特許第5893652号(P5893652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5893652フレキシブルケーブルを備える検出器及び検出器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5893652
(24)【登録日】2016年3月4日
(45)【発行日】2016年3月23日
(54)【発明の名称】フレキシブルケーブルを備える検出器及び検出器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/08 20060101AFI20160310BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20160310BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20160310BHJP
【FI】
   H01B7/08
   H05K1/14 E
   H05K1/14 D
   H05K1/02 D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-24903(P2014-24903)
(22)【出願日】2014年2月12日
(65)【公開番号】特開2015-153536(P2015-153536A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2015年3月16日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100182660
【弁理士】
【氏名又は名称】三塚 武宏
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】藤本 泰生
(72)【発明者】
【氏名】菊地 弘文
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−088414(JP,U)
【文献】 特開2005−116288(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3169040(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/08
H05K 1/02
H05K 1/14
H01R 12/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板に実装されたコネクタと、前記コネクタに挿入された端子部を有するフレキシブルケーブルと、を備える検出器の製造方法であって、
前記端子部を含む前記フレキシブルケーブルの先端部分に、前記フレキシブルケーブルの補強部材が取り付けられており、
前記補強部材は、前記フレキシブルケーブルの前記先端部分の局部的な曲げを許容するように折れ変形可能な折れ部を含み、
前記折れ部は、前記折れ変形によって分断されるように形成された弱化部を含み、
前記フレキシブルケーブルの前記先端部分が曲げられないように前記折れ部を固定する固定部材を前記補強部材に取り付け、
前記フレキシブルケーブルの前記端子部を、前記固定部材を取り付けた前記補強部材と一緒に前記コネクタに挿入し、
前記固定部材を前記補強部材から取り外し、
前記補強部材の前記折れ部を折れ変形させることによって前記弱化部を分断させ、前記フレキシブルケーブルの前記先端部分を前記折れ部に沿って局部的に曲げることを含む、検出器の製造方法。
【請求項2】
前記弱化部は、前記補強部材に形成された切り込み又はミシン目である、請求項1に記載の検出器の製造方法。
【請求項3】
前記補強部材が複数の前記折れ部を含んでいる、請求項1または2に記載の検出器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に対する信号の入出力のためのフレキシブルケーブルを備える検出器、及び検出器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の分野では、回路基板に対する信号の入出力のためのケーブルとして、種々のフレキシブルケーブルが使用されることが多い。フレキシブルケーブルは安価であるとともに柔軟かつ薄型であるので、製造コストを低減できるだけでなく機器の小型化、特に薄型化を実現できる。電子機器の回路基板に挟持型コネクタが実装される場合には、フレキシブルケーブルの端子部が挟持型コネクタに挿入されることによって、挟持型コネクタの金属端子部がフレキシブルケーブルの端子部の誘電体パターンに圧接させられる。その際に、柔軟性の高いフレキシブルケーブルを挟持型コネクタに確実に挿入できるように、フレキシブルケーブルの端子部を含む先端部分には、十分な剛性を有する補強部材が取り付けられることが多い。このような補強部材は、フレキシブルケーブルと一緒に挟持型コネクタによって挟持される被挟持部としての機能も有しうる。これに関連して、特許文献1には、フレキシブルフラットケーブル(FFC)の裏面に貼り付けられた補強板がFFCと一緒に配線基板の挿入孔に挿入される、FFCと配線基板の接続構造が開示されている。さらに、特許文献1には、FFCの補強板の両側面に突出形成された抜け止め部によってFFCが挿入孔から抜けることを防止する技術が提案されている。
