特許第5893531号(P5893531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5893531自動車用ドアウェザストリップの取付構造及び取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893531
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】自動車用ドアウェザストリップの取付構造及び取付方法
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/86 20160101AFI20160310BHJP
【FI】
   B60J5/00 501K
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-178648(P2012-178648)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-34385(P2014-34385A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土田 英志
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−5897(JP,A)
【文献】 特開2002−59746(JP,A)
【文献】 特開2007−230280(JP,A)
【文献】 特開2006−69494(JP,A)
【文献】 特開2010−143516(JP,A)
【文献】 特開2004−98804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアに取り付けられる自動車用ドアウェザストリップの取付構造であって、
上記ドアウェザストリップは、上記ドアにおける相隣り合うドア側のコーナ部にアウトサートパネルによって固定された型成形部を有し、
上記ドアにおける上記相隣り合うドア側の縁部に固定されたドアパーティングシールを備え、
上記ドアパーティングシールは、上記型成形部とは別体であり、上記アウトサートパネルと予め一体化されていることを特徴とする自動車用ドアウェザストリップの取付構造。
【請求項2】
請求項1記載の自動車用ドアウェザストリップの取付構造において、
上記アウトサートパネルは、剛性が上記型成形部の材質の剛性よりも高い材質にて形成されていることを特徴とする自動車用ドアウェザストリップの取付構造。
【請求項3】
ドアに取り付けられる自動車用ドアウェザストリップの取付方法であって、
アウトサートパネルとドアパーティングシールとを予め一体化した後に、
上記ドアパーティングシールと一体化したアウトサートパネルによって上記ドアウェザストリップの型成形部を上記ドアにおける相隣り合うドア側のコーナ部に固定し、
上記ドアパーティングシールを上記ドアにおける上記相隣り合うドア側の縁部に固定することを特徴とする自動車用ドアウェザストリップの取付方法。
【請求項4】
請求項3記載の自動車用ドアウェザストリップの取付方法であって、
上記アウトサートパネルは、剛性が上記型成形部の材質の剛性よりも高い材質にて形成されていることを特徴とする自動車用ドアウェザストリップの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに取り付けられる自動車用ドアウェザストリップの取付構造及び取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用ドアウェザストリップの取付構造の一例が特許文献1に記載されている。そのドアウェザストリップは、押出成形部と型成形部とを備えている。この型成形部にはヒレ部が一体に形成されている。このヒレ部は、アウトサートパネルによってドアのコーナ部に固定されている。
【0003】
特許文献2には、自動車用ドアパーティングシールの一例が記載されている。そのドアパーティングシールは、ウエルト部と中間ウェブとシールリップとを備えている。ウエルト部は、リヤドアの前縁部を把持するように、この前縁部に固定されている。中間部ウェブは、ウエルト部と一体となっていて、車体外側に向かって突出している。シールリップは、中間部と一体となっていて、車体前側に向かって突出している。上記構成のドアパーティングシールでは、フロントドア及びリヤドアが閉じられたとき、シールリップがフロントドアの後縁部の内面に押し当てられる。これにより、ドアパーティングシールによってフロントドアとリヤドアとの間のすき間が埋められる。
【0004】
特許文献3には、自動車用ドアウェザストリップの取付構造の一例が記載されている。そのドアウェザストリップは、リヤドアの周縁に取り付けられていて、中空シール部とアウタリップと見切りシール部とを備えている。アウタリップは、中空シール部の車外側に設けられている。見切りシール部は、リヤドアの前端に取り付けられた組付基部と、この組付基部の車外側に設けられたシール部とからなる。上記構成のドアウェザストリップ取付構造では、フロントドア及びリヤドアが閉じられたとき、見切りシール部のシール部がフロントドアの後端とリヤドアの前端との間の見切りを塞いでシールする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−143516号公報(図6
