記ホーン部の先端面に対向する内周側当接面を設け、これらホーン部の先端面とダンパーの内周側当接面との間に前記弾性材を設置することで、前記ダンパーが被加工物に当接した際の力を前記弾性材を介してホーン部が受けることを特徴としている。このように超音波加工装置の刃を筒状に形成したので、超音波振動する刃の先端辺を被加工物に当てて打ち抜くだけで、被加工物に刃の先端辺の形状と同一形状の開口を作業性良く且つ精度良く、容易に形成することができる。またプレス金型のような高価な部品を使用する必要がないので、製造コストの低減化も図ることができる。
【0009】
ところで超音波振動する刃の先端辺を被加工物に当てて打ち抜く際に力が余って、打ち抜かれた開口の周囲の被加工物の表面にホーン部の先端面が当接してしまう場合がある。そのような場合、ホーン部も超音波振動しているので、被加工物の表面が加熱・加圧されて変形してしまう恐れがある。そこで本発明においては、前記刃の外周を囲んで超音波が伝播されないように装着され且つ装着した状態で前記刃の先端辺を突出させるダンパーを取り付けること
としている。このように構成
したので、超音波振動する刃の先端辺を被加工物に当てて打ち抜く際にダンパーが打ち抜かれた開口の周囲の被加工物の表面に当接するが、ダンパーは超音波振動していないので、被加工物の開口周囲の表面が変形する恐れはない。これによって被加工物への穴開け作業の効率が格段に向上し、同時に不良品が発生しなくなる。
【0010】
また前
記ダンパーを弾性材を介して刃の外周に装着したので、刃の超音波振動がダンパーに伝達されることを容易に防止できる。
【0011】
また本発明においては、前記刃は前記ホーン部の先端面の外周よりも内側に位置するように外周側段部を介して取り付けられ、一方前記ダンパーは前記刃の外周から前記ホーン部の先端部分の外周にわたる長さを有し、且つダンパーの内周にはその内径を異ならせることで前記ホーン部の先端面に対向する内周側当接面を設け、これらホーン部の先端面とダンパーの内周側当接面との間に前記弾性材を設置することで、前記ダンパーが被加工物に当接した際の力を前記弾性材を介してホーン部が受けること
としたので、ダンパーが被加工物に当接した際の力は弾性材を介してホーン部が受けるので、ホーン部の超音波振動は効果的に緩衝されダンパーには伝播しない。
【0012】
また前記ホーン部の外周面とダンパーの内周面の間には、両者間の接触を防止する第2の弾性材を設置することが好ましい。これによってダンパーは、より安定した状態で刃とホーン部の外周に保持される。
【0013】
また前記刃は横断面が非円形の筒体であり、一方前記ダンパーの内周面の内の前記刃の外周に対向する部分は前記刃の外形形状に合わせて横断面を非円形とすることでダンパーの回り止めとし、且つダンパーに刃の向きを表す目印を付すことが好ましい。これによって刃に対してダンパーが回転しないので、被加工物に開口を加工する際に、ダンパーに設けた目印によってその回転方向の位置決めが容易に行える。これによって非円形の開口を開ける際の回転方向の加工精度が向上し、同時に加工作業がより容易になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる超音波加工装置によれば、被加工物に開口を開ける際の作業効率がよく、また加工精度も高く、さらに加工コストを廉価にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】工具ホーン10−1と刃30−1を示す斜視図である。
【
図2】刃30−1による被加工物100−1の加工方法説明図である。
【
図3】工具ホーン10−2と刃30−2とダンパー50−2とを示す斜視図である。
【
図6】超音波加工装置1−2の全体概略側面図である。
【
図7】ダンパー50―2を装着しない場合の問題点説明図である。
【
図8】刃30−2による被加工物100−2の加工方法説明図である。
【
図10】工具ホーン10−3と刃30−3とダンパー50−3の部分の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔
