特許第5893631号(P5893631)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893631
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】車両充電器安全システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/00 20160101AFI20160310BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   H02J17/00 B
   H02J7/00 301D
   H02J7/00 P
【請求項の数】39
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-532855(P2013-532855)
(86)(22)【出願日】2011年10月3日
(65)【公表番号】特表2013-543719(P2013-543719A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】US2011054544
(87)【国際公開番号】WO2012047779
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年5月14日
(31)【優先権主張番号】12/899,281
(32)【優先日】2010年10月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513088962
【氏名又は名称】ワイトリシティ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ホール キャサリン エル.
(72)【発明者】
【氏名】キスラー モリス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フィオレロ ロン
(72)【発明者】
【氏名】シャッツ デビッド エイ.
(72)【発明者】
【氏名】クリコフスキ コンラッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ソーリャチッチ マリン
【審査官】 岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−273260(JP,A)
【文献】 特開2008−017562(JP,A)
【文献】 特開2009−213295(JP,A)
【文献】 特開2000−134830(JP,A)
【文献】 実開平06−002975(JP,U)
【文献】 国際公開第2010/106648(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H02J 7/00− 7/12
7/34− 7/36
50/00−50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一つを含む共振器サブシステム:
車両に電力を無線伝送するために磁界を発生するように構成された、供給源共振器;および、
車両への取り付けのために構成され、かつ、さらに該車両に電力を無線伝送するために磁界を受信するように構成された、受信共振器;
温度センサのアレイ;ならびに、
前記共振器サブシステムと前記温度センサのアレイとに接続された、制御回路
を含む、車両無線電力伝送ステムであって、
動作中に、前記制御回路が、
前記共振器サブシステムの少なくとも一つのパラメータの値を測定し;
前記温度センサのアレイから温度測定信号を受け取り;かつ、
前記少なくとも一つのパラメータの値および前記温度測定信号に基づいて、前記共振器サブシステムの近くに物体が配置されているかどうかを決定するように構成されている、
前記車両無線電力伝送ステム。
【請求項2】
前記少なくとも一つのパラメータが、前記共振器サブシステムの電圧および電流の少なくとも一つを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも一つのパラメータが、前記磁界の振幅を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも一つのパラメータが、前記共振器サブシステムのリアクタンス値、インダクタンス値、および、インピーダンス値の少なくとも一つを含む、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも一つのパラメータが、前記共振器サブシステムの周波数を含む、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記制御回路が、前記共振器サブシステムの近くに物体が配置されているかどうかを決定するために、前記少なくとも一つのパラメータの測定値を、前記少なくとも一つのパラメータの公称値と比較するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記制御回路に接続された通知サブシステムをさらに含み、動作中に、該通知サブシステムが、前記共振器サブシステムの近くに物体が配置されているときに警告信号を発生するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記警告信号が、表示ユニット上の視覚信号、およびアナンシエータからの聴覚信号の少なくとも一つを含む、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記警告信号が、電子的に送達される通知メッセージを含む、請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記共振器サブシステムが筐体を含み、かつ、前記温度センサのアレイが該筐体の内側に取り付けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
動作中に前記共振器サブシステムの近くに物体が配置されていると決定すると、前記制御回路がさらに前記共振器サブシステムの少なくとも一つの動作パラメータを調節するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも一つの動作パラメータが、電力が前記車両へと伝送される速度を含む、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
動作中に前記共振器サブシステムの近くに物体が配置されていると決定すると、前記制御回路がさらに前記共振器サブシステムを不活性化して前記車両への電力伝送を停止するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記制御回路に接続された少なくとも一つの磁力計をさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも一つの磁力計が、一つまたは複数の誘導ループを含む、請求項14記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも一つの磁力計の有効範囲が、前記車両の下面および電力が前記車両に伝送されているときに前記車両が駐車している表面との間の距離よりも短い、請求項14記載のシステム。
【請求項17】
