【実施例】
【0086】
V. 合成実施例
実施例1:エキソ-N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン
2-ノルボルナノン(ノルカンファー)(16.0g、145mmol)および1,3-ジブロモプロパン(203mmol、20.7mL;41.1g)のジエチルエーテル(450mL)中の溶液に、ナトリウムアミド(363mmol、14.8g)を加え、混合物を還流しながら24時間撹拌した。混合物を200mLの氷水に注ぎ、有機層を分離した。水層を200mLのエーテルで抽出した。併せたエーテル抽出物を濃縮し、液体残渣を10〜20Torrの真空にて60〜100℃で蒸留し、14gの不純な生成物を得た。これを150mLのヘキサンに溶解させ、過マンガン酸カリウム(12.0g、75.9mmol)の水(150mL)溶液と共に5時間撹拌した。二相の混合物を、珪藻土床を通してろ過し、次にヘキサン(100mL)で洗浄した。ヘキサン層を分離し、水層を600mLのヘキサンを用いて抽出した。ヘキサン層を併せて、濃縮し、シリカゲルカラム上で精製し、10〜40%エーテル(ヘキサン中)を用いて溶出し、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-オン(スキーム1の化合物II)(6.1g、28%収率)を油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 2.55-2.49 (m, 2H), 2.18-2.08 (m, 2H), 2.00-1.58 (m, 7H), 1.49-1.36 (m, 3H); LCMS (m/z): 151 (M+1)。
【0087】
臭化(メチル)トリフェニルホスホニウム(49.9mmol、18.2g)の乾燥テトラヒドロフラン(THF)(100mL)中の懸濁液(-78℃)にn-ブチリチウム(46.5mmol、18.6mLの2.5M溶液(ヘキサン中))を加えた。混合物を-78℃にて30分間撹拌した。この混合物に、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-オン(5.00g、33.3mmol)を加えた。得られた混合物を周囲温度にて20時間撹拌した。ヘキサン(300mL)を加え、混合物をろ過した。ろ液を濃縮し、残渣を80gのシリカゲルカラムで精製し、ヘキサンを用いて溶出して、3-メチレンスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン](スキーム1の化合物III)(3.7g、75%)を油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 4.82 (s, 2H), 2.63 (brs, 1H), 2.22 (brs, 1H), 2.05-1.78 (m, 6H), 1.63-1.52 (m, 1H), 1.48-1.34 (m, 3H), 1.21-1.12 (m, 2H)。
【0088】
3-メチレンスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン](2.10g、14.2mmol)
およびチオシアン酸カリウム(14.2mmol、1.39g)の懸濁液に、硫酸(1.40g、14.3mmol)の水(0.52mL)溶液を50℃にて15分間かけてゆっくりと加えた。溶液を85℃にて5.5時間撹拌した。溶液を周囲温度まで冷却し、トルエン(20mL)で希釈し、水(20mL)および重炭酸ナトリウム飽和水溶液(10mL)で順番に洗浄した。トルエン層を回収し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過した。ろ液に水素化ビス(メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(28mmol、7.9mLの65〜70%溶液(トルエン中))を加え、得られた混合物を85℃にて2時間撹拌した。混合物を0℃に冷却し、3N水酸化ナトリウム水溶液(3mL)および5%次亜塩素酸ナトリウム(15mL)の混合物をゆっくりと間隔をあけて滴下添加した。トルエン層を分離し、水(30mL)で洗浄した。次に、トルエン層を1N塩酸水溶液(2×10mL)で抽出した。トルエン層を捨て、併せた塩酸抽出物を、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより塩基性にした(pH10まで)。塩基性の水性混合物を、エーテル(2×30mL)を用いて抽出した。エーテル抽出物を回収し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、0〜40%のCMA(クロロホルム:メタノール:30%アンモニア水、9:1:0.1)(クロロホルム中)を用いて溶出し、エキソ-N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン(0.38g、15%収率)(スキーム1の化合物IV)を油状物として得た。油状物を5mLのジクロロメタンに溶解させ、氷浴で冷却し、2mLの6M塩酸水溶液と併せた。混合物を濃縮し、真空乾燥させて、塩酸塩を得た。
1H NMR (D
2O, 400 MHz): δ 2.41 (s, 3H), 2.24-2.18 (m, 2H), 1.98-1.90 (m, 1H), 1.82-1.74 (m, 1H), 1.67-1.58 (m, 2H), 1.52-1.11 (m, 8H), 0.95 (s, 3H); LCMS (m/z): 180 (M+1)。
【0089】
エキソ形立体化学をNMRにより確認した。
【0090】
実施例2:エキソ-N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミンのキラルクロマトグラフィー分離
エキソ-N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン(2.0g)を20mLのアセトニトリルに溶解させ、10mL/分の流速で、0.2%ジエチルアミン(アセトニトリル/イソプロパノール(95:5)中)を用いて、キラルカラム(Chiral Pak AD-H、5ミクロン、250×20cm)への0.2mL注入により分離した。第1ピーク(初期溶出)および第2ピーク(後期溶出)を含有する画分を、別々に濃縮した。2種類の残渣を10mLのジクロロメタンに個別に溶解させ、2mLの6N塩酸水溶液を用いて処理し、濃縮乾固させた。これらの塩酸塩生成物は、それぞれ0.74g(第1ピーク)および0.48g(第2ピーク)の重量であった。
【0091】
実施例3:N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロペンタン]-3-アミン
