特許第5893595号(P5893595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5893595-スケジュール支援システム 図000002
  • 特許5893595-スケジュール支援システム 図000003
  • 特許5893595-スケジュール支援システム 図000004
  • 特許5893595-スケジュール支援システム 図000005
  • 特許5893595-スケジュール支援システム 図000006
  • 特許5893595-スケジュール支援システム 図000007
  • 特許5893595-スケジュール支援システム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893595
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】スケジュール支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20160310BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20160310BHJP
【FI】
   G06Q10/10 110
   G06Q50/06
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-186896(P2013-186896)
(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公開番号】特開2015-55882(P2015-55882A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】長岡 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 弘美
(72)【発明者】
【氏名】岡田 武
【審査官】 松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−330709(JP,A)
【文献】 特表2013−507675(JP,A)
【文献】 特開2012−174140(JP,A)
【文献】 特開2011−257947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気料金に係るシステムの改良や変更を行った場合にサブシステムを検証するためのテストスケジュールを自動的に生成する支援スケジュールシステムであって、
テストケースデータベースが内部に構築された記憶装置と、
この記憶装置から読み出した情報に基づいて処理を行う処理装置と、
この処理装置に対する指示や情報を入力する入力装置と、
この入力装置から入力された情報や前記処理装置で処理された内容を画面上に表示する出力装置と、を備え、
前記テストケースデータベースには、
過去に実施された前記サブシステムの検証に必要なジョブに関する情報が格納され、
前記処理装置は、
前記記憶装置と前記入力装置と前記出力装置の動作を制御する制御手段と、
この制御手段からの指令に基づいて前記記憶装置から所定の情報を抽出する検索手段と、
前記検索手段によって抽出された情報に基づいて前記テストスケジュールを生成するスケジュール生成手段と、からなり、
前記記憶装置の内部に営業作業日程データベースが構築され、
この営業作業日程データベースには、検針を行う日程に関連して予め設定された前記ジョブの処理日に関する情報が格納され、
前記スケジュール生成手段は、この処理日に関する情報に基づいて前記ジョブの処理を行う予定日を設定するとともに、前記日程に対応する一連のジョブ群を繰り返し複写するようにして前記テストスケジュールを生成することを特徴とするスケジュール支援システム。
【請求項2】
前記記憶装置の内部にジョブ情報データベースが構築され、
このジョブ情報データベースには、前記ジョブの前に処理すべき先行ジョブに関する情報が格納され、
前記スケジュール生成手段は、前記先行ジョブの処理順序を考慮しつつ前記テストスケジュールを生成することを特徴とする請求項1記載のスケジュール支援システム。
【請求項3】
前記テストケースデータベースには、前記ジョブの処理に必要な期間に関する情報が格納され、
前記スケジュール生成手段は、この処理に必要な期間に関する情報に基づいて前記ジョブの処理を行う予定日を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスケジュール支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムの改良や変更に伴って発生するサブシステムの検証スケジュールの作成に用いられるスケジュール支援システムに係り、特に、抜けのないテストスケジュールを容易に作成することが可能なスケジュール支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日々数千のジョブが本番で稼働している状況下においてシステムの開発や改良を行う場合、テストに必要なジョブを抽出し、テストスケジュールを作成する作業は、通常、人間系により、稼働や処理の時期、及び修正したプログラムが作成するファイルの流れやデータベースの状況を意識しながら行われる。
