(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
器具本体の上面開口を覆う天板に設けた開口部から前記器具本体側に設けたバーナを上方に突出して配置し、前記開口部周囲にパッキンを介して取り付けたシール部によって、前記開口部と前記バーナ周囲の隙間を埋めてシールしたガスコンロであって、
前記天板の裏面側において一方向及び反対方向に往復移動自在に設けられ、前記器具本体に設けられた係止穴に係止する係止爪を備えたスライド部材と、
前記天板を前記器具本体の前記上面開口に被せ、前記開口部内に前記バーナを配置した状態で、前記天板の表面側から前記スライド部材を前記一方向に移動させることによって、前記係止穴に前記係止爪を係止させる操作部と、
前記係止穴に前記係止爪を係止させた状態で、前記天板に対して前記スライド部材の位置を固定する第一固定部と、
前記第一固定部によって前記スライド部材の位置を固定した状態で、前記天板を前記器具本体に対して固定する第二固定部と
を備えたことを特徴とするガスコンロ。
前記係止爪の先端は、前記天板を前記器具本体の前記上面開口に被せた状態では、前記器具本体の前方に対して斜め下方に傾斜していることを特徴とする請求項2又は3に記載のガスコンロ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のガスこんろでは、口金を貫通窓に対して移動させるので、口金と天板との間に配置されたパッキンまでも移動してしまう。このときパッキンが撓んだり捩れたりすると、パッキンと天板との間に隙間ができてしまい、その隙間から煮汁が侵入する可能性があった。また、バーナを複数備えたガスコンロの場合、天板の前縁を器具本体の係合部に引っ掛けて、天板を斜めに傾けた状態で、各バーナに対応する口金を一つ一つ移動させながら位置合わせを行わなければならず、一人の施工業者で行うのは大変困難であった。
【0005】
本発明の目的は、器具本体に対する天板の取り付けを容易化し、且つ開口部とバーナとの隙間を塞ぐシール部によるシール性を確保できるガスコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るガスコンロは、器具本体の上面開口を覆う天板に設けた開口部から前記器具本体側に設けたバーナを上方に突出して配置し、前記開口部周囲にパッキンを介して取り付けたシール部によって、前記開口部と前記バーナ周囲の隙間を埋めてシールしたガスコンロであって、前記天板の裏面側において一方向及び反対方向に往復移動自在に設けられ、前記器具本体に設けられた係止穴に係止する係止爪を備えたスライド部材と、前記天板を前記器具本体の前記上面開口に被せ、前記開口部内に前記バーナを配置した状態で、前記天板の表面側から前記スライド部材を前記一方向に移動させることによって、前記係止穴に前記係止爪を係止させる操作部と、前記係止穴に前記係止爪を係止させた状態で、前記天板に対して前記スライド
部材の位置を固定する第一固定部と、前記第一固定部によって前記スライド
部材の位置を固定した状態で、前記天板を前記器具本体に対して固定する第二固定部とを備える。
【0007】
また請求項2に係る発明のガスコンロは、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記一方向及び反対方向は、前記器具本体の前後方向であって、前記係止穴は、前記器具本体の前部に設けられ、前記スライド部材は、前記前後方向に沿って延設され、前記係止爪は、前記スライド部材の前端部に設けられ、前記天板の後端側には、前記前後方向に長軸を有する長穴が設けられ、前記操作部は前記長穴に沿って移動自在に設けられると共に、前記長穴を介して前記スライド部材の後端側に連結され、前記第一固定部は、前記天板に対して前記操作部の位置を固定することによって、前記天板に対して前記スライド
部材の位置を固定し、前記第二固定部は、前記天板の前記後端側において前記天板を前記器具本体に固定することを特徴とする。
【0008】
また請求項3に係る発明のガスコンロは、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記スライド部材は、前記天板の前記裏面の左右方向両端側に夫々設けられ、前記係止穴は、前記器具本体の前記前部の左右両端側に夫々設けられている。
【0009】