【0003】
図8は、挟持型コネクタによる被挟持部としての機能を有する補強部材が適用された、従来の電子機器の構造を示す断面図である。図8の電子機器は、回転体に連結されるスリット円盤81と、スリット円盤81に向かって光線を発射する発光素子82と、スリット円盤81を通過した光パルスを受光する受光素子83と、受光素子83が実装された回路基板84と、を備える光学式エンコーダである。図8のように、回路基板84には、一般的な挟持型コネクタ85がさらに実装されており、この挟持型コネクタ85には、フレキシブルケーブル86の先端部分に貼り付けられた補強部材87がフレキシブルケーブル86と一緒に挿入されている。このような光学式エンコーダは小型かつ薄型であることが望ましい一方で、フレキシブルケーブル86と補強部材87を挟持型コネクタ85に確実に挿入するためには、補強部材87が或る程度の高さを有している必要がある。しかしながら、補強部材87の高さが大きくなると、図8のように、補強部材87の高さ方向に沿った検出器の寸法が大きくなってしまい、検出器の小型化、特に薄型化を十分に達成できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−228768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フレキシブルケーブルに補強部材が取り付けられる場合であっても小型化、特に薄型化を実現できる検出器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、回路基板と、回路基板に実装されたコネクタと、コネクタに挿入された端子部を有するフレキシブルケーブルと、を備える検出器の製造方法であって、端子部を含むフレキシブルケーブルの先端部分に、フレキシブルケーブルの補強部材が取り付けられており、補強部材は、フレキシブルケーブルの先端部分の局部的な曲げを許容するように折れ変形可能な折れ部を含み、折れ部は、折れ変形によって分断されるように形成された弱化部を含フレキシブルケーブルの先端部分が曲げられないように折れ部を固定する固定部材を補強部材に取り付け、フレキシブルケーブルの端子部を、固定部材を取り付けた補強部材と一緒に前記コネクタに挿入し、固定部材を補強部材から取り外し、補強部材の折れ部を折れ変形させることによって弱化部を分断させ、フレキシブルケーブルの先端部分を折れ部に沿って局部的に曲げることを含む、検出器の製造方法が提供される。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様において、弱化部が、補強部材に形成された切り込み又はミシン目である、検出器の製造方法が提供される。
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様において、補強部材が複数の折れ部を含んでいる、検出器の製造方法が提供される
【発明の効果】
【0007】
本発明の第態様によれば、補強部材の折れ部によってフレキシブルケーブルの先端部分の局部的な曲げが許容されるので、フレキシブルケーブルに補強部材が取り付けられる場合であっても検出器の小型化、特に薄型化を実現できるようになる。
さらに、本発明の第の態様によれば、補強部材の折れ部が弱化部において容易に折れ変形しうるので、コネクタに挿入されたフレキシブルケーブルの先端部分を容易に曲げることができる。さらに、本発明の第の態様によれば、補強部材が折れ部において分断されるので、コネクタに挿入されたフレキシブルケーブルの先端部分の曲げ形状を自由に変更できるようになる。さらに、本発明の第1の態様によれば、フレキシブルケーブルの先端部分がコネクタに挿入される途中で曲げられることが固定部材によって防止されるので、フレキシブルケーブルの端子部をコネクタに確実に挿入できるようになる。
本発明の第2の態様によれば、補強部材の折れ部が切り込み状又はミシン状の弱化部において容易に折れ変形しうるので、コネクタに挿入されたフレキシブルケーブルの先端部分を容易に曲げることができる。
本発明の第3の態様によれば、コネクタに挿入されたフレキシブルケーブルの先端部分が複数の折れ部に沿って大きな曲率で曲げられるので、コネクタに挿入されたフレキシブルケーブルの先端部分を容易に曲げることができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の1つの実施形態による検出器の断面図である。
図2図1の検出器における基板側コネクタの近傍を拡大して示す部分拡大図である。
図3図1の検出器の製造方法におけるケーブル装着工程について説明するための図である。
図4】補強部材の変形例が適用された検出器における基板側コネクタの近傍を示す断面図である。