しかしながら、このような方法では、テストスケジュールの作成に多くの時間を要する。また、システムを熟知していないと、全てのパターンを組み込んだスケジュールを組み立てることができない。さらに、作業者の勘違い等によりスケジュールに抜けが発生することがある。そして、テストを実施しない状態で本番に臨み、障害が発生した場合には、その復旧に長時間を要し、被害が甚大化する可能性が高い。
【0003】
そこで、このような課題を解決するものとして、近年、サブシステムの検証テストのスケジュールを自動的に生成する技術が注目されている。例えば、特許文献1には、「プログラム検査スケジュール作成処理方法およびプログラム検査スケジュール作成処理プログラム」という名称で、プログラム開発先から受け入れたプログラムを構成する複数の単体プログラムの受入検査において、その検査スケジュールをコンピュータにより自動生成する方法及びそれに用いる処理プログラムに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明である「プログラム検査スケジュール作成処理方法」は、アプリケーションプログラムなどのプログラム開発中にプロジェクト管理のために取得された情報から、単体プログラムごとのテスト実行に関する情報を抽出し、テスト完了までの平均ラン回数を単体プログラムごとに求めた後、この単体プログラムを平均ラン回数の多い順に受け入れるとともにソーティングして受入検査スケジュールを作成することを特徴とする。
このような方法によれば、単体プログラムのバグを早期に発見できるため、受入期間が短縮化される。また、受入検査の経験の有無にかかわらず、均質な受入検査の実施が可能となる。
【0004】
また、特許文献2には、「工事計画システム」という名称で、複数の工事項目が平行して作業可能か否かを判断して処理する技術に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された発明は、表示手段上で指定手段により指定された工事対象に対応する画像をサーバから読み出して表示手段に表示するとともに、指定された複数の工事項目について平行して作業することが可能か否かを判断して表示手段に表示するように構成されたことを特徴としている。
このように構成されたシステムによれば、工事計画担当者の技能・知識レベルによる影響を受けることなく、また、工事対象が遠隔地にある場合であっても円滑な作業を可能にする工事計画を作成することができる。
【0005】
さらに、特許文献3には、「機器点検支援システム、方法およびプログラム」という名称で、機器の保守・点検作業に際して対象機器を正確に素早く取り扱ったり、不具合が発生した場合でも正しく対応したりするための技術に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明である「機器点検支援システム」は、通信ネットワークを介してサーバと複数の情報端末が相互通信可能に接続され、予め定めたキーを入力することでサーバが自動的に作業内容を収集して情報端末に内容を通知する構成となっている。
このような構成のシステムによれば、保守・点検に際して利用可能であり、かつ、不具合事例についての検索を統一された検索方法に基づいて容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4518366号公報
【特許文献2】特許第4592673号公報
【特許文献3】特開2007−148938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の従来技術である特許文献1〜特許文献3に開示された発明においては、システムの改良や変更を行った場合に複数のサブシステムの連携等をチェックする構成となっていないため、サブシステムのテストスケジュールに抜けが生じるおそれがあった。
【0008】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであって、システムの改良や変更を行った場合に、テストスケジュールを組むために必要なジョブに関する情報や連携をチェックすべきサブシステムに関する情報及びその検証順序に関する条件を考慮しつつ、抜けや無駄のないテストスケジュールを容易に作成することが可能なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明であるスケジュール支援システムは、電気料金に係るシステムの改良や変更を行った場合にサブシステムを検証するためのテストスケジュールを自動的に生成する支援スケジュールシステムであって、テストケースデータベースが内部に構築された記憶装置と、この記憶装置から読み出した情報に基づいて処理を行う処理装置と、この処理装置に対する指示や情報を入力する入力装置と、この入力装置から入力された情報や処理装置で処理された内容を画面上に表示する出力装置と、を備え、テストケースデータベースには、過去に実施されたサブシステムの検証に必要なジョブに関する情報が格納され、処理装置は、記憶装置と入力装置と出力装置の動作を制御する制御手段と、この制御手段からの指令に基づいて記憶装置から所定の情報を抽出する検索手段と、検索手段によって抽出された情報に基づいてテストスケジュールを生成するスケジュール生成手段と、からなり、記憶装置の内部に営業作業日程データベースが構築され、この営業作業日程データベースには、検針を行う日程に関連して予め設定されたジョブの処理日に関する情報が格納され、スケジュール生成手段は、この処理日に関する情報に基づいてジョブの処理を行う予定日を設定するとともに、日程に対応する一連のジョブ群を繰り返し複写するようにしてテストスケジュールを生成することを特徴とするものである。
【0010】
