特許第5893630号(P5893630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5893630外科用装置を関節運動させるための制御特徴
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893630
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】外科用装置を関節運動させるための制御特徴
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20160310BHJP
【FI】
   A61B17/39 310
【請求項の数】7
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2013-530302(P2013-530302)
(86)(22)【出願日】2011年9月22日
(65)【公表番号】特表2013-540002(P2013-540002A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】US2011052707
(87)【国際公開番号】WO2012040430
(87)【国際公開日】20120329
【審査請求日】2014年9月11日
(31)【優先権主張番号】61/386,094
(32)【優先日】2010年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595057890
【氏名又は名称】エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウォレル・バリー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ツィファン・エフ
(72)【発明者】
【氏名】レスコ・ジェイソン・アール
(72)【発明者】
【氏名】ミラー・マシュー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ストローブル・ジョフリー・エス
(72)【発明者】
【氏名】ツリーズ・グレゴリー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ブラック・チャールズ・エス
(72)【発明者】
【氏名】クレム・ウィリアム・イー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・エムロン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】モンゴメリー・ケビン・エム
【審査官】 佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−82705(JP,A)
【文献】 特表2010−505522(JP,A)
【文献】 特開2006−116194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用装置であって、
(a)本体と、
(b)エンドエフェクタであって
(i)第1のつかみ具と、
(ii)第2のつかみ具と、
を備え、前記第1のつかみ具が、前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に組織を挟持するように、前記第2のつかみ具に向かって移動可能であり、
前記つかみ具のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの電極を備え、
前記少なくとも1つの電極が、前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に挟持される組織に無線周波数エネルギーを供給するように動作可能である、エンドエフェクタと、
(c)前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に挟持される組織を切断するように動作可能な切断部材と、
(d)前記本体と前記エンドエフェクタとの間に延在するシャフトであって、前記シャフトが、長手軸線を画定し、前記シャフトが、関節セクションを含み、前記関節セクションが、前記エンドエフェクタを前記シャフトの前記長手軸線に対して非平行な位置に選択的に位置付けるように動作可能であり、前記本体が、前記関節セクションを選択的に作動させるように動作可能な制御装置を含む、シャフトと、を備え
前記制御装置が、ノブを備え、
前記ノブが、前記シャフトの前記長手軸線に対して傾斜した平面に沿って、前記シャフトの前記長手軸線を中心に回転可能である、電気外科用装置。
【請求項2】
前記制御装置が、球状駆動部を更に備え、前記ノブが、前記球状駆動部の周囲に配置される、請求項に記載の電気外科用装置。
【請求項3】
前記制御装置が、第1のネジ山領域と、第2のネジ山領域とを含み、前記第1のネジ山領域が、第1の配向を有するネジ切り部を含み、前記第2のネジ山領域が、第2の配向を有するネジ切り部を含み、前記第2の配向が、前記第1の配向とは逆であり、前記制御装置が、前記第1及び前記第2のネジ山領域を共通方向に同時に回転させるように動作可能である、請求項1に記載の電気外科用装置。
【請求項4】
前記制御装置が、前記第1のネジ山領域と係合される第1の主ネジと、前記第2のネジ山領域と係合される第2の主ネジとを更に備え、前記主ネジが、前記第1及び第2のネジ山領域が前記共通方向に回転されるのに応えて、逆方向に並進するように構成される、請求項に記載の電気外科用装置。
【請求項5】
前記第1の主ネジと連結される第1の関節部材と、前記第2の主ネジと連結される第2の関節部材とを更に備え、前記第1及び前記第2の関節部材が、前記主ネジの並進に応えて、前記シャフトを通って長手方向に並進し、それによって前記関節セクションを作動させる、請求項に記載の電気外科用装置。
【請求項6】
前記第1の主ネジを前記第1の関節部材と調整して連結するように、前記第1の主ネジと前記第1の関節部材との間で選択的に位置付け可能な第1の回転部材を更に備える、請求項に記載の電気外科用装置。
【請求項7】
前記シャフトを通って長手方向に延在する第1の関節バンドと、前記シャフトを通って長手方向に延在する第2の関節バンドとを更に備え、第1及び第2の関節バンドが、前記関節セクションを選択的に屈曲又は枢動させるように、前記関節セクションと更に連結され、前記制御装置が、前記関節バンドを逆方向に並進させるように動作可能である、請求項1に記載の電気外科用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年9月24日に出願された「Articulating Surgical Device」と題された米国仮出願第61/386,094号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
様々な外科用器具は、組織切断要素、及び無線周波数エネルギーを組織に伝達する(例えば、組織を凝固させる、又は封止するために)1つ以上の要素を含む。そのような装置の例は、Cincinnati,OhioのEthicon Endo−Surgery,Inc.によるENSEAL(登録商標)組封止装置である。そのような装置の更なる例、及び関連概念は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2002年12月31日に発行された「Electrosurgical Systems and Techniques for Sealing Tissue」と題された米国特許第6,500,176号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2006年9月26日に発行された「Electrosurgical Instrument and Method of Use」と題された米国特許第7,112,201号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2006年10月24日に発行された「Electrosurgical Working End for Controlled Energy Delivery」と題された米国特許第7,125,409号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年1月30日に発行された「Electrosurgical Probe and Method of Use」と題された米国特許第7,169,146号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月6日に発行された「Electrosurgical Jaw Structure for Controlled Energy Delivery」と題された米国特許第7,186,253号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年3月13日に発行された「Electrosurgical Instrument」と題された米国特許第7,189,233号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年5月22日に発行された「Surgical Sealing Surfaces and Methods of Use」と題された米国特許第7,220,951号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年12月18日に発行された「Polymer Compositions Exhibiting a PTC Property and Methods of Fabrication」と題された米国特許第7,309,849号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2007年12月25日に発行された「Electrosurgical Instrument and Method of Use」と題された米国特許第7,311,709号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年4月8日に発行された「Electrosurgical Instrument and Method of Use」と題された米国特許第7,354,440号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年6月3日に発行された「Electrosurgical Instrument」と題された米国特許第7,381,209号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2011年4月14日に公開された「Surgical Instrument Comprising First and Second Drive Systems Actuatable by a Common Trigger Mechanism」と題された米国公開第2011/0087218号、及び開示が参照により本明細書に組み込まれる、2011年6月2日に出願された「Motor Driven Electrosurgical Device with Mechanical and Electrical Feedback」と題された米国出願第13/151,181号に開示されている。
【0003】
加えて、様々な外科用器具は、シャフトの関節セクションの遠位に位置するエンドエフェクタの向上した位置付け能力を提供する関節セクションを有する、シャフトを含む。そのような装置の例には、Cincinnati,OhioのEthicon Endo−Surgery,Inc.によるENDOPATH(登録商標)エンドカッターの様々なモデルが挙げられる。そのような装置の更なる例、及び関連概念は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年6月3日に発行された「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two−Piece E−Beam Firing Mechanism」と題された米国特許第7,380,696号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年7月29日に発行された「Surgical Stapling and Cutting Device」と題された米国特許第7,404,508号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2008年11月25日に発行された「Surgical Instrument with Articulating Shaft with Rigid Firing Bar Supports」と題された米国特許第7,455,208号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2009年3月24日に発行された「Surgical Instrument Incorporating an Electrically Actuated Articulation Mechanism」と題された米国特許第7,506,790号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2009年6月23日に発行された「Surgical Stapling Instrument with an Articulating End Effector」と題された米国特許第7,549,564号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2009年7月14日に発行された「Surgical Instrument Incorporating a Fluid Transfer Controlled Articulation Mechanism」と題された米国特許第7,559,450号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年2月2日に発行された「Surgical Instrument with Guided Laterally Moving Articulation Member」と題された米国特許第7,654,431号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年8月24日に発行された「Surgical Instrument with Laterally Moved Shaft Actuator Coupled to Pivoting Articulation Joint」と題された米国特許第7,780,054号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年8月31日に発行された「Surgical Instrument with Articulating Shaft with Single Pivot Closure and Double Pivot Frame Ground」と題された米国特許第7,784,662号、及び開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年9月21日に発行された「Surgical Instrument Articulation Joint Cover」と題された米国特許第7,798,386号に開示されている。
【0004】
幾つかの医療装置が作製され使用されてきたが、本発明者より以前に添付の特許請求の範囲に記載される発明を作製又は使用した者は存在しないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本明細書の末尾にはこの技術を具体的に示し、明確にその権利を請求する特許請求の範囲が付属しているが、この技術は下記の特定の実施形態の説明を添付図面と併せ読むことでより深い理解が得られるものと考えられる。図中、同様の参照符合は同様の要素を示す。
図1】例示的な電気外科用医療装置の側面立面図。
図2】開放構成の図1の装置のエンドエフェクタの斜視図。
図3】開放構成の図1の装置のエンドエフェクタの別の斜視図。
図4】閉鎖構成であり、かつブレードが遠位位置にある状態の図2のエンドエフェクタの断面端面図。
図5】関節制御ノブを有する、別の例示的な電気外科用医療装置の斜視図。
図6図5の線分6−6に沿って切り取った、図5の装置のシャフトアセンブリの断面端面図。
図7図5の装置のシャフトアセンブリ及びエンドエフェクタの構成要素の斜視図。
図8図5の装置のシャフトアセンブリの支持部材の斜視図。
図9】支持部材の一方の側に沿った、図5の装置の関節制御構成要素の部分斜視図。
図10】支持部材の別の側に沿った、図5の装置の関節制御構成要素の部分斜視図。
図11図9及び図10の関節制御構成要素の平面図。
図12】シースによって包囲された、図9の関節制御構成要素の部分斜視図。