図5図4における補強部材に固定部材を取り付けた状態を示す側面図である。
図6図5におけるフレキシブルケーブルの前面を見た正面図である。
図7図5におけるフレキシブルケーブルの端子部を見た底面図である。
図8】従来の検出器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。それらの図面において、同様の構成要素には同様の符号が付与されている。なお、以下の記載は、特許請求の範囲に記載される発明の技術的範囲や用語の意義等を限定するものではない。
【0010】
図1図7を参照して、本発明の1つの実施形態の検出器について説明する。本実施形態の検出器は、回転体に連結された回転シャフトの角度位置をデジタル信号に変換して出力する光学式エンコーダである。図1は、本実施形態の例示的な検出器1の断面図である。
【0011】
図1のように、本例の検出器1は、図示しない回転体、例えば、電動機の駆動軸又は電動機の駆動軸によって回転駆動される被駆動体に連結される回転シャフトRSと、回転シャフトRSの一端部に連結されたスリット円盤SDと、スリット円盤SDの上方に配置された回路基板2と、を備えている。本例の回転シャフトRSは、円盤状のハウジングHによって回転軸線RA回りに回転可能に軸支されており、ハウジングHには、上記の各部を覆うカバーCVが取り付けられている。そして、本例のカバーCVには、検出器1を外部機器と電気的に接続するためのコネクタCNが装着されている。このコネクタCNを以下ではカバー側コネクタCNと称することがある。図1のように、本例のカバーCVは上部が閉塞された円筒状の形態を有している。
【0012】
図1のように、本例の検出器1は、スリット円盤SDの下面に対向するようにハウジングHに装着された発光部LEと、スリット円盤SDの上面に対向するように回路基板2に実装された受光部LRと、をさらに備えている。本例の発光部LEは、赤色LED(Light Emitting Diode)又は赤外LEDのような発光素子を有しており、本例の受光部LRは、フォトダイオード又はフォトトランジスタのような受光素子を有している。本例の回路基板2は、種々の電子部品及び集積回路、並びにそれらを接続する配線が実装されたプリント基板である。特に、本例の回路基板2には、上記の受光部LRの他にもコネクタ3が実装されており、コネクタ3にはフレキシブルケーブル4が装着されている。以下では、回路基板2に実装されたコネクタ3を、上述したカバー側コネクタCNと区別するために、基板側コネクタ3と称する。本例の基板側コネクタ3及びフレキシブルケーブル4についてはさらに後述する。
【0013】
本例の検出器1の動作時には、発光部LEが、スリット円盤SDの回転軸線RAと概ね平行な光線をスリット円盤SDに向かって発射する。スリット円盤SDは、回転軸線RA回りの周方向に配列された複数のスリットを備えており、回転軸線RA回りの角度位置に応じて光線の透過と不透過を切り替えるようになっている。すなわち、発光部LEからスリット円盤SDに入射した光線は、スリット円盤SDの角度位置に応じた明暗パターンを有する光パルスに変換される。そして、受光部LRが、スリット円盤SDを通過した光パルスを電気信号に変換して出力する。このようにして出力された電気信号に基づいて、スリット円盤SDに連結された回転シャフトRSの角度位置及び回転速度等が検出される。
【0014】
続いて、本実施形態の検出器1における基板側コネクタ3及びフレキシブルケーブル4について説明する。図2は、図1の検出器1における基板側コネクタ3の近傍を拡大して示す部分拡大図である。図2のように、本例のコネクタ3には、フレキシブルケーブル4の一方の端子部T1に対応する寸法の凹部31が形成されており、この凹部31には、フレキシブルケーブル4の端子部T1と電気的に接続される、図示しない金属端子部が設けられている。すなわち、本例のコネクタ3は、凹部31に挿入されたフレキシブルケーブル4の端子部T1を挟持するようになっている。このようなコネクタは一般に挟持型コネクタと称される。
【0015】
本例のフレキシブルケーブル4は、並列に配置された複数の平板状の導体を絶縁材料で被覆した薄型ケーブルである。このようなケーブルは一般にFFC(Flexible Flat Cable)と称される。本例のフレキシブルケーブル4は高い柔軟性を有しており、検出器1の内部構造に応じて任意の形状に曲げられうる。図2のように、上記の端子部T1を含むフレキシブルケーブル4の一方の先端部分41には、フレキシブルケーブル4よりも高い剛性を有する補強部材5が取り付けられている。より具体的に、本例の補強部材5は、概ね直角に折り曲げられた平板状の形態を有していて、薄型のフレキシブルケーブル4の一方の幅広面に接着剤で張り付けられている。以下では、補強部材5が貼り付けられたフレキシブルケーブル4の幅広面を前面4Fということがある。また、フレキシブルケーブル4の他方の先端部分には、ハウジング側コネクタCNの図示しない金属端子部に接続される端子部T2が設けられている(図1参照)。本例の補強部材5について以下に詳細に説明する。