動作中に、前記制御回路が、前記少なくとも一つの磁力計から測定信号を受け取るように、かつ、前記少なくとも一つの磁力計からの該測定信号に基づいて、前記共振器サブシステムの近くに物体が配置されているかどうかを決定するように構成されている、請求項14記載のシステム。
【請求項18】
前記制御回路が、前記共振器サブシステムが不活性化されているときに、前記少なくとも一つの磁力計からの前記測定信号に基づいて、前記共振器サブシステムの近くに物体が配置されているかどうかを決定するように構成されている、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
動作中に、前記制御回路が、
前記アレイの複数の温度センサからの温度測定信号を受け取り;
該温度測定信号に基づいてベースライン温度信号を決定し;かつ、
前記共振器サブシステムの近くに物体が配置されているかどうかを決定するために、該温度測定信号を該ベースライン温度信号と比較するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項20】
動作中に、前記制御回路が、前記温度測定信号を前記ベースライン温度信号と比較することによって、前記共振器サブシステムに対する物体の位置を決定するように構成されている、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
動作中に、制御回路が、
前記車両に電力が伝送されていないときに前記アレイの複数の温度センサから受け取った温度測定信号に基づいて、前記ベースライン温度信号を決定し;かつ、
前記車両に電力が伝送されているときに前記アレイの複数の温度センサから受け取った温度測定信号に基づいて、前記共振器サブシステムの近くに物体が配置されているかどうかを決定するように構成されている、
請求項19記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも一つの動作パラメータが、前記共振器サブシステムの周波数を含む、請求項11記載のシステム。
【請求項23】
前記制御回路が、前記共振器サブシステムの前記周波数を調節するために、前記共振器サブシステムの容量性素子のキャパシタンスおよび前記共振器サブシステムの誘導性素子のインダクタンスの少なくとも一つを調節するように構成されている、請求項22記載のシステム。
【請求項24】
動作中に、前記制御回路が:
前記共振器サブシステムを交互に活性化および不活性化して、交互に前記車両に電力を伝送するおよび前記車両への電力伝送を停止することによって、前記共振器サブシステムを変調し;
前記共振器サブシステムが活性化されているときおよび前記共振器サブシステムが不活性化されているときに、前記温度センサのアレイからの温度測定信号を受け取り;かつ、
前記共振器サブシステムの前記変調と、前記温度測定信号との間の時間的な相関に基づいて、前記共振器サブシステムの近くに物体が配置されているかどうかを決定するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項25】
無線電力伝送システムの近く物体が配置されているかどうかを決定するための方法であって:
前記無線電力伝送システムの共振器サブシステムの、少なくとも一つのパラメータの値を測定する工程;
温度センサのアレイから、温度測定信号を受け取る工程;および、
前記少なくとも一つのパラメータの値および前記温度測定信号に基づいて、前記無線電力伝送システムの近くに物体が配置されているかどうかを決定する工程
を含む、方法。
【請求項26】
前記少なくとも一つのパラメータが、前記共振器サブシステムの電圧および電流の少なくとも一つを含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも一つのパラメータが、前記共振器サブシステムにより発生させられるまたは受信される磁界の振幅を含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも一つのパラメータが、前記共振器サブシステムのリアクタンス値、インダクタンス値、および、インピーダンス値の少なくとも一つを含む、請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも一つのパラメータが、前記共振器サブシステムの周波数を含む、請求項25記載の方法。
【請求項30】
前記無線電力伝送システムの近くに物体が配置されているかどうかを決定するために、前記少なくとも一つのパラメータの測定値を、前記少なくとも一つのパラメータの公称値と比較する工程
をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記無線電力伝送システムの近くに物体が配置されていると決定すると、前記共振器サブシステムの少なくとも一つの動作パラメータを調節する工程
をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項32】
前記少なくとも一つの動作パラメータが、電力が前記共振器サブシステムからまたは前記共振器サブシステムへ伝送される速度を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記無線電力伝送システムの近くに物体が配置されていると決定すると、前記共振器サブシステムを不活性化して前記共振器サブシステムによるまたは前記共振器サブシステムへの電力伝送を停止する工程
をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項34】
前記アレイの複数の温度センサからの温度測定信号を受け取る工程;
該温度測定信号に基づいてベースライン温度信号を決定する工程;および、
前記無線電力伝送システムの近くに物体が配置されているかどうかを決定するために、該温度測定信号を該ベースライン温度信号と比較する工程
をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項35】
前記温度測定信号を前記ベースライン温度信号と比較することによって、前記共振器サブシステムに対する物体の位置を決定する工程
をさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記共振器サブシステムからまたは前記共振器サブシステムへ電力が無線伝送されていないときに前記アレイの複数の温度センサから受け取った温度測定信号に基づいて、前記ベースライン温度信号を決定する工程;および、
前記共振器サブシステムからまたは前記共振器サブシステムへ電力が無線伝送されているときに前記アレイの複数の温度センサから受け取った温度測定信号に基づいて、前記無線電力伝送システムの近くに物体が配置されているかどうかを決定する工程
をさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項37】
前記少なくとも一つの動作パラメータが、前記共振器サブシステムの周波数を含む、請求項31記載の方法。
【請求項38】
前記共振器サブシステムの前記周波数を調節するために、前記共振器サブシステムの容量性素子のキャパシタンスおよび前記共振器サブシステムの誘導性素子のインダクタンスの少なくとも一つを調節する工程
をさらに含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記共振器サブシステムを交互に活性化および不活性化して、交互に前記共振器サブシステムからまたは前記共振器サブシステムへ無線で電力を伝送するおよび前記共振器サブシステムからのまたは前記共振器サブシステムへの無線電力伝送を停止することによって、前記共振器サブシステムを変調する工程;