2-ノルボルノナン(25.0g、227mmol)および1,4-ジブロモブタン(68.0g、317mmol)の溶液(ジエチルエーテル(700mL)中)に、ナトリウムアミド(23.1g、567mmol)を加えた。この混合物を24時間加熱還流し、冷却し、200mLの氷水に注いだ。有機層を回収し、水層を、200mLのジエチルエーテルを用いて抽出した。併せたジエチルエーテル抽出物を濃縮し、残渣を7〜15Torrにて65〜80℃で蒸留し、19gの不純な生成物を得た。これをヘキサン(500mL)に溶解させ、過マンガン酸カリウム水溶液(30g、0.19g、500mL中)と共に5時間撹拌した。混合物をろ過し、ヘキサン層を回収した。水層を、600mLのヘキサンを用いて抽出した。併せたヘキサン層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラム上で精製し、5〜15%酢酸エチル(ヘキサン中)を用いて溶出して、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロペンタン]-3-オン(12.6g、33.8%)を油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 2.56 (d, J = 5.1 Hz, 1 H), 2.24 (bs, 1 H), 1.44-1.88 (m, 14 H); LCMS (m/z): 165 (M+1)。
【0092】
臭化(メチル)トリフェニルホスホニウム(17.6g、48.4mmol)の懸濁液(THF(100mL)中)(-78℃)に、n-ブチリチウム(18.1mLの2.5M溶液(THF中)、45mmol)を加え、混合物を30分間撹拌した。この混合物に、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロペンタン]-3-オン(5.30g、32.3mmol)を加え、反応液を周囲温度で18時間撹拌した。ヘキサン(200mL)を加え、混合物をろ過した。ろ液を濃縮し、残渣を80gのシリカゲルカラム上で精製し、ヘキサンを用いて溶出して、3-メチレンスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロペンタン](4.80g、91.7%)を油状物として得た。
【0093】
硫酸(1.61mL、2.96g、30.2mmol)を3-メチレンスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロペンタン](4.80g、29.6mmol)およびチオシアン酸カリウム(2.96g、30.2mmol)の懸濁液に50℃にてゆっくりと加えた。次に、反応混合物を85℃にて5.5時間撹拌し、周囲温度まで冷却し、トルエン(30mL)で希釈して、水(20mL)、続いて重炭酸ナトリウム飽和水溶液(10mL)で洗浄した。トルエン層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過した。ろ液に水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(トルエン中40%溶液、2当量)を加え、反応液を85℃にて2時間撹拌した。反応液を0℃まで冷却し、3N水酸化ナトリウム水溶液(20mL)(5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(35mL)中)をゆっくりと加えた(間隔をあけて滴下)。トルエン層を分離し、水(30mL)で洗浄した。次に、トルエン層を、1N塩酸水溶液(2×10mL)を用いて抽出し、廃棄した。10%水酸化ナトリウム水溶液の添加により、塩酸水溶液層を塩基性にし(pH10まで)、ジエチルエーテルを用いて抽出した。ジエチルエーテル抽出物を濃縮し、残渣を、0〜40%のCMA(クロロホルム:メタノール:30%アンモニア水、9:1:0.1)(クロロホルム中)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロペンタン]-3-アミン(1.2g、53%)を油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 2.28 (s, 3H), 2.24 (bs, 1H), 1.84-1.76 (m, 2H), 1.73-1.68 (m, 1H), 1.62-1.52 (m, 4H), 1.48-1.24 (m, 7H), 1.09-1.05 (m, 1H), 1.04 (s, 3H); LCMS (m/z): 194 (M+1)。
【0094】
実施例4:N-置換スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミンの一般的製造方法
一部のN-置換スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミンは、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-オンの還元的アミノ化により調製することができる。メチルアミンを用い、N-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミントリフルオロ酢酸塩を生じる以下の手順は、例示的なものである。ジメチルアミン、アゼチジン、およびピロリジンを用いる還元的アミノ化を、同様に行なった。
【0095】
スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-オン(0.15g、1.0mmol)およびメチレンアミン(4.0mLの2.0M溶液(THF中)、8.0mmol)の1,2-ジクロロエタン(10mL)中の溶液に、酢酸(0.2mL)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.85g、4.0mmol)を加えた。反応液を周囲温度で48時間撹拌し、ジクロロメタン(10mL)で希釈し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(10mL)で洗浄し、濃縮した。残渣を分取HPLCで精製し、0.05%ギ酸(水中)および0.05%ギ酸(アセトニトリル中)の混合物を用いて溶出した。選択した画分を濃縮し、残渣をメタノール(2mL)に溶解させた。トリフルオロ酢酸(0.1mL)を加え、混合物を濃縮し、真空乾燥させて、N-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミントリフルオロ酢酸塩(0.088g)をガム状物として得た。
1H NMR (CD
3OD, 400 MHz): δ 3.06-3.02 (m, 1H), 2.568 (s, 3H), 2.54 (brs, 1H), 2.34 (brs, 1H), 2.02-1.83 (m, 6H), 1.56-1.42 (m, 5H), 1.26-1.32 (m, 1H); LCMS (m/z): 166 (M+1)。
【0096】
実施例5:(1S,3R,4R)-N,4,7,7-テトラメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン塩酸塩および (1S,3S,4R)-N,4,7,7-テトラメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン塩酸塩
D-カンファーを出発物質として用いる以下の化学反応を、L-カンファーを出発物質として用いて繰り返し、本明細書中に記載したものに対するエナンチオマーである生成物を得た。
