特許第5893535号(P5893535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5893535電動機予防保全装置、電動機予防保全方法および電動機予防保全システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893535
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】電動機予防保全装置、電動機予防保全方法および電動機予防保全システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   G05B23/02 V
   G05B23/02 302T
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-199555(P2012-199555)
(22)【出願日】2012年9月11日
(65)【公開番号】特開2014-56322(P2014-56322A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2014年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100103333
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 治
(74)【代理人】
【識別番号】100173451
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 彪
(72)【発明者】
【氏名】大久保 和浩
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−137386(JP,A)
【文献】 特開2011−065506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変速制御運転されて電動機を冷却する冷却ファンと、少なくとも前記電動機の負荷率を計測する電動機監視センサと、少なくとも前記冷却ファンの回転数を計測する附帯設備監視センサとを有する電動機附帯設備と通信可能な電動機予防保全装置であって、
前記電動機監視センサから得られる前記負荷率の計測値およびその計測時刻を含む電動機運転情報と、前記附帯設備監視センサから得られる前記冷却ファンの回転数の計測値およびその計測時刻を少なくとも含む冷却ファン運転情報とを前記電動機附帯設備から収集するIOデータ送受信部と、
前記IOデータ送受信部により収集された前記電動機運転情報および前記冷却ファン運転情報を含む収集データを格納するデータ格納部と、
前記電動機の所定の運転時における前記負荷率と、前記冷却ファンの回転数の計測値との相関関係を予めモデル化した評価モデルを記憶する評価モデル格納部と
記評価モデル格納部に記憶された前記評価モデルに基づいて予め定められた評価基準値からの乖離度で定められる閾値を設定し、前記閾値を基準に前記データ格納部に格納された前記収集データについての前記相関関係を判定する評価判定部と、
前記相関関係の判定結果を出力するデータ出力部と、
を備えることを特徴とする電動機予防保全装置。
【請求項2】
前記評価モデル格納部は、前記電動機の前記所定の運転時を運転条件ごとに区分して、当該区分した運転条件に応じてモデル化された前記評価モデルを格納する
ことを特徴とする請求項1に記載の電動機予防保全装置。
【請求項3】
前記電動機監視センサは、前記電動機の巻線電流を計測し、
前記負荷率は、前記電動機監視センサにより計測された前記電動機の前記巻線電流の計測値をinow、前記巻線電流の定格電流値をirateとした場合に、前記電動機の前記負荷率をLとすると、
L=(inow/irate)×100
であり、さらに、前記負荷率に基づいた二乗平均平方根をRMSとした場合に、前記RMSを演算する時間Tint、前記RMSを演算する時間Tint内のサンプリング時間t、前記計測時刻の順に対応する各サンプリングの順をj=1、2、…n(nは2以上の整数)、Lを各サンプリングで算出される負荷率により、前記RMSは、
【数2】
とされ、前記RMSの二乗であるRMSと前記冷却ファンの前記回転数とから求められる前記相関関係に基づいて、前記評価モデルが設定された
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動機予防保全装置。
【請求項4】
前記評価判定部は、前記収集データについて前記冷却ファンの前記回転数での前記RMSを求め、求めた前記RMSが前記閾値を超えた場合には前記判定結果を異常とし、前記閾値以下の場合には前記判定結果を正常として判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の電動機予防保全装置。
【請求項5】