【特許文献2】特開2011−5897号公報(図7
【特許文献3】特開2006−69494号公報(図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献3のようなドアウェザストリップ取付構造に特許文献1のようなアウトサートパネルを適用した場合、図8に示すように、ドアウェザストリップの型成形部aを、2つの押出成形部b、及び、特許文献2のドアパーティングシール又は特許文献3の見切りシール部のようなドアパーティングシールcと一体に型成形することがある。これは部材点数の点で好ましい。
【0007】
ここに、ドアパーティングシールcはそれ自体、リヤドア前縁部の縁部連続方向における位置決め手段がない。また、ドアウェザストリップの型成形部aは、シール性の観点から、スポンジゴムのような、剛性が低い材質にて形成され、しかも、ドアパーティングシールcは断面積が小さくなっている。そのため、型成形部aとドアパーティングシールcとの連結部は剛性が低くなる。その結果、ドアパーティングシールcがリヤドアの前縁部を把持するように、この前縁部に固定されるとき、その低剛性の連結部が原因でドアパーティングシールcの位置決め精度が低くなる虞がある。さらに、ドアパーティングシールcがリヤドアの前縁部に固定されたとき、その位置がずれていると、そのずれに引き摺られて型成形部aのシールリップdが変形し、しかも、シールリップdが変形したまま、型成形部aがアウトサートパネルeによってドアに固定されると、その変形が回復し難い虞がある。これは見栄えの点で好ましくない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、ドアパーティングシールの位置決め精度を高くするとともに、ドアウェザストリップの見栄えを損なわないことにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明は、アウトサートパネルとドアパーティングシールとを予め一体化したことを特徴とする。
【0010】
具体的には、第1の発明は、ドアに取り付けられる自動車用ドアウェザストリップの取付構造を対象とし、上記ドアウェザストリップは、上記ドアにおける相隣り合うドア側のコーナ部にアウトサートパネルによって固定された型成形部を有し、上記ドアにおける上記相隣り合うドア側の縁部に固定されたドアパーティングシールを備え、上記ドアパーティングシールは、上記型成形部とは別体であり、上記アウトサートパネルと予め一体化されていることを特徴とするものである。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記アウトサートパネルは、剛性が上記型成形部の材質の剛性よりも高い材質にて形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
第3の発明は、ドアに取り付けられる自動車用ドアウェザストリップの取付方法を対象とし、アウトサートパネルとドアパーティングシールとを予め一体化した後に、上記ドアパーティングシールと一体化したアウトサートパネルによって上記ドアウェザストリップの型成形部を上記ドアにおける相隣り合うドア側のコーナ部に固定し、上記ドアパーティングシールを上記ドアにおける上記相隣り合うドア側の縁部に固定することを特徴とするものである。
【0013】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記アウトサートパネルは、剛性が上記型成形部の材質の剛性よりも高い材質にて形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、アウトサートパネルとドアパーティングシールとを予め一体化しているから、ドアパーティングシールと一体化したアウトサートパネルによってドアウェザストリップの型成形部がドアにおける相隣り合うドア側のコーナ部に固定された後に、ドアパーティングシールがドアにおける相隣り合うドア側の縁部に固定されるとき、アウトサートパネルのクリップのような、アウトサートパネルのドアへの取付手段がドアパーティングシールの位置決め手段となり、ドアパーティングシールの位置決め精度が高められる。また、型成形部とドアパーティングシールとを別体にしているから、たとえドアパーティングシールの位置がずれたとしても、型成形部とドアパーティングシールとが一体化した場合とは違って、そのずれの所為で型成形部のシールリップが変形してしまうことはなく、ドアウェザストリップの見栄えが損なわれない。
【0015】
第2の発明によれば、アウトサートパネルを、剛性が型成形部の材質の剛性よりも高い材質にて形成しているから、アウトサートパネルとドアパーティングシールとの連結部は剛性が高くなり、その高剛性の連結部によってドアパーティングシールの位置決め精度が確実に高められる。
【0016】
第3の発明によれば、上記第1の発明と同様の効果が得られる。
【0017】
第4の発明によれば、上記第2の発明と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るドアウェザストリップの取付構造を適用する自動車の一例を示す側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るドアウェザストリップの取付構造を車室側から見た側面図である。