【0097】
D-(+)-カンファー(4.40g、28.9mmol)とナトリウムアミド(2.50g、61.5mmol)との混合物(トルエン(100mL)中)を、100℃にて30分間撹拌した。1,3-ジブロモプロパン(31.8mmol、3.24mL、6.42g)のトルエン(20mL)中の溶液を加え、反応液を3時間加熱還流した。反応液を周囲温度まで冷却し、水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣を5%メタノール(ジクロロメタン(80mL)中)に溶解させ、-78℃まで冷却した。青色が持続するまで、溶液にオゾンを通した(約10分間)。次に、硫化ジメチル(2mL)を加え、反応液を周囲温度までゆっくり温めた。反応混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルカラム(40g)上で精製し、0〜20%エーテル(ヘキサン中)を用いて溶出し、(1S,4R)-4,7,7-トリメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-オン(1.66g、29.9%収率)を油状物として得た。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 2.26 (m, 1H), 2.10-1.97 (m, 5H), 1.85-1.1.66 (m, 2H), 1.62-1.53 (m, 1H), 1.47-1.40 (m, 1H), 1.28-1.19 (m, 1H), 0.94 (s, 3H), 0.88 (s, 3H), 0.75 (s, 3H); LCMS (m/z): 193 (M+1)。
【0098】
(1S,4R)-4,7,7-トリメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-オン(1.60g、8.32mmol)およびホルムアミド(10mL)の混合物(ギ酸(7mL)中)を、175℃にて72時間撹拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、200mLの氷水に注ぎ、エーテル(2×50mL)を用いて抽出した。併せたエーテル抽出物を水(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して、N-(4,7,7-トリメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-イル)ホルムアミド(1.55g、84.2%収率)をガム状物として得た。
【0099】
N-(4,7,7-トリメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-イル)ホルムアミド(1.50g、6.78mmol)の溶液(THF(40mL)中)(0℃)に、水素化アルミニウムリチウム(27.1mmol、27.1gの1.0M溶液(THF中))をゆっくりと加えた。完全に添加した後、反応液を48時間還流した。反応混合物を0℃まで冷却し、固体の硫酸ナトリウム十水和物(10g)を少量ずつ添加することによりクエンチした。1時間撹拌した後、この混合物をろ過し、ろ液を濃縮した。残渣を40gのシリカゲルカラム上で精製し、0〜100%のCMA(クロロホルム:メタノール:30%アンモニア水、9:1:0.1)(クロロホルム中)を溶出液として用いて、エキソアミン生成物である(1S,3R,4R)-N,4,7,7-テトラメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン(0.49g;35%収率)、およびエンドアミン生成物である(1S,3S,4R)-N,4,7,7-テトラメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン(0.30g;21%収率)を、両方とも油状物として得た。2種類の生成物を、1mLの濃塩酸にそれぞれ溶解させ、サンプルを濃縮して真空乾燥させることにより、塩酸塩に変換した。エキソ-(1S,3R,4R)-N,4,7,7-テトラメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン塩酸塩の
1H NMR (D
2O, 400 MHz): δ 2.80 (s, 3H), 2.72 (brs, 1H), 2.22-1.91 (m, 4H), 1.84-1.72 (m, 3H), 1.54-1.45 (m, 2H), 1.38-1.31 (m, 1H), 1.10-1.01 (m, 1H), 0.87 (s, 3H), 0.75 (s, 3H), 0.72 (s, 3H); LCMS (m/z): 208 (M+1)。エンド-(1S,3S,4R)-N,4,7,7-テトラメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン塩酸塩の
1H NMR (D
2O, 400 MHz): δ 3.12 (brs, 1H), 2.79 (s, 3H), 2.26-2.16 (m, 1H), 2.01-1.85 (m, 3H), 1.78-1.69 (m, 3H), 1.60-1.51 (m, 1H), 1.36-1.24 (m, 2H), 1.08-1.00 (m, 1H), 0.85 (s, 3H), 0.78 (s, 3H), 0.75 (s, 3H); LCMS (m/z): 208 (M+1)。
【0100】
実施例6:第2級アミンをN-メチル第3級アミンに変換するための一般的手順
一部のN-メチル第3級アミンは、対応する第2級アミンの還元的アミノ化により調製することができる。ホルムアルデヒドを用い、エキソ-(1S,3R,4R)-N,N,4,7,7-ペンタメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン塩酸塩を生じる以下の手順は、例示的なものである。類似のN-メチル化反応を、様々な第2級アミンについて行なった。
【0101】
(1S,3R,4R)-N,4,7,7-テトラメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン(0.10g、0.48mmol)および30%ホルムアルデヒド水溶液(1mL)の溶液(メタノール(4mL)中)にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.31g、1.4mmol)を加え、反応液を周囲温度にて16時間撹拌した。重炭酸ナトリウム飽和水溶液(30mL)を用いて反応液をクエンチし、ジクロロメタン(2×30mL)を用いて抽出した。併せた有機抽出物にギ酸(0.2mL)を加え、ロータリーエバポレーターで濃縮した。0.05%ギ酸(水中)および0.05%ギ酸(アセトニトリル中)の混合物を用いて、分取LCMSにより残渣を精製した。選択した画分を併せて、10%水酸化ナトリウム水溶液の添加により塩基性(pH9)にし、ジクロロメタン(2×30mL)を用いて抽出した。併せた有機抽出物を、0.5mLの濃塩酸を用いて処理した。この混合物を濃縮し、真空乾燥させて、(1S,3R,4R)-N,N,4,7,7-ペンタメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミン塩酸塩(0.06g)を白色固体として得た。