可変速制御運転されて電動機を冷却する冷却ファンと少なくとも前記電動機の負荷率を計測する電動機監視センサと少なくとも前記冷却ファンの回転数を計測する附帯設備監視センサとを有する電動機附帯設備に通信可能に接続されたIOデータ送受信部と、前記電動機附帯設備から収集する収集データを格納するデータ格納部と、前記電動機附帯設備について評価モデルを記憶する評価モデル格納部と、前記評価モデルに基づいて前記電動機附帯設備の異常を前記収集データから判定する評価判定部と、判定結果を出力するデータ出力部とを有する電動機予防保全装置を用いた電動機予防保全方法であって、
前記IOデータ送受信部が、前記収集データとして前記電動機監視センサから得られる前記負荷率の計測値およびその計測時刻を含む電動機運転情報および前記附帯設備監視センサから得られる前記冷却ファンの回転数の計測値およびその計測時刻を少なくとも含む冷却ファン運転情報を収集するデータ収集ステップと、
前記データ格納部が、前記IOデータ送受信部により収集された前記収集データを格納するデータ格納ステップと、
前記評価判定部が、前記評価モデル格納部に記憶された前記評価モデルに基づいて予め定められた評価基準値からの乖離度で定められる閾値を設定する評価基準設定ステップと、
前記評価判定部が、前記評価モデルに基づいて前記電動機附帯設備の異常について、前記閾値を基準に前記データ格納部に格納された前記収集データについての相関関係を判定する評価判定ステップと、
前記データ出力部が、前記相関関係の判定結果を出力する判定結果出力ステップと、を含む
ことを特徴とする電動機予防保全方法。
【請求項6】
電動機と、前記電動機に附帯される電動機附帯設備と、前記電動機を予防保全するための電動機予防保全装置とを備える電動機予防保全システムであって、
前記電動機附帯設備は、
可変速制御運転されて前記電動機を冷却する冷却ファンと、
少なくとも前記電動機の負荷率を計測する電動機監視センサと、
少なくとも前記冷却ファンの回転数を計測する附帯設備監視センサとを有し、
前記電動機予防保全装置は、
前記電動機監視センサから得られる前記負荷率の計測値およびその計測時刻を含む電動機運転情報と、前記附帯設備監視センサから得られる前記冷却ファンの回転数の計測値およびその計測時刻を少なくとも含む冷却ファン運転情報とを前記電動機附帯設備から収集するIOデータ送受信部と、
前記IOデータ送受信部により収集された前記電動機運転情報および前記冷却ファン運転情報を含む収集データを格納するデータ格納部と、
前記電動機の所定の運転時における前記負荷率と、前記冷却ファンの回転数の計測値との相関関係を予めモデル化した評価モデルを記憶する評価モデル格納部と
記評価モデル格納部に記憶された前記評価モデルに基づいて予め定められた評価基準値からの乖離度で定められる閾値を設定し、前記閾値を基準に前記データ格納部に格納された前記収集データについての前記相関関係を判定する評価判定部と、
前記相関関係の判定結果を出力するデータ出力部とを有する
ことを特徴とする電動機予防保全システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に圧延プラント等で使用される電動機および電動機附帯設備を診断する電動機予防保全装置、電動機予防保全方法および電動機予防保全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所の圧延プラントを構成する機器の一つに電動機があり、特に主機駆動用大形電動機は圧延プラントにおける重要な電気設備である。この主機駆動用大形電動機は、一度故障が起きると、圧延が継続できず製造ラインが停止してしまうことがある。このように、電動機の故障が圧延プラント全体に影響してしまうため、圧延プラントの運転においては電動機に異常が生じていないか監視することにより、電動機の故障を未然に防止する予防保全が重要となっている。
【0003】
なお、交流電動機と、コンバータおよびインバータを備えて交流電動機を駆動する電動機駆動装置と、圧延装置を制御するプラント制御装置と、を有する圧延プラントの電動機予防保全装置において、交流電動機に取り付けられたセンサから得られる電動機情報と、電動機駆動装置から得られる電動機駆動情報と、プラント制御装置から得られるプラント制御情報と、を収集して保存するデータ収集保存部と、データ収集保存部に保存された情報に基いて交流電動機の性能を評価する評価部と、を有することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−65506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような電動機の予防保全において、電動機の故障はプラント全体に影響するため、電動機附帯設備の異常監視を行うことは電動機の異常を未然に防ぐために有効であるものの、電動機および電動機附帯設備の実際の運用状態に応じてより適切に診断できる電動機の予防保全装置が望まれている。
【0006】
しかしながら、上述したような電動機の予防保全装置は、以下に説明するような課題があった。
【0007】
図7に、主機駆動用電動機および電動機附帯設備の構造の一例を示す斜視図を示す。図7において、電動機20が主機駆動用電動機であり、電動機20内には固定子巻線21、固定子鉄心22、回転子23、界磁極と巻線24、軸受25を有している。
