【文献】
Protein expression and purification,2004年,vol.37,p.109-118
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のクロマトグラフィーステップにおける陽イオン交換クロマトグラフィーは、少なくとも300cm/hの流速で実行される、請求項1から9までのいずれか一項に記載のプロセス。
第1のクロマトグラフィーステップにおける陽イオン交換クロマトグラフィーは、6mS/cm以下の伝導度で実行される、請求項1から10までのいずれか一項に記載のプロセス。
第1のクロマトグラフィーステップにおける陽イオン交換クロマトグラフィーは、樹脂に連結されたスルホニル、スルホプロピル、又はカルボキシメチルを含むクロマトグラフィーカラムにおいて実行される、請求項1から11までのいずれか一項に記載のプロセス。
第1のクロマトグラフィーステップにおける陽イオン交換クロマトグラフィーカラムは、50〜75g/L樹脂の抗体断片に対する動的結合容量を有する、請求項1から12までのいずれか一項に記載のプロセス。
最初の捕捉ステップの陽イオン交換クロマトグラフィーにおいて、樹脂1リットル当たり5〜100gの抗体断片が導入される、請求項1から14までのいずれか一項に記載のプロセス。
第2のクロマトグラフィーステップにおける陰イオン交換クロマトグラフィーは、四級アンモニウム(Q)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、又はトリメチルアミノエチル(TMAE)を含む樹脂上で実行される、請求項1から15までのいずれか一項に記載のプロセス。
Fab又はFab’は、VEGF−A、FcRn、OX40、糖タンパク質IIb/IIIa受容体、C5、HER2/neu、TNFα、IL1β、又はCD40−Lに特異的に結合する、請求項17に記載のプロセス。
【背景技術】
【0002】
タンパク質の大規模で経済的な精製は、バイオテクノロジー産業にとってますます重要な課題となりつつある。一般に、タンパク質は、そのタンパク質についての遺伝子を含有する組換えプラスミドの挿入によって対象のタンパク質を産生するように改変された哺乳動物細胞系又は細菌細胞系を使用する細胞培養によって産生される。使用される細胞系が生物であるので、それらに、糖、アミノ酸、及び増殖因子を含有する複合増殖培地を与えられなければならない。対象のタンパク質は、ヒト治療薬として使用するのに十分な純度まで、細胞に与えた化合物の混合物から及び細胞自体(フィードストリーム(feed stream))の副産物から単離されなければならない。フィードストリーム由来の不純物に関して、ヒト投与に使用するためのタンパク質について保健機関によって設定される基準は、非常に高い。当技術分野において知られているタンパク質についての多くの精製方法は、たとえば、精製されることとなるタンパク質の生物学的活性を不可逆的に危険にさらし得、そのため適していない低若しくは高pH、高塩濃度、又は他の極限条件の適用を必要とするステップを含有する。したがって、十分な純度までの所望のタンパク質の分離は、大変な課題をもたらす。歴史的に、タンパク質精製手法は、精製されることとなるタンパク質及び望まれないタンパク質混入物の間のサイズ、荷電、及び溶解性の分子特性における差異に基づいてきた。これらのパラメーターに基づくプロトコールは、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、示差沈殿(differential precipitation)、及びその他同種のものを含む。
【0003】
抗体及び抗体断片は、様々な治療分野においてますます重要となっている。抗体、抗体断片を産生するための最も重要な方法のうちの1つは、組換え技術によるものである。そのような技術は、所望の抗体又は抗体断片を発現させるために宿主細胞を使用し、これは、次いで、産生培地から分離され、精製される。
【0004】
抗体は、グリコシル化を必要とし、そのため、一般に、真核細胞、特に、CHO、PER.C6、NS0、BHK、又はSp2/0細胞などの哺乳動物細胞を用いる真核生物発現系において発現される。真核生物発現系において、抗体などの発現された対象のタンパク質は、一般に、細胞培養培地の中に分泌される。培地は、続いて、たとえば遠心分離又はろ過によって、タンパク質分泌細胞から容易に分離することができる。
【0005】
現在の産業用抗体精製プラットフォームはほとんどすべて、プロテインAを使用する(たとえばWO98/23645において記載される)。プロテインAは、哺乳動物免疫グロブリンのFc部分に結合する細菌黄色ブドウ球菌の細胞壁において見つけられる細胞表面タンパク質である。プロテインAは、ヒトIgG
1及びIgG
2に対する高い親和性並びにヒトIgM、IgA、及びIgE抗体に対する中程度の親和性を有する。したがって、プロテインA精製は、Fc部分を欠く抗体断片にあまり適していない。
【0006】
グリコシル化を必要としないタンパク質は、好ましくは、グラム陰性菌などの原核細胞を用いる原核生物発現系において発現される。特に、グリコシル化を必要としない抗体、たとえばFab、Fab’、又はscFvなどの抗体断片は、好ましくは、そのような系において発現される。原核生物発現系、特に、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)系又は他のグラム陰性菌は、経済的に魅力的な方法において、たとえば抗体断片などの、グリコシル化を必要としないタンパク質の生産を可能にする。大腸菌におけるタンパク質の生産は、商品がより低コストであり、薬剤開発プロセスがより急速であるため、特に有益である(Humphreys, 2003; Humphreys, 2003)。原核生物、特に大腸菌タンパク質発現系は、当技術分野においてよく知られている(Swartz,2001;Jana and Deb,2005;Terpe,2006)。原核細胞は、細胞において発現された、対象の異種タンパク質を活発に分泌しない。しかしながら、大腸菌などのグラム陰性原核細胞は、抗体断片などの細胞において発現された異種タンパク質をそれらがジスルフィド結合を形成することができる細胞周辺腔の中に輸送するように改変することができる。細胞周辺腔からのこれらの異種タンパク質の単離は、宿主細胞タンパク質(HCP)の実質的な放出をももたらす原核細胞の外膜の破壊を必要とする。グラム陰性原核細胞の外膜を破壊し、続いて異種タンパク質を含有する細胞培養液を回収するための方法は、当技術分野においてよく知られている。大腸菌における抗体断片の生産はまた、切断型軽鎖、軽鎖のグルタチオン付加物、及び軽鎖二量体などの副産物の産生をももたらす(Battersby et al.,2001)。
【0007】
大腸菌発現系などの原核生物発現系から収集される細胞培養液(フィードストリーム)、特に、グラム陰性菌からの細胞周辺細胞抽出物は、原核生物又は真核生物発現系において発現される対象の異種タンパク質から分離される必要があるHCP、細菌DNA、及び内毒素の相対的な量及び組成において、真核生物発現系から収集される細胞培養液と実質的に異なる。HCPの濃度並びにHCPの複雑性及び不均一性は、発現系又は細胞系及び細胞培養条件に依存する(Arunakumari,2009)。原核生物発現系において、特にグラム陰性原核生物発現系において発現される抗体断片の精製は、そのため、異なる課題に直面し、異なるアプローチを必要とする(Humphreys and Glover,2001)。モノクローナル抗体断片の精製の基本原理は、当技術分野において知られている(Spitali,2009)。微生物細胞において産生される活性成分としての抗体断片を含む、US Food and Drug Administration(FDA)及びEuropean Medicines Agency(EMA)によって現在承認されている2つの医薬品がある。セルトリズマブペゴール(Cimzia(登録商標))は、TNFαに特異的に結合するFabを含み、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に特異的に結合するFab断片である。微生物フィードストリームからのラニビズマブの精製は、4つのクロマトグラフィーステップを用いるプロセスを使用して実行される(Walsh,2007)。医薬品アブシキシマブ(ReoPro(登録商標))は、ヒト血小板の糖タンパク質(GP)IIb/IIIa受容体に結合し、血小板凝集を阻害するキメラヒトマウスモノクローナル抗体7E3のFab断片を含む。キメラ7E3抗体は、哺乳動物細胞培養における連続的な灌流によって産生される。48Kd Fab断片は、パパインを用いる消化及びカラムクロマトグラフイーの後に精製完全長抗体から得られる。
