【実施例】
【0016】
以下、本発明の好適な一実施例を
図1乃至6に従って詳述する。
図1乃至
図3は、回転砥石1を示し、
図1はその平面図、
図2は
図1のA−A線断面図、第3図は
図2の○内の拡大断面図である。同図に示すように、回転砥石1は中央部に設けた中央孔2に金属製の補強リング3を嵌着させ、ここにグラインダ等の回転砥石駆動モーターのシャフトが嵌着されて回転砥石1が回転駆動され、被研削物を研削するように構成されている。
【0017】
尚、本発明に係る回転砥石1は、後述の製造工程を経て製造されるのであるが、本発明において、最も重要な構成要件の一つとして強調されるものは、補強材として設けられるガラスクロス4の特殊の構成が挙げられる。即ち、本発明に係るガラスクロス4は、
図4に示す如く、直径0.1m
mの捻糸を用いて目抜平織・綾織又は絡み織にて織成したとき、メッシュ4a、4a・・の夫々の縦横の長さを夫々2.0m
mに形成することが可能となる。勿論、捻糸の直径は複数の単糸を捻った後の直径である。そこで、このメッシュ4a、4a・・には夫々各砥粒5、5・・が後述の樹脂(砥粒5、5・・の結合材を含む)と共に、一体的に強固に抱持されることができる。若し、このメッシュ4a、4a・・を大きくした場合はたとえ、そのメッシュ間に砥粒が存在したとしても各砥粒は該メッシュに強固に抱持されることはない。本発明の回転砥石1は前述したように各メッシュ4a、4a・・に夫々強固に樹脂と共に一体的に抱持されるもので、研削時において、各砥粒5、5・・は欠け、該欠け面が鋭利な次の刃面を形成することになる
【0018】
そこで、本発明の回転砥石1の製造工程を
図5のフローチャートに従って説明する。本発明の回転砥石1は、同図のステップ1において、先ず補強材としてガラスクロス4が織成される。該ガラスクロス4は、0.1m
mの捻糸を用いて目抜平織・綾織又は絡み織にて織成されるが、経糸と緯糸にて形成されるメッシュ4a、4a・・を縦横の長さを2.0m
mに形成される。そこで、極めて小さいメッシュ4a、4a・・には各砥粒5、5・・を夫々強固に抱持することができる。斯くの如く織成されたガラスクロス4は、ステップ2において、液状樹脂を装着してプリプレグ6に形成される。従って、該プリプレグ6は、該液状樹脂が未硬化の状態で存在することになる。次に、該プリプレグ6はステップ3において、その両面に樹脂被膜砥粒層が形成される。
【0019】
この樹脂被膜砥粒層を形成するに当たっては、砥粒5、5・・と結合材としての樹脂を混合して樹脂砥粒を形成し、この樹脂砥粒を前記プリプレグ6の両面に装着することにより樹脂被膜砥粒層を形成する。この樹脂被膜砥粒はプリプレグ6の両面に刷毛にて塗布するか、或いは、スプレーガンを用いるか、又はヘラ塗り、或いは、弾性ローラを用いる等、種々の方法が考えられるが、何れの方法によってもプリプレグの両面に樹脂被膜砥粒層を装着することができ、その装着法は特定されるものではない。次に、ステップ4において、両面に前記樹脂被膜砥粒層が装着されたプリプレグ6は圧搾機によって圧搾される。このとき、各砥粒5、5・・は何れかの前記メッシュ4a、4a・・の何れかに前記各樹脂と共に一体的に抱持された状態で全体が極めて偏平に形成される。次に、ステップ5において、金型にて所定の形状に形成され、ステップ6にてプレス機にて加圧され、ステップ7において、焼成炉にて焼成仕上げされるのである。
【0020】
上記工程を経て製造された本発明の回転砥石1は、試験の結果、従来の最高品と言われている比較例との間に著大なる性能上の差異が存在することが判明した。
【0021】
表1は、比較例と本発明の回転砥石とを比較した例を示す。表1の上方のカーブが比較例を示し、下方のカーブが本発明の回転砥石のカーブである。即ち、各カーブの試験点において、夫々5分ずつ20回の回転研削を実行して夫々の100分間の摩耗量を検出したものであり、この表1に示すように比較例との間には夫々の回転砥石の摩耗量に大きな差異があることが判明した。
【0022】
【表1】
【0023】
又、上記比較例と本発明との100分間の研削量累計を下記の表2に示す。表2に於いて、上方のカーブが本発明の回転砥石の研削量累計のカーブを示し、下方のカーブが比類例の研削量累計のカーブである。
【0024】
表2に示すように本発明の回転砥石と比較例との間には、同一条件に於いて、被研削物の研削量が極めて大なる差異を有し、本発明の回転砥石の性能の優秀さが判明されるものである。
【0025】
【表2】
【0026】
以上表1及び表2のグラフから、本発明に於いては砥粒及び砥粒の結合材の使用量を比較例に対して約半分の量にて同一の性能を発揮することができ、材料使用量の節減によりコストダウンにも寄与することができる。
【0027】
そこで、本発明の回転砥石1によって、被研削物6を研削している状態を
図6によって説明する。同図に示すように、各砥粒5、5・・は、夫々のメッシュ4a、4a・・に樹脂(之はプリプレグ6に装着した未硬化の樹脂及び砥粒5、5・・の結合材としての樹脂8を含む)と共に一体的に強固に包合され、更に又、プリプレグ6も該樹脂8とが一体的に結合して固結した状態を示す。尚、同図は本発明の回転砥石1の特徴を説明するものである。
【0028】
図6に示すように、被研削物7を回転砥石1によって研削するとき、前記メッシュ4a、4a・・に強固に抱合されている各砥粒5、5・・は夫々研削面に於いて欠け、この欠けることにより、次の刃面を形成する。即ち、該欠け面は丁度爪のように鋭く出現する結果、被研削物7を極めて正確、且つ、効率良く、迅速に研削することができ、回転砥石の自生作用を最も効率良く期待できるのである。
【0029】
勿論、本発明の回転砥石が回転破壊強度及び衝撃強度を向上させることは当然である。