【0008】
電動機附帯設備は、例えば水冷熱交換器26および冷却ファン27で構成されるユニットクーラ28などを有している。
【0009】
例えば大容量で高荷重を受ける電動機20では、電動機20の軸受25には強制給油方式のすべり軸受が採用され、電動機20とは別に外部に設ける軸受給油装置(図示しない)から軸受25に潤滑油が供給される。
【0010】
また、電動機20を駆動することによる発生損失に依って熱せられた空気は、電動機20とは別に外部に設けられた水冷熱交換器26によって冷却される。水冷熱交換器26によって冷却された空気は、冷却ファン27により電動機20内を循環する。これにより、電動機20が冷却される。
【0011】
前述したような軸受給油装置や、ユニットクーラ28といった電動機20の電動機附帯設備が故障すると、電動機20の運転を継続できず電動機20本体を停止しなければならない。そのため、電動機20本体の故障や異常などの異常監視はいうまでもなく、電動機20の電動機附帯設備の異常監視も同様に重要となる。すなわち、電動機附帯設備の異常監視を行うことにより、電動機20の予防保全がなされる。
【0012】
通常、電動機20には固定子巻線21や、軸受25および電動機20内に取り付けられている温度センサがあり、電動機20により熱せられる空気を冷却するための外部冷却水用に温度センサ、水冷熱交換器26の外部に流量センサなどが取り付けられている。予防保全装置では、電動機20の予防保全として、これらのセンサから検出された計測値を予め設定した閾値に基づき個別に監視することにより、電動機20の異常監視を行うことが多い。
【0013】
一方、電動機20の予防保全として、ユニットクーラ28自体の異常監視を行うことは少ない。例えば、ユニットクーラ28を長期間使用すると、外部冷却水の汚れなどの影響を受け冷却水配管内側に汚れが付着し、電動機20の冷却性能が徐々に低下することがある。しかし、前述した温度センサ等を個別に監視するだけでは、ユニットクーラ28自体の汚れなどの異常監視は困難である。
【0014】
このため、電動機20の電動機附帯設備であるユニットクーラ28自体の異常監視を行うため、上述したように、正常運転時の電動機20の操作量と特定状態量との相関関係をモデル化し、運用状態におけるそれらの値(相関値等)とモデル化によって導出される値の不一致度を判定し、電動機附帯設備自体の劣化を診断する予防保全装置が提案されている。
【0015】
ところで、上述したような予防保全装置においては、例えば圧延主機駆動用大形電動機を冷却するための冷却ファン27が定速運転されているものが多い。しかし、近年では省エネの観点から、電動機20の運転条件に合わせて冷却ファンを可変速運転させることが多くなってきている。そのため、予防保全装置等においても、冷却ファンを可変速運転する電動機附帯設備を適切に診断できるものが望まれている。
【0016】
電動機20の発熱は、電動機20の運転条件によって変化する。一般的には、電動機20の発熱量に応じて、電動機20の巻線温度上昇値の変動を一定とするように冷却ファン27の回転速度を可変速制御することで冷却風量を調節している。
【0017】
上述したようなユニットクーラ28の異常監視を行う予防保全装置は、冷却ファン27を定速運転した場合のモデル化により、ユニットクーラ28の異常判定を行っている。このため、冷却ファン27が可変速運転される場合には、電動機20の巻線温度上昇値の変動が一定となるように冷却ファン27の回転速度が制御されるため、冷却ファン27の定速運転を前提とするモデル化の相関関係と実際の可変速運転状態での相関関係とに乖離が生じ、予防保全装置の診断が適切でない場合があるという課題があった。
【0018】
前述したように、電動機の故障はプラント全体に影響するため、電動機附帯設備の異常監視を行うことは電動機の異常を未然に防ぐために有効であるものの、電動機および電動機附帯設備の実際の運用状態に応じてより適切に診断できる電動機附帯設備の予防保全装置が望まれている。
【0019】
本発明が解決しようとする課題は、電動機および電動機附帯設備を監視することにより電動機を予防保全することができる電動機予防保全装置、電動機予防保全方法および電動機予防保全システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明に係る電動機予防保全装置は、可変速制御運転されて電動機を冷却する冷却ファンと、少なくとも前記電動機の負荷率を計測する電動機監視センサと、少なくとも前記冷却ファンの回転数を計測する附帯設備監視センサとを有する電動機附帯設備と通信可能な電動機予防保全装置であって、前記電動機監視センサから得られる前記負荷率の計測値およびその計測時刻を含む電動機運転情報と、前記附帯設備監視センサから得られる前記冷却ファンの回転数の計測値およびその計測時刻を少なくとも含む冷却ファン運転情報とを前記電動機附帯設備から収集するIOデータ送受信部と、前記IOデータ送受信部により収集された前記電動機運転情報および前記冷却ファン運転情報を含む収集データを格納するデータ格納部と、前記電動機の所定の運転時における前記負荷率と、前記冷却ファンの回転数の計測値との相関関係を予めモデル化した評価モデルを記憶する評価モデル格納部と、前記評価モデル格納部に記憶された前記評価モデルに基づいて予め定められた評価基準値からの乖離度で定められる閾値を設定し、前記閾値を基準に前記データ格納部に格納された前記収集データについての前記相関関係を判定する評価判定部と、前記相関関係の判定結果を出力するデータ出力部と、を備えることを特徴とする。