図3】ドアウェザストリップを示す側面図である。
図4】ドアウェザストリップの第1押出成形部を示す斜視図である。
図5】ドアウェザストリップの第2押出成形部を示す斜視図である。
図6】一体化したアウトサートパネル及びドアパーティングシールを示す側面図である。
図7】フロントドア及びリヤドアを閉じた状態での図2のA−A線における断面図である。
図8】本発明の課題を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。なお、以下の説明における前後上下は、自動車の前後上下と一致する。
【0020】
図1に示す自動車において、1はフロントドア(「相隣り合うドア」に対応)、2はリヤドア(「ドア」に対応)である。フロントドア1は、車体3の開口(車室のフロント側乗降口)を開閉すべく車体にヒンジで支持されたドアである。リヤドア2は、車体3の開口(車室のリヤ側乗降口)4を開閉すべく車体にヒンジで支持されたドアである。このリヤドア2の周縁部に本実施形態に係る長尺状のドアウェザストリップ5が取り付けられている。
【0021】
すなわち、図2図5に示すように、ドアウェザストリップ5は、図1に示す丸囲みGにおいて、リヤドア2の上縁側の第1押出成形部6とリヤドア2の前縁側の第2押出成形部7と型成形部8とを備えている。押出成形部6,7は直線状に形成されている。型成形部8は押出成形部6,7同士を繋いでいる。型成形部8は、本体部21とヒレ部22とを備えている。この本体部21は車体前側に湾曲している。なお、図2に示すドアウェザストリップ5は、車体右側のリヤドア2に取り付けられたものである。また、図2等に示す三角印は、白塗り側が押出成形部、黒塗り側が型成形部であることを意味している。
【0022】
押出成形部6,7と型成形部8の本体部21とは、取付基部31と中空シール部32とを備えている。押出成形部6,7及び型成形部8の取付基部31は、ドアパネル11の車体内側の面に形成された断面略U字形のリテーナ(不図示)に装着されている。あるいは、押出成形部6,7及び型成形部8の取付基部31は、これに予め設けたクリップ34又は接着テープ(不図示)によってドアパネル11の車体内側の面に取り付けられている。押出成形部6,7及び型成形部8の中空シール部32は取付基部31と一体となっている。押出成形部6,7及び型成形部8の中空シール部32は互いに連続している。
【0023】
第1押出成形部6の中空シール部32は、取付基部31より車体内側に突出している。第1押出成形部6は、シールリップ33を備えている。このシールリップ33は、第1押出成形部6の取付基部31と一体となっていて、室外側、つまり、室外に臨むドアウェザストリップ5の外周側に突出している。
【0024】
上記型成形部8のヒレ部22は、本体部21の外周側と一体になっていて、ドアパネル11における車体前側のコーナ部の車体内側の面、つまり、ドアパネル11における相隣り合うフロントドア1側のコーナ部の車体内側の面を覆っている。ヒレ部22は、ドアパネル11のコーナ部の車体内側の面に、ヒレ部22及びドアパネル11とは別体のアウトサートパネル9によって固定されている。ヒレ部22の上縁部にはシールリップ23が一体に形成されている。このシールリップ23は、ヒレ部22より室外側(上側)に突出していて、第1押出成形部6のシールリップ33に連続している。
【0025】
図2及び図6に示すように、上記アウトサートパネル9は、型成形部8のヒレ部22をほぼ覆い隠す形状に形成されている。アウトサートパネル9の車体外側の面には係止片41とクリップ片42とが一体に突設されている。この係止片41は、断面L字形になっていて、ヒレ部22に形成された係止孔22aに係止されている。これにより、アウトサートパネル9は、型成形部8のヒレ部22の車体内側の面に取り付けられている。クリップ片42は、ヒレ部22に形成された貫通孔22bを貫通して、ドアパネル11のコーナ部に形成された嵌合孔(不図示)に嵌合されている。これにより、型成形部8のヒレ部22は、ドアパネル11にアウトサートパネル9によって固定されている。アウトサートパネル9の前縁部には突出部43が一体に形成されている。この突出部43は、アウトサートパネル9より車体前側に突出していて、扁平状に形成されている。
【0026】
アウトサートパネル9の突出部43の下端部には、長尺状のドアパーティングシール(ドアセンタシール)10が一体に形成されている。これにより、ドアパーティングシール10は、アウトサートパネル9と突出部43を介して一体化されている。一方、ドアパーティングシール10は、ドアウェザストリップ5の押出成形部6,7及び型成形部8とは別体である。また、ドアパーティングシール10は直線状に形成されている。
【0027】