【0016】
本例の補強部材5は、フレキシブルケーブル4の先端部分41が基板側コネクタ3に挿入される途中で折り曲げられないようにフレキシブルケーブル4を補強する機能を有する。さらに、本例の補強部材5は、フレキシブルケーブル4の端子部T1と一緒に基板側コネクタ3の凹部31に挿入されるので、挟持型の基板側コネクタ3によって挟持される被挟持部としての機能も有する。本例の補強部材5は、フレキシブルケーブル4と概ね等しい幅方向の寸法を有する。ここでいう幅方向とは、図1及び図2の紙面に垂直な方向を指している。ただし、本例の補強部材5は、フレキシブルケーブル4の先端部分41が適切に補強される限りにおいて、フレキシブルケーブル4よりも小さい幅方向の寸法を有していてもよい。本例の補強部材5は、フレキシブルケーブル4よりも高い剛性を有する種々の樹脂材料又は金属材料から形成されうる。
【0017】
図2のように、本例の補強部材5は、フレキシブルケーブル4の延在方向と交差する方向の折り線FLに沿って折れ変形可能な折れ部51を含んでいる。ここでいうフレキシブルケーブル4の延在方向とは、フレキシブルケーブル4が一方の端子部T1から他方の端子部T2に向かって延在する方向を指している。また、ここでいう折れ変形とは、補強部材5が折り線FLに沿って折り曲げられることと、補強部材5が折り線FLに沿って分断されることの双方を含む概念である。より具体的に、本例の折れ部51は、フレキシブルケーブル4の延在方向に直交する方向の折り線FLに沿って折れ変形可能である。そして、フレキシブルケーブル4の先端部分41は、折れ変形後の折れ部51の形状に沿って局部的に曲げられる。図2の例では、補強部材5の折れ部51が概ね直角に折れ変形することによって、フレキシブルケーブル4の先端部分41が概ね直角に曲げられている。このように、本例の補強部材5によると、基板側コネクタ3に装着されたフレキシブルケーブル4の先端部分41の局部的な曲げが許容されるので、フレキシブルケーブル4に補強部材5が取り付けられる場合であっても検出器1の小型化、特に薄型化を実現できるようになる。
【0018】
また、図2のように、本例の折れ部51は薄肉の弱化部52を含んでおり、本例の弱化部52は、折り目FLに沿って延びる切り込みの形態を有している。これにより、補強部材5の折れ部51が折り線FLに沿って容易に折れ変形しうる。ただし、本例の折れ部51の弱化部52は、図2のような切り込みとは異なる形態を有していてもよく、例えば、折り線FLに沿って延びるミシン目の形態を有していてもよい。なお、本例の補強部材5はフレキシブルケーブル4の前面4Fに接着剤によって貼り付けられているので、図2のように、折れ部51が折れ変形した後も補強部材5の大部分がフレキシブルケーブル4の前面4Fに接触した状態のまま保持される。
【0019】
続いて、図3を参照して、本例による検出器1の製造方法について説明する。本例による検出器1の製造方法は、フレキシブルケーブル4を基板側コネクタ3に装着するケーブル装着工程を含んでいる。本例のケーブル装着工程では、先ず、フレキシブルケーブル4の端子部T1が、補強部材5と一緒に基板側コネクタ3の凹部31に挿入される。図3は、フレキシブルケーブル4の端子部T1が基板側コネクタ3の凹部31に挿入される前の状態を示す、図2と同様の断面図である。図3のように、フレキシブルケーブル4の端子部が基板側コネクタ3の凹部31に挿入されるまでの間は、折れ部51が折れ変形する前の状態、すなわち、一方向に延びる平板状にされた状態で保持される。これによりフレキシブルケーブル4の先端部分41の折れ曲がりが防止されるので、フレキシブルケーブル4の端子部T1を基板側コネクタ3の凹部31に確実に挿入できるようになる。図中の矢印A30は、本例のケーブル装着工程におけるフレキシブルケーブル4の挿入方向を示している。次いで、フレキシブルケーブル4の端子部T1の挿入が完了したら、折れ部51が折れ変形させられるとともに、フレキシブルケーブル4の先端部分41が折れ変形後の折れ部51の形状に沿って局部的に曲げられる(図2参照)。これをもってケーブル装着工程が完了する。
【0020】
なお、折れ部51が切り込み状の弱化部52を含む場合には、折れ変形後の折れ部51が折り線FLに沿って2つの部分に分断されうる。より具体的に、折れ変形後の折れ部51は、フレキシブルケーブル4の端子部T1と一緒に基板側コネクタ3に挿入された挿入部分と、折り線FLを挟んで挿入部分の反対側に位置する非挿入部分に分断されうる(図2参照)。しかしながら、本例のフレキシブルケーブル4と補強部材5は、両者の接触面の全体にわたって接着されているので、補強部材5が2つの部分に分断されたとしても、それらのうちの非挿入部分がフレキシブルケーブル4の前面4Fから脱落することはない。また、折れ変形後の折れ部51が分断される場合には、基板側コネクタ3に挿入されたフレキシブルケーブル4の先端部分41の曲げ形状を自由に変更できるので、検出器1の設計自由度が向上しうる。
【0021】