【0021】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る電動機予防保全方法は、可変速制御運転されて電動機を冷却する冷却ファンと少なくとも前記電動機の負荷率を計測する電動機監視センサと少なくとも前記冷却ファンの回転数を計測する附帯設備監視センサとを有する電動機附帯設備に通信可能に接続されたIOデータ送受信部と、前記電動機附帯設備から収集する収集データを格納するデータ格納部と、前記電動機附帯設備について評価モデルを記憶する評価モデル格納部と、前記評価モデルに基づいて前記電動機附帯設備の異常を前記収集データから判定する評価判定部と、判定結果を出力するデータ出力部とを有する電動機予防保全装置を用いた電動機予防保全方法であって、前記IOデータ送受信部が、前記収集データとして前記電動機監視センサから得られる前記負荷率の計測値およびその計測時刻を含む電動機運転情報および前記附帯設備監視センサから得られる前記冷却ファンの回転数の計測値およびその計測時刻を少なくとも含む冷却ファン運転情報を収集するデータ収集ステップと、前記データ格納部が、前記IOデータ送受信部により収集された前記収集データを格納するデータ格納ステップと、前記評価判定部が、前記評価モデル格納部に記憶された前記評価モデルに基づいて予め定められた評価基準値からの乖離度で定められる閾値を設定する評価基準設定ステップと、前記評価判定部が、前記評価モデルに基づいて前記電動機附帯設備の異常について、前記閾値を基準に前記データ格納部に格納された前記収集データについての相関関係を判定する評価判定ステップと、前記データ出力部が、前記相関関係の判定結果を出力する判定結果出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る電動機予防保全システムは、電動機と、前記電動機に附帯される電動機附帯設備と、前記電動機を予防保全するための電動機予防保全装置とを備える電動機予防保全システムであって、前記電動機附帯設備は、可変速制御運転されて前記電動機を冷却する冷却ファンと、少なくとも前記電動機の負荷率を計測する電動機監視センサと、少なくとも前記冷却ファンの回転数を計測する附帯設備監視センサとを有し、前記電動機予防保全装置は、前記電動機監視センサから得られる前記負荷率の計測値およびその計測時刻を含む電動機運転情報と、前記附帯設備監視センサから得られる前記冷却ファンの回転数の計測値およびその計測時刻を少なくとも含む冷却ファン運転情報とを前記電動機附帯設備から収集するIOデータ送受信部と、前記IOデータ送受信部により収集された前記電動機運転情報および前記冷却ファン運転情報を含む収集データを格納するデータ格納部と、前記電動機の所定の運転時における前記負荷率と、前記冷却ファンの回転数の計測値との相関関係を予めモデル化した評価モデルを記憶する評価モデル格納部と、前記評価モデル格納部に記憶された前記評価モデルに基づいて予め定められた評価基準値からの乖離度で定められる閾値を設定し、前記閾値を基準に前記データ格納部に格納された前記収集データについての前記相関関係を判定する評価判定部と、前記相関関係の判定結果を出力するデータ出力部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る電動機予防保全装置、電動機予防保全方法および電動機予防保全システムによれば、電動機および電動機附帯設備を監視することにより電動機を予防保全することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る電動機予防保全システムの実施形態の構成を示すブロック図。
図2】本発明に係る電動機予防保全装置の実施形態の構成を示すブロック図。
図3】電動機附帯設備に備えられた冷却ファンの回転数制御動作の一例を示す図。
図4図2の電動機予防保全装置が有する評価モデルの一例を示す図。
図5図2の電動機予防保全装置による評価判定方法の一例を示す図。
図6図2の電動機予防保全装置の評価判定処理フローを示すフロー図。
図7】電動機および電動機附帯設備の構造の一例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実施形態の電動機予防保全装置、電動機予防保全方法および電動機予防保全システムについて、図面を参照して具体的に説明する。ここで説明する下記の実施形態は、圧延プラントに用いられる交流電動機の一例をとりあげて説明する。
【0026】