図13】半分のハウジングが除去された状態の図5の装置のハンドルアセンブリの側面立面図。
図14】関節制御ノブ本体の半分が除去された状態の図13のハンドルアセンブリの関節制御構成要素の側面立面図。
図15図9及び図10の関節制御構成要素と連結された、図13のハンドルアセンブリの関節制御構成要素の斜視図。
図16図15の線分16−16に沿って切り取った、図15の関節制御構成要素の側面断面図。
図17A】関節セクションが実質的にまっすぐな構成の図5の装置のシャフトの関節制御構成要素及び関節セクションの部分断面図。
図17B】関節セクションが関節の第1の段階にある状態の図17Aの構成要素の部分断面図。
図17C】関節セクションが関節の第2の段階にある状態の図17Aの構成要素の部分断面図。
図18】角度が付けられた関節制御ノブを有する、別の例示的な電気外科用医療装置の側面立面図。
図19図18の装置のハンドルアセンブリ内の関節制御構成要素の断面図。
図20図19の関節制御構成要素のうちの幾つかの分解斜視図。
図21】例示的な代替えの関節制御構成要素の斜視図。
図22】枢動半球状関節制御ノブを有する、別の例示的な電気外科用医療装置の斜視図。
図23図22の線分23−23に沿って切り取った、図22の装置の関節制御構成要素の断面図。
図24図23の関節制御構成要素の斜視図。
図25図22の装置のハウジング構成要素の分解斜視図。
図26】枢動関節制御フィンを有する、別の例示的な電気外科用医療装置の斜視図。
図27図26の装置の関節制御構成要素の斜視図。
図28図26の装置の関節制御構成要素の別の斜視図。
図29図27及び図28の関節制御構成要素のうちの幾つかの平面図。
図30】ハンドルアセンブリの半分のハウジングが除去された状態の図5の装置のハンドルアセンブリの遠位部の斜視図。
図31図30の遠位部の例示的な電気的連結具。
図32】例示的な代替えの電気的連結具。
図33図30の遠位部に取り付けられた、図32の電気的連結具の部分断面斜視図。
図34】別の例示的な代替えの電気的連結具。
図35】ハンドルアセンブリの半分のハウジングが除去された状態の図5の装置のハンドルアセンブリの近位部の側面立面図。
図36図35の近位部の例示的な電気的連結具の斜視図。
図37A】第1の位置にある例示的な戻り支援枢動カム特徴を含む、ハンドルアセンブリの一部分の側面立面図。
図37B】戻り支援枢動カム特徴が第2の位置にある状態の図37Aの構成要素の側面立面図。
図37C】戻り支援枢動カム特徴が第3の位置にある状態の図37Aの構成要素の側面立面図。
【0006】
各図面は、いかなる意味においても限定的なものではなく、図に必ずしも示されていないものを含め、技術の様々な実施形態を様々な他の方法で実施し得ることが考えられる。本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付の図面は、本技術の幾つかの態様を示すものであり、説明文とともに技術の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながらこの技術は図に示されるまさにその構成に限定されない点が理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
技術の特定の実施例に関する以下の説明は、その範囲を限定するために使用されるべきではない。技術の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点が、以下の説明から当業者に明らかになるであろう。以下の説明は、実例として、技術を実施するために企図される最良の形態の1つである。理解されるであろう通り、本明細書で説明された技術は、いずれもこの技術から逸脱することなく、その他の様々で明白な態様も実施することができる。したがって、図面及び説明は、例示的な性質のものであり、限定的なものであると見なされるべきではない。
【0008】
更に、本明細書に記載される教示、表現、実施形態、例などのいずれの1つ又は複数も、本明細書に記載される他の教示、表現、実施形態、例などのいずれの1つ又は複数とも組み合わせることができることを理解されたい。したがって、下記に記載される教示、表現、実施形態、例などは、互いに独立であると考えられるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる種々の適切な方法は、本明細書の教示を考慮することで、当業者に容易に明らかになるであろう。こうした修正及び変形は、特許請求の範囲内に含まれるものとする。
【0009】
I.関節特徴を有する例示的な電気外科用装置
図1図4は、米国特許第6,500,176号、同第7,112,201号、同第7,125,409号、同許第7,169,146号、同第7,186,253号、同第7,189,233号、同第7,220,951号、同第7,309,849号、同第7,311,709号、同第7,354,440号、同第7,381,209号、米国特許公開第2011/0087218号、及び/又は米国特許出願第13/151,181号の教示のうちの少なくとも幾つかに従って構築され、動作可能である、例示的な電気外科用器具(10)を示す。その中に記載され、以下により詳細に記載されるように、電気外科用器具(10)は、実質的に同時に、組織を切断し、組織(例えば、血管など)を封止又は溶接するように動作可能である。換言すれば、電気外科用器具(10)は、電気外科用器具(10)が、組織を接合するホッチキスの線を提供する代わりに、双極無線周波数エネルギーの適用を通して組織溶接を提供することを除き、エンドカッター型のホッチキスと同様に動作する。また、電気外科用器具(10)は、Cincinnati,OhioのEthicon Endo−Surgery,Inc.によるENSEAL(登録商標)組織封止装置との様々な構造的及び機能的類似性を有してもよいことも理解されたい。更に、電気外科用器具(10)は、参照により本明細書に組み込まれる、他の引用文献のいずれかにおいて教示される装置との様々な構造的及び機能的類似性を有してもよい。本明細書の引用文献の教示、Cincinnati,OhioのEthicon Endo−Surgery,Inc.によるENSEAL(登録商標)組織封止装置と、電気外科用器具(10)に関する以下の教示との間にある程度の重複が存在する範囲内で、本明細書の説明のいずれかを自認した従来技術であると見なす意図はない。事実、以下の幾つかの教示は、本明細書の引用文献の教示、及びCincinnati,OhioのEthicon Endo−Surgery,Inc.によるENSEAL(登録商標)組織封止装置の範囲を越える。
【0010】
A.例示的なハンドピース及びシャフト
本実施例の電気外科用器具(10)は、ハンドピース(20)と、ハンドピース(20)から遠位に延在するシャフト(30)と、シャフト(30)の遠位端に配置されるエンドエフェクタ(40)と、を含む。本実施例のハンドピース(20)は、ピストルグリップ(22)と、枢動トリガ(24)と、起動ボタン(26)と、関節制御(28)と、を含む。トリガ(24)は、以下により詳細に記載されるように、エンドエフェクタ(40)を選択的に作動させるように、ピストルグリップ(22)に向かって、及びそれから離れるように枢動可能である。起動ボタン(26)は、以下に同様により詳細に記載されるように、エンドエフェクタ(40)と連通している無線周波数回路を選択的に起動させるように動作可能である。幾つかのバージョンでは、また、起動ボタン(26)は、ボタン(26)が同時に押されない限り、トリガ(24)を完全に作動させることができないというような、トリガ(24)に対する機械的ロックアウトとしての機能も果たす。どのように上記のようなロックアウトが提供され得るかの実施例は、本明細書の引用文献の1つ以上に開示されている。ピストルグリップ(22)、トリガ(24)、及びボタン(26)は、任意の好適な方法で修正、置換、補完などされてもよく、本明細書のそのような構成要素の説明は、例証に過ぎないことを理解されたい。本実施例の関節制御(28)は、シャフト(30)の関節セクション(36)を選択的に制御するように動作可能であり、これは、以下により詳細に記載される。また、関節制御(28)がとり得る形態の様々な実施例も以下により詳細に記載され、同時に、本明細書の教示を考慮することで、更なる実施例が当業者に明らかになるであろう。
【0011】
本実施例のシャフト(30)は、外側シース(32)と、関節セクション(36)と、を含む。関節セクション(36)は、シース(32)によって画定される長手軸線に対して様々な角度で、エンドエフェクタ(40)を選択的に位置付けるように動作可能である。シャフト(30)の関節セクション(36)及び他の構成要素がとり得る形態の様々な実施例は、以下により詳細に記載され、同時に、本明細書の教示を考慮することで、更なる実施例が当業者に明らかになるであろう。例えば、関節セクション(36)を作動させるように動作可能である様々な構成要素は、シース(32)の内部を通って延在してもよいことを理解されたい。幾つかのバージョンでは、また、シャフト(30)は、ノブ(34)を介して、ハンドピース(20)に対して、シース(32)によって画定される長手軸線を中心に回転可能でもある。そのような回転は、エンドエフェクタ(40)及びシャフト(30)の一体回転を提供してもよい。幾つかの他のバージョンでは、ノブ(34)は、関節セクション(36)の近位のシャフト(30)のいかなる部分も回転させることなく、エンドエフェクタ(40)を回転させるように動作可能である。別の単なる例証的な実施例として、電気外科用器具(10)は、シャフト(30)及びエンドエフェクタ(40)の単一のユニットとしての回転能力を提供する一回転制御、及び関節セクション(36)の近位のシャフト(30)のいかなる部分も回転させることのない、エンドエフェクタ(40)の回転能力を提供する別の回転制御を含んでもよい。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な回転スキームが、当業者に明らかになるであろう。もちろん、回転可能な特徴は、所望により、単に省略されてもよい。
【0012】
B.例示的なエンドエフェクタ
本実施例のエンドエフェクタ(40)は、第1のつかみ具(42)と、第2のつかみ具(44)と、を備える。本実施例では、第2のつかみ具(44)は、シャフト(30)に対して実質的に固定され、一方、第1のつかみ具(42)は、第2のつかみ具(42)に向かって、及びそれから離れるようにシャフト(30)に対して枢動する。幾つかのバージョンでは、ロッド又はケーブルなどの作動装置は、作動装置ロッド/ケーブルなどのシャフト(30)を通る長手方向移動が、シャフト(30)及び第2のつかみ具(44)に対する第1のつかみ具(42)の枢動を提供するように、シース(32)を通って延在し、枢動連結具(43)で第1のつかみ具(42)と接合されてもよい。もちろん、つかみ具(42、44)は、上記の代わりに、任意の他の好適な種類の移動を有してもよく、任意の他の好適な方法で作動されてもよい。一例として、及び以下により詳細に記載されるように、幾つかのバージョンでは、作動装置ロッド/ケーブルなどが単に排除され得るように、つかみ具(42、44)は、発射ビーム(60)の長手方向並進によって作動され、したがって閉鎖されてもよい。
【0013】
図2図4に最も良く見られるように、第1のつかみ具(42)は、長手方向に延在する細長いスロット(46)を画定し、一方、また、第2のつかみ具(44)も、長手方向に延在する細長いスロット(48)を画定する。加えて、第1のつかみ具(42)の上面は、第1の電極表面(50)を提示し、一方、第2のつかみ具(44)の下面は、第2の電極表面(52)を提示する。電極表面(50、52)は、シャフト(30)の長さに沿って延在する1つ以上の導電体(図示せず)を介して、電源(80)と連通している。電源(80)は、無線周波数電流が、電極表面(50、52)の間を流れ、それによってつかみ具(42、44)の間に捕捉される組織を通るように、第1の電極表面(50)に第1の極性で、及び第2の電極表面(52)に第2の(逆の)極性で無線周波数エネルギーを供給するように動作可能である。幾つかのバージョンでは、発射ビーム(60)は、つかみ具(42、44)の間に捕捉される双極無線周波数エネルギーの供給のための、電極表面(50、52)と協働する(例えば、地帰路として)導電体としての機能を果たす。電源(80)は、本明細書の1つ以上の引用文献に記載されるように、ないしは別の方法で、電気外科用器具(10)の外部であってもよく、又は電気外科用器具(10)と一体(例えば、ハンドピース(20)内など)であってもよい。制御装置(82)は、電源(80)から電極表面(50、52)への電力の供給を調節する。また、制御装置(82)も、本明細書の1つ以上の引用文献に記載されるように、ないしは別の方法で、電気外科用器具(10)の外部であってもよく、又は電気外科用器具(10)と一体(例えば、ハンドピース(20)内など)であってもよい。また、電極表面(50、52)は、様々な代替えの位置、構成、及び関係で提供されてもよいことも理解されたい。
【0014】
図4に最も良く見られるように、第1のつかみ具(42)の下面は、スロット(46)に隣接する、長手方向に延在する陥凹(58)を含み、一方、第2のつかみ具(44)の上面は、スロット(48)に隣接する、長手方向に延在する陥凹(58)を含む。図2は、複数の鋸歯状歯(46)を含む、第1のつかみ具(42)の上面を示す。組織を必ずしも引き裂くことなく、つかみ具(42、44)の間に捕捉される組織の把持を向上するために、第2のつかみ具(44)の下面は、鋸歯(46)と入れ子の補完的鋸歯を含んでもよいことを理解されたい。図3は、第2のつかみ具(44)内に主に突起である鋸歯(48)を有する、第1のつかみ具(42)内の主に陥凹である鋸歯(46)の実施例を示す。もちろん、鋸歯(46、48)は、任意の他の好適な形態をとってもよく、又は完全に単に省略されてもよい。また、鋸歯(46、48)は、例えば、プラスチック、ガラス、及び/若しくはセラミックなどの非導電性又は絶縁性の材料で形成されてもよく、組織がつかみ具(42、44)に詰まるのを実質的に防止する、ポリテトラフルオロエチレン、潤滑剤などの処理、又は幾つかの他の処理を含んでもよいことも理解されたい。
【0015】
もちろん、所望により、また、電気外科用器具(10)を切開処置で使用することもできるが、シャフト(30)及びエンドエフェクタ(40)は、電気外科用器具(10)が最小限に侵襲的な手術で使用可能であるように、つかみ具(42、44)が閉鎖位置にある状態で、様々な内径を有するトロカールに適合して通り抜けるように寸法決定され、構成される。一例として、シャフト(30)及びエンドエフェクタ(40)は、つかみ具(42、44)が閉鎖位置にある状態で、約5mmの外径を提示してもよい。あるいは、シャフト(30)及びエンドエフェクタ(40)は、任意の他の好適な外径(例えば、約2mm〜約20mmなど)を提示してもよい。
【0016】
別の単なる例証的な変形として、つかみ具(42、44)のいずれか又はつかみ具(42、44)の両方は、水蒸気、煙、及び/若しくは他のガス/蒸気などを手術部位から引き出すように動作可能である、少なくとも1つポート、通路、導管、並びに/又は他の特徴を含んでもよい。そのような特徴は、外部源又はハンドピース(20)内の源などの吸引源と連通していてもよい。加えて、エンドエフェクタ(40)は、電極表面(50、52)が起動される際にエンドエフェクタ(40)によってもたらされる、隣接組織への熱拡散の程度又は範囲を低減する、1つ以上の組織冷却特徴(図示せず)を含んでもよい。本明細書の教示を考慮することで、そのような冷却特徴がとり得る様々な好適な形態が、当業者に明らかになるであろう。
【0017】
幾つかのバージョンでは、エンドエフェクタ(40)は、隣接組織の温度、隣接組織の電気抵抗又はインピーダンス、隣接組織を通した電圧、隣接組織がつかみ具(42、44)上に及ぼす力などを含むが、これらに限定されない、様々なパラメータを感知するように構成される、1つ以上のセンサ(図示せず)をエンドエフェクタ(40)に含む。一例として、エンドエフェクタ(40)は、電極(50、52)に隣接して、及び/又は他の場所に位置する、1つ以上の正の温度係数(PTC)サーミスタ本体(54、56)(例えば、PTCポリマーなど)を含んでもよい。センサからのデータは、制御装置(82)に通信されてもよい。制御装置(82)は、上記のようなデータを様々な方法で処理してもよい。一例として、制御装置(82)は、少なくとも一部において、エンドエフェクタ(40)の1つ以上のセンサから取得されるデータに基づき、電極表面(50、52)に供給される無線周波数エネルギーを調節する、ないしは別の方法で変化させてもよい。加えて、又は代替えとして、制御装置(82)は、少なくとも一部において、エンドエフェクタ(40)の1つ以上のセンサから取得されるデータに基づき、音響及び/又は視覚フィードバック装置(例えば、スピーカ、ライト、表示画面など)を介して、1つ以上の状態をユーザーに警告してもよい。また、幾つか種類のセンサは、必ずしも制御装置(82)と通信している必要はなく、エンドエフェクタ(40)での純粋に局部的な影響を単に提供してもよいことも理解されたい。例えば、エンドエフェクタ(40)のPTCサーミスタ本体(54、56)は、組織及び/又はエンドエフェクタ(40)の温度が上昇する際に、電極表面(50、52)でのエネルギー供給を自動的に減少させ、それによって、過熱の可能性を低減してもよい。幾つかのそのようなバージョンでは、PTCサーミスタ要素は、電源(80)及び電極表面(50、52)と直列であり、PTCサーミスタは、温度が閾値を超えるのに応えて、増加したインピーダンスを提供する(電流の流量を減少させる)。更に、電極表面(50、52)は、センサ(例えば、組織インピーダンスなどを感知するための)として使用されてもよいことを理解されたい。本明細書の教示を考慮することで、電気外科用器具(10)に組み込まれ得る様々な種類のセンサが、当業者に明らかになるであろう。同様に、本明細書の教示を考慮することで、制御装置(82)によって、ないしは別の方法で、センサからのデータを用いて行うことができる様々なことが、当業者に明らかになるであろう。また、本明細書の教示を考慮することで、エンドエフェクタ(40)の他の好適な変形も、当業者に明らかになるであろう。