また請求項4に係る発明のガスコンロは、請求項2又は3に記載の発明の構成に加え、前記係止爪の先端は、前記天板を前記器具本体の前記上面開口に被せた状態では、前記器具本体の前方に対して斜め下方に傾斜していることを特徴とする。
【0010】
また請求項5に係る発明のガスコンロは、請求項1から4の何れかに記載の発明の構成に加え、前記第一固定部は前記操作部を兼ねることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明のガスコンロでは、施工業者は、天板を器具本体の上面開口に位置合わせを行い、操作部によってスライド部材をスライドさせる。これにより、スライド部材に設けられた係止爪が器具本体側の係止穴に係止するので、天板が器具本体に対して仮固定される。その状態で、第一固定部によってスライド
部材の位置を天板に対して固定し、さらに第二固定部によって天板を器具本体に固定する。これにより、シール部を可動させる必要がないので、器具本体に対して天板を容易に取り付けることができる。また、シール部の位置は変わらないので、パッキンの位置が移動しない。それ故、パッキンと天板との密着性を保持できるので、シール部によるシール性を確保できる。
【0012】
また請求項2に係る発明のガスコンロでは、請求項1に記載の発明の効果に加え、スライド部材は器具本体の前後方向に移動する。従って、天板の後端側において操作部を前方に操作することによって、スライド部材の前端部に設けられた係止爪を、器具本体の前部に設けられた係止穴に係止させることができる。さらに、操作部、第一、第二固定部、第二固定部は天板の後端側に位置するので、使用者から見て操作部、第一、第二固定部が見えにくい場所に配置できる。これにより、ガスコンロの美観を損なわずに、上記請求項1の効果を得ることができる。
【0013】
また請求項3に係る発明のガスコンロでは、請求項2に記載の発明の効果に加え、天板を器具本体に固定する際に、天板全体を一度に固定するのではなく、天板の左端側又は右端側から順次、器具本体に固定できる。施工業者は、例えば、天板の右端側を器具本体に対して押し付けながら右側のスライド部材を前方向に移動させることによって、天板の右端側を器具本体に固定し、その後で、天板の左端側を右端側と同様に固定する。即ち、天板を器具本体に対して段階的に固定できるので、一人の施工業者でも天板を器具本体に対して容易かつ確実に固定できる。また、天板を器具本体の左右方向両端部において左右バランスよく且つ確実に固定できる。さらに、スライド部材を一対の部材で構成することで、スライド部材をコンパクトにできる。
【0014】
また請求項4に係る発明のガスコンロでは、請求項2又は3に記載の発明の効果に加え、係止爪は斜め下方に傾斜しているので、天板を器具本体の上面に載せた状態で操作部を前方に移動させることによって、係止爪の先端が係止穴に引っ掛かると共に、係止爪の傾斜部分に係止穴の上縁部が摺動する。それ故、係止爪は下方に沈むので、スライド
部材を介して天板が器具本体に対して下方に押し付けられる。従って、天板と器具本体との間の密着性を高めることができる。
【0015】
また請求項5に係る発明のガスコンロでは、請求項1から4の何れかに記載の発明の効果に加え、第一固定部は操作部を兼ねるので部品点数を少なくでき、さらに構造を簡単にできる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1において、左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方を、夫々、コンロ1の前方、後方、右方、左方とする。
図2において、下方、上方、右方、左方を、夫々、天板3の前方、後方、右方、左方とする。なお、
図1に示すコンロ1は図示しないキッチンのカウンタートップに設置されるビルトインコンロである。
【0018】
図1,
図2を参照し、コンロ1の全体構造について説明する。
図1に示すように、コンロ1は器具本体2を備える。器具本体2は上部が開口する略直方体状であり、内側に各種バーナ5〜7、グリル庫(図示略)、ガス供給機構(図示略)等を備える。器具本体2上部には天板3が取り付けられている。天板3の後端側を除く前側部分にはガラストッププレート21(以下「トッププレート21」と呼ぶ)が設けられている。天板3の後端側にはアルミ製の中板22が設けられている。天板3の外周にはアルミ枠23が設けられている。アルミ枠23の下部にはゴム製のパッキン24(
図3,