続いて、本実施形態の検出器1における補強部材5の変形例について説明する。図4は、本例の補強部材5が適用された検出器1における基板側コネクタ3の近傍を示す、図2と同様の断面図である。図4のように、本例の補強部材5は、フレキシブルケーブル4の延在方向と交差する方向の複数の折り線FL1,FL2,FL3に沿って折れ変形可能な複数の折れ部511,512,513を含んでいる。より具体的に、本例の補強部材5は、フレキシブルケーブル4の延在方向と直交する方向の3つの折り線FL1,FL2,FL3に沿ってそれぞれ折れ変形可能な3つの折れ部511,512,513を含んでいる。そして、これら3つの折れ部511,512,513は、切り込み状の弱化部521,522,523をそれぞれ含んでいる。図4のように、本例の補強部材5によると、フレキシブルケーブル4の先端部分41が3つの折れ部511,512,513の形状に沿って漸次的に曲げられるので、フレキシブルケーブル4の先端部分41の曲率が比較的大きくなる。従って、本例の補強部材5によると、基板側コネクタ3に装着されたフレキシブルケーブル4の先端部分41を容易に曲げることができる。さらに、本例の補強部材5によると、折り変形後の補強部材5とフレキシブルケーブル4の接触面積が増大しうるので、補強部材5がフレキシブルケーブル4の前面4Fから脱落することを防止できるようになる。
【0022】
続いて、図4の補強部材5が適用された検出器1の製造方法について説明する。本例による検出器1の製造方法におけるケーブル装着工程では、先ず、補強部材5の折れ部分511,512,513を固定する一対の固定部材6,6が、補強部材5の両側部に取り付けられる。図5は、図4の補強部材5に固定部材6を取り付けた状態を示す側面図である。また、図6は、図5におけるフレキシブルケーブル4の前面4Fを見た正面図であり、図7は、図5におけるフレキシブルケーブル4の端子部T1を見た底面図である。図5図7から分かるように、一対の固定部材6,6の各々は、一方向に延在する長尺体の形態を有しており、その側面には、長尺体の延在方向に沿って延びる溝部61が形成されている。そして、図7のように、本例の固定部材6の溝部61は、補強部材5を貼り付けたフレキシブルケーブル4の側部に対応する寸法を有している。従って、固定部材6が補強部材5の側部に取り付けられると、補強部材5の側部がフレキシブルケーブル4の側部と一緒に固定部材6の溝部61に嵌入させられる。これにより、補強部材5の折れ部511,512,513が折れ変形する前の状態、すなわち、固定部材6の延在方向に沿って延びる平板状にされた状態で固定される。
【0023】
本例のケーブル装着工程では、次いで、フレキシブルケーブル4の端子部T1が基板側コネクタ3の凹部31に挿入される。このとき、補強部材5の折れ部511,512,513は一対の固定部材6,6によって折れ変形しないように固定されているので、フレキシブルケーブル4の先端部分41が折れ曲がることはない。従って、本例の固定部材6によると、フレキシブルケーブル4の端子部T1を基板側コネクタ3の凹部31に確実に挿入できるようになる。次いで、フレキシブルケーブル4の端子部T1の挿入が完了したら、一対の固定部材6,6が補強部材5から取り外される。これによりフレキシブルケーブル4の先端部分41の局部的な曲げが許容される。その後、補強部材5の折れ部511,512,513が折れ変形させられるとともに、フレキシブルケーブル4の先端部分41が折れ変形後の折れ部511,512,513の形状に沿って局部的に曲げられる(図4参照)。これをもってケーブル装着工程が完了する。
【0024】
本発明は、上記の実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で種々改変されうる。例えば、上記の実施形態では発光素子及び受光素子を用いた光学式エンコーダを例示したものの、本発明の検出器は、リング状の磁石を用いた光学式エンコーダのような他の種類の検出器であってもよい。また、本発明の検出器におけるフレキシブルケーブルの補強部材は、検出器に内蔵された種々の増幅回路及びインタフェース変換回路等にも適用されうる。さらに、本発明の検出器におけるフレキシブルケーブルの補強部材は、上記の実施形態における弱化部の代わりに、ヒンジのような機構部を含んでいてもよい。なお、上述した検出器1の各部の寸法、形状、材質等は一例にすぎず、本発明の効果を達成する目的のために多様な寸法、形状、材質等が採用されうる。
【符号の説明】
【0025】
1 検出器
2 回路基板
3 基板側コネクタ
4 フレキシブルケーブル
5 補強部材
51 折れ部
511 折れ部
512 折れ部
513 折れ部
52 弱化部
521 弱化部
522 弱化部
523 弱化部
6 固定部材
61 溝部
CN カバー側コネクタ
CV カバー
FL 折り線
FL1 折り線
FL2 折り線
FL3 折り線
H ハウジング
LE 発光部
LR 受光部
RA 回転軸線
RS 回転シャフト
SD スリット円盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8