【0008】
アフィニティークロマトグラフィーは、対象のタンパク質(又はタンパク質の群)及びクロマトグラフィーマトリックスに連結された特異的なリガンドの間の可逆的な相互作用に基づいてタンパク質を分離する。対象のタンパク質及びクロマトグラフィーマトリックスに連結されたリガンドの間の相互作用は、静電気若しくは疎水的相互作用、ファンデルワールス力、及び/又は水素結合の結果とすることができる。親和性媒体から標的分子を溶離するために、相互作用は、競合的なリガンドを使用して特異的に又はpH、イオン強度、若しくは極性を変化させることによって非特異的に逆転させることができる。アフィニティー精製は、クロマトグラフィーマトリックスに共有結合することができる生物特異的なリガンドを必要とする。連結されたリガンドは、標的分子に対するその特異的結合親和性を保持しなければならず、非結合物質を洗浄した後に、リガンド及び標的分子の間の結合は、標的分子が活性形態で取り出されるのを可能にするために可逆的でなければならない。その一般的な使用にもかかわらず、アフィニティークロマトグラフィーは、特に治療用タンパク質を精製するのに必要な工業規模で費用がかかる。
【0009】
イオン交換クロマトグラフィーは、イオン化可能な分子を精製するために使用することができる。イオン化分子は、固相支持体マトリックスに付加された逆に荷電された分子とのそれらの荷電基の非特異的な静電的相互作用に基づいて分離され、それによって、固相とより強く相互作用するそれらのイオン化分子を遅延させる。それぞれのタイプのイオン化分子の正味の荷電及びマトリックスに対するその親和性は、荷電基の数、それぞれの基の荷電、及び荷電固相マトリックスとの相互作用について競合する分子の性質によって変動する。これらの差異は、イオン交換クロマトグラフィーによる様々な分子タイプの分析をもたらす。固相に結合された分子の溶離は、一般に、イオン交換マトリックスの荷電部位について溶質と競合するように緩衝剤のイオン強度(つまり伝導度)を増加させることによって達成される。pHを変化させ、それによって溶質の荷電を変更することは、溶質の溶離を達成するための他の方法である。伝導度又はpHの変化は、緩やかなものであってもよい(勾配溶離)又は段階的なものであってもよい(段階溶離)。一般的な2つのタイプの相互作用が、知られている。正荷電表面と相互作用する負荷電アミノ酸側鎖(たとえばアスパラギン酸及びグルタミン酸)によって媒介される陰イオン交換クロマトグラフィー及び負荷電表面と相互作用する正荷電アミノ酸残基(たとえばリシン及びアルギニン)によって媒介される陽イオン交換クロマトグラフィー。陰イオン交換体は、弱いもの又は強いものとして分類することができる。弱陰イオン交換体上の荷電基は、弱塩基であり、これは、高pHで、脱プロトン化され、そのため、その荷電を緩める。ジエチルアミノエチル(DEAE)−セルロースは、弱陰イオン交換体の例であり、アミノ基は、pH約9未満で正に荷電し得、より高いpH値で徐々に荷電を失う。DEAE又はジエチル−(2−ヒドロキシ−プロピル)アミノエチル(QAE)は、たとえば、対イオンとして塩化物を有する。
【0010】
溶離緩衝剤のイオン強度の増加による溶離(溶離クロマトグラフィー)に対する代替物は、結合タンパク質よりも固定相に対して高い動的親和性を有する分子を使用する溶離である。イオン交換クロマトグラフィーを実行するこのモードは、置換クロマトグラフィーと呼ばれる。置換クロマトグラフィーは、溶質が移動相調整剤中に脱着されず、移動度の差異によって分離されるという点でクロマトグラフィーのあらゆる他のモードとは基本的に異なる(Tugcu, 2008)。置換の際に、分子は、フィードストリーム由来のいかなる構成成分よりも固定相に対する高い親和性を有する置換分子の前進性の衝撃波によって、クロマトカラムを下に移動するように強制される。高い保持力の、操作の他のモードと比較して、より高い産物濃度及び純度をもたらすのは、この強制的な移動であり、カラムの中への置換物溶液の持続的な注入が続く。
【0011】
動的結合容量は、定められた流動条件下でカラム中のクロマトグラフィー樹脂に結合するであろう対象のタンパク質の量を説明する。クロマトグラフィー樹脂に対する動的結合容量は、実行条件(たとえば流速、pH、及び伝導度)、試料の起源、試料調製、並びに存在する他の結合不純物に依存性である。動的結合容量は、対象の既知濃度のタンパク質を含有する試料を導入し、カラム流出物(flow−through)における濃度をモニターすることによって決定される(Do et al.,2008)。イオン交換樹脂の動的結合容量は、対象のタンパク質が流出物中に回収され始める、導入の間のポイントとして定義される。典型的に、導入物と比較した、流出物中の対象のタンパク質の割合についての10%の値は、このポイントを定めるために使用される(McCue et al.,2003)。不純物除去のために、流出物中の不純物についての閾値は、用途に特有の基準によって設定される。
【0012】
WO99/57134、WO2004/024866、及びWO2007/117490は、イオン交換クロマトグラフィーを含むタンパク質又は抗体精製プロセスに関する。このプロセスは、哺乳動物細胞において産生される抗体を使用して例証される。WO2009/058812は、陽イオン交換クロマトグラフィーを含む抗体精製プロセスに関する。このプロセスは、哺乳動物細胞において産生される抗体を使用して例証される。WO2007/108955は、イオン交換クロマトグラフィーが後続する陽イオン交換クロマトグラフィーを含むタンパク質精製のツーステップ非親和性イオン交換クロマトグラフプロセスに関する。WO2007/108955における実施例は、哺乳動物細胞において産生される完全ヒト抗体の精製について記載する。複数回の洗浄ステップは、陽イオン交換クロマトグラフィーの間に実行され、溶離液は、陰イオン交換クロマトグラフィーに先立って希釈される。Humphreys et al.は、陽イオン交換クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィーを使用する、実験室規模でのFab’の精製について記載する(Humphreys et al.,2004)。WO2004/035792は、細菌細胞培養から精製される抗体断片調製物中のPhoSタンパク質不純物を低下させるために突然変異体PhoSタンパク質を発現する大腸菌株の生成に関する。
【0013】
CDP870は、WO01/94585(その全体が参照によって本明細書において組み込まれる)に記載されるように、PEG成分に化学的に連結された、遺伝的に改変された抗体断片(Fab’)である。CDP870は、強力なヒトTNFα中和特性を有する。
【0014】
原核生物、特に、大腸菌発現系などのグラム陰性菌から収集される細胞培養液から抗体断片を精製する方法についての当技術分野における必要性がある。非常に高い力価の抗体断片若しくはHCP又は抗体断片及びHCPの両方を含有する細胞抽出物の処理をするのに適している、原核生物、特に、大腸菌発現系などのグラム陰性菌から収集される細胞周辺細胞抽出物から抗体断片を精製する方法についての当技術分野における特有の必要性がある。抗体断片の高力価発現は、経済的方法での大量の抗体断片の精製に適した方法を必要とする:カラムサイズ、緩衝剤使用量、及び処理時間の低下(GE Healthcare data file 11−0025−76 AE,2007)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1の態様では、本発明は、細胞周辺細胞抽出物からの抗体断片の精製のためのプロセスであって、抗体断片を含有する、細胞周辺細胞抽出物などの混合物を陽イオン交換クロマトグラフィーにかけ、続いて溶離して、抗体断片を含有する第1の溶離液を生成する、抗体断片を捕捉するための第1のクロマトグラフィーステップ、及び第1の溶離液を陰イオン交換クロマトグラフィーにかけて不純物を捕捉し、抗体断片を含有する流出物を生成する、第2のクロマトグラフィーステップ、及び当該抗体断片の回収を含むプロセスに関する。
【0031】
第2の態様では、本発明は、細胞周辺細胞抽出物からの抗体断片の精製のためのプロセスであって、抗体断片を含有する、細胞周辺細胞抽出物などの混合物を陽イオン交換クロマトグラフィーにかけ、続いて溶離して、抗体断片を含有する第1の溶離液を生成する、抗体断片を捕捉するための、第1のクロマトグラフィーステップ、第1の溶離液に適用する第1の限外ろ過、精製された第1の溶離液を陰イオン交換クロマトグラフィーにかけて不純物を捕捉し、抗体断片を含有する流出物を生成する、第2のクロマトグラフィーステップ、流出物に適用する第2の限外ろ過、及び当該抗体断片の回収から本質的に成るプロセスに関する。