図4参照)が貼着されている。
【0019】
トッププレート21の右手前にはバーナ開口25(
図2参照)、略中央奥にはバーナ開口26(
図2参照)、左手前にはバーナ開口27(
図2参照)が夫々設けられている。バーナ開口25には右バーナ5、バーナ開口26には奥バーナ6、バーナ開口27には左バーナ7が、器具本体2側から上方に突出して各々設けられている。
【0020】
バーナ開口25における右バーナ5周囲の隙間はカバーリング31で塞がれている。カバーリング31はバーナ開口25に後述するパッキン38(
図2参照)を介して取り付けられている。それ故、煮汁等がバーナ開口25から器具本体2内に侵入するのを防止できる。カバーリング31には、穴36と溝37(
図2参照)が設けられ、器具本体2側に設けられたイグナイタ95、熱伝対96をカバーリング31から上方に突出させている。さらに、カバーリング31の外周を囲むようにして、五徳リング91が設置されている。なお、詳述しないが、奥バーナ6及び左バーナ7においても、右バーナ5と同様に、カバーリング32,33、及び五徳リング92,93が各々設けられている。カバーリング32,33にも、イグナイタ及び熱伝対用の穴と溝(図示略)が各々設けられている。
【0021】
図2に示すように、中板22には器具本体2内のグリル庫と連通する排気口42(
図2参照)が設けられている。排気口42は平面視横長長方形状である。排気口42には一対の遮炎カバー98,99(
図1参照)が設置されている。
【0022】
図1に示すように、器具本体2の前壁11の正面中央にはグリル開口12が設けられている。グリル開口12にはグリル扉13が前後方向にスライド可能に設けられている。グリル扉13上側にはグリル窓13Aが設けられている。グリル窓13Aの下方には取手13Bが設けられている。取手13Bでグリル扉13を手前側に引き出すと、焼き網と受け皿(図示略)を同時に取り出すことができる。
【0023】
グリル開口12の右側には、点火スイッチ14,15が各々設けられている。点火スイッチ14は右バーナ5を点火/消火する為に押下される。点火スイッチ15はグリル庫内に設けられたグリルバーナ(図示略)を点火/消火する為に押下される。グリル開口12の左側には、点火スイッチ16,17が各々設けられている。点火スイッチ16は奥バーナ6を点火/消火する為に押下される。点火スイッチ17は左バーナ7を点火/消火する為に押下される点火スイッチ14,15の下側には操作パネル18が器具本体2内に収納可能に設けられている。点火スイッチ16,17の下側には電池ボックス19が設けられている。電池ボックス19はコンロ1の電源を供給する乾電池を格納する。
【0024】
なお、器具本体2正面において、前壁11の上端部と天板3の前端部との間には、前面枠10が設けられている。前面枠10は前壁11及び天板3の前端部よりも奥側に位置する。前面枠10の前方には、キッチンのカウンタートップ前側の梁部材(図示略)が嵌め込まれる。
【0025】
図2〜
図4を参照し、天板3の構造について説明する。
図2に示すように、天板3は、トッププレート21、中板22、アルミ枠23を備える。トッププレート21は、
図4に示すように、例えばホーロー用鋼板21Aの上面にガラスコート21Bを施して形成されている。なお、トッププレート21は強化ガラスやその他の材質で形成したものでもよい。またガラスコート21Bは複数の層で形成してもよい。バーナ開口25〜27は、器具本体2側に設けられた右バーナ5、奥バーナ6、左バーナ7の各位置に夫々対応している。バーナ開口25〜27は平面視円形状であり、右バーナ5、奥バーナ6、左バーナ7の各バーナヘッドの径よりも大きく形成されている。
【0026】
上述の通り、バーナ開口25〜27には、カバーリング31〜33が各々装着されている。カバーリング31は短軸筒状に形成され、軸方向一端部から径方向外側に延出するフランジ部31A(
図2参照)がバーナ開口25の内縁部にパッキン38(
図2参照)を介して係止している。さらに、カバーリング31の前記一端部とは反対側の他端部は、バーナ開口25を介して下方に突出し、バーナ開口25に対してトッププレート21下面側から押し当てた押さえ板61(
図3参照)に対して3つの螺子65で固定されている。これにより、カバーリング31はトッププレート21のバーナ開口25に装着されている。なお、カバーリング32,33についても同様の固定構造である。
【0027】