【0018】
C.例示的な発射ビーム
また、図2図4にも見られるように、本実施例の電気外科用器具(10)は、エンドエフェクタ(40)の長さの部分に沿って長手方向に移動可能である、発射ビーム(60)を含む。発射ビーム(60)は、シャフト(30)内に同軸上に位置付けられ、シャフト(30)の長さに沿って延在し、シャフト(30)内(本実施例では、関節セクション(36)を含む)で長手方向に並進するが、とはいえ、発射ビーム(60)及びシャフト(30)は、任意の他の好適な関係を有してもよいことを理解されたい。発射ビーム(60)は、鋭い遠位ブレード(64)と、上フランジ(62)と、下フランジ(66)と、を含む。図4に最も良く見られるように、遠位ブレード(64)は、つかみ具(42、44)のスロット(46、48)を通って延在し、上フランジ(62)は、つかみ具(44)の上の陥凹(59)内に位置し、下フランジ(66)は、つかみ具(42)の下の陥凹(58)内に位置する。遠位ブレード(64)及びフランジ(62、66)の構成は、発射ビーム(60)の遠位端で「I形ビーム」型の断面を提供する。本実施例では、フランジ(62、66)は、発射ビーム(60)の長さのごく一部のみに沿って長手方向に延在するが、フランジ(62、66)は、発射ビーム(60)の任意の好適な長さに沿って長手方向に延在してもよいことを理解されたい。加えて、フランジ(62、66)は、つかみ具(42、44)の外側に沿って位置付けられているが、フランジ(62、66)は、代替えとして、つかみ具(42、44)内に形成される対応するスロット内に配置されてもよい。例えば、それぞれのつかみ具(42、44)が、「T字」形状のスロットを画定し、遠位ブレード(64)の部分が、それぞれの「T字」形状のスロットの1つの垂直部分内に配置され、フランジ(62、66)が、「T字」形状のスロットの水平部分内に配置されてもよい。本明細書の教示を考慮することで、様々な他の好適な構成及び関係が、当業者に明らかになるであろう。
【0019】
遠位ブレード(64)は、遠位ブレードがつかみ具(42、44)の間に捕捉される組織を容易に切断するように、実質的に鋭い。また、本実施例では、遠位ブレード(64)は、電気的に接地されており、本明細書の他の場所に記載されるように、無線周波数エネルギーに帰路を提供する。幾つかの他のバージョンでは、遠位ブレード(64)は、活性電極としての機能を果たす。加えて、又は代替えとして、遠位ブレード(64)は、超音波エネルギー(例えば、約55.5kHzの調和振動など)で選択的にエネルギーを与えられてもよい。
【0020】
発射ビーム(60)の「I形ビーム」型の構成は、発射ビーム(60)が遠位に前進させられる際、つかみ具(42、44)を閉鎖する。具体的に、フランジ(62)は、発射ビーム(60)が近位位置(図1図3)から遠位位置(図4)に前進させられる際、つかみ具(44)を、つかみ具(44)内に形成される陥凹(59)に押し当てることによって、枢動させてつかみ具(42)に向かわされる。この発射ビーム(60)によるつかみ具(42、44)への閉鎖効果は、遠位ブレード(64)がつかみ具(42、44)内に捕捉される組織に到達する前に生じてもよい。発射ビーム(60)がそのような段階を経験することで、グリップ(24)を握持して最大発射ストロークを通して発射ビーム(60)を作動させるために要求される力が低減され得る。換言すれば、幾つかのそのようなバージョンでは、発射ビーム(60)は、つかみ具(42、44)の間に捕捉される組織からの抵抗を経験する前に、組織上でつかみ具(42、44)を実質的に閉鎖するために必要とされる初期抵抗を既に克服していてもよい。もちろん、任意の他の好適な段階が提供されてもよい。
【0021】
本実施例では、フランジ(62)は、発射ビーム(60)が近位位置に後退させられる際につかみ具(42)を開放し、発射ビーム(60)が近位位置に留まる際につかみ具(42)を開放状態に保持するように、つかみ具(44)の近位端の傾斜面特徴に対してカム係合するように構成される。このカム係合能力は、つかみ具(42、44)を閉鎖位置から強制的に離すことによって、組織の層を分離するため、鈍的剥離などを実施するためなどのエンドエフェクタ(40)の使用を容易にし得る。幾つかの他のバージョンでは、つかみ具(42、44)は、バネ又は他の種類の弾性特徴によって、開放位置に弾性的に付勢される。本実施例では、つかみ具(42、44)は、発射ビーム(60)が並進させられる際に閉鎖又は開放するが、他のバージョンは、つかみ具(42、44)及び発射ビーム(60)の独立した動きを提供してもよいことを理解されたい。一例として、つかみ具(42、44)を発射ビーム(60)とは独立して選択的に作動させるために、1つ以上のケーブル、ロッド、ビーム、又は他の特徴が、シャフト(30)を通って延在してもよい。そのようなつかみ具(42、44)作動特徴は、ハンドピース(20)の固有の特徴によって、別々に制御されてもよい。あるいは、トリガ(24)に発射ビーム(60)を制御させることに加えて、トリガ(24)によって、そのようなつかみ具作動特徴が制御されてもよい。また、発射ビーム(60)は、ユーザーがトリガ(24)上のそれらのグリップを緩める際に、発射ビーム(60)が近位に後退するように、近位位置に弾性的に付勢されてもよいことも理解されたい。
【0022】
D.例示的な動作
例示的な使用では、エンドエフェクタ(40)は、トロカールを介して患者に挿入される。エンドエフェクタ(40)及びシャフト(30)の部分がトロカールを通して挿入される際、関節セクション(36)は、実質的にまっすぐである。次いで、エンドエフェクタ(40)を患者内の解剖学的構造に対する所望の位置及び配向に位置付けるために、シャフト(30)の関節セクション(36)を枢動させる、又は曲げるように、関節制御(28)が操作されてもよい。次いで、トリガ(24)をピストルグリップ(22)に向かって握持することによって、解剖学的構造の組織の2つの層が、つかみ具(42、44)の間に捕捉される。組織の上記のような層は、患者内の解剖学的構造(例えば、血管、胃腸管の部分、生殖器系の部分など)を画定する同一の自然管腔の部分であってもよい。例えば、一方の組織層は、血管の上部を備えてもよく、一方、他方の組織層は、血管の同一の長さ領域に沿った、血管の下部を備えてもよい(例えば、電気外科用器具(10)を使用する前の血管を通る流体経路が、エンドエフェクタ(40)によって画定される長手軸線に対して垂直であるようになど)。換言すれば、つかみ具(42、44)の長さは、血管の長さに対して垂直に(又は少なくとも概して横断方向に)配向されてもよい。上述されるように、トリガ(24)をピストルグリップ(22)に向かって握持することによって、発射ビーム(60)が遠位に作動される際、フランジ(62、66)は、つかみ具(44)を枢動させるように、つかみ具(44)に向かってカム作用する。
【0023】
組織層がつかみ具(42、44)の間に捕捉された状態で、ユーザーがトリガ(24)をピストルグリップ(22)に向かって握持することによって、発射ビーム(60)が遠位に前進し続ける。発射ビーム(60)が遠位に前進する際、遠位ブレード(64)は、同時に、挟持される組織層を切断し、それぞれの分離された下層部分と並置される、分離された上層部分をもたらす。幾つかのバージョンでは、これは、血管の長さに対して概して横断方向に切断された血管をもたらす。つかみ具(42、44)の真上及び真下のフランジ(62、66)の存在は、それぞれ、つかみ具(42、44)を、閉鎖した、しっかりと挟持する位置に保つことを助長し得ることを理解されたい。具体的に、フランジ(62、66)は、つかみ具(42、44)の間に著しい圧縮力を維持するのを助長し得る。切断された組織層部分が、つかみ具(42、44)の間で圧縮された状態で、ユーザーが起動ボタン(26)を押圧することによって、電極表面(50、52)が双極無線周波数エネルギーを用いて起動される。幾つかのバージョンでは、電極(50、52)は、つかみ具(42、44)の電極表面(50、52)が、共通の第1の極性で起動され、一方、発射ビーム(60)が、第1の極性とは逆の第2の極性で起動されるように、電源(80)と選択的に連結される(例えば、ユーザーがボタン(26)を押圧することによってなど)。したがって、双極無線周波数電流は、切断される組織層部分の圧縮された領域を通って、発射ビーム(60)とつかみ具(42、44)の電極表面(50、52)との間を流れる。幾つかの他のバージョンでは、電極表面(50)が、一方の極性を有し、一方、電極表面(52)及び発射ビーム(60)の両方が、他方の極性を有する。いずれのバージョン(少なくとも幾つかの他の中でもとりわけ)でも、電源(80)によって供給される双極無線周波数エネルギーは、最終的に、発射ビーム(60)の一方の側上の組織層部分を共に熱溶接し、発射ビーム(60)の他方の側上の組織層部分を共に熱溶接する。
【0024】
特定の状況下では、起動された電極表面(50、52)によって生成される熱は、つかみ具(42、44)によって提供される挟持圧と協働して、組織層部分内の膠原質を変性させることができ、変性された膠原質は、組織層部分内に封止を形成することができる。したがって、解剖学的構造を画定する自然管腔の切断された端部は、切断された端部が体液を漏出しないよう、止血するように塞がれる。幾つかのバージョンでは、電極表面(50、52)は、発射ビーム(60)が遠位に並進し始める前であっても、したがって組織が切断される前であっても、双極無線周波数エネルギーを用いて起動されてもよい。例えば、ボタン(26)が、電源(80)と電極表面(50、52)との間のスイッチとしての機能を果たすことに加えて、トリガ(24)に対する機械的ロックアウトとしての機能を果たすバージョンでは、そのようなタイミングが提供されてもよい。
【0025】
以下の教示のうちの幾つかは、電気外科用器具(10)の変形として記載されるが、また、以下の様々な教示は、様々な他の種類の装置にも組み込まれてもよいことを理解されたい。一例として、以下の様々な教示は、電気外科用器具(10)に容易に組み込まれることに加えて、様々な他の装置の中でもとりわけ、本明細書の引用文献のいずれかに教示される装置、他の種類の電気外科用装置、外科用ホッチキス、外科用クリップ装着器、及び組織捕捉器具に容易に組み込まれ得る。本明細書の教示を考慮することで、以下の教示が組み込まれ得る他の好適な装置が、当業者に明らかになるであろう。
【0026】
II.例示的な関節接合構成
シャフト(30)の関節セクション(36)は、様々な形態をとってもよい。一例として、関節セクション(36)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日に出願された「Articulation Joint Features for Articulating Surgical Device」と題された米国特許出願第[代理人整理番号END6889USNP]号の1つ以上の教示に従って構成されてもよい。別の単なる例証的な実施例として、関節セクション(36)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日に出願された「Articulation Joint Features for Articulating Surgical Device」と題された米国特許出願第[代理人整理番号END6889USNP1]号の1つ以上の教示に従って構成されてもよい。更に、関節セクションは、本明細書の引用文献のうちの他の少なくとも1つの教示に従って構成されてもよい。本明細書の教示を考慮することで、関節セクション(36)がとり得る様々な他の好適な形態が、当業者に明らかになるであろう。
【0027】
III.例示的な関節制御構成
上述されるように、幾つかのバージョンのハンドピース(20)は、シャフト(30)の関節セクション(36)を制御し、それによってシース(32)によって画定される長手軸線に対して様々な角度でエンドエフェクタ(40)を選択的に位置付けるように動作可能である、関節制御(28)を含む。ハンドピース(20)の関節制御(28)及び他の構成要素がとり得る形態の幾つかの実施例が、以下により詳細に記載され、同時に、本明細書の教示を考慮することで、更なる実施例が、当業者に明らかになるであろう。一例として、関節制御(28)の幾つかの単なる例証的な代替えの実施例が、開示が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日に出願された「Control Features for Articulating Surgical Device」と題された米国特許出願第[代理人整理番号END6888USNP1]号に開示されている。
【0028】
A.垂直回転ノブを有する例示的な関節制御
図5は、ハンドピース(120)と、ハンドピース(120)から遠位に延在するシャフト(130)と、シャフト(130)の遠位端に配置されるエンドエフェクタ(140)と、を含む、例示的な電気外科用器具(100)を示す。本実施例のハンドピース(120)は、ピストルグリップ(122)と、枢動トリガ(124)と、起動ボタン(126)と、回転関節ノブ(128)と、を含む。上述されるように、及び本明細書の1つ以上の引用文献に記載されるように、トリガ(124)は、エンドエフェクタ(140)を選択的に作動させるように、ピストルグリップ(122)に向かって、及びそれから離れるように枢動可能である。同様に上述されるように、及び本明細書の1つ以上の引用文献に記載されるように、起動ボタン(126)は、エンドエフェクタ(140)と通信している無線周波数回路を選択的に起動させるように動作可能である。幾つかのバージョンでは、また、起動ボタン(126)は、ボタン(126)が同時に押されない限り、トリガ(124)を完全に作動させることができないというような、トリガ(124)に対する機械的ロックアウトとしての機能も果たす。どのようにそのようなロックアウトの実施例が提供され得るかは、本明細書の引用文献の1つ以上に開示されている。ピストルグリップ(122)、トリガ(124)、及びボタン(126)は、任意の好適な方法で修正、置換、補完などされてもよく、本明細書のそのような構成要素の説明は、例証に過ぎないことを理解されたい。本実施例の関節ノブ(128)は、以下により詳細に記載されるように、シャフト(130)の関節セクション(136)を選択的に制御するように動作可能である。
【0029】
本実施例のシャフト(130)は、外側シース(132)と、シース(132)の遠位端に関節セクション(136)と、シース(132)内に摺動可能かつ同軸上に配置される切断部材駆動チューブ(138)と、を含む。切断部材駆動チューブ(138)は、駆動ブロック(139)に固定され、これは、エンドエフェクタ(140)の切断部材(146)に更に固定される。切断部材駆動チューブ(138)は、駆動ブロック(139)を長手方向に駆動し、それによって切断部材(146)を長手方向に移動させるように、長手方向に移動可能である。切断部材(146)は、上述される発射ビーム(60)と本質的に同等である。エンドエフェクタ(140)の近位部(148)は、切断部材(146)の近位部(148)を通って延在する部分を含有するチャネルを画定する、挿入部(図示せず)を含む。このチャネルは、切断部材(146)が挿入部に対して容易に並進することを可能にし、同時にまた、切断部材(146)の遠位前進中に切断部材(146)が負荷を経験する際に、切断部材(146)が挿入部内で座屈するのを防止するように構成される。
【0030】