1H NMR (D
2O, 400 MHz): δ 3.27 (s, 3H), 3.19 (s, 3H), 3.10 (s, 1H), 2.55-2.28 (m, 4H), 2.18-1.97 (m, 3H), 1.80-1.60 (m, 3H), 1.45-1.36 (m, 1H), 1.28 (s, 3H), 1.02 (s, 3H), 1.01 (s, 3H); LCMS (m/z): 222 (M+1)。
【0102】
実施例7:N-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロプロパン]-3-アミントリフルオロ酢酸塩
純3-メチレン-2-ノルボルナノン(8.9g、73mmol)と、続いて純ジヨードメタン(8.30mL、103mmol)を、ジエチルエーテル(75mL)中の亜鉛・銅カップル(9.1g、57mmol)のスラリーに加えた。得られた混合物を、6時間加熱還流した。2回目の亜鉛・銅カップル(10g)を加え、さらに16時間還流を続けた。続いて、水(200mL)を用いて反応液をクエンチし、ジエチルエーテル(200mL)で希釈した。二相混合物を、珪藻土パッドを通してろ過した。有機層を分離し、10%塩酸水溶液(2×50mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムに通し、ジクロロメタンを用いて溶出した。選択した画分を濃縮し、3Torrにてバルブトゥーバルブ蒸留装置(bulb-to-bulb distillation apparatus)で残渣を真空蒸留し、スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロプロパン]-3-オン(1.6g)を油状物として回収した。
1H NMR (CDCl
3, 400 MHz): δ 2.71-2.69 (m, 1H), 2.06 (brs, 1H), 2.00-1.72 (m, 3H), 1.66-1.57 (m, 3H), 1.09-1.00 (m, 2H), 0.91-0.89 (m, 1H), 0.80-0.75 (m, 1H)。
【0103】
スピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロプロパン]-3-オン(0.13g、0.96mmol)およびメチルアミン(4.0mLの2.0M溶液(THF中)、8.0mmol)の溶液(1,2-ジクロロエタン(10mL)中)に酢酸(0.2mL)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.85g、4.0mmol)を加え、反応液を周囲温度で48時間撹拌した。反応液をジクロロメタン(10mL)で希釈し、重炭酸ナトリウム飽和水溶液(10mL)で洗浄し、濃縮した。残渣を分取HPLCで精製し、0.05%ギ酸(水中)および0.05%ギ酸(アセトニトリル中)の混合物を用いて溶出した。選択した画分を濃縮し、残渣をメタノール(2mL)に溶解させた。トリフルオロ酢酸(0.1mL)を加え、混合物を濃縮し、真空乾燥させ、N-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロブタン]-3-アミントルフルオロ酢酸塩(0.005g)をガム状物として得た。
1H NMR (CD
3OD, 400 MHz): δ 2.76 (brs, 1H), 2.59 (s, 3H), 1.85-1.82 (m, 1H), 1.69-1.55 (m, 6H), 1.34-1.28 (m, 1H), 0.83-0.78 (m, 1H), 0.67-0.62 (m, 1H), 0.58-0.50 (m, 2H); LCMS (m/z): 152 (M+1)。
【0104】
実施例8:N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロプロパン]-3-アミン塩酸塩
Gream and Pincombe, Aust. J. Chem. 27: 543-565 (1974) (そのような調製に関して参照により本明細書中に組み入れられる)により記載された通りに、(3-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタ[5]エン-2,1'-シクロプロパン]-3-イル)メタノール(9.4g、57mmol)(メタノール(20mL)中)に、0.8gの10%Pd/C(ウェット型)を窒素下で加えた。雰囲気を水素(50psi)で置換し、混合物を周囲温度にて4時間振盪した。次に、反応液を、珪藻土パッドを通してろ過し、続いてメタノールで洗浄した。ろ液を濃縮し、9.60gの(3-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロプロパン]-3-イル)メタノールを白色固体として得た(99%)。
【0105】
氷浴中で冷却した三酸化クロム(8.0g、76mmol)の撹拌溶液(水(30mL)中)に、96%硫酸(6.9mL、120mmol)を慎重に加えた。氷浴中での酸化剤溶液の冷却および撹拌を続けながら、(3-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロプロパン]-3-イル)メタノール(9.5g、57mmol)(アセトン(115mL)中)の溶液を20分間かけて加えた。添加完了後、反応混合物を、周囲温度で温めながら3時間撹拌した。次に、反応液を水(45mL)および酢酸エチル(200mL)で希釈した。褐色が消え、水層が青色になるまで、亜硫酸水素ナトリウム粉末をゆっくりと加えた。次に、相を分離し、水層を酢酸エチル(2×100mL)で洗浄した。有機層を併せ、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた。ろ過により乾燥剤を除去し、ろ液を濃縮して、緑色油状物を得た。0〜50%酢酸エチルのヘキサン勾配を用いて、油状物をシリカゲル(200g)カラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を併せて、濃縮し、6.0gの3-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロプロパン]-3-カルボン酸を白色固体として得た(58%)。
【0106】