前記共振器サブシステムが活性化されているときおよび前記共振器サブシステムが不活性化されているときに、前記温度センサのアレイからの温度測定信号を受け取る工程;および、
前記共振器サブシステムの前記変調と、前記温度測定信号との間の時間的な相関に基づいて、前記無線電力伝送システムの近くに物体が配置されているかどうかを決定する工程
をさらに含む、請求項25記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野:
本開示は、無線エネルギー伝送を用いる車両の充電、およびそのような充電を達成するための装置に関する。
【0002】
関連技術の説明
エネルギーまたは電力は、例えば、その内容が参照により組み入れられる、2010年5月6日にUS 2010010909445として公開され、「Wireless Energy Transfer Systems」と題する、共同所有されている米国特許出願第12/613,686号で詳述されているような、様々な公知の放射技術、または遠方界技術、および非放射技術、または近傍界技術を用いて、無線で伝送されうる。現在まで、完全な電気自動車またはハイブリッド自動車用の充電ステーションなどの車両を充電するための無線システムの使用は、様々な困難のために制限されている。例えば、エネルギー伝送の効率、電源とデバイス構成要素の物理的な近接/アライメント、ならびに関連する要因は、無線車両充電装置の商業展開を制限する全ての課題を有する。
【0003】
電気車両を充電するときに伝送される必要があるエネルギーの量は重要であり、妥当な時間内にこれを行うには、かなりのレベルの電力伝送を必要とする。有線充電システムでは、断線、摩耗型絶縁(abraded insulation)、潜在的に可燃性の材料を伴う領域におけるコネクタの火花発生、汚れているかまたは他の原因で多少の電気抵抗を生じた接合部からの発熱、運転者のパーキングブレーキかけ忘れによるケーブル切断などの多数の安全上の問題を考慮する必要がある。参照により組み入れられる特許文献に記載されているような無線充電システムは、車両の充電に適切な伝送速度で動作することができる。これらのシステムは、有線車両充電システムの安全上の懸念の多くを不要なものとするが、いくつかの安全上の問題はいまだ残っており、それらは、有線車両充電器システム、または消費者向けデバイス(例えば、携帯電話およびラップトップ型コンピュータ)を充電するために用いられるものなどより小型の無線システムいずれのものとも全く異なる可能性がある。
【0004】
車両充電に付随する1つの特定の関心領域は、充電システムの領域において起こり得る材料の過熱である。例えば、車両充電器の供給源共振器と自動車のデバイス共振器との間の金属の物体は、物体において誘導される渦電流の結果として、熱くなりすぎて触ることができない可能性がある。そのように加熱された物体は、誰かがそれを踏むまたはそれを拾い上げる可能性がある位置に存在しうる。充電している自動車の下のガレージ床面上に残されたレンチは、自動車が走り去った後でさえ触るには熱い状態でありうる。
【0005】
車両充電についての別の懸念は、車を充電している間に、車の下および共振器間に入る人または動物の影響である可能性がある。確立された安全レベルを下回る界レベル(field level)を有する状況であっても、そのような動作シナリオにおいて界を低減させるかまたは除去することを望む消費者が存在する可能性がある。
【0006】
したがって、そのような現実的な課題に対応し、典型的なユーザ環境における無線車両充電器の広範な使用を可能とする無線車両充電器安全システムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
概要
無線車両充電器は、安全上の懸念に対応するサブシステムを含む。検出サブシステムは、安全上の問題があるかどうかを判定する。
【0008】
1つの局面において、通知サブシステムはユーザに安全上の問題を警告する。
【0009】
別の局面において、管理サブシステムは安全上の問題に対応する。
【0010】
1つの特定に局面において、関心対象の領域に塗布された感熱塗料は、色を変化させ、高温を示す。
【0011】
さらに別の局面において、検出サブシステムはセンサを含み、指示器を含む通知サブシステムと通信を行う。
【0012】
さらに別の局面において、管理サブシステムは、冷却をもたらすように構成される。関連する局面において、管理システムは、過熱したアイテムを取り除くように構成される。さらなる関連する局面において、管理システムは、安全上の問題が存在するという判定に応答して車両充電器の動作を変更するように構成される。
【0013】
当業者は、本開示において取り組まれた特定の構成が様々な他の方法で実装できることを認識している。他に規定されていない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。
【0014】
[本発明1001]
充電器に実質的に近接する物体の存在を検出するように構成される検出サブシステムと、
検出サブシステムに機能的に連結され、かつ物体の指示をもたらすように構成された通知サブシステムと
を含む、充電器の動作中に熱くなる可能性がある物体に対する保護を提供する充電器用安全システム。
[本発明1002]
検出サブシステムに機能的に連結され、かつ物体の影響を軽減するように構成された管理サブシステムをさらに含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1003]
検出サブシステムが熱センサを含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1004]
通知サブシステムがアナンシエータを含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1005]
検出サブシステムが感熱塗料を含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1006]
通知サブシステムが感熱塗料を含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1007]
管理サブシステムが、物体に関連する領域を冷却するように構成される、本発明1002の安全システム。
[本発明1008]
管理サブシステムが、物体を動かすように構成される、本発明1002の安全システム。
[本発明1009]
管理サブシステムが、物体の検出に応答して充電器の動作を変更するように構成される、本発明1002の安全システム。
[本発明1010]
充電器が供給源共振器を含み、検出サブシステムが供給源共振器と一体化される、本発明1001の安全システム。
[本発明1011]
充電器が供給源共振器を含み、通知サブシステムが供給源共振器と一体化される、本発明1001の安全システム。
[本発明1012]
充電器が供給源共振器を含み、管理サブシステムが供給源共振器と一体化される、本発明1002の安全システム。
[本発明1013]
検出サブシステムが壁面に取り付けたセンサを含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1014]
検出サブシステムが光センサを含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1015]