このような構成のスケジュール支援システムにおいては、過去に実施された類似のシステムの検証に係るテストスケジュールに含まれる一連のジョブ群に関する情報に基づいて、ベースとなるテストスケジュールがスケジュール作成手段によって生成されるという作用を有する。さらに、複数の検針日を想定したテストスケジュールが短時間に生成されるという作用を有する。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載のスケジュール支援システムにおいて、記憶装置の内部にジョブ情報データベースが構築され、このジョブ情報データベースには、ジョブの前に処理すべき先行ジョブに関する情報が格納され、スケジュール生成手段は、先行ジョブの処理順序を考慮しつつテストスケジュールを生成することを特徴とするものである。
このような構成のスケジュール支援システムにおいては、請求項1記載の発明の作用に加えて、処理が必要なジョブの見落としや、更新すべき情報が特定のジョブに対して反映されないなどの不具合の発生が阻止されるという作用を有する。
【0012】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のスケジュール支援システムにおいて、テストケースデータベースには、ジョブの処理に必要な期間に関する情報が格納され、スケジュール生成手段は、この処理に必要な期間に関する情報に基づいてジョブの処理を行う予定日を設定することを特徴とするものである。
このような構成のスケジュール支援システムにおいては、請求項1又は請求項2に記載の発明の作用に加えて、各ジョブについて、処理に必要な期間が考慮された適切な予定日が設定されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、検証すべきシステムを作業者が熟知していない場合でも、作業者の勘違い等によるジョブの見落とし等を防いで、抜けの無いテストスケジュールを容易に作成することができる。また、電気料金に係るシステムの検証は、信頼性を高めるために複数の検針日を想定して行われるが、本発明の請求項1に記載の発明によれば、当該検証に用いられるテストスケジュールを正確に効率良く作成することができるという効果を奏する。
【0015】
本発明の請求項2に記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果を奏することに加え、多くのサブシステムから構成される複雑なシステムを検証する場合でも、連携をチェックすべきサブシステムに関する情報及びその検証順序が反映されたテストスケジュールを容易に作成することができる。
【0016】
本発明の請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果を奏することに加え、ジョブの処理を行う予定日が適切に設定されるため、無駄の無いテストスケジュールを作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態に係るスケジュール支援システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係るスケジュール支援システムの操作手順を示したフローチャートである。
図3】処理装置の機能を説明するためのブロック図である。
図4】(a)乃至(f)は記憶装置内に構築されたデータベースに格納される情報について説明するための図である。
図5】(a)及び(b)はいずれもテストスケジュールの一例を示した図である。
図6】テストスケジュールの一例を示した図である。
図7】テストスケジュールの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のスケジュール支援システムの構成とその操作手順について、電気料金の改定に伴うシステムの検証に係るテストスケジュールを作成する場合を例にとって説明する。なお、テストスケジュールの作成にあたり、営業作業日程データベースに格納された情報を取り込む点を除けば、以下の説明は、電気料金に係るシステム以外のシステムについても同様に適用可能である。
【実施例】
【0020】
図1は本発明のスケジュール支援システムの構成を説明するための図である。
図1に示すように、本発明のスケジュール支援システムは、テストケースデータベース1a、検証項目データベース1b、帳票情報データベース1c、修正リソースデータベース1d、ジョブ情報データベース1e、営業作業日程データベース1fが内部に構築された記憶装置1と、記憶装置1からデータを読み出したり、記憶装置1にデータを書き込んだりしながら各種の処理を行う処理装置2と、キーボードやマウスあるいはスキャナー等からなり、処理装置2に対して指示や情報を与える入力装置3と、入力装置3から入力された情報や処理装置2で処理された内容の画面上への表示若しくは紙等への印刷を行う出力装置4を備えている。
また、処理装置2は、入力装置3から入力された指示に基づいて関連する情報を記憶装置1から抽出する検索手段2aと、記憶装置1から抽出された情報に基づいてテストスケジュールを生成するスケジュール生成手段2bと、記憶装置1、検索手段2a、スケジュール生成手段2b、入力装置3及び出力装置4の動作を制御する制御手段2cと、からなる。
【0021】