本実施例では、駆動チューブ(138)は、トリガ(124)をピストルグリップ(122)に向かって握持することによって、遠位に前進させられ、一方、駆動チューブ(138)は、トリガ(124)を解放することによって、及び/又はトリガ(124)をピストルグリップ(122)から離れるように能動的に移動させることによって、近位に後退させられる。図13に示されるように、ヨーク(125)は、トリガ(124)を駆動チューブ(138)と連結する。もちろん、切断部材(146)は、任意の他の好適な方法で移動させられてもよい。本実施例の関節セクション(136)は、シース(132)によって画定される長手軸線に対して様々な角度で、エンドエフェクタ(140)を選択的に位置付けるように動作可能である。シャフト(130)の関節セクション(136)及び他の構成要素がとり得る形態の様々な実施例は、様々な本明細書の引用文献に記載され、同時に、本明細書の教示を考慮することで、更なる実施例が当業者に明らかになるであろう。同様に、エンドエフェクタ(140)は、上述されるエンドエフェクタ(40)に従って、様々な本明細書の引用文献の教示に従って、及び/又は本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう任意の他の好適な方法で構成されてもよい。
【0031】
幾つかのバージョンでは、また、シャフト(130)は、ノブ(134)を介して、ハンドピース(120)に対して、シース(132)によって画定される長手軸線を中心に回転可能である。上記のような回転は、エンドエフェクタ(140)及びシャフト(130)の一体回転を提供してもよい。幾つかの他のバージョンでは、ノブ(134)は、関節セクション(136)の近位のシャフト(130)のいかなる部分も回転させることなく、エンドエフェクタ(140)を回転させるように動作可能である。別の単なる例証的な実施例として、電気外科用器具(100)は、シャフト(130)及びエンドエフェクタ(140)の単一のユニットとしての回転能力を提供する一回転制御、及びセクション(136)の近位のシャフト(130)のいかなる部分も回転させることのない、エンドエフェクタ(140)の回転能力を提供する別の回転制御を含んでもよい。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な回転スキームが、当業者に明らかになるであろう。もちろん、回転可能な特徴は、所望により、単に省略されてもよい。シャフト(130)及び/又はエンドエフェクタ(140)の回転を提供する、任意のバージョンの装置では、回転ノブ(134)及び/又はシャフト(130)及び/又はエンドエフェクタ(140)は、回転位置の視覚的識別を容易にする1つ以上のマーキングを含んでもよい。例えば、ユーザーは、患者及び器具(100)に対するそのような構成要素の配向をより良く理解するために、回転ノブ(134)上のマーキングをシャフト(130)及び/又はエンドエフェクタ(140)上の対応するマーキングと相関させてもよい。
【0032】
図6図12は、関節セクション(136)の関節の制御を提供する、シャフト(130)の様々な構成要素を示す。具体的に、これらの構成要素は、セパレータ(150)と、関連駆動部材(162)を有する第1の関節バンド(160)と、関連駆動部材(172)を有する第2の関節バンド(170)と、を含む。図6に最も良く見られるように、セパレータ(150)は、上部ルーメン(151)と、中部ルーメン(152)と、下部ルーメン(153)と、を含む。また、セパレータ(150)は、側陥凹(154)と、遠位突出部(156)と、空隙(158)とを更に含む。セパレータ(150)は、切断部材駆動チューブ(138)内に配置され、器具(100)の動作中、固定された長手方向位置を維持する。したがって、セパレータ(150)及び外側シース(132)は、相互及びハンドピース(120)に対して静止したままであり、一方、切断部材駆動チューブ(138)は、セパレータ(150)、外側シース(132)、及びハンドピース(120)に対して往復運動する。遠位突出部(156)は、遠位突出部(156)によって、又はセパレータ(150)のいかなる他の部分によっても実質的に干渉されない、駆動ブロック(139)の並進を可能にするように構成される。
【0033】
本実施例では、セパレータ(150)は、端部から端部の構成で配設され、近位部品からの遠位突出部が、空隙(158)を画定するのを助長する、2つの部品として形成される。もちろん、セパレータ(150)は、代替えとして、単一の部品又は任意の他の好適な数の部品として形成されてもよい。一例として、空隙(158)は、単一の部品材料からの切り取りとして形成されてもよい。
【0034】
以下により詳細に記載されるように、ワイヤ(900)は、エンドエフェクタ(140)に電通を提供するように、セパレータ(150)を通って延在する。具体的に、ワイヤ(900)は、セパレータ(150)の近位端からワイヤ(900)が空隙(158)に到達するまで、中部ルーメン(152)を通って延在する。空隙(158)で、ワイヤ(900)は、下部ルーメン(153)に下方移行し、セパレータ(150)の遠位端に到達するまで下部ルーメン(153)を通って延在する。次いで、ワイヤ(900)は、関節セクション(136)からエンドエフェクタ(140)にわたって延在する。したがって、ワイヤ(900)は、本明細書の教示に従って、及び様々な本明細書の引用文献の教示に従って、電源からの電力をエンドエフェクタ(140)に伝えるように動作可能である。遠位突出部(156)は、駆動ブロック(139)が、遠位突出部(156)に沿った駆動ブロック(139)の長手方向位置に関わらず、ワイヤ(900)に接触することができないように、ワイヤ(900)を駆動ブロック(139)から保護する。
【0035】
第1の関節バンド(160)は、セパレータ(150)の一方の側陥凹(154)内に摺動可能に配置され、一方、第2の関節バンド(170)は、セパレータ(150)の他方の側陥凹(154)内に摺動可能に配置される。図6の参照に戻り、側陥凹(154)は、関節バンド(160、170)との接触面積を低減するように構成され、それによってセパレータ(150)と関節バンド(160、170)との間の摩擦を低減する、長手方向に延在する溝(155)を含む。また、セパレータ(150)は、低摩擦材料で形成されてもよく、及び/又は摩擦を低減する表面処理を含んでもよい。関節バンド(160、170)の両方は、関節セクション(136)を通り、シャフト(130)の長さ全体に沿って長手方向に延在する。図7に示されるように、第1の関節バンド(160)の遠位端(166)は、固定金具でエンドエフェクタ(140)の近位部(148)の一方の側に固定される。第2の関節バンド(170)の遠位端(176)は、固定金具でエンドエフェクタ(140)の近位部(148)の他方の側に固定される。以下により詳細に記載されるように、回転関節ノブ(128)は、一方の関節バンド(160、170)を遠位に選択的に前進させ、その一方で同時に、他方の関節バンド(160、170)を近位に後退させるように、及びその逆に動作可能である。この逆方向並進は、関節セクション(136)を屈曲させ、それによって、エンドエフェクタ(140)を関節運動させることを理解されたい。具体的に、エンドエフェクタ(140)は、近位に後退させられる関節バンド(160、170)のいずれかに向かって、及び遠位に前進させられる関節バンド(160、170)のいずれかから離れるように屈折する。
【0036】
図9に最も良く見られるように、駆動部材(162)は、関節バンド(160)に一体で固定され、横方向内向きに延在する切り欠き(164)を含む。図10に最も良く見られるように、駆動部材(172)は、関節バンド(170)に一体で固定され、横方向内向きに延在する切り欠き(174)を含む。図11に最も良く見られるように、駆動部材(162、164)は、離間しており、切り欠き(164、174)がセパレータ(150)の長さに沿った異なる長手方向位置になるように構成される。図12に最も良く見られるように、切断部材駆動チューブ(138)の近位部は、長手方向に延在するスロット(137)を含む。駆動部材(162、172)は、スロット(137)内に摺動可能に配置され、切り欠き(164、174)は、切断部材駆動チューブ(138)の外周の外に半径方向に位置付けられる。スロット(137)は、駆動部材(162、172)に対する切断部材駆動チューブ(138)の自由並進を可能にし、それによって、関節セクション(136)の関節状態に関わらない、切断部材(164)の自由作動を可能にするように構成される。換言すれば、スロット(137)は、切断部材駆動チューブ(138)に対する駆動部材(162、172)の自由並進を可能にし、したがって、切断部材(164)の長手方向位置に関わらない、関節セクション(136)の自由関節運動を可能にするように構成される。
【0037】
図13及び図14に示されるように、回転関節ノブ(128)は、駆動チューブ(138)の近位部の周囲に同軸上に位置付けられ、駆動部材(162、172)を包含する。関節ノブ(128)は、シャフト(130)によって画定される長手軸線に対して垂直に配向され、シャフト(130)によって画定される長手軸線を中心に回転可能である。以下により詳細に記載されるように、そのような関節ノブ(128)の回転は、関節ノブ(128)の回転がエンドエフェクタ(140)を関節運動させるように、駆動部材(162、172)を逆方向並進させ、そのような逆方向並進の方向は、関節ノブ(128)が回転される方向に依存する。図14に示されるように、関節ノブ(128)は、第1の内側ネジ切り部(180)と、第2の内側ネジ切り部(182)と、を含む。本実施例では、ネジ切り部(181、182)は、逆のピッチ角又は配向を有する。
【0038】
図14及び図15に最も良く見られるように、第1の主ネジ(183)及び第2の主ネジ(184)は、ハウジング(121)に固定される一対のピン(123)に沿って摺動可能に配置される。したがって、主ネジ(183、184)は、ハウジング(121)内で並進するように動作可能であるが、ハウジング(121)内で回転するのを防止される。第1の主ネジ(183)は、関節ノブ(128)のネジ切り部(181)と係合される外側ネジ切り部(185)を含み、一方、第2の主ネジ(184)は、関節ノブ(128)のネジ切り部(182)と係合される外側ネジ切り部(186)を含む。ネジ切り部(185)のピッチ角は、ネジ切り部(181)のピッチ角を補完し、一方、ネジ切り部(186)のピッチ角は、ネジ切り部(182)のピッチ角を補完する。したがって、逆のピッチ角のため、ノブ(128)の第1の方向への回転は、主ネジ(183)を遠位に駆動し、その一方で同時に、主ネジ(184)を近位に駆動し、ノブの第2の方向への回転は、主ネジ(183)を近位に駆動し、その一方で同時に、主ネジ(184)を遠位に駆動することを理解されたい。
【0039】
また、ネジ切り部(181、182、185、186)の角度は、エンドエフェクタ(140)への横負荷が、ネジ切り部(181、182、185、186)の間の摩擦によって関節セクション(136)を概して屈曲させないように、関節セクション(136)が任意の所与の関節運動位置に効果的に係止されるようにも構成される。換言すれば、関節セクション(136)は、ノブ(128)が回転される際にのみ、その構成を変化させる。ネジ切り部の角度は、エンドエフェクタ(140)への横負荷に応えて関節セクション(136)が屈曲するのを実質的に防止し得るが、角度は、主ネジ(183、184)を並進させる、関節ノブ(128)の即時回転を依然として提供し得る。一例として、ネジ切り部(181、182、185、186)の角度は、約+/−2度又は約+/−3度であってもよい。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な角度が、当業者に明らかになるであろう。また、ネジ切り部(181、182、185、186)は、正方形若しくは矩形の断面、又は任意の他の好適な構成を有してもよいことを理解されたい。
【0040】
図15及び図16に最も良く見られるように、第1の張力ギア(191)は、第1の主ネジ(183)とネジ止め係合され、一方、第2の張力ギア(192)は、第2の主ネジ(184)とネジ止め係合される。したがって、第1の主ネジ(183)に対する第1の張力ギア(191)の長手方向位置は、第1の主ネジ(183)に対して第1の張力ギア(191)を回転させることによって調整されてもよく、一方、第2の主ネジ(184)に対する第2の張力ギア(192)の長手方向位置は、第2の主ネジ(184)に対して第2の張力ギア(192)を回転させることによって調整されてもよい。そうでなければ、第1の張力ギア(191)は、第1の主ネジ(183)と一体に並進し、一方、第2の張力ギア(192)は、第2の主ネジ(184)と一体並進する。
【0041】
また、第1の張力ギア(191)は、駆動部材(172)の切り欠き(174)と更に係合される、ワッシャ(193)とも係合される。ワッシャ(193)及び駆動部材(172)が共に並進するように、ワッシャ(193)と駆動部材(172)との間が係合される。幾つかのバージョンでは、ワッシャ(193)は、張力ギア(191)が、ワッシャ(193)を遠位に引っ張るように、及びワッシャ(193)を近位に押すように、張力ギア(191)に固定される。したがって、幾つかのそのようなバージョンでは、第1の主ネジ(183)は、ノブ(128)がどちらの方向に回転されるかによって、関節バンド(170)を遠位に押すように、及び関節バンド(170)を近位に引っ張るように動作可能である。しかしながら、本実施例では、張力ギア(191)は、ワッシャ(193)に単に隣接するだけであり、そのため、張力ギア(191)は、ワッシャ(193)を近位に押すように動作可能であるが、ワッシャ(193)を遠位に引っ張ることができない。したがって、本実施例では、第1の主ネジ(183)は、関節バンド(170)を近位に引っ張るように動作可能であるが、関節バンド(170)を遠位に能動的に押すことはできない。代わりに、第1の主ネジ(183)は、関節セクション(136)を通して連通される際に、関節バンド(160)が近位に後退するのに応えて、関節バンド(170)、駆動部材(172)、及びワッシャ(193)を遠位に駆動することを可能にするように、張力ギア(191)を遠位に単に押してもよい。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な関係が、当業者に明らかになるであろう。また、駆動部材(172)及び/又はワッシャ(193)は、張力ギア(191)に対して回転可能であってもよく、これは、ノブ(134)によるシャフト(130)の回転を可能にし得ることも理解されたい。以下により詳細に記載されるように、張力ギア(191)は、駆動部材(172)と主ネジ(183)との間のいかなる許容空隙も取り除くために使用されてもよい。
【0042】
同様に、第2の張力ギア(192)は、駆動部材(162)の切り欠き(164)と更に係合される、ワッシャ(194)と係合される。ワッシャ(194)及び駆動部材(162)が共に並進するように、ワッシャ(194)と駆動部材(162)との間が係合される。幾つかのバージョンでは、ワッシャ(194)は、張力ギア(192)が、ワッシャ(194)を遠位に引っ張るように、及びワッシャ(194)を近位に押すように、張力ギア(192)に固定される。したがって、幾つかのそのようなバージョンでは、第2の主ネジ(184)は、ノブ(128)がどちらの方向に回転されるかによって、関節バンド(160)を遠位に押すように、及び関節バンド(160)を近位に引っ張るように動作可能である。しかしながら、本実施例では、張力ギア(192)は、ワッシャ(194)に単に隣接するだけであり、そのため、張力ギア(192)は、ワッシャ(194)を近位に押すように動作可能であるが、ワッシャ(194)を遠位に引っ張ることができない。したがって、本実施例では、第2の主ネジ(184)は、関節バンド(160)を近位に引っ張るように動作可能であるが、関節バンド(160)を遠位に能動的に押すことはできない。代わりに、第2の主ネジ(184)は、関節セクション(136)を通して連通される際に、関節バンド(170)が近位に後退するのに応えて、関節バンド(160)、駆動部材(162)、及びワッシャ(194)を遠位に駆動することを可能にするように、張力ギア(192)を遠位に単に引っ張ってもよい。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な関係が、当業者に明らかになるであろう。また、駆動部材(162)及び/又はワッシャ(194)は、張力ギア(192)に対して回転可能であってもよく、これは、ノブ(134)によるシャフト(130)の回転を可能にし得ることも理解されたい。以下により詳細に記載されるように、張力ギア(192)は、駆動部材(162)と主ネジ(184)との間のいかなる許容空隙も取り除くために使用されてもよい。
【0043】