検出サブシステムがカメラを含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1016]
検出サブシステムが、車両の上に取り付けられたセンサを含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1017]
検出サブシステムが、車両のデバイス共振器と一体化したセンサを含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1018]
検出サブシステムが、物体が熱いかどうかに有意に応答しない周囲センサを含み、周囲センサからの出力を較正に用いるように構成される、本発明1001の安全システム。
[本発明1019]
充電器が充電を開始する前のベースライン較正に検出システムを用いるように構成される、本発明1001の安全システム。
[本発明1020]
通知サブシステムが、物体に近接する領域において警告信号を提供するように構成されたアナンシエータを含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1021]
警告信号が可視指示である、本発明1020の安全システム。
[本発明1022]
警告信号が聴覚指示である、本発明1020の安全システム。
[本発明1023]
通知サブシステムが、物体の遠隔通知を提供するように構成される、本発明1001の安全システム。
[本発明1024]
遠隔通知が電子的に送達されたメッセージを含む、本発明1023の安全システム。
[本発明1025]
通知サブシステムが、物体から離れようとする車両の動きによって作動する、本発明1001の安全システム。
[本発明1026]
通知サブシステムが、複数のセンサを含み、該複数のセンサのサブセットからの温度示度の差に応答して物体の存在を検出するように構成される、本発明1001の安全システム。
[本発明1027]
管理サブシステムが、物体の検出に応答して物体に関連する領域に冷却剤を供給するように構成された冷却剤ディスペンサを含む、本発明1002の安全システム。
[本発明1028]
冷却剤ディスペンサが、デブリの動きを提供するようにさらに構成される、本発明1027の安全システム。
[本発明1029]
冷却剤ディスペンサが、物体を動かすようにさらに構成される、本発明1027の安全システム。
[本発明1030]
冷却剤ディスペンサが、充電器の供給源共振器と一体化される、本発明1027の安全システム。
[本発明1031]
管理サブシステムが、物体の検出に応答して充電器をオフにするように構成される、本発明1002の安全システム。
[本発明1032]
管理サブシステムが、物体の検出に応答して充電器の充電レベルを低下させるように構成される、本発明1002の安全システム。
[本発明1033]
管理サブシステムが、物体の検出に応答して充電器の動作パラメータを変化させるように構成される、本発明1002の安全システム。
[本発明1034]
前記動作パラメータが、複数の共振器のサブセットの選択に関連する、本発明1033の安全システム。
[本発明1035]
検出サブシステムが車両の電子システムと一体化される、本発明1001の安全システム。
[本発明1036]
通知サブシステムが車両の電子システムと一体化される、本発明1001の安全システム。
[本発明1037]
管理サブシステムが車両の電子システムと一体化される、本発明1002の安全システム。
[本発明1038]
検出サブシステムが磁力計を含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1039]
検出サブシステムが共振器と一体化した磁力計を含む、本発明1001の安全システム。
[本発明1040]
検出サブシステムが、充電器の充電サブシステムと連結され、充電サブシステムの入力動作パラメータを取得し、かつ充電サブシステムの動作パラメータに基づき物体の存在を判定する、本発明1001の安全システム。
[本発明1041]
管理サブシステムが物体の移動を容易にするように構成された表面を含む、本発明1002の安全システム。
[本発明1042]
管理サブシステムが、物体の移動を容易にするように動く表面を含む、本発明1002の安全システム。
[本発明1043]
管理サブシステムが、物体を動かすように物体を掃く機構を含む、本発明1002の安全システム。
[本発明1044]
管理サブシステムが、磁気を用いて物体の移動を容易にする機構を含む、本発明1002の安全システム。
[本発明1045]
管理サブシステムが、物体に近接する流体処理用に構成された排水管を含む、本発明1002の安全システム。
[本発明1046]
検出サブシステムおよび通知サブシステムが一体化される、本発明1001の安全システム。
[本発明1047]
検出サブシステムおよび管理サブシステムが一体化される、本発明1002の安全システム。
[本発明1048]
通知システムおよび管理サブシステムが一体化される、本発明1002の安全システム。
[本発明1049]
物体の存在を検出する工程と、
物体の存在の通知を提供する工程と
を含む、充電機の動作中に熱くなる可能性がある物体について充電器の安全な動作を確実にする方法。
[本発明1050]
物体の存在を検出する工程に応答して管理措置を取る工程をさらに含む、本発明1049の方法。
[本発明1051]
前記検出する工程が、前記物体に関連する熱を感知することを含む、本発明1049の方法。
[本発明1052]
前記通知を提供する工程が、ローカルな指示器を作動させることを含む、本発明1049の方法。
[本発明1053]
前記通知を提供する工程が、遠隔地へのメッセージを作動させることを含む、本発明1049の方法。
[本発明1054]
前記管理措置を取る工程が、前記物体に近接する領域を冷却することを含む、本発明1050の方法。
[本発明1055]
前記管理措置を取る工程が、前記物体を動かすことを含む、本発明1050の方法。
[本発明1056]
前記管理措置を取る工程が、前記充電器の動作モードを変えることを含む、本発明1050の方法。

上記の特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、単独でまたは組み合わせて使用されうる。本明細書に開示されるシステムおよび方法の他の特徴、目的および利点は、以下の詳細な説明および図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】車両充電システムおよび対応する安全システムを装備した駐車場に駐車した自動車の側面図である。
図2】(a)は車両充電システム共振器上の感熱塗料の使用を例示する等角図であり、(b)は供給源共振器筐体の形状を例示する等角図である。
図3】本明細書において記載される態様に従う車両充電器安全システムのハイレベルブロック図である。
図4】(a)は温度センサおよび指示器のアレイを有する共振器の態様の等角図であり、(b)は熱を検出するためのストリップセンサ(strip sensor)を有する共振器の態様の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