氷浴中で冷却した3-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロプロパン]-3-カルボン酸(2.8g、15mmol)およびトリエチルアミン(2.6mL、18mmol)の撹拌溶液(トルエン(70mL)中)に、ジフェニルリン酸アジド(diphenylphosphonic azide)(3.5mL、16mmol)を加えた。反応混合物を90℃まで温め、2.5時間撹拌した。次に、ベンジルアルコール(1.7mL、16mmol)を反応液に加え、混合物を90℃にてさらに16時間撹拌した。反応混合物を冷却し、濃縮した。0〜15%酢酸エチルのヘキサン勾配を用いて、残渣をシリカゲル(60g)カラムクロマトグラフィーにより精製した。選択した画分を併せて濃縮し、3-イソシアナト-3-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1’-シクロプロパン]および対応するカルバミン酸ベンジルを白色固体として含有する1.6gの物質の混合物を得た。この混合物を乾燥THF(16mL)に溶解させ、氷浴中で冷却した。水素化アルミニウムリチウム(2.0M(THF中)を8.5mL、17mmol)をゆっくりと加えた。反応液を55℃まで3時間温めた。次に、反応液を氷浴中で冷却し、ジエチルエーテル(20mL)で希釈した。気体の発生が弱まるまで注意深く水を加えることにより、反応液をクエンチした。得られた粘稠な白色スラリーを周囲温度にて1時間撹拌し、その間に、塩はさらに粒状になった。次に、珪藻土パッドを通してスラリーをろ過し、ろ過ケーキをジエチルエーテル(10mL)、次に酢酸エチル(10mL)で洗浄した。併せたろ液を、6M塩酸(3×4mL)を用いて抽出した。水性抽出物を併せてロータリーエバポレーターで濃縮し、1.6gのN,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,1'-シクロプロパン]-3-アミン塩酸塩を白色固体として得た(53%収率)。
1H NMR (400 MHz, D
2O): δ2.52 (s, 1H), 2.46 (s, 3H), 1.72 (d, J = 11 Hz, 1H), 1.49-1.41 (m, 3H), 1.39-1.32 (m, 2H), 1.28 (d, J = 11 Hz, 1H), 1.02 (s, 3H), 0.59-0.51 (m, 3H), 0.45-0.43 (m, 1H); LCMS (m/z): 166 (M+1)。
【0107】
実施例9:N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタ[5]エン-2,1'-シクロペンタン]-3-アミン塩酸塩およびN,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,1'-シクロペンタン]-3-アミン塩酸塩
中間体であるビシクロ[2,2,2]オクタ-5-エン-2-オンを、Kozikowski and Schmiesing, J. Org. Chem. 48: 1000-1007 (1983)(そのような反応に関して既に参照により組み入れられた)に記載された手順を用いて生成し、続いて、順次、N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタ[5]エン-2,1'-シクロペンタン]-3-アミンおよびN,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,1'-シクロペンタン]-3-アミンに変換した。
【0108】
アクリロニトリル(79.4g、1.49mmol)、1,3-シクロヘキサジエン(60g、0.75mmol)、およびヒドロキノン(1.1g、10mmol)の混合物を試験管に入れて密封し、120℃にて18時間加熱した。得られた混合物を濃縮し、シリカゲルでのクロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチル(0.5%〜1%)の混合物(石油エーテル中)を用いて溶出して、5-シアノビシクロ[2,2,2]オクタ-2-エン(64g、64%収率)の異性体の分離可能な混合物(おそらくエンド型/エキソ型)を白色半固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ1.32 (m, 2H), 1.75 (m, 3H), 2.04 (m, 1H), 2.43 (m, 1H), 2.62 (m, 1H), 2.78 (m, 1H), 6.23 (m, 1H), 6.30 (m, 1H);
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ1.28 (m, 2H), 1.50 (m, 3H), 1.94 (m, 1H), 2.68 (m, 2H), 2.87 (m, 1H), 6.29 (m, 1H), 6.44 (m, 1H); LCMS (m/z): 134 (M+1)。
【0109】
ピリジン(14.2g、0.180mol)、五塩化リン(28.0g、0.135mol)、およびクロロホルム(100mL)の還流混合物に、5-シアノビシクロ[2,2,2]オクタ-2-エン(12g、90mmol)の溶液(クロロホルム(50mL)中)を滴下添加した。得られた混合物を15時間加熱還流し、冷却し、氷に注いだ。有機層を濃縮し、シリカゲルでのクロマトグラフィーにより残渣を精製し、酢酸エチル(0.5%〜1%)の混合物(石油エーテル中)を用いて溶出して、5-クロロ-5-シアノビシクロ[2,2,2]オクタ-2-エン(14.3g、95%収率)を白色半固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ1.3-1.5 (m, 3H), 2.02-2.18 (m, 2H), 2.51 (m, 1H), 2.72 (m, 1H), 3.12 (m, 1H), 6.22 (m, 1H), 6.41 (m, 1H); GCMS (m/z): 167。
【0110】
5-クロロ-5-シアノビシクロ[2,2,2]オクタ-2-エン(65g、0.39mol)(数回の上記手順を表す)の撹拌溶液(ジメチルスルホキシド(500mL)中)に、水酸化カリウム(87.4g、1.56mol)および水(30mL)を加えた。得られた混合物を室温で15時間撹拌し、水(1000mL)で希釈し、エーテル(4×500mL)を用いて抽出した。併せたエーテル抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。シリカゲルでのクロマトグラフィーにより残渣を精製し、シエチルエーテル(1%〜5%)の混合物(石油エーテル中)を用いて溶出して、ビシクロ[2,2,2]オクタ-5-エン-2-オン(23.8g、50%収率)を白色固体として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ1.53〜1.84 (m, 4H), 2.01〜2.02 (m, 2H), 2.96〜2.99 (m, 1H), 3.11〜3.13 (m, 1H), 6.15〜6.21 (m, 1H), 6.43〜6.48 (m, 1H); GCMS (m/z): 122。
【0111】