図17A図17Cは、関節セクション(136)を屈曲させて、エンドエフェクタ(140)を関節運動させるように相互作用する、上記の構成要素のうちの幾つかを示す。図17Aでは、関節(136)は、実質的にまっすぐな構成である。次いで、ノブ(128)が回転され、これは、主ネジ(183)を近位に並進させ、主ネジ(184)を遠位に前進させる。この主ネジ(183)の近位並進は、関節バンド(170)を近位に引っ張り、これは、図17Bに示されるように、関節セクション(136)を屈曲させ始める。この関節セクション(136)の屈曲は、関節バンド(160)を遠位に引っ張る。ノブ(128)の回転に応えた主ネジ(184)の遠位前進は、関節バンド(160)及び駆動部材(162)が遠位に前進することを可能にする。幾つかの他のバージョンでは、主ネジ(184)の遠位前進は、駆動部材(162)及び関節バンド(160)を遠位に能動的に駆動してもよい。ユーザーがノブ(128)の回転を継続する際、上記の相互作用は、同じように継続し、図17Cに示されるような関節セクション(136)の更なる屈曲をもたらす。ノブ(128)を逆方向に回転させることは、関節セクション(136)をまっすぐにし、逆方向への更なる回転は、関節セクション(136)を逆方向に屈曲させることを理解されたい。
【0044】
幾つかのバージョンでは、ノブ(128)は、実質的にまっすぐな構成の関節セクション(136)と関連付けられる視覚指標を含む。そのような視覚指標は、ハンドピース(120)のハウジング(121)上の対応する視覚指標と整合してもよい。したがって、ユーザーが、関節セクション(136)を実質的にまっすぐな構成に近づけるようにノブ(128)を回転した際、ユーザーは、関節セクション(136)が実質的にまっすぐな構成に実際に到達したか否かを確認するために、そのような指標を観測してもよい。一例のみとして、これは、関節セクション(136)がトロカールの遠位縁に絡まる可能性を低減するために、器具(100)がトロカールから引き出される直前に行われてもよい。もちろん、そのような指標は、任意選択に過ぎない。
【0045】
場合によっては、製造上の非一貫性が、わずかに異なる長さを有する関節バンド(160、170)をもたらす場合がある。加えて、又は代替えでは、関節ノブ(128)に対する主ネジ(183、184)の初期位置における内在する製造関連非一貫性、主ネジ(183、184)に対する張力ギア(191、192)の初期位置における非一貫性、及び/又は関節バンド(160、170)の望ましくない位置付け/関係をもたらし得る他の非一貫性が存在する場合がある。そのような非一貫性は、器具(100)の関節特徴の動作における無駄な運動又はぶらつきをもたらす場合がある。そのような問題に対処するために、主ネジ(183、184)に対する駆動部材(162、172)の長手方向位置を調整するように、張力ギア(191、192)が、主ネジ(183、184)に対して回転されてもよい。例えば、関節バンド(170)内に不十分な張力しか存在しない場合、張力ギア(191)は、関節バンド(170)が十分な程度の張力に到達するまで、ワッシャ(193)及び駆動部材(172)を近位に駆動するように回転されてもよい。同様に、関節バンド(160)内に不十分な張力しか存在しない場合、張力ギア(192)は、関節バンド(160)が十分な程度の張力に到達するまで、ワッシャ(195)及び駆動部材(162)を近位に駆動するように回転されてもよい。主ネジ(183、184)は、そのような調整の間、実質的に静止したままであってもよい。関節セクション(136)は、そのような調整の間、実質的にまっすぐなままであってもよく、更には、そのような調整の間、実質的にまっすぐに保持されてもよい。
【0046】
幾つかのバージョンでは、張力ギア(191、192)は、手動で回転される。幾つかの他のバージョンでは、張力ギア(191、192)は、ラック又は他のギアによって、自動で回転される。幾つかそのような自動較正システムでは、制御論理は、張力ギア(191、192)と係合される較正ラック又はギアを駆動するために使用されるモータへの負荷を監視してもよく、負荷がバンド(160、170)の適切な張力と関連付けられる閾値に到達する際に、そのようなラック又はギアの駆動を自動的に停止してもよい。例えば、製造上の非一貫性又は許容誤差が、張力ギア(191、192)とワッシャ(193、194)との間、又はワッシャ(193、194)と駆動部材(162、172)との間に初期空隙を提供する場合では、張力ギア(191、192)は、そのような空隙が閉じられ、以前に空隙のあった構成要素の間が十分に接触するまで回転されてもよい。別の単なる例証的な変形として、張力ギア(191、192)は、バンド(160、170)の近位端及び/又は駆動部材(162、172)が特定の点に到達する際に、自動的に停止されてもよい。本明細書の教示を考慮することで、張力ギア(191、192)が調整され得る様々な好適な方法が、当業者に明らかになるであろう。また、張力ギア(191、192)は、駆動部材(162、172)とそれらのそれぞれのワッシャ(193、194)との間の空隙がゼロに到達する際、それぞれの主ネジ(183、184)に熱かしめ、接着、溶接、ないしは別の方法で固着されてもよいことも理解されたい。そのような固着は、張力ギア(191、192)のそれらのそれぞれの主ネジ(183、184)に対する後の動きを防止し得る。
【0047】
別の単なる例証的な実施例として、製造上の非一貫性は、バンド(160、170)の遠位端で対処されてもよい。例えば、バンド(160、170)の遠位端がエンドエフェクタ(140)の近位部(148)に固定される前に、関節セクション(136)は、まっすぐな構成に保持されてもよく、バンド(160、170)は、バンド(160、170)内のいかなる緩みも除去するように遠位に引っ張られてもよい。バンド(160、170)が両方とも張った状態で、次いでバンド(160、170)は、エンドエフェクタ(140)の近位部(148)に溶接ないしは別の方法で固定されてもよい。この形態の較正が、とりわけ本明細書に記載される様々な他の器具に容易に適用され得るというように、この形態の較正は、器具(100)に限定されないことを理解されたい。本明細書の教示を考慮することで、較正のための他の好適な構造及び方法が、当業者に明らかになるであろう。
【0048】
B.角度が付けられた回転ノブを有する例示的な関節制御
図18は、ハンドピース(220)と、ハンドピース(220)から遠位に延在するシャフト(230)と、シャフト(230)の遠位端に配置されるエンドエフェクタ(240)と、を含む、例示的な電気外科用器具(200)を示す。本実施例のハンドピース(220)は、ピストルグリップ(222)と、枢動トリガ(224)と、起動ボタン(226)と、回転関節ノブ(228)と、を含む。上述されるように、及び本明細書の1つ以上の引用文献に記載されるように、トリガ(224)は、エンドエフェクタ(240)を選択的に作動させるように、ピストルグリップ(222)に向かって、及びそれから離れるように枢動可能である。同様に上述されるように、及び本明細書の1つ以上の引用文献に記載されるように、起動ボタン(226)は、エンドエフェクタ(240)と通信している無線周波数回路を選択的に起動させるように動作可能である。幾つかのバージョンでは、また、起動ボタン(226)は、ボタン(226)が同時に押されない限り、トリガ(224)を完全に作動させることができないというような、トリガ(224)に対する機械的ロックアウトとしての機能も果たす。どのように上記のようなロックアウトが提供され得るかの実施例は、本明細書の引用文献の1つ以上に開示されている。ピストルグリップ(222)、トリガ(224)、及びボタン(226)は、任意の好適な方法で修正、置換、補完などされてもよく、本明細書のそのような構成要素の説明は、例証に過ぎないことを理解されたい。本実施例の関節ノブ(228)は、以下により詳細に記載されるように、シャフト(230)の関節セクション(236)を選択的に制御するように動作可能である。
【0049】
本実施例のシャフト(230)は、外側シース(232)と、シース(232)の遠位端に関節セクション(236)と、シース(232)内に摺動可能かつ同軸上に配置される切断部材駆動チューブ(238)と、を含む。切断部材駆動チューブ(238)は、上述される発射ビーム(60)と本質的に同等である、発射ビーム(図示せず)に固定される。切断部材駆動チューブ(238)は、発射ビームを長手方向に駆動するように、長手方向に移動可能である。本実施例では、駆動チューブ(238)は、トリガ(224)をピストルグリップ(222)に向かって握持することによって、遠位に前進させられ、一方、駆動チューブ(238)は、トリガ(224)を解放することによって、及び/又はトリガ(224)をピストルグリップ(222)から離れるように能動的に移動させることによって、近位に後退させられる。図19に示されるように、ヨーク(225)は、トリガ(224)を駆動チューブ(238)と連結する。もちろん、発射ビームは、任意の他の好適な方法で移動させられてもよい。本実施例の関節セクション(236)は、シース(232)によって画定される長手軸線に対して様々な角度で、エンドエフェクタ(240)を選択的に位置付けるように動作可能である。シャフト(230)の関節セクション(236)及び他の構成要素がとり得る形態の様々な実施例は、様々な本明細書の引用文献に記載され、同時に、本明細書の教示を考慮することで、更なる実施例が当業者に明らかになるであろう。同様に、エンドエフェクタ(240)は、上述されるエンドエフェクタ(40)に従って、様々な本明細書の引用文献の教示に従って、及び/又は本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう任意の他の好適な方法で構成されてもよい。
【0050】
幾つかのバージョンでは、また、シャフト(230)は、ノブ(234)を介して、ハンドピース(220)に対して、シース(232)によって画定される長手軸線を中心に回転可能でもある。そのような回転は、エンドエフェクタ(240)及びシャフト(230)の一体回転を提供してもよい。幾つかの他のバージョンでは、ノブ(234)は、関節セクション(236)の近位のシャフト(230)のいかなる部分も回転させることなく、エンドエフェクタ(240)を回転させるように動作可能である。別の単なる例証的な実施例として、電気外科用器具(200)は、シャフト(230)及びエンドエフェクタ(240)の単一のユニットとしての回転能力を提供する一回転制御、及びセクション(236)の近位のシャフト(230)のいかなる部分も回転させることのない、エンドエフェクタ(240)の回転能力を提供する別の回転制御を含んでもよい。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な回転スキームが、当業者に明らかになるであろう。もちろん、回転可能な特徴は、所望により、単に省略されてもよい。シャフト(230)及び/又はエンドエフェクタ(240)の回転を提供する、任意のバージョンの装置では、回転ノブ(234)及び/又はシャフト(230)及び/又はエンドエフェクタ(240)は、回転位置の視覚的識別を容易にする1つ以上のマーキングを含んでもよい。例えば、ユーザーは、患者及び器具(200)に対するそのような構成要素の配向をより良く理解するために、回転ノブ(234)上のマーキングをシャフト(230)及び/又はエンドエフェクタ(240)上の対応するマーキングと相関させてもよい。
【0051】
関節セクション(236)の制御を提供する、シャフト(230)の構成要素は、器具(100)の文脈において図6図12を参照して上述されるものと実質的に同一であってもよいことを理解されたい。換言すれば、図19及び図20の特徴は、図6図12の特徴を伴って容易に組み込まれ得る。本実施例では、関節バンド(276)は、上述される関節バンド(160)の機能的等価物であり、一方、関節バンド(270)は、上述される関節バンド(170)の機能的等価物である。具体的に、関節バンド(270、276)は、関節セクション(236)をいずれかの方向に選択的に屈曲させるように、逆方向に並進してもよい。
【0052】
図19及び図20は、関節セクション(236)の関節の制御を提供する、ハンドピース(220)の様々な構成要素を示す。具体的に、これらの構成要素は、近位駆動ナット(260)と、遠位駆動ナット(261)と、近位主ネジ(284)と、遠位主ネジ(283)と、ジンバル駆動リング(250)と、ノブ(228)と、を含む。主ネジ(283、284)は、主ネジ(283、284)が、ハンドピース(220)内を並進するが、ハンドピース(220)内で回転しないように、ハンドピース(220)のハウジング(221)に固定されるピン(223)に沿って位置付けられる。関節バンド(270)は、遠位主ネジ(283)に固定され、一方、関節バンド(276)は、近位主ネジ(284)に固定される。これらの関係は、器具(100)に関して上述されるものと同様であってもよい。したがって、関節バンド(270)は、遠位主ネジ(283)と同時にいずれかの方向に並進してもよく、一方、関節バンド(276)は、近位主ネジ(284)と同時にいずれかの方向に並進してもよいことを理解されたい。
【0053】
遠位主ネジ(283)は、遠位駆動ナット(261)とネジ止め係合される。具体的に、遠位主ネジ(283)は、遠位駆動ナット(261)の内側ネジ切り部(281)と噛み合う、外側ネジ切り部(285)を含む。同様に、近位主ネジ(284)は、近位駆動ナット(260)とネジ止め係合される。具体的に、近位主ネジ(284)は、遠位駆動ナット(260)の内側ネジ切り部(282)と噛み合う、外側ネジ切り部(286)を含む。ネジ切り部(281、285)は、一方の方向に配向される/角度が付けられ、一方、ネジ切り部(282、286)は、逆方向に配向される/角度が付けられる。したがって、ネジ切り部(281、282、285、286)は、上述されるネジ切り部(181、182、185、186)と類似する。本実施例では、駆動ナット(260、261)は、駆動ナット(260、261)が共に回転するように、共に固定される。したがって、駆動ナット(260、261)が回転される際、駆動ナット(260、261)がどちらの方向に回転されるかによって、関節バンド(270)は、一方の方向に並進し、一方、関節バンド(276)は、他方の方向に並進する。
【0054】
駆動ナット(261)は、上部陥凹(263)と、対向する下部陥凹(図示せず)と、を備える。同様に、駆動ナット(260)は、上部陥凹(262)と、対向する下部陥凹(図示せず)と、を備える。これらの陥凹(262、263)は、駆動ナット(260、261)が共に接合される際、ピン(264)を受容するように整合し、協働する。これらのピン(264)は、駆動ナット(260、261)を回転させるために使用される。具体的に、ピン(264)は、ジンバルリング(250)の対応する開口(266)内に配置される。したがって、駆動ナット(260、261)は、ジンバルリング(250)の回転に応えて回転する。また、ジンバルリング(250)は、同様にピン(254)の組を受容する、別の対の対向する開口(252)も含む。これらのピン(254)は、ジンバルリング(250)を回転させるために使用される。具体的に、ピン(254)は、ノブ(228)の対応する開口(256)内に配置される。したがって、ジンバルリング(250)及び駆動ナット(260、261)は、ノブ(228)の回転に応えて回転する。上述されるノブ(128)とは異なり、本実施例のノブ(228)は、シャフト(230)によって画定される長手軸線に対して傾斜した角度で配向される。それでもなお、ノブ(228)は、依然としてシャフト(230)によって画定される長手軸線を中心に回転可能である。この構成及び動作性は、ジンバルリング(250)内のピン(254、264)の枢動連結具によって可能になる。換言すれば、ジンバルリング(250)は、同時枢動及び回転を伴って、自在継ぎ手と同様に、ノブ(228)の回転運動の駆動ナット(260、261)への伝達を行う。
【0055】
幾つかのバージョンでは、駆動ナット(260、261)が沿って相互に接触する縁部は、駆動ナット(260、261)が共に固定される前に、駆動ナット(260、261)の相互に対する回転位置を調整することを可能にする、鋸歯又は他の噛み合う特徴を含む。一例として、これは、関節バンド(270、276)内の緩みを取るように、及び/又は他の製造上の非一貫性を補うように、駆動ナット(260、261)の回転位置を調整することを可能にし得てもよい。
【0056】
また、図19にも示されるように、ハンドピース(220)は、ボール(292)を有する戻り止めポスト(290)を含む。ボール(292)は、ノブ(228)の近位縁の周囲に配列される一連の陥凹(294)のうちの1つと係合される。ポスト(290)は、ボール(292)及び陥凹(294)が戻り止め特徴を形成するように、ボール(292)を陥凹(294)内に促すように弾性的に付勢される。そのような特徴は、ノブ(228)の不慮の回転を防止し、それによって、関節セクション(236)が不慮にまっすぐにされる、又は屈曲されることを実質的に防止してもよい。もちろん、また、器具(100)も、そのような戻り止め特徴を含むことができる。更に、そのような戻り止め特徴は、単に完全に省略されてもよい。
【0057】