【0032】
本発明の第1の態様の第1の実施形態では、本発明の第1の態様によるプロセスは、2つのクロマトグラフィーステップのみを含む。
【0033】
本発明の第2の態様によるプロセスにおける本発明の第2の態様の第1の実施形態では、陽イオン交換クロマトグラフィー後の限外ろ過及び陰イオン交換クロマトグラフィー後の限外ろ過は、タンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)によって実行される。
【0034】
本発明の第1又は第2の態様の第1の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第2の実施形態では、クロマトグラフィーステップはすべて、クロマトグラフィーカラムで実行される。
【0035】
本発明の第1又は第2の態様の第1又は第2の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第3の実施形態では、第1のクロマトグラフィーステップの陽イオン交換クロマトグラフィーは、溶離モードにおいて実行される。
【0036】
本発明の第1又は第2の態様の第2又は第3の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第4の実施形態では、第1のクロマトグラフィーステップの陽イオン交換クロマトグラフィーは、連続する順で以下のステップ
a)陽イオン交換カラムに、抗体断片を含有する、細胞周辺細胞抽出物などの混合物を導入するステップ、
b)洗浄の間に、洗浄緩衝剤の伝導度、pH、及び塩濃度を変化させない、洗浄緩衝剤により陽イオン交換カラムを洗浄するステップ、並びに
c)溶離緩衝剤により抗体断片を溶離するステップ
を含む。
【0037】
本発明の第1又は第2の態様の第4の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第5の実施形態では、洗浄緩衝剤のpHは、第1のクロマトグラフィーステップ前の、抗体断片を含有する、細胞周辺細胞抽出物などの混合物のpHと同一である。
【0038】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、又は第5の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第6の実施形態では、第1のクロマトグラフィーステップ前の、抗体断片を含有する、細胞周辺細胞抽出物などの混合物は、4.0〜5.0のpH、好ましくは4.3〜4.7のpH、より好ましくは4.3〜4.5のpH、最も好ましくは4.5のpHを有する。
【0039】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、又は第6の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第7の実施形態では、抗体断片を含有し、最初の捕捉ステップとして陽イオン交換クロマトグラフィーにかける混合物は、少なくとも1.5g/L、若しくは少なくとも3g/L、若しくは少なくとも4g/L、若しくは少なくとも5g/L、若しくは少なくとも7.5g/L、若しくは少なくとも10g/L、若しくは少なくとも20g/L、若しくは少なくとも40g/Lの濃度、又は3〜40g/Lの濃度、若しくは4〜20g/Lの濃度、若しくは5〜15g/Lの濃度の総タンパク質を含有する。
【0040】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、又は第7の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第8の実施形態では、抗体断片を含有し、最初の捕捉ステップとして陽イオン交換クロマトグラフィーにかけられている混合物は、少なくとも3g/L、若しくは少なくとも4g/L、若しくは少なくとも5g/L、若しくは少なくとも7.5g/L、若しくは少なくとも10g/L、若しくは少なくとも20g/Lの濃度、又は3〜20g/Lの濃度、若しくは4〜50g/Lの濃度、若しくは5〜10g/Lの濃度の抗体断片を含有する。
【0041】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、又は第8の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第9の実施形態では、最初の捕捉ステップの陽イオン交換クロマトグラフィーは、少なくとも300cm/h、好ましくは300〜2000cm/h、より好ましくは350〜1500cm/hさらにより好ましくは350〜1000cm/h、最も好ましくは、400〜700cm/hの流速で実行される。
【0042】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、又は第9の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第10の実施形態では、最初の捕捉ステップの陽イオン交換クロマトグラフィーは、6mS/cm以下、好ましくは6〜2mS/cm、より好ましくは5〜3mS/cm、さらにより好ましくは4.5〜3.5mS/cmの伝導度で実行される。
【0043】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、又は第10の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第11の実施形態では、最初の捕捉ステップの陽イオン交換クロマトグラフィーは、アガロースの架橋ビーズ状形態(たとえばSepharose(商標)又はSuperose(商標))、修飾メタクリレートポリマー(たとえばテンタクル、ヒドロキシル化);シリカ;セラミック、及びスチレンジビニルベンゼンを含むが、これらに限定されない当技術分野において知られている適した物質の樹脂に連結された、スルホニル、スルホプロピル、又はカルボキシメチルを含む樹脂上で実行される。
【0044】
本発明の第1又は第2の態様の第11の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第12の実施形態では、最初の捕捉の陽イオン交換クロマトグラフィーの樹脂は、少なくとも50g/Lの樹脂、又は少なくとも60g/Lの樹脂、又は少なくとも75g/Lの樹脂、又は少なくとも150g/L樹脂、又は50〜150g/L樹脂、又は60〜100g/L樹脂、又は50〜75g/L樹脂の抗体断片に対する動的結合容量を有する。
【0045】
本発明の第1又は第2の態様の第11又は第12の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第13の実施形態では、最初の捕捉の陽イオン交換クロマトグラフィーの樹脂は、少なくとも50μm、好ましくは60〜300μm、より好ましくは70〜200μm、さらにより好ましくは80〜100μmの平均
粒径を有する。
【0046】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、又は第13の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第14の実施形態では、最初の捕捉ステップにおいて陽イオン交換クロマトグラフィーにかけられる抗体断片を含有する混合物は、約200μg/ml〜10,000μg/ml、約500μg/ml〜5000μg/ml、約1000μg/ml〜4000μg/ml、又は約2000μg/ml〜4000μg/mlの量の細菌宿主細胞タンパク質を含有する。
【0047】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、又は第14の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第15の実施形態では、最初の捕捉ステップの陽イオン交換クロマトグラフィーにおいて、1リットルの樹脂当たり5〜100gの抗体断片、1リットルの樹脂当たり10〜90gの抗体断片、又は1リットルの樹脂当たり20〜75gの抗体断片が導入される。