n-ブチリチウム(56.5mLの1.6M溶液(ヘキサン中)、90.4mmol)を、ジイソプロピルアミン(11.2mL、8.05g、79.6mmol)の溶液(乾燥THF(108mL)中)に-78℃にて加えた。混合物を0℃まで温め、30分間撹拌した。溶液を再び-78℃まで冷却し、THF(10mL)に溶解したビシクロ[2,2,2]オクタ-5-エン-2-オン(5.00g、36.2mmol)を添加した。反応液を-78℃にて30分間撹拌し、続いて、ヘキサメチルリン酸トリアミド(13.9mL、14.3g、79.6mmol)、次に1,4-ジブロモブタン(4.76mL、8.59g、39.8mmol)を加えた。反応混合物を周囲温度まで温め、16時間撹拌し、塩化アンモニウム飽和水溶液(50mL)を用いてクエンチし、エーテル(100mL)で希釈し、水(3×50mL)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。120gシリカカラムで残渣を精製し、4カラム容量の100%ヘキサン、続いて9:1ヘキサン/酢酸エチルのステップ勾配を用いて溶出した。選択した画分を濃縮し、スピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタ[5]エン-2,1'-シクロペンタン]-3-オン(5.1g;GC/MSにより約90%純度)を透明油状物として得た。さらなる精製はせず、乾燥THF(20mL)に溶解させ、-78℃まで冷却することにより、物質を先に進めた。次に、臭化メチルマグネシウム(28.6mLの3.0M溶液(ジエチルエーテル中)、85.8mmol)を加え、反応液を周囲温度までゆっくりと温めた。反応液を周囲温度にて18時間撹拌し、塩化アンモニウム飽和水溶液を注意深く加えることによりクエンチした。反応液を分液漏斗に移し、水層を除去した。有機層を水(10mL)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ろ過し、濃縮した。残った物質(無色油状物)は、3-メチルスピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタ[5]エン-2,1'-シクロペンタン]-3-オール(4.9g)と出発物質との混合物であった。
【0112】
さらなる精製をせずに、直前で生成したサンプルをシアン化ナトリウム(1.93g、37.8mmol)(酢酸(20mL)中)と併せた。この混合物を0℃まで冷却し、この温度で撹拌しながら、硫酸(20mL)をゆっくりと加えた。試薬を完全に加えると深赤色に変わった反応液を、周囲温度で18時間撹拌した。これを次に、100mLの水を加えることによりクエンチし、3M水酸化ナトリウム水溶液を加えることにより塩基性(pH9)にし、ジクロロメタン(4×50mL)で抽出した。併せた有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮して、オフホワイトの固体を得た。固体を乾燥THF(200mL)中に溶解させ、0℃まで冷却して、この温度で維持しながら、水素化アルミニウムリチウム(25.2mLの2M溶液(THF中)、50.4mmol)の溶液をゆっくりと加えた。反応液を18時間加熱還流し、氷浴中で冷却し、5gの硫酸ナトリウム十水和物を注意深く加えることによりクエンチした。得られた混合物を30分間撹拌し、ろ過した。ろ液を濃縮し、残渣を120gシリカゲルカラムで0〜70%CMA(クロロホルム中)を用いて精製し、N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタ[5]エン-2,1'-シクロペンタン]-3-アミン(0.20g、2.7%収率)を得た。この物質をジクロロメタン(5mL)に取り、0.5mLの4M塩酸(ジオキサン中)で処理することによりHCL塩に変換し、得られた混合物を濃縮した。得られた非晶質固体をメタノール(3mL)に溶解させ、ジエチルエーテル(3mL)を用いて沈殿させた。吸引により溶媒を除去し、沈殿をジエチルエーテル(3mL)で3回粉砕した。次に、塩酸塩のサンプルを真空乾燥させた。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 1.02 (s, 3H), 1.19-1.42 (m, 4H), 1.51-1.64 (m, 7H), 1.81 (m, 1H), 2.21 (m, 2H), 2.73 (s, 3H), 5.57 (dd, J1= 9 Hz, J2= 3 Hz, 1H), 6.01 (d, J=6 Hz, 1H); LCMS (m/z): 206 (M+1)。
【0113】
N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタ[5]エン-2,1'-シクロペンタン]-3-アミン(80mg、0.39mmol)をメタノール(7.8mL)中に溶解させ、10%Pd/C(ウェット型)(41mg)を添加した。この混合物を水素ガスのバルーン中に置き、周囲温度で16時間撹拌した。次に、珪藻土を通して反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮し、N,3-ジメチルスピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,1'-シクロペンタン]-3-アミン(45mg、56%収率)を得た。これをジクロロメタン(3mL)中に溶解させ、0.3mLの4M塩酸(ジオキサン中)で処理することにより塩酸塩に変換し、得られた混合物を濃縮した。得られた非晶質固体をメタノール(3mL)に溶解させ、ジエチルエーテル(1mL)を用いて沈殿させた。溶媒を吸引により除去し、沈殿を、ジエチルエーテル(3mL)を用いて3回粉砕した。次に、塩酸塩のサンプルを真空乾燥させた。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 0.99 (s, 3H), 1.31 (m, 2H), 1.45-1.70 (m, 10H), 1.85 (m, 1H), 2.08 (m, 3H), 2.22-2.35 (m, 1H), 2.65 (s, 3H), 3.02 (m, 1H); LCMS (m/z): 208 (M+1)。
【0114】
VI. 生物学的アッセイ
ニコチン性アセチルコリン受容体での相互作用の特性決定
材料および方法
細胞株
SH-EP1-ヒトα4β2(Eaton et al., 2003)、SH-EP1-ヒトα4β4(Gentry et al., 2003)およびSH-EP1-α6β3β4α5(Grinevich et al., 2005)細胞株を、Dr. Ron Lukas(Barrow Neurological Institute)から入手した。SH-EP1細胞株、PC12、SH-SY5YおよびTE671/RD細胞を、10%ウマ血清(Invitrogen)、5%ウシ胎児血清(HyClone, Logan UT)、1mMピルビン酸ナトリウム、4mM L-グルタミンを含むダルベッコの改変イーグル培地(Invitrogen, Carlsbad, California)中で増殖相に維持した。安定形質転換体を維持するために、α4β2およびα4β4細胞培地に0.25mg/mLゼオシンおよび0.13mg/mLハイグロマイシンBを添加した。α6β3β4α5細胞についての選別は、0.25mg/mLゼオシン、0.13mg/mLハイグロマイシンB、0.4mg/mLジェネティシン、および0.2mg/mLブラスチシジンを用いて維持した。
【0115】
受容体結合アッセイ
ラット組織からの膜の調製