上記のとおり、本開示は、結合された共振器を用いる無線車両充電器に関する。そのような共振器を用いるシステムの広範囲にわたる議論は、例えば、2010年5月6日にUS 2010010909445として公開され、「Wireless Energy Transfer Systems」と題し、本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に組み入れられる、共同所有されている米国特許出願第12/613,686号において提供される。
【0017】
ここで図1を参照すると、充電供給源共振器101は、ガレージ床面107と一体化され、自動車102へ無線充電を提供する。1つの態様において、供給源共振器101は、床面107に埋め込まれる。第2の態様において、共振器101は、床面107にボルト留めされたプレートなどにより、床面107の上端に固定される。第3の態様において、共振器101は、床面107の上端上に置かれるマットとして実装される。共振器101は無線車両充電システムの一部であり、その他の構成要素は本明細書に明確には例示されていない。本開示を明確にするために、無線充電システムの他の構成要素は、たとえそのような他の構成要素が実際には共振器101と離れて設置される可能性があるとしても、共振器101によって表されているとみなすことができる。自動車102に取り付けられた車両共振器111(デバイス共振器、捕捉共振器、ドレイン共振器、または吸込み共振器(sink resonator)と呼ばれることもある)は、供給源共振器101から磁界を振動させることによって伝送されるエネルギーを捕捉する。1つの態様において、デバイス共振器111は自動車102の下面にその中央部分に向けて取り付けられ;変形形態では、共振器111は自動車102の前方または後方に向けて実質的に設置される。さらに他の態様において、共振器111は、自動車102の構造体、車体、またはパネルの一部に組み込まれる。特定の例として、共振器111は、壁面に取り付けた供給源共振器101または床面に取り付けた供給源共振器101のいずれかに合理的にごく近接して配置されているものの、ほとんど目立たない設計を可能にする、車両のバンパ部分に適合するように成形されてもよい。「充電」または「充電器」などの用語が本明細書において用いられる場合、それらは、単にバッテリーの充電ではなく一般化された電力伝送を含むよう広く解釈されるべきであることが留意されるべきである。
【0018】
実際には、ある例では、供給源共振器101と対応する車両共振器111との間に配置された外部からの物体(例えば、物体110)は、車両充電システムの動作特性を変更しうる。物体110の性質およびその位置に応じて、物体110は、システムにより伝送されるエネルギーの一部を吸収でき、その結果、物体110およびその周囲の加熱を生じさせる。
【0019】
自動車などの車両を無線で再充電することができるシステムでは、物体110に吸収されたエネルギーは、それおよび周囲領域を熱くて触れることができない状態にすることができる。例えば、自動車102が、数時間にわたる再充電の後に充電領域を離れた場合に、物体110を拾い上げた人は、それが熱すぎて触れることができないことを見いだしうる。同様に、たとえ物体が動かされていたとしても、加熱された領域の上に立つ人または動物は影響を受けうる。
【0020】
したがって、1つの態様において、センサ103は、安全上の懸念をもたらすのに有意に十分な熱的状態を検出する。図1に示すように、センサ103は、自動車の正面の壁面106上に取り付けられる。そのような壁面に取り付けられた構成のための様々な実装では、赤外線カメラまたは固体センサなどの通常の熱センサ103が、壁面106から共振器101の周辺の領域に向けられ、その領域の任意の場所における高温を検出する。他の実装において、サーミスタに基づくセンサなど通常の熱センサが、共振器101に直接組み込まれる。代替の実装において、そのようなセンサのアレイが、対象となるより広い領域を範囲に含むために用いられる。いくつかの態様において、IRカメラおよび温度計などを含む1つまたは複数の熱センサ112が、供給源共振器101の周りに配置されるか、供給源共振器101に組み込まれるか、デバイス共振器111に組み込まれるか、または自動車102に取り付けられる。いくつかの適用において、典型的には、下に供給源共振器101がはっきりと見えるので、自動車102の下面上にセンサ112を取り付けることが好ましい可能性がある。
【0021】
非収束赤外線検出器などセンサ103のいくつかの安価な実装は、それらの視野が他の理由、例えば床面107に対する太陽の照りつけまたはエンジン/排気システム熱により温められている領域を含む場合には、非常に異なって読み取られる可能性がある。センサ103に対して非常に安価なデバイスの連続使用を可能にするために、そのような状況では、追加のセンサが、較正の基準を提供するために用いられる。1つの態様において、センサ(示さず)は、自動車の上方に、例えばアナンシエータ104の位置に設置され、共振器に関連する熱問題を示さない参考周囲温度を得ることを目的とする。次いで、温度の違いが、自動車102の充電に関連する過剰な温度状況が存在するかどうかを判定するために用いられる。他の態様において、熱指示器ではなく光指示器が、床面107に降り注ぐ太陽光が、センサ103から予測される温度示度より高い温度をもたらすものであるかどうかを判定するために用いられる。
【0022】
いくつかの態様において、電力伝送を作動させたり切ったりして、温度の読み取り値を調べ、それらが電力伝送の変調と相関するまたはそれに従うかどうかを見ることにより、温度上昇の原因を決定することが可能になる。例えば、(例えば、高いセンサ読み取り値により)安全システムが、無線電力伝送により加熱されている物体が存在する可能性があると疑われる場合には、安全システムは、所定の時間にまたはランダムな時間に無線電力伝送のレベルを一時的に変調してもよい。センサにより検出される加熱または温度上昇が、電力供給源の変調に従う場合には、無線電力伝送が異物による加熱効果を生じさせている可能性が高い。
【0023】
いくつかの態様において、センサ112は、車両が駐車された後だが、充電が開始される前に、共振器101の周囲の領域を較正する。この較正手法は、本明細書に記載されているように、充電に起因する温度変化を、軽減するかまたは通知するためにより容易に同定されるように、その後の感知に対してベースライン値を提供する。
【0024】
安全性の懸念の性質に応じて、高温状態に対する適切な応答は変わってもよい。充電システムが、ある特定の位置(公知のホットスポット)だけで過熱しやすいことが知られている場合には、許容可能な閾値を上回る熱を検出した場合にその位置を積極的に冷却することが最も適切である可能性がある。安全性リスクが不快感または軽傷のうち一方だけである場合は、近くの人への警告が最も適切である可能性がある。ある種の態様において、許容できない量の加熱を判定すると、充電電力レベルは、車両がより遅い速度ながら引き続き充電されるように低減される。そのような状況では、この充電速度の低下が(例えば、無線通信プロトコル、電子メールメッセージ、テキストメッセージ、携帯電話メッセージを介して)指示器を有する車両の所有者に通知することがシステムにとって適切である可能性がある。次いで、車両の所有者は、充電速度の低下をもたらす物体110を除去するために車両に戻るかどうかを決定することができる。
【0025】