【0048】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、又は第15の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第16の実施形態では、第2のクロマトグラフィーステップにおける陰イオン交換クロマトグラフィーは、アガロースの架橋ビーズ状形態(たとえばSepharose(商標)又はSuperose(商標))、修飾メタクリレートポリマー(たとえばテンタクル、ヒドロキシル化);シリカ;セラミック、及びスチレンジビニルベンゼンを含むが、これらに限定されない当技術分野において知られている適した物質の樹脂に連結された、四級アンモニウム(Q)、ジエチルアミノエチル(DEAE)、又はトリメチルアミノエチル(TMAE)を含む樹脂上で実行される。第2のクロマトグラフィーステップはまた、セルロース及びポリエチレンを含むが、これらに限定されない当技術分野に知られている適した物質の膜に連結された、四級アンモニウム又はポリ(アリルアミン)を含む膜上で実行されてもよい。
【0049】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、又は第16の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第17の実施形態では、第2のクロマトグラフィーステップにおける陰イオン交換クロマトグラフィーカラムは、少なくとも50μm、好ましくは60〜300μm、より好ましくは70〜200μm、さらにより好ましくは80〜100μmの平均の特定のサイズを有する。
【0050】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、又は第17の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第18の実施形態では、第2のクロマトグラフィーステップにおける陰イオン交換クロマトグラフィーは、6〜10のpH、好ましくは7〜9、より好ましくは8〜9、さらにより好ましくは8.5のpHで実行される。
【0051】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、第17、又は第18の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第19の実施形態では、第2のクロマトグラフィーステップにおける陰イオン交換クロマトグラフィーは、実行され、20g/Lの樹脂を超える、好ましくは、30g/Lの樹脂を超える、さらにより好ましくは40g/Lの樹脂を超える、又は20〜80g/L樹脂、若しくは20〜40g/L樹脂のプロセス関連性の不純物に対する結合容量を有する。
【0052】
本発明の第1又は第2の態様の第20の実施形態では、本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、第17、第18、又は第19の実施形態によるプロセスは、高速タンジェンシャルフローフィルトレーション(HPTFF)ステップを含まない。
【0053】
本発明の第1又は第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12、第13、第14、第15、第16、第17、第18、第19、又は第20の実施形態によるプロセスにおける本発明の第1又は第2の態様の第21の実施形態では、回収される抗体断片は、150ピーピーエム(parts per million:ppm)以下、又は120ppm以下、又は100ppm以下の量の宿主細胞タンパク質(HCP)を含有する。
【0054】
本発明の第1又は第2の態様の実施形態のいずれかによるプロセスにおけるさらなる実施形態では、抗体断片は、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fv、scFv、又はラクダ科の動物の抗体である。
【0055】
本明細書において使用される用語「アフィニティークロマトグラフィー」は、対象のタンパク質又は対象の抗体が、生物特異的なリガンドに可逆的に且つ特異的に結合する、タンパク質分離技術を指す。好ましくは、生物特異的なリガンドは、クロマトグラフィーの固相物質に共有結合され、溶液がクロマトグラフィーの固相物質と接触するとき、溶液中の対象のタンパク質に接触可能である。対象のタンパク質(たとえば抗体)は、クロマトグラフィーのステップの間に生物特異的なリガンド(たとえば抗原、基質、補助因子、又はホルモン)に対してその特異的結合親和性を保持するが、混合物中の他の溶質及び/又はタンパク質は、認め得るほどに又は特異的にリガンドに結合しない。固定されたリガンドへの対象のタンパク質の結合は、混入タンパク質又はタンパク質不純物がクロマトグラフィーの媒体を通過するのを可能にするが、対象のタンパク質は、固相物質上の固定されたリガンドに特異的に結合したままである。特異的に結合した、対象のタンパク質は、次いで、低pH、高pH、高塩、競合リガンド、及びその他同種のものにより、固定されたリガンドから活性形態で取り出され、溶離緩衝剤と共にクロマトカラムを通過し、カラムをより早期に通過させた混入タンパク質又はタンパク質不純物がない。任意の物質を、そのそれぞれの特異的結合タンパク質、たとえば抗体の精製のためのリガンドとして使用することができる。
【0056】
用語「アグリコシル化(aglycosylated)」及び「非グリコシル化」は、本明細書において区別なく使用され、抗体などのタンパク質へのグリコシル成分又は炭水化物成分の特異的な翻訳後の追加の欠如を指す。
【0057】
本明細書において使用される用語「抗体」(単数又は複数)は、2つの重鎖及び2つの軽鎖を含むモノクローナル又はポリクローナル四量体完全長抗体を指す。免疫グロブリン(単数又は複数)という用語は、それぞれ、「抗体」(単数又は複数)と同義的に使用される。本明細書において使用される用語「抗体」(単数又は複数)は、当技術分野において知られている組換え技術によって生成される組換え抗体を含むが、これらに限定されない。「抗体」(単数又は複数)は、ヒト、非ヒト霊長動物(たとえば、チンパンジー、ヒヒ、アカゲザル、若しくはカニクイザル由来などのヒト)、げっ歯動物(たとえばマウス、ラット、ウサギ、若しくはモルモット由来)、ヤギ、ウシ、又はウマの種などの、哺乳動物種由来のものを含む、任意の起源のものとすることができる。本明細書における抗体は、対象の「抗原」に対するものである。好ましくは、抗原は、生物学的に重要なポリペプチドであり、疾患又は障害に罹患している哺乳動物への抗体の投与は、その哺乳動物において治療上の効能をもたらしてもよい。しかしながら、非ポリペプチド抗原に対する抗体もまた、企図される。抗原がポリペプチドである場合、それは、増殖因子又はサイトカインなどの、膜貫通分子(たとえば受容体)又はリガンドであってもよい。本発明によって包含される、抗体に対する好ましい分子標的は、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD22、CD34、CD38、CD40、及びCD40−LなどのCDポリペプチド;FcRN;OX40;EGF受容体、HER2、HER3、又はHER4受容体などのHER受容体ファミリーのメンバー;LFA−1、Mac1、p150、95、VLA−4、ICAM−1、VCAM、及びそのα又はβサブユニットを含むav/b3インテグリンなどの細胞接着分子(たとえば抗CD11a、抗CD18、又は抗CD11b抗体);IL−1α及びβ、IL−2、IL−6、IL−6受容体、IL−12、IL−13、IL−17形態、IL−18、IL−21、IL−23、TNFα、及びTNFβなどのケモカイン及びサイトカイン又はそれらの受容体;VEGFなどの増殖因子;IgE;血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA−4;ポリペプチドC;などを含む。
【0058】
本明細書において使用される用語「抗体断片」(単数又は複数)は、アグリコシル化抗体又は抗体のアグリコシル化部分、一般に、その抗原結合領域又は可変領域を指す。抗体断片の例は、Fc部分を欠く又は有していない任意の抗体を含む。抗体断片の例はまた、Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fv、及びscFv断片;二重特異性抗体;三重特異性抗体(triabody);四重特異性抗体(tetrabody);ミニボディ(minibody);Domain Antibodies(商標)などの、単一の、2つ、又は3つの免疫グロブリンドメインから本質的に成る抗体(単数又は複数);単鎖抗体;上記のもののいずれかの二特異性、三特異性(trispecific)、四特異性(tetraspecific)、又は多特異性変異体をも含む。本明細書において使用される用語「抗体断片」(単数又は複数)はまた、ラクダ科の動物の抗体(たとえばNanobodies(商標)などの、ラクダ又はラマ由来の)及びその誘導体をも指す。抗体断片は、当技術分野においてよく知られている(Holliger and Hudson,2005)。様々な技術は、抗体断片の産生のために開発されており、当技術分野において知られている(Glover and Humphreys,2004)。本明細書において使用される用語「抗体断片」(単数又は複数)は、ヒト、ヒト化、霊長動物化(primatized)、及びキメラ抗体断片を含む。