ラット皮質を、Analytical Biological Services社(ABS, Wilmington, Delaware)から入手した。組織は、雌Sprague-Dawleyラットから剖出し、凍結してドライアイス上で輸送した。膜調製に必要になるまで、組織を-20℃で保存した。10頭のラット由来の皮質をプールし、10倍量(重量:体積)の氷冷調製バッファー(11mM KCl、6mM KH
2PO
4、137mM NaCl、8mM Na
2HPO
4、20mM HEPES(遊離酸)、5mM ヨードアセトアミド、1.5mM EDTA、0.1mM PMSF、pH7.4)中でPolytron(Kinematica GmbH, Switzerland)によりホモジナイズした。得られたホモジネートを4℃にて40,000gで20分間遠心し、得られたペレットを20倍量の氷冷水に再懸濁した。4℃での60分間のインキュベーション後、4℃にて40,000gでの20分間の遠心により、新たなペレットを回収した。最終ペレットを調製バッファーに再懸濁し、-20℃にて保存した。アッセイの日、組織を解凍し、40,000gで20分間遠心し、次にダルベッコのリン酸緩衝生理食塩液(pH7.4、PBS、Invitrogen)に再懸濁して、最終濃度2〜3mgタンパク質/mLとした。タンパク質濃度は、標準としてウシ血清アルブミンを用いて、Pierce BCA Protein Assayキット(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を用いて測定した。
【0116】
クローン型細胞株からの膜の調製
細胞を氷冷PBS(pH7.4)に回収し、次にPolytron(Kinematica GmbH, Switzerland)を用いてホモジナイズした。ホモジネートを40,000gで20分間遠心した(4℃)。ペレットをPBS中に再懸濁し、Pierce BCA Protein Assayキット(Pierce Biotechnology, Rockford, IL)を用いてタンパク質濃度を測定した。
【0117】
膜調製物での受容体への競合的結合
ニコチン性受容体への結合を、公表されている手順から適合させた標準的方法を用いて膜に対してアッセイした(Lippiello and Fernandes 1986; Davies et al.,1999)。簡潔には、凍結ストックから膜を再調製し、競合化合物(0.001nM〜100μM)および放射性リガンドの存在下にて150μLのアッセイバッファー(PBS)中で、氷上で2時間インキュベートした。[
3H]-ニコチン(L-(-)-[N-メチル-
3H]-ニコチン、69.5Ci/mmol、Perkin-Elmer Life Sciences, Waltham, MA)を、ヒトα4β2結合試験のために用いた。[
3H]-エピバチジン(52Ci/mmol、Perkin-Elmer Life Sciences)を、他のニコチン性受容体サブタイプでの結合試験のために用いた。L-[ベンジル酸-4,4-
3H]キヌクリジニル・ベンジラート([
3H]QNB)を、ムスカリン性受容体結合試験のために用いた。非特異的結合を低減するために0.33%ポリエチレンイミン(w/v)に予め浸漬したGF/Bフィルターを用いた、マルチマニホールド組織培養器(Brandel, Gaithersburg, MD)での迅速ろ過により、インキュベーションを停止した。フィルターを氷冷PBSで3回洗浄し、保たれた放射活性を液体シンチレーション計測により測定した。
【0118】
結合データ解析
結合データは合計対照結合に対するパーセンテージとして表した。各点についての複製実験を平均し、薬物濃度の対数に対してプロットした。IC
50(結合の50%阻害をもたらす化合物の濃度)を、GraphPad Prismソフトウェア(GraphPAD, San Diego, CA)を用いて最小二乗非線形回帰により決定した。Kiは、チェン・プルソフの式(Cheng-Prusoff equation)(Cheng and Prusoff, 1973)を用いて算出した。
【0119】
カルシウム流の機能アッセイ
各実験の24〜48時間前に、細胞を98ウェルプレート(black-wall、clear bottom)(Corning, Corning, NY)に60〜100,000細胞/ウェルで播種した。実験の日に、増殖培地を丁寧に除去し、200μLの1×FLIPR Calcium 4 Assay試薬(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)(アッセイバッファー(20mM HEPES、7mM TRIS塩基、4mM CaCl
2、5mM D-グルコース、0.8mM MgSO
4、5mM KCl、0.8mM MgCl
2、120mM N-メチルD-グルカミン、20mM NaCl、pH7.4(SH-EP1-ヒトα4β2細胞について)または10mM HEPES、2.5mM CaCl
2、5.6mM D-グルコース、0.8mM MgSO
4、5.3mM KCl、138mM NaCl、pH7.4、TRIS-塩基含有(すべての他の細胞株について))中)を各ウェルに加え、プレートを37℃(29℃処理SH-EP1-ヒトα4β2細胞については29℃)で1時間インキュベートした。阻害試験のために、競合化合物(10pM〜10μM)を色素添加の時点で加えた。プレートをインキュベーターから取り出し、室温に平衡化させた。化合物の添加および蛍光のモニタリング(励起485nm、発光525nm)のために、プレートをFLIPR Tetra蛍光イメージングプレートリーダー(Molecular Devices)に移した。カルシウム流量を、陽性対照(ニコチン)および陰性対照(バッファーのみ)の両者と比較した。陽性対照を100%応答と定義し、被験化合物の結果を陽性対照に対するパーセンテージとして表した。阻害試験のために、アゴニストであるニコチンを、1μM(SH-EP1-ヒトα4β2細胞およびSH-EP1-ヒトα4β4細胞について)、10μM(PC12細胞およびSH-SY5Y細胞について)、および100μM(TE671/RD細胞について)の濃度で用いた。
【0120】
神経伝達物質放出
以前に記載された通りにラット脳から取得した線条体シナプトソームを用いて、ドーパミン放出試験を行なった(Bencherif et al., 1998)。2頭のラット(雌、Sprague-Dawley、体重150〜250g)由来の線条体組織をプールし、ガラス/ガラスホモジナイザーを用いて5mM HEPES(pH7.4)を含有する氷冷0.32Mスクロース(8mL)中でホモジナイズした。次に、組織を1,000×gで10分間遠心した。ペレットを捨て、上清を12,500×gで20分間遠心した。得られたペレットを、モノアミンオキシダーゼ阻害剤を含有する氷冷灌流バッファー(128mM NaCl、1.2mM KH
2PO
4、2.4mM KCl、3.2mM CaCl
2、1.2mM MgSO
4、25mM HEPES、1mM アスコルビン酸、0.02mMパージリンHClおよび10mMグルコース、pH7.4)中に再懸濁し、23,000×gで15分間遠心した。最終ペレットを灌流バッファー(2mL)に再懸濁し、直ちに用いた。