図2に示すように、中板22は平面視横長長方形状である。排気口42の右側には、ガイド穴43と固定穴44が各々設けられている。ガイド穴43は固定穴44よりも後方に配置され、前後方向に長い長穴である。ガイド穴43には操作螺子45が挿入されている。操作螺子45は平座金一体螺子である。それ故、操作螺子45は緩めることによってガイド穴43に沿って移動可能となり、締めることによって天板3に対して位置が固定される。なお、操作螺子45のガイド穴43に差し込まれた先端部は、天板3の裏面側において後述するトップ固定板71(
図3参照)に連結されている。後述するが、操作螺子45は、トップ固定板71をスライド操作する「操作部」として機能すると共に、トップ固定板71を天板3に対して位置を固定する「第一固定部」としても機能する。固定穴44には、螺子66(
図9参照)が差し込まれ、トップ固定板71の後述する固定穴84(
図5参照)を介して器具本体2側の梁部材に設けられた第一螺子穴(図示略)に締結される。
【0028】
なお、排気口42の左側にも、ガイド穴46と固定穴47が各々設けられている。ガイド穴46には操作螺子48が挿入されている。なお、操作螺子48のガイド穴46に差し込まれた先端部は、天板3の裏面側において後述するトップ固定板72(
図3参照)に連結されている。操作螺子48はトップ固定板72の位置を操作する「操作部」として機能すると共に、トップ固定板72を天板3に対して位置を固定する「第一固定部」としても機能する。
【0029】
図3を参照し、天板3の裏面構造について説明する。なお、
図3は
図2に示す天板3の裏表をひっくり返して裏面を上に向けた状態の平面図であるが、説明の便宜上、
図3においても
図2の方向の定義に準じて説明する。天板3の裏面側において、後端部にはつなぎ板51が設けられている。つなぎ板51は中板22とアルミ枠23とを連結する。トッププレート21の裏面には、金属製の熱拡散板55が接着剤で固定されている。それ故、トッププレート21が各バーナ5〜7の燃焼熱によって部分的に膨張して歪んでしまうのを防止できる。また、各バーナ5〜7からトッププレート21に伝わる熱は、熱拡散板55から器具本体2の内側に放出されるので、トッププレート21が過度に高温になるのを防止できる。
【0030】
さらに、熱拡散板55は前方部56と後方部57を備える。前方部56はトッププレート21の裏面前側部分、後方部57はトッププレート21の裏面後ろ側部分である。前方部56はバーナ開口25,27の領域を含む横長長方形状に形成され、後方部57はバーナ開口26の領域を含む横長長方形状に形成されている。前方部56及び後方部57の間には所定の隙間が形成されている。なお、前方部56及び後方部57において、各バーナ開口25〜27に対応する各位置には円形状の開口(図示略)が設けられ、各バーナ5〜7を挿入できるようになっている。
【0031】
また、前方部56の前端部にはリブ56A、後端部にはリブ56Bが、トッププレート21の裏面に対して略直角に折り曲げられて各々形成されている。リブ56A,56Bは前方部56の剛性を補強する。後方部57の前端部にはリブ57A、後端部にはリブ57Bが、トッププレート21の裏面に対して略直角に折り曲げられて各々形成されている。リブ57A,57Bは後方部57の剛性を補強する。リブ57Aの左右両端部には差込穴57Cが各々設けられている。各差込穴56Cには、後述するトップ固定板71,72の各差込部80,88が各々差し込まれる。
【0032】
そして、前方部56のバーナ開口25に対応する領域には、押さえ板61が押し当てられている。押さえ板61は長方形状に形成され、トッププレート21を間に挟み込んだ状態で、3つの螺子65で、バーナ開口25からトッププレート21の裏面側に突出するカバーリング31の他端部に固定されている。前方部56のバーナ開口27に対応する領域には、押さえ板63が押し当てられている。なお、押さえ板63も、トッププレート21を間に挟み込んだ状態で、バーナ開口27からトッププレート21の裏面側に突出するカバーリング33の他端部に固定されている。他方、後方部57のバーナ開口26に対応する領域には、押さえ板62が押し当てられている。押さえ板62も、トッププレート21を間に挟み込んだ状態で、バーナ開口26からトッププレート21の裏面側に突出するカバーリング32の他端部に固定されている。
【0033】