テストケースデータベース1aには、過去に実施されたサブシステムの検証において必要とされるジョブに関する情報が格納されており、検証項目データベース1bには、「検証すべき項目」と「検証に必要な期間」に関する情報が格納され、帳票情報データベース1cには、「帳票の名称」が「その帳票を作成するジョブを表す名称」と関連付けた状態で格納されている。また、修正リソースデータベース1dには、「修正の必要なリソースの名称」が格納され、ジョブ情報データベース1eには、所定のジョブの前に処理すべき「先行ジョブ」に関する情報が格納されている。そして、営業作業日程データベース1fには、検針を行う「日程」に関連して予め決められた「ジョブの処理日」に関する情報が格納されている。
【0022】
ここで、「日程」と「処理日」について説明する。
一般に、電力量計の検針は、基本的には対応する日が土日等である場合を除き、毎月同じ日(平日)に行われる。そして、検針をするための情報を作成する処理や料金計算の処理を行う対象は、通常、「日程」という単位でひとくくりにして表わされることが多い。例えば、毎月1日及び2日に検針をする場合、それに付随する処理等は、それぞれ「01日程」及び「02日程」に対するものとして扱われる。
例えば、「01日程」では、原則として、毎月1日が検針日となり、1日が土日等にあたる月については、次の最初の平日が検針日となる。
なお、本実施例では、検針情報の作成とダウンロードを基本的には検針日の2日前に行い、検針結果に基づく料金計算を検針日中に行うように予め設定されている(図4(f)参照)。すなわち、以下の説明において、「処理日」とは、検針に伴って発生するジョブに対して、必要な日数を考慮した上で設定された期限日を表している。
【0023】
次に、スケジュール支援システムの動作について、図3図7を適宜参照しながら図2を用いて説明する。
図2は本発明のスケジュール支援システムの動作手順を示したフローチャートであり、図3は処理装置2の機能を説明するためのブロック図である。また、図4(a)〜図4(f)はそれぞれ記憶装置内に構築されたテストケースデータベース1a、検証項目データベース1b、帳票情報データベース1c、修正リソースデータベース1d、ジョブ情報データベース1e及び営業作業日程データベース1fに格納される情報について説明するための図である。さらに、図5図7はテストスケジュールの一例を示した図である。
なお、図1に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0024】
図2に示すように、ステップS1では、「料金改定」に関する過去のテストスケジュールから類似するものを検索し、そのサブシステムの検証に必要なジョブに関する情報を取り込む。
具体的には、図3において、本システムの利用者が入力装置3を用いて処理装置2に対し、「料金改定」に関する語句を検索用キーワードとして入力すると(矢印A)、制御手段2cは、この検索用キーワードとともに検索開始の指令を検索手段2aに送る(矢印B)。この指令を受け取った検索手段2aは、記憶装置1を検索し、テストケースデータベース1aから「過去に作成された類似のテストスケジュールに含まれる一連のジョブ群」に関連する情報(図4(a)参照)を抽出し(矢印C)、制御手段2cへ送る(矢印D)。
制御手段2cは、この情報を、スケジュール作成開始の指令とともにスケジュール生成手段2bに送り(矢印E)、この指令を受け取ったスケジュール生成手段2bはベースとなるテストスケジュールを作成する(図5(a)参照)。
【0025】
すなわち、本発明のスケジュール支援システムにおいては、過去に実施された類似のシステムの検証に係るテストスケジュールに含まれる一連のジョブ群に関する情報に基づいて、ベースとなるテストスケジュールが生成される。したがって、検証すべきシステムを作業者が熟知していない場合でも、作業者の勘違い等によるジョブの見落とし等を防いで、抜けの無いテストスケジュールを容易に作成することができる。
【0026】
図4(a)に示すように、電気料金を改定した場合には、少なくとも、検針作業前に検針情報を作成する作業と、検針情報をハンディターミナルにダウンロードする作業と、そのハンディターミナルを使用して検針する作業と、検針作業後に検針結果をハンディーターミナルからアップロードする作業と、検針結果に基づいて料金を計算する作業が必要となる。
すなわち、図5(a)に示したテストケジュールは、電気料金を改定した場合に、最低限、実施すべきジョブの内容が記載されたものであり、検針情報や検針日等のパラメータを変更して行う様々なサブシステムの検証に関するテストスケジュールの最小単位となるものである。
【0027】
図5(a)のスケジュール中の「予定日」とは、各作業を実施する予定の日であり、「実施日」とは、それらの作業を実際に行った日である。なお、「実施日」は、本システムの使用者によって各ジョブの処理が実施された後に入力される。
また、電気料金は電気の使用者や使用量が同じでも、検針を行う時期により異なる。そこで、電気料金に係るシステムを検証する場合、その信頼性を高めるため、複数の検針日を想定したテストスケジュールを作成することが望ましい。その点、本発明のスケジュール支援システムでは、以下に説明するように、ベースとなるテストスケジュールに含まれる一連のジョブ群が、その検針日の回数分だけ繰り返し複写される構成となっているため、当該検証に用いるテストスケジュールを正確に効率良く作成することが可能である。
【0028】
本発明のスケジュール支援システムにおいては、ステップS2において、「最初の処理を行う予定日」、「検証月」及び「検証日程」を入力する。