【0059】
本明細書において使用される用語「緩衝剤」は、溶液におけるその存在によって、pHにおける単位変化を引き起こすために追加されなければならない酸又はアルカリの量を増加させる物質を指す。緩衝液は、その酸−塩基コンジュゲート構成成分の作用によってpHにおける変化に抵抗する。生物学的試薬と共に使用するための緩衝液は、溶液のpHが生理的な範囲内にあるように、一定の濃度の水素イオンを一般に維持することができる。従来の緩衝剤構成成分は、有機及び無機塩類、酸、並びに塩基を含むが、これらに限定されない。
【0060】
本明細書において使用される用語「クロマトグラフィー」は、混合物の個々の溶質が、移動相の影響下で又は結合及び溶離プロセスにおいて、固定された媒体を通って移動する速度の差異の結果として、混合物中の対象の物質が、混合物中の他の物質から分離されるプロセスを指す。
【0061】
本明細書において使用されるクロマトグラフィーに関連する用語「クロマトグラフィーカラム」又は「カラム」は、クロマトグラフィーマトリックス又は樹脂により充填されるシリンダー又はよく中空の柱の形態をしている容器を指す。クロマトグラフィーマトリックス又は樹脂は、精製のために使用される物理的及び/又は化学的な特性を提供する物質である。
【0062】
本明細書において使用される用語「伝導度」は、水溶液が2つの電極の間で電流を伝導する能力を指す。溶液において、電流は、イオンの移動によって生じる。そのため、水溶液中に存在するイオンの量が増加すると共に、溶液はより高い伝導度を有するようになるであろう。伝導度についての測定の単位は、センチメートル当たりのミリジーメンス(mS/cm)であり、伝導度計を使用して測定することができる。溶液の伝導度は、その中のイオンの濃度を変化させることによって変更されてもよい。たとえば、溶液中の緩衝剤の濃度及び/又は塩(たとえばNaCl又はKCl)の濃度は、所望の伝導度を達成するために変更されてもよい。
【0063】
本明細書において使用される用語「溶離液」は、クロマトグラフィー物質への当該物質の結合及びクロマトグラフィー物質から物質を分離するための溶離緩衝剤の追加の後に得られる物質(たとえば抗体断片又は混入物質)を含む液体組成物を指す。溶離液は、精製プロセスにおけるステップに関して言及されてもよい。たとえば、用語「第1の溶離液」は、第1のクロマトグラフィーのステップからの溶離液を指し、用語「第2の溶離液」は、第2のクロマトグラフィーのステップからの溶離液を指す、などである。
【0064】
本明細書において使用される用語「流出物」は、分子が結合を伴うことなく物質を通過するように、当該物質を含む混合物にクロマトグラフィー物質を通過させることによって得られる物質(たとえば抗体断片又は混入物質)を含む液体組成物を指す。
【0065】
本明細書において使用される用語「混合物」は、これもまた存在し得る他の物質から精製されることが要求される、対象の少なくとも1つの抗体断片を含む、少なくとも部分的に液体の組成物を指す。混合物は、たとえば、懸濁液、水溶液、有機溶剤系、又は水性/有機混合溶媒若しくは溶液とすることができる。混合物は、多くの場合、多くの生体分子(タンパク質、抗体、ホルモン、及びウイルスなど)、小分子(塩、糖、脂質など)、並びにさらに粒子状物質を含む複雑な混合物又は溶液である。生物学的起源の典型的な混合物は、水溶液又は懸濁液として出発してもよいが、それはまた、溶媒沈殿、抽出、及びその他同種のものなどの早期の分離ステップにおいて使用される有機溶媒を含有してもよい。
【0066】
本明細書において使用される用語「細胞周辺細胞抽出物」は、外膜の破壊及び細胞周辺腔からの物質の放出の後に、グラム陰性原核細胞の細胞培養物から得られる組成物を指す。細胞周辺細胞抽出物は、液体であることがよくあり、また、特定の物質又は気体を含有してもよい。用語「細胞周辺細胞抽出物」はまた、たとえば、不溶性物質を除去するために、細胞周辺腔からの収集の後にさらに処理されてもよい液体組成物を含む。
【0067】
用語「精製」又は「精製すること」又は「精製された」は、抗体又は抗体断片などの、対象のタンパク質を含有する混合物から、HCP、DNA、又は塩などの不要な物質を除去する又は低下させるプロセスを指す。「精製ステップ」は、対象のタンパク質を含む組成物において150ppm未満の、その代わりに、120ppm未満、100ppm未満、90ppm未満、80ppm未満、70ppm未満、60ppm未満、50ppm未満、40ppm未満、30ppm未満、20ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、又は3ppm未満のHCPを含む組成物を指すために本明細書において使用される「均一な」組成物をもたらす、全体的な精製プロセスの一部であってもよい。
【0068】
本明細書において使用される用語「限外ろ過」は、たとえば対象のタンパク質を含有する、溶液などの混合物が、濃縮又は精製の目的のために膜を通過する、圧力により駆動されるプロセスを指す。限外ろ過膜は、典型的に、逆浸透膜及び精密ろ過膜の平均孔径の間である1〜50nmの平均孔径を有する。孔径は、ある分子重量のタンパク質を保持するその能力によって通常、定量化され、kDaの名目分子量カットオフ値(NMWCO)の表現で通常、示される。限外ろ過は、その速度が溶質のサイズに依存性である、与えられる圧力駆動力に応じて膜を横切る様々な物質のろ過の速度の差異に基づいて溶質を分離する。したがって、混合物中の溶質又は溶液は、サイズ差異に基づいて分離される。限外ろ過は、タンパク質濃縮、緩衝剤交換、及び脱塩、タンパク質精製、ウイルス排除、並びに浄化のための下流のプロセシングにおいて使用されることがよくある。用語「限外ろ過」は、溶液などの混合物が限外ろ過膜を水平に通過するタンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)を含む。用語「限外ろ過」は、溶質がサイズだけでなく、サイズ及び荷電に基づいて分離される高速タンジェンシャルフローフィルトレーション(HPTFF)を含まない。
【0069】
本明細書において使用される用語「総タンパク質」は、任意のサイズのタンパク質断片を含む試料中のすべてのタンパク質を本質的に指す。しばしば、細胞周辺細胞抽出物又は他の細胞培養回収物に関して、「総タンパク質」は、試料中に含有されるHCP及び細胞培養において発現される異種タンパク質の両方を指す。総タンパク質は、当技術分野においてよく知られている方法を使用して決定することができる。
【0070】
本発明の方法に従って精製することができる抗体断片は、組換え抗体断片をコードする1つ又は複数の発現ベクターにより形質転換された宿主細胞を培養することによって産生することができる。宿主細胞は、好ましくは原核細胞、好ましくはグラム陰性細菌である。より好ましくは、宿主細胞は、大腸菌細胞である。タンパク質発現のための原核生物宿主細胞は、当技術分野においてよく知られている(Terpe,2006)。宿主細胞は、抗体断片などの対象のタンパク質を産生するように遺伝的に改変された組換え細胞である。組換え大腸菌宿主細胞は、MC4100、TG1、TG2、DHB4、DH5α、DH1、BL21、K12、XL1Blue、及びJM109などを含む、任意の適した大腸菌株に由来してもよい。1つの例は、組換えタンパク質発酵のための一般に使用される宿主株である大腸菌株W3110(ATCC 27,325)である。抗体断片はまた、修飾大腸菌株、たとえば代謝突然変異体又はプロテアーゼ欠損大腸菌株を培養することによって産生することができる。
【0071】
本発明の方法に従って精製することができる抗体断片は、タンパク質の性質、産生の規模、及び使用される大腸菌株に依存して、大腸菌宿主細胞の周辺質又は宿主細胞培養上清において典型的に見つけられる。これらのコンパートメントにタンパク質を向けるための方法は、当技術分野においてよく知られている(Makrides,1996)。大腸菌の周辺質にタンパク質を導くための適したシグナル配列の例は、大腸菌PhoA、OmpA、OmpT、LamB、及びOmpFシグナル配列を含む。タンパク質は、天然の分泌経路に依存することによって又はタンパク質分泌を引き起こすための外膜の限られた漏出の誘発によって上清に向けられてもよく、これらの例は、pelBリーダー、プロテインAリーダー、バクテリオシン放出タンパク質の同時発現の使用、培地へのグリシンの追加に加えた、マイトマイシン誘発性のバクテリオシン放出タンパク質、及び膜透過処理のためのkil遺伝子の同時発現である。最も好ましくは、本発明の方法において、組換えタンパク質は、宿主大腸菌の周辺質において発現される。