図21は、主ネジ(283、284)を駆動するために使用されてもよい、例示的な代替えの構成要素を示す。具体的に、図21は、球状駆動部(296)の周囲に配置される例示的な代替えのノブ(229)を示す。球状駆動部(296)は、外側リッジ(297)と、内側穴(298)と、を含む。ノブ(229)は、ノブ(229)が穴(298)の長手軸線に対して傾斜した平面に沿って配向されるにも関わらず、ノブ(229)が球状駆動部(296)を穴(298)の長手軸線を中心に自由回転させるために使用され得るように、リッジ(297)と摺動可能に係合される。穴(298)は、ネジ切り部(281、282)と本質的に同一である、2組の逆のネジ切り部(図示せず)を含んでもよい。したがって、主ネジ(283、284)では、ノブ(229)の回転は、主ネジ(283、284)を逆方向に同時に並進させる。本明細書の教示を考慮することで、器具(200)のための構成要素の更に他の好適な変形が、当業者に明らかになるであろう。
【0058】
C.枢動半球状ノブを有する例示的な関節制御
図22は、ハンドピース(320)と、ハンドピース(320)から遠位に延在するシャフト(330)と、シャフト(330)の遠位端に配置されるエンドエフェクタ(340)と、を含む、例示的な電気外科用器具(300)を示す。本実施例のハンドピース(320)は、ピストルグリップ(322)と、枢動トリガ(324)と、起動ボタン(326)と、枢動関節ノブ(328)と、を含む。上述されるように、及び本明細書の1つ以上の引用文献に記載されるように、トリガ(324)は、エンドエフェクタ(340)を選択的に作動させるように、ピストルグリップ(322)に向かって、及びそれから離れるように枢動可能である。同様に上述されるように、及び本明細書の1つ以上の引用文献に記載されるように、起動ボタン(326)は、エンドエフェクタ(340)と連通している無線周波数回路を選択的に起動させるように動作可能である。幾つかのバージョンでは、また、起動ボタン(326)は、ボタン(326)が同時に押されない限り、トリガ(324)を完全に作動させることができないというような、トリガ(324)に対する機械的ロックアウトとしての機能も果たす。どのようにそのようなロックアウトの実施例が提供され得るかは、本明細書の引用文献の1つ以上に開示されている。ピストルグリップ(322)、トリガ(324)、及びボタン(326)は、任意の好適な方法で修正、置換、補完などされてもよく、本明細書のそのような構成要素の説明は、例証に過ぎないことを理解されたい。本実施例の関節ノブ(328)は、以下により詳細に記載されるように、シャフト(330)の関節セクション(336)を選択的に制御するように動作可能である。
【0059】
本実施例のシャフト(330)は、外側シース(332)と、シース(332)の遠位端に関節セクション(336)と、シース(332)内に摺動可能かつ同軸上に配置される切断部材駆動チューブ(338)と、を含む。切断部材駆動チューブ(338)は、上述される発射ビーム(60)と本質的に同等である、発射ビーム(図示せず)に固定される。切断部材駆動チューブ(338)は、発射ビームを長手方向に駆動するように、長手方向に移動可能である。本実施例では、駆動チューブ(338)は、トリガ(324)をピストルグリップ(322)に向かって握持することによって、遠位に前進させられ、一方、駆動チューブ(338)は、トリガ(324)を解放することによって、及び/又はトリガ(324)をピストルグリップ(322)から離れるように能動的に移動させることによって、近位に後退させられる。図24に示されるように、ヨーク(395)は、トリガ(324)を駆動チューブ(338)と連結する。もちろん、発射ビームは、任意の他の好適な方法で移動させられてもよい。本実施例の関節セクション(336)は、シース(332)によって画定される長手軸線に対して様々な角度で、エンドエフェクタ(340)を選択的に位置付けるように動作可能である。シャフト(330)の関節セクション(336)及び他の構成要素がとり得る形態の様々な実施例は、様々な本明細書の引用文献に記載され、同時に、本明細書の教示を考慮することで、更なる実施例が当業者に明らかになるであろう。同様に、エンドエフェクタ(340)は、上述されるエンドエフェクタ(40)に従って、様々な本明細書の引用文献の教示に従って、及び/又は本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう任意の他の好適な方法で構成されてもよい。
【0060】
幾つかのバージョンでは、また、シャフト(330)は、ノブ(334)を介して、ハンドピース(320)に対して、シース(332)によって画定される長手軸線を中心に回転可能でもある。そのような回転は、エンドエフェクタ(340)及びシャフト(330)の一体回転を提供してもよい。幾つかの他のバージョンでは、ノブ(334)は、関節セクション(336)の近位のシャフト(330)のいかなる部分も回転させることなく、エンドエフェクタ(340)を回転させるように動作可能である。別の単なる例証的な実施例として、電気外科用器具(300)は、シャフト(330)及びエンドエフェクタ(340)の単一のユニットとしての回転能力を提供する一回転制御、及びセクション(336)の近位のシャフト(330)のいかなる部分も回転させることのない、エンドエフェクタ(340)の回転能力を提供する別の回転制御を含んでもよい。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な回転スキームが、当業者に明らかになるであろう。もちろん、回転可能な特徴は、所望により、単に省略されてもよい。シャフト(330)及び/又はエンドエフェクタ(340)の回転を提供する、任意のバージョンの装置では、回転ノブ(334)及び/又はシャフト(330)及び/又はエンドエフェクタ(340)は、回転位置の視覚的識別を容易にする1つ以上のマーキングを含んでもよい。例えば、ユーザーは、患者及び器具(300)に対するそのような構成要素の配向をより良く理解するために、回転ノブ(334)上のマーキングをシャフト(330)及び/又はエンドエフェクタ(340)上の対応するマーキングと相関させてもよい。
【0061】
関節セクション(336)の制御を提供する、シャフト(330)の構成要素は、器具(100)の文脈において図6図12を参照して、上述されるものと実質的に同一であってもよいことを理解されたい。換言すれば、図22図24の特徴は、図6図12の特徴を伴って容易に組み込まれ得る。本実施例では、関節バンド(376)は、上述される関節バンド(160)の機能的等価物であり、一方、関節バンド(370)は、上述される関節バンド(170)の機能的等価物である。具体的に、関節バンド(370、376)は、関節セクション(336)をいずれかの方向に選択的に屈曲させるように、逆方向に並進してもよい。
【0062】
図22図24は、関節セクション(336)の関節の制御を提供する、ハンドピース(320)の様々な構成要素を示す。具体的に、これらの構成要素は、その遠位端にピニオン(374)を有するポスト(371)と連結される、枢動ノブ(328)を含む。ピン(372)は、一対のハウジング部分(323、325)の間に固定され、ポスト(371)がピン(372)を中心に枢動するように、ポスト(371)を通過する。図25に示されるように、ハウジング部分(323、325)は、ハウジング部分(323、325)が共に固定される際に、ポスト(371)が通って移動するためのチャネルを提供する、補完的陥凹(327、329)を含む。
【0063】
ピニオン(374)は、ポスト(371)を、ピン(372)を中心に枢動させることが、ラック(350、356)を同時に逆方向に並進させるように、一対の対向するラック(350、356)と噛み合う。ラック(350)は、関節バンド(370)に一体固定され、一方、ラック(356)は、関節バンド(376)に一体固定される。したがって、ポスト(371)及びピニオン(374)を一方の方向に枢動させることは、関節バンド(370)を遠位に並進させ、その一方で同時に、関節バンド(376)を近位に並進させ、ポスト(371)及びピニオン(374)を逆方向に枢動させることは、関節バンド(370)を近位に並進させ、その一方で同時に、関節バンド(376)を遠位に並進させる。ポスト(371)及びピニオン(374)は、ノブ(328)を係合することによって枢動されてもよいことを理解されたい。また、そのような枢動は、ノブ(328)、ポスト(371)、及びピニオン(374)が枢動される方向によって、関節セクション(336)をある方向に屈曲させることも理解されたい。幾つかのバージョンでは、ユーザーは、器具(300)の全ての特徴が単一の手を用いて完全に動作され得るように、ノブ(328)を、ピストルグリップ(322)を保持する手の親指と係合してもよい。
【0064】
上述されるように、本実施例のシャフト(330)は、ハンドピース(320)の主ハウジング(321)に対して回転可能である。幾つかのバージョンでは、関節バンド(370、376)、ラック(350、356)、ピン(372)、ポスト(371)、ノブ(328)、及びハウジング部分(323、325)は全て、ハンドピース(320)の主ハウジング(321)に対してシャフト(330)と共に回転する。したがって、ユーザーは、ノブ(334)若しくはノブ(328)、及び/又はハウジング部分(323、325)のいずれかを介して、このアセンブリ全体を回転させてもよい。そのようなバージョンでは、ノブ(328)が沿って枢動する平面もまた、シャフト(330)と共に回転し、それによって、ユーザーに、エンドエフェクタ(340)及び関節セクション(336)の関節の平面の角度配向のより直観的な感覚を提供する。幾つかの他のバージョンでは、関節バンド(370、376)、ラック(350、356)、ピン(372)、ポスト(371)、ノブ(328)、及びハウジング部分(323、325)は、ハンドピース(320)の主ハウジング(321)に対して回転的に静止したままであり、一方、シャフト(330)は、ハンドピース(320)の主ハウジング(321)に対して回転する。本明細書の教示を考慮することで、器具(300)が構成され、かつ動作可能であり得る他の好適な方法が、当業者に明らかになるであろう。
【0065】
D.枢動フィンを有する例示的な関節制御
図26は、ハンドピース(420)と、ハンドピース(420)から遠位に延在するシャフト(430)と、シャフト(430)の遠位端に配置されるエンドエフェクタ(440)と、を含む、例示的な電気外科用器具(400)を示す。本実施例のハンドピース(420)は、ピストルグリップ(422)と、枢動トリガ(424)と、起動ボタン(426)と、枢動関節フィン(428)と、を含む。上述されるように、及び本明細書の1つ以上の引用文献に記載されるように、トリガ(424)は、エンドエフェクタ(440)を選択的に作動させるように、ピストルグリップ(422)に向かって、及びそれから離れるように枢動可能である。同様に上述されるように、及び本明細書の1つ以上の引用文献に記載されるように、起動ボタン(426)は、エンドエフェクタ(440)と連通している無線周波数回路を選択的に起動させるように動作可能である。幾つかのバージョンでは、また、起動ボタン(426)は、ボタン(426)が同時に押されない限り、トリガ(424)を完全に作動させることができないというような、トリガ(424)に対する機械的ロックアウトとしての機能も果たす。どのようにそのようなロックアウトの実施例が提供され得るかは、本明細書の引用文献の1つ以上に開示されている。ピストルグリップ(422)、トリガ(424)、及びボタン(426)は、任意の好適な方法で修正、置換、補完などされてもよく、本明細書のそのような構成要素の説明は、例証に過ぎないことを理解されたい。本実施例の関節フィン(428)は、以下により詳細に記載されるように、シャフト(430)の関節セクション(436)を選択的に制御するように動作可能である。
【0066】
本実施例のシャフト(430)は、外側シース(432)と、シース(432)の遠位端に関節セクション(436)と、シース(432)内に摺動可能かつ同軸上に配置される切断部材駆動チューブ(438)と、を含む。切断部材駆動チューブ(438)は、上述される発射ビーム(60)と本質的に同等である、発射ビーム(図示せず)に固定される。切断部材駆動チューブ(438)は、発射ビームを長手方向に駆動するように、長手方向に移動可能である。本実施例では、駆動チューブ(438)は、トリガ(424)をピストルグリップ(422)に向かって握持することによって、遠位に前進され、一方、駆動チューブ(438)は、トリガ(424)を解放することによって、及び/又はトリガ(424)をピストルグリップ(422)から離れるように能動的に移動させることによって、近位に後退される。図24に示されるように、ヨーク(495)は、トリガ(424)を駆動チューブ(438)と連結する。もちろん、発射ビームは、任意の他の好適な方法で移動させられてもよい。本実施例の関節セクション(436)は、シース(432)によって画定される長手軸線に対して様々な角度で、エンドエフェクタ(440)を選択的に位置付けるように動作可能である。シャフト(430)の関節セクション(436)及び他の構成要素がとり得る形態の様々な実施例は、様々な本明細書の引用文献に記載され、同時に、本明細書の教示を考慮することで、更なる実施例が当業者に明らかになるであろう。同様に、エンドエフェクタ(440)は、上述されるエンドエフェクタ(40)に従って、様々な本明細書の引用文献の教示に従って、及び/又は本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう任意の他の好適な方法で構成されてもよい。
【0067】
幾つかのバージョンでは、また、シャフト(430)は、ノブ(434)を介して、ハンドピース(420)に対して、シース(432)によって画定される長手軸線を中心に回転可能である。そのような回転は、エンドエフェクタ(440)及びシャフト(430)の一体回転を提供してもよい。幾つかの他のバージョンでは、ノブ(434)は、関節セクション(436)の近位のシャフト(430)のいかなる部分も回転させることなく、エンドエフェクタ(440)を回転させるように動作可能である。別の単なる例証的な実施例として、電気外科用器具(400)は、シャフト(430)及びエンドエフェクタ(440)の単一のユニットとしての回転能力を提供する一回転制御、及びセクション(436)の近位のシャフト(430)のいかなる部分も回転させることのない、エンドエフェクタ(440)の回転能力を提供する別の回転制御を含んでもよい。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な回転スキームが、当業者に明らかになるであろう。もちろん、回転可能な特徴は、所望により、単に省略されてもよい。シャフト(430)及び/又はエンドエフェクタ(440)の回転を提供する、任意のバージョンの装置では、回転ノブ(434)及び/又はシャフト(430)及び/又はエンドエフェクタ(440)は、回転位置の視覚的識別を容易にする1つ以上のマーキングを含んでもよい。例えば、ユーザーは、患者及び器具(400)に対するそのような構成要素の配向をより良く理解するために、回転ノブ(434)上のマーキングをシャフト(430)及び/又はエンドエフェクタ(440)上の対応するマーキングと相関させてもよい。
【0068】
関節セクション(436)の制御を提供する、シャフト(430)の構成要素は、器具(100)の文脈において図6図12を参照して、上述されるものと実質的に同一であってもよいことを理解されたい。換言すれば、図26図29の特徴は、図6図12の特徴を伴って容易に組み込まれ得る。本実施例では、関節バンド(476)は、上述される関節バンド(160)の機能的等価物であり、一方、関節バンド(470)は、上述される関節バンド(170)の機能的等価物である。具体的に、関節バンド(470、476)は、関節セクション(436)をいずれかの方向に選択的に屈曲させるように、逆方向に並進してもよい。
【0069】
図26図29は、関節セクション(436)の関節の制御を提供する、ハンドピース(420)の様々な構成要素を示す。具体的に、これらの構成要素は、その遠位端に一対のヨーク(474、478)を有するポスト(471)と連結される、枢動フィン(428)を含む。ピン(472)は、ハンドピース(420)のハウジング(421)に固定され、ポスト(471)がピン(472)を中心に枢動するように、ポスト(471)を通過する。ポスト(471)及び枢動フィン(428)は、明確化のために、図29から省略されていることに留意されたい。第1の作動アーム(480)は、ピン(484)によってヨーク(474)と枢動可能に連結される、遠位端(482)を含む。第2の作動アーム(490)は、ピン(494)によってヨーク(478)と枢動可能に連結される、遠位端(492)を含む。第1の作動アーム(480)の近位端(486)は、作動ビーム(476)の近位端にしっかりと固定される、連結具(488)を含む。第2の作動アーム(490)の近位端(496)は、作動ビーム(470)の近位端にしっかりと固定される、連結具(498)を含む。図29に最も良く見られるように、作動ビーム(476)は、連結具(498)を通過する。しかしながら、作動ビーム(476)は、作動ビーム(476)及び連結具(498)が相互に対して自由に移動し得るように、連結具(498)に固定されていない。