さらに、前方部56において、押さえ板61が押し当てられる領域の左右両側には、一対の位置決め突起59が各々設けられている。右側の一対の位置決め突起59は、押さえ板61の右端部の前後方向両端部に各々当接する。左側の一対の位置決め突起59は、押さえ板61の左端部の前後方向両端部に各々当接する。従って、押さえ板61をトッププレート21に取り付ける際には、これら4つの位置決め突起59の内側に押さえ板61を配置すればよい。それ故、前方部56に対する押さえ板61の位置決めが容易である。なお、前方部56において、押さえ板63が押し当てられる領域の左右両側にも、一対の位置決め突起59が各々設けられている。また、後方部57においても、押さえ板62が押し当てられる領域の左右両側にも、一対の位置決め突起59が各々設けられている。
【0034】
また、トッププレート21の裏面側には、左前角部(
図2の状態では右前角部に相当)である天板3のコーナRから右方と後方に各々延出する略L字状のコーナ板52が、アルミ枠23に沿って熱拡散板55の上に重ねて固定されている。その反対側であって、右前角部(
図2の状態では左前角部に相当)である天板3のコーナLから左方と後方に各々延出する略L字状のコーナ板53が、アルミ枠23に沿って熱拡散板55の上に重ねて固定されている。これらコーナ板52,53は、天板3のコーナR,Lから前端部及び左右両端部にかかる部分を補強する。
【0035】
そして、上記構成からなるトッププレート21の裏面側において、左端側にはトップ固定板71が前後方向に移動可能に設けられている。右端側にはトップ固定板72が前後方向に移動可能に設けられている。トップ固定板71,72の各前端部には、後述する係止爪部76,86が各々設けられている。トップ固定板71,72は、操作螺子45,48(
図2参照)を夫々前方にスライド操作することによって前方に移動され、係止爪部76,86が前面枠10の左右両側に各々設けられた後述する係止穴105,106(
図8参照)に各々係止する。これにより、天板3が器具本体2に仮固定される。
【0036】
また、コーナR近傍には、側面視L字状の係止爪支持部68が設けられている。係止爪支持部68には支持穴68Aが設けられている。支持穴68Aにはトップ固定板71の係止爪部73が挿入されている。コーナL近傍には、側面視L字状の係止爪支持部69が設けられている。係止爪支持部69には支持穴69Aが設けられている。支持穴69Aにはトップ固定板72の係止爪部86が挿入されている。これにより、係止爪支持部68,69は、トップ固定板71の係止爪部76及びトップ固定板72の係止爪部86を各々支持する。
【0037】
図5〜
図7を参照し、トップ固定板71,72の構造について説明する。なお、トップ固定板72はトップ固定板71と左右対称であるので説明を省略する。また、ここでは、天板3を裏返しにした状態で配置したときのトップ固定板71の向きで説明する。
【0038】
図5に示すように、トップ固定板71は平面視略L字状である。
図5,
図6に示すように、トップ固定板71は、所定幅を有し且つ前後方向に延出する細長長方形状の本体部73と、該本体部73の後端部に設けられ、本体部73より一段トッププレート21裏面側に低くなった固定部74(
図6,
図7参照)と、本体部73の前端部から右側方に向けて略直角に折り返して延出する細長長方形状の支持部75と、該支持部75の前端部右側から前方に突出する係止爪部76とを備える。係止爪部76の先端部は
図6における斜め上方(器具本体2側)に折曲している。
【0039】
本体部73の右端部後方側には、トッププレート21裏面に向かって延出する起立部77が設けられ、右端部前方側には、トッププレート21裏面に向かって延出する起立部78が設けられている。起立部77と起立部78は前後方向に離間している。起立部77の延出方向先端部には右側方に略直角に折り返した折返部79が設けられている。折返部79の前端部には差込部80が設けられている。起立部78の延出方向先端部には右側方に略直角に折り返した折返部81が設けられている。
【0040】
固定部74には固定穴83,84が設けられている。固定穴83は固定穴84の後方に設けられ、天板3の中板22に設けたガイド穴43(
図2参照)の位置に対応する。固定穴84は、トップ固定板71が最前方に移動したときの天板3の中板22に設けた固定穴44(
図2参照)に対応する。なお、
図3に示すように、トップ固定板72も係止爪部86及び差込部88等を備えている。