【0072】
大腸菌宿主細胞における組換えタンパク質の発現はまた、誘発性の系の制御下にあってもよく、大腸菌における組換え抗体の発現は、誘発性のプロモーターの制御下にある。大腸菌における使用に適した多くの誘発性のプロモーターは、当技術分野においてよく知られており、プロモーターに依存し、組換えタンパク質の発現は、温度又は増殖培地における特定の物質の濃度などの因子を変化させることによって誘発することができる。誘発性のプロモーターの例は、ラクトース又は非加水分解性ラクトースアナログ、イソプロピル−b−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)により誘発性である大腸菌lac、tac、及びtrcプロモーター並びにそれぞれホスフェート、トリプトファン、及びL−アラビノースによって誘発されるphoA、trp、及びaraBADプロモーターを含む。発現は、たとえば、誘発因子の追加又は誘発が温度依存性である場合、温度の変化によって誘発されてもよい。組換えタンパク質発現の誘発が、培養物への誘発因子の追加によって達成される場合、誘発因子は、たとえば1回若しくは複数回の追加によって又は飼料を通しての誘発因子の緩やかな追加によって、発酵系及び誘発因子に依存して、任意の適した方法によって追加されてもよい。誘発因子の追加及びタンパク質発現の実際の誘発の間に遅延があってもよい、たとえば誘発因子がラクトースである場合、任意の先在する炭素源がラクトースより前に利用されると同時に、タンパク質発現の誘発が生じる前に、遅延があってもよいことが十分に理解されるであろう。
【0073】
大腸菌宿主細胞培養物(発酵)は、大腸菌の増殖及び組換えタンパク質の発現を支持する任意の培地において培養されてもよい。培地は、たとえば(Durany O,2004)において記載されるものなどの任意の合成培地であってもよい。
【0074】
大腸菌宿主細胞の培養は、必要とされる生産規模に依存して、振盪フラスコ又は発酵槽などの任意の適した容器において行われてもよい。1,000リットル〜約100,000リットルの容量を有する様々な大規模発酵槽が利用可能である。好ましくは、1,000〜50,000リットル、より好ましくは、1,000〜10,000又は12,000リットルの発酵槽が使用される。0.5〜1,000リットルの容量を有する、より小規模の発酵槽もまた、使用されてもよい。
【0075】
大腸菌の発酵は、タンパク質及び必要とされる収率に依存して、任意の適した系、たとえば、連続、回分又は半回分モードで実行されてもよい。回分モードは、使用されてもよく、栄養素又は誘発因子の追加は、必要とされる場合、1回である。その代わりに、半回分培養は、使用されてもよく、培養物は、発酵槽中に最初に存在する栄養素を使用して維持することができる最大比増殖速度で回分モードの前誘発で増殖され、1つ又は複数の栄養素供給管理形態は、発酵が完了するまで増殖速度を制御するために使用される。半回分モードはまた、大腸菌宿主細胞の代謝を制御し、より高度な細胞密度に達するのを可能にするために、前誘発に使用されてもよい。
【0076】
所望の場合、宿主細胞は、発酵培地からの収集にかけられてもよい、たとえば、宿主細胞は、遠心分離、ろ過、又は濃縮によって試料から収集されてもよい。特に、本発明の方法は、治療用の品質の抗体の大規模工業生産に適している。
【0077】
一実施形態では、本発明によるプロセスは、陽イオン交換クロマトグラフィー捕捉ステップ前に、細胞培養回収物の遠心分離のステップ、その後に続く、抽出緩衝剤の追加による宿主細胞の懸濁を含む。
【0078】
抗体断片などの対象のタンパク質が宿主細胞の細胞周辺腔中に見つけられる大腸菌発酵プロセスについては、宿主細胞からタンパク質を放出することが必要とされる。放出は、機械若しくは加圧処理、凍結融解処理、浸透圧衝撃、抽出剤、又は熱処理による細胞溶解などの、任意の適した方法によって達成されてもよい。タンパク質放出のためのそのような抽出方法は、当技術分野においてよく知られている。
【0079】
好ましい実施形態では、抽出緩衝剤は、試料に追加され、試料は、次いで、熱処理ステップにかけられる。熱処理ステップは、好ましくは、米国特許第5,655,866号において詳細に記載されるとおりである。熱処理ステップは、他の抗体関連性の物質の除去を促進することによって、可溶性の、正確にフォールドされ、且つ構築された抗体断片の試料を得ることを可能にする。
【0080】
熱処理ステップは、試料を所望の高い温度にかけることによって実行される。最も好ましくは、熱処理ステップは、30℃〜70℃の範囲内で実行される。温度は、所望されるように選択することができ、精製についての抗体の安定性に依存してもよい。他の実施形態では、温度は、40℃〜65℃の範囲内に、好ましくは、40℃〜60℃の範囲内に、より好ましくは、45℃〜60℃の範囲内に、さらにより好ましくは、50℃〜60℃の範囲内にあり、最も好ましくは、55℃〜60℃、58℃〜60℃、又は59℃である。したがって、最低温度は、30℃、35℃、又は40℃であり、最高温度は、60℃、65℃、又は70℃である。
【0081】
熱処理ステップは、好ましくは、長時間実行される。熱処理の長さは、好ましくは、1〜24時間、より好ましくは、4〜18時間、さらにより好ましくは、6〜16時間、最も好ましくは、10〜14時間、又は10〜12時間、たとえば12時間である。したがって、熱処理のための最小の時間は、1、2、又は3時間であり、最大の時間は、20、22、又は24時間である。
【0082】
特定の実施形態では、熱処理は、10〜16時間、50℃〜60℃で、より好ましくは、10〜12時間、59℃で実行される。当業者は、当該試料及び産生されている抗体の特徴に適するように温度及び時間を選択することができることを理解するであろう。
【0083】
抽出のステップの後に、抗体断片などの対象のタンパク質を含有する混合物は、pHを調整するステップ前に、遠心分離及び/又はろ過のステップにかけられてもよい。
【0084】
さらなる実施形態では、本発明の第1又は第2の態様の実施形態のいずれかによるプロセスは、VEGF−A、糖タンパク質IIb/IIIa受容体、C5、HER2/neu、TNFα、IL1β、CD40−L、OX40、又はICOSに特異的に結合する抗体断片、たとえばFab又はs Fab’で実行される。
【0085】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の第1又は第2の態様の実施形態のいずれかによるプロセスは、WO 01/094585(この内容は参照によって本明細書において組み込まれる)において記載されるように、ヒトTNFα、より好ましくは、CDP870に対して特異性を有する抗体断片である抗体断片を含む細胞周辺細胞抽出物で実行される。
【0086】
一実施形態では、ヒトTNFαに対して特異性を有する抗体断片は、重鎖を含み、可変ドメインは、CDRH1について配列番号1において示される配列、CDRH2について配列番号2において示される配列、又はCDRH3について配列番号3において示される配列を有するCDRを含む。
【0087】
一実施形態では、抗体断片は、CDRL1について配列番号4において示される配列、CDRL2について配列番号5において示される配列、又はCDRL3について配列番号6において示される配列を有するCDRを含む。
【0088】
一実施形態では、抗体断片は、CDRH1について配列番号1において示される配列、CDRH2について配列番号2において示される配列、又はCDRH3について配列番号3において示される配列を有するCDR及びCDRL1について配列番号4において示される配列、CDRL2について配列番号5において示される配列、又はCDRL3について配列番号6において示される配列を有するCDRを含む。
【0089】
一実施形態では、抗体断片は、CDRH1についての配列番号1、CDRH2についての配列番号2、CDRH3についての配列番号3、CDRL1についての配列番号4、CDRL2についての配列番号5、及びCDRL3についての配列番号6を含む。
【0090】
抗体断片は、好ましくは、CDR移植抗体断片分子であり、典型的に、可変ドメインは、ヒトアクセプターフレームワーク領域及び非ヒトドナーCDRを含む。
【0091】
好ましくは、抗体断片は、軽鎖可変ドメインCDP870(配列番号7)及び重鎖可変ドメインCDP870(配列番号8)を含む。
【0092】