【0070】
作動アーム(480、490)は、フィン(428)及びポスト(471)の枢動移動を作動ビーム(470、476)の並進移動に変換する結合部としての機能を果たす。具体的に、フィン(428)の一方の方向への枢動移動は、関節ビーム(470)を遠位に並進させ、その一方で同時に、関節ビーム(476)を近位に並進させるように、アーム(480、490)を通して伝達される。フィン(428)の逆方向への枢動移動は、関節ビーム(470)を近位に並進させ、その一方で同時に、関節ビーム(476)を遠位に並進させるように、アーム(480、490)を通して伝達される。また、そのような枢動は、フィン(428)及びポスト(471)が枢動される方向によって、関節セクション(436)をある方向に屈曲させることも理解されたい。幾つかのバージョンでは、ユーザーは、器具(400)の全ての特徴が単一の手を用いて完全に動作され得るように、フィン(428)を、ピストルグリップ(422)を保持する手の親指と係合してもよい。
【0071】
幾つかのバージョンでは、フィン(428)の枢動位置は、所定の位置に選択的に係止されてもよい。例えば、器具(400)は、フィン(428)を解除する、及び/又は枢動させるために、フィン(428)を垂直に移動させる(上方又は下方のいずれか)ことを要求するように構成されてもよい。一例として、ハウジング(421)は、ピン(472)を中心としたポスト(471)の枢動位置によって、ポスト(471)を選択的に受容するように構成される複数の陥凹を備えてもよい。弾性部材は、フィン(428)の位置を枢動調整するためには、ユーザーが、この弾性付勢に対して、ポスト(471)を陥凹から離れるように屈折させなければならないように、ポスト(471)を陥凹との係合に付勢してもよい。別の単なる例証的な変形として、器具(400)は、枢動移動のためにフィン(428)を解除するために、フィン(428)を遠位に押すこと、又は近位に引っ張ることを要求してもよい。この場合も同様に、そのような特徴は、フィン(428)を係止構成に弾性的に付勢してもよい。本明細書の教示を考慮することで、フィン(428)の枢動位置が選択的に係止され得る他の好適な方法が、当業者に明らかになるであろう。あるいは、器具(400)は、単に、そのような係止を完全に欠如していてもよい。
【0072】
本明細書の教示を考慮することで、器具(400)が構成され、かつ動作可能であり得る他の好適な方法が、当業者に明らかになるであろう。
【0073】
IV.他の例示的な特徴
明細書に記載される電気外科用器具(10)のいずれのバージョンも、上述されるものに加えて、又はそれらの代わりに、様々な他の特徴を含んでもよいことを理解されたい。上記のような他の特徴の幾つかの例が、以下に記載され、その一方で、本明細書の教示を考慮することで、他の特徴が当業者に明らかになるであろう。
【0074】
A.例示的な電気的連結具
上述されるように、エンドエフェクタ(40、140、240、340、440)の1つ以上の構成要素は、電源との電通状態に置かれてもよい。そのような電源は、器具(10、100、200、300、400)の内部であってもよく、又は器具の外部であってもよい。図30図36は、電源とエンドエフェクタ(40、140、240、340、440)の1つ以上の構成要素との間に電気的連結を提供するために使用されてもよい、幾つかの例示的な構成要素を示す。図30図36の実施例は、器具(100)の文脈において示されているが、実施例は、本明細書に記載される器具(10、200、300、400)の任意の他のバージョンに容易に適用され得ることを理解されたい。同様に、実施例は、本明細書の教示を考慮することで当業者に明らかになるであろう他の種類の器具の中でもとりわけ、本明細書の引用文献に記載される様々な器具に容易に適用され得る。
【0075】
図30に示されるように、連結具(500)は、切断部材駆動チューブ(138)に固定される。連結具(500)は、鋼又は幾つかの他の金属などの導電性材料から形成される。連結具(500)は、外向きに張り出した自由端を含む、一対のアーム(510、512)を含む。アーム(510、512)は、駆動チューブ(138)を受容するように構成され、駆動チューブ(138)が並進され、連結具(500)に対して回転される際に、駆動チューブ(138)との接触を維持するように弾性的に付勢される。また、駆動チューブ(138)も、鋼又は幾つかの他の金属などの導電性材料で形成されてもよい。また、駆動チューブ(138)は、切断部材(146)と機械的に連通していることに加えて、切断部材(146)と電通している。したがって、駆動チューブ(138)は、連結具(500)と切断部材(146)との間に導電性導管を提供する。アーム(510、512)は、ハンドピース(120)のハウジング(121)に固定される基部(520)から延在する。ワイヤ(図示せず)は、基部(520)と連結される。そのようなワイヤは、電源と更に連結されてもよい。本実施例では、ワイヤは、接地される。具体的に、エンドエフェクタ(140)の1つ以上の電極は、活性電極としての機能を果たし、一方、切断部材(146)は、地帰路としての機能を果たす。駆動チューブ(138)及び連結具(500)は、切断部材(146)から接地ワイヤへの地帰路を更に提供する。もちろん、幾つかの他のバージョンでは、これらの構成要素は、接地構成要素としての機能を果たす代わりに、活性電気構成要素としての機能を果たしてもよい。
【0076】
図32は、連結具(500)の代わりに使用されてもよい、例示的な代替えの連結具(600)を示す。本実施例の連結具は、3つのアーム(610、612、630)を含む。アーム(610、612)は、上述されるアーム(510、512)と実質的に同様であり、それらが駆動チューブ(138)に接触する、それぞれの接触点(614、616)を含む。アーム(610、612)は、共通平面に沿って位置付けられ、共通軸線に沿った(例えば、点(614、616)の間に画定される線分に沿った)駆動チューブ(138)との接触を提供する。アーム(630)は、アーム(610、612)の平面に対して垂直な平面に沿って位置付けられる。アーム(630)は、接触点(632)を駆動チューブ(138)と接触するよう促すように、弾性的に付勢される(例えば、板バネなどのような)。したがって、図33に示されるように、連結具(600)は、3つの別個の接触点(614、616、632)で、2つの垂直な平面/軸線に沿って駆動チューブ(138)に係合するように構成される。これは、駆動チューブ(138)が連結具(600)に対して並進及び/又は回転している間を含む、連結具(600)と駆動チューブ(138)との間のより信頼性のある電気的導通を提供し得る。全てのアーム(610、612、630)は、ハンドピース(120)のハウジング(121)に固定されてもよい、基部(620)から延在する。基部(520)と同様に、ワイヤ(図示せず)は、地帰路を提供するために、又は連結具(600)に有効電力を伝達し、それによって切断部材(146)に伝達するために、基部(620)と連結されてもよい。
【0077】
図34は、連結具(700)の代わりに使用されてもよい、更に別の例示的な代替えの連結具(700)を示す。本実施例の連結具は、一対のアーム(710、712)を含む。アーム(710、712)は、上述されるアーム(510、512)と実質的に同様であり、それらが駆動チューブ(138)に接触する、それぞれの接触点(714、716)を含む。アーム(710、712)は、共通平面に沿って位置付けられ、共通軸線に沿った(例えば、点(714、716)の間に画定される線分に沿った)駆動チューブ(138)との接触を提供する。また、連結具(700)は、導電性ピン(732)と、アーム(710、712)の平面に対して垂直な平面に沿って位置付けられる導電性カン(730)とも含む。カン(730)内のバネ(図示せず)は、ピン(732)が駆動チューブ(138)と接触するよう促すように、ピン(732)をカン(730)から離れるように弾性的に付勢する。したがって、連結具(700)は、3つの別個の接触点(714、716、732)で、2つの垂直な平面/軸線に沿って駆動チューブ(138)に係合するように構成される。これは、駆動チューブ(138)が連結具(700)に対して並進及び/又は回転している間を含む、連結具(700)と駆動チューブ(138)との間のより信頼性のある電気的導通を提供し得る。アーム(710、712)及びカン(730)は全て、ハンドピース(120)のハウジング(121)に固定されてもよい、基部(720)から延在する。基部(520)と同様に、ワイヤ(図示せず)は、地帰路を提供するために、又は連結具(700)に有効電力を伝達し、それによって切断部材(146)に伝達するために、基部(720)と連結されてもよい。本明細書の教示を考慮することで、駆動チューブ(138)を電気的に連結するための他の好適な構造及び方法が、当業者に明らかになるであろう。
【0078】
上述されるように、ワイヤ(900)は、エンドエフェクタ(140)への電通を提供するために、セパレータ(150)を通って延在する。例えば、ワイヤ(900)は、エンドエフェクタ(140)の1つ以上の電極と電通していてもよい。したがって、ワイヤ(900)は、エンドエフェクタ(140)の地帰路としての機能を果たしてもよく、又はエンドエフェクタ(140)に有効電力を伝達してもよい。幾つかのバージョンでは、ワイヤ(900)は、エンドエフェクタ(140)の1つ以上の電極に有効電力を伝達し、一方、駆動チューブ(138)は、地帰路としての機能を果たす。図35及び図36は、ワイヤ(900)を電源又は電気接地と電気的に連結するために使用されてもよい、例示的な導電性連結具(800)を示す。連結具(800)は、基部(840)から延在する3つのアーム(810、820、830)を含む。アーム(810、830)の自由端(812、832)は、一方の方向に配向され、一方、アーム(820)の自由端(822)は、アーム(810、820、830)が交互の配向を有するように、逆方向に配向される。図36に最も良く見られるように、それぞれのアーム(810、820、830)は、対応する陥凹(814、824、834)を含む。陥凹(814、824、834)は、ワイヤ(900)を受容するように構成される。図36に示される構成をとるために、アーム(810、820、830)は、ワイヤ(900)が陥凹(814、824、834)内に配置される際に、アーム(810、820、830)がワイヤ(900)に弾性的にもたれるように、弾性的に付勢される。したがって、アーム(810、820、830)は、ワイヤ(900)が連結具(800)に対して回転される場合にさえ、ワイヤ(900)との電気的導通を維持する。また、ワイヤ(900)は、ワイヤ(900)が陥凹(814、824、834)内で回転するように、ワイヤ(900)が連結具(800)に対して回転される際にねじれる、又は巻かれることを回避するのに十分なねじれ強度も有する。
【0079】
図35に示されるように、連結具(800)は、駆動チューブ(138)及びセパレータ(150)の近位端の直近位に位置付けられる。したがって、ワイヤ(900)は、セパレータ(150)の中部ルーメン(152)を出て、実質的にまっすぐな線分に沿って陥凹(814、824、834)に入る。幾つかのバージョンでは、ワイヤ(900)は、連結具(800)を通過してハウジング(121)と連結されるワイヤシース(920)に進み続ける。しかしながら、本実施例では、ワイヤ(900)は、アーム(834)で、又はその直近位で終端する。基部(840)は、ハウジング(121)に固定され、基部(840)を介して連結具(800)に電力を伝達する別のワイヤ(図示せず)と更に連結される。この追加のワイヤは、ボタン(126)と連結されてもよく、制御モジュール(図示せず)と連結されてもよく、ワイヤシース(920)を通って延在してもよく、ないしは別の方法で提供されてもよい。本明細書の教示を考慮することで、ワイヤ(900)及び/又はエンドエフェクタ(140)を電気的に連結するための他の好適な構造並びに方法が、当業者に明らかになるであろう。
【0080】
B.例示的な戻りストローク支援
上述されるように、トリガ(24、124、224、324、424)は、エンドエフェクタ(40、140、240、340、440)を作動させるために、ピストルグリップ(22、124、224、324、424)に向かって握持されてもよい。前述の実施例では、バネ(図示せず)が、トリガ(24、124、224、324、424)をピストルグリップ(22、124、224、324、424)から離れるように弾性的に付勢する。したがって、ユーザーが、エンドエフェクタ(40、140、240、340、440)を作動させるために、トリガ(24、124、224、324、424)をピストルグリップ(22、124、224、324、424)に向かって完全に握持した後、ユーザーは、トリガ(24、124、224、324、424)を単に解放してもよく、次いでバネが、トリガ(24、124、224、324、424)を、ピストルグリップ(22、124、224、324、424)から離れるように枢動される、「定」位置に戻してもよい。幾つかのバージョンでは、関節セクション(36、136、236、336、436)による摩擦は、特に関節セクション(36、136、236、336、436)が屈曲構成である際に、トリガ(24、124、224、324、424)が定位置に戻るのに対する相当の抵抗を提供してもよい。この抵抗は、トリガ(24、124、224、324、424)がその戻りストロークの終わり付近にある際に、最も顕著であってもよい。したがって、場合によっては、トリガ(24、124、224、324、424)に、それが戻りストロークの終わりに近づく際に、追加の機械的支援を提供することが望ましい場合がある。
【0081】
図37A図37Cは、トリガ(24、124、224、324、424)の、作動位置(例えば、トリガ(24、124、224、324、424)がピストルグリップ(22、124、224、324、424)に枢動される場所)から定位置(例えば、トリガ(24、124、224、324、424)がピストルグリップ(22、124、224、324、424)から離れるように枢動される場所)への戻りストロークを支援するために使用され得る、例示的な構成要素を示す。本実施例では、トリガ(1024)は、枢動アーム(1100)によって、ハンドピースのハウジング(1021)に枢動可能に固定される。コイルバネ(1102)は、枢動アーム(1100)とハウジング(1021)との間に配置され、トリガ(1024)を図37Aに示される定位置に弾性的に付勢するように構成される。また、トリガ(1024)は、以下により詳細に記載されるように、カムレバー(1200)に係合する、近位に延在するカムアーム(1110)も含む。カムアーム(1110)は、下面(1112)と、切り欠き(1114)と、を含む。
【0082】
カムレバー(1200)は、ピン(1202)によって、ハウジング(1021)に枢動可能に固定される。ねじりバネ(1210)は、ピン(1202)の周囲に同軸上に配置され、カムレバー(1200)を図37Aに示される回転位置に弾性的に付勢する。カムレバー(1200)は、トリガ(1024)の回転位置によって、カムアーム(1110)の下面(1112)又はカムアーム(1110)の切り欠き(1114)のいずれかに係合する、自由端(1220)を含む。具体的に、自由端(1220)は、トリガ(1024)が定位置(図37A)から約15°の角度範囲を通って部分的に作動された位置(図37B)に移動する際、実質的に切り欠き(1114)内に配置されたままである。次いで、自由端(1220)は、トリガ(1024)が、本実施例では定位置から約33°である完全に作動された位置(図37C)への移動を続ける際、カムアーム(1110)の下面(1112)に移行する。
【0083】
ねじりバネ(1210)のバネ定数は、ユーザーによるトリガ(1024)の定位置から作動位置への作動に対する抵抗を大幅に増加させないように選択される。しかしながら、ねじりバネ(1210)は、特に、いったんトリガ(1024)が図37Bに示される位置に到達すると、コイルバネ(1102)がトリガ(1024)を作動位置から定位置に戻すのに有意な支援を提供する。トリガ(1024)が、戻りストローク中に、図37Cに示される完全に作動された位置から図37Bに示される部分的に作動された位置に移行する際、自由端(1220)は、カムアーム(1110)の下面(1112)に単に乗り、コイルバネ(1102)がトリガ(1024)を定位置に向かって戻すのに有意な支援を提供しない。しかしながら、トリガ(1024)の戻りストローク中に、いったん自由端(1220)が切り欠き(1114)に到達すると、カムレバー(1200)が、カムアーム(1100)を機械的に駆動するのにより良い位置になり、それによって、ねじりバネ(1210)が、コイルバネ(1102)がトリガ(1024)を図37Bに示される位置から図37Aに示される定位置に戻すのに有意な支援を提供する。もちろん、トリガ(1024)を定位置に戻すのを支援するために、任意の他の好適な構成要素、特徴、及び構成が使用されてもよい。あるいは、そのような構成要素は、所望により、単に省略されてもよい。