具体的には、図3において、本システムの利用者が入力装置3を用いて、「最初の処理を行う予定日」として「2月1日」を入力し、「検証月」として「4月〜6月」を入力し、「検証日程」として「01日程」及び「26日程」を入力すると(矢印A)、制御手段2cは、これらの情報とステップS1で抽出された前述の情報をスケジュール作成開始の指令とともにスケジュール生成手段2bに送る(矢印E)。
この指令を受け取ったスケジュール生成手段2bは、「4月の01日程」、「4月の26日程」、「5月の01日程」、「5月の26日程」、「6月の01日程」、「6月の26日程」に対応するように、ベースとなるテストスケジュール(図5(a)参照)を5回分複写するとともに、所定のジョブに対する「必要期間」(図4(a)参照)を考慮して、「4月の01日程」における各ジョブについて予定日を設定し、テストスケジュールを作成する(図5(b)参照)。
【0029】
さらに、スケジュール生成手段2bは、制御手段2cを経由して検証項目データベース1b、帳票情報データベース1c、修正リソースデータベース1d、ジョブ情報データベース1e及び営業作業日程データベース1fから関連する情報を読み出す(矢印C〜矢印E)。
具体的には、検証項目データベース1bから読み出した情報(図4(b)参照)により、本テストスケジュールの検証項目は、帳票_A及び帳票_Bであり、それらの処理にそれぞれ2日を要することがわかり、帳票情報データベース1cから読み出した情報(図4(c)参照)により、帳票_A及び帳票_Bを作成するジョブがそれぞれJOB_F及びJOB_Eであることがわかる。
なお、帳票_Aには、顧客(電気使用者)の連絡先や契約内容に関する情報が記載されており、帳票Bには、料金の予定額と検針後に実際に請求する額を比較した結果に関する情報が記載されている。
【0030】
また、修正リソースデータベース1dから読み出した情報(図4(d)参照)により、料金計算と帳票_Aの作成に関するリソースを修正すべきことがわかる。さらに、ジョブ情報データベース1eから読み出した情報(図4(e)参照)により、帳票_Bの作成(JOB_E)の前に、帳票_Aの作成(JOB_F)を行い、さらにその前に、実績抽出(JOB_D)を行わなければならず、実績抽出(JOB_D)は料金計算(JOB_C)の後に行わなければならないことがわかる。
そして、営業作業日程データベース1fから読み出した情報(図4(f)参照)により、所定のジョブに対応する「日程」ごとの「処理日」がわかる。
【0031】
ステップS3では、上述の情報に基づいてテストスケジュールを作成する。
具体的には、まず、図5(b)に示したテストスケジュールに対し、スケジュール生成手段2bは、各検証月の各日程ごとに、「料金計算」の後に「実績抽出」、「帳票_A作成」、「帳票_B作成」、「帳票_A検証」及び「帳票_B検証」の行を加え、「作業項目」を「ジョブ名」とともに追記するとともに、それぞれ「予定日」を設定する。なお、「帳票_A検証」及び「帳票_B検証」については「必要期間」を2日とし、他は1日とする(図6参照)。
さらに、スケジュール生成手段2bは、各検証月の各日程ごとに、対応する「処理日」を追記する。
このようにして、スケジュール生成手段2bは、図7に示すような「テストスケジュール」を生成する。なお、入力装置3を用いて、「4月01日程」の各ジョブを実際に行った日を「実施日」の欄に入力すると、「帳票_B検証」の「実施日」の翌日が「4月26日程」の「検針情報作成」の「予定日」に設定される。以下、同様にして、各検証月の日程に対応する「実施日」を入力することにより、それ以降の日程の「予定日」が設定される。
【0032】
スケジュール生成手段2bは、このようにして生成した「テストスケジュール」を制御手段2cに送る(矢印F)。制御手段2cは、指令を出力装置4に送り(矢印G)、モニター画面に「テストスケジュール」を表示させるとともに、テストケースデータベース1aに格納する(矢印H)。
また、制御手段2cは、本システムの利用者から入力装置3を介して出力要求を受け付けると(矢印A)、出力装置4に指令を送り(矢印G)、この「テストスケジュール」を印刷させる。
【0033】
以上説明したように、本発明のスケジュール支援システムにおいては、スケジュール生成手段2bが、先行ジョブの処理順序を考慮しつつテストスケジュールを生成するため、処理が必要なジョブの見落としや、更新すべき情報が特定のジョブに対して反映されないなどの不具合の発生が阻止される。したがって、多くのサブシステムから構成される複雑なシステムを検証する場合でも、連携をチェックすべきサブシステムに関する情報及びその検証順序が反映されたテストスケジュールを容易に作成することができる。
また、本発明のスケジュール支援システムにおいては、各ジョブについて、処理に必要な期間が考慮された適切な予定日が設定されるため、無駄の無いテストスケジュールを作成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の請求項1乃至請求項に記載された発明は、システムの改良や変更に伴って発生するサブシステムの検証スケジュールを作成する場合に適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
1…記憶装置 1a…テストケースデータベース 1b…検証項目データベース 1c…帳票情報データベース 1d…修正リソースデータベース 1e…ジョブ情報データベース 1f…営業作業日程データベース 2…処理装置 2a…検索手段 2b…スケジュール生成手段 2c…制御手段 3…入力装置 4…出力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7