参考例〕
図1は本発明の
参考例にかかる超音波加工装置に用いる振幅拡大用の工具ホーン10−1及び工具ホーン10−1の先端面11−1に取り付けられる刃30−1を示す斜視図である。同図に示すように工具ホーン10−1は円柱状の金属棒で構成され、その先端面11−1に刃30−1を取り付けている。刃30−1は金属製の筒体によって構成されており、その先端辺31−1を含む外周全体を非円形に形成している。具体的には円筒の2か所に内部側に向かって略V字状に凹む凹部33−1をその中心軸方向の全長にわたるように形成している。刃30−1は工具ホーン10−1の先端面11−1の外周よりも内側に位置するように取り付けられており、これによって外周側段部21−1が形成されている。この取り付けには、ろう付けなどを用いる。
【0017】
工具ホーン10−1の根元側には、図示はしないが振動発生部が直接又は他の部材(例えば振動発生部に取り付けられる別のホーン)を介して連結されており、振動発生部で発生した超音波振動は工具ホーン10−1を通して刃30−1に伝播されてこれを超音波振動する。
【0018】
図2は前記刃30−1による被加工物100−1の加工方法説明図である。被加工物100−1は、超音波加工で加工できる材質であればどのような材質のものでも良く、一般には熱可塑性樹脂やゴム製のものがその対象となる。例えば自動車の樹脂製のバンパーや、テレビやパソコン等のモニター用のパネルやボード等、多種多様の部材が対象となる。被加工物100−1を加工するには、まず
図2(a)に示すように超音波振動させた刃30−1の先端辺31−1を被加工物100−1の表面101−1に当接して押し付け、その熱によって被加工物100−1を溶融する。これによって
図2(b)に示すように刃30−1は被加工物100−1を貫通する。そして
図2(c)に示すように刃30−1を引き抜けば、刃30−1の内側に位置する被加工物100−1の部分が抜け落ち、被加工物100−1に刃30−1の外形形状と同一形状の開口103−1が形成される。
【0019】
以上説明したように、超音波加工装置の刃30−1を筒状に形成したので、超音波振動する刃30−1の先端辺31−1を被加工物100−1に当てて打ち抜くだけで、被加工物100−1に刃30−1の形状と同一形状の開口103−1を作業性良く且つ精度良く、容易に形成することができる。またプレス金型のような高価な部品を使用する必要がないので、製造コストの低減化を図ることができる。
【0020】
〔
第1実施形態〕
図3は本発明の
第1実施形態にかかる超音波加工装置に用いる工具ホーン10−2と、工具ホーン10−2の先端面に取り付けられる刃30−2と、刃30−2の外周に装着されるダンパー50−2とを示す斜視図、
図4はその断面図、
図5はその分解斜視図である。この実施形態において、前記
図1に示す
参考例と同一又は相当部分には同一符号(但し添え字「−2」を付ける)を付し、その詳細な説明は省略する。なおこの実施形態においては、前記各部材の他に弾性材70−2と第2の弾性材75−2を用いている。両弾性材70−2,75−2はこの例ではOリングである。
【0021】
工具ホーン10−2は前記
図1で説明した工具ホーン10−1と略同一の構成であり、異なるのはその先端近傍の外周に第2の弾性体75−2挿入用のリング状の凹部15−2を形成した点のみである。また刃30−2は前記刃30−1と同一のものである。
【0022】
ダンパー50−2は金属製の筒体で構成されており、その内部は
図4に示すように前記刃30−2の外形形状と略ぴったり一致する内径形状の部分と、前記工具ホーン10−2の先端近傍部分の外形形状と略ぴったり一致する内径形状の部分とを有しており、刃30−2の先端辺31−2を外部に突出した状態で保持されている。つまりダンパー50−2は刃30−2の外周から工具ホーン10−2の先端部分の外周にわたる長さを有し、且つダンパー50−2の内周にはその内径を異ならせることで、工具ホーン10−2の先端面11−2に対向する内周側当接面51−2を設けている。