したがって、1つの態様において、アナンシエータ104は、センサ103、112が高温を検出すると作動するように、センサ103、112に機能的に連結される。1つの態様において、アナンシエータ104は、自動車の下の高温に注意するよう近くの人に注意を与える、合成音声などの聴覚警報を提供する。あるいは、チャープ音およびビープ音などのより単純な通知が、近くの人に警告するために用いられる。より多くの情報を伝えるべきである場合は、アナンシエータ近くに標示が提供され、それが作動すると、その領域内に高温が存在することを説明する。様々な環境では、そのようなアナンシエータ104以外の指示器がより適切である。
【0026】
いくつかの環境において、共振器101の付近の高温が安全上の問題を引き起こす可能性は、自動車102が引き続き存在すると最小だが、自動車102が出発し、それによって、歩行者または例えばひもにつないだ犬がその中に足を踏み入れる可能性があるオープンスペースが残されると、著しく増加する可能性がある。そのような環境では、センサ103、112は、自動車102の有無を判定する一体化型近接センサを含み、(i)高温状況が検出されたときおよび(ii)自動車102がもはや存在していないときの両方の場合にのみアナンシエータ104を作動させる。
【0027】
上記のとおり、アナンシエータ104は、聴覚警報を提供する。他の態様において、可視警報が提供される。単純な実装において、可視警報は、連続的な光(solid lights)または点滅光(例えばLEDデバイス)によるものである。より複雑な実装において、テキストメッセージを含む電光サインが提供される。環境および懸念の程度に応じて、パスル照明、点滅照明またはストロボ照明の効果が、危険に対する適切な注意を与えるために用いられる。いくつかの態様において、メッセージは、電話、テキスト、ツイート、または電子メールインスタントメッセージなどを介して所有者または他の指定されたユーザに送られる。
【0028】
ここで図4(a)を参照すると、種々の態様において、温度センサのアレイまたは配列が、供給源共振器またはデバイス共振器の筐体に組み込まれている。図4(a)に図示された1つの態様において、温度センサ401は、共振器101の上端上にアレイとして配置される。温度センサ401のアレイは、共振器の上面に十分近接して共振器筐体の内側に取り付けられ、共振器の上端上の熱い物体による温度の違いを検出してもよい。他の態様において、温度センサ401は、その内に入れられるように筐体自体と一体化されるか、または筐体の外装と一体化される。さらに別の態様において、センサ401は、共振器101の上端を実質的に覆う別のモジュール内にある。温度センサ401のアレイは、共振器101の上端上に設置された損失性(lossy)物体による局所的な加熱かまたは周囲温度の全般的な上昇による加熱かを区別するために、使用および較正されてもよい。例えば、1つまたは2つのセンサにおける高温読み取り値は、異物が共振器の上端上に存在し、エネルギーを吸収している可能性があることを意味する可能性があり、一方、全ての温度センサの温度読み取り値の全般的上昇は、太陽および環境などによる周囲温度の変化を意味する可能性がある。センサの読み取り値間の相対的違いのみが熱い物体を検出するために必要とされる可能性があるため、そのような異なる読み取り値を示す能力は、センサを較正する任意の必要性を排除することができる。いくつかの適用において、センサ401の出力は、供給源の電力および制御回路と連結され、供給源制御がその動作パラメータを変化させ異物の加熱を制限するかまたは低下させることを可能にする。LED、光ルミネセンス片または他の発光源など、共振器101上のまたはその近くにあるライト402は、センサ401の出力に基づきユーザに熱い可能性がある物体への注意を喚起するために提供されてもよい。
【0029】
別の態様において、図4(b)に図示するように、感熱材料403の細片、ワイヤおよびひもなどが、供給源共振器101の面を横切って配列される。細片403は、適切な感知回路に連結され、共振器の上端上の物体からの加熱による細片403の特性の変化を検出し、共振器の電力出力または他の動作特徴を制御するか、または上記のように共振器の上端上の熱い可能性がある部材をユーザに通知するために用いられる。
【0030】
ある種の環境では、安全上の危険性が十分高く、警告単独では不十分である可能性がある。例えば、子供達は、遊び場または学校の駐車施設を歩き回り、熱い物体110を拾い上げようとする可能性がある。そのような環境では、過熱状態の積極的な管理が適切である。したがって、図1の態様において、冷却剤ディスペンサ105が、床面107の近くの壁面106上に配置され、過熱状態の検出時に作動する。単純な態様において、冷却剤ディスペンサ105は単に、過熱状態が検出されると開くソレノイド制御弁を有するウォーターノズルである。関連する態様において、ウォータースプレーは、自動車の車体底面を清浄すること(他の車洗浄ノズルと組み合わせるある特定の態様において)、床面107からオイル、グリースおよび他の自動車用液体を清浄すること、および床面107からデブリを掃くことを含むさらなる目的のためにも同様に用いられる。他の環境は、より複雑な手法を必要とする可能性がある。1つの態様において、冷却管は共振器101と一体化される。
【0031】
ある種の環境では、過熱状態に関連する安全上の懸念は、過熱状態の通知または冷却機構の作動ではなく、またはそれに加えて、車両充電を低下させるかまたはオフにすることを必要とする。そのような環境の1つの実装において、センサ103は、車両充電器と連結され、温度過上昇の指示は、完全なまたは部分的な充電器の電力低下(depowering)をもたらす。1つの態様において、通常のインターロック回路は、物体110が検出された場合には充電を行うことができないように、そのような制御を実施するために用いられる。いくつかの車両充電器の設計は、複数の供給源共振器およびデバイス共振器を使用しており;そのような実装において、1つの態様は、過熱状態をもたらさない形であるが、異なる組み合わせの共振器素子を適用して、多少の充電を続けることができる。いくつかの態様において、充電システムは様々な大きさの供給源を含み、過熱状態をもたらさない形で、少なくとも一部の充電を続けることができるように、供給源の大きさが変化されうる。他の態様において、無線充電システムは、異物の加熱を最小化する形で電圧または電力が加えられうる、複数の供給源共振器およびデバイス共振器または供給源共振器およびデバイス共振器のアレイを含む。例えば、1つの態様において、無線充電システムは、自動車の前面に向けて配置された1つの供給源およびデバイス共振器、ならびに自動車の背面に向向けて配置された第2の供給源およびデバイス共振器を含んでもよい。温度センサは、供給源共振器とデバイス共振器の間またはそれらの周囲の任意の異常な状態を監視してもよく、最小量の加熱を生じる対を用いて、障害物の可能性にかかわらず自動車による電力の受信を可能にする。
【0032】