図1は本発明に係る電動機予防保全システムの実施形態の構成を示すブロック図であり、図2は本発明に係る電動機予防保全装置の実施形態の構成を示すブロック図である。また、図3は電動機附帯設備に備えられた冷却ファンの回転数制御動作の一例を示す図である。また、図4は、図2の電動機予防保全装置が有する評価モデルの一例を示す図である。また、図5図2の電動機予防保全装置による評価判定方法の一例を示す図であり、図6図2の電動機予防保全装置の評価判定処理フローを示すフロー図である。
【0027】
図1に示すように、電動機予防保全システム50は、電動機1と、電動機1に附帯される電動機附帯設備40と、電動機1を予防保全するための電動機予防保全装置30を備えている。なお、以降の説明では、軸受2を電動機1に含めるものとするが、軸受2を電動機附帯設備40に含めるものとしてもよい。
【0028】
電動機附帯設備40は、水冷熱交換器3、冷却ファン4、水冷熱交換器3および冷却ファン4を有するユニットクーラ5、電動機駆動制御装置6、冷却ファン駆動制御装置7、リモート入出力盤(リモートIO盤)8、9および10、ネットワーク11、冷媒温度センサ13、巻線温度センサ14を備えている。なお、図2に示す電動機予防保全装置30の構成については後述する。
【0029】
電動機1は、たとえば大形の交流同期電動機であって、電動機駆動制御装置6によって駆動される。電動機1は、図示しない固定子の中で回転子が回転するものであって、回転子に固定された回転軸が軸受2で回転支持されている。電動機1は発熱するので、ユニットクーラ5が取り付けられて、これによって電動機1が冷却されるように構成されている。
【0030】
電動機駆動制御装置6は、交流を直流に変換するコンバータと、直流を交流に変換するインバータとを有し、交流電力の周波数を変化させて電動機1に供給し、電動機1を可変速で駆動するように制御する。
【0031】
電動機駆動制御装置6は、リモートIO盤8およびネットワーク11を介して、電動機予防保全装置30に通信可能に接続される。これにより、電動機駆動制御装置6は、電動機1についての電動機運転情報を電動機予防保全装置30に送信することができる。電動機運転情報は、計測された時刻ごとに、少なくとも電動機1の巻線に流れる実効電流値を含み、例えばこの他にも瞬時電流値、瞬時電圧値、駆動周波数などを含んでもよい。
【0032】
ユニットクーラ5は、水冷熱交換器3および冷却ファン4を有する。水冷熱交換器3は、電動機1の近辺に取り付けられ、水の循環により電動機1の運転時に発生する熱を吸収する。冷却ファン4は、ファンの回転による風により電動機1を冷却する。
【0033】
冷却ファン駆動制御装置7は、冷却ファン4を可変速駆動するためのインバータである。冷却ファン駆動制御装置7は、リモートIO盤9およびネットワーク11を介して、電動機予防保全装置30に通信可能に接続される。これにより、冷却ファン駆動制御装置7は、冷却ファン4についての冷却ファン運転情報を電動機予防保全装置30に送信することができる。冷却ファン運転情報は、計測された時刻ごとに、少なくとも冷却ファン4の回転数を含み、例えばこの他にも冷却ファン4を駆動する駆動電流、駆動周波数などを含でもよい。
【0034】
冷媒温度センサ13は、水冷熱交換器3内に取り付けられ、水冷熱交換器3内の水の温度を測定する。巻線温度センサ14は、電動機1の巻線(固定子巻線)付近に取り付けられ、巻線温度を測定する。
【0035】
電動機1、電動機駆動制御装置6、および冷却ファン駆動制御装置7は、各々、別の場所に設置され、それぞれリモートIO盤8、9を介してネットワーク11に通信可能に接続される。また、冷媒温度センサ13および巻線温度センサ14等を含む電動機附帯設備40に設けられたセンサは、リモートIO盤10を介してネットワーク11に通信可能に接続される。
【0036】
電動機1の電動機運転情報は、電動機駆動制御装置6へと入力される。また、電動機駆動制御装置6は、リモートIO盤8およびネットワーク11を介して、同じくネットワーク11に通信可能に接続されている電動機予防保全装置30に電動機運転情報などを送信する。これにより、電動機予防保全装置30は、電動機1の電動機運転情報を収集することができる。
【0037】
冷却ファン運転情報は、リモートIO盤9およびネットワーク11を介して、冷却ファン駆動制御装置7から電動機予防保全装置30に送信される。これにより、電動機予防保全装置30は、冷却ファン4の冷却ファン運転情報を収集することができる。
【0038】
電動機1および電動機附帯設備40には種々のセンサが取り付けられている。センサは、前述したように、例えば水冷熱交換器3内の冷媒の温度を計測する冷媒温度センサ13や、電動機1の巻線周辺の温度を計測する巻線温度センサ14などである。この他にも、ユニットクーラ5の吸気温度を測定する吸気温度計、ユニットクーラ5の排気温度を測定する排気温度計、軸受2の温度を測定する軸受温度計、軸受2の給油流量を測定する軸受給油流量計、回転軸のスラスト変位を測定するスラスト変位計、ユニットクーラ5の漏水を検出する冷却ユニットクーラ漏水検出装置、軸受2の振動(加速度、速度、位置)を測定する軸受振動測定装置などがさらに取り付けられてもよい。