図7に示すように、ドアパーティングシール10は、グリップ部51と中間部52とシールリップ53とを備えている。このグリップ部51は、室内側壁54と室外側壁55とを備えた略U字形に形成されており、内部に金属製又は樹脂製の芯材56が埋設されている。この芯材56によってドアパーティングシール10の剛性が高くなっている。グリップ部51の内側にはリップ57が設けられている。グリップ部51は、リヤドア2のアウタパネル2aの前縁部がインナパネル2bの前縁部を内包するように折り返されてなるヘミング部2cに装着されている。これにより、ドアパーティングシール10は、リヤドア2の前縁部、つまり、リヤドア2における相隣り合うフロントドア1側の縁部を把持するように、この縁部に固定されている。
【0028】
ドアパーティングシール10の中間部52は、グリップ部51の室外側壁55と一体となっていて、車体外側に向かって突出している。ドアパーティングシール10のシールリップ53は、中間部52と一体となっていて、車体前側に向かって突出し、且つ車体外側に湾曲して膨らんでいる。
【0029】
ドアウェザストリップ5の押出成形部6,7及び型成形部8は、スポンジゴムにて形成されている。アウトサートパネル9は、硬質樹脂にて形成され、その突出部43は、ゴム状弾性体の熱可塑性エラストマー(オレフィン系又はスチレン系熱可塑性エラストマー)にて形成されている。すなわち、アウトサートパネル9及び突出部43は、剛性がドアウェザストリップ5の材質の剛性よりも高い材質にて形成されている。ドアパーティングシール10は、ドアウェザストリップ5と同じ材質又はこれとは異なる材質にて形成され、例えば、突出部43と同じ材質にて形成されても良い。
【0030】
上記ドアウェザストリップ5を形成するスポンジゴムの材料としてはEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)を好ましく採用することができるが、IR(イソプレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、熱可塑性エラストマー(オレフィン系又はスチレン系熱可塑性エラストマー)、軟質のポリ塩化ビニル等など、他のゴム材料ないしはゴム状弾性を有する他の弾性材料を用いても良い。
【0031】
上記構成のドアウェザストリップ5及びドアパーティングシール10の取付方法では、ドアウェザストリップ5の押出成形部6,7を押出成形する。そして、図3に示すように、ドアウェザストリップ5の型成形部8を押出成形部6,7と一体に型成形する。これにより、ドアウェザストリップ5の押出成形部6,7及び型成形部8が予め一体化する。その後、一体化した押出成形部6,7及び型成形部8の取付基部31をドアパネル11のリテーナに装着する。これにより、ドアウェザストリップ5の押出成形部6,7及び型成形部8がドアパネル11の車体内側の面に取り付けられる。あるいは、一体化した押出成形部6,7及び型成形部8の取付基部31をクリップ34又は接着テープによってドアパネル11の車体内側の面に取り付ける。
【0032】
また、アウトサートパネル9を型成形するとともに、ドアパーティングシール10を押出成形する。そして、図6に示すように、突出部43をアウトサートパネル9及びドアパーティングシール10と一体に型成形する。これにより、アウトサートパネル9とドアパーティングシール10とが突出部43を介して予め一体化する。
【0033】
その後、図2に示すように、ドアパーティングシール10と一体化したアウトサートパネル9の係止片41を型成形部8のヒレ部22の係止孔22aに係止するとともに、アウトサートパネル9のクリップ片42をヒレ部22の貫通孔22bを貫通させて、ドアパネル11のコーナ部の嵌合孔に嵌合する。これにより、アウトサートパネル9によってドアウェザストリップ5の型成形部8がドアパネル11のコーナ部の車体内側の面に固定される。
【0034】
それから、ドアパーティングシール10のグリップ部51をリヤドア2の前縁部のヘミング部2cに装着する。これにより、ドアパーティングシール10がリヤドア2の前縁部を包むように、この前縁部に固定される。
【0035】
以上のようにして、ドアウェザストリップ5及びドアパーティングシール10がリヤドア2に組み付けられる。
【0036】
ここに、アウトサートパネル9とドアパーティングシール10とを予め一体化しているから、ドアパーティングシール10と一体化したアウトサートパネル9によってドアウェザストリップ5の型成形部8がリヤドア2におけるドアパネル11の車体前側のコーナ部に固定された後に、ドアパーティングシール10がリヤドア2の前縁部を把持するように、この前縁部に固定されるとき、アウトサートパネル9のクリップ片42がドアパーティングシール10の位置決め手段となる。つまり、ドアパーティングシール10をリヤドア2に組み付けるとき、ドアパーティングシール10と一体化したアウトサートパネル9をリヤドア2のドアパネル11にドアパーティングシール10よりも先に固定すると、ドアパーティングシール10がアウトサートパネル9のクリップ片42によって位置決めされる。そうすると、例えば、ドアパーティングシール10をアウトサートパネル9から下側に向かって一連に組み付けることが可能となる。
【0037】
しかも、アウトサートパネル9を、剛性が型成形部8の材質の剛性よりも高い硬質樹脂にて形成しているから、アウトサートパネル9とドアパーティングシール10との連結部は剛性が高くなる。さらに、突出部43を、剛性が型成形部8の材質の剛性よりも高い材質にて形成すると、アウトサートパネル9とドアパーティングシール10との連結部は剛性がより一層高くなる。