抗体断片は、修飾Fab断片であることが好ましく、修飾は、エフェクター又はレポーター分子の付加を可能にするための、1つ又は複数のアミノ酸のその重鎖のC末端への追加である。好ましくは、さらなるアミノ酸は、エフェクター又はレポーター分子が付加されてもよい、1つ又は2つのシステイン残基を含有する修飾ヒンジ領域を形成する。そのような修飾Fab断片は、好ましくは、配列番号10として示される配列を含む又はそれから成る重鎖及び配列番号9として示される配列を含む又はそれから成る軽鎖を有する。
【0093】
さらなる実施形態では、本発明の第1又は第2の態様の実施形態のいずれかによるプロセスは、アブシキシマブ、ラニビズマブ、パキセリズマブ、CDP484、又はCDP7657で実行される。
【0094】
平衡化
本発明のさらなる実施形態では、最初の捕捉ステップのための陽イオン交換クロマトグラフィーカラムは、必要とされるpH及び伝導度で緩衝するため(たとえば、pH5の50mM酢酸ナトリウム又はpH4.0の50mM乳酸ナトリウム)に、適した組成の陰イオン緩衝剤により平衡化される。平衡化は、少なくとも2カラム容量の平衡化緩衝剤を使用して達成することができるが、また、1M NaClを含有する、2カラム容量の緩衝剤(カラムが、関連する対カチオンにより十分に満たされていることを確実にするために)、その後に続く、少なくとも2カラム容量の平衡化緩衝剤を用いる2ステップの平衡化プロセスを含んでいてもよい。
【0095】
本発明のさらなる実施形態では、第2のクロマトグラフィーステップの陰イオン交換クロマトグラフィーカラムは、平衡化緩衝剤が理想的には陽イオン緩衝剤、たとえば、pH8.0の20mM Tris HCl又はpH7.0の20mM bis−Tris HClであるという点を除いて、同じ方法で平衡化される。陰イオン交換クロマトグラフィーカラムの平衡化はまた、1M NaClを含有する緩衝剤(カラムが、関連する対アニオンにより十分に満たされていることを確実にするために)、その後に続く、平衡化緩衝剤を用いる2ステップ平衡化プロセス又は平衡化緩衝剤を直接用いる単一のステップを使用して達成することができる。
【0096】
洗浄
本発明のさらなる実施形態では、最初のステップのために陽イオン交換クロマトグラフィーカラムへの導入後、カラムは、少なくとも2カラム容量の平衡化緩衝剤により洗浄される。さらなる不純物は、より高い伝導度、たとえば0.5mScm以上の伝導度を有する洗浄緩衝剤を使用することによって除去されてもよい。
【0097】
本発明のさらなる実施形態では、第2のクロマトグラフィーステップのために陰イオン交換クロマトグラフィーカラムへの導入後、カラムは、2カラム容量までの平衡化緩衝剤により洗浄される。同様のpH及び伝導度を有する他の緩衝剤もまた、使用されてもよい。プロセス関連性の不純物の最大限の除去が所望される場合、より高い伝導度を有する緩衝剤は、推奨されない。
【0098】
溶離
本発明のさらなる実施形態では、抗体断片は、より高いpH、より高い伝導度、又はその2つの組み合わせのどちらかの緩衝剤を使用して、最初の捕捉ステップにおいて陽イオン交換クロマトグラフィーカラムから溶離される。伝導度の増加は、50mMを超える、好ましくは100mMを超える、さらにより好ましくは200mMを超える濃度の平衡化緩衝剤へのNaCl(又は他の塩)の追加により達成することができる。
【0099】
本発明のさらなる実施形態では、第2のクロマトグラフィーステップにおける陰イオン交換クロマトグラフィーカラムからの抗体断片の溶離は、導入及び洗浄のステップの間に生じる。結合した、プロセス関連性の不純物は、より低いpH、より高い伝導度、又はその両方の組み合わせのどちらかの緩衝剤を使用することによって溶離することができる。理想的には、より高い伝導度は、少なくとも70mS/cmであるはずである。
【0100】
これまでに本発明を十分に記載してきたが、本発明は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、また、不必要な実験作業を伴わないで、広範囲の等価なパラメーター、濃度、及び条件内で実行することができることが、当業者らによって十分に理解されるであろう。本発明が、その特定の実施形態に関連して記載されてきたが、さらなる修飾が可能であることが理解されるであろう。本出願は、一般に、本発明の原理に従って、また、本発明が属する当技術分野内の知られている又は通常の実施の範囲内に入り、上文に記載される本質的な特徴に適用されてもよく、添付の請求項の範囲に従う、本開示からのそのような逸脱を含めて、本発明のあらゆる変形、使用、又は適応を包含するように意図される。
【0101】
本明細書において使用されるように、「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、1つ又は複数のを意味してもよい。本明細書における用語「又は」の使用は、選択肢のみを指すように又は選択肢が相互に排他的であることが明示的に示されない限り、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は選択肢のみ並びに「及び/又は」を指す定義を支持する。本明細書において使用されるように、「他の」は、少なくとも第2の又はそれ以上の、を意味してもよい。
【0102】
本明細書において使用されるように、「X〜Y」は、X及びYを含む範囲を意味してもよい。
【0103】
雑誌の記事若しくは要約、公開若しくは非公開の米国若しくは外国特許出願、発行された米国若しくは外国特許、又は任意の他の参考文献を含む、本明細書において引用されるすべての参考文献は、引用される参考文献において示されるデータ、表、図、及び本文をすべて含めて、本明細書において参照によって全体的に組み込まれる。さらに、本明細書において引用される参考文献内に引用される参考文献の全内容もまた、参照によって全体的に組み込まれる。
【0104】
知られている方法ステップ、通常の方法ステップ、知られている方法、又は通常の方法に対する言及は、本発明のあらゆる態様、説明、又は実施形態が関連する技術分野において開示されている、教示されている、又は示唆されているという許可では決してない。
【実施例】
【0105】
(例1)
CDP870 Fab’は、1.9g/Lの濃度で、大腸菌W3110宿主細胞において異種タンパク質として発現された。異種タンパク質は、Tris−EDTAの追加及び50℃での熱処理によって宿主細胞の細胞周辺腔から放出された。細胞性の物質は、遠心分離を通して除去し、異種タンパク質を含有する細胞抽出物は、pH4.5までの酢酸の追加を通して調整した。次いで、pHを調整した細胞抽出物は、遠心分離及び0.2μmろ過による深層ろ過の組み合わせを使用して浄化した。
【0106】
浄化した抽出物(フィードストリーム)は、3.5mS/cmの伝導度を達成するために、水により4の希釈係数により希釈した。
【0107】
次いで、CDP870 Fab’を含有するフィードストリームは、GE HealthcareからのCapto S(商標)陽イオン交換カラム[デキストランリンカーを介して付加されたスルホネート陽イオン交換リガンドを有する高度に架橋された強固なアガロースビーズ(平均粒径90μm)(イオン容量0.11〜0.14mmol Na
+/ml)]上に400cm/hの流速で、約75g/L樹脂に導入された。Capto S(商標)陽イオン交換カラムは、7.7mmの直径を有する20cmのカラムベッド高を有した。カラムは、酢酸によりpH4.5に調整した、6カラム容量の50mM酢酸ナトリウム緩衝剤により、フィードストリーム導入前に平衡化された。
【0108】
導入後に、カラムは、すべての非結合物質が洗い落されるまで、酢酸によりpH4.5に調整した、5カラム容量の50mM酢酸ナトリウム緩衝剤により洗浄された。CDP870 Fab’画分は、酢酸によりpH4.5に調整した50mM酢酸ナトリウム及び250mM NaClの濃度までの勾配の20カラム容量により溶離した。溶離されたCDP870 Fab’は、280nmのUV吸光度が0.26AU/cmを超えた場合、それが0.54AU/cm未満に低下するまで収集された。
【0109】
CDP870 Fab’プールは、10kDaの名目分子量カットオフ値を有するポリエーテルスルホンベースの限外ろ過膜を使用して、遠心濃縮器において限外ろ過にかけ、6mg/mLまでのCDP870 Fab’プールの濃度がもたらされた。続いて、ダイアフィルトレーションは、20mM Tris中のCDP870 Fab’プールがpH8.0及び1.1mS/cmの伝導度に達するまで実行した。6容量の緩衝剤が、ダイアフィルトレーションに必要とされた。
【0110】
CDP870 Fab’プールは、GE HealthcareからのCapto Q(商標)陰イオン交換クロマトグラフィーカラム[デキストランリンカーを介して付加された第四級アミン陰イオン交換リガンドを有する高度に架橋された強固なアガロースビーズ(平均粒径90μm)(イオン容量0.16〜0.22mmol Cl