【0039】
センサ情報は、リモートIO盤10およびネットワーク11を介し、各センサから電動機予防保全装置30に送信される。これにより、電動機予防保全装置30は、電動機1のセンサ情報を収集することができる。なお、センサ情報は、各センサによる計測された時刻と、冷媒温度センサ13および巻線温度センサ14等を含む電動機附帯設備40に設けられたセンサについての計測値とを含む。また、前述したセンサ等のセンサ情報も含めて、電動機予防保全装置30により、電動機1の運転条件が判断されてもよい。
【0040】
また、これらのセンサ情報は、ネットワーク11を介して、リモートIO盤10からリモートIO盤9に送信される。冷却ファン駆動制御装置7は、リモートIO盤9を介して受信したセンサ情報を用い、例えば巻線温度センサ14により検出された温度に対して巻線温度上昇値Δtmの変動を一定とするように、冷却ファン4の回転数Nを制御する。
【0041】
電動機駆動制御装置6、冷却ファン駆動制御装置7、冷媒温度センサ13および巻線温度センサ14などから取得される、電動機運転情報、冷却ファン運転情報およびセンサ情報は、ネットワーク11を介して、電動機予防保全装置30に逐次収集される。
【0042】
次に、電動機予防保全装置30の構成について説明する。
【0043】
電動機予防保全装置30は、データ格納部31と、評価判定部32と、IOデータ送受信部33と、データ出力部34と、評価モデル格納部35とを有する。
【0044】
IOデータ送受信部33は、リモートIO盤8、9および10、ネットワーク11を介して各種データを収集し、データ格納部31に保存(格納)する。また、必要に応じて、IOデータ送受信部33は、ネットワーク11を介して、リモートIO盤8、9および10にデータを送信する。例えば、データ送信要求や、通信応答などである。
【0045】
データ格納部31は、IOデータ送受信部33により複数のセンサから収集されたセンサ情報を、保存(格納)する。データ格納部31は、さらに、IOデータ送受信部33により電動機駆動制御装置6から収集された電動機運転情報、および、冷却ファン駆動制御装置7から収集された冷却ファン運転情報を保存する。データ格納部31は、収集した電動機運転情報、冷却ファン運転情報およびセンサ情報(以下、収集データとも記す)を、収集先を判別可能なように、格納する。
【0046】
評価モデル格納部35は、電動機の所定の運転時を運転条件ごとに区分して、当該区分した運転条件に応じてモデル化された評価モデル352を予め格納する。運転条件は、例えば年間を通じての季節(夏季、冬季など)、時間帯などによる周囲温度、湿度などの周囲環境条件など、また、前述したセンサ等のセンサ情報も含めて、評価判定部32により、電動機1の運転条件が判断されてもよい。
【0047】
評価判定部32は、データ格納部31に格納された収集データおよび評価モデル格納部35に格納された評価モデル352に基づいて、電動機1および電動機附帯設備40を判定する。
【0048】
データ出力部34は、評価判定部32で判定した結果を、表示装置、音声出力装置や印刷装置などの出力手段に出力する。なお、ネットワーク11を介して、判定した結果を出力してもよい。
【0049】
以上説明したように、電動機予防保全装置30は、電動機運転情報、冷却ファン運転情報およびセンサ情報を、ネットワーク11を介して、収集する。電動機予防保全装置30は、この収集データを用いて、以降で説明する評価判定処理により、電動機1および電動機附帯設備40の異常監視を行う。
【0050】
次に、電動機1および電動機附帯設備40から収集される収集データの相関関係について説明する。
【0051】
ここで、電動機1の巻線の発熱量をQとして、発熱量Qを(式1)によって示す。(式1)において、iは巻線に流れる電流(巻線電流)、Rは巻線抵抗、Twは時間であり、発熱量Qは巻線電流iの2乗と比例関係にある。
【0052】
Q=R×i×Tw ・・・(式1)
電動機1の損失には、鉄損、銅損、漂遊負荷損、機械損などが含まれる。その中でも銅損は損失の大半を占める。電動機の巻線温度上昇値Δtmは電動機1の損失にほぼ比例することから、銅損と巻線温度上昇値Δtmとは比例関係にある。つまり、(式2)のように巻線温度上昇値Δtmは電動機巻線に流れる電流iと比例関係となる。
【0053】
Δtm∝i ・・・(式2)
一方、電動機1の負荷率Lは、例えば電動機の巻線に流れる電流iにより求めることができる。負荷率Lを、(式3)に示す。(式3)では、inowは巻線電流の計測された電流値、irateは巻線電流の定格電流値を示し、負荷率Lを百分率表示で示している。なお、電動機1の負荷率Lを、消費電力等に基づいて求めてもよい。
【0054】
L=(inow/irate)×100[%] ・・・(式3)
