【実施例】
【0020】
図1は本発明のスケジュール支援システムの構成を説明するための図である。
図1に示すように、本発明のスケジュール支援システムは、テストケースデータベース1a、検証項目データベース1b、帳票情報データベース1c、修正リソースデータベース1d、ジョブ情報データベース1e、営業作業日程データベース1fが内部に構築された記憶装置1と、記憶装置1からデータを読み出したり、記憶装置1にデータを書き込んだりしながら各種の処理を行う処理装置2と、キーボードやマウスあるいはスキャナー等からなり、処理装置2に対して指示や情報を与える入力装置3と、入力装置3から入力された情報や処理装置2で処理された内容の画面上への表示若しくは紙等への印刷を行う出力装置4を備えている。
また、処理装置2は、入力装置3から入力された指示に基づいて関連する情報を記憶装置1から抽出する検索手段2aと、記憶装置1から抽出された情報に基づいてテストスケジュールを生成するスケジュール生成手段2bと、記憶装置1、検索手段2a、スケジュール生成手段2b、入力装置3及び出力装置4の動作を制御する制御手段2cと、からなる。
【0021】
テストケースデータベース1aには、過去に実施されたサブシステムの検証において必要とされるジョブに関する情報が格納されており、検証項目データベース1bには、「検証すべき項目」と「検証に必要な期間」に関する情報が格納され、帳票情報データベース1cには、「帳票の名称」が「その帳票を作成するジョブを表す名称」と関連付けた状態で格納されている。また、修正リソースデータベース1dには、「修正の必要なリソースの名称」が格納され、ジョブ情報データベース1eには、所定のジョブの前に処理すべき「先行ジョブ」に関する情報が格納されている。そして、営業作業日程データベース1fには、検針を行う「日程」に関連して予め決められた「ジョブの処理日」に関する情報が格納されている。
【0022】
ここで、「日程」と「処理日」について説明する。
一般に、電力量計の検針は、基本的には対応する日が土日等である場合を除き、毎月同じ日(平日)に行われる。そして、検針をするための情報を作成する処理や料金計算の処理を行う対象は、通常、「日程」という単位でひとくくりにして表わされることが多い。例えば、毎月1日及び2日に検針をする場合、それに付随する処理等は、それぞれ「01日程」及び「02日程」に対するものとして扱われる。
例えば、「01日程」では、原則として、毎月1日が検針日となり、1日が土日等にあたる月については、次の最初の平日が検針日となる。
なお、本実施例では、検針情報の作成とダウンロードを基本的には検針日の2日前に行い、検針結果に基づく料金計算を検針日中に行うように予め設定されている(
図4(f)参照)。すなわち、以下の説明において、「処理日」とは、検針に伴って発生するジョブに対して、必要な日数を考慮した上で設定された期限日を表している。
【0023】
次に、スケジュール支援システムの動作について、
図3〜
図7を適宜参照しながら
図2を用いて説明する。
図2は本発明のスケジュール支援システムの動作手順を示したフローチャートであり、
図3は処理装置2の機能を説明するためのブロック図である。また、
図4(a)〜
図4(f)はそれぞれ記憶装置内に構築されたテストケースデータベース1a、検証項目データベース1b、帳票情報データベース1c、修正リソースデータベース1d、ジョブ情報データベース1e及び営業作業日程データベース1fに格納される情報について説明するための図である。さらに、
図5〜
図7はテストスケジュールの一例を示した図である。
なお、
図1に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0024】
図2に示すように、ステップS1では、「料金改定」に関する過去のテストスケジュールから類似するものを検索し、そのサブシステムの検証に必要なジョブに関する情報を取り込む。
具体的には、
図3において、本システムの利用者が入力装置3を用いて処理装置2に対し、「料金改定」に関する語句を検索用キーワードとして入力すると(矢印A)、制御手段2cは、この検索用キーワードとともに検索開始の指令を検索手段2aに送る(矢印B)。この指令を受け取った検索手段2aは、記憶装置1を検索し、テストケースデータベース1aから「過去に作成された類似のテストスケジュールに含まれる一連のジョブ群」に関連する情報(
図4(a)参照)を抽出し(矢印C)、制御手段2cへ送る(矢印D)。
制御手段2cは、この情報を、スケジュール作成開始の指令とともにスケジュール生成手段2bに送り(矢印E)、この指令を受け取ったスケジュール生成手段2bはベースとなるテストスケジュールを作成する(
図5(a)参照)。
【0025】
すなわち、本発明のスケジュール支援システムにおいては、過去に実施された類似のシステムの検証に係るテストスケジュールに含まれる一連のジョブ群に関する情報に基づいて、ベースとなるテストスケジュールが生成される。したがって、検証すべきシステムを作業者が熟知していない場合でも、作業者の勘違い等によるジョブの見落とし等を防いで、抜けの無いテストスケジュールを容易に作成することができる。
【0026】
図4(a)に示すように、電気料金を改定した場合には、少なくとも、検針作業前に検針情報を作成する作業と、検針情報をハンディターミナルにダウンロードする作業と、そのハンディターミナルを使用して検針する作業と、検針作業後に検針結果をハンディーターミナルからアップロードする作業と、検針結果に基づいて料金を計算する作業が必要となる。
すなわち、
図5(a)に示したテストケジュールは、電気料金を改定した場合に、最低限、実施すべきジョブの内容が記載されたものであり、検針情報や検針日等のパラメータを変更して行う様々なサブシステムの検証に関するテストスケジュールの最小単位となるものである。
【0027】