また刃30−2には2つの凹部33−2が形成されているが、これら凹部33−2にそれぞれ対向するダンパー50−2の内周面部分(内周側当接面51−2よりも先端側の部分)にその中心軸方向に向かって延びる凸部53−2が形成されている。凸部53−2は凹部33−2と略同一形状であり、凹部33−2に入り込むことでダンパー50−2の回り止めとなる。さらにダンパー50−2の内周面の前記内周側当接面51−2を設けた部分と、工具ホーン10−2の外周面に対向する部分には、それぞれ弾性材70−2,75−2を挿入するリング状凹部55−2,57−2が形成されている。さらにダンパー50−2の外周面には、中心軸方向に向かう直線状の凹部からなる目印59−2が形成されている。目印59−2は両凸部53−2のちょうど中間位置に形成されている。ダンパー50−2の先端面は下記する被加工物100−2への当接面61−2となっている。
【0023】
そして
図4に示すように、2つの弾性材70−2,75−2をそれぞれダンパー50−2のリング状凹部55−2,57−2に装着し、次にこのダンパー50−2を刃30−2の外周に挿入することで弾性材70−2を先端面11−2と内周側当接面51−2の間に設置し、同時に第2の弾性材75−2を工具ホーン10−2の凹部15−2に装着する。これによって刃30−2を取り付けた工具ホーン10−2へのダンパー50−2の装着が完了する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0024】
ここで弾性材70−2は下記するようにダンパー50−2の当接面61−2が被加工物100−2に当接した際の力を受けて振動方向の振動を緩衝するものである。一方第2の弾性材75−2は工具ホーン10−2の外周面とダンパー50−2の内周面間の接触を防止するとともにダンパー50−2の振動方向の位置決めを行うものである。このようにダンパー50−2は2つの弾性材70−2,75−2によって、刃30−2及び工具ホーン10−2の周囲の所定位置に確実に安定した状態で保持される。
【0025】
図6は上記工具ホーン10−2等を用いて構成された超音波加工装置1−2の全体概略側面図である。同図に示すように超音波加工装置1−2は、バックアップリング110−2と超音波振動を発生する振動発生部120−2とホーン130−2とをケース140−2内に収納し、ケース140−2から外部に突出するホーン130−2の先端に前記工具ホーン10−2の後端を取り付けて構成されている。ホーン130−2と工具ホーン10−2を合わせてホーン部150−2ということとする。
【0026】
振動発生部120−2はピエゾ圧電素子層によって構成されており、その両側にバックアップリング110−2とホーン130−2を積層して一体化し、これによっていわゆるランジュバン型振動子を構成している。このランジュバン型振動子のケース140−2への取り付けは、ランジュバン型振動子の超音波振動がケース140−2に伝達されにくい各種従来の構造を用いて行われている。従ってケース140−2は超音波振動しない。
【0027】
この例においてダンパー50−2を装着したのは以下の理由による。即ち
図1に示す刃30−1を超音波振動させてその先端辺31−1を被加工物100−1に当てて打ち抜く際に力が余って、
図7に示すように、打ち抜かれた開口103−1の周囲の被加工物100−1の表面に工具ホーン10−1の先端面11−1が当接してしまう場合がある。そのような場合、工具ホーン10−1も超音波振動しているので、被加工物100−1の表面が加熱・加圧されて溶融して変形してしまう恐れがある。そこでこの実施形態では、超音波振動しないダンパー50−2を装着し、以下に説明するように上記欠点を防止した。
【0028】
図8は前記刃30−2による被加工物100−2の加工方法説明図である。被加工物100−2を加工するには、まず
図8(a)に示すように超音波振動させた刃30−2の先端辺31−2を被加工物100−2の表面101−2に当接して押し付け、被加工物100−2を溶融し、