負荷率Lの二乗平均平方根をRMS(Root Mean Square)とすると、二乗平均平方根RMSは(式4)のように示される。(式4)において、TintはRMSを演算する時間、j=1、2、…n(nは2以上の整数)は各サンプリング(例えば計測時刻の時間順)に対応するサンプリングポイントであり、tはRMSを演算する時間内のサンプリング時間(オフセット基準時間からの経過時間)、Lは各サンプリングで算出される負荷率である。
【数1】
【0055】
(式3)と(式4)により以下の(式5)が算出される。(式2)と(式5)より、巻線温度上昇値Δtmと電動機のRMSはある比例関係があることがわかる。
【0056】
RMS∝i ・・・(式5)
ところで、冷却ファン4を可変速運転する場合に、電動機巻線の巻線温度上昇値Δtmの変動を一定とするように、冷却ファン4の回転数Nを制御する。冷却ファン4の風量と冷却ファン4の回転数Nは比例関係にあるので、冷却ファン4の回転数Nを制御することにより電動機1の冷却に必要な風量を得ることができる。
【0057】
図3に、電動機附帯設備40に備えられた冷却ファン4の回転数制御動作の一例を示す。なお、図3において、横軸に時間を示し、縦軸に冷却ファン4の回転数Nを示している。
【0058】
電動機1の発熱量Qは(式1)の関係であるため、巻線温度上昇値Δtmを一定とするように冷却ファン4の風量を制御した場合には、冷却ファン4の回転数Nは(式6)に示されるような関係となる。
【0059】
N∝i ・・・(式6)
(式5)と(式6)より、次の(式7)の関係が得られる。この(式7)より、冷却ファン4の回転数Nは、電動機1のRMSと比例関係にあることがわかる。
【0060】
N∝RMS ・・・(式7)
前述したとおり、電動機1の巻線温度上昇値Δtm、並びに冷却ファン4の回転数Nも電動機1のRMSでの関数(相関関係)として示すことができるため、RMSと冷却ファン4の回転数N、巻線温度上昇値Δtmおよび冷媒温度上昇値Δtrとの関係を(式8)のような関数f(N,Δtm,Δtr)として示す。
【0061】
RMS=f(N,Δtm,Δtr) ・・・(式8)
冷却ファン4の回転数N、巻線温度上昇値Δtmおよび冷媒温度上昇値Δtrのパラメータのいずれかと、(式4)で示されるRMSとの相関関係を求める。すなわち、例えば冷却ファン4の回転数Nと(式4)で示されるRMSとの相関関係を求める。
【0062】
本実施形態の電動機予防保全装置30では、冷却ファン4の回転数Nに着目して、前述した相関関係を求めて、電動機1の異常を判定する。そのために、電動機予防保全装置30が、予め電動機1の正常運転時に前述の収集データを収集する。そして、その収集データから、冷却ファン4の回転数Nと(式4)で示されるRMSとの相関関係が予め求められ、後述する図4に示す評価モデル352aが予め作成される。なお、この場合には、時間帯や時期などの運転条件ごとに、評価モデル352aが作成されてもよい。
【0063】
例えば、評価判定部32は、このように予め収集した収集データについて、冷却ファン4の回転数Nと電動機1のRMSとの相関関係を求める。評価判定部32は、求めた相関関係からその相関データについて最小二乗法によって、近似値(評価基準値)を決定する。評価判定部32は、決定した評価基準値を、評価モデル格納部35に記憶する。そして、評価判定部32は、決定した評価基準値に基づいて、RMSと冷却ファン4の回転数Nとの評価モデル352aを作成する。
【0064】
図4に、評価モデル352aの一例を示す。図4には、横軸に冷却ファン4の回転数Nを、縦軸にRMSを示す相関関係のグラフに、評価モデル352aの基準となる評価基準ラインLxを示す。なお、評価基準ラインLxは、各評価基準値を結んだものである。
【0065】
また、図5に、ユニットクーラ5の評価判定方法の一例を示す。具体的には、図5は、図4に示す評価モデル352aの評価基準ラインLxに対して、異常判定ラインLy(破線)を設定した評価判定方法である。すなわち、図5に示す異常判定ラインLyは、ユニットクーラ5の異常を評価するための閾値である。なお、異常判定ラインLyは、評価基準ラインLxに基づいて、電動機予防保全装置30で予め設定される。
【0066】
評価判定部32は、実測データについて、評価モデル352aとの乖離度を判定する。評価基準の上限または下限の乖離度が定められて、判定される。例えば、図5に示す例では、前述したように、評価基準ラインLxから上限が閾値(異常判定ラインLy)として定められ、実測データが判定される。
【0067】
電動機1の運用時には、電動機予防保全装置30において、例えばある時間帯における電動機1の運転時に冷却ファン4が可変速の回転数Nで回転している際の電動機1のRMSを求めるための収集データが収集される。電動機予防保全装置30は、この収集データから、冷却ファン4の回転数Nおよび電動機1のRMS(前述した実測データ)を求め、以下に説明する評価判定処理を実行する。
【0068】
評価判定部32は、評価モデル格納部35から図4に示す評価モデル352aを抽出する。評価判定部32は、抽出した評価モデル352aに基づいて、例えば図5に示す評価モデル352bをプロットする。さらに、評価判定部32は、図5に示す評価モデル352bと共に、閾値となる異常判定ラインLyを設定する。