−/ml)]上に、500cm/hの流速で、1リットルの樹脂当たり約5gのCDP870 Fab’を適用して導入した。Capto Q(商標)陰イオン交換カラムは、7.7mmの直径を有する10cmのカラムベッド高を有した。カラムは、塩酸によりpH8.0に調整した、3カラム容量の20mM Tris/1M NaCl緩衝剤及び塩酸によりpH8.0に調整した、5カラム容量の20mM Trisの緩衝剤により、陰イオン交換クロマトグラフィーステップ前に平衡化した。
【0111】
次いで、カラムは、CDP870 Fab’を回収するために5カラム容量の平衡化緩衝剤により洗浄した。
【0112】
CDP870 Fab’画分の収集は、280nmのUV吸光度が導入の開始直後に0.5AU/cmを超えた場合に開始した。画分収集の終了は、洗浄の間に、UV吸光度が0.5AU/cm未満に低下した場合に行った。このステップによる抗体断片についての収率は、90.5%であった。
【0113】
(例2)
CDP870 Fab’は、1.9g/Lの濃度で、大腸菌宿主細胞において異種タンパク質として発現された。異種タンパク質は、Tris−EDTAの追加及び50℃での熱処理によって宿主細胞の細胞周辺腔から放出された。細胞性の物質は、遠心分離を通して除去し、異種タンパク質を含有する細胞抽出物は、pH4.5までの酢酸の追加を通して調整した。次いで、pHを調整した細胞抽出物は、遠心分離及び0.2μmろ過による深層ろ過の組み合わせを使用して浄化した。
【0114】
浄化した抽出物(フィードストリーム)は、3.5mS/cmの伝導度を達成するために、水により4の希釈係数により希釈した。
【0115】
次いで、CDP870 Fab’を含有するフィードストリームは、GE HealthcareからのCapto S陽イオン交換カラム[デキストランリンカーを介して付加されたスルホネート陽イオン交換リガンドを有する高度に架橋された強固なアガロースビーズ(平均粒径90μm)(イオン容量0.11〜0.14mmol Na
+/ml)]上に300cm/hの流速で、約51g/L樹脂に導入した。Capto S陽イオン交換カラムは、16mmの直径を有する20cmのカラムベッド高を有した。カラムは、酢酸によりpH4.5に調整した、3カラム容量の50mM酢酸ナトリウム/1M NaCl緩衝剤及び続いて、酢酸によりpH4.5に調整した、4カラム容量の50mM酢酸ナトリウム緩衝剤により、フィードストリーム導入前に平衡化した。
【0116】
導入後に、カラムは、すべての非結合物質が洗い落されるまで、酢酸によりpH4.5に調整した、6カラム容量の50mM酢酸ナトリウム緩衝剤により洗浄した。CDP870 Fab’画分は、酢酸によりpH4.5に調整した50mM酢酸ナトリウム及び200mM NaClを有する、8カラム容量までの緩衝剤により溶離した。溶離されたCDP870 Fab’は、280nmのUV吸光度が0.5AU/cmを超えた場合、それが0.5AU/cm未満に低下するまで収集された。
【0117】
CDP870 Fab’プールは、10kDの名目分子量カットオフ値を有するポリエーテルスルホンベースの限外ろ過膜を使用して、遠心濃縮器(Amicon)において限外ろ過にかけ、18mg/mLまでのCDP870 Fab’プールの濃度がもたらされた。続いて、ダイアフィルトレーションは、20mM Tris中のCDP870 Fab’プールがpH8.3及び1.0mS/cmの伝導度に達するまで実行した。6容量の緩衝剤が、ダイアフィルトレーションに必要とされた。
【0118】
CDP870 Fab’プールは、GE HealthcareからのCapto Q陰イオン交換クロマトグラフィーカラム[デキストランリンカーを介して付加された第四級アミン陰イオン交換リガンドを有する高度に架橋された強固なアガロースビーズ(平均粒径90μm)(イオン容量0.16〜0.22mmol Cl
−/ml)]上に、250cm/hの流速で、1リットルの樹脂当たり約30gのCDP870 Fab’を適用して導入した。Capto Q(商標)陰イオン交換カラムは、7.7mmの直径を有する10cmのカラムベッド高を有した。カラムは、塩酸によりpH8.3に調整した、3カラム容量の20mM Tris/1M NaCl緩衝剤及び塩酸によりpH8.3に調整した、5カラム容量の20mM Trisの緩衝剤により、陰イオン交換クロマトグラフィーステップ前に平衡化した。
【0119】
次いで、カラムは、CDP870 Fab’を回収するために5カラム容量の平衡化緩衝剤により洗浄した。
【0120】
CDP870 Fab’画分の収集は、280nmのUV吸光度が導入の開始直後に0.5AU/cmを超えた場合に開始した。画分収集の終了は、洗浄の間に、UV吸光度が2.0AU/cm未満に低下した場合に行った。
【0121】
(例3)
CDP870 Fab’は、2.5g/Lの濃度で、大腸菌宿主細胞において異種タンパク質として発現された。異種タンパク質は、Tris−EDTAの追加及び50℃での熱処理によって宿主細胞の細胞周辺腔から放出された。細胞性の物質は、遠心分離を通して除去し、異種タンパク質を含有する細胞抽出物は、pH4.5までの酢酸の追加を通して調整した。次いで、pHを調整した細胞抽出物は、遠心分離及び0.2μmろ過による深層ろ過の組み合わせを使用して浄化した。
【0122】
浄化した抽出物(フィードストリーム)は、4.0mS/cmの伝導度を達成するために、水により4の希釈係数により希釈した。
【0123】
次いで、CDP870 Fab’を含有するフィードストリームは、GE HealthcareからのCapto S陽イオン交換カラム[デキストランリンカーを介して付加されたスルホネート陽イオン交換リガンドを有する高度に架橋された強固なアガロースビーズ(平均粒径90μm)(イオン容量0.11〜0.14mmol Na
+/ml)]上に400cm/hの流速で、約60g/L樹脂に導入した。Capto S陽イオン交換カラムは、20cmの直径を有する24cmのカラムベッド高を有した。カラムは、酢酸によりpH4.5に調整した、3カラム容量の50mM酢酸ナトリウム/1M NaCl緩衝剤及び続いて、酢酸によりpH4.5に調整した、4カラム容量の50mM酢酸ナトリウム緩衝剤により、フィードストリーム導入前に平衡化した。
【0124】
導入後に、カラムは、すべての非結合物質が洗浄されるまで、酢酸によりpH4.5に調整した、6カラム容量の50mM酢酸ナトリウム緩衝剤により洗浄した。CDP870 Fab’画分は、酢酸によりpH4.5に調整した50mM酢酸ナトリウム及び250mM NaClを有する、5カラム容量までの緩衝剤により溶離した。溶離されたCDP870 Fab’は、280nmのUV吸光度が1.75AU/cmを超えた場合、それが0.55AU/cm未満に低下するまで収集された。
【0125】
CDP870 Fab’は、10kDa名目分子量カットオフ値を有する0.4m
2ポリエーテルスルホン膜(Pall 10k Omega Centramate T−Series)を使用してタンジェンシャルフローモードで限外ろ過にかけた。CDP870 Fab’は、Fab’溶液のpHがpH8.5となり、伝導度が0.8mS/cmとなるまで、5.8容量の20mM Tris pH8.5によるダイアフィルトレーション前に、51mg/mLまで濃縮した。Fab’は、限外ろ過装置から回収し、システムからあらゆる残りのFab’を洗浄するために使用した600mLの20mM Tris pH8.5緩衝剤と共にプールした。
【0126】
CDP870 Fab’プールは、GE HealthcareからのCapto Q陰イオン交換クロマトグラフィーカラム[デキストランリンカーを介して付加された第四級アミン陰イオン交換リガンドを有する高度に架橋された強固なアガロースビーズ(平均粒径90μm)(イオン容量0.16〜0.22mmol Cl
−/ml)]上に、200cm/hの流速で、1リットルの樹脂当たり約37gのCDP870 Fab’を適用して導入した。Capto Q(商標)陰イオン交換カラムは、20cmの直径を有する24cmのカラムベッド高を有した。カラムは、塩酸によりpH8.5に調整した、3カラム容量の20mM Tris/1M NaCl緩衝剤及び塩酸によりpH8.5に調整した、5カラム容量の20mM Trisの緩衝剤により、陰イオン交換クロマトグラフィーステップ前に平衡化した。
【0127】
次いで、カラムは、CDP870 Fab’を回収するために5カラム容量の平衡化緩衝剤により洗浄した。
【0128】
CDP870 Fab’画分の収集は、280nmのUV吸光度が導入の開始直後に0.5AU/cmを超えた場合に開始した。画分収集の終了は、洗浄の間に、UV吸光度が2.0AU/cm未満に低下した場合に行った。
(例4)
参考文献