【0084】
また、本明細書のいずれの装置も、開示が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日に出願された「Control Features for Articulating Surgical Device」と題された米国特許出願第[代理人整理番号END6888USNP1]号、開示が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日に出願された「Articulation Joint Features for Articulating Surgical Device」と題された米国特許出願第[代理人整理番号END6889USNP]号、及び/又は開示が参照により本明細書に組み込まれる、本願と同日に出願された「Articulation Joint Features for Articulating Surgical Device」と題された米国特許出願第[代理人整理番号END6889USNP1]号に開示される様々な特徴の1つ以上も含んでもよいことを理解されたい。
【0085】
また、本明細書に記載される装置のいずれも、そうでなければ手動で移動される構成要素を駆動する、モータ又は他の電動装置を含むように修正されてもよいことも理解されたい。そのような修正の様々な実施例が、開示が参照により本明細書に組み込まれる、1011年6月2日に出願された「Motor Driven Electrosurgical Device with Mechanical and Electrical Feedback」と題された米国特許出願第13/151,481号に記載されている。本明細書の教示を考慮することで、モータ又は他の電動装置が本明細書の任意の装置に組み込まれ得る、様々な他の好適な方法が、当業者に明らかになるであろう。
【0086】
また、本明細書に記載されるいずれの装置も、医療装置自体の中に必要とされる構成要素の全てではないにしても大部分を含有するように修正されてもよいことも理解されたい。より具体的には、本明細書に記載される装置は、ケーブルで外部電源に接続することを要求する代わりに、内部電源又は取り付け可能な電源を使用するように適合されてもよい。どのように医療装置が可搬型電源を含むように適合され得るかの様々な実施例が、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2010年11月5日に出願された「Energy−Based Surgical Instruments」と題された米国仮出願第61/410,603号に開示されている。本明細書の教示を考慮することで、電源が本明細書の任意の装置に組み込まれ得る様々な他の好適な方法が、当業者に明らかになるであろう。
【0087】
VI.その他
本明細書の実施例は、主に、電気外科用器具の文脈において記載されるが、本明細書の教示は、様々な他の種類の医療器具に容易に適用され得ることを理解されたい。一例として、本明細書の教示は、組織捕捉器具、組織取り込み袋配置器具、外科用ホッチキス、超音波外科用器具などに容易に適用され得る。また、本明細書の教示は、本明細書の引用文献のいずれかの教示と多数の方法で容易に組み合わせられ得るため、本明細書の教示は、本明細書の引用文献のいずれかに記載される器具のいずれにも容易に適用され得ることも理解されたい。本明細書の教示が組み込まれ得る他の種類の器具が、当業者に明らかになるであろう。
【0088】
本明細書に援用されると言われるいかなる特許、刊行物、又は他の開示内容も、その全体又は一部において、援用文献が現行の定義、見解、又は本開示に記載された他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲で本明細書に援用するものであることが認識されるべきである。このように及び必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載されている開示は、参照により本明細書に組み込まれる任意の矛盾する事物に取って代わるものとする。参照により本明細書に組み込まれると称されているが、現行の定義、記載、又は本明細書に記載されている他の開示物と矛盾するいずれの事物、又はそれらの部分は、組み込まれる事物と現行の開示事物との間に矛盾が生じない範囲でのみ組み込まれるものとする。
【0089】
本発明の実施形態は、従来の内視鏡及び開腹手術器具、並びにロボット支援手術における応用が可能である。例えば、当業者は、本明細書の様々な教示が、開示が参照により本明細書に組み込まれる、2004年8月31日に公開された「Robotic Surgical Tool with Ultrasound Cauterizing and Cutting Instrument」と題された米国特許第6,783,524号の様々な教示と容易に組み合わせられ得ることを理解するであろう。
【0090】
本明細書に開示される装置の実施形態は、1回の使用後に処分されるように設計することができる、又はそれらの実施形態は、複数回使用されるように設計することができる。諸実施形態は、いずれの場合も、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されてもよい。再調整することは、装置を分解する工程、それに続いて特定の部品を洗浄及び交換する工程、並びにその後の再組み立てする工程の任意の組み合わせを含んでもよい。特に、装置の実施形態は分解されてもよく、また、装置の任意の数の特定の部片又は部品が、任意の組み合わせで選択的に交換されるか、又は取り外されてもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換の際、装置の実施形態は、再調整用の施設で、又は外科的処置の直前に外科チームによって、その後の使用のために再組み立てされてもよい。デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用できることが、当業者には理解されよう。このような技術の使用、及びその結果として得られる再調整された装置は、全て、本出願の範囲内にある。
【0091】
一例として、本明細書に記載される実施形態は、手術前に処理されてもよい。最初に、新品又は使用済みの器具が入手され、必要に応じて洗浄されてもよい。器具は次いで、滅菌されてもよい。1つの滅菌法では、プラスチック又はTYVEKバッグなどの閉鎖かつ密封された容器に器具を入れる。次いで、容器及び器具は、γ放射線、x線、又は高エネルギー電子など、容器を透過し得る放射線場に置かれてもよい。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。次いで、滅菌された器具は、滅菌容器内で保管されてもよい。密封容器は、医療施設で開けられるまで、器具を滅菌状態に保つことができる。装置はまた、限定されるものではないが、ベータ若しくはガンマ放射線、エチレンオキシド、又は水蒸気を含めて、当該技術分野において既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0092】
本発明の様々な実施形態について図示し、記載してきたが、本明細書に記載される方法及びシステムの更なる改作が、当業者による適切な変更により、本発明の範囲を逸脱することなく達成され得る。そうした可能な改変例の幾つかについて述べたが、その他の改変も当業者には明らかであろう。例えば、上で議論した実施例、実施形態、幾何学的図形、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され、記載される構造及び操作の細部に限定されると解釈されるものではない。
【0093】
〔実施の態様〕
(1) 電気外科用装置であって、
(a)本体と、
(b)エンドエフェクタであって
(i)第1のつかみ具と、
(ii)第2のつかみ具と、
を備え、前記第1のつかみ具が、前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に組織を挟持するように、前記第2のつかみ具に向かって移動可能であり、
前記つかみ具のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つの電極を備え、
前記少なくとも1つの電極が、前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に挟持される組織に無線周波数エネルギーを供給するように動作可能である、エンドエフェクタと、
(c)前記第1のつかみ具と前記第2のつかみ具との間に挟持される組織を切断するように動作可能な切断部材と、
(d)前記本体と前記エンドエフェクタとの間に延在するシャフトであって、前記シャフトが、長手軸線を画定し、前記シャフトが、関節セクションを含み、前記関節セクションが、前記エンドエフェクタを前記シャフトの前記長手軸線に対して非平行な位置に選択的に位置付けるように動作可能であり、前記本体が、前記関節セクションを選択的に作動させるように動作可能な制御装置を含む、シャフトと、を備える、電気外科用装置。
(2) 前記制御装置が、ノブを備える、実施態様1に記載の電気外科用装置。
(3) 前記ノブが、前記シャフトの前記長手軸線に対して垂直な平面に沿って回転可能である、実施態様2に記載の電気外科用装置。
(4) 前記ノブが、前記シャフトの前記長手軸線に対して傾斜した平面に沿って、前記シャフトの前記長手軸線を中心に回転可能である、実施態様2に記載の電気外科用装置。
(5) 前記制御装置が、球状駆動部を更に備え、前記ノブが、前記球状駆動部の周囲に配置される、実施態様4に記載の電気外科用装置。
【0094】
(6) 前記制御装置が、第1のネジ山領域と、第2のネジ山領域とを含み、前記第1のネジ山領域が、第1の配向を有するネジ切り部を含み、前記第2のネジ山領域が、第2の配向を有するネジ切り部を含み、前記第2の配向が、前記第1の配向とは逆であり、前記制御装置が、前記第1及び前記第2のネジ山領域を共通方向に同時に回転させるように動作可能である、実施態様1に記載の電気外科用装置。
(7) 前記制御装置が、前記第1のネジ山領域と係合される第1の主ネジと、前記第2のネジ山領域と係合される第2の主ネジとを更に備え、前記主ネジが、前記第1及び第2のネジ山領域が前記共通方向に回転されるのに応えて、逆方向に並進するように構成される、実施態様6に記載の電気外科用装置。
(8) 前記第1の主ネジと連結される第1の関節部材と、前記第2の主ネジと連結される第2の関節部材とを更に備え、前記第1及び前記第2の関節部材が、前記主ネジの並進に応えて、前記シャフトを通って長手方向に並進し、それによって前記関節セクションを作動させる、実施態様7に記載の電気外科用装置。
(9) 前記第1の主ネジを前記第1の関節部材と調整して連結するように、前記第1の主ネジと前記第1の関節部材との間で選択的に位置付け可能な第1の回転部材を更に備える、実施態様8に記載の電気外科用装置。
(10) 前記シャフトを通って長手方向に延在する第1の関節バンドと、前記シャフトを通って長手方向に延在する第2の関節バンドとを更に備え、第1及び第2の関節バンドが、前記関節セクションを選択的に屈曲又は枢動させるように、前記関節セクションと更に連結され、前記制御装置が、前記関節バンドを逆方向に並進させるように動作可能である、実施態様1に記載の電気外科用装置。
【0095】
(11) 前記制御装置が、枢動部材を備え、前記枢動部材が、前記本体に対する前記枢動部材の枢動角度に基づき、前記関節セクションを屈曲又は枢動させるように動作可能である、実施態様1に記載の電気外科用装置。
(12) 前記制御装置が、一対の対向するラックを更に備え、前記枢動部材が、ポストと、前記ラックと係合されるピニオンとを含み、前記ピニオンが、前記枢動部材の枢動に応えて、前記ラックを逆方向に同時に並進させるように動作可能であり、前記ラックが、前記ラックの逆方向の長手方向運動に基づき、前記関節セクションを屈曲又は枢動させるように動作可能である、実施態様11に記載の電気外科用装置。
(13) 前記枢動部材が、枢動平面に沿って枢動可能であり、前記関節セクションが、前記枢動平面に対応する関節平面に沿って屈曲又は枢動するように構成され、前記シャフト及び前記制御装置が、前記枢動平面及び前記関節平面が前記シャフトの前記長手軸線を中心に回転可能であるように、前記本体に対して前記シャフトの前記長手軸線を中心に回転可能である、実施態様11に記載の電気外科用装置。
(14) 前記枢動部材が、ユーザーの親指で係合可能なフィンを備える、実施態様11に記載の電気外科用装置。
(15) 前記制御装置が、前記枢動部材の枢動運動を2つの並進部材の逆方向の並進運動に変換するように動作可能な一対の結合アームを更に備え、前記並進部材が、前記並進部材の逆方向の並進に応えて、前記関節セクションを屈曲又は枢動させるように動作可能である、実施態様11に記載の電気外科用装置。
【0096】
(16) 前記シャフトを通って延在する細長い部材を更に備え、前記細長い部材が、前記シャフトを通して電力を導電する、又は前記シャフトを通る電気的地帰路を提供するように構成され、前記細長い部材が、前記本体に対して移動可能であり、前記本体が、導電性連結具を含み、前記細長い部材が、前記本体に対して移動する間、前記導電性連結具が、前記細長い部材と接触して、前記細長い部材との電気的導通を維持するように構成される、実施態様1に記載の電気外科用装置。
(17) 前記導電性連結具が、少なくとも2つの軸に沿って前記細長い部材と接触するように構成される、実施態様16に記載の電気外科用装置。
(18) (a)前記切断部材を作動させるように動作可能なトリガであって、カムアームを含む、トリガと、
(b)前記カムアームと係合されるトリガ戻りレバーであって、前記トリガを定位置に付勢するように構成される、トリガ戻りレバーと、を更に備える、実施態様1に記載の電気外科用装置。
(19) 外科用器具であって、
(a)本体と、
(b)組織を係合するように動作可能である、エンドエフェクタと、
(c)前記本体と前記エンドエフェクタとの間に延在するシャフトであって、前記シャフトが、長手軸線を画定し、前記シャフトが、関節セクションを含み、前記関節セクションが、前記エンドエフェクタを前記シャフトの前記長手軸線に対して非平行な位置に選択的に位置付けるように動作可能である、シャフトと、
(d)前記関節セクションを選択的に作動させるように動作可能な制御装置であって、
(i)前記本体に対して回転可能である、回転部材と、
(ii)前記シャフトを通って延在する第1の細長い部材と、
(iii)前記シャフトを通って延在する第2の細長い部材と、
を備え、前記回転部材が、前記回転部材の回転に応えて、前記第1及び第2の細長い部材を逆方向に同時に並進させるように動作可能であり、
前記第1及び第2の細長い部材が、前記細長い部材の逆方向への長手方向移動に応えて、前記関節セクションを屈曲又は枢動させるように構成される、制御装置と、を備える、外科用器具。
(20) 外科用器具であって、
(a)本体と、
(b)組織を係合するように動作可能である、エンドエフェクタと、
(c)前記本体と前記エンドエフェクタとの間に延在するシャフトであって、前記シャフトが、長手軸線を画定し、前記シャフトが、関節セクションを含み、前記関節セクションが、前記エンドエフェクタを前記シャフトの前記長手軸線に対して非平行な位置に選択的に位置付けるように動作可能である、シャフトと、
(d)前記関節セクションを選択的に作動させるように動作可能な制御装置であって、
(i)前記本体に対して回転可能である、回転部材と、
(ii)第1の配向を有するネジ切り部を含む、第1のネジ山領域と、
(iii)第2の配向を有するネジ切り部を含む、第2のネジ山領域であって、前記回転部材が、前記第1及び第2のネジ山領域を共通方向に同時に回転させるように動作可能である、第2のネジ山領域と、
(iv)前記第1のネジ山領域と係合される第1の主ネジと、
(v)前記第2のネジ山領域と係合される第2の主ネジであって、前記主ネジが、前記第1及び第2のネジ山領域が前記共通方向に回転されるのに応えて、逆方向に並進するように構成される、第2の主ネジと、を備える制御装置と、を備える、外科用器具。
図1
図2
図3
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図5
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図17A
図17B
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