【0069】
評価判定部32は、判定のために収集された収集データについて実測データを求めて、評価モデル352bと照合する。具体的には、評価判定部32は、実測データ(白丸および黒丸のプロット)と評価モデル352bの評価基準ラインLxとの乖離度を判定する。すなわち、評価判定部32は、異常判定ラインLyを上回る場合に、実測データが異常(黒丸のプロット)であると判定する。これにより、評価判定部32は、ユニットクーラ5が異常であると判定する。
【0070】
一方、異常判定ラインLy以下である場合に、評価判定部32は、実測データが正常(白丸のプロット)であると判定する。これにより、評価判定部32は、ユニットクーラ5が正常であると判定する。
【0071】
以上説明したユニットクーラ5の異常判定は、冷却ファン4の回転数Nに対し、電動機1の正常運転時と比較して本来必要とする冷却ができずにRMSが上昇していることを検出するものである。すなわち、ユニットクーラ5の正常時の冷却性能を満たしていないと判断できる。このため、電動機予防保全装置30は、前述した評価判定処理により、冷却ファン4を可変速制御した場合においても、ユニットクーラ5の異常を監視することができる。
【0072】
以上説明したように、電動機附帯設備40が有する冷却ファン4が可変速制御される場合においても、ユニットクーラ5の冷却性能を適切に診断することができる。
【0073】
次に、図6に示す電動機予防保全装置30の評価判定処理フローについて説明する。
【0074】
例えば、評価判定処理フローは、電動機予防保全装置30のパワーオン後、表示装置に表示された所定のメインメニューの選択により、以下のステップS1の処理が開始される。
【0075】
はじめに、IOデータ送受信部33が、電動機運転情報および冷却ファン運転情報を収集する(ステップS1)。
【0076】
次に、データ格納部31が、IOデータ送受信部33により収集された収集データを格納する(ステップS2)。
【0077】
次に、評価判定部32が、データ格納部31に格納された収集データについて、評価モデル格納部35に記憶された評価モデル352に基づいて閾値を設定する(ステップS3)。
【0078】
次に、評価判定部32が、設定した閾値を基準に収集データについての相関関係を判定する(ステップS4)。
【0079】
次に、データ出力部34が、判定結果を出力する(ステップS5)。以上で、本処理フローを終了する。
【0080】
なお、図6に示す評価判定処理フローは、ステップS1から開始する例を示したが、例えばステップS1およびS2の処理と間隔をおいて、適宜、ステップS3から開始する処理を選択する処理が実行されてもよい。
【0081】
ここで、図2に示す電動機予防保全装置30の主な機器構成として、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、キーボード、マウス、モニタなどを備える構成であってもよい。また、この場合には、例えば評価判定処理などの処理を実行するプログラムが電動機予防保全装置30に備えられ、CPU、RAM等により当該プログラムに従って、図2に示した各々の処理部における処理を実行することになる。
【0082】
また、前述した構成の場合に、オペレータがキーボード、マウスなどから入力等を入力する構成であってもよい。また、電動機予防保全装置30がLAN(Local Area Network)等を介して、外部から入力データ等を入力する構成であってもよい。
【0083】
以上説明したように、本発明に係る電動機予防保全装置、電動機予防保全方法および電動機予防保全システムの実施形態によれば、電動機および電動機附帯設備を監視することにより電動機を予防保全することができる。
【0084】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形には、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。また、前述した実施形態の適用例として、製鉄所などにおける電動機を一例として示したが、その他の工場や、発電所などの電動機の場合にも適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0085】
1…電動機、2…軸受、3…水冷熱交換器、4…冷却ファン、5…ユニットクーラ、6…電動機駆動制御装置、7…冷却ファン駆動制御装置、8、9、10…リモート入出力(リモートIO)盤、11…ネットワーク、13…冷媒温度センサ、14…巻線温度センサ、20…電動機、21…固定子巻線、22…固定子鉄心、23…回転子、24…界磁極と巻線、25…軸受、26…水冷熱交換器、27…冷却ファン、28…ユニットクーラ、30…電動機予防保全装置、31…データ格納部、32…評価判定部、33…IOデータ送受信部、34…データ出力部、35…評価モデル格納部、40…電動機附帯設備、50…電動機予防保全システム、352、352a、352b…評価モデル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7