図8(b)に示すように被加工物100−2を貫通させる。このときダンパー50−2の当接面61−2が被加工物100−2の表面に当接し、このため刃30−2はそれ以上被加工物100−2内に入り込まない。ここでダンパー50−2は、刃30−2及び工具ホーン10−2に対して弾性材70−2を介在して取り付けられており、ダンパー50−2の当接面61−2が被加工物100−2に当接した際の力は弾性材70−2が受ける。そしてこの弾性材70−2によって振動方向の振動が緩衝されるため、刃30−2及び工具ホーン10−2の超音波振動はダンパー50−2には伝達されない。従ってダンパー50−2の当接面61−2が被加工物100−2の表面に当接しても、被加工物100−2の開口103−2周囲の表面は変形しない。そして
図8(c)に示すように刃30−2を引き抜けば、刃30−2の内側に位置する被加工物100−2の部分が抜け落ち、被加工物100−2に刃30−2の外形形状と同一形状の開口103−2が形成される。
【0029】
以上説明したように、この実施形態によれば、被加工物100−2の開口103−2周囲の表面が変形する恐れがなくなり、被加工物100−2への穴開け作業の効率が格段に向上し、同時に不良品が発生しなくなる。
【0030】
さらにこの実施形態では、横断面が非円形の筒体からなる刃30−2に対して、ダンパー50−2の内周面の内の刃30−2の外周に対向する部分を刃30−2の外形形状に合わせて横断面を非円形とすることでダンパー50−2の回り止めとし且つダンパー50−2に刃30−2の向きを表す目印59−2を付したので、刃30−2に対してダンパー50−2が回転せず、被加工物100−2に開口103−2を加工する際に、ダンパー50−2に設けた目印59−2によってその回転方向の位置決めを容易に行うことができる。これによって非円形の開口103−2を開ける際の回転方向の加工精度が向上し、同時に加工作業がより容易になる。
【0031】
〔
第2実施形態〕
図9は本発明の
第2実施形態にかかる超音波加工装置1−3の斜視図、
図10はその内の工具ホーン10−3と刃30−3とダンパー50−3の部分の断面図である。この実施形態において、前記
第1実施形態と同一又は相当部分には同一符号(但し添え字「−3」を付ける)を付し、その詳細な説明は省略する。
【0032】
この実施形態の基本的構成・機能は前記
第1実施形態と同じであり、
第1実施形態と相違する点は、工具ホーン10−3の形状を四角柱状(扁平な四角柱状)に形成した点と、刃30−3の形状を矩形状の筒体で構成した点と、ダンパー50−3の形状を矩形状の筒体で形成した点と、ダンパー50−3を上下2つの部材に分割し、両者をビス63−3によって一体化した点とである。この実施形態のその他の構成・使用方法・効果は、前記
第1実施形態と同じなのでその説明は省略する。
【0033】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では刃の形状を非円形としたが円形としても良い。また上記各実施形態では、ダンパーの材質を金属としたが、樹脂等の他の材質で構成しても良い。また上記例ではホーン部150をホーン130と工具ホーン10とによって構成したが、工具ホーン10を省略してホーン130のみでホーン部を構成し、このホーン130の先端に刃30を取り付けても良い。また上記例ではダンパー50を刃30の外周から工具ホーン10の先端近傍部分の外周にわたる長さに形成したが、少なくとも刃30の外周に設置すればよい。また上記例ではダンパー50を2つの弾性材70,75によって支持したが、1つの弾性材70のみによって支持するように構成しても良い。また上記例ではダンパー50の目印59−2として凹部を形成したが、目印であればどのようなものでも良く、例えば凸部や印刷等で形成しても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 超音波加工装置
10 工具ホーン(ホーン部)
11 先端面
21 外周側段部
30 刃
31 先端辺
33 凹部
50 ダンパー
51 内周側当接面
59 目印
61 当接面
70 弾性材
75 第2の弾性材
100 被加工物
101 表面
103 開口
110 バックアップリング
120 振動発生部
130 ホーン(ホーン部)
140 ケース
150 ホーン部