ある種の環境では、過熱状態に対処するのではなく過熱状態を防止することが好ましい。そのような状況では、センサ103は、過熱状態をもたらす可能性がある物体110の存在を検出し、任意の過熱状態が生じる前に適切な措置(通知、物体の除去、充電器の停止)を取る。そのような環境では、センサ103は、過熱状態自体の検出ではなく、過熱状態につながりそうな物体の存在のみを検出するように実装される。単純な態様において、光ビームが、ドアを閉めるまえにヒトまたは物体が存在しないことを確実にするガレージドア機構と同様の形で用いられる。通常のライトカーテンは、若干広範囲の検出領域を提供しうる。ある種の実装において、デジタルカメラおよび通常のマシンビジョンシステム、特に自動車に関連する他のシステムまたは車両充電システムがすでに他の目的(例えば、共振器が整列するように駐車する際に運転者を支援する)でそのような構成要素を利用している場合には、センサ103にとって費用効果の高い構成要素である。一部の車両はすでに、位置決め、駐車支援および衝突防止などのために伝達されるおよび/または反射される音響信号、マイクロ波信号、RF信号、光信号、および他の信号を使用するシステムを有しており;適当な環境では、これらのシステムに対する軽微な変更および強化は、センサ103に対する費用効果の高い補完および代替を提供しうる。例えば、駐車支援用の低い位置に取り付けたLIDARカーブ検出を備えている自動車は、充電モードの間にLIDARがカーブではなく共振器領域の方を向くように容易に変更される。センサ112もまた、いくつかの態様において、上記と同様に物体110の存在を検出ために用いることができる。
【0033】
種々の態様において、1つまたは複数の圧力センサ、温度センサ、容量センサ、誘導センサ、音響センサ、赤外線センサ、および紫外線センサなどが、供給源、デバイス、供給源収納容器、車両、または周辺領域に組み込まれ、供給源共振器とデバイス共振器との間の障害物および異物および/または材料を検出する。クリティカルな環境では、センサおよび安全システムは、動き、外部からの物体、および任意の種類の不確定なまたは異常な動作状態について共振器領域を絶えず監視する。例えば、共振器101を覆う収納容器は、供給源共振器101の筐体を押す重量または力を監視する圧力センサを含んでもよく、またはそれの上端上に取り付けられてもよい。追加的な圧力または付加的な検出重量は、例えば、充電システムの動作を安全ではないかまたは望ましくないものにする、供給源の上端上に残された異物または不要な物体を示す可能性がある。センサ103の動作と同様に、そのような圧力センサからの出力は、充電システムの処理要素に連結され、センサが作動するかまたは異常な状態を検出すると、無線電力伝送が停止または低下するように用いられる。特定の環境の必要に応じて、センサは、聴覚指示器、可視指示器、振動指示器、通信リンク指示器または他の指示器に連結され、充電器遮断を通知する。いくつかの態様において、複数のパラメータを感知する複数のセンサが、同時に用いられ、障害物または異物が存在するかどうかを判定する。間違った作動を防止するために、いくつかの態様において、圧力センサおよび温度センサなどの少なくとも2つのセンサが、例えば車両充電器を停止させるために、作動されなければならない。
【0034】
金属が最も過熱状態につながる可能性が高い物質である共振器実装において、1つの態様は、金属検出器を介するセンサ103を実装する。そのような実装の利点は、通常の金属検出器回路が、典型的な設計の共振器(例えば101)と容易に一体化できる誘導ループに基づいていることである。自動車102における大量の金属を考慮すると、好ましくはそのような検出器は、自動車102までの距離より短い有効範囲を有する。様々な通常の磁力計構成が、物体110の存在を感知するために用いることができる。動作の頻度および磁力計の種類は好ましくは、広い充電用電界の存在下での動作の信頼性の高さで選択される;あるいは、そのような磁力計は、充電器をつける前に、充電器の電力を低下させるときに、または磁力計を確認できるように充電を一時的に中断している間など充電器を消しているときに用いられる。
【0035】
いくつかの共振器実装において、過熱状態を引き起こす可能性が高い物体110の存在は、予想されたものとは異なる共振器の動作パラメータを生じうる。例えば、充電器からの電力伝送が著しく低下する、予想された電圧または電流の振幅が変化する、磁界が変わる、共振器のリアクタンス値が変化する、および車両充電器の位相関係が予想されたものから変化する可能性がある。車両充電器の共振器および他の回路の特定の実装に応じて、適切な電気的パラメータまたはパラメータのセットを公称値と比較し、そのような比較は、センサ103の代わりに、またはそれと組み合わせて用いられ、物体110の存在を検出する。いくつかの共振器実装において、システムは、供給源における電力入力ならびにデバイス共振器における受信電力を監視し、その値を期待値または公称値と比較してもよい。公称値との有意な差異は、エネルギーが他の物体に放散されていること、またはシステムにエラーが存在しうることを意味しうる。いくつかの共振器実装において、結合係数k、品質因子Q、共振周波数、インダクタンス、インピーダンス、および抵抗などが、システムによって測定され、公称値または期待値と比較されうる。それらの公称値から5%以上のパラメータの変化は、システムにおけるエラー、または異物を意味する可能性があり、停止、電力伝送の低下、および診断実施などの信号として用いられうる。例えば、高伝導率の材料は、共振器の共振周波数をシフトし、他の共振物体からそれを離調させうる。いくつかの態様において、リアクタンス素子(例えば、誘導性素子また容量性素子)を変化させることによりその周波数を補正する、共振器フィードバック機構が使用される。そのような機構が既に車両充電器システムに存在する限りに、ある種の態様において、それらはセンサ103を補うために用いられ、ある種の環境ではセンサ103に取って代わる。
【0036】
上記議論は、主として車両充電器の一部である構成要素に基づく検出および応答に注目している。ある種の態様において、そのような回路の一部は、その代わりに自動車102自体に少なくとも部分的に配置される。例えば、壁面106上に取り付けられたセンサ103からの見通し線は、自動車102の下面上に取り付けられたセンサまたはセンサのアレイにより達成できるものより劣っている可能性がある。他の利点も同様に、そのような自動車に取り付けた実装から生じる。センサは、自動車のデバイス共振器の真下に容易に向けることができ、排気システム構成要素、エンジン構成要素、およびブレーキ構成要素などの近くなど、人工産物生成位置の感知を回避するように配置することができる。1つのそのような態様において、アナンシエータ104もまた、自動車102中に実装される。1つの特定の例では、自動車のGPSシステムに用いられる既存の音声合成モジュールは、物体110が車両の下で検出されるために充電が行われないであろうこと、および充電を開始できるようにそれを取り除くべきであることを運転者に知らせるために用いられる。
【0037】
ここで図2(a)を参照すると、いかなる回路も必要としない代替の態様は、熱に敏感な材料の使用に基づく。1つの特定の態様において、共振器101は、物体が十分に暖かくなった場合に、加熱された物体により影響を受ける領域の一部分が色を変化させ、高温を警告するように、共振器101と重なる領域201および隣接領域203に塗布される感熱塗料を伴い配置される。好ましくは、白色から蛍光性の赤色/オレンジ色など、明らかな警告を与える特徴的な色の変化が用いられる。1つの態様において、塗料は、塗料が色を変化させると警告メッセージ202(例えば、「熱い」または「注意」)が現れるように、ステンシルによって塗布される。
【0038】