【0041】
図3を参照し、天板3へのトップ固定板71の取付構造について説明する。トップ固定板71は、天板3裏面の左側(
図2の右側に相当)に配置される。固定部74は天板3に設けたガイド穴43(
図2参照)を介して操作螺子45によって固定される。折返部79は熱拡散板55の後方部57のリブ57A,57Bの間に配置される。折返部81は熱拡散板55の前方部56のリブ56A,56Bの間に配置される。差込部80は、後方部57のリブ57Aの左側に設けた差込穴57Cに差し込まれる。さらに、係止爪部76は、係止爪支持部68の支持穴68Aに挿入される。これにより、トップ固定板71は、天板3裏面から脱落することなく、前後方向に移動可能に支持される。なお、トップ固定板72においても、トップ固定板71と同様に、差込部88は、後方部57のリブ57Aの右側に設けた差込穴57Cに差し込まれ、係止爪部86は、係止爪支持部69の支持穴69Aに挿入される。これにより、トップ固定板72も、天板3裏面から脱落することなく、前後方向に移動可能に支持される。
【0042】
図8を参照し、前面枠10の構造について説明する。前面枠10は本体部101と受け部102を備え、断面T字状に形成されている。本体部101は正面視横長長方形状に形成されている。受け部102は平面視略長方形状に形成され、本体部101の上端部に略直角に連結されている。受け部102の上面には、天板3のアルミ枠23がパッキン24(
図9参照)を介して載置される。本体部101の上側の左右両端部近傍には、正面視長方形状の係止穴105,106が設けられている。係止穴105は右側、係止穴106は左側に位置する。係止穴105には、トップ固定板71の係止爪部76が係止する。係止穴106には、トップ固定板72の係止爪部86が係止する。
【0043】
図9〜
図12を参照し、器具本体2上部への天板3の取り付け方法について説明する。施工業者は、器具本体2に取り付ける前の天板3について、
図2に示すように、操作螺子45,48を何れも緩めて最後方位置に移動させておく。よって、
図3に示すように、一対のトップ固定板71,72は何れも最後方に位置する。施行業者は、この状態の天板3を両手で持ち上げ、器具本体2上部に対して位置合わせを行う。このとき、バーナ開口25に右バーナ5を挿入し、バーナ開口26に奥バーナ6を挿入し、バーナ開口27に左バーナ7を挿入する。各バーナ開口25〜26には、カバーリング31〜33が既に装着されているので、各バーナ5〜7がカバーリング31〜33と干渉しないように注意する。さらに、穴36にイグナイタ95を挿入し、溝37に熱伝対96を挿入する。このように、施工業者は、天板3側の各バーナ開口25〜27及びカバーリング31〜33と、器具本体2側の各バーナ5〜7との位置合わせを先にしてから、天板3を器具本体2上部に載置できる。
図2に示すように、天板3は表面側を上、裏面側を下にした状態である。そして、天板3は、アルミ枠23に設けられたパッキン24により、器具本体2上部の開口端よりやや浮いた状態となっている。
【0044】
次いで、施工業者は、器具本体2上部に正確に位置合わせして載置された天板3を左右片側ずつ順に器具本体2上部に固定していく。例えば天板2の右端側を器具本体2上部に対して手で押さえ付けながら、操作螺子45をガイド穴43に沿って前方にスライド移動させる。アルミ枠23に設けられたパッキン24が、器具本体2の開口端との間で潰れるので、天板2の右端側が左端側よりもやや沈む。操作螺子45に固定されたトップ固定板71は前方に移動する。
【0045】
ここで、
図10に示すように、トップ固定板71が移動する天板3の右側(
図9では左側)において、器具本体2の前面枠10に設けられた係止穴105に対して、トップ固定板71の係止爪部76はやや上方にずれた位置にある。そして、天板3は裏面側を下にしているので、トップ固定板71の係止爪部76は前方に対して斜め下方に傾斜している。それ故、係止爪部76の先端部は係止穴105の内側に向けられている。従って、トップ固定板71が前方に移動すると、係止爪部76の先端部は係止穴105の内側に挿入される。
【0046】
さらに、トップ固定板71が前方に移動すると、
図11に示すように、係止穴105の上縁部に対して、係止爪部76の傾斜する上面が接触する。この状態から係止爪部76がさらに前方に移動すると、係止爪部76の傾斜する上面が係止穴105の上縁部に対して摺動するので、係止爪部76は徐々に押し下げられる。これに伴い、トップ固定板71が押し下げられるので、