【0038】
よって、アウトサートパネル9のクリップ片42とその高剛性の連結部とによって、ドアパーティングシール10の位置決め精度が高められる。
【0039】
また、型成形部8とドアパーティングシール10とを別体にしているから、たとえドアパーティングシール10の位置がずれたとしても、型成形部とドアパーティングシールとが一体化した場合とは違って、そのずれの所為で、例えば、そのずれに引き摺られて型成形部8のシールリップ23が変形してしまうことはない。しかも、型成形部8のヒレ部22をドアパネル11のコーナ部の車体内側の面にアウトサートパネル9によって固定しているから、型成形部8のドアパネル11への固定力が確保される。
【0040】
よって、ドアウェザストリップ5の見栄えが損なわれない。
【0041】
上記構成のドアウェザストリップ5では、リヤドア2が閉じられたとき、中空シール部32及びシールリップ23,33が車体パネルに押し当てられる。
【0042】
また、上記構成のドアパーティングシール10では、図7に示すように、フロントドア1及びリヤドア2が閉じられたとき、シールリップ53がフロントドア1の後縁部の内面に押し当てられる。これにより、ドアパーティングシール10によってフロントドア1とリヤドア2との間のすき間が埋められる。
【0043】
なお、上記実施形態は、本発明に係るドアウェザストリップ5の取付構造をリヤドア2のシールに適用した例であるが、本発明の適用はこれに限るものではない。例えば、フロントドア1のシールにも本発明は適用することができる。
【0044】
また、上記実施形態では、ドアパーティングシール10をグリップ部51と中間部52とシールリップ53とで構成したが、ドアパーティングシール10がリヤドア2の前縁部を把持するように、この前縁部に固定されている限り、その構成はこれに限定されるものではない。
【0045】
さらに、上記実施形態では、突出部43をアウトサートパネル9及びドアパーティングシール10とは異なる材質にて形成したが、これに限るものではない。例えば、突出部43をアウトサートパネル9と同じ材質にて形成しても良い。その場合、アウトサートパネル9及び突出部43をドアパーティングシール10と一体に型成形する。
【0046】
また、上記実施形態では、アウトサートパネル9及びドアパーティングシール10を突出部43を介して一体化したが、これらを直接、一体化しても良い。その場合、アウトサートパネル9をドアパーティングシール10と一体に型成形しても良いし、アウトサートパネル9及びドアパーティングシール10を接着剤を用いて一体化しても良い。
【0047】
さらに、上記実施形態では、アウトサートパネル9及びドアパーティングシール10を予め一体化するのを型成形にて行ったが、これに限るものではない。例えば、アウトサートパネル9にドアパーティングシール10を嵌め込むことによって、これらを予め一体化しても良いし、突出部43及びドアパーティングシール10を接着剤を用いて接着することによって、アウトサートパネル9及びドアパーティングシール10を予め一体化しても良い。
【0048】
また、上記実施形態では、アウトサートパネル9に係止片41を突設したが、これを設けなくても良い。
【0049】
さらに、上記実施形態では、ドアウェザストリップ5の押出成形部6,7及び型成形部8を予め一体化するのを型成形にて行ったが、これに限るものではない。例えば、押出成形部6,7及び型成形部8の一方に他方を挿入することによって、これらを一体化しても良い。
【0050】
また、上記実施形態では、ドアウェザストリップ5の押出成形部6,7及び型成形部8を予め一体化したが、これらを予め一体化しなくても良い。その場合、押出成形部6,7及び型成形部8を別々にリヤドア2に取り付けることがある。
【0051】
さらに、上記実施形態では、ドアパーティングシール10のグリップ部51の内部に芯材56を埋設したが、これを埋設しなくても良い。なお、芯材を埋設したものの方が、上述のように、型成形部とドアパーティングシールとを一体化した場合、本発明の課題が発生し易い。
【0052】
また、上記実施形態では、ドアパーティングシール10のグリップ部51をリヤドア2のヘミング部2cに装着することによって、ドアパーティングシール10をリヤドア2の前縁部に固定したが、その固定手段はこれに限るものではない。例えば、ドアパーティングシール10にグリップ部51を設けず、その代わりにクリップやテープを用いてドアパーティングシール10をリヤドア2の前縁部に固定しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上説明したように、本発明に係る自動車用ドアウェザストリップの取付構造及び取付方法は、ドアパーティングシールの位置決め精度を高くするとともに、ドアウェザストリップの見栄えを損なわないことが必要な用途等に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 フロントドア(相隣り合うドア)
2 リヤドア(ドア)
5 ドアウェザストリップ
6 第1押出成形部
7 第2押出成形部
8 型成形部
9 アウトサートパネル
10 ドアパーティングシール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8