感熱塗料を用いることによって、センサ103およびアナンシエータ104両方の機能が同時に達成される。管理機能もまた、ソレノイド制御水弁/ノズル配置(例えば、105)などの構成要素を必要としない「受動的な」形で達成することができる。図2(b)に図示される1つのそのような態様において、共振器101の一部分は、単なる平面ではなく、物体110が共振器101上に留まることがないように、ピラミッド形で覆われたまたは円錐形の形状205で実装される。第1の実装において、そのような形状は、床面107の表面の残りの部分を作り上げる場所打ちコンクリート(poured concrete)、エポキシ、ガラス繊維または他の材料の従来型の形式を用いることによって達成される。ある種の態様において、テフロン、REXOLITE、スチレン、ABS、およびデルリン(delryn)などの低損失材料が、共振器101上の実装領域201にとって好ましく、強度および充電用電界との最小限の相互作用の両方をもたらす。第2の実装において、共振器101を含みかつピラミッド形の形状を有するマットが、領域201を実装するために用いられる。この実装において、感熱塗料ではなくマットの材料自体が熱によって色を変化させてもよい。関連する態様において、サーモトロピックな材料がマットに用いられ、マットの加熱された領域はスロープを形成するよう隆起し、熱い物体がどこにあろうと、エネルギーを与えられている領域から徐々に移動させる。温度によって外観を変化させ、それによって過熱状態の可視指示を提供することができる、多数のサーモトロピックな材料も公知である。代替の態様は、袋を空気、水または別の物質で満たすことにより、マットの形状を変化させ、異物(例えば、110)を取り除くように、マット中に袋を含むことにより変形を達成する。さらに別の実装において、領域201は、短いシリンダーにより床面からその頂点で浮かせたピラミッド形の表面など、不安定な表面として実装される。そのように浮かせることにより、そのような表面の周辺部は、車両または歩行者が表面上を歩行すると、物体110が最終的には転げ落ちるまたは滑り落ちるのに十分にそれが動くように、床面107上に短い高さ(1つの態様ではおよそ1 cm)を名目上維持する。任意で、排水領域が、融雪および他のデブリが容易に排水内に移動するように、領域201または領域203の外縁の周りに組み込まれる。物体除去のいっそうの確実性が必要とされる環境では、上述の支持シリンダーが、表面に振動を制御可能にもたらし、共振器101から物体を動かすピストンサブシステムの一部となる。いくつかの充電器実装において、共振器101は、自動車102の対応する共振器に最適に整列するように、動くことができるように設計される。そのような実装において、共振器アライメントを達成するために用いられる同じ機構が、領域201から物体110を移転させるように表面を動かす/振動させるために用いられる。
【0039】
外部からの物体を領域201から除去するための代替案は、壁面106または別の使いやすい位置から展開される通常のスイーパー/ワイパー機構である(示さず)。1つの態様において、除去機構は、工具、ゴミまたは他の物質が除去時と充電開始時の間に領域201中に置かれる可能性を最小にするために、車両が領域201に接近すると直ちに動作する。いくつかの態様では、この機構は、自動ガレージドア開閉機の動作と連動し;他の態様では、通常の遠隔制御が用いられる。代替の態様において、除去機構は、自動車102からの融氷などの物体が、車両充電を行っている間に除去できるように、自動車102が領域201上に駐車されていても動作することができる。冬の半解けの雪は金属破片(例えば、壊れた除雪機のボルト、および塩散布装置などに由来する)など外部からの物質を含むことがあることが判明しているため、これは重要である。半解けの雪が溶けると、その結果生じるデブリは、上記と同じ高温状態を引き起こすことができる。鉄の物体は特に加熱しやすいことがわかっているため、1つの態様において、磁化されたワイパー機構が、金属の物体をより容易に除去するために用いられる。
【0040】
半解けの雪が特に問題となる環境では、自動車の底面に向けた水噴射が、充電開始前に速やかに半解けゆきを取り除く。そのような噴射の特定の利点は、十分な水が用いられる場合には、領域201の上の底面から滴り落ちる水が最終的に半解け雪のみならず、少なくとも小さな物体も領域201から取り除く点にある。
【0041】
水噴射を用いる関連する態様は、より暖かい環境によく適している。この態様は、自動車が到着する直前に領域201の上方向からの比較的強力な水の噴出をもたらし、それによって領域201から異物を取り除く。そのような手法の利点は、車の水洗または車の洗浄など、関心対象の他の特徴と容易に一体化できる点にある。
【0042】
全ての車両充電器共振器が自動車の下部に配置されているわけではない。いくつかの適用において、共振器は、他の構造中に実装される。1つの代替の実装において、供給源共振器は、自動車102のフロントバンパまたはリアバンパの対応する共振器に適合するように設定された高さで壁面106からつるされた水平バリアとして実装される。別の実装において、駐車場の壁面または支柱の保護のために通常提供されるものなど、床面107に設置された垂直なポストが、供給源共振器101の筐体として機能を果たす。そのような多様な実装は、本明細書において議論される例とは若干異なる、あり得る安全上の問題を招く。しかしながら、当業者は、本明細書に開示された原理が他の実装にも容易に適用できることを認識する。
【0043】
ここで図3を参照すると、無線車両充電器安全システム300は、検出サブシステム301、通知サブシステム302、および管理サブシステム303を含む。ある種の環境では、通知サブシステムおよび管理サブシステムは必要とされない。他の態様において、様々なサブシステムは一体化される形で実装され;図2(a)に関連して議論したように感熱塗料の使用は、検出サブシステムと通知サブシステムが一体化した形で実装される例である。管理サブシステムにより制御可能であるインターロック回路など、無線車両充電器の他の構成要素を伴うある種の態様において存在する様々な相互接続は、図3には示されていない。本開示に示すように、様々なサブシステムが、電子回路、電気機械システム、化学/材料に基づく手法、流体制御システム、およびコンピュータ実装制御システムなどによる異なる態様において実装される。実際には、1つの特定の適用環境は、異なる適用環境に最適である手法に適していない可能性があることが判明した。企業の積み込み設備で保管される大型トラックは、住宅のガレージの乗用車とは異なる安全対策を必要とする。いくつかの態様において、サブシステム301〜303は、多種多様な環境、車両、供給源およびシステムにおいてまたはそれらと共に機能するよう設計された自己学習アルゴリズムまたは訓練可能なアルゴリズムにより動作し、監視下での動作期間の後に多くの環境において動作するように学習してもよいまたは訓練されてもよい。いくつかの態様において、任意の検出サブシステム301、通知サブシステム302、および管理サブシステム303、またはそれらの任意の組み合わせは、独立型のモジュールまたはサブシステムであってもよい。他の態様において、任意の検出サブシステム301、通知サブシステム302、および管理サブシステム303、またはそれらの任意の組み合わせは、車両で既に入手可能なリソースを少なくとも部分的に用いて実装されてもよい。
【0044】
本発明は、ある種の好ましい態様に関連して記載されており、他の態様は、当業者により理解され、かつ本開示の範囲内に属することを意図されており、法律によって許容される最も広い範囲で解釈されるべきである。
【0045】
本明細書において言及される全ての文献は、本明細書に完全に記載されているかのようにそれらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
図1
図2
図3
図4