図12に示すように、そのトップ固定板71と一体的に構成された天板3も押し下げられ、結果的に器具本体2上部にパッキン24を介して密着した状態となる。そして、操作螺子45が最前方に移動した時には、係止穴105の上縁部が係止爪部76の傾斜する上面を乗り越えて平坦面に接触して止まる。これにより、係止爪部76が前面枠10に設けられた係止穴105に係止する。
【0047】
次いで、操作螺子45を締める。これにより、天板3に対してトップ固定板71の位置が固定される。この状態では、
図2に示す天板3の後部右側において、中板22に設けられた固定穴44と、トップ固定板71の固定部74(
図3参照)に設けた固定穴84と、器具本体2側に設けられた梁部材(図示略)の第一螺子穴(図示略)とが互いに同一位置に並んでいる。施工業者は、天板3の固定穴44から螺子66(
図9参照)を差し込み、トップ固定板71の固定穴84を介して、第一螺子穴に締結する。これにより天板3の右端側が器具本体2上部に対して固定される。
【0048】
次に、天板2の左端側を器具本体2上部に対して手で押さえ付けながら、操作螺子48をガイド穴46に沿って前方にスライド移動させる。アルミ枠23に設けられたパッキン24が、器具本体2の開口端との間で潰れるので、天板2の左端側が右端側と同じ高さ位置に沈む。操作螺子48に固定されたトップ固定板72は前方に移動する。そして、トップ固定板72においても、トップ固定板72と同じ工程を経ることによって、係止爪部86が前面枠10に設けられた係止穴106に係止する。
【0049】
次いで、操作螺子48を締める。これにより、天板3に対してトップ固定板72の位置が固定される。この状態では、
図2に示す天板3の後部左側において、中板22に設けられた固定穴47と、トップ固定板72の固定部に設けた固定穴87と、器具本体2側に設けられた梁部材(図示略)の第二螺子穴(図示略)とが互いに同一位置に並んでいる。施工業者は、天板3の固定穴47から螺子67(
図9参照)を差し込み、トップ固定板72の固定穴87を介して、第二螺子穴に締結する。これにより天板3の左端側が器具本体2上部に対して固定される。こうして、天板3の全体が器具本体2上部に対して確実に固定される。
【0050】
以上説明において、
図3に示すトップ固定板71,72が本発明の「スライド
部材」に相当する。係止爪部76,86が本発明の「係止爪」に相当する。操作螺子45,48が本発明の「操作部」及び「第一固定部」に相当する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態のコンロ1では、天板3に設けたバーナ開口25〜27から器具本体2側に設けた各バーナ5〜7が上方に突出している。バーナ開口25〜27にはパッキン38を介してカバーリング31〜33が取り付けられている。バーナ開口25〜27の各周囲とバーナ5〜7との各隙間はカバーリング31〜33で夫々埋められてシールされている。天板3の裏面における左右両側には、トップ固定板71,72が前後方向にスライド自在に設けられている。トップ固定板71,72は左右対称形状である。トップ固定板71は前端部に係止爪部76を備え、トップ固定板72は前端部に係止爪部86を備える。天板3の後端側に設けられた操作螺子45,48は夫々緩めた状態で、前後方向に長いガイド穴43,45に沿って前後方向にスライド可能である。操作螺子45,48は天板3の裏面側においてトップ固定板71,72に連結している。
【0052】
施工業者は、天板3を器具本体2上部に位置合わせを行い、天板3を器具本体2に対して押し付けた状態で、操作螺子45,48によってトップ固定板71,72をスライドさせる。これにより、トップ固定板71,72に設けられた係止爪部76,86が器具本体2側の係止穴105,106に係止するので、天板3が器具本体2に対して仮固定される。その状態で、操作螺子45,48を締めることによって、トップ固定板71,72の位置を天板3に対して固定する。さらに、施工業者は、天板3に設けられた固定穴44,47から螺子66,67を夫々差し込み、トップ固定板71の固定穴84及びトップ固定板72の固定穴87を介して、器具本体2側に設けられた第一螺子穴及び第二螺子穴に夫々締結する。これにより、天板3を器具本体2上部に対して固定できる。これにより、カバーリング31〜33を可動させる必要がないので、器具本体2に対して天板3を容易に取り付けることができる。また、カバーリング31〜33の位置は変わらないので、パッキン38の位置が移動しない。それ故、パッキン38と天板3との密着性を保持できるので、カバーリング31〜33によるシール性を確保できる。