図5(a)のスケジュール中の「予定日」とは、各作業を実施する予定の日であり、「実施日」とは、それらの作業を実際に行った日である。なお、「実施日」は、本システムの使用者によって各ジョブの処理が実施された後に入力される。
また、電気料金は電気の使用者や使用量が同じでも、検針を行う時期により異なる。そこで、電気料金に係るシステムを検証する場合、その信頼性を高めるため、複数の検針日を想定したテストスケジュールを作成することが望ましい。その点、本発明のスケジュール支援システムでは、以下に説明するように、ベースとなるテストスケジュールに含まれる一連のジョブ群が、その検針日の回数分だけ繰り返し複写される構成となっているため、当該検証に用いるテストスケジュールを正確に効率良く作成することが可能である。
【0028】
本発明のスケジュール支援システムにおいては、ステップS2において、「最初の処理を行う予定日」、「検証月」及び「検証日程」を入力する。
具体的には、
図3において、本システムの利用者が入力装置3を用いて、「最初の処理を行う予定日」として「2月1日」を入力し、「検証月」として「4月〜6月」を入力し、「検証日程」として「01日程」及び「26日程」を入力すると(矢印A)、制御手段2cは、これらの情報とステップS1で抽出された前述の情報をスケジュール作成開始の指令とともにスケジュール生成手段2bに送る(矢印E)。
この指令を受け取ったスケジュール生成手段2bは、「4月の01日程」、「4月の26日程」、「5月の01日程」、「5月の26日程」、「6月の01日程」、「6月の26日程」に対応するように、ベースとなるテストスケジュール(
図5(a)参照)を5回分複写するとともに、所定のジョブに対する「必要期間」(
図4(a)参照)を考慮して、「4月の01日程」における各ジョブについて予定日を設定し、テストスケジュールを作成する(
図5(b)参照)。
【0029】
さらに、スケジュール生成手段2bは、制御手段2cを経由して検証項目データベース1b、帳票情報データベース1c、修正リソースデータベース1d、ジョブ情報データベース1e及び営業作業日程データベース1fから関連する情報を読み出す(矢印C〜矢印E)。
具体的には、検証項目データベース1bから読み出した情報(
図4(b)参照)により、本テストスケジュールの検証項目は、帳票_A及び帳票_Bであり、それらの処理にそれぞれ2日を要することがわかり、帳票情報データベース1cから読み出した情報(
図4(c)参照)により、帳票_A及び帳票_Bを作成するジョブがそれぞれJOB_F及びJOB_Eであることがわかる。
なお、帳票_Aには、顧客(電気使用者)の連絡先や契約内容に関する情報が記載されており、帳票Bには、料金の予定額と検針後に実際に請求する額を比較した結果に関する情報が記載されている。
【0030】
また、修正リソースデータベース1dから読み出した情報(
図4(d)参照)により、料金計算と帳票_Aの作成に関するリソースを修正すべきことがわかる。さらに、ジョブ情報データベース1eから読み出した情報(
図4(e)参照)により、帳票_Bの作成(JOB_E)の前に、帳票_Aの作成(JOB_F)を行い、さらにその前に、実績抽出(JOB_D)を行わなければならず、実績抽出(JOB_D)は料金計算(JOB_C)の後に行わなければならないことがわかる。
そして、営業作業日程データベース1fから読み出した情報(
図4(f)参照)により、所定のジョブに対応する「日程」ごとの「処理日」がわかる。
【0031】
ステップS3では、上述の情報に基づいてテストスケジュールを作成する。
具体的には、まず、
図5(b)に示したテストスケジュールに対し、スケジュール生成手段2bは、各検証月の各日程ごとに、「料金計算」の後に「実績抽出」、「帳票_A作成」、「帳票_B作成」、「帳票_A検証」及び「帳票_B検証」の行を加え、「作業項目」を「ジョブ名」とともに追記するとともに、それぞれ「予定日」を設定する。なお、「帳票_A検証」及び「帳票_B検証」については「必要期間」を2日とし、他は1日とする(
図6参照)。
さらに、スケジュール生成手段2bは、各検証月の各日程ごとに、対応する「処理日」を追記する。
このようにして、スケジュール生成手段2bは、
図7に示すような「テストスケジュール」を生成する。なお、入力装置3を用いて、「4月01日程」の各ジョブを実際に行った日を「実施日」の欄に入力すると、「帳票_B検証」の「実施日」の翌日が「4月26日程」の「検針情報作成」の「予定日」に設定される。以下、同様にして、各検証月の日程に対応する「実施日」を入力することにより、それ以降の日程の「予定日」が設定される。
【0032】
スケジュール生成手段2bは、このようにして生成した「テストスケジュール」を制御手段2cに送る(矢印F)。制御手段2cは、指令を出力装置4に送り(矢印G)、モニター画面に「テストスケジュール」を表示させるとともに、テストケースデータベース1aに格納する(矢印H)。
また、制御手段2cは、本システムの利用者から入力装置3を介して出力要求を受け付けると(矢印A)、出力装置4に指令を送り(矢印G)、この「テストスケジュール」を印刷させる。
【0033】
以上説明したように、本発明のスケジュール支援システムにおいては、スケジュール生成手段2bが、先行ジョブの処理順序を考慮しつつテストスケジュールを生成するため、処理が必要なジョブの見落としや、更新すべき情報が特定のジョブに対して反映されないなどの不具合の発生が阻止される。したがって、多くのサブシステムから構成される複雑なシステムを検証する場合でも、連携をチェックすべきサブシステムに関する情報及びその検証順序が反映されたテストスケジュールを容易に作成することができる。
また、本発明のスケジュール支援システムにおいては、各ジョブについて、処理に必要な期間が考慮された適切な予定日が設定されるため、無駄の無いテストスケジュールを作成することができる。