【0121】
代謝活性を回復させるために、シナプトソーム懸濁液を37℃の振盪インキュベーターで10分間インキュベートした。[
3H]ドーパミン([
3H]DA、比活性=28.0Ci/mmol、NEN Research Products)を終濃度0.1μMで加え、懸濁液を37℃にてさらに10分間インキュベートした。灌流バッファー(100μL)および組織(100μL)のアリコートをBrandel Suprafusion System(2500シリーズ、Gaithersburg, MD)の表面灌流チャンバー(suprafusion chamber)にロードした。灌流バッファー(室温)を、8分間の洗浄時間にわたって約0.6mL/分の速度でチャンバーにポンプで送った。8分間にわたって、灌流の液流に競合化合物(10pM〜100nM)を添加した。次に、48秒間にわたって、灌流の液流にニコチン(10μM)を添加した。実験を通して、各チャンバーから画分(12秒間ずつ)を連続的に回収し、定常放出およびアゴニスト誘導性ピーク放出を記録し、アゴニスト添加後にベースラインを再規定した。灌流液をシンチレーションバイアルに直接回収し、これにシンチレーション液を加えた。放出された[
3H]DAをシンチレーション計測により定量化した。各チャンバーについて、ピークの積分面積をそのベースラインに対して標準化した。
【0122】
放出は、競合物質の非存在下での対照ニコチンを用いて得られた放出に対するパーセンテージとして表した。各アッセイで、各被験化合物濃度を2個のチャンバーを用いて複製し、複製実験を平均した。特定のイオン流についての阻害最大半値(IC
50)をもたらした化合物濃度を規定した。
【0123】
パッチクランプ電気生理学
細胞の取り扱い
インキュベーターからGH4C1-ラットT6’Sα7細胞を取り出した後、培地を吸引し、細胞を3分間トリプシン処理し、丁寧に破砕してプレートからはがし、記録培地で2回洗浄して、2mLの細胞外溶液(組成については下記を参照されたい)中に再懸濁した。細胞をZeiss倒立顕微鏡(Carl Zeiss Inc., Thornwood, NY)のステージ上のDynaflowチップマウントに置いた。平均して、ホールセル記録装置構成を確立するまでに5分間が必要であった。細胞条件の改変を回避するために、1回の処理に対して単一の細胞を記録した。短い応答を引き起こすために、Dynaflowシステム(Cellectricon, Inc., Gaithersburg, MD)を用いて0.5秒間化合物をアプライし、各チャンネルが50または150psiで圧力により溶液を送達した。
【0124】
電気生理学
従来のホールセル電流記録法を用いた。ガラス微小電極(5〜10MΩ抵抗)を用いて細胞表面上に密なシール(>1GΩ)を形成させ、その後、吸引して、慣用のホールセル記録に転換させた。次に、細胞を-60mVの保持電位で電圧クランプし、リガンド添加に応答したイオン電流を測定した。Axon 700A増幅器を用いて記録したホールセル電流に、ADCボード1440(Molecular Devices)により1kHzでフィルターをかけ、5kHzでサンプリングした。ホールセルのアクセス抵抗は20MΩ未満であった。ホールセル電流のデータ取得はClampex 10(Molecular Devices, Sunnyvale, CA)を用いて行ない、Prism 5.0(GraphPad Software Inc., San Diego, CA)を用いて結果をプロットした。実験データは平均±S.E.M.として表し、異なる条件の比較はスチューデントのt検定および2要因の分散分析検定(two-way ANOVA test)を用いて統計学的有意性について解析した。すべての実験は室温(22±1℃)で行なった。濃度-応答プロフィールはヒルの式にフィッティングし、Prism 5.0を用いて解析した。
【0125】
溶液および薬物添加
標準的細胞外溶液は、以下の成分を含有していた:120mM NaCl、3mM KCl、2mM MgCl
2、2mM CaCl
2、25mM D-グルコース、および10mM HEPES、Tris塩基を用いてpH7.4に調整。ホールセル記録法のための細胞内溶液は、以下の成分からなっていた:110mM Trisリン酸水素塩、28mM Tris塩基、11mM EGTA、2mM MgCl
2、0.1mM CaCl
2、および4mM Mg-ATP、pH7.3(Liu et al., 2008)。ホールセル電流応答を開始するために、細胞を対照溶液からアゴニスト含有溶液に移し、そして戻して、溶液交換が約50ms以内(10〜90%ピーク電流上昇時間に基づき)となるようにすることにより、化合物を送達した。化合物添加同士の間隔(0.5〜1分間)は、具体的には受容体の応答性の安定性(機能的疲労なし)を確実にするために調整し、本明細書中に記載した試験の大部分で用いたピペット溶液は、同じ目的で選択した。(-)-ニコチンおよびアセチルコリン(ACh)は、Sigma-Aldrich社(St. Louis, MO)から購入した。すべての薬物は、ストック溶液から毎日調製した。
【0126】
本発明の化合物によるACh誘導性電流の阻害を測定するために、本発明者らは、70μM AChを添加する安定的ベースライン記録を確立した(通常は安定的な5〜10回の連続投与)。続いて、ACh(70μM)を、1nM〜10μMの濃度範囲内で被験化合物と同時投与した。電流の尾部(0.5秒ACh添加の終わりに測定される電流)が最も大きな変化を受けたので、阻害および回復プロットは、尾部電流の大きさを示す。
【0127】
表データの概要
表1に示した通り、本発明の代表的な化合物は、典型的には、1〜100mMの範囲のヒトα4β2細胞および神経節受容体サブタイプに対する阻害定数(Ki値)を示し、このことは、これらの受容体サブタイプのオルソステリックな結合部位(すなわち、競合的アゴニストの結合部位)に対する低い親和性を示唆する。しかしながら、表1のデータはまた、本発明の代表的な化合物が、典型的なIC
50値:約2mM未満および典型的なI
max値:95%超を伴って、これらの受容体サブタイプについてイオン流を有効に阻害することも表している。併せると、このデータは、本発明の代表的な化合物が、オルソステリックな部位での結合を含まないメカニズムを介して、これらの受容体サブタイプにより仲介されるイオン流の阻害に有効であることを実証している。
【表1】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
観察される具体的な薬理学的応答は、選択された特定の活性化合物に、または製薬的担体が存在するか否か、ならびに製剤のタイプおよび用いる投与様式に依存して変わる場合があり、結果におけるそのような予測される変化または差異は、本発明の実務に従って予期される。
【0133】
本発明の具体的実施形態を本明細書中で例示し、詳細に説明しているが、本発明はそれに限定されない。上記の詳細な説明は本発明の例示として提供され、本発明のいかなる限定を構成するものとも解釈されるべきではない。改変は当業者に明らかであろうし、本発明の精神から逸脱しないすべての改変が添付の特許請求の範囲の範囲内に含められると意図される。