【0053】
また本実施形態では特に、トップ固定板71,72は器具本体2の前後方向に移動する。それ故、天板3の後端側において操作螺子45,48を前方に操作することによって、トップ固定板71,72の前端部に支持された係止爪部76,86を、器具本体2の前面枠10に設けられた係止穴105,106に係止させることができる。さらに、操作螺子45,48、螺子66,67が差し込まれる固定穴44,47は天板3の後端側に位置する。それ故、操作螺子45,48、及び固定穴44,47に差し込まれる螺子66,67を何れも使用者から見えにくい場所に配置できる。これによりコンロ1の美観を保持できる。
【0054】
また本実施形態では特に、トップ固定板71,72は、天板3裏面の左右方向両端側に夫々設けられている。係止穴105,106は、器具本体2の前面枠10の左右両端側に夫々設けられている。これにより、天板3を器具本体2に固定する際に、天板3全体を一度に固定するのではなく、天板3の左端側又は右端側から順次、器具本体2に固定できる。施工業者は、例えば、天板3の右端側を器具本体2に対して押し付けながら右側のトップ固定板71を前方向に移動させることによって、天板3の右端側を器具本体2に固定し、その後で、天板3の左端側を右端側と同様に固定する。即ち、天板3を器具本体2に対して段階的に固定できるので、一人の施工業者でも天板3を器具本体2に対して容易かつ確実に固定できる。また、天板3を器具本体2の左右方向両端部において左右バランスよく且つ確実に固定できる。さらに、トップ固定板71,72は一対で構成するので、各部材をコンパクトに形成できる。
【0055】
また本実施形態では特に、係止爪部76,86の先端は、天板3を器具本体2上部に被せた状態では、器具本体2の前方に対して斜め下方に傾斜している。これにより、天板3を器具本体2上部に載せた状態で操作螺子45,48を前方に移動することによって、係止爪部76,86の先端が係止穴105,106に引っ掛かると共に、係止爪部76,86の各傾斜部分に係止穴105,106の上縁部が摺動する。それ故、係止爪部76,86は下方に沈むので、トップ固定板71,72を介して天板3が器具本体2に対して下方に押し付けられる。従って、天板3と器具本体2との間の密着性を高めることができる。
【0056】
また本実施形態では特に、操作螺子45,48は操作部を兼ねる平座金一体ねじであるので、部品点数を少なくでき、構造を簡単にできる。
【0057】
なお本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態のコンロ1はビルトインコンロであるが、テーブルコンロであってもよい。
【0058】
また上記実施形態は、複数のバーナ5〜7を備えるものであるが、バーナは1つでもよく、グリルは無くてもよい。
【0059】
また上記実施形態では、操作螺子45,48がトップ固定板71,72をスライド移動させる「操作部」と、天板3に対して位置を固定する「第一固定部」としての機能を兼ねているが、夫々を別部材で構成してもよい。
【0060】
また上記実施形態では、トップ固定板71において、差込部80を折返部79の前端部に設け、天板3の熱拡散板55の後方部57のリブ57Aに設けた差込穴57Cに差し込むことによって、トップ固定板71を保持させているが、折返部81の前端部にも差込部を設け、前方部56のリブ56Aに差込穴を設けて差し込むようにしてもよい。
【0061】
また上記実施形態では、トップ固定板71,72の係止爪部76,86を、器具本体2の前面枠10の係止穴105,106に係止させている。これに併せて、例えば器具本体2の左右の側面に被係止部を夫々設け、トップ固定板71,72の長手方向中央に係止部を夫々設け、トップ固定板71,72を前方にスライドさせることによって、被係止部に係止部を係止させるようにしてもよい。これにより、天板3が各バーナ5〜7の燃焼による熱膨張によって器具本体2上部から浮き上がるのを防止できる。
【0062】
また上記実施形態では、トップ固定板71,72をコンロ1の前後方向に移動させるものであるが、それ以外の方向(例えば左右方向)に移動させるものでもよい。